•  1918年生まれ、御年93歳。家事評論家として今も活躍する吉沢久子さん。文化学院卒業後、評論家、古谷網武氏と結婚。27歳で東京大空襲を経験、30代半ばからテレビやラジオにも登場し、料理番組の司会や自ら構成作家も手掛けるなど、今で言うフードコーディネーター、料理研究家の先駆けとして食に携わってきた。『ていねいな暮らし』『生き方の知恵』『心豊かな四季ごよみ』『幸せになる長寿ごはん』『老い方上手の楽しい台所』等、上梓した書籍は40冊以上。生活、食、老後の一人暮らしを自立して生きる自身の経験を書き下ろした書籍が、今多くの人たちから注目を集めている。

     「食事は命を支えるもの」。93歳を過ぎた今も、連載や書籍の出版を続け、「長寿の秘訣は毎日の食事にあり」と、冷蔵庫の残り物で一工夫して作る簡単でおいしいご飯を楽しんだり、多くの友人たちとの“食べ友”など、食を通じた交流を持って毎日をいきいきと過ごしている。彼女の食を通じた生きる姿勢や豊かな発想が、年をとることの素晴らしさや楽しさ、食の大切さを、多くの現代人に再認識させている。

     そんな吉沢さんに“夢の食卓”について聞いてみた。「主人の家族や兄弟たちと開いていた“兄弟会”は今も忘れられない大切な思い出」と語る。「子供と大人のテーブルに分かれて、たわいもない話や冗談を交わしながら囲んだ何気ない食卓」だったが、そこには家族の強い絆があったという。

     “兄弟会”は途絶えてしまったが、今は親しい仕事仲間や甥のお嫁さんなど、年若い人たちと囲むごはんが、彼女の元気の源だという。食卓を囲んで家族や友人と語らい合うこと。特別なことは何もないが、それこそが元気で長生きする秘訣。とにかくよく笑い、よく食べる吉沢さんの一日に密着し、彼女の金言とも言える言葉を拾いつつ追いかけてみる。