•  東京から車でおよそ1時間。そこに、まるで「楽園」のような里山があった。
     千葉県市原市山(やま)小川(こがわ)。地名の通り山に囲まれ小さな川が流れるこの集落では水路が田畑を潤すと同時に動物の住処となり、人の手による植林が用材や燃料となる木を育て、落ち葉は堆肥に利用される…そんな人と自然とが共存することで成り立つ里山の暮らしが営まれている。
     「木を伐ってやるとそこから新しい芽が出る。その繰り返しで山がきれいに保たれるんだよ。」そう話すのは山小川の炭焼き名人・古関さん(73歳)。
    山小川には古関さんのように、生活の中から生まれた「名人」がたくさんいる。そんな名人たちの「知恵」を学ぼうと秋晴れのある日、山小川に東京から若者たちがやってきた。彼らはNPO法人「共存の森」のメンバーで、普段から農村・漁村に伝わる暮らしや心を学び、見つめ直す活動をしている。
     この日の目的は「山小川の宝探し」。地元の人には当たり前になっていることでも、都会の人間から見れば「宝」に思えるものを見つけて発表し、共に残していこうというのだ。早速、集落一の物知り博士・髙橋さんを案内役に山小川の散策へ。都会の若者にとっては目に映るすべてが新鮮であり興味の対象。質問したりメモをとったり、実際に体感することで集めた宝物は、夕食を兼ねた発表会でお披露目することになっている。そして、その夕食の準備もまた里山の「おふくろの味」という宝を学ぶ絶好の機会だ。地元のお母さんたちの知恵と愛情がたっぷり詰まった料理を前に、いよいよ発表会が始まる。
     ゆったりとした時間の流れる楽園のような里山で、彼らが見つけた宝物とは…?