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2018年9月6日(木)
『総裁選』功罪の歴史 安倍・石破×角福戦争

ゲスト

笠原順三
東京大学名誉教授(前半)
志方俊之
元陸将 帝京大学名誉教授(前半)
藤井裕久
元衆議院議員(後半)
亀井静香
前衆議院議員(後半)
大下英治
作家(後半)


前編

北海道で震度『7』 地震の被害から見る特徴
生野キャスター
「今日未明、北海道で震度7の地震が発生し、山崩れなど大きな被害が出て、現在も懸命の救助・救援活動が続いています。また、今回の地震で道内全ての火力発電所が停止したため、北海道全域で停電が発生、復旧のメドが立っていない状況です。今回の地震のメカニズムと被害の特徴とは何か、今後どのような対応が必要なのか、番組の前半は専門家の皆さんに聞いていきます。今回の地震による被害の特徴と言えるのが、こちらです。震源地に近い厚真町などでは山や丘陵の斜面が崩壊しました。札幌市などでは液状化、また、北海道全域では停電などの被害が出ています。笠原さん、今回の地震はどういったタイプの地震なのでしょうか?」
笠原名誉教授
「日本付近に起きる大きな地震というのはプレートの沈み込みによる地震、巨大地震、それから、内陸の活断層の地震、こういうものが主ですけれども、今回の地震は少しそれらと違って、プレートが沈み込むのが少し北海道と、それから、三陸付近とでプレートの沈み込み方向が違うんですね。それは北海道の方に沈み込むプレートの向きが違うということと、それから、沈み込む時の角度が違う。それによってちょうどその間の、2つの、千島の方に沈み込むプレートと、日本海溝に沈み込むプレートが折れ曲がるような格好をしていると。その折れ曲がりの延長線上になるようなところが、ちょうど石狩盆地と、石狩平野というふうにつながっていると。それの途中、深さ37㎞で起きたという地震ですね」
松山キャスター
「以前、この番組で地震災害について取り上げた時に、今年6月に発表された政府の地震調査研究推進本部が発表した『全国地震予測地図』というのはあったと思うのですけれども…、これによると、今後30年間で震度6強以上の地震発生確率ということで、北海道の部分だけを見てみると、このあたり、釧路のあたり、かなり発生確率が高いと予測をされていたのですが、今回の震源地のあたりは黄色ということで、それほど高い確率とは見られていなかったということですけれども」
笠原名誉教授
「そうですね、はい」
松山キャスター
「一方、震度6弱以上というカテゴリーで見てみますと、これも当時の6月の全国地震動予測地図ですけれど、これだと根室・釧路・帯広・浦河ということで、それぞれかなり高い確率で震度6弱以上の地震は発生する確率があるということで、そこからそう離れていない今回の震源地ということですけれども。この予測を見ると必ずしもこの予測通りにはなっていなかったのかなという気がするのですけれども」
笠原名誉教授
「そうですね。釧路沖ですね、それと根室沖、これはこの千島沿いの巨大地震が過去非常にたくさん起きているんですね」
松山キャスター
「はい、頻発していますね」
笠原名誉教授
「ちょうど歯舞・色丹の色丹あたりのところに境目があるのですけれども、それを越えて、この釧路の沖、根室沖のところに起きる。これは1973年に7.3の地震が起きた。現在このへんが空いているんですよ。だから、そのへんのところに発生確率が非常に高いと。内陸の方を見ますと、少し赤くなっていますけれども、これはもし地表付近にある活断層というものが動いて、それがここのところは非常にやわらかい地層ですので、マグニチュードの割に小さめな地震が起きても大きく揺れるという…、震度が大きくなりますね。そういう意味で、この色から言うと赤くなると。石狩低地帯というようなところがなると。だから、それが伸びているので。必ずしも地震のそのままを…大きさを表しているわけではない」
松山キャスター
「今回の地震の予兆みたいな、事前に何かしら兆候はあったのですか?」
笠原名誉教授
「1年前、昨年の7月に、ほとんど同じ場所にマグニチュード5.1か何かが起きました。その時はほとんど注目しなかったのですけれども、ほとんど、これが1つ、これの予兆的なものかもわからないし、ただ、今回の地震の前兆的に、たとえば、前震的なものがあったかというと、それはどうも認められないようです」
松山キャスター
「今回ライフラインに関してなのですけれど、電力ということで北海道電力始まって以来と言われていますけれども、全道での停電という事態に陥ったと…」
志方氏
「これは日本全体がそうなのですけれど、箱モノを拒否するということがずっとあったんですね。たとえば、発電所でも、大きいのを1つつくって、苫小牧のところに。そこで札幌の電源を全部調達しちゃう。いろいろな小さいのをたくさんつくれば、効率も悪いし、反対も起こるしということで。だから、やろうではないかというところにドンと置いた、それが今回の原因ですね」
松山キャスター
「震源地に近い苫東厚真火力発電所というところが1番、大規模な火力発電所で…」
志方氏
「そうです」
松山キャスター
「それが全道の半分ぐらいの電力供給をしていたということですよね?」
志方氏
「そういうことですね、うん」
松山キャスター
「ここが1つ支障をきたしてしまうと他の発電所とのバランスも崩れて、一気に停電という事態に陥ると」
志方氏
「ニューヨークの停電もそうですよ。1つ悪くなれば、ドンドン伝わっていってブラックアウト。今回のヤツも関空の場合に似ているんですね。関空の場合も、あの橋がやられたら電力から、ガスから、水道から、全部いかなくなるという」
松山キャスター
「なるほど」
志方氏
「サプライチェーンが全部変わっちゃうという。そういう、バルネラビリティというか、脆弱性を持っているという。北海道もそういう脆弱性があるのだと思うんですよね。そういうことに、気が及ばなかったと言いますかね」
松山キャスター
「電力供給で言えば、あらゆる事態を想定し、たとえば、こっちの発電所が倒れても、こっちが生きる…電力供給のバランスをうまく保ちながら供給するという、そういうシミュレーションも当然やっているとは思うのですけれども…」
志方氏
「うん」
松山キャスター
「今回はその想定を大幅に超えるような事態が発生してしまったということなのですか?」
志方氏
「そうですね。苫東にディペンドし過ぎているということですね、電力全体が」
松山キャスター
「今後、電力を復旧していくためにはその周辺の水力発電所とか、比較的、電力量の小さい発電所からまず立ち上げて供給していくという計画のようですけれど。この復旧にはどれぐらいの時間、そのためにどういう支援が必要になってくるのですか?」
志方氏
「これは1つの火力発電所をまず直すことですから相当時間がかかると思いますよね。それから、これから小さく閉鎖されているようなヤツをまた立ち上げて、少しそういう脆弱性をなくそうという、これも時間がかかりますから。これは関空と同じで結構、期間がかかると思いますよ」
松山キャスター
「当局側は、今後1週間程度、電力復旧には少なくとも時間がかかるということを言っていますけれども、それぐらいの期間はかかる?」
志方氏
「それはかかりますよね」

メカニズムと今後は?
松山キャスター
「志方さん、今後の救助活動、現地の復旧活動、自衛隊も入ってやるということですけれども、どのへんが重点的に行われると?」
志方氏
「最初の人命救助が終わったあとはインフラでしょう。水がいっていないところとか、まだ停電が続いているようなところをやるということですよね。それと最近の自衛隊というのは、寄り添う支援と言いますか、単に行ってパン、パン、パンとやるだけではなくて、そこの住人が本当に欲していることは何かということに寄り添っていくという、そういうところが変わりましたね」
生野キャスター
「地域によっても、要望が違いますものね?」
志方氏
「そうです。それと50年に一度と言われても来年に起こっても50年に一度ですよ。しかし、そういう言われ方をすると50年間あまり起こらないのかなという、そういうようなことも起こっちゃうんです。だから、ああいう確率的な言い方、3年以内に何十パーセントと言われても、なかなか伝わりにくいということでしょうか」
笠原名誉教授
「でも、たとえば、リスクの評価ということはできると思うので。今回の発電所に関してもリスク評価をして、それに必ずしもそれほどお金がかかるわけではないので、こういう事態が起きたらどう対処・解決するかというスキームはつくっておく必要があるのではないでしょうかね」
松山キャスター
「なるほど」
生野キャスター
「気象庁は、今後1週間程度は同じような規模の地震に注意が必要だとしています。被災地の皆さんはお互いに声を掛け合い、気をつけてお過ごしください」


後編

政界の重鎮が斬る!総裁選 『安倍×石破』の行方
生野キャスター
「安倍総理は、出身派閥の細田派をはじめ、麻生派、岸田派、二階派、石原派、竹下派の衆議院議員や無派閥の一部から支持を集め、国会議員の8割を固めたと言われています。一方、石破元幹事長は石破派と竹下派の参議院議員、無派閥議員の一部にとどまり、劣勢が伝えられています。藤井さん、安倍総理と石破元幹事長の一騎打ちとなりました今回の自民党総裁選ですが、どのように見ていますか?」
藤井氏
「これは、私の尊敬する先輩の大平正芳という人がいるんです。この人は『楕円形の論理』ということを言っているんです。楕円形の論理というのは、同心円で円の中心が1つだったら、それは衰退するんだよと、世の中は。そうではなく、いくつか核があることが大事だよと、これが大平理論ですよね。私はそれだと思っています。つまり、現在の安倍さんは同心円みたいにしようとしている。これが日本を悪くする、原動力だと私は思っていますし、大平さんの言う複数の核があるのが大事だと。その1つの核として石破さんに出てもらうということは大事なことだと私は思っております」
松山キャスター
「亀井さんはこのあたりどう見ていますか?」
亀井氏
「この勝負はいい勝負になりますよ」
松山キャスター
「世間で言われているような、優勢とか、そういう見方だけではない?」
亀井氏
「マスコミの言っているような、ワンサイドゲームにはならない。これは無記名投票だ。それと安倍総理の支持というのは、国民レベルで圧倒的ではないから。こういう時の選挙というのはどうなるかわからないね。かつてトランプさんが大統領になった時、こんなことを言ったらアレだけど、世界でトランプさんが勝つと言うたのは私一人ですよ」
松山キャスター
「クリントンさんが優勢と言われていました、あの当時は」
亀井氏
「うん、誰もいない、ええ。だけど、トランプさんがなったでしょう。それは、流れがあるの。この石破さんがただ、現在のような、小学生の言っているみたいな、何?公正?正直?」
松山キャスター
「公正、正直、石破茂…」
亀井氏
「あんなことを言っていちゃあダメですよ。権力闘争に持っていかないとダメだよ。綺麗事を言っていちゃダメだ。安倍、お前、もういい、いい加減に、やったのだから、ここで下がれと、俺がやる。それをやらにゃダメだ。それがちょっと現在のところ、石破さんには感じられない点だね。これを面白くないものにしちゃっているね」
松山キャスター
「亀井さんが言うように権力闘争という側面が、自民党総裁選に歴史的にあるわけですけれども、そのあたりたくさん著作の中で書かれてきた大下さんは?」
大下氏
「今度、岸田さんも降りたでしょう。野田さんも出られなかった。情けないですね。昔の、角さんが出る、大平さんが…、全部出たわけでしょう。出た連中が全員、総理になった、中曽根さんまで」
松山キャスター
「そうですね」
大下氏
「そういう強い戦いがないと、本当に1つ何かがポキンと折れたら終わりですよ。だから、寂しい、面白くないですよね。これまで権力闘争を描いてきてなんとおもしろくない、つまらないですね」
松山キャスター
「今回の総裁選は、これまでの自民党は、たとえば、三角大福中がありましたけれども、それぞれ総理の座を争って…」
大下氏
「そう、そう、そうです」
松山キャスター
「…何代にもわたって総裁選をやってきた。あの権力闘争の匂いすら感じられない?」
大下氏
「そうですね、寂しい」
松山キャスター
「それはなぜですか?」
大下氏
「いや、それは、もっといろいろな言い方があるんだよ。だけど、小選挙区制がダメにした一面もあるんですよ、官邸だけが強くなって、皆が皆、媚を売る。この戦いではなくて、戦いのあとにおこぼれをもらいたいというのでやっているので。だから、安倍一強と言うけれども、私は思わないですよ。安倍一強ではなくて、皆が弱いの、多弱なの。だから、本当にもし野党が強かったり、あるいは中にすごく強い人がいて、それでも強い安倍なのかと言ったら、そうではないですよ。安倍が強いというよりは、安倍はシステム的には強い形をとっているのですけれども、だけど、全体が弱いんですよ」
松山キャスター
「もう皆が皆、引っ込み思案になっている?」
大下氏
「皆が引っ込んでいると。でも、寂しいのは現在、日本を取り巻いているのは、トランプさん、北朝鮮、あと秘密警察の親分だったプーチンさん、習近平さん、皆言ってはアレだけれども、怪物、只者ではないですよ。こういう人間と伍して、それに挑んで戦わなければ日本がダメな時に、次のおこぼれをもらおうと思ったりね、禅譲を思ったりね、こんなことで、日本が、日本が危ないよ。そういう面では、私はこれを見ながら、単なる総裁選というより、日本の未来が寂しいと思う」
松山キャスター
「総裁選の構図が、一騎打ちの構図に固まる前に1つ大きな動きとしてあったのが、派閥の領袖である岸田政調会長が記者会見を行って…」
大下氏
「はい、うん…」
松山キャスター
「今回の自民党総裁選には出馬することはせず『安倍総理を中心に様々な政治課題に取り組んでいく』と言って、自らは身を引いて今回は出馬を見送った。安倍総理支持を打ち出したと。これによって、いわゆる宏池会がある程度、安倍総理支持で固まったと見られますけれども、この動きを大下さんは?」
大下氏
「私は1月に岸田さんの本を出したんですよ。『大宏池会の逆襲』という。これは良いことだと。田中派と宏池会と、保守本流という、これは良い形で1つ、それと清和会のイデオロギーの強い右路線、これがうまくやると自民党にも良いなと思ったんですよ」
松山キャスター
「僕も大下さんが本を出されたので、たぶん岸田さんは立つのだなと、あの時、思ったのですけれども」
大下氏
「私もそう思いました。ただ、問題なのは安倍晋太郎さん、お父さん、晋三さんも、高杉晋作の『晋』ですよ。この影響をすごく受けて、安倍晋太郎の本も書いているのですけれども、その時に1番言っていたこと。高杉晋作が『明日勝つかどうかわからん』と奇兵隊を立ち上げるんですよ、功山寺で、12月15日に。その時に言った言葉、『真あるなら、今月今宵、一夜明けて正月来れば誰も来る』と。勝利が決まってきたものは意味がないと。現在、俺が生きるか、死ぬかの戦いをやっている時に来た者だけが意味があるよと。これはお父さんも、晋太郎さんも、晋三も言っているわけ。そうしたら何が起こったかと言ったら、岸田さんはもしかしたら安倍さんがモリカケで倒れるかもしれん、それをもって、その時には立ち上がろうと待っていたわけ。そうしたら盛り返しちゃった。そうしたら現在になって勝てないとすり寄ったわけです。と言うことは、明けて正月にやって来た男ですよ、岸田さんは」
松山キャスター
「なるほど、もう形勢がほとんど決まった時に…」
大下氏
「形勢が決まって、決まってきた時、嬉しくもなんともない。これは、だから、禅譲路線に対して私はもう安倍さん、厳しいと思いますよ」
藤井氏
「あのね…」
亀井氏
「あのね、禅譲なんてあり得ない、あるはずがない。私は…」
藤井氏
「あり得ない、禅譲なんて絶対…」

総裁『禅譲』と『密約』
松山キャスター
「自民党の過去の歴史の中で、禅譲というのがどういうケースがあったのかというのをちょっと振り返って見ておきたいのですけれども。かなり遡りますが、1946年、GHQによって公職追放処分となった自民党総裁の当時の鳩山一郎さんが吉田茂さんに総理の座を譲るにあたって『追放が解けたらすぐ鳩山で政権を渡す』などの条件をつけたと言われた『4か条の密約』というのがありました。また、当時の岸総理が党内の反主流派の大野副総裁への政権禅譲を河野総務会長、佐藤大蔵大臣の4人で確約したとされる密約というのがありました。1976年、三木総理退陣後の政権をめぐって福田総理のあとは大平幹事長に禅譲するとした密約があったということですけれども。それぞれ、その後その通りにはならなかったという歴史があるわけですけれども。藤井さん、こういう歴史を振り返って、どうですか?」
藤井氏
「まずこの話ですが、私は唯一うまくいった形をとっているのは、中曽根さんと竹下さんだと思うんですよ。これは、中曽根さんがまだ余力を持っていたということと、竹下さんは言うことを聞くだろうと思って、格好をつけましたが。竹下さんは他の理由があるにしろ、ダメになりましたね。それはそういうことで…」
亀井氏
「あの時は、騙されたんだ。安倍さんが、中曽根さんに明確に騙されちゃった。私は歴史の証人…」
松山キャスター
「『中曽根裁定』というのがありましたね?」
藤井氏
「そう、そう」
亀井氏
「最初から…」
松山キャスター
「結局、安倍晋太郎さんは総理の座に就けなかった」
亀井氏
「…竹下さんに決まっていたの。ところが、安倍晋太郎先生はお人がいいから、それを信じた…」
松山キャスター
「譲ってしまったと」
藤井氏
「そうです」
亀井氏
「まぁ、禅譲なんてあり得ないのでね。また、岸田さん、人柄も良いし、良い人だけれども、もうこれで派閥の代表もおしまいでしょうね」
藤井氏
「おしまいでしょう、おしまい」
松山キャスター
「求心力を一気に失ってしまったということですか?」
亀井氏
「もうダメですね、お気の毒だけど」
藤井氏
「それは、一人の人になっちゃったんですよ、もうこれで。私はそう思いますね」
松山キャスター
「仮に岸田さんが今回、総裁選に出ていたら状況は変わっていました?」
亀井氏
「変わった…」
藤井氏
「負けたっていいですよ。負けたっていいです。複数の核の一人になるわけです」
大下氏
「それは小泉さんだって2回失敗して、3回目でしょう。麻生さんは3回失敗して4回目でしょう。だから、麻生さんも、正月に、岸田さんに言ったんですよ。自分は経験があるから出ろと言ったんです。ただし、3月まで動くなと。3月に何が起こるのかわからんからね。結局、出なかったでしょう。麻生さんすらうんざりしたんですけれどね。もっと言うと、ひどいのは鳩山さんと吉田さん、公職(の追放)が解けたら吉田に譲ると言ったから、吉田さんは、私、吉田茂の本も書いているのですけれども、なんとGHQに裏から手をまわして、鳩山の追放は解かすなと、まだ…」
松山キャスター
「延ばせと?」
大下氏
「延ばせと。それほど、人間というのは執着を、権力を握った人間はね死んでも離さないのだから。そんなことを考えたら。となると今度はアレですよ、安倍さんだって、いよいよ3年後に、もっと言うと禅譲をしてやるほど、安倍さんに力があるかどうか」
藤井氏
「そう」
大下氏
「3年後にもうわからないわけ。今度はひどい時には、今度は逆に、このままでは日本がダメと考えると、考えたら、お父さんの、純一郎さんに自分も譲ってしてもらったのだから、日本のことを考えると世代交代して進次郎にと、飛ぶかもわからんから。その時に岸田さんに対して、悪かったな、お前、と言う気はもうないのだから、3期目終わっているのだから。だから、そういうことを考えたら、その3年後に今度は…、岸田さんに言いたかったのは、小泉純一郎・石破・安倍、全部20%台ですよ、世論調査が。野田さんが3.5%ですよ、岸田さんは3%ですよね。それでいてよ、今度出なかったら世代が変わってくるじゃない。そういう時に、今回出ておいて、そういう、それで戦わなきゃ、先ほど言うように世界が、現在のアジアの、全部、怪物ばっかりがおるでしょう。そういう時に、人からもらって、おこぼれをもらって戦おうという人間では勝てませんよ。宏池会の半端さは、宏池会はいつも、宮沢さんもそうですけれども、大平さんも実は、角さんのアレでしょう。宏池会というのは全部よそからおこぼれをもらって、人に譲ってもらって、戦い獲ったとは言えないです、宏池会は。その伝統があるわけ、公家集団と言われるのだから」
藤井氏
「…」
大下氏
「だから、そういう面で伝統的に誰か担ぐと。誰が担いでくれるのですか、今度?」

最大派閥に対抗する『力』とは
松山キャスター
「派閥単位で石破さんを支持する動きを見せているのが、竹下派ということですけれども…」
生野キャスター
「そうですね。こちらを見ていきましょう。竹下派ですけれども、衆参を合わせて55人の議員のうち、30人程度は安倍総理支持、25人程度が石橋氏というふうに見られていて、派閥を二分する状態となっていますけれども。この竹下派の動き、藤井さんはどう見ていますか?」
藤井氏
「私は現在、要するに、衆議院の方は安倍さん支持になっているんだと思いますけれども、そんなことは別です。総裁選と、大臣をやっているということは全然、別なんですよ。戦いですからね。その時は、戦うべきですよ。たとえば、野田聖子ちゃんも私は仲良いんだけれども、同じですよ。安倍さんに入れるというのは大臣をやっているからでしょう。それがもう間違いなのだと私は思っていますから。どういうポジションにいても、信念に基づいて総裁選はやるべきだと私は思います」
亀井氏
「わかんないよ。どっちが勝つかわかんない」
松山キャスター
「わからない?かつての名門派閥と言われた現在の平成研ですけれども、竹下派が分裂している事態になっている…」
亀井氏
「わかんない」
松山キャスター
「…このことについては、藤井さんはどういう考えを持っていますか?」
藤井氏
「私は、だから、先ほど言いましたように、大臣をやったり、その立場に立っているから、そっちの言うことを聞くというのは総裁選で守る必要はまったくないんですよ。まったくない。それは戦うべきだと思いますし、亀井さんが言われたように、この結果というのはなかなか難しいんだと思うんですね。亀さんは逆の方が勝つとおっしゃっているけれども、そこは別として、別として…」
松山キャスター
「わからないと言っていますよね」
藤井氏
「わからないんです。事実、わからないんです。なぜならば、まず派閥がやっていると言うけれども、昔の派閥とは違うんですよ。それから、もう1つは地方です。これは、地方はなぜ非常に問題かと言いますと、世論調査では、つまり、一般国民、安倍さんの方が下ですよ。たとえば、石破さんよりは、ということは…」
松山キャスター
「あるいは、拮抗しているとデータが出ていますよね?」
藤井氏
「ということになると、有権者に1番近い県会議員達はどういう態度をとるかというのは、亀さんの言う通りの面があるように思いますね」
松山キャスター
「亀井さんは、この竹下派の動向についてはどう見ていますか?」
亀井氏
「竹下派とか、そんなもんじゃなくて。これは流れから見て、1つは、安倍総理は飽きられている、基本的に国民から。そういう中であの程度の支持率では、これは無記名投票のもとでは勝てない可能性がある」
松山キャスター
「仮に勝てる…、現在、優勢と言われているので、仮に勝てるとしても勝ち方がかなりクリアではないと、政治的にはかなり力失う可能性がある?」
亀井氏
「いや、そんなことはないと思うよ。それはむしろ激烈に争った方が自民党としては力が出てくるから、ワンサイドゲームじゃなくて。むしろ競った方がいいの」
松山
「なるほど。大下さんはこの竹下派の動きについてはどういうふうに?」
大下氏
「竹下派は情けない、あれだけ強かった竹下派が、誰も出していないわけですよ。額賀さんも出られない、もう誰も出していないわけ。悲しいよね、総裁を…、あの巨大な流れを汲んだ経世会の連中の誰も出ていないんです。やっと小渕さんを出そうとしたら、小渕さんがああいう事件が起こったから。だけど、もう1回、小渕さん、小渕優子さんに希望はつないでいるんですよ。それまでの間にどっちになんてことはないから、これは散っていいんですよ。真田幸村だと思って、散っているんですよ」
松山キャスター
「あぁ、なるほど。徳川方と豊臣方に分けて対応する」
大下氏
「今回はどっちでもいいんです。ただし、もう1つ言えるのは、次の参議院選のことを考えると少しバラエティがあった方が1ついいですよ。批判票。批判を誰もしない自民党だったら、私、次の安倍さんが三選したあと、怖いことが1つ。次の参議院選、響いてきますよ。というのは、不支持の方が高いんですから、安倍政権というのはずっと。その不支持の部分が沈殿しているのですから。これを今回は乗り切っても、石破対何とかだから乗り切れますよ、今度は違うのですから…」
藤井氏
「そう」
大下氏
「自民党対野党でしょう。野党も下手すると、沖縄戦でもし野党が勝つ可能性があったら流れが少し変わってきますよ、動きが。そうなった時に安倍さんも、三選してもニコニコしている暇もなく、次の統一地方選、参議院選、大きなことになって崩れるかもしれない。その時に実はその時のために石破さんは、今度は勝って強くしておかなければ、ということもあるんですよ。だから、安倍政権が3期目、穏やかにいくとは思いませんよ」
松山キャスター
「ある意味、竹下派が参議院を中心に石破支持にまわったというのは…」
大下氏
「そう、うん…」
松山キャスター
「次の参議院選を見越して?」
大下氏
「うん、そうです、はい」
松山キャスター
「たとえば、青木幹雄さんとか、昔、参院のドンと呼ばれた、青木幹雄さんもそういうことも考えて…」
大下氏
「…考えている、そうですよ」

『角福戦争』から何を学ぶべきか
松山キャスター
「総裁選の今回の構図が一部には角福戦争的なものを想起させるという意見もあるということで話を聞いていますけれども。その角福戦争の主役だった田中角栄元総理と福田赳夫元総理、どういう方だったのかというのをここでもう一度ちょっと振り返っていきたいと思うのですけれども。田中角栄元総理は尋常小学校から建設会社社長を経て政治家になったということで、日本列島改造論に象徴されるように、地方を重視した積極財政論者ということで、外交では日中国交回復を果たして護憲のスタンスをとったと。『政治は数だ、数は力だ』が持論で、まさにこれが田中派、その後の経世会・竹下派へと受け継がれていったということですけれど。一方、福田赳夫元総理の方は東大法学部から大蔵官僚を経て政治家になり、安定経済成長を重視した均衡財政論者と言われていました。外交では台湾とのバランスを重視して改憲のスタンスをとりました。『政治は道徳』が持論だったということなのですけれども。この大きな2つの流れ、これが石破さんは必ずしもずっと田中派の系譜の場所に自身を置いていたわけではありませんけれど、田中派の流れを汲む竹下派、現在の竹下派、当時の津島派、額賀派と言った時に籍を置いていたりとか、もともと政治家としての出発点が、田中角栄さんに言われて出発したというあたりも田中角栄さんの流れをある意味汲んでいると見ることができると。一方で、福田赳夫さんの持っていた派閥の流れ、それが現在の清和研究会、いわゆる細田派の流れにつながっていて、そこのプリンスという形で安倍晋三総理が総理大臣を務めているということですけれども。こういった精神が現在も息づいているかどうか、これは大下さん、どう見ますか?」
大下氏
「福田さんの清和会の系譜というのは岸信介の系譜ですから。片方は、角さん、池田勇人…の流れの1つの、ある意味の経済重視派ですけれども。石破さんの本も書いているのですけれども、石破さんがいつも言うのは、日本列島改造論は良かったと、良いのだけれども、日本列島改造論というのは地方を豊かにしようと思ったのだけれども、結局、逆に地方からストロー現象で都市集中にもなってきたんですよ。何が足りなかったのか。地方まで線路を敷いたり、新幹線を敷いたのだけれども、敷いたのまではいいのだけれど、敷いたあとのあちらの方の知恵がなさすぎた、もっと現場の。だけど、現在やっている、地方創生論を1番、石破さんが言っているのは、これからは俺はそこまで行って、こっちを、こっちの、自立的にこっちを元気にすることを考えていると。だから、彼が地方創生の大臣の時も、何を考えたかと言ったら、自治体がやるだけではなくて…銀行もつける、労働組合もつける、学校もつける、全部、そういう総合的に地方を豊かにしようと。人に、官僚がいるのだったら送り込むと。だけど、本当に送り込む…ミスマッチしては困るからというので、すごく彼はそういう面では気を遣って。だから、彼は新しい日本列島改造論だと思っているんですよ。その意味では、角さんの流れは汲んでいるんです、政策的には」
松山キャスター
「亀井さん、石破さんの政策論争の戦わせ方が、まだ甘いみたいなことを先ほど話されていましたけれども、石破さんはその中でも一応、地方重視という点では安倍さんとはちょっと違うというスタンスをとっていますけれども。これは田中角栄さんの言っていた列島改造ほどのインパクトはまだ全然ないという感じですか?」
亀井氏
「うん、全然ないのではないかな。表現が、まずあんなことじゃダメだね。国民がわかりやすい表現にしないと」
松山キャスター
「なるほど」
亀井氏
「地方におる方も、あっ、石破が総理になると、俺んちの…こりゃあガラッと変わって良くなるのだからと、そういうイメージを沸かせるような言い方をせにゃいかん。それが足りないね」
松山キャスター
「現在の総裁選、2人の候補を見て、福田赳夫さんとか、田中角栄さんの考えていた理念みたいなのというのは、どこかにうっすらとまだ残っているという印象はありますか?」
亀井氏
「同じ自民党ですからそんなに極端に違うということはないですよ。ないけども、福田派の場合はどっちかと言うとインテリ臭いんだよ。俺はどっちかと言うと田中派の方が好きだったね、インテリ臭くない方が。こんなことを言ったらおかしいけれど。だから、理屈っぽいと言えば理屈っぽいね、福田派の方が。それで田中派の方が理屈よりも実利、実利の方を優先していくという」
松山キャスター
「なるほど」
亀井氏
「うん。だから、田舎の人からは割と支持が高かったのではないの?」
生野キャスター
「田中さんは演説も上手ですよね?何か現在でも見入ってしまう感じもありますよね?」
亀井氏
「そうですね、人の心をグッとすぐ掴んじゃうんですね。それはあまり理論的なことをおっしゃらないから」
大下氏
「現在、だから、田中派の流れを1番、匂いを持っているのは実は菅さんと二階さんですよ。現在、永田町で、自民党で喧嘩できるのは2人だと言われている。梶山清六の弟子ですから、経世会ですから、菅さんも元は」
松山キャスター
「はい、党人派と呼ばれていますよね、2人とも?」
大下氏
「二階幹事長ももちろん当然、直系ですから。そういう面で言うと、田中軍団にいる連中は喧嘩好きですよ。片方の連中は理論好きだったり、岸田さんもいるのだけれど。安倍さんも、安倍さんは田中派ではないけれど、現在の連中の中では喧嘩好きですよ。岸さんの、ある意味の、善い意味でも悪い意味でも悪党、悪党・岸ですから。国家のために悪党だと言っているわけだから。そういう面で言うと安倍さんは最近、1回目の時には善良なお父さんの血を…流れを汲み過ぎて、今や顔もちょっと悪党の岸さんに似てきていますけれども。なかなかしたたかになっている分だけ、これは野党からいくと実は倒しにくいんですよ」
松山キャスター
「なるほど」
大下氏
「お父さんの善良さと、岸さんの悪党さを両方持っているから、なかなか意外と倒しにくいんですよ。これは、これが安倍政権の長期政権の1つ秘訣でもあるんです」

選挙後の自民党と新体制
生野キャスター
「総裁選後に予定されている主な日程がこちらです。来年春に統一地方選挙、夏には参院選があります。さらに10月には消費税率10%への引き上げが予定されています。大下さん、仮に安倍総理が勝ったとして、総裁選の勝ち方次第では政策や進め方に今後変化が?」
大下氏
「いやぁ大変ですよね。並行して沖縄の県知事選があります。これは大きな問題であって、下手すると、これは現在バラバラの野党がこれによってまとまる可能性があるんです。まとまって、まとまったら勝てるんだなという実感を得られますよ。そうしたら、参院選でやってくると舐められないです。安倍の不支持が多い、モリカケ問題は終わったわけではないですよ。これはすり抜けたわけですよ、うまく。だけれど、国民の間には、これでいいのかという思いはすごく強いです。これが参議院選に響いてきますから。そうなった時に簡単ではないから、私は、この第3期安倍政権、大変ですよ。もともと第3期というのは死に体になっていくものなのですから。そこをどれだけ彼が乗り切るか。それと憲法改正も絡むし、憲法改正を諦めた安倍は終わりですから、しょうがない…」
松山キャスター
「ただ現実問題として…」
大下氏
「だけど、やりない、やり切れないですよ」
松山キャスター
「なかなかハードルが高いですよね?」
大下氏
「高いです、ますます高くなったと思います。それは、モリカケも含めながら。だから、これは、だけど、本人が憲法改正をするために出てきたわけですよ、本人が。別に、デフレを何とか、経済政策…、竹下さんのアレではなくて、岸信介の孫なのだから。そのために出てきた男が、それができなくなったら何のために政治をしているのですか。だから、本人ががんばろうと思うけれど、しかし、多くのツケがまわってくるから、なかなか私は大変だと思う」
松山キャスター
「亀井さん、憲法改正、安倍総理は強い意欲を示していますけれども」
亀井氏
「これは、憲法改正なり、そんなことをやろうと本気で思った人はいないんじゃないの」
松山キャスター
「安倍さんは本気で思って…」
亀井氏
「思っていない、思っていない。思っているほど馬鹿ではない」
松山キャスター
「では、あれは表向きのアピールということですか?」
亀井氏
「これは枕詞。あのね、現在、片方が護憲でしょう、片方が改憲、これを言わんと、政治家ではないみたいなアレがあるから言っているだけの話で。そんなものは現実の問題ではない。それと安倍総理は非常に選挙自体も、私が先ほど言ったようにわからんと思うのだけれども、また三選されたりしても、次の選挙は負ける可能性が高い」
松山キャスター
「次の夏の参議院選?」
亀井氏
「参議院選。これは現在の自民党に対する支持率であったら、おそらく負けるという形になってくる。そうなったら、その時点で、また、安倍総理が総理・総裁の座から引きずり降ろされる可能性を出てくると思います」
松山キャスター
「藤井さんは、仮に安倍さんがこの総裁選を制した場合、その後の安倍政権はどういう形になると?」
藤井氏
「まず昨年の年末に選挙がありましたね。あの時の世論調査を見てみても、こういうことです、安倍でなくたっていいのだと、そういうのが5割以上あるんですよ。これはその時からもう安倍は飽きたと。だけど、自民党には、他にないから入れてやる…」
松山キャスター
「自民党の支持はずっと高いですね」
藤井氏
「…ということだけですよ。ですから、それがこの参議院選挙では、確実に出てくるのではないかというふうに私も思っています」

藤井裕久 元衆議院議員の提言:『威ありて猛からず』
藤井氏
「これは自民党だけやないと思うんです、政治は皆そうだと思うのですけれども、『威ありて』というのは、権威は持っていなければいけない。しかし、『猛からず』というのは、現在の流行り言葉でいうパワハラなんかやっちゃいけないということです」
松山キャスター
「威ありて猛からず」
藤井氏
「そう。威ありて猛からず、そうです」

亀井静香 前衆議院議員の提言:『国家と国民への愛』
亀井氏
「国家と国民に対する愛、我々はもっと国家に対する愛国心と言いますか、それを意識的にもっと持っていかないと世界の国からやられてしまうと思います。それと国民全体に対してお互いに同胞としての愛、助け合っていくという、これが大事だと思います」
松山キャスター
「現在の総裁選でそういう議論は十分にできていると思いますか?」
亀井氏
「うん、あまり…、言わずもがなのことだから、言わないのかもしらんけれども。国家とは何かということを常に考えながら政治をやっていかないとコスモポリタンみたいなわけにはいかないよね。世界がエゴとエゴとの戦いをやっているわけだから、そういう厳しさの中で、どう国を守っていくかという視点というのは、今ほど大事な時はないと思います。国粋主義者ではありませんけれども、私はね」

作家 大下英治氏の提言:『世界のリーダーに挑める 闘争の刃を磨け!』
大下氏
「そういう政治状況の中で、自民党は戦いを磨いていかなければ大変だと思っています。それぞれが優し過ぎる。優し過ぎるというのは、半端過ぎる。もっと使命感を持って、それこそ幕末だって、先ほどの高杉晋作にしても、高杉晋作28歳、吉田松陰29歳、久坂玄瑞25歳ですよ。こういう連中が立ち上がって戦ってきたのだから、現在考えたら、まだまだ足りない、自民党の人達にがんばれと言いたい」