•  今年で歌手生活50周年を迎えた、日本を代表する歌手、加藤登紀子。東京大学在学中の22歳でデビューして以来、半世紀。数々のヒット曲を生み出し、心に残る名曲を歌いつむいできた。
     そんな加藤登紀子には、歌手のほかに、もうひとつ、長年取り組んできたライフワークがある。千葉県鴨川にある「鴨川自然王国」。およそ120アールの棚田と90アールの畑。お米はもちろん、50種類もの野菜を有機栽培で育てている。加藤は、歌手生活のかたわら、ここに通いながら、農業や田舎暮らしを経験してきた。きっかけは、今から34年前。はじめたのは、加藤の亡き夫、藤本敏夫だった。土に根差した生活がしたいと、日本でもいち早く、有機農業の普及に取り組んだのだ。今は加藤の娘家族が守り繋いでいる。そして、ここには、日本全国から多くの人たちがやってくる。
     ある週末、やってきたのは数十組の親子連れ。「土の学校」と題し、親子で「食」と「暮らし」を楽しもうというイベント。メインは、親子で楽しむ流しそうめん。そこで、はじめて出会った親子同士が、いっしょに食べることでつながっていく。それはまさに昔ながらの大家族の夏休みのような光景。加藤はこうして、この場所で、これまでたくさんの人とつながってきた。
     幼少期、加藤の実家では家族や近所の人たちがよく集まっては、いっしょに食卓を囲んだという。加藤登紀子の食卓には、今なお、たくさんの人たちが集うのだ。
    「人間は誰かに受け入れられて、いいねって言ってもらって喜ぶものだから。聞いてくれるひとがいて初めて歌う喜びがあるように、農業も種を蒔いて実った、みんなで食べて、あぁ美味しかったねって言って、そこで完結するものなの。」
     加藤登紀子がライフワークにしてきた、歌うこと。そして、食べること。
     今回は、そんな加藤登紀子の人生が詰まった、夢の食卓を紹介する。