•  長野を中心に7店舗を持つ「丸山珈琲」の代表、丸山健太郎46歳。毎年開催されるコーヒーの国際品評会に世界で最も多く参加している、日本人で数少ない国際審査員であり、バイヤーだ。
     丸山の店はいつもコーヒーを通じて、ちょっと贅沢な時間を過ごしている客でいっぱいだ。上質な豆の良さをそのままに味わえるのが一番の特徴。一年の三分の一をアフリカ・中南米の生産地で過ごす丸山が最高の豆を最高の状態で提供しているのだ。
     コーヒーは人の心を和ませる事が出来る。幸せな時、悲しい時、人の気持ちに寄り添うコーヒーをなるべく美味しいものにしたい。そんな丸山の記憶に残る食卓がある。生産地で淹れてくれた一杯のコーヒーとシンプルな食事。遠い日本からやってきた自分を精一杯の気持ちでもてなしてくれた、その一杯は生涯忘れられないものとなった。コーヒーの豆の味はもちろん大切、それ以上に大切なものもある事を知った。
     ある日、西麻布にある店舗で食卓会を開いた。コーヒー好きを集めて、ゆっくりとその良さを語り合う。同じポットから分かち合う同じコーヒーでも、感じ方はそれぞれ。互いの感性を認め合うその食卓には、新たな発見と人のつながりがあった。