第56回「月山・朝日岳」

【月山・春】
月のような曲線を描き、月のように輝く山肌。作家・森敦の芥川賞小説で知られ、古くは松尾芭蕉も登頂した霊峰・月山(標高1984m)。
山形県のほぼ真ん中、目を射るのは、圧倒的なその大きさと、広い裾野。 
今回は日本でも有数の裾野の広さを持つ月山を体感する、早春ならではの超ロングスキーツアーに挑戦!総延長はなんと35キロ!ゴールとなる奥羽の秘湯・肘折温泉目指しての2泊3日、それはまさかの天候、まさかの食事、そしてまさかの絶景の連続! この目まぐるしく変わる山中でしっかりガイドしてくれたのは、月山の先達も務める地元西川町出身の佐藤辰彦さん(62)。
 佐藤さんは2年前に公務員を定年退職、ぽっかり空いた心の隙間を埋めてくれたのは、月山の白き尾根と大切な山仲間だった…。

【朝日岳 秋】
南北60キロ、東西40キロにも及ぶ、日本海を見下ろす遥かなる山並み、それが朝日連峰。山形県と新潟県の境を成す一大山塊、東北有数の奥深さ、険しさを誇っている。最高峰は大朝日岳・標高1870m。しかしその頂も、大きな山塊を形作るほんの一部分にしか見えない。
今回、朝日連峰を案内してくれるのは遠藤博隆さん(63)。稜線の要所にある竜門山避難小屋の管理人でもある。その遠藤さんいわく、「縦走してこそ朝日連峰、長い尾根を辿ってこそ良さがわかる」と、推薦してくれたコースは、最低でも撮影に3泊4日はかかる長大な道!
朝日連峰に足を踏み入れた10月初めは、全山紅葉真っ盛り!見事な色彩に包まれた尾根道、大展望を道連れにしながらの縦走。古代に隆起した山並みはおおらかに広がり、美しい池塘や雪渓が彩りを添えてた。 しかし“朝日連峰の良さ”は目に見える景色だけではなく、心で見る景色。遠藤さんはこう言う。
「この長い長い道をゆく時、誰もが自分に語りかけながら登るはず。足元を確かめ、人生を確かめて歩くことが出来る、朝日の山々はその時間をくれるのです。」  遠藤さんもこの朝日連峰で世界の高峰への夢を育んだ一人だった…。