•  今回の舞台は、東京から約1000km、五島列島の孤島・赤島。島民はわずか21人。ここには車はおろか、店も自動販売機も、水道さえもない。横断するのに10分もかからない、小さな島だ。そんなへんぴな場所だが、実は島民の半分以上は外からの移住者だと言う。東京、京都、奈良、滋賀…都会からこの地へ移り住んだ理由を追って、見えてきたのは、赤島に残る幸せな食卓だった。
     ここの島民は、みんなが漁師。それぞれが船を持ち、近海での漁で生計を立てている。獲るのは、その日必要な分だけ。毎日同じ魚が獲れても、調理方法は仲間同士で交換するため、毎日の食卓は豊かだ。
     この島で生まれ育った、自治会長の今村泰己さんは、子どもの頃、釣った小魚を持って帰ると嬉しそうに食べてくれたおばあちゃんとの思い出に目を細める。
    「愛おしいこの島を、未来へつなげたい————」
     今村さんは今も、島民たちとの食卓を大切にしている。決して贅沢ではない。何気ない暮らしの中にある、幸せ。赤島の食卓に、現在にはない豊かさがあった。