•  千葉県南部を走る、いすみ鉄道。全部で14ある駅のうち有人駅は1つだけ、という小さなローカル線で、常に廃線との瀬戸際を走り続けてきた。
     そんないすみ鉄道に転機が訪れたのは、4年前。経営再建のために社長を「公募」し、大の鉄道ファンである、鳥塚亮さんが就任したのだ。鳥塚さんは鉄道好きの目線からさまざまなアイデアを打ち出し、地域の足としての鉄道に観光客を呼び込むことに成功した。
     そのアイデアのひとつが、列車の中で食卓を囲む、イベント列車の実施。特に、毎年7月から8月にかけて、週末走らせている「ビール列車」は車窓の風景を楽しみながら生ビールが飲めるとあって、ビール好きにも鉄道好きにも嬉しい企画。車両も特注で、座席は窓に沿って横一列、その前にテーブルを完備。参加者全員が向かい合って一緒に食べたり飲んだりできる、“動く宴会場”仕立て。
     まずは発車の合図代わりに乾杯。列車のガタンゴトンという揺れとリズムが心地よく響き、美味しいビールと特製弁当に、参加者はすぐに笑顔。偶然隣合わせた人と、自然に会話がはずみ、いつの間にか仲良くなる。それが、ビール列車の醍醐味。
     列車が進むにつれ、いすみ鉄道を守りたいと願う地域の人たちの奮闘も垣間見られる、そんな素敵なビール列車の旅に、さあ出かけよう。