• オシャレでハイセンスな人が集う街、東京・代官山。実は古い歴史を持つ、落ち着いた風情の残る街でもある。今回は、そんな古くて新しい街、代官山が舞台だ。
     今年4月、代官山に魅力的な路地が新たに出現した。「ログロード代官山」と呼ばれるこの一帯は、東急田園都市線の線路地下化に伴い、消えた線路の跡地にできた商業施設だ。電車は町に暮らす人々にとって必要なものだが、同時に、街と街を分断してしまう存在でもある。開発に関わった東急電鉄の島﨑裕久さんは「この場所が、線路が分断してしまった街と街、人と人とをつなぐ場所になると嬉しい」と話す。 敷地面積3200㎡、全長220mの細長い敷地に5棟の建物。ランドスケープには四季折々の花や草木が植えられ、気持ちの良い散策路になっており、テイクアウトのできるドーナツ屋や選び抜いた食材を使ったパンやデリを楽しめる店、そしてアメリカ西海岸テイストのセレクトショップが軒を連ねる。どれも「手作り」にこだわる店ばかりだ。
     ビールの美味しいこの季節、枝豆をつまみにジョッキで乾杯!…というのは言わずも知れた夏の風物詩だが、この「ログロード代官山」には、なんと、その場で作ったできたての「クラフトビール」をじっくりいただける店まであるのだ。それが、「スプリングバレーブルワリー東京」。店内にガラス張りの小さな醸造所を構え、ビールの出来る過程を目にしながら手作り(クラフト)ビールが味わえる。定番のビールは6種類。そこに季節や期間限定のものが加わる。それぞれに担当する醸造家が存在し、色も香りも全く違う。濃密なホップ感を味わえるものから、柚子や山椒などの和の食材を取り入れたもの、まるでルビーのような輝きを放つ、ラズベリー果汁入りのユニークなものなど、自分の気分や、料理とのマッチングで様々な楽しみ方を体験できる。社長の和田徹さんが抱く「クリエイティブなマインドで客と作り手が語り合いながら世界のどこにもないビールを作りたい」という思い通り、客からのフィードバックを取り入れ、試行覚悟を繰り返しながらビールの可能性を追い求め続けている。
     オープンから4か月を迎えようという8月の夕暮れ時、「ログロード代官山」の関係者が一堂に会した。代官山の魅力に引きつけられて訪れる人々に、自分たちがどう関わり、盛り上げていけるか…ビールを片手に未来を語る食卓会が幕をあける。