第8回「白馬岳・夏」

 今回は当番組でナレーションを務める小野寺昭が山行に参加。これまで54座の百名山に登頂して来た小野寺が、未だ果たせずにいた憧れの白馬岳登頂を目指す。
 北アルプス北部・後立山連峰に鎮座する俊峰、白馬岳。幅100m、長さ3.5Kmにも及ぶ白馬大雪渓を擁するこの山には、かつて広大な氷河が存在し、その氷河が岩を削り取った氷食地形の名残が見られる。そのため山稜は両側の傾斜が著しく異なる非対称稜線を為しており、その独特の山容はまさしくアルペン的と形容出来る様に、見る者の心を捉えて離さない。
 ルートは猿倉登山口から、万年雪の残る白馬大雪渓を登り詰めるルート。白馬大雪渓は日本3大雪渓のひとつに数えられ、その大きさは日本最大。夏には雪渓上に登山者の長蛇の列が見られる程の屈指の人気ルートである。
 年中雪をたたえるこの山には、雪解けの春、その山肌に雪形という模様が見られる。白馬岳は代表的な「代掻き馬」など、多くの雪形を擁する。この「代掻き馬」の雪形は、毎年代掻きの季節に見られ、この雪形が山に現れると麓の農村では代掻きを始めたと言われている。この「代掻き馬」が転じて、「白馬」という現在の呼称に繋がっている。
 また雪渓の上部には夏、様々な高山植物の群落である「お花畑」が見られる。白馬岳にしか生息しない固有種や希少種も多く、またその規模も大きい事から「白馬連山高山植物帯」として特別天然記念物に指定されている。高山植物の宝庫である白馬岳はこの時期、まさしく百花繚乱の様相を呈する。
 そんな絶景に導いてくれるのは、麓の小谷村でペンションを営む清貞雄さん。星の魅力に取りつかれ、美しい星空を求めてこの地に移り住んだ清さん。そんな清さんの40年近い山への思いを語って頂く。そしてもう一人、ライチョウ研究の第一人者である肴倉孝明さんにも同行頂き、天然記念物・ライチョウとの出会いを求めて山行する。