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2018年10月23日(火)
トランプ流で赤字拡大 日米通商交渉の行方は

ゲスト

黒井文太郎
軍事ジャーナリスト(前半)
前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部教授
津上俊哉
日本国際問題研究所客員研究員(後半)
木内登英
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト(後半)


前編

サウジ人記者死亡の真相 トルコ大統領『計画的な殺人』
竹内キャスター
「アメリカのトランプ政権は、貿易赤字削減を重視し、中国との関係は貿易戦争とまで言われる状況に至っています。一方、トランプ政権下では財政収支も悪化し、財政赤字と貿易赤字の両方を抱える状態、いわゆる双子の赤字が問題視されています。アメリカの双子の赤字と、世界経済や日本経済に与える影響について今日は徹底検証していきます。その前に、松山さん…」
松山キャスター
「サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ記者がトルコの総領事館で死亡した事件で、つい先ほど、トルコのエルドアン大統領が声明を発表しました。事件は、口論の末の偶発的なものだったのか、あるいは皇太子をはじめ、サウジ政府の関与があったのかどうか、その真相についてエルドアン大統領が何を語ったかについてじっくりと議論していきたいと思います。あらためて今回の事件について振り返っておきたいと思うのですけれども、その経緯はこちらのようになっています。黒井さん、まずこれまでの経緯から、今回、エルドアン大統領、トルコの大統領がこの事件について経緯を説明するという、かなり異例のことだと思うのですけれども、これをどう受け止めますか?」
黒井氏
「いろいろな情報がトルコ当局からトルコのメディアにリークされる形で流れていて、ある程度の大筋というのは報道されていたのですけれども、トルコ当局が正式に認めるということはこれまでなかったんですね。国際的な世界的な注目を集めているので、ここで1つ、自分達の主張をトップが言うという形で発表しようということですね」
松山キャラクター
「その発表された内容をここで見ていきたいと思うのですけれども。サウジ記者カショギ氏の死亡は『計画的な殺人だった』ということで『明確な証拠がある』ということも言っています。一方、事件前日にサウジアラビアから3人の人物がイスタンブール入りし、近郊の森を視察していたと。いわゆる遺体を隠した場所ではないのかと言われるその森を視察していたという情報があるということですね。もう1つは、カショギ氏の遺体はまだ見つかっていないということと、トルコ政府としては責任を持って捜査をし、あらゆる方法で真相を明らかにするということなのですけれども。かなり世界的にも注目されていた今回のエルドアン大統領の声明発表ですけれども、この内容を見て、事件の核心に迫るような情報があったかどうか、このあたりは黒井さんいかがですか?」
黒井氏
「この中で言うと『計画的な殺人だった』『明確な証拠がある』というのが、1番注目されるところですね。サウジ側はそうではない、これは偶発的な事件…アクシデントだったという言い方で逃げようとしているのですけれども、そうではないということを言っているのですが。ただ、エルドアンさん、予告していまして、今日の演説で全て明らかにすると言っているのですけれども、実際、何も言っていないに等しいことなんですよ。どうしてこういうことが言えるかという明確な証拠があると言っているのですが、明確な証拠を示していないです。いくつか森を見たとか、防犯カメラを撤去していたとか、そういう言い方はしているのですけれども、その証拠となる情報というのは提示されていないということが1つで、ちょっと肩すかしと言いますか。と言うのは、これまで報道されているように録音テープとか、現場の明確な証拠があるという情報が非公式に流されていたわけです。それはもう完全に中の、内部の音声を録っている音声データ、もしくはビデオ映像があれば、もう決定的な証拠。これが全部いろいろなこれまで疑惑だったものが解明できるカギなのですけれども、一切触れないということですね」
松山キャスター
「エルドアン大統領が確たる証拠について今回明らかにしなかったのは、意図的に明らかにしていないのか、外交的配慮みたいなものから明らかにしていないのか、あるいは本当に証拠をつかんでいないのかどうか、このあたりはどう見ますか?」
黒井氏
「うーん、これは想像するしかないので、何とも言えないですよね。だから、3つの可能性があって、証拠はあるのだけれども、政治的な影響を考えて言わなかった。もしくは、もう1つは、証拠はあるのですけれども、それを開示しちゃうと、トルコはMITという情報機関があるのですが、そのインテリジェンス活動がばれてしまうというところ、そこを考えた可能性はあります、可能性は。もう1つは、最初からなかったという可能性もあるので、ちょっとこれは現時点で。エルドアン大統領の性格から言うと割とはっきりものを言う人なのですけれども、ここで情報を出さなかったということは、ちょっとこの真意と言いますか、これはもう推測のしようがないということですね」
松山キャスター
「アメリカでは、既に録音情報をCIA(中央情報局)が把握しているという報道もありますけれども。前嶋さん、このあたりも確証というのはなかなか持てない、判別が難しいところなのですか?」
前嶋教授
「うん、難しいんだと思うんですよね。一方で、アメリカが持っている情報と、トルコ側が持っている情報と、たぶんどこかで擦り合わせをしたいのだけれど、トルコ側、トルコとアメリカの関係は近年すごく悪いですよね、現在、要するに、経済制裁であって、それでその状況にあると、アメリカから。ようやくこの間、牧師を…、アメリカ人の牧師を開放して、トルコとアメリカの関係が良くなってくるかなという段階ですけれど、現在の形で、トルコ側とアメリカが情報共有、捜査に対してどこまでできるかというのはなかなか難しいところですよね」
黒井氏
「今日、ハスペルCIA長官が急遽トルコに入ったんですね。要するに、アメリカ情報当局も持っていないということではないかなと思うんですね」
松山キャスター
「現地で情報を集めるしかないということで入ったということですか?」
黒井氏
「うん…」
前嶋教授
「これまでだったらツーカーの形で情報がきたのだけれども、現在なかなか…」
松山キャスター
「関係が悪化しているからと…」
前嶋教授
「はい」


後編

検証! 米『双子の赤字』 レーガン政権時代は
竹内キャスター
「棒グラフがアメリカの財政収支の推移です。1990年代後半から2000年代初頭の一時期、このあたりを除いては常に赤字の状態ですが、リーマン・ショック後の2009年には大きく赤字が膨らみ、以後改善に向かいましたが、2015年を境に財政赤字は拡大の一途をたどっています。折れ線グラフの貿易収支は1990年代以降、赤字拡大が進みまして、2009年に大きく改善しています。それ以降は再び赤字が拡大しています。まず木内さん、1980年代のレーガン政権の時に現在と同じように双子の赤字が問題になったということなのですが、赤字額を見てみますと、現在に比べると小さい規模ですが、この時はどんな問題があったのでしょうか?」
木内氏
「このグラフで見ると、貿易収支も財政収支も現在と比べると、小さいように見えますけれども、経済規模で比較しなくてはいけなくて、GDP(国内総生産)比などで見ますと現在と同じぐらい、財政赤字が膨らんでいて、貿易赤字というか、経常赤字ですね、経常赤字が膨らんでいたということです。財政赤字の拡大、貿易赤字の拡大、それぞれが問題があるわけですね。財政赤字が拡大しますと、たとえば、金利が上がりやすくなって経済にマイナスであると、貿易赤字が拡大すると、たとえば、ドルに対する信頼感が落ちてくるとか、他の国と貿易問題が過激になってくるのがあるのですが、両方を結びつけて、双子の赤字と言った場合は、ドルの信認というところが1番重要ですね。その結果、海外からお金をドルに、アメリカに入ってこなくなるとアメリカの株が下がったりとか、金利が上がったりということで、日本というよりはグローバルな金融情勢を非常に悪くすると。1980年代で言うと、その結果としてドルが暴落するのではないかと、そういうことが心配されていたということです」
松山キャスター
「レーガン政権当時の双子の赤字、すごく私も小さい頃、テレビを観ていて『双子の赤字』というワードを何度も聞いた覚えがあるのですけれど。あの当時そうやって大きい問題になった理由、1番大きい部分というのはどのあたりにあるのですか?」
木内氏
「現在のトランプ政権と似ているのですけれども、まず軍事費などの歳出を拡大する、大型の減税をする、財政赤字が拡大する。実はそれに結びついているのが貿易赤字の拡大だったり、経常赤字の拡大ですね。つまり、国内であまり供給力がない時に、政府部門が需要をつくってしまいますと、必要な部分は輸入として入ってくるわけです。ところが、これも現在と同じでして、貿易赤字が拡大しているのは、そうした国内の政策が悪いのではなくて、相手国が悪いんだということで、相手国を叩く、貿易摩擦問題が過激になっていく。これはレーガンの第1期と似た構図になっています。ただ、そこで、1987年のブラックマンデーと、株の大幅な下落があって、アメリカの国内でも財政赤字の拡大というのは問題なのだと。その結果として、金利が上がりますと、アメリカの国民にもマイナスだし、株が下がると資産も落ちてしまうということで。そこをもう一度考え直して、レーガンの第2期には財政の健全化に向かっていったということで。ブラックマンデー、株の下落が一種、市場の警鐘となる形で一応、政策が修正されていったというのがレーガンの時ですね。果たしてトランプ政権で同じようなことが起こるだろうかというと、現在見ている限りでは、最近でも株が大きく下がったりしていますけれども、これは国内の政策が悪いわけではなくて、FRB(連邦準備制度)が悪いのだとか、相手国が不公正なことをやっているから貿易赤字が拡大したのだと。本当は国内の政策が問題で貿易赤字が拡大している面があるわけですけれども、そういう市場の警鐘を一切聞かないというのが、たぶんトランプ政権なので。そうすると、レーガンの時のような、株の下落が一種、良いメッセージになって、雨降って地固まるではありませんけれども結果的に良い政策、良い方向の政策に向かうというのがなかなか期待できないのが、たぶんトランプ政権だというふうには思います」
松山キャスター
「トランプ大統領は、就任前から理想の大統領としてレーガン大統領の名前をよく挙げることがあるのですけれども、レーガン大統領が行った、いわゆる小さな政府を目指す政策、共和党の典型的な政策ですけれども、そういったものとか、あるいは大きな減税策を持ち出すと。こういったあたりはなんとなく真似ている部分もあるのかなという気はするのですけれども、この類似性についてはどういうふうに?」
前嶋教授
「真似ていると思いますね。それがどこまで意識的かわかりませんけれども、メイク・アメリカ・グレイト・アゲインという、それは何をもってグレイトなのか、レーガン時代に戻ることではないかなというふうに、そんなふうに何となく見えるんですよね。力による平和、減税、人々がパワーを持ったみたいなイメージ。ただ実際のところ、レーガン政権、現在まさに人々は割れているわけですけれども、レーガン政権の時も実は支持率を見ると、レーガンさんの支持率を見ると決して良くないですよね。直近のその1年半ぐらい、最初の、トランプさんとほとんど変わらないです」
松山キャスター
「あぁ、そうなのですね」
前嶋教授
「そうですね。だから、そう考えてみると、実は本当に第2のレーガンを目指して、第2のレーガンを体現しているのかもしれませんよね」
松山キャスター
「レーガン政権との比較で言うと、津上さんはまさに通産省出身で、いろいろな日米貿易摩擦とか、これまでの経緯をいろいろ経験されていると思うのですけれど、レーガン時代のアメリカとトランプ時代のアメリカ、類似点と違う点はどのあたりにあると考えますか?」
津上氏
「レーガン時代ですね、記憶に残るのは、安全保障に絡んだ通商摩擦というのがいろいろあって。東芝機械事件とか、FSXとか、個人的に酷い目にあったことがいろいろあったのですが、そういう安全保障絡み。それから、もう1つ、あの頃、日本では良くて安いものをつくって売って何が悪いという議論を随分、皆、していたんです。ただ今日思い返してみると、あの頃の日本はちょっとナイーブ過ぎたかなという感じがするんですね。その気持ちは、実はちょっと話がズレますけれども、現在の中国を見ていて、40年前の日本はこんなふうに見えたのかしらというふうに思う部分があります。なんとなく局部しか見ていなくて、なんとなく全体としてナイーブで、みたいな、そういうところが何かまま見受けられるところがあって。あなた、まだ未熟ですね、というふうに見えるのですが。40年前は自分達もそうだったのではないかという気もしますね」
松山キャスター
「まさに貿易相手国、当時1980年代は1番の強豪だと思われていた日本に対してすごいバッシングをしてきたと思うのですけれども。現在、中国の台頭というのがあって、アメリカが中国にフォーカスを当ててきているということですけれども、中国は日本とは違ってアメリカの同盟国ではないですよね」
津上氏
「ええ」
松山キャスター
「そういう意味では、安全保障面での違いというのはあると思うのですけれども。その分、中国に対しては本当に仮想敵と言ってはアレですけれど、かなり競合相手としては本腰でぶつかろうとしている雰囲気というのは感じますか?」
津上氏
「現在はそうですね。何か本当に一色になっちゃったという感じですね。本当に中国に対してタフに当たれというところは、ほとんど、いや、それはちょっとまずいのではないかと言う人はもう誰もいなくなっちゃったという感じですよね。中は、たぶんいろいろな分かれ方をしているのですが、とにかく中国には厳しく当たれというところだけは、皆こうやって賛成と手を上げるという、そういう感じですよね」
松山キャスター
「それはアメリカのいろいろな…、一斉に中国に対して…」
津上氏
「ええ。国防関係の人とか、通商の専門家とか、ビジネス関係者とか、皆、そこのところで一致しているという感じがするんですよね」

財政赤字の原因は
竹内キャスター
「今月15日にアメリカ財務省が2018会計年度、すなわち昨年10月から今年9月までの財政収支を発表しました。これによると、赤字額は7790億ドル、およそ87兆円で、前年比で17%増えています。財政赤字額、アメリカ議会予算局の試算では、2019年度が9800億ドル、さらに2020年度には1兆80億ドルにまで拡大する、と予測されています。アメリカの財政赤字が拡大している原因と言われるのがこちらです。大型減税と歳出拡大ですが、前嶋さん、トランプ大統領が大型減税を行った背景は何でしょうか?」
前嶋教授
「これはもう選挙の公約ですよね。ずっとアメリカの共和党側の見方と言うと、減税をすれば景気が良くなると、これに限る、これにもう尽きるわけですよねということだと思います。それで実際問題、またレーガンですけれども、レーガン政権以降初めての大型減税となって、アメリカの企業の人達は結構喜んでいると。法人税の方が結構大きく、個人の所得税の方はちょっと限られているので、不十分だという議論はまだあるんですね、共和党側の方としては」
松山キャスター
「10年間でおよそ170兆円みたいな減税ですけれども。ここまでやるとさすがに財政に影響が出てくるということは当然わかるわけで、そうした議論というのは、アメリカ国民の間で本当に行われているかどうか、そのあたり実感としていかがですか?」
前嶋教授
「まだ、一言で言うと、まだ。ただ、今後どうなってくるのかがわからない。要するに、アメリカGDPの伸びがトランプ政権になって最初の四半期が確か3%を超えた時があって、4%を今年も超えたことがある、4-6月があったと思うのですが。あの伸びが続いていけば、もしかしたらこの減税でも大丈夫だという議論がありますね。ただ、これもどこまで景気が大きくなるかというところに尽きるのだと思うんですよね。減税をして、効果はこれから。ただ現在は嬉しいというのが、現在のアメリカの状況でしょうね」
松山キャスター
「木内さん、これをどう見ていますか?」
木内氏
「もともと法人税率が世界の基準と比べて高かったですね、4割程度。その結果としてアメリカの企業が外に出ていっているのではないかと、そこが出発点にあって、法人税率を下げることによってアメリカの企業がアメリカにくる、あるいは海外の企業がアメリカでモノをつくると、雇用が増えてと、こういうことを言ったわけです。なので、一応、法人減税が柱だったということです。実際の効果としては、たぶん年初はあまり出なかったということです。最初は法人減税で出た余裕を、企業が自社株買いをしていたというふうに言われています。ただ、第2四半期ぐらいから、だんだんと出てきて、投資には少し向かってきているということなのですが、それでも個人にあまり向かっていない、所得減税をしても、ということなので、現在トランプ大統領が中間選挙対策でもあるのですけれど、中間層向けに再び10%の減税をするということを一応言っているということなので。企業の投資は増えたのですけれども、消費には十分ではないというのが、たぶん現在の政権の評価だと。ただ、一方で、財政赤字は確かに年初からすごく拡大しているのですけれども、これは、レーガンの時と同じように、減税をすることによって景気が良くなって税収が上がるのだと、レーガンの時はそうはならなかったわけですけれども。だから、そんなに大きな問題ではないのだということですね。ところが、問題の1つとして、金利が上がってきているわけですね。特にこう短いところの金利が結構、年初から上がってきていまして、それが少し長めの金利にも波及する。個人にとっては長い金利が、たとえば、住宅ローンとか、自動車ローンに関係してくるので。そういう長期金利が上がり始めるというサインが現在ちょっと出てきていますね。まだそんなに大きくはないのですが、これがもっと上がってくると、財政赤字が悪いんだと。その結果、住宅ローンの金利が上がるとか、自動車を買うのが難しくなるとか、金利が上がることによって株が下がる、個人が持っている資産がすごく下がるとか、これはブラックマンデーの時と同じですけれど。つまり、金融市場が悪い反応をすると財政赤字の拡大の痛みというのを個人も感じることができるのだと思いますが、現在まだそこまでいっていないということだと思います」

財政赤字の行方&影響
松山キャスター
「金利が上がっていく危険性があるにもかかわらず、大幅な法人税減税をやって、さらにトランプ大統領が今週になって中間層への、先ほど話されたように中間層への大幅減税というのをまた考えているということを発表した。さらなる減税となってくると、ますます財政事情を圧迫することになると思うのですけれど、それでもトランプ大統領がやろうとしている。これは中間選挙とか、そういうことを睨んでということなのですか?」
木内氏
「目先は中間選挙ですし、この減税、歳出拡大で一時的に財政が悪化しても結局、成長率が高くなれば税収が増え、赤字はまた小さくなるのだということを一応信じているということなのだと思います」
松山キャスター
「そうした中でトランプ大統領は歳出の引き上げ法というのを設定したわけですけれども。これが対象は『裁量的経費』と言われるもので、国防費や公共事業費、教育予算などということで。こうした歳出の上限を引き上げて、2018年度の会計年度では1430億ドルの増、2019年の会計年度では1530億ドル増ということで。これまでキャップをはめていた歳出、抑制するためのキャップをある程度とっぱらって、それもある程度、国防とか、公共事業についてはドンドン、お金をじゃんじゃん出していこうという方針に変えていると。これが2月9日に成立をしたわけですけれども。こうなってくると、何か財政規律という概念そのものがなくなってきちゃうのではないかという気もするのですが、これについてはどうですか?」
津上氏
「いや、税収が増えるから大丈夫なのだと、ラッファーカーブとか昔聞きましたけれど。あれは、要するに、とんでも、だったよなという記憶で覚えているものですから。この調子でいくとどこかで、先ほどお話に出た金利に何か禍々しいものが現れてという、また、同じことを繰り返すことになるような気がします」
前嶋教授
「一方で、この歳出引き上げのこの時の議論、…議論というのが、確かにお金が増えるのは問題です。だから、要するに、安全保障とか。公共事業費ですが、たとえば、災害、ハリケーンの対策、そういうふうにしているんです。その議論をすることによって、これを通させたところがあって。だから、『裁量的経費』にとどまっているわけです。でも、裁量部分が大きいので、お二人がおっしゃる通りに、昔に学んでないところは大きいと思うんですよね」

日本・世界経済への影響
竹内キャスター
「今年2月6日にアメリカ商務省の発表によりますと、アメリカのモノの貿易赤字の総額は7962億ドルで、国別に見ますと、最も多いのが中国で3752億ドル、次いでメキシコが711億ドル、3番目に688億ドルの日本という順になっているのですが。前嶋さん、トランプ大統領は、貿易赤字の解消を重視していますが、その大きな要因は何なのでしょうか?」
前嶋教授
「トランプさんにとってみれば、これまでのアメリカというのは間違っていたという話ですよね。それは何かと言うと、要するに、アメリカがしっかりしなかったから、他の国がもっともっとアメリカ側にモノを売りつけてくるのだ。アメリカがずっと貿易赤字になってしまったのだと。昔の重商主義みたいな話ですけれども。要するに、アメリカが貿易赤字ということは、アメリカがそれだけ弱くなったのだということですよね。それを選挙戦からずっと言っていて、そのターゲットになっているのが、中国・メキシコ、我が日本ということですよね」
松山キャスター
「木内さんはこの貿易摩擦、貿易ということで、中国やメキシコをターゲットにしてきている、アメリカの思惑、どういうふうに見ていますか?」
木内氏
「トランプ大統領は、貿易赤字は、普通はディフィシットと言いますけれども、トランプさんはロスと言うんですね。ですから、これは損失だと、アメリカが負けているのだと。赤字ということはアメリカが負けていて、アメリカが損して、アメリカのGDPがその分下がっているという、これはかなり単純な考え方で。もともとこの自由貿易というのは、いろいろな国の間では、貿易不均衡が生まれるのが、むしろ皆、全ての国にとって良いのだ、というのが自由貿易の考え方なのですが、そういう考え方をまずしていないということですね。アメリカの貿易赤字はアメリカのGDPを下げている、中国に対して貿易赤字が大きければ、中国は非常に得していて、アメリカは損していると、こういう単純な考え方をしています。これは実は大統領補佐官のナバロ氏という、ピーター・ナバロ…」
松山キャスター
「ピーター・ナバロさん」
木内氏
「その人の考えをかなり影響を受けているんですよね。自由貿易という考え方を否定していると。ですから、それに沿って、貿易交渉をしていますので、貿易赤字の大きい国から叩いていくということですし、1国…、他の国との間で、たとえば、貿易収支の1番不均衡が大きい産業から叩いていく。たとえば、日本だと自動車ということになりますね。これは、本当はおかしいのですけれども、そういうやり方をしていると。本当の貿易赤字の裏側には、先ほども言いましたけれども、アメリカで需要が強すぎる、政府がある意味、不要な需要をつくっているということが背景にあるという、ISバランスと言いますけれども、普通の人は、普通のエコノミストとかが考える、そういう考え方をしなくて、財政赤字と貿易赤字はまったく別で、貿易赤字は国内の政策の問題で生まれているのではなく、貿易相手国が不公正な貿易をし、不当に通貨を切り下げているからだということで、そこを叩くと、非常に単純な考え方で進んでしまっていると。それを、ある意味、止める人がいないという状況だと思います」
松山キャスター
「津上さんはこの貿易ということをターゲットにしてトランプ大統領が行っている政策、これをどう見ていますか?」
津上氏
「先ほど、対中強硬ということで全員一致という話がありましたが、中を子細に見ていくと、各論になると、全然違う意見がバラバラになっているんだと思うんですね。たとえば、通商の専門家は、中国の貿易歪曲的な産業政策だとか、知財の盗窃とか、こういうのは、やめさせないといけないと。やめたら、それでいいのですかと言うと、本当にやめればね、みたいな感じだと思うんです。ところが、ナバロさんとか、ホワイトハウスで通商を牛耳っている人達は、そうではないのだと思うんですね。とにかく貿易が、赤字を生むこと自体が悪だと。グローバリゼーションが進み過ぎたから、グローバリゼーションの時計の針をもういっぺん元に戻さないといけないとどうも信じているようで、現在の対中貿易制裁というのも、何か脅しをかけて、悪うござんしたと言うので、行いをあらためさせるための武器なのかと言うと、いや、そうではなく、できればこれを恒久化したいのだと。恒久化すると何がいいかと言うと、深くなり過ぎた米中の経済関係を、こうやって切っていくのだと」
松山キャスター
「切っていきたいという意図があるということですか?」
津上氏
「そう。それで針が戻ってくる、そうすると工場や仕事が戻ってくると。本当にそういうふうに考えている節があって、最近だとデカップリングという言葉をよく聞くんですよね。デカップリングは、要するに、米中の関係を…」
松山キャスター
「関係を敢えて引き離すと」
津上氏
「…ということだと言うんですね。そんなことしたってアメリカに工場が戻ってくるのかと言うと、いや、ベトナムとか、そっちへ行くだけではないかと思うのですが。あの人達はそれを見ると、今度、それは迂回輸出ですと、ベトナムに恨みはないけれども、同じ対中制裁の仕組みを使って、ベトナムからくるヤツにも課税します、と言いかねないところがあって。それをやりだすと本当にビジネスは逃げ場がなくなるので、大変なことになるだろうと思うのですが、そういうことを考えている人達もいるということだから。中国が1番現在困るのは、何をすればいいのですかということを尋ねた時、これをすればOKだということを誰も言ってくれない。それは、お前なんかに教えてやんないよ、ということではなく、アメリカの国内でそれについて何をすればいいかということについて全然意見の一致がないと、大統領も何を考えているのかよくわからないと、何をすればいいかわからないのでは交渉できませんという…」

『米中貿易戦争』の影響&行方
松山キャスター
「実際にアメリカが中国に対して、どういう行動をとっているかというのをもう1回、振り返っておきたいと思うのですけれども」
竹内キャスター
「報復の経緯をあらためて見ていきますと、第1弾は7月6日でした。アメリカは、中国から輸入される産業機械や電子部品などに関税を25%上乗せする340億ドル規模の追加関税措置を発表すると、中国は農産品や自動車などに同規模の報復関税を発動しました。第2弾は8月23日、アメリカが半導体や化学品などに25%上乗せする160億ドル規模の追加関税措置を発動、中国も自動車関連や鉄鋼製品などに同じく25%上乗せする160億ドル規模の報復関税を発動します。第3弾が9月24日、アメリカは、食料品や家電などに上乗せ率が10%ながら2000億ドル規模の関税措置を発動。一方、中国は液化天然ガスや中型航空機などに5%から25%の関税を上乗せする600億ドル規模の関税措置を発動しました。前嶋さん、アメリカ国民は、この貿易戦争に関してどのような見方を持っているのでしょうか?」
前嶋教授
「国が割れているというか、先ほど、津上さんのお話の中で、回答はなかなかないのかもしれませんが、意外と共和党支持者、トランプさんの応援団というか、その人達にとってみれば、いや、これまでが公正でなくて、相互的ではなかったんだ。公正で相互的なことをやるために是正しないといけないのだと、トランプさんの言葉をそのまま借りて言っている人が意外と多いですよね。それでもちろん、国内で痛んでいる産業は、これであるわけです。たとえば、大豆、私が見聞きした中でロブスターというのは…」
松山キャスター
「アメリカンロブスターとか、ありますよね?」
前嶋教授
「そうですね。それがちょっと上のカナダから来れば、まったくとられちゃうわけですね。カナダの方は中国からの報復関税を受けていないですから。ということで、まったく本当に大変になっちゃっているのですけれども、そこらへん、特に大豆あたりは補助金を出して。要するに、一過性のことで現在、戦って何とか是正しているからという理論をトランプ政権がして。意外と支持者の方も、というか農家の方に支持者も多いわけですが、いや、大変だけど、良いことをしているのだという議論をする人も多いですね。ただ、まったく違って、これこそ、要するに、貿易戦争に勝者はない、いわゆる例の格言通りに言っている方も多くて、なかなか微妙なところですね。ただ、政権の中は先ほど、津上さんがおっしゃったような形で、正しいんだと、ナバロさんだけではなく、ロス商務長官とか、ムニューシンさんとか、あとアドバイザーのクドローさんあたりも前に言っていたことと違うのではないかと思うのですが、だいぶこれを応援している感じですよね。グローバルサプライチェーンももう切っていくような感じかもしれません、下手すると」
松山キャスター
「ただ、実際のところは、この一連の関税措置が効果を上げているのかどうかというところを見ると、意外とアメリカと中国との貿易を見ると、まだそんなに、アメリカから中国への輸出は減っているけれども、中国からアメリカへの輸出はまったく減ってないという状況があるということなのですけれども」
竹内キャスター
「詳しく見ていきます。12日に中国の税関総署の発表によりますと9月分なのですが、アメリカから中国への輸出は125億ドルで、前の年の同じ月と比べて1%減っています。一方、中国からアメリカへは466億ドルで、前の年の同じ月と比べまして14%増えているということです。中国の対米貿易収支は341億ドルの黒字で、前の年の同じ月と比べて21%増えているという状況ですよね」
松山キャスター
「木内さん、これを見て、トランプ大統領の思惑とはまったく裏腹に、結局は中国もそんなに輸出を減らしていないという状況ですが、これをどう見ますか?」
木内氏
「もちろん、ひと月だけの数字なので何とも言えないところがありますが、ここにはちょっと駆け込みが入っていますね、関税引き上げの前に駆け込みで輸出しようと。でも、それをたぶん除いても、つまり、アメリカの景気の方が比較的強い、中国の景気は減速しているということですから、どうしてもアメリカの貿易赤字が拡大するということになってしまうということです。ここにまた財政を拡張すればますます貿易赤字が増えてしまうということなので。実はアメリカ国内の政策が問題で、貿易赤字が増えている面があると思うのですが、そういう考え方をしませんので、引き続き中国の貿易慣行が悪いとか、通貨切り下げの影響が出ているとかと、そういうことを言うのだろうと思います。ただ、ここにきて少し状況が違ったのは、2000憶ドルの関税ですよね…」
松山キャスター
「大規模ですよね、第3弾…」
木内氏
「そこまでは、アメリカの国内の消費者にあまり影響がないように、中国からの輸入品というのはほとんど消費財が中心なのですけれども、実際の関税対象は、消費財は1%ぐらいまでで抑えていたんですね。ところが、2000億ドルとなりますと全体が5400憶ドルですから、そうすると、消費財を取り出すことはできなくなるということで10%ですね。ですから、これからアメリカの消費者は、中国からの輸入品、たとえば、衣料品とか、おもちゃとか、携帯の値段が上がってきて、少しこれは問題かなというのが出てくる可能性がありますし、さらに2000憶ドルについても、年明け、一応、25%に上がるという方向ですので、これからそういう影響が出てくる可能性があると思います。それをきっかけにアメリカの政策が変わるかと言うと、先ほどのお話になりますが、経済的なデメリットはあっても、むしろここで中国に厳しくあたって、ある意味、最終的には安全保障の問題が絡んでいるので、中国に軍事的な優位を与えないようにするためには経済的に叩いておくのがいいのだと、そちらを主張しているグループの人の方が、ピーター・ナバロさんもそうですけれども、非常に声が強いので。なかなか経済的なデメリットが多少意識されたからといって、すぐ現在の貿易戦争を終息しようということにはたぶんならないと思うんです」
松山キャスター
「アメリカの財務省が為替報告書というのを今月17日に発表したのですけれども。その中で中国を為替操作国に認定するという話が、トランプ大統領は選挙中に、こういうことを言っていたのですけれども、実際に認定するかどうかということが争点になっていましたが、実際の認定はひとまず見送ったということなのですけれども。ただ、為替操作の監視リストは継続指定ということで、その不指定先の国について、中国と日本、韓国、ドイツ、インド、スイス、こういった国が引き続き継続して監視すべきだという国に挙げられたということですね。実際に貿易協定で言うと、新しいNAFTA(北米自由貿易協定)の中でも為替条項というのが盛り込まれたり、そういった、今後、日本に対しても為替操作ということでかなり強く言ってくる可能性があるという懸念がありますけれども、津上さん、このあたりどう見ていますか?」
津上氏
「これは私の専門ではないのですけれども、アメリカもQEをやった、日本も黒田日銀の緩和をやっていたと、ベクトルが同じ時期は、まあ、いいかということだったのだけれども、現在は逆になっていますよね。アメリカはもう手仕舞いが始まっていて、日本はまだやっているんだということになると、目が厳しくなるというのはあるのだろうと思います。中国との関係では、確かにトランプさんは公約では言っていたのだけれども、選挙中に、大統領に就任直前から実はそうではないということを匂わせる発言をしていたんですよね」
松山キャスター
「修正していましたね」
津上氏
「ええ。だから、本当は現在、人為的に人民元を安くしているという実態はないということはわかってはいるのだと思いますが、ただ、レトリックとしてプレッシャーをかけるために時々、為替操作、マニュピレーションということを言ってみるという、そういう感じなのだと思いますね」
松山キャスター
「木内さん、この為替操作に対するアメリカの姿勢、どう見ていますか?」
木内氏
「アメリカの貿易赤字の1つの原因は貿易相手国が不当に通貨を切り下げているからというふうにまず考えているわけです。その警戒する国の中に日本も入っているということだと思います。今月発表された監査報告書ではこういう結果なのですけれども、実は4月に発表された、これは年に2回出ていますので、4月に発表された時には日本の円はすごく安いということが書かれています。要は、インフレ率等を調整した実質というものがあるんですね。実質指数で見ますと、過去の平均よりも25%ぐらい安いですと。しかも、円安になったタイミングは2013年の上期からと書いてあるんですね。これは、つまり、量的・質的金融緩和を始めた時なので、ですから、本音で言うと金融政策と言いながら為替政策をしているのだということをたぶん財務省、アメリカ政府は考えているということだと思います。ですので、先日ですが、ムニューシン財務長官の、年明けから始まる日米の貿易交渉、最終的に貿易協定を結んだ場合には、その中に為替条項を盛り込みたいということを言っているということですから、おそらく日米の貿易交渉というのは、単純な貿易問題だけではなく、通貨問題が絡んでくるということですし、貿易交渉が行き詰まると、日本に対して、お前は通貨安政策をしているのだ、けしからんということをたぶん言ってくると。為替条項が最終的に入るかどうかはまだわかりませんけれど、少なくとも議論の俎上に通貨問題がのぼってくると、これは日本にとって、たぶんそれをきっかけに円高が進むとか、大きなリスクではないかなと思いますね」

TAG交渉の行方
松山キャスター
「まさに日本に対してアメリカがどういう態度をとってくるかという点で、1つ、日米間の間で合意がなされましたので、そこを見ていきたいと思うのですが…」
竹内キャスター
「アメリカの貿易赤字は3番目に日本が多いとされていますが、そのTAG、物品貿易協定に関する協議が来年1月にも開始される見通しとなっています。前嶋さん、アメリカ側は何にポイントを置いて交渉してくると思われますか?」
前嶋教授
「現在のお話の中の為替も、これも出してくるかもしれませんね。もしかして為替はレトリックで、自動車と農業という例の話、牛肉の話、自動車の話、ここを攻めてくるのではないですかね。特に日本は、自動車の方はアメリカに対してとても、メインの輸出品ですから、ここは弱いのはよくわかっているわけですね。だから、たとえば、農業と自動車で妥協させるための為替のレトリック、こんな感じではないですかね」
松山キャスター
「自動車については、TAGという交渉を始めるということで、いったんアメリカのトランプ大統領が主張していた輸入自動車への25%の関税措置というのは保留になっていますけれども…」
前嶋教授
「そうですね」
松山キャスター
「この話がもう一度、ぶり返して出てくる可能性…」
前嶋教授
「常にあります。というか、あれは言っているけれど、いつか戻ってくる話だと思うんですね。本丸は自動車だと思っています、私自身は。だから、いつか出てきます。ただ、とは言っても自動車、アメリカに対して輸出規制をするのかどうかとか、あるいは逆に日本がアメリカの日本の自動車工場、いくつかの工場を大きくするかというのは、それもどちらも限られてくるので、なかなかやりようがないのは、出口はなかなかないと思うんですよね」
松山キャスター
「日米間の協議の中で、先ほど、前嶋さんも為替条項みたいな話も日本との間でも出てくる可能性があるという話がありましたが、まさにそれを匂わせる発言も出ていまして、先ごろの、アメリカ、メキシコ、カナダでの間での新NAFTA、USMCAという合意の中でも為替条項が盛り込まれたと。一方、ムニューシン財務長官は『日本などとの将来の貿易協定でも為替条項の文言を取り込む可能性がある』と発言をしています。津上さんは、かなり日本としては警戒した方がいいのですか?」
津上氏
「と思いますね。それが輸出規制という、WTO(世界貿易機関)のセーフガード協定のところで明示的にそれはやめましょうというふうに決まった、アレをもういっぺんやれというふうに言われるのは、とにかく避けたいですね。そうなると、アメリカにまた新しい工場をつくるしかないということになるのですけれども」
松山キャスター
「自動車で、たとえば、自主規制みたいな総量規制みたいな話になってくると、ここも日本としてはかなり痛手になるということになるのですか?」
津上氏
「もちろん、経済的に痛手というだけでなく、それはWTO上、違法というふうに整理したのでしょう。そこを崩されるというのはちょっと耐え難いという気がしますね」
松山キャスター
「ただ、現在の日本がそこまで強くアメリカに言えるのかどうか、そのあたりが1番気になるところですよね」
津上氏
「そうですね」

津上俊哉 日本国際問題研究所客員研究員の提言:『Fasten Seatbelt』
津上氏
「双子の赤字問題だけではなく、米中貿易戦争も含めての話なのですが…」
松山キャスター
「Fasten Seatbelt…」
津上氏
「ドンドン不確実性というのか、先が見えなくなってきている気がするものですから。このシートベルトはきっちり締める必要があるなという気がしています」
松山キャスター
「よく飛行機に乗ると、最初に言われる言葉ですよね?」

木内登英 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの提言:『構造改革』
木内氏
「アメリカ第1主義で世界の自由貿易体制というのが相当崩れてきているわけで、日本としては、まずTPPを拡大させるということが重要ですね。それに加えて、国内では、構造改革、つまり、これは何かと言うと、内需をしっかりさせるということで、米中貿易戦争になりますと、日本にとっての輸出環境は非常に悪くなる、これは非常に長引く可能性がありますので。それに対する抵抗力をつけるという点で言うと、内需拡大のための構造改革、かつて1980年代にやった内需拡大策というのは金融緩和だけだったので、それがバブルにつながったんですね、バブル崩壊につながったので。今度は金融緩和ではなく、構造改革でしっかり潜在力を高めていくという、これが重要だと思います」

前嶋和弘 上智大学総合グローバル学部教授の提言:『“変化”をよむ』
前嶋教授
「変化を読むと書いたのですが、トランプさんの変化を読む、トランプ大統領の1番の強みというのはよくわからない、不確実性で、要するに、わけがわからないこと、何をしてくるかわからないという手を常に出してくるわけです。すなわち変化をしていくわけですね。日本としても、たとえば、米中の貿易戦争もトランプさんがちょっと弱めるかも、急に変えるかもしれない。あるいはTAG交渉も、サービスにいかない話がサービスにいったり、自動車にいくかも、いついくかもしれないということで、津上さんの『Fasten Seatbelt』に似ているのですが、我々もちょっとすぐに何が出てくるかを読まないといかんかなということだと思います」
松山キャスター
「きちんと準備しておかなければいけないということですね」