•  1962年。初めての東京オリンピックを2年後に控えた東京・虎ノ門に誕生したホテルオークラ。日本古来のおもてなしを追求したホテルだ。開業当時から、食への強いこだわりが話題となり、日本の食文化に大きな影響を与えた。それから53年。長い歴史を持つその本館が建替えとなる。それに伴いレストランの多くは、別館にて仮移設され営業となる。
     開業当時、国際化の波の中いち早く本場パリのシェフを招いて学び続けたフランス料理。ホテルでありながら敢えて「和食堂」と名付け、多くの客人を魅了した和食。料理ジャンルにホテルで初めて、正統派広東料理を採用しに出た中国料理。
     その全てに、初代総料理長から53年受け継ぐ精神がある。
     現在の洋食調理総料理長 善養寺 明さん(63)は、オークラのフレンチを確立した“小野正吉(小野ムッシュ)”氏から、フランス料理の基本、“ソース”の大切さを学んだ。和食調理総料理長 澤内 恭さん(60)は、澄み切った出汁の取り方と、食材を見る目を鍛えられた。そして、中国調理総料理長 陳 龍誠さん(51)は、調理スピードと定番料理の歴史を学ぶ事を、徹底的に掘り下げられた。  そして、全員が何より大切にする信念は、お客様に満足していただくこと。
    ホテルの料理人は、客前へ出ることを許されない。唯一、客と対面できるのは各レストランの料理長、宴会でのカービングサービス時は総料理長ではなくとも若手の料理人もお客様の目の前で調理を行い話もします。
     本館建替え後の本格的な営業は2019年。新しいオークラを担う総料理長達は、その基盤をつくりあげてゆく。普段は、滅多に顔を合わせる機会がない和・洋・中の総料理長が、オークラの代表フランス料理で、食卓を囲み未来を語る。実は、そのテーブルには、次期洋食調理総料理長となるシェフ、池田順之さんの想いが込められたメニューが並んだ。 新旧4人の総料理長たちが専門料理の垣根を越え、心からの想いを語り合うのだった。受け継ぐべきことと、変わるべきこと、はたして“未来のオークラの食卓”とは。