旅する音楽放送日時 BSフジ
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 地中海の中でも、ひときわ美しいと賞されるコルシカ島。ここで育まれてきた貴重な音楽が、1人1人が異なるメロディを歌い分けるコルシカの伝統音楽「パギエラ」。ユネスコの無形文化遺産にも選ばれている。主旋律のセコンダと低音(ワッス)、高音(デルツァ)の3つの旋律で即興的に和音を作るが、独特の響きを持つパギエラの習得は難しく、練習が欠かせない。
 現在は当たり前のように歌や楽器で和音が構成されるが、世界の伝統音楽で、和音を持つものは多くない。コルシカ島は、伝統的に和音で歌う民謡が受け継がれてきた貴重な地域である。


 ヨーロッパで生まれた“和音”は、どのように広まったのか。
 西洋音楽の原点の一つが、西ヨーロッパで最も古い修道院・リグジェで何世紀にもわたって歌われているグレゴリオ聖歌。無伴奏で全員が同じメロディーを歌う単旋律(モノフォニー)で、いわゆる和音は存在しない。
 神の言葉を大切にし、何百年も同じ形で受け継がれてきたグレゴリオ聖歌は、人が共にいる喜びを表すため、共同体の象徴として皆で一つの声を出す。シンプルで荘厳な美しい響きを持つグレゴリオ聖歌を原点にして、どのように西洋音楽が生まれたのか?


 そしてカメラは、滅多に許可されないローマ・カトリック教会の大聖堂・ノートルダムの貴重なミサを撮影。そこで歌われている聖歌は、グレゴリオ聖歌をベースにしながらも、無伴奏、単旋律というルールにとどまらない。音節を自由に伸ばし、その上に装飾的に音を重ねた多声(ポリフォニー)が、教会内に華やかに柔らかく響き合う。
 また、このノートルダム学派の音楽が西洋音楽にもたらした大切な要素が、“リズム”。これによって音はさらに複雑になり、西洋クラシックへの道に続いていく。なぜ、ノートルダム学派は単旋律を進化させたのか、その答えは…。


 聖歌から生まれてきた和音とは別に、民衆が独自に育んできたとされる和音を持つ音楽の一つが、グルジアにある。ユネスコの無形文化遺産に選ばれたこの地のポリフォニーは、山岳民族の生活の中から生まれ、合唱の原点とも言われている。
 そして、奇蹟のポリフォニーと呼ばれる歌声がグルジアの聖歌。3世紀当時のキリスト教を信仰し続けている、グルジア正教。基本的に3声ハーモニーであり、西ヨーロッパのカトリックとは独自に和音が生まれたとされている。ヨーロッパが生んだ王道・クラシック音楽だけでは語り尽くせない、その風土に合わせて培われた民衆の音楽が、脈々と現代まで受け継がれている。


 人口わずか400人ほどの小さな村、ゼチェ・プラジニ。ここは、音楽を携えてインドから旅立ち、ヨーロッパの至る所で生活しているロマ楽士が集まった村。村のほとんどの男性が楽器を奏で、オダギリの曲のお願いに即興で応える。「私たちが演奏すると、どんな国の音楽でもロマ音楽になる」と、誇らしげでもある。
 そして、ハンガリーとの国境にあるマラムレシュ県。中世ヨーロッパの農村文化が奇跡的に残るこの地に、90歳を超えてなお現役の老ヴァイオリニストが。ロマ楽士の血を引く男性は、ロマ音楽、ハンガリー音楽のほか、かつてこの地に住んでいたユダヤ人と交流して得たクレズマー音楽など次々に披露。有史以来、世界を旅してきたロマとユダヤの音楽が、マラムレシュの音楽家の中に、今も生きている。



 キリスト教が席巻する以前のヨーロッパにおいて、独自の言葉と文化を持って暮らしていたケルト人の末裔である、アイルランド人。路上やパブで伝統音楽が奏でられ、この地ならではの音色に合わせて人々は踊りだす。特徴的なリズムやフレーズの繰り返しは、皆でダンスをして楽しむためのもの。そして“伝統”でありながら、演奏を楽しむ高校生たち。いまも新しい血が入り、音楽は決して古くなっていない。
 一方、アイルランド独特のハープのために作曲された、スローエアーと呼ばれる、ゆったりとした伝統音楽も存在する。美しい旋律に聴き入る、オダギリ。人の心に乗って、音楽は新たな土地へと旅に出る。




そのアイルランドは、19世紀半ば、大飢饉に見舞われた。大量の移民が新天地を求め、アメリカへ。
アジア、ヨーロッパで触れた音楽を携え、オダギリもアメリカを目指す。



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