•  神奈川県三浦半島は、水はけの良い土壌と海洋性の温暖な気候に恵まれ、今や全国区のブランド野菜となったダイコン、キャベツ、スイカなど味が豊かな野菜の宝庫だ。今回は、三浦で先祖代々、野菜を作ってきた達人たちの食卓にお邪魔する。
     7月。有機栽培にこだわる石渡稔さんの畑に500人もの家族連れが集まった。年に1度のとうもろこし収穫祭。農家仲間と一緒に20年以上前から続けている。参加者はもぎたて茹でたてのとうもろこしを畑で食べる。まさに大自然に抱かれた食卓。消費者と顔が見える関係を作ることで、野菜作りに新たなやりがいが生まれる。収穫祭の後には農家仲間が集まって食卓会が開かれた…

     もうひとりの達人は、三浦半島でも唯一無二の野菜農家、青木さん。青木さんの作る野菜は、地元の朝市を除くと一般家庭に出回らない。契約したレストランの注文に応じて野菜を作る、いわばオーダーメイドの野菜農家なのだ。年間に作る野菜は70~80種類。例えばナスにしてもイタリア原産の珍しい品種など、多品種を少量ずつ作っている。そんな青木さんの畑には、シェフをはじめ飲食店スタッフが足しげく通ってくる。
     8月のある日、畑にやってきたのは居酒屋グループで野菜の仕入れを担当する田中さん。元調理人でもある田中さんが腕を振るい、青木さんたちとともに食卓を囲んだ。野菜を作るプロと野菜を料理に仕立てるプロ。その食卓から野菜を楽しむ新たなアイデアが生まれるのだった。