•  世界最高峰の庭と花のコンテスト、「チェルシーフラワーショー」。英国で開かれるこの権威ある大会で、3年連続で金メダルを受賞した日本人がいる―庭園デザイナー・石原和幸さん。
     彼の手にかかれば、東京の無機質なコンクリートの壁面に緑のカーテンがかかり、超高層ビルのレストランは緑に囲まれた食卓に生まれ変わる。
     「東京を花と緑でいっぱいにしたい」と話す石原さんの作品に貫かれるもの、それは彼の故郷、長崎の“里山の風景”だという。
     近くに清らかな小川が流れ、夏には山で蜜柑をほおばり、秋には父が庭に植えた栗を拾って食卓を囲んで家族で食べた…。生活そのものだった里山での記憶。彼はその原風景を庭園の中に表現しているのだ。

     さらに作品の中だけでなく、石原さんはクライアントとの打ち合わせやスタッフとの大切な話し合いの時にも“緑の中で食卓を囲む”ことを大切にしている。緑に囲まれて食事をすれば、本音で語り合えて距離が縮まるのだという。
     現在、石原さんは壮大なプロジェクトを抱えている。日本の玄関・羽田空港に巨大な里山を作るというのだ。未だかつてないこの大仕事を目前に控え、彼は自宅で夕食会を開いた。都会にあるマンションの一室。そこにあったのは、石原さんと12人のスタッフが本音を交わす、緑に囲まれた夢の食卓だった。