•  岩手県の三陸沿岸を走る、三陸鉄道。
    「北リアス線」と「南リアス線」のふたつの路線を持ち、利用者は主に地域の住民。開業時から30年間、「三鉄」の愛称で親しまれながら走り続けてきた。
     この、三陸鉄道の「北リアス線」では、冬になると、日本でも珍しいイベント列車が走る。車内をのぞくと、そこには掘りごたつがズラリ12基。温かいこたつに入りながら、食卓を囲める、「こたつ列車」だ。
     参加者は、家族連れ、夫婦や友人、一人旅と様々。こたつはそれぞれ4人掛けなので、参加人数によっては「相席」になることも。こたつで顔を突き合わせ、肩や背中をくっつけて食べたり飲んだりするうちに、自然と会話が弾み、笑顔が生まれていく。
     この旅の楽しみのひとつは、列車の中で食べるお弁当。名物の“うに丼”や、“うに・あわび弁当”、“ほたて弁当”など、海の幸たっぷりのお弁当に舌鼓。
     さらに、持ってきた食べ物を“おすそわけ”したりしながら、初めて出会った人同士も、まるで古くからの友人の様になるから不思議だ。
     同時に、車窓には東日本大震災が残した大きな傷跡も映る。それらを目の当たりにして、人と人との繋がりや絆、温かさについて、ふと考えるのもきっと「こたつ列車」だからだろう。
     「震災に負けてたまるか」という地元の人々の思い、「地域のために線路をつなげたい」という三陸鉄道の思い、そして彼らを応援したいと願う参加者たち。
     様々な思いを乗せて走る、寒い冬の温かい、食卓列車の旅。