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2018年8月24日(金)
深刻化する海洋の汚染 廃プラスチック最前線

ゲスト

北川知克
元環境副大臣 自由民主党衆議院議員
崎田裕子
ジャーナリスト
磯辺篤彦
九州大学応用力学研究所教授

『廃プラスチック対策』最前線 G7『海洋プラスチック憲章』
生野キャスター
「プラスチックごみの問題が深刻化しています。先月、撮影されましたレバノンの海岸です。無数のペットボトルやプラスチックごみが散乱しているこの脇で、カモメがエサを探している写真です。見ていますと、とても辛くなる様子ですけれども、このごみ問題を何とかしようとする動きが世界で加速しています。アメリカ大手コーヒーチェーンや日本の大手ファミリーレストランも数年のうちにプラスチック製のストローの使用をやめると発表するなどプラスチック製品を規制する流れが生まれています。今夜は、プラスチックごみの現状を知るとともに、プラスチックごみを減らすための対策について検証していきます。6月にカナダで行われましたG7サミットで『海洋プラスチック憲章』が提案されました。ポイントは2030年までに100%のプラスチックが再使用可能、リサイクル可能、または実行可能な代替品が存在しない場合には、熱回収可能となるよう産業界と協力する。この熱回収と言いますのは、廃棄物を単に焼却処理するのではなく、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収して発電などで利用することです。また、2030年までにプラスチック包装の最低55%をリサイクル、再使用し2040年までに全てのプラスチックを熱回収含め、100%有効利用するよう産業界及び政府の他のレベルと協力するということなのですが。この提案にカナダ・フランス・ドイツ・イタリア・イギリス・EU(欧州連合)の首脳が署名しましたが、日本とアメリカだけが署名をしませんでした。北川さん、なぜ日本は署名をしなかったのでしょうか?」
北川議員
「本来であれば、これはG7全ての国が一致して、憲章に署名をして進めるべきところであろうと思います。我々は与党の中でもなぜ署名しなかったのという強い意見というか、叱責も受けたのでありますが、現場における外交のギリギリの対応があったと思いますし、我が国においてまだ国内の調整が、この年限付の数値目標ということになると、まだ根まわしと言いますか、そのあたりの周知徹底ができていなかった点と、これまでの情報収集を含め、ここまでの数値目標が設定されるということについての深堀りができていなかったということもあったので、最終的には慎重な形で今回は署名をされなかったということだと思います。今後、来年、G20 が日本でありますので、議長国としてG7、またG20、この海洋ごみというのは、海に出るプラスチックをいかに減らしていくかということですので、先進国だけでできる話でもありませんし、今後、こういう開発途上国を含め、全ての国々が協力をしていくという中で日本がいかに今後はリーダーシップを発揮できるかということにかかってくると思います」
松山キャスター
「このプラスチック憲章の文言の中で、たとえば、『2030年までに100%のプラスチックが再使用、リサイクル、代替品が存在しない場合は熱回収可能とするようにする』とか。もう1つは『2030年までにプラスチック包装の最低55%をリサイクル又は再使用』とありますけれども、日本としてはどこの部分がすぐにこれを受けられないと?」
北川議員
「全体の中で、国民生活とか、産業界に及ぼす影響と、これを精査しなければならないと思うのですが。いずれにしても今回、G7でこういう方針が出ましたので、我々とすれば、政府も含めて、崎田先生がお越しですけれども、環境省の小委員会の中でこのプラスチック戦略は現在検討していただいていますので。来年のG20 に向けては、このG7で出された内容、もしくはこれ以上の方針を是非出していただきたいなと我々は期待をしておりますので。今後、そういう方針に基づいて政府も取り組んでいただけるものだと確信いたしています」
松山キャスター
「プラスチックごみが海洋にどれほど廃棄されているかということですが、国別に見ていきましょう。2010年の推計で中国は年間推定最大で1年に353万トン、プラスチックごみが管理されずに排出されています。次にインドネシアが最大で1年に129万トン、次いでフィリピン、ベトナム、スリランカとなっていまして。アメリカは20位。30位が日本となっています。崎田さん、アジア諸国がかなり上位を占めているわけですが、その理由と、どういう対策をとっていくべきか、そのあたりはどう考えますか?」
崎田氏
「表にあったように1位から4位あたりが、東アジア、東南アジアが上位にあるわけです。現在いろいろな廃棄物と言うか、廃棄…、資源化するような廃棄資源がアジアの国が受け入れていて、うまく全部きちんと処理できずに不適正な処理をされているものがあるかもしれない。あともう1つは、資源のリサイクルのシステムがまだ社会に整っていないという。そういうことで現在、実は環境省が国連に呼びかけて、アジア地域で毎年、『3R』に関す国際会議『3Rアジアパシフィック3Rフォーラム』というのを開催していて、アジア各国が循環型社会の制度づくりをしっかりとやることを支援するような、そういう国際会議を毎年、ここ8年、9年やっておられるのですけれども。そういう中で、そういう意味では、かなりいろいろな国で制度が整ってきている。それを現在、自治体がしっかりと地域社会に根ざすような形に持っていく、そういうところの国が大変多いのではないかなというふうに思います。そういう仕組みづくりとか、それの設備とか、そういうことに関しても日本は是非、そういう技術がある国ですので支援するとか、そういう国際展開を日本もしっかりとしていくとか、何かそういうきっかけがこういうところにもあるのではないかなという感じがしています」
北川議員
「先ほど、崎田先生からお話がありましたように、日本がお金というか、出資を出しながら、過去8回、アジアの3R会議というのをずっと主催をしてきています。開催される都市というのは、横浜であったり、東南アジアの国々でやっているのですけれども。それを続けてきた中で、こういう3R事業等に関する…」
松山キャスター
「3Rというのは、リサイクルとか、そういう…?」
北川議員
「ええ、リデュース、リユース、リサイクルと、3R…」
松山キャスター
「リデュースというのは減少ですね、リユースというのが再利用…」
北川議員
「うん、排出抑制、それから、再利用、再生利用と、この3つですけれども。それを進めてきておりますので、今後その3R事業をより幅広く展開をすると同時に、そういう技術、また、各国の担当の方々に、そういうノウハウというのを今後、日本が中心になって進めていくべきだとは思います」

海洋汚染 人体への影響 『マイクロプラスチック』の現状
生野キャスター
「海洋におけるプラスチックごみの中でも1番問題とされているのが、5ミリ以下の小さなプラスチック、マイクロプラスチックです。磯辺さん、マイクロプラスチックというのはどのようにしてできるのか、説明していただけますか?」
磯辺教授
「まずプラスチックが、どこで砕けていくか、崩壊していくか、小さくなっていくかというのは、まず海岸だろうと言われています。これは紫外線による刺激だとか、物理的な砂による摩擦だとか、そういうものがあるから海岸で砕ける。それを前提にすると、海にいろいろな大きさのプラスチックが浮かんでいます」
松山キャスター
「まず水面にプカプカ浮かんでいる…」
磯辺教授
「そうですね、浮かんでいる、浮かんでいますね。この時、海には波があって、波というのは基本的に寄せては返すという形であまりモノを運ぶ力はないのですが、波が高くなってくると、少しずつ少しずつ海岸の方にモノを運ぶんです。そうなると、大きなプラスチックのごみというのは割と浮力が大きくて上の方を向いていますから、岸にドンドン運ばれて、岸で細かくなっていって、細かくなっていったものはまた波にさらわれて、今度はもうどこでも自由に動きますから海を広く広がっていく。言ってみれば、海というのが大きいプラスチックの粒を海岸に持っていって、マイクロプラスチックにして、海に返すという、そういう機能を持っているということですね」
松山キャスター
「この岸まで大きなプラスチックごみがたどり着いた時にそこからまた細かくなって、細かいものがドンドン海の中で沈んでいくという話だと思うのですけれど、細かく砕けていくのは、たとえば、太陽の光とか、そういうのも影響したりするのですか?」
磯辺教授
「大事なポイントだと思うのですが、実はプラスチックというのは、謎の多い物質で、私どもは、プラスチックかどういうプロセスで細かくなっていくかということについて、ここまで細かくなっていくことについてまだ科学的な知見がほとんどないですね」
松山キャスター
「それは具体的に細かくマイクロプラスチックの形になってしまった細かい粒が海に流れていくと。それは生態系に対してどういう影響を与えてくるのですか?」
磯辺教授
「ええ。マイクロプラスチック、いわゆる5ミリ以下になったもののマイクロプラスチックと言いますが、それがどこまで細かくなるかも実はよくわかってないのですが、とにかく1ミリ以下、あるいは数百マイクロ、数十マイクロになってきますと、たとえば、動物プランクトンだとか、そういった海洋の生物の、小さな生物と同じぐらいの大きさになってしまう。これは魚、魚類等々を含めて、容易に誤食を通して生理的に入ってしまう大きさですね」
松山キャスター
「エサだと思って食べちゃう」
磯辺教授
「はい、食べちゃう。そもそもプラスチックというのは、非常に吸着性の高い物質で、海の中に薄く広がって、無害と言ってもいいようなPCBのような有機汚染物質を小っちゃなプラスチックの粒が全部吸着してしまう。ですから、それがそのまま生物に入っていくことによって生物の中にそれが脱着していく、つまり、汚染物質の運び手になってしまうということがまず言われています。あるいはそれだけではなくても、まったくプラスチックは無害ですが、栄養にもなりませんから、栄養にもならないものを食べちゃった生き物というのが食べることにもちろん、エネルギーを使いますから、それがまったく無駄なエネルギーになってしまって、摂食障害等を起こして、生態系が少しずつ弱くなっていくというようなことも起こるであろうと言われています」
松山キャスター
「崎田さん、マイクロプラスチックの被害という話をされていますが、我々日本人は世界各国の中でもすごく多くの魚を食べている民族だと言われますけれども、そういう意味では、プランクトンが食べてしまったマイクロプラスチックを、また、その大きな魚が食べてということで食物連鎖外が続いていくと…」
崎田氏
「そうですね、はい」
松山キャスター
「食卓にあがっている魚の中にもなんとなくプラスチックの成分みたいなもの、あるいはプラスチック容器についていた塗料みたいなものが残っている、成分が薄くなっても魚の体内に残ってしまう可能性が出てくるということなのですか?」
崎田氏
「これからもっとそういう、増えてくれば、そういう可能性もある。現在はまだ普通に市場とか、スーパーで買ってきて、それを自覚するなんてことはないですけれども、徐々にそういう状況になってくる可能性がある。しっかり考えていくことが大事だと思います」
磯辺教授
「先生がおっしゃったことは非常に大事なポイントだと思うんですね。現在、実際に、マイクロプラスチックによってそういう化学汚染物質等々が海洋生態系に入っていくというのは実験して調べられて、確かにそうであろうということがほぼコンセンサスとして得られつつあるという段階で。実際の海でマイクロプラスチックによって海洋生態系に何らかのダメージが出ただとか、あるいは魚に何か蓄積している、そういった実証例はまだ出ていないですね。それだけまだ浮遊量が少ないから、心配しているのは、プラスチックはなくなりませんから、これから増えていったらどうなるのだろうかという、未来を私達は心配しているというところですね。従って、おっしゃたように、魚を現在食べたらどうしたとか、そういった話はないと思っています」
松山キャスター
「量が増えていくと今後、悪影響もまったく否定できるわけではない?」
磯辺教授
「それが50年後か100年後かわかりませんが、それを調べるのが私達の仕事だと思っております」

『マイクロプラスチック』の規制
生野キャスター
「先の国会で『改正海岸漂着物処理推進法』が成立しました。改正法には事業者に対しマイクロプラスチックの使用と廃プラスチックの排出を抑制するよう努力義務を規定、また、罰則規定はなしと、日本で初めてマイクロプラスチックの対策が盛り込まれました。北川さん、ただ努力義務で、また、罰則規定なしということなのですが、これでマイクロプラスチックを減らすことはできるのでしょうか?」
北川議員
「この法律で罰則規定がないということで、与野党、我々、この法律をつくるにあたって、これでは生ぬるいからは罰則規定を設けろとか、様々な意見がありました。しかし、現実にマイクロプラスチック、マイクロビーズ、生産また使用しているメーカーなどが自主規制の中で現在7割、8割、生産を、規制をされてきていますので…」
松山キャスター
「マイクロビーズというのは洗顔用の洗剤とかに入っている、プツプツした…」
北川議員
「洗顔用とか、歯磨き粉とか、そういう細かい…」
松山キャスター
「…細かい小さいプラスチックですね?」
北川議員
「そういうものについては、ここまで努力をされているのであれば、その努力を続けていただこうと、それによって結果を見ようと。もしこれ以上増えるというようなことで、努力義務でも業界の方々も含めて減らないということになれば、いずれ法規制も必要かもわかりませんが、まずスタートとすれば努力規定で最初はスタートしようということでこの法律をまとめたわけでありまして」
松山キャスター
「とは言え、努力義務だけだとなかなか強く規制するというところまでいかないと思うのですけれども、これはまずはスタートポイントとしてここから始めざるを得ないということなのですか?」
北川議員
「はい、また国会での審議の中でも、この法律に基づいて努力をされなければ、いずれ法改正が必要だということも、罰則規定が必要だということは強く打ち出しておりますので。我々とすれば、国民の皆さんというか、関係者の皆さんを信じて、この法律を是非進めていきたいなと思っております」
松山キャスター
「磯辺さんはこの新しい改正法ですけれど、効果があると考えますか?」
磯辺教授
「マイクロプラスチックという言葉がもう入って明言されたというのは非常に大きな進歩だと思っております。これは、つまり、プラスチックの消費に対し、いわゆるシングルユースの使い捨てのプラスチックが最終的にはどうなるのかというのを認識したうえで、それを法に盛り込んだ、罰則規定がないという話も先生はおっしゃいましたし、それは残念なことでありますけれども、ここから始めて少しずつまた科学的な知見の下に、よりシビアな規制という方向というのはあり得ると思っています」
松山キャスター
「我々がこの議論する時に、日本周辺でマイクロプラスチックは実際にどれぐらい分布、海岸で打ち寄せてきているのかちょっと知りたいところがあるのですが、それについて説明していただけますか?」
磯辺教授
「これは2014年から環境省が、我が国の環境省が始めた事業ですけれど、東京海洋大学の海鷹丸・神鷹丸、現在は北海道大学・長崎大学・鹿児島大学の船が参加して、全部で、5隻体制で日本の周辺のマイクロプラスチックの浮遊量を先ほどの映像に出ましたあの方法で計測して、これは…」
松山キャスター
「波にこう…」
磯辺教授
「そうです。ここまで系統立った調査をやっているのは世界でも我が国ぐらいで、こういう意味では非常にマイクロプラスチックの監視というものに関しては、我が国、日本は先進的だと思っています。その結果わかったことはこの大きな丸がだいたい海水1トンあたり100個ぐらいなのですが、それぐらいの粒が海の表面に浮いている。平均すると、日本周辺で海水1トンあたり3個から4個、3粒から4粒のマイクロプラスチックが浮いている。その量がどういう量かというのはなかなかイメージしにくいと思うのですが、実はこれは北太平洋の平均値の10倍、さらに南半球の100倍、南極…、南極海も含めて…」
松山キャスター
「かなり濃い量が日本近海にはあるということですか?」
磯辺教授
「特に濃いですね」
松山キャスター
「特に濃い?」
磯辺教授
「特に濃いです。東アジア…、東アジアの海というのは、北太平洋も含めると世界の平均に比べて1桁多いというような浮遊量になっています。先ほど申し上げましたように、海洋でまだマイクロプラスチック…、海洋プラスチック汚染が海洋生態系に何か顕在して、何か影響が出たという事例はないという話を申し上げましたが、このままいくと、たぶん世界で最初に影響が出るのは日本近海というか、東アジアの海であろうということが想像つきます」
松山キャスター
「図を見ると、たとえば、日本海側、特に北日本がかなり増えている、かなり量が多い感じになっていたり、あと西日本の太平洋側が多かったりというのがありますけれど、これから読み取れるそのマイクロプラスチックの流れてくる出元というか、類推できたりするのですか?」
磯辺教授
「これで出元というのはわかりません」
松山キャスター
「わからない…」
磯辺教授
「マイクロプラスチックそのもの、粒を見ても出元というのはわかりません。これも、おっしゃった点、確かによく目立つところですけれども、これは日本海側の秋田県の沖あたりにたくさんあるというのは、ここでもちろん、出ているわけではなく、ここは海流の収束域ですね。日本海には対馬暖流が流れていますが、対馬暖流が集まって津軽海峡に流れていく、その集まるところでもありますので、日本海に広く広がったマイクロプラスチックがこういうところに集まっているということになっているだろうということが想像できます」
松山キャスター
「ただ世界の他の地域に比べて日本近海にかなり高い率でこういうものが含まれているというのは、それはアジア特有の現象、アジアの国がそういうごみをたくさん輩出しているからという、そういう背景があるからですか?」
磯辺教授
「1つは、世界の中の管理されないプラスチックごみの55%が、アジア域、東アジア・東南アジアから出ているというのが1点。もう1つは、プラスチックというのはなくなりませんから、日本は早くから経済発展を遂げてきた国でそれだけ長い間、プラスチックごみを出し続けた国でもあるわけですね。そういった蓄積もあるのだろうと考えています」
松山キャスター
「崎田さん、日本近海で他の地域より高い率でマイクロプラスチックが発見されるということなのですけれども、プラスチックごみを排出している国ごとの量というのも影響してくると思うのですが。そのあたりはどう分析されているのですか?」
崎田氏
「今回、これはマイクロプラスチックの話題ですけれど、マイクロプラスチックそのものと、2次的にできていく、小さいものがもっと小さくなってくる2次プラスチック、いろいろありますけれども、人口1人あたりのプラスチック容器廃棄量というデータをUNEP(国際連合環境計画)で出しているんですね、定期的に調べて。それによると最近、1位がアメリカで、2位が日本ということで、いわゆる使い捨て型のプラスチック容器包装を使っている、国民1人が使っている量、廃棄している量が現在世界で2位という、そういう…」
松山キャスター
「プラスチック容器を使っている量は、日本は世界で2番目なのですか?」
崎田氏
「はい、そういうデータが出ているんです。ですから、たとえば、きちんと管理して資源回収をしたりということもかなり進んでいます…いますけれども、絶対量がこれだけ多いというようなことで。もっともっと皆、きちんと自分達の暮らしとか、そういうことの影響のつながりの中に、こういうマイクロプラスチックの問題、あるいは海岸漂着ごみの問題、こういうのがあるのだということをちゃんと認識しておくのが大事なのだと思っています」
松山キャスター
「我々、プラスチックごみの話をする時に日本はきちんと規制したり、ごみをきちんと分別していたりするので、あまり当事者ではないというイメージを持っている人も多いと思うのですけれども…、実はそう言い切れないということですよね?」
崎田氏
「はい、そうですね」
松山キャスター
「日本がかなり出している可能性がある?」
崎田氏
「これは、日本は当事者としてもちろん、そういうモノをつくっているメーカー、販売事業者さん、それを便利だと思って使っている私達消費者、皆きちんとこういう現実を考えながらいくということが大変重要なのだと思っています」

中国輸入規制の衝撃と影響
生野キャスター
「さて、プラスチックごみをめぐる問題でもう1つ大きなトピックスがあります。それは、中国がプラスチックごみの輸入を昨年末に禁止したことです。日本は自国で処理しきれなかったプラスチックごみを各国に輸出しているのですけれども、その最大の相手国が中国でした。今年に入ってから中国との取引がほとんどなくなっているのがこのグラフからわかります。この中国の措置が各国に与えたインパクトをどのように見ていますか?」
崎田氏
「現在、日本がこれまで輸出していたというお話ですけど、日本だけではなくて、先進国の多くの国が、プラスチックだけではなくて、紙とか、衣類とか、いろいろなものに関して、使い終わったものをまとめて中国の方で再生資源として使ってもらうという、そういう流れで輸出するという、こういうことを日本はじめ、世界各国がやっていたと。そういうことを中国の方も、国内でそういうのをキチッと適正に活用しきれずに環境影響が起こっているとかいろいろな課題が国内で起こってきて、そういうことですね、輸入を一切しないという決断を政府がしたというようなことが、昨年発表があって。それで今年から実際にも止まっているということで。日本はこれまで150万トンぐらい、廃プラは海外に輸出していたのですけれども、それが結局止まったということで、現在、それを他の国で受け取ってくれないか、あるいは国内で新しい産業興しができないかというふうに、真最中だというふうに思います」
松山キャスター
「中国が突然、廃プラの輸入をストップさせたというのは中国国内での事情というのがあったということなのですか?」
崎田氏
「これは国内事情、中国の方の意思だというふうに思います」
松山キャスター
「要するに、中国国内でもたくさんのプラスチックごみが出てきていて、自国の処理分っていうのも考えると、到底、他の国の分まで受け入れている余裕がなくなってきたとか、そういうこともあるということですか?」
崎田氏
「自国の処理というのもあると思いますが、表向きの理由としては海外からいろいろ来る、日本だけではなく、海外から来るものの中に環境的に不適正なものまで入っていて、それが中国の国内で環境保全に影響があるというような理由で発表しているという、そういう状況ですけれども」
松山キャスター
「北川さん、中国が受け入れを突然ストップしたという話ですけれども、これによるインパクトは日本も大きく受けているということなのですか?」
北川議員
「そうですね。これまでいろいろな組織、自治体も含め、処理しきれなかった廃プラスチックを中国に輸出をして対価を得ていたという部分もあったでしょうし、ですから、今後はそれぞれの自治体も含めて、業界も、自分達でどう処理をするかということを考えていかなければならない時代がきていると思います。昨年末に『プラスチックリサイクル設備の導入に対する国庫補助制度』、これが創設をされていますので、こういうものを活かしながら国内での廃プラスチックが対流をしないようにキチッと処理をしていくということが今後の課題にはなると思います」
生野キャスター
「プラスチックごみの削減に向けて今年5月、欧州委員会は厳しい規制案を提出しました。プラスチック製のスプーン、フォーク、ナイフ、皿、ストロー、軸の素材がプラスチックの綿棒、それから、風船を結びつける棒など、こういったものは代替品に切り替えるよう義務づけました。また釣り具に関してはメーカーがごみの収集費用を負担。ペットボトルに関しては2025年までにペットボトルの回収率を90%に高めるようEU加盟国に要請、というふうになっているのですけれど。ここまで細かく具体的に示しているということについてはいかがですか?」
北川議員
「それぞれの国の事情も踏まえながらできるところからやるということ、その姿勢が大事ではないかなと思います。EUがこれをやったら日本も右へ倣えと、同じ製品を同じように規制ということについては、慎重な部分もあって然るべきだと思います。調査・研究というものをキチッとした中でやっていかないと拙速にことを運んで、あの時はどうかということもあるし。逆に急がなくて時間をかけてしまったばっかりに被害が増えたと、昔の水俣病ではありませんが、そういうことも考えてやらなければいけないとは思います」
松山キャスター
「崎田さんは欧州委員会が新たに規制案を出したということで、かなり細かい部分まで踏み込んでいますけれど、なかなか日本はこのままの基準ですぐに細かい部分までやっていくというわけにはなかなかいかないということだと思うのですが、ヨーロッパの基準をどう見ていますか?」
崎田氏
「これはいろいろ調べてみますと、EU諸国が海岸線にある、海岸線の漂着ごみがどういうものがあるかというのを調査し、個数ベースで上位10項目を明確に対象にしたというふうになっているんですね」
生野キャスター
「なるほど」
崎田氏
「ですから、お話があったように、その国、その国の特有の特徴というのがあるはずですので、日本でもそういう調査、かなり調査を日本も長年、ここ10年ぐらい調査は進んでいますので、そういう中で、きちんと日本として考えていくべき、優先順位を皆できちんと共有しながら考えていくというのが大事なのだと思います。ここにペットボトルというのがあって、ペットボトル回収率を2025年までに90%と書いてありますが、実は現在、日本は既にペットボトルの回収率を85%とか、86%までいっているんです。ただし、海岸線とか、川のクリーンエイドに参加すると、ペットボトルが本当にたくさん川辺に打ち上げられているんですね、ですから、回収率は高いのだけれども、まだまだ私達の生活とか、地域からしっかりと管理されずに出ているものがあるのだということをきちんと考えていくのが大事だというふうに思います」
松山キャスター
「先ほど、北川さんの話の中で、3Rと言いますか、リサイクルとか、リデュース、リユースという話がありましたけれども、日本としてまず真っ先に1番取り組めそうな部分、その3つのうちだとどれが1番、積極的に?」
崎田氏
「日本は、リサイクルが非常にうまくいっている国だと思うんです。リデュース、リユース、リサイクル、すごく大事ですが、リサイクルというところをしっかりとやってきた。だからこそ課題としてはリデュース、リユースをしっかり。ですから、できるだけ、たとえば、使い捨て型で便利だなと思っているけれど、なくてもいいものを少し減らしていくとか、そういうところからしっかり考えていくというのが今回のこういうEUの取り組みとか、そういうことから私達が学ぶべきことではないかなと思います。なお、現在、そういういろいろなことを非常に敏感に感じて企業の皆さんが、我が社ではこうしますというふうな、いろいろなことを言ってくださって、、いろいろな動きがありますけれども」

『廃プラスチック対策』最前線
生野キャスター
「アメリカの大手コーヒーチェーン・スターバックスではプラスチック製のストローを2020年までに全世界2万8000以上の店舗で廃止。日本のファミリーレストラン大手・すかいらーくホールディングスは、プラスチック製のストローを2020年までに国内外のおよそ3200店で廃止ということですね。相次いでいますよね」
崎田氏
「はい。こういう世界の潮流を考えて、これまでグローバル企業は、かなりこういう発表していたのですが最近、日本に本社があるような企業もそういうことをきちんと言うという、そういう状況になってきて、これはとても良いことだというふうに思います。ただし、ストローということを対象にしてくださっていますけれども、ストローだけではなく、この一歩を小さな一歩だけど大きな一歩にして広げていただくというのがこれから期待することかなというふうに…」
松山キャスター
「もっと大きいプラスチックの容器とかもありますから」
崎田氏
「そうですね、はい」
松山キャスター
「コップとか、スプーンとか…」
崎田氏
「そうですね、はい。実は10年ぐらい前から、スーパーのレジ袋はマイバッグを持っている人はお断りしましょうとか、そういう運動が全国で広がっていますよね。でも、実はレジ袋を無料配布するという、いろいろな動きが広がっていますが、それをきちんと取り組んでいる自治体がまだ4割ぐらいですね。自治体というか、自治体ベースで企業と協力し合い、協定を結ぶとか。そういう意味で、私達はこれまで随分取り組んできたけど、まだ完璧にいっていない。たとえば、お買い物でレジ袋をいつももらうのをやめて、マイバッグでいくとか、そういうレジ袋無料配布を中止するとか、こういうことは現在の私達にとっても非常に身近な話だと思いますので、そういうことが大事なことかなというふうに思います」
松山キャスター
「磯辺さんは、世界各国でこういう取り組みが既に始まっているということですが、ただ、特定の一部分のみでまだ始まっているという印象なのですけれども、少しずつでもこういう取り組みをやっていくことが将来につながるということなのですか?」
磯辺教授
「崎田先生がおっしゃった通りだと思うんですね。たとえば、ストロー、アメリカ・スターバックスはアメリカが発祥ですけれども、アメリカで2017年に、NPO(特定非営利活動法人)さんがレポートをつくられているのですが、アメリカの海岸、全米でだいたい1%ぐらいですね、落ちているごみの中のストローの占める割合というのは。と言うことは、ごくマイナーなごみであることは間違いないです。と言うことは、これはあくまでもきっかけに過ぎないということですね。まるでストロー狩りのようにストローを狩る、それで終わりということではなくて、あくまでも使い捨てのプラスチックというものは決して褒められたものではないということを皆さんがこれで認識するということが、これがきっかけで始まればいいなと思っています」

『プラスチック資源循環戦略』
生野キャスター
「政府は海洋プラスチック問題を解決するため先週、『プラスチック資源循環戦略小委員会』を開き、次の論点を示しました。リデュース、リユース、リサイクル、再生材・再生可能資源の利用、海洋プラスチック対策、国際展開、海洋プラスチック憲章、となっているのですが」
松山キャスター
「北川さん、この資源循環戦略の中で、6つ目に『海洋プラスチック憲章』、まさにそのものが入っているのですけれども…、これはまさに日本が署名を見送ったものですけれども、これが敢えてここの項目の中に入っているというのは、これは将来的には日本はこれへの署名を目指すということなのですか、近いうちに?」
北川議員
「もちろん、それも目指すべきところでしょうし、先ほど申し上げましたように、来年がG20、日本が議長国ですので、今回、G7が出したこの憲章に負けず劣らずと言ったらちょっと語弊があるかもわかりませんが、それに匹敵するぐらいの具体的な方針というのは出すべきだと思いますし、現在、崎田先生のところで小委員会、今後議論をしていただけると思うのですが、そういう前向きな方針というのを示していただけるものだと確信もしていますし、我々、党としてもそういう方向性を是非応援をしていきたいなと思っています」
松山キャスター
「崎田さん、この資源循環戦略については小委員会の方でいつぐらいをメドに、どういう形でものをまとめていくというスケジュールなのですか?」
崎田氏
「初回に私が受けた説明では今年度、今年いっぱいにだいたいの方向性というか、まとめをして、来年が始まった時にパブリックコメントを、多くの社会の意見をうかがう。今年度、来年の3月まで…の間にまとめるというような、そういう形で進めたいというご説明がありました」
松山キャスター
「なるほど。そういう意味では、今年度中にまとめて来年のG20の場ではきちんと日本の政策を打ち出していくということですね?」
崎田氏
「はい、そうですね」
北川議員
「G7で署名ができなかったという、こういうある意味、ご批判もいただいたのですが、これを糧としてG20、議長国で日本が発信することによって逆に日本がリーダーシップを発揮できる部分になってきますし、なおかつ、『SEGs』という国連の17の目標を掲げていますが、その14番目に、この海をきれいにしていこうという項目もありますので。よく昔から海洋国家日本と言われていますけれども、そういう技術も含め持っているものはたくさんあると思いますので、是非、G20でのリーダーシップを我々与党としては政府に発揮をしていただきたいなという思いでありますので。現在やっていただいている、小委員会の提言を受けながら、政府を是非バックアップをしていきたいなと思っています」
松山キャスター
「磯部さんはこの小委員会の提言、6つありますけれど、どの部分に1番注目されていますか?」
磯辺氏
「特に5番目の国際展開に関して、海流はごみを、国境を越えてつなげますから、これは日本だけがいかに徹底的な管理をしても、流れてくるごみはあるわけですね、あるいは日本が出すごみもあります。と言うことで、これは周辺国を含めて、同じようなことをやらないと結局同じことになってしまう、長続きしないということになってしまいます、という話だと思います」
松山キャスター
「あとよくこの手の環境の話の記事を見ていると、たとえば、世界的には大きな大河、中国の大河、揚子江とか、いろいろありますけれど、大河を中心に流れてくるプラスチックごみがかなりの量を占めているみたいな話もよくありますけれど、実態としてはどうなのですか?」
磯辺氏
「そうですね。よく誤解があるのは、漂流・漂着ごみを海岸で、たとえば、行楽客、あるいは漁業者が捨てているものであると、これは大きな誤解。実はもう80%、90%は内陸で捨てられたものが川を、小さな川に入って、それが大きな川に入って、さらに大きな川に入って、海に出てというようなプロセスで流れていくものだと言われていますし、たとえば、東アジアで、揚子江、長江は非常に大きなごみの供給源ですが、あれは非常に長い流域面積を占めていますから、流域面積がありますから、そこで集まったごみが出るということですね。従って、ごみの起源は、私達の日常の生活であって、それを川が海につなぐというような話になるという理解は皆さんしておくべきだと私は考えます」
松山キャスター
「そうとは言え、いろいろな海流の動きも含めると日本の周辺の海域でのプラスチックごみの量がかなり多くなっているという話なので、日本としては、本格的にこれを本腰で取り組まなければいけないということですよね?」
北川議員
「うん」
松山キャスター
「北川さん、このリデュース、リユースの部分は日本はどういうふうに取り組んでいくべきだと?」
北川議員
「それは消費者の皆さん方の理解・協力が不可欠だと思いますし、排出抑制というのはもちろんのこと、リターナブル瓶のお話を具体的にしましたけれども、そういう再利用できるものを再利用していくということも、今後、政府の方針として強く打ち出すべきでしょうし、それから、リサイクルについてもキチッともう一度、再点検する必要があると思いますね。川を経由して、海に出ている…、日本海側というのは海から漂着するペットボトルをはじめ、プラスチックごみも多いのですけれども、瀬戸内海含め、太平洋側というのは国内由来のペットボトルとか、プラスチックごみが多いものですから。これは普段のポイ捨てとか、よく信号の手前になると街路樹のところにレジ袋でそのまま飲み物が捨ててあるとか、こういうのは現実にあるものですから。こういうものを少しでも減らしていくということがリデュースにつながるかもわかりませんし、そういうところ1つ、1つの点検というのは今後も行っていくべきだと思いますし、廃掃法ということでポイ捨てということは一応、罰則規定があるのですけれども、なかなか適用されないものですから。それは1人、1人の市民の皆さんが理解をしていただいて、協力をしていただくということが基本になってくると思いますね」
松山キャスター
「意識改革が必要だということですよね」
北川議員
「はい。政府があれやれ、これやれと言うのはちょっと無理があると思いますので、様々なこういうツールを提供しながら、あとは選んでいただくという、基本姿勢でなければならないと思っています」

北川知克 元環境副大臣の提言:『国は異なれど 地球は一つ』
北川議員
「私の方はこういう『国は異なれど 地球は一つ』という言葉でまとめました。地球という1つの生命体に住む我々世界各国の人類というか、同じ志を持たなければいけませんし、先ほど来からこの海のごみ、また、地球温暖化などは、地球は1つという観点の中でそれぞれの国がその役割を果たしていくということが重要だと思いますので。それぞれ国は違っても地球は1つだと、こういう理念が大切ではないかなと思います」

ジャーナリスト 崎田裕子氏の提言:『“もったいない”精神で連携を!』
崎田氏
「私は『もったいない精神で連携』というふうにお話をしたいと思います。私達、プラスチックはこれまで便利で、非常にありがたい容器・包装ということで、かなり使ってきたということがあると思います。でも、使い捨て型のものがこんなに多くていいのか、あるいは使ったものはもっとちゃんとリサイクルをした方がいいのではないか、そういうことを、もったいない精神をもう1回思い出していく。『連携』をというのは、消費者の見直しだけではなく、売る方、メーカーのつくる方、皆が連携をしながらどうしていくかを考える、そういうムーブメントを起こすことが大事だと思っています」

磯辺篤彦 九州大学応用力学研究所教授の提言:『減プラスチック社会 代替新素材』
磯辺教授
「『減プラスチック社会』と『代替新素材』と書きました。プラスチックごみを減らすことはもちろん、大事ですが、プラスチックは、自然の中で決してなくなりませんから、これは根本的な解決にはなりません。いずれ溜まっていくと。海洋汚染の破綻が、たとえば、50年後、100年後に延ばすことができるかもしれません。伸ばした猶予期間に私達は新しい素材を開発して、プラスチックに代わるような、新しい社会をつくっていく、そういった工程が必要だと考えています」