•  今回お届けする“夢の食卓”の主役は、創業寛永19年(1642年)、長崎を代表する卓袱料理の老舗「花月」を切り盛りする21代目女将、加藤公子さん。「花月」には、幕末あの坂本龍馬もよく訪れ、「竜の間」という部屋も残っているという。
     卓袱料理とは、長崎の郷土料理で、円卓を囲み、大皿に盛られた料理を各々が自由に取り分けて食べるのが基本で、1654年に中国人によってもたらされたこの円卓こそ、日本の卓袱台(ちゃぶだい)の原点とも言われている。
     日本でもいち早く異国文化を取りいれた自由な気風溢れる長崎。和洋中さまざまな料理を円卓を囲んでつつき合えば、身分の上下の隔てなく交流が生まれ、和気あいあいと食事を楽しむことができるのだとか。
     卓袱料理には今も残る伝統的な食べ方がある。それはその席の主人役、料亭であれば女将の「お鰭(ひれ)をどうぞ」という言葉を皮切りに、まずは鯛の尾鰭が一人一尾ずつ入ったお吸い物から料理がはじまる。これには「お客様一人に鯛を一匹使いました」というおもてなしの意味が込められている。「お鰭」に始まり、「梅椀」というおしるこのような椀で終わるのが、卓袱料理の流れ。
     人と人が円卓を囲み、世界の料理をつつき合う長崎の卓袱料理。この伝統の料理を守り続ける史跡料亭「花月」の女将、加藤公子さんにとっての夢の食卓とは?