プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2018年8月17日(金)
地上イージス導入へ ミサイル防衛の今後は

ゲスト

森本敏
元防衛大臣 拓殖大学総長
伊藤俊幸
元海将
能勢伸之
フジテレビ解説委員

元防衛相×元海将 検証『日本のミサイル防衛』
生野キャスター
「先月30日、政府は北朝鮮の弾道ミサイルに備えて全国各地に展開していました迎撃ミサイルシステム『PAC‐3』の部隊を撤収させることを決め、作業に入りました。また同日、防衛省は地上配備型の迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアに搭載するレーダーの機種を決めたことを明らかにしました。一方で、配備の候補地では自治体や一部住民から反発の声も上がっていますが、イージス・アショアを導入することで日本のミサイル防衛はどう変わるのでしょうか。日本のミサイル防衛の現状と今後について専門家の皆さんからじっくりと話を聞いていきます。そもそもイージス・アショアとは、地上配備型の迎撃ミサイルシステムのことで、これまでイージス艦が担っていた役割をメンテナンス期間を除きますと24時間体制で対応できるようになります。森本さん、なぜ日本はこのイージス・アショアを導入することになったのでしょう?」
森本氏
「弾道ミサイル脅威に対し、いわゆるミッドコースというか、中間段階ではイージス艦、システムで迎撃し、ターミナルフェーズというか、最終段階、終末段階についてはPAC‐3で担当しているのですけれども。ドンドンと北朝鮮のミサイルが、たとえば、テルのように、移動式、車両付きで移動する、あるいはSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)のように発見しにくい、兆候がなかなか見出し得ないようなところから撃ってくる、そういったものが同時多数飛んできた場合にイージス艦だけではなかなか効果的に対応できないこともあり得るので、常時地上からこのミッドコースというか中間段階に対応できる弾道ミサイルシステムを導入することが全体のミサイル防衛システムを効率化し、イージス艦そのものの負担を軽くするという二重の目的を持っていて、今回はイージス・アショアを選択しようということになったわけです」
生野キャスター
「現在、日本のミサイル防衛を担っているイージス艦とPAC‐3ですが、能勢さん、イージス艦とPAC‐3、それから、イージス・アショア、どういった違いがあるのでしょうか?」
能勢解説委員
「アメリカのイージス・アショアというのは基本的にはイージス艦のシステムを地上に置いたものということになるわけです。従って、弾道ミサイルが飛んでくる時にミッドコース段階で準中距離弾道ミサイルとか、中距離弾道ミサイルを地上から迎撃するシステムということになります。ただ、PAC‐3は結局、このターミナル段階での迎撃という代物なんですね。だから、先ほど、森本さんがおっしゃったように、ミッドコース段階での迎撃というところに…のシステムが1つ増えてくるという形になりますね」
生野キャスター
「ミッドコース段階での迎撃の方が迎撃しやすいということですか?」
能勢解説委員
「というか、これイージス艦が360日近くも活動できるのかという大問題がありますよね。だから、それを考えるとイージス・アショアというのは結局、活動時間、活動日数ですとか、そういったものが長いということになりますから。そうすると日本の防衛には適しているという話になったのかもしれないですね」

『イージス・アショア』の能力
生野キャスター
「ここからは、イージス・アショアの能力について検証していきます。能勢さん、イージス・アショアの地上配備型迎撃ミサイルシステムというのは具体的にはどのような仕組みになっているのでしょうか?」
能勢解説委員
「これはアメリカのミサイル防衛局が昔出した図面なのですが。イージス艦の、イージスシステムのハードウェア、これを地上のビルにそのまま移植したらというのがイージス・アショアの基本的な考え方ですね。では、日本のイージス・アショアは、どんなシステムになっていくかという点なのですけれども。まずアメリカがつくっているイージス・アショアは基本的に弾道ミサイル防衛専用です。これは基本システムが『ベースライン9E』と言って弾道ミサイル防衛能力しかつけられないという代物です。ところが、日本はどうも日本のイージス・アショアに選んだシステムは『J7』と言って、アメリカのイージスシステムで言うと『ベースライン9C』というもの日本版であるということなんだそうです。と言うことは、潜在的には弾道ミサイル防衛以外のこともできるのではないかと。将来、能力をつけようと思えば、対航空機ですとか、巡航ミサイル防衛というのも、視野に入れることができるのではないかというふうに見えたりするんですね」
生野キャスター
「能勢さん、弾道ミサイルと巡航ミサイル、その違いはどういうこと?」
能勢解説委員
「弾道ミサイルというのは、このように、発射されると放物線を描いて、標的に落ちてくるという代物ですね。それに対して巡航ミサイルというのは、発射されてから地上を這うようにして、また障害物を避けるようにして、さらに海の上は非常に低く飛んでくるというわけで。海上とか、地上にあるレーダーでは、なかなか水平線・地平線とか、それから、その他の障害物を越えて見にくいというものになってしまうわけですね」
生野キャスター
「伊藤さん、イージス・アショアが巡航ミサイルを警戒する理由はどういうところにあるのですか?」
伊藤氏
「これはもう中国です。ですから、中国が巡航ミサイルで遂にグアムまで狙えるミサイルを持っていますから、現在、アメリカ海軍の1番の脅威は両方ですよ、弾道ミサイルと巡航ミサイル。この両方、宇宙空間を飛んできて落ちてくるものと海面スレスレを飛んでくるものが同時にくる。これを全部排除しなければいけない、これが現在のテーマですね。ですから、その派生型ですから、当然その能力を持つということです」
生野キャスター
「能勢さん、中国については?」
能勢解説委員
「日本時間で言うと、昨日深夜というか、今日未明というか、突然、アメリカ国防省が中国の軍事力に関する最新のリポートを出したのですけれども、そこに出ていた図が大変興味深いものでした。中国の持っている弾道ミサイルと巡航ミサイルの射程をほとんど書いてみたというものなのですけれど、もちろん、これよりも長いものもありますが。それによると、この短いものは確かに日本についてはかするという感じのイメージがあるのですけれど、この紫色の線です、これがもう既に『CJ‐10』という巡航ミサイルも含めて、あと準中距離弾道ミサイルもあるのですけれど、これが日本をすっぽり覆っているわけですね。さらにそれより長いミサイルもドンドンあると。もうちょっと特徴的なのはこの緑色の線なのですが、これは中国の『H‐6K爆撃機』が地上攻撃用巡航ミサイル、これを装填した場合に、持っていた場合に打撃できる範囲というもので、これはもろに、日本というのは完全に射程内というわけですね。さらに、中国は『DF‐26』という新しい弾道ミサイルを遂に配備を開始しました。これが射程4000㎞なので完全にグアムも射程内なのですけれども、これが同時に空母キラーと呼ばれる、つまり、弾頭の機動性が高くて、アメリカ海軍の空母打撃群、これも狙えるのではないかというミサイルになってきていると。そうなってくるとこの黄色い範囲、アメリカ海軍がちょっとどうなのでしょう、動きが制限されるようなことになりはしないですか?」
生野キャスター
「伊藤さん、どうですか?」
伊藤氏
「まさにアレはよく『A2/AD』と言われ、まさに近接を阻止してという、ずっとあるのですけれども。現在、アメリカ海軍は、まさにそういうことで皆、怖がって中に入らないという思考過程になったので、2年前に海軍のトップが、その名称を使うなと、アメリカ海軍たるもの中に突っ込むんだということで、『A2/AD』という用語を禁止していますから…」
能勢解説委員
「ああ、そうなんですね。さらに、今回のリポートで初めて出てきた図がこれです。これが先ほど申し上げたH‐6K爆撃機に地上攻撃用巡航ミサイルを積んだ場合、どういうふうなものがエリアに入るかというのをもう少し詳しく出したものですけれども、ここまでがスッポリ範囲に入ると。H‐6K爆撃機がどこで活動するのかというのは、この点線の範囲で示しています。南シナ海、それから、台湾の東側、さらにここ日本海というのがあるわけですね。これに射程1500㎞級と言われているような、巡航ミサイルが積まれるとしたら、これは完全に日本全土を狙える、日本全土が射程内にあるということになりかねないということですね」
生野キャスター
「そういった状況になった場合イージス・アショアが日本に2基あれば対応できるということなのですが、日本の防衛としては?」
森本氏
「えっと、日本の防衛としては、少なくとも巡航ミサイルについてはこれまでの弾道ミサイルとは別に巡航ミサイルも含めてできますけれど。あとで議論になると思いますけれど、もっとトータルで対応できるためには別のシステムを考えないといけないし、もっと極端なこと言うと最近、今月になって中国が超音速の滑空用の弾道ミサイルというのを実験に成功して、音速が5.5とか、5.6というので…」
能勢解説委員
「あぁ、極超音速ですね?」
森本氏
「弾道ミサイル…」
能勢解説委員
「極超音速、はい」
森本氏
「そうですね。いったん空中に撃ち込んで、それから滑空をしながら飛んでくるという、超音速のミサイル。これはほとんど現在のシステムでは対応できないのではないでしょうか、アメリカであれ、日本であれ」
生野キャスター
「どの国も?」
森本氏
「うん、どこの国も」
生野キャスター
「続いては、イージス・アショアが配備される候補地について見ていきます。現時点では秋田県の陸上自衛隊・新屋演習場、山口県の陸上自衛隊・むつみ演習場が候補地となっていますが。能勢さん、なぜ秋田と山口が候補地となっているのでしょうか?」
能勢解説委員
「それは断定的にはわからないのですけれども。防衛省の説明資料を見てみると、この2か所にイージス・アショアを展開させると、このように、2つの楕円で日本列島がほぼ全域防御可能になるだろうという状況になっていますよね。そうすると、森本さん、もしもこのイージス・アショアの位置が変わった場合、防御できる範囲、この楕円が動くことになると思っていいのでしょうか?」
森本氏
「それは当然のことです。2つのシステムで日本の全域をカバーするためには北に1つ、それから、どちらかと言うと西北と言うのでしょうか、西南と言うのでしょうか、2つの覆域をカバーできるためにバランスよく、できれば日本海側でないといけないので、日本海側に配備すると。それから、山などの遮蔽がないこと。ならびに配置されるところは広くて平坦なところで、そういう十分な敷地がとれること。ならびに電気だとか、水とかというような供給、モノの供給が可能な…この4つの要素を挙げて候補地を選んだわけですが。ただ選んだだけではなくて、選んだあと、3つのことを考えたわけです。1つは地質というのですか、そこの測量の調査、これはこれからやるために、当初、今月に入札の期限を定めていたのですが、これを1か月ほど伸ばして来月の12日に、いわゆる開札するということにしたのですが、地質の調査。それから、もう1つは電波の環境調査と言うのでしょうか、電波がどのように周りに影響を与えるかという電波環境の調査はやると。それから、もう1つは、イージスシステムの候補地として実際にどういうところに建設するかというレイアウト、これも実際はどこの建設会社にやってもらうかということですから、当然、その調査をしないといけないわけですね。この3つの調査をやって、それをそれぞれのお住まいの方々に丁寧に説明をし、理解も得て、協力もいただいて、最終的に候補地と現在なっているのですが。配備の候補地の中から選択しようとしているわけです」
生野キャスター
「森本さんも話されましたけれども、地元への丁寧な説明が重要だと…」
森本氏
「そうですね。特にこの『最適』という言葉は、最初から決めるのはおかしいということを知事のご発言はもっともなことなので、政府も非常にここは注意をして『候補地』という表現にして『最適』という言葉を使わないようにしています」

『イージス・アショア』導入
生野キャスター
「紹介しますと、候補地の1つの秋田県では佐竹知事が防衛省の担当者から説明を受けたあとに記者団に対して『全体構造がわからなければ調査は可とできない。
「最適」
という言葉自身があまりにも地域感情を無視している。
「最適」
という言葉は最低外してもらいたい』ということですね」
森本氏
「いや、よくわかりますね。だから、現在は『候補地』と言っていますけれども。候補地であっても本当に候補地として適切かどうかということをいろいろな側面から調査をして、調査するためには調査していただく企業というか、調査会社というところに入札しないといけないですから、キチッとした手続きを踏んで調査をしてもらった結果は、正しく皆様に説明をして理解をしていただくというプロセスを経て、候補地の中から選択し、できれば、日本全土を最も効率の良い状態でカバーできるように、どこかに隙間があるということでは、これは隙間にお住まいの方には大変失礼ですから、そういうことはあってはならないわけで、2つのシステムで全土が確実にカバーできる最適地に候補地を選びたいと考えておるわけです」
生野キャスター
「伊藤さんは、秋田と山口の候補地についてはどう考えていますか?」
伊藤氏
「私は北朝鮮も大事ですけれども、中国というものを考えると、もう少し全体に西側にずらしてもいいのかなと思いますね」
生野キャスター
「西側に、はい」
伊藤氏
「現在、実際に航空自衛隊のレーダーがもうあるんですよ。下甑島という島ですとか、いわゆる淡路島とか。ですから、私はそこに置くのが1番シンプルでわかりやすいのかなと思います」
能勢解説委員
「それはレーダーのあるところにイージス・アショアを置くと?」
伊藤氏
「はい、そうです。これまで、だから、4か所あるんですよ、もう既に。『ガメラレーダー』と言ってですね。ですから、総理が全部最初から最後まで全部把握していたと言うのは、探知しているんですよ、ミサイルが飛ぶと。だから、それはできるのですけれど、それを落とす能力はイージス艦に頼っていた。であれば、そこに同じように陸上から構えておくように、地元説明はもう終わっているわけですから本当にシンプルに考えてもいいのかなと思いますよね」
生野キャスター
「より中国にということですか?」
伊藤氏
「はい。…ということであれば、北朝鮮にもそれで対応できますから」
生野キャスター
「森本さん、伊藤さんの考えについてはいかがですか?」
森本氏
「そういう見方はもちろん、ありましょう。でも、実際にかなり広い安全地域をとって、候補地を選んで、そこにこれだけの施設をつくるという必要があるので、政治的問題もありますし、それから、陸上自衛隊が運用するということも念頭に置かないといけないので、いろいろな要素を考えて、この2つを候補地に一応選んで。先ほど申し上げたような、3つのプロセスを経て調査をしようと、現在からしているわけです」
生野キャスター
「それから、イージス・アショア自体が攻撃の対象になるということは?」
森本氏
「これは在日米軍が、その基地のあるところが攻撃の対象になるということ同じ議論であって。常に日本の持っているシステムというものが確実に運用できるということによって抑止が働いているわけで。あるところに何かのシステムがあれば、それが攻撃の対象になるという考え方を抑止の議論から言うととっていないので、心配していません」
生野キャスター
「伊藤さん、どうでしょうか?」
伊藤氏
「要するに、では、どこの国が、この基地を攻撃するかと言ったら、たとえば、北朝鮮が空襲をするのかということですよね。まずそのような能力がないですよ、北には。結局、飛んでくるものはミサイルですね。それを全部落とす、落とす機械ですから。ですから、その基地を攻撃するもの自体を落とす機械、落とすシステムです。ですから、私はよくある、巻き込まれ論とか、ダメにする議論のような気がしてしょうがないですね」
生野キャスター
「それから、この防衛範囲が、楕円になっているのですけれど、これはどういうことなのですか?きれいな丸ではなく、縦長になっているのですけれど…」
伊藤氏
「要するに、ミサイル防衛というのは、飛んできたミサイルに後から撃ち上げるんですよ。そうすると、これは端っこに行けば、犬食いになるんです。犬食いになるので、その分、範囲が広くなるんですよ、横に。目の前のモノは先に当てますから、それは」
生野キャスター
「ああ、なるほど」
伊藤氏
「はい。要するに、真上に飛んでくるヤツはそこでもう当ててしまっているわけですよ。横に飛んでくるものはあそこのところで当たるというイメージですね」

『イージス艦・まや』の能力
生野キャスター
「ここから最新のイージス艦について聞いていきたいと思います。先月の末、海上自衛隊で7隻目となりますイージス艦の進水式が行われまして、『まや』と命名されました。『まや』は日本のイージス艦としては初めて敵のミサイルや航空機の位置情報を共有する『CEC』共同交戦能力システムを搭載する予定で就役は2020年となっています。能勢さん、まずこの『CEC』システム、これはどういったものでしょうか?」
能勢解説委員
「この図を見ていただきたいのですけれども、巡航ミサイルの場合、弾道ミサイルは高く飛ぶので、地上や海上のレーダーで一応ある程度の高度までくれば見つけられると。ところが、巡航ミサイルは非常に低いので地上や海上のレーダーでなかなか見つけにくいということになりますので。それで、アメリカ海軍では『E‐2D』早期警戒機という、レーダーを持った飛行機に、上の方で飛ばしておいて、低く飛んでいる巡航ミサイルを見つけさせると。そのデータをCECというデータを送り込む仕組みを使って、イージス艦に送り込み、それでイージス艦の方は『SM‐6』という迎撃ミサイルで、イージス艦のレーダーそのものには巡航ミサイルが映っていないにもかかわらず、E‐2Dのデータを使って迎撃するという仕組みだそうです」
森本氏
「要するに、複数のアセットがあって、複数のアセットが相手の目標を探知してデータをとった場合に、それが同時にその複数の目標にお互いに共有できるということによって、より正確に、より遠くに、より早く探知できるということなので。そのデータを使って、たとえば、あるアセットが見えないところの目標に対しても、その共有されたデータを使いながら相手を攻撃できるという、お互いに、データを共有できるシステム、トータルのシステム、これがCECですね。それを持つことによって、つまり、たとえば、E‐2Dを飛ばして早期警戒機で発見したデータがイージス艦に送られて、イージス艦が見てもいない目標に対して攻撃できるという。お互いに目標情報を共有できるトータルのシステムのことをCECと言っているわけで。これは巡航ミサイルや弾道ミサイル、航空機など、トータルな目標に対して対応できるシステムとして非常に有効なわけですよね。それを持つことがこれからの脅威に対応できる最も重要なシステムだということで今回の新しいイージス艦にもこれを採用する。それから、日本はE‐2CだったのをE‐2Dという新しい早期警戒機を導入して、これを来年以降飛行させるということをしながら、イージス艦とE2‐Dと、それから、CECのシステムを使って、トータルのシステムとして目標を迎撃して対応できるということにしようとしているわけですね」
生野キャスター
「これも初めて搭載されるわけですけれども、その背景は?」
森本氏
「1つのシステムだけで自分の発見したものに対応できるのではなく、もっと遠くのもの、しかも、飽和攻撃のようにたくさんのものが飛んできたり、あるいは航空機や巡航ミサイルに同時に攻撃された場合に対応できるようにするためには、それぞれが、システムが持っている情報を共有できないとダメなので。共有することによって、より早く、正確に探知できるというシステムなので、1つ我が方の戦闘能力が向上するということにつながるわけです」
能勢解説委員
「森本さん、航空自衛隊のE‐2DにもCECが搭載されるという前提なのですか?」
森本氏
「いや、これはまだ決まってはいないです。搭載についてはまだ決まっていないのですけれども。アメリカの場合はE‐2Dに搭載されているので、日本がこれを搭載することによってトータルとして、トータルのシステムとして使うかどうかということは今後決定するということになっています」
生野キャスター
「伊藤さんはCECシステムについては?」
伊藤氏
「おそらくイメージが全然わかないと思いますけれども。要するに、レーダーとミサイルというのはパッケージですよ、基本的に。だから、自分で掴んでそこにミサイルが乗っかって当たるんですよ。これが基本ですね。ところが、先生がおっしゃったように、いっぺんにドーンと飛んでくると自分のミサイルでいっぱい、いっぱいになっていますし、他のミサイルレーダーも掴んでいると、そうすると、それをまず共有しましょうというのが1つ。1番大きいのは巡航ミサイルですね、先ほど来、言っている。上を飛んでくるものはレーダーで正面から捕まえるわけですよ。でも、こうきたものは、こういうレーダーでは掴めないんですよ。ギリギリを飛んできて目の前にきて初めてアッという感じなんですね。ところが、これを上から見ていると、下をまっすぐ線のように飛んでくるわけですね。ですから、E‐2Dというのは背中にお盆があるんですよ。お盆で、下に向けてレーダーがあるので、地上なり海面を飛んでくる、まさに巡航ミサイルをずっと探知できるんですよ。すると、このレーダーが掴んでいますというレーダーの目標でイージス艦からミサイルが撃てるんですよ。これはすごいことですよ。イージス艦は、自分は全然掴んでいないのに、この人の掴んでいるデータに…レーダーに乗せて当てると、これがE‐2Dという極めて新しい概念ですね」
生野キャスター
「現在、能勢さんと森本さんの間でありましたイージス艦『まや』と…」
伊藤氏
「航空自衛隊」
生野キャスター
「航空自衛隊、その連携というのは?」
伊藤氏
「これがないと意味がないんですよ。これがあって初めてCECを搭載する意味があるんですね。ですから、真上から見ていないと、先ほど来、巡航ミサイルを対象、対象と言っていますけれども、地上なり、船からだけのレーダーでは見えないですよ。だから、空から見てくれている、空から真下を見てくれているのと、これがパッケージ…、初めてこのCECによって全てが排除できると」
生野キャスター
「それはなぜ連携できないのでしょうか?」
伊藤氏
「これは予算で皆、つけなかったんですよ」
生野キャスター
「あぁ、そうなのですね」
伊藤氏
「はい。本当は最初から航空自衛隊がつけてくれればよかったのですけれど」
生野キャスター
「うまく連携してほしいですけれど、せっかくなら…。能勢さんはどうですか?海自と空自の連携について…」
能勢解説委員
「いや、もうこれは、アメリカ海軍は岩国にもうE‐2Dを持ってきているのですけれども…」
伊藤氏
「当たり前なんです」
能勢解説委員
「E‐2DでCECをつけているんですよね。ただ、そのアメリカ海軍のCEC付E‐2Dというのは空母が出ていってしまうといっぺんに機数がドーンと減っちゃうわけですよね、岩国にいる機数が。それを考えると、海上自衛隊のイージス艦にCECを積んでいくとなると、航空自衛隊のE‐2DにCECがないというのはどう理解すればいいのか、ちょっと苦しいところが…」
森本氏
「いずれE-2Dを導入した本来の目的から言うと、ご指摘のようなことになると思いますよ。そこは全然心配していないです」
能勢解説委員
「あっ、そうですか」
森本氏
「それから、将来、E-2Dをどれだけ導入できるかというのはちょっとなかなか難しい問題ですね。これは全体の予算の問題になりますので」
能勢解説委員
「確かにその点では、小野寺大臣は、これは3月の発言でしたけれども、まさにこの『IAMD』ですね、これは弾頭ミサイル防衛と巡航ミサイル防衛のためにE‐2Dや地上配備の様々なレーダーがつながって…、イージス艦のレーダーなどと全部つながって、より効率的に対応できるということをおっしゃっていたんですね」
生野キャスター
「将来的にはそういうふうにしたいという?」
森本氏
「そうですね。これに、おっしゃっていないけれども、SM‐6というミサイルが必要なので。E‐2D、それから、いろいろなレーダー、それから、イージス艦、CECシステム、ならびに実際に対抗ミサイルとしての射程の長いSM‐6というのを持てば、このIAMDというのは概ね完成するということなので。まだ全然これを決めてはいませんけれど、個々のシステムを順繰りに入れているので、将来はこれがこういう形で統合されるということになるのだろうと思います」

米『宇宙軍』計画と日本の危機
生野キャスター
「アメリカのペンス副大統領は、今月9日、宇宙空間での中国やロシアとの覇権争いに対抗するため、トランプ大統領が提唱する宇宙軍を2020年までに創設する計画を明らかにしました。森本さん、宇宙軍は、従来の陸海空軍と並ぶ組織とする方針ということなのですけれども、具体的にはどういった組織で、どういったものなのでしょう、どういったことをするものなのでしょうか?」
森本氏
「現在、アメリカには宇宙を担当するのは、アメリカ空軍の中に宇宙コマンドというのがあるんです、もう現にあるんです。でも、今回の構想はそうではなく、陸海空軍・海兵隊、それから、サイバーコマンドというのがあって、これで5つ揃っているのですが、6つ目の独立した軍隊を空軍とは切り離してつくろうという構想です。これはなぜこういうことになっているかというと、ロシアや中国が宇宙で、特に宇宙の対衛星攻撃システムというものをドンドンと発展させ、宇宙の活動がドンドン広がって、アメリカがこれに非常に大きな脅威を受けるようになって、アメリカの国益に直接つながると考えて、独立した宇宙軍をつくって、アメリカの国益を守ろうとしているわけだと思うんですよね。ただ、なかなかこれは難しくて。まず目的は、1番大事なことは今申し上げたように、アメリカはアメリカから見て、ロシアや中国の宇宙における活動を必要な場合は阻止し、これに対して抑止の力を持つということなので。そこで1番大事なのは対攻撃衛星…、対衛星攻撃兵器によって攻撃をされて破壊をするとデブリという、いわゆる宇宙ゴミというのがドンドンと宇宙へ広がって、それが衛星などに当たって、それで妨害を受ける。だから、非常に高価な、しかも、重要な任務を持っている衛星が破壊をされるという、これを防ぐためにどうしたらいいかということが、当面それが大きな目的で。そういう意味では、日本も同じですね。日本の宇宙活動というのは、その宇宙のデブリを監視し、これに対して排除できる能力を持つために、どのように宇宙を情報監視するかという、『SSA』という活動が最も重要な活動なので。これはアメリカとこれから協力するということができればいいなと思うのですが。アメリカの場合に、この第6番目の軍隊をつくるということはこれまで空軍の一部だったものを切り離していくわけですから、当然予算も人員もノウハウも技術も空軍と別の軍隊がここでできるということなので。なかなかリソースというものをどのように分配していくかということは、アメリカの中で非常に難しい問題をもたらすのかなと思います。アメリカのことですから、これを乗り切って、大きな宇宙軍ができていくのではないかなと思いますが。日本が大事なことはその宇宙軍とどういう日米協力ができるかということが我々にとって大きなテーマになると思います」
生野キャスター
「宇宙軍が創設されることによってミサイル防衛には何か変化があったりするものなのですか?」
森本氏
「ミサイル防衛も、宇宙軍の大きなシステムとして、これまで空軍が持っていた機能が移管されるということになると、アメリカ空軍が持っている重要な機能が宇宙軍の中に入っていくということなので、トータルでこれを運用する時にどの機能を持っていくかということが大きいと思うんですよね。まだそれは決まってないと思います」
生野キャスター
「なるほど、宇宙から監視してということですよね、実際に?」
森本氏
「ええ。監視できる能力だとか、衛星を動かす能力というのは、これは宇宙軍ですから、持たないといけないのですが、弾道ミサイルの防衛まで全部、宇宙軍が持つということになると宇宙軍が膨大な力を持つだけではなくて、空軍そのものの機能がここで分配されるということなので。どういうふうに、先ほども申し上げたように、リソースを分けて、機能を分けていくのかということは、これから2020年までにいろいろな議論が行われて決まっていくのではないかなと思います」
生野キャスター
「伊藤さんはこの宇宙軍創設についてはどう感じますか?」
伊藤氏
「おっしゃったように軍隊は反対なんです、これははっきり言って、アメリカ軍はですね。現在だけで十分でしょうと思っているわけです。ところが、大統領からドーンと言われて、現在、渋々、完全に副大統領がおっしゃったので、しかたないなというところで従うと。そうすると、現在おっしゃったように、どこまでこの宇宙軍という別組織に何を渡して、何を守るのかという、これからの議論だと思いますよ」
生野キャスター
「森本さん、中国は宇宙ではどういった?」
森本氏
「宇宙における中国の活動は急速に現在広がっていて、特に、我々が非常に気にしているのは、先ほども申し上げたように、まず対衛星攻撃兵器というものが実は中国の中で大変大きな進歩をしているということですから、いつでも他の衛星に対して妨害ができる、あるいはアメリカの衛星に対して周りが全部取り囲んで機能…、下も見えない、電波も出せない。というような妨害をすることができるわけですね。だから、それをどうやって見つけて排除するかということを考えないといけないのだけれど。そういう能力を持つことだけではなくて、小型の衛星をたくさん上げて世界中至るところ、艦艇であれ、人間であれ、車両であれ、一切のものを探知できる能力を持って、その情報が全部中国の中で集まるということですから。実は中国はそういう日本全体の周りの船舶及び車両等、個々の情報について全部把握している、こういうシステムというものをオリンピックまでに日本に提供できると言うのでしょうか、そういうシステムを売ると言うのでしょうか、…ことも言い出しているぐらい中国の能力が高くなっているので。だから、これに対してどういうふうに対応したらいいかというのはこれから日本の宇宙における活動の中で最大のテーマになると思います」
生野キャスター
「一部報道で、日本は宇宙空間の情報・状況を監視する人工衛星を導入する検討に入っていると?」
森本氏
「それは実際に、できれば小型の衛星を多数上げることによって自らのいろいろな機能、たとえば、これは軍事的に使うだけではなくて、一般の社会に我々が、たとえば、活動する時の通信だとか、あるいは交通手段だとか、あるいは場合によっては、たとえば、農作物の出来具合だとか、気象だとか、そういう日常生活にも使えるような情報を全部、その衛星で情報を手に入れることができれば、それはもちろん、重要なのですが。繰り返しになるけれども、それが他国から妨害されるというのをどうやって防ぐかということを同時に考えないといけないので。これから日本における宇宙活動というのは広がっていくと思いますし、大変我々にとって重要な意味を持っているのだろうと思います」
能勢解説委員
「先ほど、森本さんが日米協力とおっしゃいましたけれど、宇宙軍をアメリカがつくったとなると、衛星の管理ということを考えると地上ステーションをどうするのかというのが非常に大きな話になってくると思うんですね。その時に日本としてはどういうふうに対応していくのか、何かお考えはありましょうか?」
森本氏
「現在のところ日本も、宇宙基本法だとか、宇宙計画というのをやっとつくって、実際に内閣を中心に、これが動き始めたところなので、まだ自衛隊にも宇宙部隊ができるというようなレベルには至っていないので、これからだと思います。課題は非常に多いのですが、非常に重要な課題を抱えながら、まず重要なのは日本の技術を高めると同時に、どうすればアメリカの宇宙の活動と協力ができるかということを考えないといけないです。おっしゃったように、地上局は大事なのですけれど、まだそのベースは全然できていないということだと思います」
能勢解説委員
「では、可能性は?」
森本氏
「可能性…、現在の段階ですぐにコミットできるような状態ではないと思います」

森本敏 元防衛大臣の提言:『不断の見直しと改良に努めるべし』
森本氏
「我が国の周辺は、北朝鮮だけではなくて、中国・ロシアなど、弾道ミサイルを日夜開発しているということなので、脅威の様相もドンドンと複雑に、かつ深刻化するということなので。ある1つのミサイル防衛のシステムをつくったら、それで終わりということではなく、不断に見直しながら、これを発展させていくという必要があると思います。お金がかかるではないかと言うけれど、しかし、領土と国民を守るためには、それはどうしても必要なので、そういう努力をずっとこれから続けていかないといけないということなので。いずれは将来、弾道ミサイルの制限交渉みたいなものが始まればいいのですが、そこに至る道はまだまだ険しくて遠いと思うので、それまでの間、国内を守るために、キチッとしたシステムを導入することは時間もかかるし、お金もかかるということなので、不断の努力が必要と、このことに尽きると思います」

伊藤俊幸 元海将の提言:『堂々と中国も念頭に』
伊藤氏
「私はもう堂々と中国を念頭にした議論をすべきだろうということです。お隣の国ですし、経済関係も当然あります。相互依存のところもあるので、それは喧嘩腰でやるという話ではないです。ただ、現実問題として脅威があるというものは避けて議論をしてもあまり意味がないと思うんですね。それこそ国民の皆さんに対して失礼にあたると、私は思いますので。堂々と排除する、要するに、飛んできたものを落とす技術ですから、別に日本が何か攻撃するものではないのですから。堂々とこれだけの脅威があります、これに全て対抗するために我々はこういう能力を持とうとしています、こういう議論を堂々とすればいいのだと思います」