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2018年8月28日(火)
トルコショックの正体 問題の行方に中国の影

ゲスト

宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
真壁昭夫
法政大学大学院政策創造研究科教授
池滝和秀
時事総合研究所客員研究員 中東ジャーナリスト

徹底検証『トルコショック』 問題の原点と背景とは
竹内キャスター
「アメリカとトルコの関係悪化をきっかけにトルコ通貨リラが急落したトルコショック。その影響は、ブラジルやインドといった新興国、さらに、ヨーロッパにも波及しました。アメリカとトルコの関係改善が進まず問題が長期化すれば、世界経済にとって大きなリスクとなる可能性があります。トルコショックの行方について検証します。今回のトルコショックの経緯をパネルにまとめました。発端は2016年の7月、トルコで起こったクーデター未遂事件です。この時、トルコはクーデターを主導したとしてアメリカ在住のイスラム教指導者の引き渡しを要求しましたがアメリカはこれに応じませんでした。同じ年の10月、クーデター未遂事件に関与したとしてトルコ当局はアメリカ人牧師を拘束しました。まずはここなのですが、宮家さん、そもそもなぜアメリカはトルコの要求する引き渡しに応じなかったのでしょうか?」
宮家氏
「アメリカは自由な国ですよね。彼は亡命をしたかどうかは別としてアメリカに住んでいて、アメリカのある意味で保護を受けているわけですから、渡す理由がないですよね。それが基本的な考え方だと私は思いますよ」
松山キャスター
「池滝さんはこれをどう考えますか?」
池滝氏
「このイスラム教指導者というのは、イスラム教の中できわめて穏健な人というところで、アメリカとして釈放してしまうと穏健派に対する庇護する、守っていくということに対して、世界に対して誤ったメッセージを与えてしまうということで、アメリカとしては絶対に引き渡せないというところだと思います」
松山キャスター
「この一連の中でトルコ・アメリカ双方が譲れない部分というのはどういうところなのですか?」
池滝氏
「アメリカとしては、穏健派を守っていく。あとトルコの中では派閥争いというのですか、イスラム教の中でイスラム教指導者、ギュレンさんという人です、比較的穏健だと。エルドアンさんというのはちょっと中立なイスラム教、その中で派閥争いがあって。トルコ国内に帰ってきた時に影響が広がらないようにエルドアンさんとしては抑えておきたいということで、帰国を促して、場合によっては死刑制度を復活させて、厳しい処置を加えたいということだと思います」
松山キャスター
「それがわかっているから、アメリカ側もなかなか渡せないという事情もあると思うのですけれど、そのあとの動きがまさに重要になってくるので、そのあたりを見ていきたいと思います」
竹内キャスター
「およそ2年後です。先月26日、トランプ大統領がトルコに対し『牧師を解放しなければ大規模な制裁を行う』と警告を発します。トルコがこれに従わなかったため、8月1日に、アメリカはトルコの2人の閣僚のアメリカ国内にある資産の凍結などの制裁を行います。これに対して8月4日、トルコは報復制裁としてアメリカの閣僚2人のトルコ国内の資産凍結を発表します。8月10日に、アメリカがトルコから輸入する鉄鋼やアルミニウムなどの関税の引き上げを表明しました。これに対して、トルコのエルドアン大統領は8月14日、アメリカ製の電化製品のボイコットを表明します。翌15日にはアメリカから輸入する乗用車やアルコール類などの関税を2倍に引き上げました。21日にはWTO、世界貿易機関が『トルコがアメリカを提訴する手続きに入った』と発表しました」
宮家氏
「普通こういうことしないですよ。これは戦略的、もしくは地政学的に考えたら、絶対にアメリカのリーダーはやらないことです。1つの説明は、個人的にトランプさんは変わっているから、だから、やっちゃった。いつもこうではないですか、みたいなことを…、予測突かぬことをやると。国内的な理由があったのかもしれません。牧師さんというのはエヴァンジェリカ、福音派でしょう確か。ですから、国内的にもある程度理由があるわけで、中間選挙も近いし…、こういう説明が1つあるわけです。エルドアンさんも相当強気だしという。でも、私はそれだけではないと思っています」
松山キャスター
「なるほど」
宮家氏
「冷戦が終わって、トルコの価値というものが変わってきた。彼らはヨーロッパ人だと思っていますから。だけども、EU(欧州連合)は絶対にヨーロッパ人だと思っていないわけです。絶対にEUには入れないですよ」
松山キャスター
「そうですね、なかなか加盟できない」
宮家氏
「NATO(北大西洋条約機構)には入れるんですよね。そうすると、トルコというのは、善い意味でも悪い意味でもうまく利用されている部分があって、NATOの同盟国としてはちゃんとやってもらいたいけれども、EUに入れないと。そうなれば、その体はムスラムですから、入れてくれないのだと…となれば、自分のアイデンティティに忠実な政治をやって新しい国をつくっていこうという動きが出てくるのは当たり前ですよ。その1番強力なリーダーがエルドアンさんだと。そう考えると、単に個人の問題だけではなくて、財政的にも、それから、国際情勢から見てもトルコの立ち位置というものが大きく変わりつつある。その結果として、こういうものが出てきているのだと思います」
松山キャスター
「革命以降、トルコの中では、いわゆる世俗主義、イスラム教的なものでは世俗主義を優先してずっとやってきたと。ある程度、国も発展してきて成功していた部分とあると思うのですけれども。エルドアン大統領は、ここへ来てイスラム教的な考えを取り入れようとしている…」
宮家氏
「別にエルドアンさんが最初ではないです。1980年代から名前はコロコロ変わるのですけれども、いわゆるイスラム政党が出てきて、弾圧を受けながらも徐々に徐々に、ポピュリスト的な政治をしたせいもあるのかもしれないけれど、支持が増えてきたんですね。そうなると、もう無視できなくなる。民主主義の中でちゃんとイスラム政党ができるわけですから。そうすると、トルコ自身が変質していったと。もしくは本来あるべき姿のところへ戻っていったと、その一環なのだろうなと私は思っています」
池滝氏
「宮家さんのおっしゃったように、トルコの国が変わりつつあるということで。従来、トルコ人の意識として私達、自分達が欧州人だという方向、思考を持っていたわけですけれども、それがアラブ、中東とか、イスラム世界の大国として、やっていきたいという中で、彼ら自身の立ち位置が変わっていると。その中で欧米の見る視点としてトルコはひょっとしたらNATOとか、西側から離脱して中国とか、ロシアの方に向かってしまうのではないかという、過度な緊張感というのが高まっていると思うんですよね。だから、そこで冷静にトルコは本来あったイスラムというところに戻りつつある。2002年から公正発展党、イスラム系の政党がきて、この10年以上の期間で徐々に政策が変わって、国の形も変わっていく、そういった流れの中にあると思います」
竹内キャスター
「トルコ・リラの対ドル相場が大きく動いています。トランプ大統領が制裁発動の警告を発した先月26日以降、徐々に下落傾向となりまして、10日のアメリカによる関税引き上げ表明で一気に急落しています。13日には1ドル=6.8リラと最も下落し、一時、7.2リラの過去最安値を更新しています。その後もち直したものの、1ドル=6リラ前後で推移をしています。真壁さん、このアメリカ関税引き上げでトルコ・リラが一気に急落しましたが、このマーケットの反応はどのように見ていますか?」
真壁教授
「マーケットの反応自体はドーンと下がっていますよね、アレは短期的に見るとオーバーリアクションだと思います。ですから、少し戻っているのですけれども、リラが落ちた理由というのはいくつかありまして、1つはこれまで世界の経済というのはどこに行っても景気が良かったんですね。その理由はヨーロッパもそうですし、アメリカもそうですし、日本もお金をいっぱい刷って出していました。そうすると、世の中全体にお金が余っていたんですね。お金というのは水と逆です。水は高いところから低いところへ流れます。お金は低いところから高いところへ流れるんです。どういうことかと言うと、金利の低いところから高いところへ、高い金利を求めて動くと。そうすると、アメリカはこれまで非常に金利が低かったんですね」
松山キャスター
「そうですね」
真壁教授
「そうすると、アメリカに余ったお金が高い金利を求め、むしろ新興国、新興国というのは、たとえば、トルコであったり、それから、南アフリカであったり、インドネシアであったり、アルゼンチンであったり、そういう国に行っていたんです。ところが、ここにきまして、アメリカの金利が少しずつ上がってきた」
松山キャスター
「FRB(連邦準備制度)がずっと利上げをやっていますから」
真壁教授
「そうですね。アメリカの金利が上がってくるとこれまでアメリカから新興国に流れていたお金が戻ってくる。つまり、アメリカの金利が上がってきますから、金利差が縮小するわけですね。そうすると、リスクをとって新興国に行こうかという人達がだんだん少なくなる。そうなってくると、マネーフロー、お金の流れ、世界のマネーフローが変わってくるんです。つまり、これまでは先進国、金利の低いところから金利の高い新興国へ行っていたのですが、それが逆流してくる。新興国からお金が流れていく。従って、トルコだとか、アルゼンチンとか、それから、インドネシアですね、こういう国からお金が先進国の方に戻ってくるんですね。それが1つあったんです。お金の流れが変わりつつあったところに、トルコの問題が勃発して、アメリカとヘッド・トゥ・ヘッド、要するに、バーンとぶつかったわけですよね。そうすると、世界の中に投機筋という人がいまして、要するに、相場を動かして儲けてやろうという人達がいるんです。そうすると、そういうところの人達は、トルコ・リラを売れば儲かるだろうと、こういうことになりますから。トルコ・リラをとにかく売って下げさせ、高いところで売って安いところで買い戻して儲けようという人達が出てくるので、そういう人達がああいう急落を演出したとも言えます」
松山キャスター
「なるほど。まさにリラの急落に合わせて、そのあとの新興国の通貨の動きについても影響が出ているということで、こちらに一覧にしてみたのですけれども。トルコ・リラについては-39.24%で下落していると。アルゼンチン・ペソ、-38.03とか、ブラジル、南アフリカ、インド・ルピー…、インドネシアもそうだと思いますけれども、かなり新興国の他の通貨についても下落の動きにつながってしまっていると。これは連動しているのは、先ほど、真壁さんに説明いただいた動きということですか?」
真壁教授
「そうですね。これは年初来のたぶん下落率だと思うのですが、要するに…」
松山キャスター
「年初からの下落ですね…」
真壁教授
「そうですね。要するに、下がりそうなところを皆で狙い撃ちにして、要するに、下げさせて、儲けようという人達がいますから。そういう人達が、トルコ・リラが下がりそうだとワーッと売り、アルゼンチン・ペソが下がりそうだというとまたそこを売り、ブラジル・レアルが下がりそうだというと売って、要するに、これだけずっと連鎖的に、新興国通貨が下がったと、こういうことですね。新興国の通貨下げるということは、流れ込んだお金が出ていきますから。たとえば、買った株式を売って出ていくわけですから、株式市場が下がったり、あるいは通貨が下がったり。金融市場が混乱し、世界的に、いや、これは大変なことになるかもしれない、というので、とっているリスクをとにかく少し減らしておこうと。そうすると、株式のように変化率、要するに、ボラティリティと言っていますけれども、価格の変動率が高いものはとにかく売っておこうということになりますから、世界的に株が安くなるというようになります…なったわけですね」
松山キャスター
「先進国のマーケットにもダイレクトに影響が出てくる?」
真壁教授
「影響が出ました、はい」

世界と日本への影響は?
竹内キャスター
「各国の銀行が抱えるトルコ向け債権の額を見てみます。スペインは809億ドル、およそ9兆円で1番多く、次いでフランスが351億ドル、イタリアが185億ドルとなっています。真壁さん、このスペイン・フランスの銀行がトルコ向けの債権を多く抱えている理由というのは?」
真壁教授
「金利が高いということですよね。もう1つは、要するに、トルコのリスクをとれるという判断をしたんですね。リスクをとれて、しかも、金利が高いので、債権を、お金を貸したということですね」
松山キャスター
「トルコの国債ということでは、たとえば、日本の銀行はどれぐらい…」
真壁教授
「日本の銀行は、あまり持っていないと思いますよ。と言うのは、私も銀行にいたことがあるのですけれども、あまりこの地域のリスクはとれないと、リスクが高いと見ているので、従って、あまりとっていない。それよりもむしろ心配なのは、日本の個人投資家ですね。特に為替で、結構個人の、ミセス・ワタナベとよく言われますけれども、一般の方が、個人の投資家が、金利が高いので金利に惹かれ、磁石で引きつけられるようにお持ちになっておられる方が結構、私の身の周りにもいますね」
松山キャスター
「そういう意味では、個人投資家レベルでは日本でもかなり影響が出てきているということだと思うんですけれども、ヨーロッパ各国の銀行が抱えるトルコ向け債権がこれだけの額にいっているということはエルドアン大統領が外国からいろいろ借金をして公共事業をドンドンやってきたということなのだと思うのですけれど、これは金利が上がるということになってくると、かなり経済に変動をきたしてくると?」
真壁教授
「そうですね。私のトルコ人の友達に聞いたら、エルドアンさんというのは、一般の国民の方に非常に人気が高いと、バラマキをやったと。トルコはお金があまりありませんから、お金を借りて、そのお金でバラマキをやった。金利が低かったのでそれほど大きな問題にはなっていなかったのですけれど、だんだん金利が上がってきて、あるいは今回のような問題が起きると、リラが下落しますから、返済が結構大変で、今年から来年にかけて日本円に換算して数兆円という単位で返済期限がくると言われていますから」
松山キャスター
「直近ではどれぐらいの時期に返済の山というか、そういうのが?」
真壁教授
「今年から来年にかけて。今年はそれほど大きな返済期限がくるとは聞いて…予想していないのですけれども、来年の春先ぐらい、日本円で数兆円単位…」
松山キャスター
「数兆円単位…、大きいですね」
真壁教授
「ええ。民間債務と、それから国の債務の両方がありますから、足し上げないといけませんけれども、かなりの、要するに、返済期限がくる。だから、その時にロールオーバーと言いまして、借り換えをたぶんすることになると思うんですよね。借り換えをする時に、これまでは低い金利でお金を借りられましたけれど、このクレジット、つまり、信用力がだいぶ落ちていますから、そうすると、高い金利で借りられない…借りなければ貸してくれる人がだんだんいなくなるので、そうなると一段と金利の支払い負担が増えるだろうなということは予想されますね」
松山キャスター
「これだけ巨額のトルコ向け債権を持っているヨーロッパの各銀行に対する信用の低下というのも出てくる可能性があると思いますけれども」
真壁教授
「ありますね、ええ」
松山キャスター
「そうなると、まずヨーロッパ経済に対してどういう影響が出てくる?」
真壁教授
「債務のこの金額自体はそんなに大きくないんですね、実は。全体から見るとせいぜい数パーセントしかないと言われているので。ヨーロッパの銀行は不良債権の比率が現在高いところも、たとえば、イタリアの銀行などのようにあるのですけれども、この金額が、たとえば、仮に不良債権化したとしてもすぐに大手の銀行に問題が出るかというと、たぶんそれはないですね」
松山キャスター
「普通だったら、日本だったら、日銀が為替介入をして立て直したりということがあると思うのですけれども、トルコの中央銀行はそういったリラ防衛のための、そういうシステムというのか、そういう行動をとれるオプションというのはあまりないのですか?」
真壁教授
「実は中央銀行というのは本来独立性があって、経済的な状況に対して適切な処置を遅滞なく打たなければいけないのですけれども。エルドアンさんというのはかなり強権的に政策を運営しておられる方で、中央銀行の政策にまで口出しする、口出しをするという表現は必ずしも適切ではないかもしれないのですけれども、政策の自由度をかなり、手足を縛っているというイメージですよね。そうすると、中央銀行ができることの、たとえば、タイミング良く打っていくのであれば、たとえば、資本の流出というのはそれなりに防げるはずなのですけれども、それが、エルドアンさんに、これはやっちゃいけない、あれはやっちゃいけないと言われると、打てる手段が限られますから、そうすると、タイミングが遅れたり、後手、後手になったりしますと、政策の効果が薄れてしまいますから。現在がちょうどその時期で。だから、投機筋から見たら格好の標的みたいになりかねない、なっているとはもちろん、言いませんけれども、なりかねない状況ですね」
松山キャスター
「トルコの国内で政権と中央銀行との距離感というのは、日本で考えるようなものとは違うわけですか?」
真壁教授
「だいぶ違うと思います。現在の状況、報道されている限りの情報しか持っていないのですけれども、私の知る限り中央銀行は相当手足を縛られてるという状況だと思いますね」
宮家氏
「最近、憲法を改正したんですよ、確か。それで強権というよりも、権力を集中して大統領府にかなりの権限を集めちゃったわけで、その中に中央銀行に対する独立性…」
真壁教授
「そうですね」
宮家氏
「…独立性も含まれていると言われています」
松山キャスター
「あぁ、なるほど」
真壁教授
「独立性を縛っちゃっているという」
松山キャスター
「そういう意味では、強権政治と俗に言われるようなエルドアンさんの手法というのは、エルドアンさんの意向によってかなり中央銀行も左右されてくるという可能性があるということだと思うのですけれども」
真壁教授
「そうですね」
松山キャスター
「エルドアン大統領はそこまで経済政策に詳しいのかどうかというのが重要になってくると思うのですけれども、そのあたりはどうなのですか?」
真壁教授
「うーん、どうなのですかね。経済政策はこれまでエルドアンさんというのはそれなりにワークしてきたので。トルコの国自体、経済のファンダメンタルズはそれほど悪くないです、現在でも悪くないです。ですから、そういう意味では、それなりの効果をあげてきているので、経済政策に関してまったく何もわからないという人ではないです」
宮家氏
「ただ、自分の娘婿を確か経済…にしていますからね」
真壁教授
「そうなんですよ」
松山キャスター
「財務大臣…」
宮家氏
「どこかで聞いたような感じが…」
松山キャスター
「そうですね」
池滝氏
「1つ不安なのは、公正発展党という2002年から権力のある…、テクノクラートというのを重視してきたんですよね。エルドアンさんとそのテクノクラートという両輪でやってきたのですけれども、だんだん強権化するにあたって、そのテクノクラートというのは排除されてきた。エルドアンさん…」
松山キャスター
「日本で言えば、高級官僚的な人達ですよね?」
池滝氏
「ええ、そうですね。そういうのが排除されて、エルドアンさんの独自の政策というのですか、カラーが強まってきて、現在ではイエスマンしか周りにいないという状況の中で…」
真壁教授
「法律まで変えてしまいましたからね。ですから、実際上、中央銀行が打てる政策というのはかなり限られると思いますよ」
松山キャスター
「これはヨーロッパの銀行は、信用不安なんていう話にドンドンなってくると、ヨーロッパ経済にも仮に影響が今後出てきたとして日本への影響というのが今後どれぐらい考えられますか?」
真壁教授
「広がり自体なのですけれども。たとえば、現在の状況であれば、それほど大きな影響にはなっていないですよね。リラの動きを見ても、どちらかと言うと少し戻って安定していますから、これからさらに売り込まれるというふうには…考えにくいですよね。ただ、たとえば、トランプさんとエルドアンさんがさらに衝突が先鋭化して、さらにいろいろな経済問題が起きてくるようなことになってくると波紋が広がりますから。波紋の広がり方はたぶん3つあると思うのですけれども、1つは、トルコの経済がそれこそ瓦解するというような事態になった時には、これは地政学的には重要なポジションですから、そこの抑えが効かなくなるということが1つですよね。それは政治が不安になります。政治が不安になるということは経済にとってマイナスです、ということが1つですね。それから、銀行、ヨーロッパの銀行の話が出ましたけれども、そこにも影響が出る。あともう1つは、新興国という1つのくくりがあって、新興国の経済が本当に危なくなるかもしれないと。要するに、お金がドンドン新興国から出ていって、トルコであり、アルゼンチンであり、ブラジルであり、ドンドン経済がおかしくなって新興国の経済が落ち込んで、それが世界経済の足をひっぱるというようなことになると、これは大きいですよね」

トランプVSエルドアンの裏側
松山キャスター
「エルドアン大統領はこういう発言をしていまして『自分が生きている限り金利の罠には落ちない』ということで、これは12日のトルコ北西部での演説での発言なのですけれども。普通、自国の通貨を防衛するためには中央銀行が利上げを行うというのが常道だと言われますけれども…そういう意味では、エルドアン大統領はそういう経済的な常道の道を敢えてとらないと見てとれるのですけれど、これはどういう事情からこういう発言につながる?」
真壁教授
「本当の、真意というのは言った本人でないとたぶんわからないというところだと思うのですけれど。先ほどおっしゃられたように、資本の流出を止める場合には金利を上げて流出を止めるというのは、初動の治療法ですよね。ただし、それをしてしまうと、たとえば、これまでトルコというのは、建設業で景気を良くして、景気を良くすることによって外資を呼び込んできた。それはそれなりにうまくいって好成長してきたんですよね。それで人気が上がってきた。ですから、現在、金利を上げないとリラがもっと下がるよと言われて、すぐに金利を上げたらその罠にはまっちゃうんだというのが言いたいことなのでしょうね」
松山キャスター
「なるほど」
真壁教授
「ですから、むしろ現在ちょっと耐えてくれれば、要するに、投機筋がただ単に短期的に売っているだけなので、それが落ち着けば、また、元へ戻るよということを言いたいのではないでしょうかね」
松山キャスター
「なるほど。一方、来月の13日にトルコの中央銀行の金融政策決定会合というのが予定されているということなのですけれども、日銀で言えば、日銀の金融政策決定会合みたいなもので、金利を上げるか、下げるかということを話し合う会議だと思うのですけれど。ここでトルコが利上げという方向に舵を切る、その可能性についてはどう考えますか?」
真壁教授
「中央銀行というのは実際のレート、つまり、金利をコントロールする方法というのは他にもいくつかあるんです。要するに、政策金利を上げますと、正々堂々と公明正大に言ってしまうという方法もありますし、それから、市中に出まわるレポ金利とか、要するに、市中の実勢金利を押さえる方法、あるいはその実勢金利を少し持ち上げる方法というのはそれなりに持っているんですね。ですから、エルドアンさんは金利を上げてはいけないというふうに言っているので、政策金利を、たとえば、日本で言うと、それこそ政策金利を変えるのではなくて、要するに、市中の、たとえば、少し長めの金利を少し持ち上げるようなオペレーションのようなことも可能だと思うんですね。ですから、そこでたぶん何らかの折衷案をいくつか、ポケットの中にカードを持っていますから、その中のカードをいくつか切ってくるのではないかと思います」
松山キャスター
「あとエルドアン大統領の発言としてはこういうのもあるのですけれど、IMFによる経済の立て直しに関する発言ですけれども、IMF、国際通貨基金に今回の事態について支援を仰ぐ可能性については『政治的主権を放棄しろというのか』と発言して、これを全面否定したということなのですけれども、過去、たとえば、アジア通貨危機とか、メキシコの通貨危機の時にはIMFが出動して、経済の立て直しをやったという歴史がありますけれども、そういう道にトルコは入らないということを宣言しているように見えますが。これはエルドアン大統領のポリシーというか、そういうことでIMFは絶対、国際機関として立ち入ることは許さないという、そういう意識の表れと受けとりますか?」
真壁教授
「そうですね、宣言ですけれど。IMFというのは、一般的に言われているのは、アメリカの別動隊と言われています。しかも、たとえば、救済をする時に、それこそ箸の上げ下げまで言われるわけですね。これをしてはいけない、あれをしてはいけない、こうしなさい、ああしなさいと全部指示されますから。そういう意味では、エルドアンさんはそういう状況になることを潔しとしないということでしょうね」
宮家氏
「現在の状況を見ていると、彼らは内心はおそらく追い詰められているんだと思いますよ。こういう時に、譲歩をする、妥協をするということは、むしろ自分の政治的な支持を失う可能性があると。むしろトランプさんが変なことやってくれて、それに対して喧嘩をちゃんとしているというファイティングポーズを国民に見せることの方がおそらく政治的には得だと現在は判断しているんだと思う。でなければ、こんなことを言わないと思う」
松山キャスター
「今回の、一連のショックについても、どちらかと言えば、アメリカに責任をなすりつけて、国民の理解を得ると。そっちの方が得策だという?」
宮家氏
「そうですね。リラがあれだけ落ちて、経済的にもいろいろな問題が生じ始めているはずですから、国民の中には当然不満が出てくるはずです。その不満をうまく吸収し、もしくは説明するためには、アメリカに悪者になってもらわなければ困るんです」
松山キャスター
「池滝さん、トルコ国内の国民がずっとこの状況に耐えられるかというと、なかなか経済状況が悪化した状況が長引くと、だんだんエルドアン政権に対する不信感も出てくる可能性はあると思うのですけれども、そのあたりはどうですか?」
池滝氏
「そこが難しいところで。現在、目はトランプ政権との対立に向かっていると、そういう中で国民は支持していると思うんですよね。でも、マーケットというのは、そういう目で動かない、冷静に数字的なものを読んでいく。そうすると、その数字を改善していかないと状況は変わっていかないと」
真壁教授
「もっと言うと、要するに、リラが下がっていますから、輸入物価が上がるんですよね。物価が上がってくると一般の人達も何が起こっていたというのがわかってくると思うんですよ。だから、時間との問題、急落、リラが急落していますから、すぐに物価に跳ね返ることはないですよね。タイムラグがありますから。だけれども、それがずっともつかと言うとそうではなくて、若干のタイムラグを通して輸入物価上がってきて。そうすると国民は、たとえば、食料品を買う時に値段が上がっているというのをだんだん肌で感じるようになりますから。そうなってくると、不満が溜まってくるのではないですか」

中国の影とその戦略とは
竹内キャスター
「ここからは、トルコと中国・ロシアが急接近している動きについて聞いていきます。こちらに最近、中国とトルコの動きについてまとめてみました。7月26日、習近平国家主席とエルドアン大統領の会談が行われ、習近平国家主席が大型プロジェクトの早期立ち上げに意欲を表明したと新華社通信が伝えた。それを受けるように8月3日、エルドアン大統領は『困難克服のため中国人民元建ての国債を初めて発行する予定だ』と発表します。さらに8月11日、エルドアン大統領は『中国などとアメリカ・ドルではなく相手国の通貨建てで取引する準備を進めている』と」
松山キャスター
「真壁さん、エルドアン大統領が人民元建ての国債発行みたいなことを表明したということですけれども、こういう中国にすり寄っているかのように見える政策ですけれども、これはどういう事情だというふうに考えますか?」
真壁教授
「敵の敵は味方だという…」
松山キャスター
「それは対アメリカという構図で、ということですか?」
真壁教授
「はい。ですから、それは、どれぐらい本気かというのはよくわかりません。正直言ってよくわからないですけれども。習近平さんとエルドアンさんの利害が一致していることは間違いないです。要するに、習近平さんは一帯一路という壮大なプロジェクトみたいなものを立ち上げて、一大経済圏をつくるということですから。その背景に覇権国、アメリカが覇権国になったのは1930年代の半ばでしょうから、そうすると、100年ぐらい経つとすると、2030年代。その頃になると、たとえば、覇権国が変わると、たとえば、変わるとなると、現在の候補としては中国になる可能性は高いですよね。そうすると、自国の経済圏、自分の息のかかった経済圏をつくりたい。特に通貨ですね。中国の経済学者と話していると、通貨について非常にセンシティブですね。それは中国の経済というのは、わかりやすく言うと、日本の三十数年前がそのまま現在の中国。だから、三十数年遅れて、中国が日本を追いかけてきていると、そういうイメージですね」
宮家氏
「それはプラザ合意の前ということですか?」
真壁教授
「そう、そうです。なぜ日本が、要するに、あのバブルが弾けたあと、低迷がこれだけ続いてしまったのか。彼らは分析して、1つ行き着いたのは通貨、1971年まで1ドル360円でしたけれど、それが75円73銭まで落とされて。要するに、一生懸命、ドルを貯めたのだけれども、それがドンドン落ちていくという状況になって、結果的に日本の富が残念ながら簒奪された、という言い方はおかしいですけれども、減ってしまったと。だから、中国としてはそういう状況を避けたいというのであれば、人民元が通用する経済圏を少しでも広げておきたいというインセンティブはありますよね。だから、たとえば、現在の中央アジアのカザフスタンとか、ああいうところは、人民元でモノが買えたりするという話を聞いたことがありますから」
松山キャスター
「そう考えると、トルコが中国にすり寄っているという動き、もちろん、それもあるのでしょうけれども、それよりも中国の方がトルコに寄っていっている動きの方が強いと?」
真壁教授
「いや、それは基本的に両者が、キツネとタヌキの化かし合いではありませんけれども、両者、それなりの人達ですから、その利害が一致して、現在はそういう状況になっているという理解が正しいと思います」
松山キャスター
「なるほど。池滝さん、そのあたりどう見ていますか?」
池滝氏
「トルコというのは従来、欧州に向かっていたけれど、ちょっと現在、中東なり、イスラム世界を軸に政策を展開している。その中で中国も利用できるところは利用したい。一方で、その中国に過度に与するということはしたくない。そういう中で、お互いに利用できるところは利用していこうという関係だと思います」

ロシア製最新鋭ミサイル導入の裏
竹内キャスター
「4月3日に、プーチン大統領とエルドアン大統領が会談し、地対空ミサイルシステム『S‐400』の早期供給で合意しました。今月21日には、2020年以降だった供給時期を来年に前倒しするとロシア側が発表しています。一方、アメリカは関係悪化を受けて今月13日、本来トルコが購入するはずだったステルス戦闘機『F‐35』のトルコへの売却を凍結する国防権限法を成立させました。宮家さん、このNATO加盟国のトルコがロシア製の最新地対空ミサイルを?」
宮家氏
「4月3日になっているのですけれども、昨年か一昨年かな、シリアをめぐって、ロシアの戦闘機を撃ち落としたんですよね」
松山キャスター
「ありましたね」
宮家氏
「大喧嘩になって、似たようなことが起きたわけですよ。だけど、さすがにトランプさんではないので、プーチンさんの方が上手だったのかな。私は、トルコはプーチンさんにしてやられたと思っているんです。その中で、関係が改善をしていき、本当は本来あっちゃいけないような地対空ミサイルシステムを導入せざるを得ないようなところまで、私に言わせれば、追い込まれたということだろうと思うんですね。これは軍事的に言うと、エッ?と思うかもしれないけれども、『F‐35』というのは私の知る限り普通の戦闘機ではないですよ。簡単に言ったら、戦闘機に通信コンピューターなりを全部、センサーも全部持っている戦闘機ですよ。ですから、普通は『F‐35』が飛ぶと、相手をボーンと落として、それで戦って帰ってくるのですけれども、現在の『F‐35』は最前線に行って、そこで得たもの全部、司令部に戻して、同じレーダーが空を飛んでいるような感じ。それで、ネットワークで戦争をするシステムですよ、私の知る限り『F‐35』というのは。と言うことは、『F- 35』を飛ばすということは、それと地対空ミサイルのシステムはつながるんですよ。つなげざるを得なくなるわけです。そうなると何が起きるかと言うと、ロシアからすれば、『F‐35』の自分のインターフェイスの情報が入るわけです。だから、そんなのはとんでもないと言うので凍結しているんです」
松山キャスター
「アメリカが止めたと、供給を?」
宮家氏
「ええ。ですから、その意味では、この『F‐35』が単体で動く戦闘機ではなくて、ネットワークのものだというふうに理解をいただければ、これがいかに恐ろしいかということがわかるはず…」
松山キャスター
「普通で考えたら、NATOというのはもともと旧ソ連、現在は仮想敵としてはロシアを想定しているのだと思いますけれども。それに対峙する勢力として、ヨーロッパ各国、トルコも含めて、アメリカと一緒に連合を組んでいるところだと思うのですけれども。そこの1国であるトルコがロシアのミサイル防衛システムを導入するという、これ自体、かなり異例のことだと思うのですけれども」
宮家氏
「だけど、トルコの身にもなってください。もう冷戦は終わったんですよ、ソ連はもうないです、まず第1に。ヨーロッパに騙されたとは言わないけれども、NATOに入れと言われて入ったら、EUには入れてくれないではないかと。EUに入れないで、NATOだけ仕事をやれと、それで冷戦はないのだということになれば、トルコだって自分の利益を追求せざるを得ないと思いますよ。それでシリアではクルド系の連中が、国内のクルド系とPKK(クルディスタン労働者党)と一緒にやっているわけですから、それはロシアとは協力せざるを得ない関係にもあるわけで。それは、トルコが昔のような形で、EUには入れないけれども、NATOで我慢いたします、私は西側の一員でございましてという時代はもう終わっちゃったんですよ」

最悪のシナリオと結末は?
竹内キャスター
「トルコショックが長期化した場合の国際情勢への影響について聞いていきたいと思いますが、真壁さん、最も懸念されることは?」
真壁教授
「経済的にはアメリカの経済がしっかりしている間、世界経済が大きく落ちるような、たとえば、リーマン・ショックのようなことはたぶんないだろうと思うんですよね。ただ、むしろそれよりも心配なのは難民の問題だと思うんですね。トルコ国内には数百万人単位のシリアからの難民がいる。わかりやすく言うと、玄関の場でちょっと待っていろよと、こういう状況ですよね。トルコの経済が仮にもっと状況が悪くなるとそういう人達をサポートすることができなくなりますから、そうすると、最悪のシナリオではその数百万人の難民と言われている人達が一斉にヨーロッパに押し寄せる。そうなってしまうと、ヨーロッパの国にとってはかなり厳しい状況になるだろうなと。たとえば、ドイツのメルケルさんも難民問題や何かで現在、苦労しているようですけれども、こういうところは相当直接なマイナスの影響が及ぶのではないかというふうに思います」
松山キャスター
「逆に難民を現在のところある程度トルコで収容しているという事情があるのだと思うのですけれども、その難民がそのままヨーロッパに流れる可能性があるということ自体、何らかの取引の材料として政権が出してくる、そういう可能性もあると?」
真壁教授
「あるでしょうね。もともとヨーロッパの国というのは、トルコを援助したり、支援したりしているので。もちろん、現在もしていますけれども、これからもするというふうに明言していますから。そうすると、難民が押し寄せられるのは、ヨーロッパ諸国にとっては非常に厳しい状況になりますから、それを何とか防ごうとするとトルコの経済をとにかくもたせて、トルコが自国の経済力で難民を何とかサポートしてくれるのがワン・オブ・ザ・ベストでしょうね」
松山キャスター
「なるほど。池滝さんは、エルドアン大統領が現在、難民問題というのを今後どう取り扱っていくかということについて、どういう見通しを持っていますか?」
池滝氏
「既に、住宅価格の高騰とか、失業問題、いろいろと350万人というシリア人がトルコ国内におりますので、トルコ国民の感情としてもなぜこの人達はいるのという純粋な不満というのは徐々に溜まってきてはいると思うんですね。そういう中で、ヨーロッパに支援を仰いで、お金の面である程度カードとして使っていくということは十分考え得るかなと思います」
松山キャスター
「宮家さん、このシリア難民、350万人とか、400万人と言われますが、トルコ国内にいると、この要因が将来、不安定要因になってくる可能性は?」
宮家氏
「いや、現在、トルコに400万人と言われているのだけれど、シリア側にはまだ350万人いるんですよ。1つ間違ったら、たとえば、また何百万単位でトルコに行くわけ。ですから、これは大変な…」
松山キャスター
「ほとんど倍増近いですね…」
宮家氏
「ええ、そうです。シリアがまず問題なのと。確かに難民の問題はもう議論し尽くしたと思うので、もう1つの気になることを申し上げれば、トルコがNATOから離脱ではないのだけれども、自主的に中立化していく、ドンドン。…という形でロシアの影響力、もしくはイランの影響力、こういったものが、トルコががんばらない分だけ、イランと、それから、ロシアがこの周辺で影響力を高めるということは状況次第では非常に中東全体が不安定になる始まりにもなりかねないので。私は、トルコという国は絶対に独立した豊かな国であり続けないといけないと思っています」
真壁教授
「うん」
松山キャスター
「そういう意味では、アメリカのトランプ政権がやっている手法というのはかなりリスキーなやり方をとっているということですよね?」
宮家氏
「うん、普通のアメリカの外交・安保の専門家であれば皆、そう言うと思います」
松山キャスター
「なるほど。安全保障面でもかなり微妙な立場にトルコは置かれているということだと思いますけれども。真壁さんはトルコが今後向かう方向についてどういう見通しを持っていますか?」
真壁教授
「たぶんヨーロッパのEU諸国、特にドイツがそうだと思うのですけれども、かなり本気で支援をするのだろうと思うんですよね。しかも、ドイツの国民の意識の中にトルコは守らないといけないという意識がかなりはっきりしていると思うんですよ。私の友人連中に聞いても、10人中9人はそうすべきだと言っていますから。そうすると、相当の支援をトルコは得ることができるんですよね。そうすると、それを使って、うまく経済政策を運営していくと、それなりの経済成長率を維持できると思います」
松山キャスター
「なるほど」
真壁教授
「と言うことは、要するに、対立関係、アメリカと、もっと言えば、トランプさんとエルドアンの対立さえ何とか氷解させることができるならば、トルコの経済というのは問題なく、それなりに運営することは可能だと思います」

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言:『トルコは世界一の親日国!』
宮家氏
「これは提言ではないのですけれども、トルコは、こんなに日本のことが好きな国は他にはあまりないと思うんですよね。こんな大事な国をとにかく見捨てない。仲良くする。友達として、欧州にも、中東にも、中東アジアにも顔の効くこの国を大事にした方がいいと私は思います」
松山キャスター
「歴史的にもいろいろなつながりがありますから、日本は?」
宮家氏
「はい」

真壁昭夫 法政大学大学院政策創造研究科教授の提言:『冷静なRISK分析!』
真壁教授
「私は『冷静なリスク分析』ですね。今回、トルコ・リラが急落したんですよね。ただ、経済的に見ると、そんなに慌てる必要はないと思うんですよね。GDP(国内総生産)の金額は8500億ドル、日本の5分の1以下ですから。そういう意味で、冷静に見ていくこと、特に個人の投資家ですね。もう1つは、リスクはどこにあるのか。たとえば、政治的、あるいは安全保障の面で、トルコはどういう立ち位置に立つのかというのは冷静に見る必要があるなというふうに思っています」

池滝和秀 時事総合研究所客員研究員の提言:『イスラム世界の大国として尊重を』
池滝氏
「トルコはこれまで欧州のある意味、都合のいいように使われてきた部分はありました、NATOの同盟国として。そういう中で、トルコというのは、イスラムにより近い政権が誕生することによって体制がかなり変わってきていると。そういうことでイスラム世界の大国として、立ち位置としてやっていきたいということを明確にしておりますので、そういった内政上の変化というのをしっかり理解したうえで、トルコを尊重してあげる、尊敬してあげるということが必要なのではないかなと思います」
松山キャスター
「トルコという国自体が実利主義みたいなところから、イスラム化している、この方向性は今後も変わらないと?」
池滝氏
「はい、それは変わらないと思います。これまでの世俗体制というのは、非常に無理、押さえつけた形でしたので、それが解き放たれたとい