•  舞台は群馬県北部、みなかみ町・猿ヶ京温泉。四方を山に囲まれた自然豊かなこの温泉郷で、ふるさとの自然や文化を後世に残したいと立ち上がった5人の男たちがいる。彼らは水道屋、自動車屋、民宿、高級旅館、旅籠屋の跡取り息子たち。
     猿ヶ京に生まれ育ったこの5人が始めたのは“蛍を呼び戻すプロジェクト”。その方法はホタルを養殖するわけではなく、ホタルの餌となる「カワニナ」という貝を繁殖させることだった。5年前は0匹だったホタルだが、彼らの地道な努力で昨年は50匹以上が確認されたという。
     空高く舞い上がるこの猿ヶ京のホタルを5人は「天空ボタル」と名づけ、昼夜を問わず草刈り、水質管理、子どもたちに伝えるイベントの計画など、夢中でこのプロジェクトに取り組んでいる。そんな彼らが心おきなく活動に専念できるのは、家を守ってくれる奥さんの支えがあってこそ。
     2011年7月7日。今年初めて子どもたちにホタルを見せる日を、5人は七夕のこの日に選んだ。日が暮れる前、夢の舞台であるホタルの保護地で開かれた「家族の夕食会」。ホタルの活動で普段なかなか一緒に食卓を囲めない奥さんと子どもたち、5人の家族が集まるのは実はこれが初めて。彼らはホタルを見る前にこの場所に家族を招いたのだ。
     初めて口にする奥さんへの感謝の気持ち…。初めて知る我が子のふるさとへの愛情…。5人の情熱を知る家族の飾らない会話がそこにあった。
     日没後、真っ暗闇の中、いよいよ地元の子どもを集めてホタルの鑑賞会がスタート。彼らが愛する故郷の空に、ホタルの優しい光が舞う!