•  人口約4万人の小さな町、熊本県人吉市。ここを流れる日本三大急流の一つである、球磨川のほとりに、年間3万人もの人が全国から足を運ぶ食堂、「ひまわり亭」がある。総人口にも届きそうな来客数をほこる食堂とは、一体どんな食堂なのだろうか?今回お届けする「夢の食卓」は、そんな食堂『ひまわり亭』を切り盛りする女性オーナー本田節さんを追った。

     3人の娘の“お母さん”である本田さんは、極々普通の主婦であった。転機が訪れたのは37歳の時。癌で一年間の闘病生活をやむなくされた本田さんは、当時小学生だった娘達に「もっとたくさんのことを伝えたい」と、強く思ったと言う。そんな時、地元で、農村女性の起業家で地産地消の草分け的存在である山北幸さんと出会う。山北さんの哲学にふれ、本田さんの思いはさらに膨らんでいった。

     始まりは、地元の“お母さん”たちと協力してスタートした料理教室だった。そして、地域のためにと高齢者への宅配弁当サービスをボランティアで始めることに。皆の笑顔は、さらなる活動の場を広げる活力となり、1998年『ひまわり亭』が誕生した。地産地消を徹底し、体に良い料理を提供している。しかし、人気の秘密はそれだけではなかった…。

     本田さんの自宅で、お姑さんの一時退院を祝うパーティーが行われた。とあって、娘夫婦や孫など4世代が集まった。そして、そこには本田さんが”社会的家族”と呼んでいる『ひまわり亭』の“お母さん”たちももちろん勢揃いしていた。料理を作る“お母さん”たちの顔は、おいしいものを食べさせたい、皆を喜ばせたいという気持ちから皆、生き生きとしていた。

     幼稚園に届ける食育弁当、地元の新鮮な旬の食材で作る月替わり御膳。そこには、お母さんたちの知恵や経験や工夫がちりばめられていた。15人の“お母さん”たちが、誰かのために作る愛情こもった手料理。そこには夢の食卓が広がっていた。

     番組では、8ヶ月ぶりに来日したトロワグロ氏に密着。日本の食材を意外な組み合わせでアレンジした新作メニューの試食会の様子や、妻マリ=ピエールさんと仲睦まじくランチを楽しむシェフの横顔に迫る。さらに、東日本大震災の発生で社会的な不安が広がる中、変わらぬサービスを心がけたレストランスタッフをねぎらうトロワグロ氏の姿を追いかける。

     営業が終わった後の深夜12時。レストランの全スタッフが集まって、真夜中の食事会が行われた。スタッフは家族であると考えるトロワグロ氏は、まるで父親のような振る舞いで、みんなを和ませる。最後には、トロワグロ氏自らが音頭を取って、フランス・ブルゴーニュ地方に古くから伝わる歌「バン・ブルギニョン」を全員で大合唱。そこには、すべてを分かち合う夢のような食卓が広がっていた…。