•  今回の舞台は、まだ雪が残る北海道石狩市。
     2005年10月1日、石狩市と厚田村と浜益村との合併により、新たに生まれ変わった石狩市。合併当時、住民たちには戸惑いと期待が交錯し、それぞれが新しい「地域」の在り方に思いを馳せていた。そんな中、食を通して「地域住民のコミュニティを深めること」を目的に、地域住民8人が集まり、“地域食堂きずな”がオープン。そして今、この小さな食堂から様々な町おこしビジネスが生まれていることが、話題を呼んでいる。
     食堂の代表である立浪ゆかりさん。立浪さんは7年前、最愛の夫を亡くした後、NPOが主催するレストラン講座に通い、そこで出会った仲間と共に、翌年“地域食堂きずな”を立ち上げた。この食堂を、人々がつながる「幸せな空間」にしたい――立浪さんは食べに来てくれた客一人ひとりに声を掛ける。料理を提供するだけでなく、ここで生まれる会話を楽しみ、ひいてはお客さん同志の絆も育んでいる。ついには、ここで知り合った客同志が、商品開発を始めたという。
     また、この食堂では“作り手”にも地域のつながりを持ってもらおうと、毎日シェフを変えている。プロアマ問わず、誰もがシェフとして厨房に立つことのできる、「1dayシェフ」制度と呼ぶそうだ。その意図は、客のつながりを深めるだけでなく、料理の作り手が変わることで毎回違うメニューが楽しめ、お客さんも広がるからだ。
     “地域食堂きずな”は、お客さんも料理人も皆が同時に楽しめる食卓が、日々繰り広げられているのだった。
     広い北海道の地で、小さな食堂が育む人々の絆。やがて、そこにいる人、それを見る人、すべての人々が元気になる食卓をお送りする。