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2018年8月23日(木)
米露関係の核心と正体 プーチン流の『秘技』

ゲスト

阿達雅志
自由民主党外交部会長
渡部恒雄
笹川平和財団上席研究員
小泉悠
未来工学研究所政策分析センター特別研究員

混濁する米露関係の行方と余波 『核削減』の行方とリスク
生野キャスター
「ウクライナやシリアをめぐる問題、さらに大統領選における介入疑惑などで冷戦終結以降、最悪な状態にあるとも言われるアメリカとロシアですが、そうした中、アメリカのCNNテレビが今月9日から12日にかけて行った世論調査で気になる結果が出ました。ロシアという国をどうみているのかという質問に対して、『敵』と答えたアメリカ国民が41%と前回の調査より16ポイント上昇しています。これは1999年の調査開始以来、過去最高となりまして、ロシアは『非友好的』と答えた33%を合わせますと、7割以上がロシアに対して否定的な見方を示す結果となっています。トランプ大統領のロシアへの姿勢について『友好的過ぎる』と答えた割合が57%となっています。このようにアメリカ国民の対露感情やトランプ大統領の対露外交に対する不満が募る中、米露関係はどのような道筋を歩もうとしているのでしょうか。両国の動きは日本の外交・安全保障にどう影響するのでしょうか。専門家の皆さんと読み説きます。まず日本時間の今日午後、アメリカのボルトン安全保障問題担当大統領補佐官はロシアのパトルシェフ安全保障会議書記とスイスで会談を行いました。会談では、シリアやウクライナ情勢とともに戦略的安定性を議題にするとされ、その戦略的安定性のポイントとなりますのが、オバマ政権時代にロシアと結んだ『新START』、新戦略兵器削減条約の延長問題です。条約では、配備核弾頭数を1550発、ミサイルなどを800発に削減し、既に両国で達成されているのですけれども、2021年2月の期限切れまでに延長するかどうかを両国で協議しています。ただ、7月の米露首脳会談では合意できずに今回担当者の間で仕切り直しになった形です。渡部さん、会談結果は出ていないのですけれど、今回の会談に込めたアメリカ・ロシア両国の思惑をどう見ていますか?」
渡部氏
「トランプ大統領はロシアと仲良くしたいんですよ。それから、こういう核弾頭の数がどうのこうのとか、よくわかっていませんから、あの人は。そういう意味では、仲良くしたいのだけれど、国防総省とか、あるいはボルトン補佐官とか、よくわかっている人はそこを考えながらバランスをとりたいとも思っているでしょうし、あと実際、これはオバマがやったことですよ、オバマ大統領。オバマがやったことは否定したいというのが、これは全般的なトランプ政権の関係なので、ここをどうするかというのは実はあまり本気かどうかもちょっと現在の時点でわからないなとは思います」
松山キャスター
「その内容を見ると、核弾頭数については1550発にすると、ミサイルについても800発以内にするということで、それぞれ今年2月までにアメリカ・ロシア双方がその目標は達成したというふうに主張しています。このミサイルについても、それぞれ目標は達成されたということを言っているわけですけれども。小泉さん、ロシア側の思惑としては前回、米露首脳会談、ヘルシンキでありましたけれども、そこでいったんは新STARTの延長で合意するのではないかと見られていましたが、結局それは見送りになったということで。今回また事務レベルで交渉しているということですけれど、これをどういう見ていますか?」
小泉氏
「確かに米露首脳会談が開かれる前はいろいろ合意が難しそうなのだけれども、この新STARTの5年延長ぐらいはもともと条約の中にも書いてあることだし、特に米露、お互いに利害が反しないので合意できるのではないかと、それを目玉にするのではないかと言われていたんですよね。でも、結局はそうならなかったと。なぜならなかったのかはよくわからないのですけれども、あとからボルトンさんが言っていることとか、ロシア側から伝わってくる話を聞いていると、どうもロシア側はもう少し幅広い核軍縮合意しようとしたような雰囲気があるんですよ。つまり、この新STARTというのはミサイルで言うと射程5500㎞以上のミサイル、戦略核を対象にした条約なのですけれども、その下のレベル、射程500㎞から5500㎞の中距離核のレベルでは、1987年の、全廃しなければいけないという条約があるわけですよね。でも、ロシアはそれに現在、違反しているのではないかという疑惑が持ち上がっていて…」
松山キャスター
「INF(中距離核戦力全廃条約)ですね?」
小泉氏
「そうですね。ですから、アメリカ側からすれば、ロシアは違反しているのではないかと。一方、ロシア側からすると、アメリカがミサイル防衛を進めているのが気に入らなくて、これこそ戦略的安定性を損なっているだろうという話なわけですよね。どうもロシア側からはその戦略的安定性に対する包括的な提案をしたと言っているので、たぶんSTARTとINFとMD(ミサイル防衛)をセットにしたような合意をロシアは目指し、トランプさんに飲ませようとしたのだけれども、さすがにそこまでは飲めなかったというのがおそらく1つ。もう1つ、ボルトンさんが言っているのですけれど、米露首脳会談は1番たくさん話し合ったのはシリア問題だと言っているんですね。今年の頭、特に春ぐらいから、シリアを舞台にイランの革命防衛隊とイスラエルが非常に激しく対立をしていて、何回もイスラエルが越境爆撃をしていると。ネタニヤフさん、もう今年に入ってから2回もモスクワに入ってプーチンさんにとりなしを頼んでいる。という中で、7月16日の会談の中では、ボルトンさんに言わせれば、その話をしてイランがシリアから撤退しなければいけないという話になったのだけれど、でも、現実には難しいねという結論になりましたということだったので。たぶんミサイルの話だけではなくて、もうちょっと地域情勢的なところでも相当時間を割かなければいけなくて、あまり複雑な核軍縮の話をしている時間もなかったのかなという感じもするんですね」

安保担当者会談の結果と今後は
松山キャスター
「阿達さん、これは見通しとして今回きちんとした合意が達しない場合、これは何らかの影響は各国には出てきますか?」
阿達議員
「今回の安保担当者の会談というのは基本的には7月のトランプ大統領とプーチン大統領の首脳会談のフォローアップということでやっているわけです。ただこの7月の時にも、これはトランプ大統領が確か言ったと思うのですけれども、現在こういうアメリカの大統領選介入疑惑とか、いろいろなことがある中で、自分が何か大きなことをもし議論をしたら親露的だと見られるから、そういうことはできない、みたいな、それに近い発言をしているんですね。そういう状況の中で、特にこれはアメリカも、ロシアも基本的にはトップダウンの国、トップが判断しないといけない国なのに、こういう新STARTとか、そういう中身、先ほど、小泉さんもおっしゃった通り、INFまで含むということになってくると相当中身の議論をやらないといけない。そういうことを、そもそも7月にできないと言った、トップ同士でできないと言っているのを実務レベルでできるとは思えないですね。だから、このタイミングで中身のある議論をやるとしたら、小泉さんがおっしゃったシリア絡み、特に現在、喫緊のアメリカにとっての最大の課題というのは、イラン問題だと思うんですよ。イラン制裁をドンドン現在強化をしていっている。そこに対しての中国なり、ロシアなりの絡み方、シリアからイランがどういう形で撤退をするのか、ロシアがそれをどういうふうにちゃんとフォローするかという、そこは実務的にボルトンさんなりがしっかりと詰めたうえで議論をしたいというふうに思っていると思うんですね。だから、その意味で今回のこういう安保担当者が議論をしている中身、基本は実務的に詰めるべき中身を詰めるための話だと思いますから、だから、ここで何か大きな結論が出てくる、それから、将来の米露関係、あるいは日本に対して直接、世界に対して、大きな影響を与えるというような類の議論にはなかなかいかないのではないかと思います」

きしむNATOと米国にロシアは
生野キャスター
「先月行われましたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議ではトランプ大統領が対ロシア抑止のために各国に対しさらなる国防費増額を要求。また、昨年9月にNATO加盟国のトルコがロシアの最新鋭対空ミサイルシステムS‐400の導入を決定したことに対して、アメリカが強く反対してきたんですけれども、トルコの方針が変わらないことから、今月の13日、アメリカは既に決まっていましたトルコへの最新鋭ステルス戦闘機F‐35売却を凍結しました。まず小泉さん、国防費増額要求ですとか、防衛装備導入をめぐって紛糾するアメリカとNATOの関係をロシアはどのように見ているのでしょうか?」
小泉氏
「当然、面白くないはずはないですよね。ロシアにしてみれば、NATOが対露で結束されるということは本来非常に困った事態ですし、トランプさんのその2%に増額しろという話にしてみても、ドイツとか、イギリス・フランスみたいな経済大国が本気で2%出されるとロシアはもうついていけないですよね。ロシアのGDP(国内総生産)はせいぜい韓国のちょい上、カナダのちょい下ぐらいですから。国防費も日本円にして6兆円ぐらいですかね、結構慎ましい国防費でがんばって西側に対抗しているという中で、本当に2%をやられても困るし、かといって、そこに皆が意義を唱えずに、結束されても困る。というところにきて、でも、実際にヨーロッパは2%なんて困るという姿勢ですし、トランプさんの様々な放言に対して本当にアメリカは守ってくれるのかという不安を抱いている状況なわけですよね。しかも、そんな中で、NATOの1国であるトルコがNATOとの結束が非常に怪しくなってきていると。これはロシアにとって悪い話でないことは間違いないと思うんです。特にそのトルコが、ちょっと地図が出ますか…、ここがロシアで、トルコがここにあるわけなのですけれども。まず1つ、トルコというのは、旧ソ連の南部地域、アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアと、この地域の運命を考えるうえで非常に大きな影響力を持った国であるわけですよね。それから、さらにその上、ウクライナからクリミアのこのへんですね、ここがロシアの現在防衛線とされているエリアなわけですから、ここの防衛を考えるうえでもこのトルコという国が黒海に大きく横たわっているというのは非常に大きなインパクトがあるわけです。ダメ押しに、現在、ロシアはこのシリアで軍事介入をしているわけですから、まさにトルコというのはロシアの重要地域へのアクセスを阻む、あるいは阻みうる地域なわけですね。そういうトルコをNATOの中からある程度結束を乱させ、ロシア側に引き寄せることができれば、これは非常に外交上も安全保障上も大きな得点であるわけです。そういう中で特にロシアはトルコにNATOが軍事的に信用できないのだったらロシアとやろうではないかと、最新鋭防空システムも売ってあげるよ、というような話をしていると。一方、NATOからすると、ロシアの防空システムを買っちゃって大丈夫なのかと。自国の防衛ネットワークにロシアのシステムをつなげるなんてとんでもないという話になるわけですよね。そういう細かい話に限らずともトルコがロシアに接近していくというのは非常に不安な話なわけで、ロシアはトルコの不安をうまく利用する形でNATOの結束乱しをうまくやっているなという印象ですよね」
松山キャスター
「ロシアは現在、クリミア半島を併合したわけですよね?そのうえで、トルコが、黒海から海に出ていく場合、ロシアの艦隊が出ていく場合、いわゆる不凍港を目指していろいろと南下するというのが昔からのロシアの性格としてあると思うのですけれども、トルコの横のボスポラス海峡ですか、そこを抜けて地中海に出るというルートを確保しようとするというのがロシアの思惑としてあると思うのですけれども、そういうことも含めて、トルコをロシア側が味方につけておきたいという意向が強く働いているということなのですか?」
小泉氏
「そうですね。ただ、ロシアはソ連時代も現在もそうですけど、地中海において圧倒的なプレイヤーではないんですよね。地中海で圧倒的に強いのはアメリカであって、そのアメリカに対抗するという意味で一定の影響力は持ってはおきたいと。ただ、それが現在、ロシアの国家的なプライオリティーとして何とかこう地中海に出ていきたいとまで思っているかどうかというのはちょっと疑問には思っています。でも、おっしゃるように、ボスポラス、ダーダネルス海峡を押さえているのはトルコですから、もしトルコがロシアに対して協力をしないよ、あるいは締め出すよという姿勢をとられると、ロシアのシリア作戦は破綻するわけですよね。実際、それが2015年11月、ロシア空軍機がトルコに撃墜される時に起こりかけたわけです。だけど、現在は、ロシアはトルコをうまく取り込んでいるので、ロシア軍がシリアに展開していく時は、1つはこの地中海の方に出るルートと、もう1つはカスピ海の方に出るルートがあるのですけれども、最近見ていますと、ロシア空軍機がまっすぐトルコを横切ってシリアに入っていっているというルートが見られるんですよね。なので、かなりトルコが味方とまでは言わないまでも、ロシアのシリア戦略の邪魔をしませんよと、条件によっては話ができますよという関係ぐらいにはなりつつあるわけですね」
松山キャスター
「渡部さん、アメリカの見方としては、ロシアのS‐400と言われるミサイルシステムをトルコが導入するというのは、普通だったらNATOの加盟国であるトルコがそういうロシアの機材を入れるというのは信じられないと思っちゃうんですけれども、それだけの大きなダイナミズムの変化みたいなのが生じていると見た方がいいですか?」
渡部氏
「そうでしょうね。もともとトルコというのは大変微妙なアクターで。つまり、EU(欧州連合)に入りたくてもヨーロッパ側からはイスラム教の国であるということと、アジアの国であるということもあって、なかなかヨーロッパに入れてもらえないところがあるのですが、冷戦期はソ連に対抗するためにすごく大事な国だったのでNATOに入ってもらっているわけですよね。現在もロシアに対抗するためには本当は大事なところ。それから、シリアに接していますから、シリアでの作戦をするためにもすごく重要。かつ実はヨーロッパにシリア難民が行く途中の国なので、ここで難民を実はトルコがホールドしているという、そういう、良い面でもあり、圧力をかけている面でもあるのですけれども。そういう、地図を先ほど見てもらった通り大事な国ですよね、アメリカにとって。だから、なかなか難しいことはあっても同盟国として処しているのですが。ところが、このあと、いろいろ出てくる話ですけれども、いろいろアメリカの国内の問題とも絡むような問題、たとえば、キリスト教の福音派の牧師が拘束されている。そもそも現在のエルドアン体制が非常に民主的ではなくなっているという問題。この2つが相当あって。しかも、それでそれを実は隠す…、エルドアン体制を覆そうとしているギュレン師という人がアメリカにいて、トルコ政府はアメリカ政府に引き渡せと言っているのだけれども、アメリカ政府は拒否すると。だから、緊張感がある関係。でも、ここを同盟国ではないよとしてしまうにはあまりにも地政学的な位置が大事すぎて、そんなことはできないのだということですよね。これは結構、日本は学んでおいた方がいいです…」

アメリカ×トルコ『対立』の裏
松山キャスター
「まさにそのアメリカとトルコの間が非常に微妙になってきているという象徴的な出来事、この一連の動きをちょっと振り返っておきたいと思うのですけれども。2016年にトルコで起きたクーデター未遂がありましたが、エルドアン政権を倒そうとしたクーデター未遂ですけれども。それに関与していたとしてトルコがアメリカ人の牧師さん、ブランソン氏という方を拘束したと。アメリカの釈放要求をトルコが拒否しているためにアメリカは人権侵害を理由にトルコの閣僚2人に対して経済制裁を科すと発表をしました。これに対して、トルコがアメリカの閣僚2人の資産凍結という方針を発表しました。このあともまた続いてトランプ大統領はトルコからの鉄やアルミへの輸入関税を倍増にするとツイッターで表明しまして、これを受けて非常に経済の混乱が始まります。トルコの通貨リラが暴落し、トルコのエルドアン大統領は新たな仲間や同盟国を探し始めなければならないとまで発言して、あたかもアメリカの同盟国を離れて別の同盟先を探さなければいけないということまで発言をし始めたということで。かなり深刻な事態に陥っているということですけれど。トルコがこのままロシア側にドンドン接近していく可能性もあると見た方がいいのですか?」
渡部氏
「そうですね、あると見ていいのではないですか。ただ、だからと言って、どこまでいくのかはわからないわけですね、どちら側も。トルコとロシアというのは先ほどのお話にもありました通り、一度は緊張したわけですよ、トルコがロシア機を撃墜して…」
松山キャスター
「はい、ありましたね」
渡部氏
「そこは緊張絡みであるというふうに見ているでしょうし、これはもしトルコがNATOから離れてしまったら、私は、トルコは賢いからそこは微妙にそんなことはしないのではないかとは見ているのですが、アメリカにとって打撃は大きいですね、実は。でも、トランプ大統領はそういうふうに考えているかと言ったら、あまり考えていないですよね。あまり同盟国が大事だなんて考えていないので。これも不思議な話で中間選挙の前で経済が強いアメリカが、トランプ大統領の成果なのに、なぜリラが暴落するようなことやっているのだと。しかも、これはアルミへの輸入関税倍増は別にトルコとアメリカの貿易…」
松山キャスター
「そんなに取引は多くないですよね?」
渡部氏
「…そんな多くないですからね。すると、1つ言われているのが、中間選挙でトランプ大統領が見越しているキリスト教福音派、エヴァンジェリカルと呼ばれている人達、この人達は割と塊としてまとまって行動してくれるし、共和党の重要な基盤なので、ここにアピールするためにやっているのではないかと言われている」
松山キャスター
「拘束されている牧師さんがまさにその福音派の牧師さんだから…」
渡部氏
「はい、そうなんですよ」
松山キャスター
「それに期待しているということですか?」
渡部氏
「アメリカ側の、実はエヴァンジェリカル、福音派のキリスト教の教会の人達もこれを問題視しているんですよ、すごく。実はこの牧師さんは長くトルコで活動している人で、ずっと長くやっていたのに突然拘束されて、現在、軟禁状態にあって。それは福音派としてはちょっと許せないというのがありまして。それはそれでいいのですけれども、極めて短期的な政治イシューでトランプ大統領がやっている恐れがあるんですよね」
松山キャスター
「阿達さん、日本としては、安倍総理とエルドアン大統領は非常に良い関係を保っていると言われていますけれど。たとえば、地下鉄の開通工事にわざわざ出席したりされていましたけれども…」
阿達議員
「うん」
松山キャスター
「アメリカとトルコの関係が緊張状態に入ってきた時に、日本としてはこれにうまく立ち入って、仲介、あるいは何らかの形で緊張緩和する政策というのはできないものですか?」
阿達議員
「現実問題としては非常に難しいと思いますね。先ほどからいろいろなお話が出ています通り、このトルコというところの地理的な、あるいは政治的な重要性というのが非常にあるにもかかわらず、アメリカがそれをちょっとないがしろにし過ぎた部分が明らかにあるわけです。しかも、そういう中で大きなヨーロッパのこの局面を見ると、冷戦が終わった時に比べたら、この地図で見た時に、緑の部分というのがNATOになっているわけですけれども、もともと冷戦が終わった時というのは、もっとこの緑と白、青の境界線というのが左側にあったんですね。ですから、冷戦が終わって、そこの状態でNATOとソ連・ロシアというのが対峙するかと思ったら、NATO、アメリカ側がドンドン取り込んで、十数か国をNATO側に引き込んで、旧ソ連の部分がドンドン押し込まれて、そうやって押し込まれている中で、それに対して何とか抵抗したロシアがウクライナを押さえ、また、現在トルコを押さえようということで、NATOとロシアとのせめぎ合いをやっているわけですから。このせめぎ合いというところで日本が入っていけるのかと。これが単純にアメリカとトルコの関係だけだったらもちろん、日本が仲介という可能性はあると思うのですけれども。でも、明らかにロシアとアメリカとのせめぎ合いの場になっている。そういう中で日本の果たせる役割というのはなかなかない。何とかNATO側につなぎとめるために、日本がいろいろな形での支援ができるかという、そこが限界だと思いますね」

ロシア極東大規模演習の照準は?
生野キャスター
「極東におけるロシアの動きについてですけれども、ロシアが極東への外国からの投資を促すために毎年開催しています国際会議『東方経済フォーラム』が今年も9月11日からウラジオストクで開催されます。一方、ロシア政府はこのフォーラムと同じく9月の11日から同じ極東地域でのボストーク演習を行うと発表しました。さらに、ロシアのショイグ国防大臣は今回の演習についてこのように発言しています。『今回の演習には中国とモンゴルが参加し前例のない規模となる』ということですが。まずは小泉さん、このボストーク演習というのは何を目的に、どういったことをやる演習なのでしょうか?」
小泉氏
「ボストークはロシア語で東という意味ですね。ロシアは非常に広い国ですけど、この国土を4つの軍管区に区切っていまして西部・南部・中央・東部というふうになっていて毎年これが持ちまわりで大演習をやっていくんですね。ですから、ある軍管区は4年に1回大演習をやると。ですので、東部軍管区の場合、ロシアの東部のエリアは東部軍管区という、この東シベリアからサハリンからカムチャッカまでを含むエリアなのですけれども、このエリアを管轄している東部軍管区というエリアは4年に1回、大演習がめぐってくる。前回は2014年で、今回は2018年です、ということになっているわけです。ただ、軍隊を持っているわけですから、当然、特にその意味はなくても演習はするというのは確かに当たり前ではあるんですよね。日本も、アメリカもやりますし、演習するから何かいちいち意味があるかと言うとそうではないと言えばそうなのですが。そのやり方によっては我々も注視しなければいけないという場合があって、今年はまさにそうなのではないかと思っています。1つは、ショイグ国防大臣の発言が出てきましたけれど、今回、中国とモンゴルが参加してくるんですね。モンゴルはそんなに大きな問題にはならないと思うのですが、中国が入ってくるということなのだろうと思うんです」
松山キャスター
「もともとボストークという演習は、仮想敵国として、たとえば、中国とかを念頭に置いた訓練という性質もあったと思っているのですけれども」
小泉氏
「はい、ええ、明らかにそうだと思います」
松山キャスター
「そうですよね?」
小泉氏
「これまで、ロシア軍が出してくる発表であるとか、ロシア軍の動向をウォッチしている研究者の言っていることを見ていくとだいたいこのボストークという演習は2つの仮想敵に対抗するもので、1つは日本ですね、もう1つが中国と。ですので、この日本を意識してサハリンとか、千島列島付近で活発な演習もやるのですが、ロシア本土側でも非常に大規模な地上兵力を動員して、これまで大軍事演習を行ってきた。ですから、ロシアとしては、仮想敵は中国と日本と両睨みでやっているのだなというのは、これまでの我々の認識だったのですが、今年の場合はそこに中国が入ってくるわけです。ロシアと中国の演習というのはこれまで何回もやっているので、それ自体は珍しくないですけれど、もともと中国を仮想敵にしていた演習に中国が入ってくるということは、ロシアが政治的に中国は軍事的に敵ではないですよということをある程度公的に宣言しているような効果があるわけですよね」
松山キャスター
「なるほど」
小泉氏
「当然、ロシアの参謀本部の中ではまだ中国を敵だと思っていると思いますが、政治的には少なくとも中国は敵にしないという宣言をすることにしたと。しかも、日本に対してはまだ敵ではある、仮想敵ではあるという姿勢は崩していないわけですね。という中で、と同時期に、東方経済フォーラムをやって習近平さんと安倍さんを両方呼んでくると。ですから、これは日本にしてみれば厳しい舞台装置をロシアが用意してきたなという印象を持っていますね」
松山キャスター
「阿達さん、安倍総理が9月の東方経済フォーラム、ウラジオストクで行われるものに参加することになっていますけれども、ほぼ同じ時期にこういう軍事演習をロシアが中国も入れてやると、新しい動きになっているということですけれど。一方で、アメリカは理由に『リムパック』と言われる太平洋の演習がありますけれど、そこに中国の参加を今回認めないということで…」
阿達議員
「そうですね」
松山キャスター
「…排除するという話になりました。だんだんロシアと中国が接近する、ロシアの仮想敵国から中国が外れるという構図で、かなり安全保障上は日本やアメリカに対しても厳しい演習が東方経済フォーラムと同時期に行われるということで、これは日本としてもどういう姿勢で臨むのか、かなり難しくなってくると思うのですが」
阿達議員
「そうですね。これは大きな構図として、いろいろな局面でアメリカ対中国・ロシアでの新冷戦に近いような議論が出てきているのではないかと。それは経済の面でもそうですし、軍事という面でもそういう面がある。これまではどちらかと言うと、外交・安全保障の問題と経済を分離して議論できていたはずなのが、トランプ大統領になって、相当ここの部分を合わせて議論をするようになってきたと。それは先ほどのトルコでも明らかに出ていますし、そういう中で日本もこれまでは経済の話と外交・安全保障は別だという1つそういうスタンス、特にまた外交の中も若干、安全保障と外交を区別するような形で、ロシアとも対してきたわけですけれども、だんだんアメリカと中国・ロシアがこういう対立を深めてくると、そういうことを許してもらえなくなってくる。こういう状況ができてきている感じがしますね」

北朝鮮『非核化』に両国は?
生野キャスター
「トランプ大統領は北朝鮮について、非核化が進まない中、2度目の米朝首脳会談開催について聞かれたテレビのインタビューでこのように発言しました。『私は彼(金委員長)が好きで、彼も私のことが好きだ。相性は抜群だ。会談開催は可能性が最も高い』と発言しています。渡部さん、トランプ大統領のこの発言と背景と真意、それから、今週だったのですけれども、タイミングとしてはどう見ていますか?」
渡部氏
「米朝の会談は進んでいないですよ、実際は。これはもう皆さんわかっている話で」
松山キャスター
「うん、停滞している感じですよね…」
渡部氏
「停滞している。でも、停滞していると思われたくないですね、トランプ大統領は。なぜかと言うと、実は米朝首脳会談をやった直後はアメリカ国内での評判は非常に良かったんです。これは何をやってもトランプ大統領を支持する35%という人がいるのですが、それ以上に実は今回、トランプさんが金正恩さんに会ったのは意味があるという人が半分以上いたということは、たぶん35%を超えて『よし』、これは緊張緩和が『よし』と思っているし、これから可能性があると思ったので支持されている。と言うことは、これはプラスなので、選挙前にこれはうまくいかなかったとは認めたくないので。だから、そういう意味で、もう1回ぐらいやるよと、話は実は進んでいるよと、たぶんトランプ大統領は言わせたいし、これはポンペオ国務長官が担当なので、ポンペオ国務長官もうまくいっていないとはたぶん報告していないと思うんですよ、トランプ大統領に怒られちゃうから。トランプ大統領は厳しい人なのである意味、結果を出せという話なので。そういう意味でポンペオさんもたぶんいろいろなところでトライして、打診もしているでしょうし。ですから、その中に2回目の会談というのも可能性としては…、しかも、トランプ大統領というのはショーマンなので、見せることですごくアピールできる。しかも、金正恩さんという人も実はなかなか貴重なので、そんなに出てこないので、だから、この前もたぶん視聴率的にもすごく良かったので…」
松山キャスター
「表舞台に出てきて、金委員長と…」
渡部氏
「表舞台に。これは実際に会う可能性もあるかもしれない。しかも、なかったとしてもうまくいっているよというアピールを選挙民にできるという、そういう狙いもあるので、この思惑なのだと思いますよ。うまくいっていないのだけれど、うまくいっていると思わせるような印象ですかね」
松山キャスター
「小泉さん、米朝首脳会談が6月にありましたけれども、そこで非核化について一応合意はしたというステートメントが出ましたが、実質的には、渡部さんが話されたように、ほとんど実態は動いてないという状況?」
小泉氏
「はい」
松山キャスター
「これは、ロシアはどうこの状況を見ていると思いますか?」
小泉氏
「ある意味で言うと、北朝鮮の非核化はまず無理でしょうということは、昨年のミサイル危機の最中からロシア側はそういう見方をしていたんですよね。政治的にはもちろん、北朝鮮の非核化を支持します、緊密に連携します、みたいなことを言い続けてきたわけですけれども、ロシアの朝鮮半島専門家であるとか、核軍備専門家の中ではまず無理ですよねという非常に冷めた見方が主流でした。ですから、現在の状況というのはロシアにしてみれば、想定の範囲内なのだろうと思うんです。もう1つはロシアが想定し得る中でもそんなに悪くないシナリオというふうに見られていると思うんですよね。と言うのは、もしもこれでアメリカと北朝鮮との関係が破綻してしまって、アメリカが軍事オプションを行使しますということになった場合、ロシアは何にもできないんです。極東に配備している僅かな兵力だけではできないし、アメリカの軍事力行使を力で止めるというのも、これも恐ろしい話なのでまずやることはできない。一方で、北朝鮮が本当にCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)を真面目に飲んで、豊かで開かれた北朝鮮になってしまった場合、これもロシアは何もできないですよね。ある程度、ロシアの極東に恩恵はあるかもしれないけれども、これまでのように朝鮮半島情勢の中でメジャープレイヤーとして振る舞うことはできないと。という意味で言うと、北朝鮮問題、その核・ミサイル問題が根本的に解決しなくて、これからもくすぶり続けていく、とすると昨年ロシアが見せたような北朝鮮問題における仲介者であるのか、北朝鮮の後ろ盾かわかりませんが、そういう立場で東アジアのメジャープレイヤーとして振る舞う余地は残るわけですよね。たぶんこれはロシアにとっては1番良いシナリオなのだろうと思います」
松山キャスター
「そういう中で、仲介者としてロシア立ちまわるかに見られていた9月の東方経済フォーラムに金正恩委員長を呼ぶというアイディアがありましたけれど、プーチン大統領が招待しているという話で伝わっていましたが、ここのところのロシア側からの情報によると金正恩委員長はどうもそれには参加しないようだという情報になっていると、これはロシアから見たらどういう変化だと見てとれるのですか?」
小泉氏
「ロシア側はちょっとガッカリしているのではないかと思うんですよね。板門店宣言の時も、北朝鮮側はロシアを敢えてこれから先の協力パートナーに入れなかったわけですし、実際に軍事的危機が収まってしまうと途端にロシアのことは忘れられてしまったというのが非常に大きいと思うんです。そこで、ロシアとしては東方経済フォーラムに、安倍さん、習近平さんに来てもらって、ついでに金正恩さん、文在寅さんも来てくれれば、ロシアが仲介をして東アジアのトップを集めて、そこで和解ムードを出せると、仲介者・ロシアという立場をアピールできたと思うんですよ。現実的には、北朝鮮はそこのところはロシアに対するプライオリティーがそもそもあまり高くない。中国とアメリカのことは圧倒的に大事で、ロシアは二の次という雰囲気が非常に強いと思うんです。プラス今回の場合は東方経済フォーラムというフォーラムなのでマルチ会談になると思うんですね」
松山キャスター
「多国間での会合ということですね?」
小泉氏
「ええ。どうも金正恩さんは、聞くところによると、マルチ会談に結構不安を持っているみたいで、バイの、外国の首脳と2人きりで話し合うのであれば、ある程度交渉力を発揮できるのだけれど、ああいう非常に大物が集うような会議に呼ばれると埋没してしまうのが怖い、あるいは丸めこまれてしまうのが怖い、というふうに話が、ロシア側でもそういう話はあるんですよね。と言うのは、2015年の5月9日の対独戦勝記念パレードに金正恩さんが来るという話があったんですね。だけども、この時も、習近平さんがメインゲストで来るということになったら、途端にやめてしまったんですね。だから、他の大物がいると、ちょっとまだ存在感とか、交渉力に不安があるという部分がどうもあるのではないかということなので。ロシア側はそういう理解をしていますから、習近平さんと安倍さんを呼んだ時点で来ないというのはある程度予測していたのではないかなと思います」
松山キャスター
「阿達さん、日本政府としては日朝首脳会談がひょっとしたらできるかもしれない機会としてこのウラジオストクでの東方経済フォーラムというのがあったわけですけれども、金正恩委員長が参加しないという見通しになっていると。日本としては、1つの機会を失われたということになると思うのですが、どう見ていますか?」
阿達議員
「日朝首脳会談をやるにあたって日本政府というのはこれまでも核・ミサイル問題と拉致問題の一体的解決ということをずっと言ってきたわけです。この核・ミサイル問題というのが、米朝がずっと交渉をしている中で、日本はこの交渉で何らかのバーゲニングパワーを持っているかというと持っていないわけですね。6月のシンガポールでの米朝の首脳会談というのは、そういうCVIDという意味では全然細かいところを詰めないままで進んでしまった。これはこれからの実務同士での話だ、で投げちゃったわけですね。そこがまだ全然詰まっていない段階で、日本政府はもちろん、北朝鮮政府関係者との接触はできても、交渉をするだけのカードがあるのだろうかと。交渉をした時に必ず出てくるのは、これまでのいろいろな北朝鮮との合意に基づく日本側の経済協力だとか、いろいろなことを言われる可能性があるわけですね。だけども、CVIDが全然進んでいない段階でそういう経済協力だけの議論をするわけにはいかないという、こういう実態はあると思うんです。ただ、その一方で、このシンガポールでの会談というのは、日本にとってまったく意味はなかったかと言うと、それは違っていて。北朝鮮は、明らかにこれは非常に国際社会の圧力を感じていた。特に昨年を見ると、北朝鮮はロシアからも、中国からもある意味見放された、完全に孤立した状況でドンドン挑発行為を進めていたわけですね。そこにアメリカがロシアも北朝鮮も加わる形で国連安保理決議ということでプレッシャーをかけて、それに耐えかねた中で韓国と話が始まった。だから、そういう、これまで孤立をして、挑発行動をやる、一触即発の軍事的な緊張があったものが、少なくともこういうフワッとした形でも緩和されたというのは事実だと思うんですね。それと共に、この2月、3月の大きないろいろな動きの中で、この北朝鮮問題というのが新冷戦構造の一角になってきたのではないかと」

『新冷戦』と東アジア
松山キャスター
「渡部さんは、その新冷戦構造、どう捉えていますか?」
渡部氏
「おそらくかつての冷戦というのは、冷戦の最初はソ連と中国、両方を、自由主義陣営が封じ込めをやっていたのですけれども、途中から、1972年からアメリカは中国を取り込んで、中国と組んで、ソ連をどちらかと言うと追いつめる形になったんですね。今回も、おそらくその新冷戦的な構造の中で、この2つをどう一緒にさせちゃうのか、分離させるのかというのが実は勝敗の分かれ目というのか。今回は、もはや封じ込めは効かないのですが、中国もロシアも経済的に開いていますから、それは良いことだと思うのですけれども、ただ、現在、中国とロシアが非常に近づこうとしているところを、敢えて近づけるのが賢いことなのかな、と。むしろ中国というものとロシアというのは客観的に見るとだいぶ違うんですね。何が違うかと言うと、中国は経済的にも、将来的にも、技術的にも伸びしろがある、ドンドン発展していく国。ロシアは限度がある。人口も増えない、経済的にも制約があるし、だからこそ、逆に言えば、ロシアは中国と組むメリットはたくさんあると思うのですが、中国もある程度はあるでしょうけれども、でも、どうなのかなとも思うので。むしろロシア、あるいは中国が、アメリカとその同盟国に楔を入れている逆で、日本としては、考え方としては中国・ロシアはあまりくっつけないようにした方がいいのではないかなというのが、対症療法的な話でもあるし、実は戦略的にも実は重要なのかなというのと、もう1つはアメリカが困ったもので。つまり、トランプ大統領が困っているのか、アメリカが困ったのか、どちらかは微妙なのですが、もうちょっと考えてよと、他の国のこととか、世界の安定を、と。実は私、2、3週間前にアメリカに行って、アメリカの専門家に聞くと、意外にも日本に対する期待がかなり高い。アメリカの専門家というのは自分のところの大統領がそういうことを考えてないことはよくわかっていて…」
松山キャスター
「日本に説得してほしいという意味ですか?」
渡部氏
「いや、そうではなくて、もう説得しても無理なのはわかっているので。そうではなくて、日本が、アメリカが一時、外を向いていない、内を向いている間に現在の秩序を日本とか、インドとか、ヨーロッパとか、あるいは東南アジアとか、オーストラリア、そういうところと組んでやってほしいと。そのための実はコアになる力は日本にあるのではないか。たとえば、TPP11とか、日EUのEPA(経済連携協定)とか、そういうところですね。そう言うところが大事だと。実際、軍事力は、だって、アメリカのプレゼンスは変わっていないのですから。だから、そういうような日本の考え方というのを結構、日本人よりもアメリカ人の方が真面目に見ているような気がしますね」

阿達雅志 自由民主党参議院議員の提言:『地球儀を俯瞰するトップ外交力』
阿達議員
「『地球儀を俯瞰するトップ外交力』ということで。現在、第2次世界大戦後で最大と言っていいぐらいの大きな国際変動が起きているのではないか。冷戦の終結という非常に大きなものがありましたけれど、それに匹敵するぐらい新しい国際秩序をどうするかという、大きなことが起きていて。それが現在いろいろなところで、いろいろな形で出てきたのではないかと。そういう意味で、単に2国間のことだけ見ていてはいけない、地球儀全体を見て、そこのメジャーなプレイヤーがどういうふうに動くかということを見ながら、しかも、特に中国・ロシア・アメリカ、ここはトップがトップダウンでものを決めていますから、こういうトップ同士の話で外交が決まっていくということで、地球儀を俯瞰するトップ外交力がもう欠かせないのではないかと思います」
松山キャスター
「まさにそれぞれが複雑に連関して動いているという?」
阿達議員
「そうですね」

渡部恒雄 笹川平和財団上席研究員の提言:『柔軟力』
渡部氏
「『柔軟力』を挙げました。フレキシビリティなのですけれども。何かと言うと、現在アメリカがどっち行くのかはあまりよくわからないですよね。それから、中国がどこに行くのか、これもよくわからないです。ロシアもわかりません。朝鮮半島がどうなるかわかりません。決め打ちできないですよ、現在。でも、大事なことがあって、それは大事な同盟国というアメリカ、これは軍事力でもそうだし、この地域のプレゼンスもそうだし、それから、もう1つ大事なのは日本の経済力、これを忘れちゃいけない。世界第3のGDPであり、しかも、自由貿易と自由経済を中心にしてここまで発展してきているので、これは信頼されているんですよ、実は。このへんをうまく組み合わせるのは結構大変なのですけれども、やらなくちゃならなくて。これまでだとどちらかと言うと、冷戦期は自由主義陣営にくっついていりゃよかった。それから、冷戦後は日米同盟を何とかしてりゃ何とかなるという時代だった。現在は日米同盟も大事だけれども、他の国も大事、経済力も大事、でも、軍事力も大事みたいな世界。これをうまく組み合わせるような頭の柔らかさが必要であるということだと思います」

小泉悠 未来工学研究所政策分析センター特別研究員の提言:『幻想なき対露外交を』
小泉氏
「『幻想なき対露外交を』というのを挙げさせてもらったのですけれど。安倍政権に入ってから非常に対露外交が活発化してきて、相当、安倍さんとプーチンさんは会っているわけですよね。いろいろな話もしてきて、たぶん個人的な人間関係も相当できてきていますし、日本側からもいろいろな経済協力の話を持ち出している。日本側にしてみれば、それがロシアの態度変化を引き出して良い方向にいってくれるのではないかという期待を持っているわけですし、これはこれで是非進めていけばいいと思っているのですが。問題は、常にロシアが日本の思う通りの反応を返してくれるわけではないよということですよね。それがまさに今年の東方経済フォーラムには非常に明瞭に表れていて、日本としては非常に善意を持ってロシアに近づいていこうとするのだけれども、それに対するロシアの歓迎は結構手荒いものであると。ですから、ロシアとの関係はどうせこれからも切ることはできないですし、隣人としてやっていかなければいけないのだけれども、そこに幻想を持ち込むべきではないという意味で、こういう提言にさせていただきました」