•  日本各地の家庭の台所に上がり込み、取材して歩く、少し変わった料理研究家、濱田美里さん。彼女は、広島県の小さな島 下蒲刈島で生まれ育った。海外が大好きで、自分の目で見たいと世界中を飛び回っていた。インドの普通の人の台所を覗いた時、彼女は衝撃を受けた。ココナッツミルクで出汁を取り、カレーを作っていたのだ。
    「あれ?私は日本の伝統料理の基本を何も知らないかもしれない…」
     そう、梅干ひとつ作れない自分がいたのだ。
    「漬物も…お煮しめも…、出汁ってどうとるの?」
     帰国後、いとも簡単に作っている、おばあちゃんたちから教わりたいと思い、アポ無しで市場や道の駅を巡り、料理の上手そうなおばあさんを見つけて、そのまま台所に上がり込み、その味を学んでいった。台所の中では、おばあさんたちは自分の娘に教えるように親切に教えてくれた。自分の娘やお嫁さんも聞いてくれないのに、赤の他人が真剣に聞いてくれる…、おばあさんたちは、濱田さんに何でも教えてくれた。日本各地の台所をまわるうちに、日本の四季の豊かさや調理方法の豊かさに気付いたと、彼女は言う。
     目分量と勘で作ってきた郷土料理、家庭料理を、濱田さんは自宅に帰って何度も試作を作り、目分量をレシピにして簡単に都会の人が作れるようにするため料理教室を開いた。
     今回取材した町は、群馬県みなかみ町。道の駅で、りんご園を営む原沢昭子さんと出会い、台所に上がり込み、“寒干し大根の煮物”を学んだ。原沢さんは、長野から群馬に嫁いできたお母さんから身欠きにしんで出汁を取ることを教わり、根野菜を煮付けるときは、身欠きにしんを使う。
     濱田さんの料理教室では、毎月、ある地方を決めて生徒を募集する。5月は群馬、6月は高知。生徒さんたちは口を揃えて言う、
    「ここに来たら 日本を旅行した気分になる」
    「季節、旬を感じられる」
     日本の郷土料理、家庭料理が簡単に学べることがこの料理教室の特徴。台所にこだわり、食卓での家族の笑顔が大好きな、料理研究家 濱田美里の世界をお届けする。