•  プロフェッショナルに徹する家具職人がいる。
     太田一彦(51)、名古屋に工房を構える。2005年の愛知万博の際には、天皇皇后両陛下を迎える椅子の制作を手掛けた家具作りの名人だ。彼が目指すのは、「家族をつなぐ食卓」。椅子やテーブルの居心地が良ければ、自然と家族が集まり、コミュニケーションが生まれると考える。
     そんな太田の代表作は、ダイニングテーブルセット。テーブルは大きめのサイズで、食事をするだけではなく、子供が宿題をしたり、母親がアイロンがけをしたりできる“家族の作業台”がイメージ。椅子はあぐらをかける大きさで、食卓で長話をしても疲れないように配慮した。
     太田がこのテーブルを制作したのは、一人娘が12歳のとき。デリケートな年頃で、会話がはずまないこともあったが、娘はいつも居心地の良いテーブルにやって来た。特別なことをしゃべらなくても、一緒に同じテーブルにつけばお互いの心が通い合う。太田のテーブルが家族のコミュニケーションを支えてきた。
     幼かった娘も今や東京の美大に通う、大学生。お盆休みに久々に帰省するという。
     とっておきのテーブルを囲み、親子はどんな時間を過ごすのだろうか?