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2018年8月10日(金)
米新貿易協議が開始 通商戦争にどう臨むか

ゲスト

片山さつき
自由民主党政務調査会長代理 参議院議員
リチャード・クー
野村総合研究所主席研究員・チーフエコノミスト
細川昌彦
中部大学特任教授

『自動車』『農業』国益を守れ 新貿易協議『FFR』初会合
生野キャスター
「日本時間の今日未明、日本とアメリカの新たな貿易協定『FFR』の初会合がワシントンでスタートしました。大きな焦点となっているのが農業と自動車です。貿易赤字解消を理由に2国間での交渉を求めるアメリカと、日本はどう対応していくべきなのでしょうか。FFRについて徹底議論するとともに、今後の日本の通商政策についても考えます。日本とアメリカの新たな貿易協議、FFRの初会合がワシントンで行われました。FFRというのは、4月の日米首脳会談で合意した枠組みです。協議の通称であります『FFR』というのは、自由=Free、公正=Fair、相互的=Reciprocalの頭文字からとられています。これは投資や貿易のルールを重点的に話し合うものです。交渉の担当として、日本からは茂木経済再生担当大臣、アメリカからライトハイザーUSTR通商代表部代表が務めることになりました。日本にとってはトランプ政権が検討する自動車関税がどうなるのか、また、牛肉などの農産物の市場拡大を求めるアメリカに対し、どう臨むかが焦点となっています。茂木大臣の発言の内容をこちらにまとめました。『2人の議論でお互いが基本的にどういうことを考えているか理解が深まった』『早期に成果を出したいという考えは共有している』『今のトランプ政権はマルチラテラル、多国間の交渉よりバイラテラル、2国間の交渉を進めたいと主張』『日本はTPPが日米双方にとって最善であるというのが基本的立場』『自動車・農産品・牛肉については1回目の協議が終了した時点で話したい』としていますが、細川さん、FFRの初会合をどのように見ていましたか?」
細川特任教授
「そうですね。ここで述べられていることというのは、基本的にこれまでの日米の基本スタンスの確認。だと思いますよ。振り返ってみれば、最初の日米首脳会談、昨年の2月にしましたよね、あの時の合意内容そのままですよ。だから…」
松山キャスター
「そんなに進展していない?」
細川氏
「日米…、日米でバイもやりますよ。同時に日本がTPPを追求するということもやって、やってももちろん、否定しませんという2本立てで行って。日本は言ったようにずっとアメリカに対してはTPPに復帰してくださいと言い続けるという、このポジションは全然変わらない。だから、それはスタート地点で、まず確認したというだけだと思いますね」
松山キャスター
「片山さん、当初、日米の経済協議については、茂木さんとライトハイザーさんの今回の協議が始まる前に、ペンス副大統領と麻生副総理との間での協議というのがありました」
片山議員
「ええ、うん」
松山キャスター
「ただ、当時よく言われたのは、経済にはそれほど詳しいとは言えないペンス副大統領を敢えて巻き込むことによって、アメリカからの日本に対する要求というのをまずある程度その時間稼ぎというか、ちょっとゆっくり考える時間を持って、協議の枠組みだけを進めようという意図があったというふうに言われましたけれど、今回もまだ何となく時間先延ばし戦略の延長なのかなという印象もあるのですが、そのあたりはどう見ていますか?」
片山議員
「交渉というものは、時間のかけ方も含めて全てがディールなので、当然そうですし、安倍総理が本当に国益をかけてがんばられて、ペンス副大統領はもともと地盤に日系企業も抱えていて非常にいろいろなコンタクトがあるんですね、我々自民党サイドも。そういう方が副大統領になられたわけで…」
松山キャスター
「インディアナ州ですね…」
片山議員
「大物の麻生財務相との間の枠組みができて話をしていったということは、これは大きなタクティクスとして良かったんですよ。ただ、トランプさんは、たとえば、中国に対してみてもムニューシン長官を使ってみたり、いろいろな人を使って、誰が1番いい果実をとってくるか…みたいな、ところがあって。今回はライトハイザーさんが前面に立っていますが、現在。ホワイトハウスではナバーロ局長という強硬派の方の意見が非常に強いとも言われる中、自動車関税を日本に、あるいは他国にかけるかどうかのお話というのは商務省さんです。商務省ですから、これはロス長官で。こちらが8月にも結果を出すかもしれないと言いながらそれは選挙をまたいで2月かもしれないということも匂わして。この間、公聴会をやって、我々は思いのたけを言ったと。ですから、ライトハイザーさんだけが日米の関税も含めた貿易問題、全て決定できる閣僚なのかどうかということも含め、今回それを見に行く意味は日本側にもあるのかなと思いますね」
松山キャスター
「なるほど。クーさんはどう見ていますか?」
クー氏
「まず今回、お二方が2時間2人だけで喋ったということが非常に大きかったと思いますね。と言うのは、こういう貿易交渉というのはどうしても最後は政治決断にならなくてはいけないわけで、言ってみればボトムライン、お互いどこまでできるかなというのをそこで…。だって2時間2人だけで喋るというのは相当な突っ込んだ話が当然あったと思うんです。そういうのに、いわゆる官僚を入れちゃうと、いや、我々は原則でこっちを言ったのに、この人は何か別のことを言っているとなっちゃいますから。その時は官僚を入れられないですね。本当にトップの2人だけで話すしかないと。そういう意味合いが今回非常に強かったのかなという感じはします」
松山キャスター
「なるほど」
クー氏
「トランプさん、現在大きな目的はNAFTA(北米自由貿易協定)と中国ですね。中国に対しては、もう本当に全面貿易戦争みたいな形になっているわけですし、カナダとメキシコの大使とも現在かなり激しい交渉をやっていますから。そうすると、日本はそういう意味では、英語で言う、このレーダースクリーンの外にあるわけですね。マスコミの注目度も低いし。だから、ここはおそらくこの数日で何か決めようというつもりで今回の会議が開かれたのではなくて、もうちょっと他の話が進んでからこっちに持ってこようと、こういう意味合いがあったような気がします」
松山キャスター
「4月の日米首脳会談の時の安倍総理の発言の中に、こんな内容が入っているのですけど、今回行われているFFRに関して『公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展を実現するため今回、トランプ大統領と自由で公正かつ総合的な貿易取引のための協議を開始することで合意した』と。これは日米間での経済協議・貿易協議を設立したという話なのですけれども、その中にもインド太平洋地域の経済発展を実現するためにということで、もっと幅広い地域の概念というのを取り入れて、これは日米協議をあわよくば他の国との貿易協定にも広げていくということを示唆した発言なのかどうか?」
細川特任教授
「いや、そういう意味ではないと思います。これは日本側の思いがここにこもっているんです。アメリカと必ずしもこれを合意したというわけではないです。これは安倍総理の説明です。どういう思いかと言うと、日米間でお互いに2国間のその利害がぶつかり合うような交渉事だけで済ますわけにはいかない、済ますべきではないと。では何かと言うと、現在、国際的な秩序が中国という存在で、異質な存在で現在、日米、あるいはヨーロッパ、西側が戦後、国際秩序を積み上げてきたものがぐらついていると。そういう中でルールというものをしっかりとつくっていこうではないかと。だから、ここでは、明示的にはもちろん、書いていませんけれども、思いとしては、インド太平洋という名前をエリアとして言うということは中国ということを頭に念頭に置きながらどういうふうなルールづくりを、まさにアメリカと中国は現在、パワーゲームをしていますよね。力に、腕力に任せてと。そうではなくルールの世界で秩序をつくっていきたいと、そういう場に、日米のやりとりも会話もスコープとして入れたいという思いがここにこもっているということです」
クー氏
「そのルールですけれども、アメリカがつくったルールで、それは1940年代、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)体制をつくった時のルールではないですか」
松山キャスター
「自由貿易体制」
クー氏
「自由貿易体制。これは現在のアメリカにとってみると、変なところがいっぱいあるんですね。どういうことかと言うと、赤字国が、たまたまアメリカですけれど、このケースでは関税が非常に低いと。黒字国は赤字国に対してすごく高い関税をかけていると」
松山キャスター
「たとえば、中国ですね?」
クー氏
「たとえば、中国。どうしてこんなことが許されるのだ。しかも、アメリカ全体がどのくらいこの間に変わったかと言いますと、我々、経済学で自由貿易を学んだ時には、自由貿易は勝ち組と負け組をつくりますが、勝ち組が得るものは負け組が被る損失よりもはるかに大きいと、だから、社会全体は大きなベネフィットを得るのだと、こういうふうに教わったわけですね。私もそういうふうに教わりました」
片山議員
「うん」
クー氏
「ところが、これには1つ大前提があって、それは貿易が均衡していることが大前提なんですよ。これは誰も教えてくれなかった。均衡してないとどうなるかと、負け組の数が少しずつ増えていくわけですね。とうとう現在はアメリカで負け組の数がトランプさんのような人を大統領に持っていけるまで拡大しちゃったんですよ。これは大変な変化ですね。と言うことは、民主主義で負け組の多い国がいつまで自由貿易の中に入れるかと。そうすると、このおかしなものを変えていかなくてはいけないですね」
松山キャスター
「細川さんはどう受け止めますか?」
細川特任教授
「うん、国内の…での、この格差の生じているという、ここ自身は各国の共通の悩み、先進国の悩みだと思います。そこは否定しないですけれど。先ほどちょっと貿易赤字のところが負けだという発想、これはもともと1980年代から我々ずっと否定してきたおかしな点だと思います」
松山キャスター
「アメリカはずっと主張していましたよね?」
細川特任教授
「そう。それはね相容れない話で、要するに、そうすると貿易が均衡してないと、全部均衡していないといけないというおかしな世界になってしまうので、これは自由貿易の世界ではないですよ」
片山議員
「うん」
細川特任教授
「だから、それは、我々はまったく受けられない論理だと思います。そのうえで、ただし、現在の国際秩序のあり方、WTO(世界貿易機関)体制のあり方というのが戦後ずっと来て、ほころびと言いますか、揺らぎが出てきたのは事実です。現在の時代に合わない部分も出てきた。新しい産業構造になってきた、デジタルの世界になってきた。それに対応できるようなルールになっているのだろうかとか。いろいろWTO体制自身が、ほころびとか、歪みが出てきたのも事実。だから、そこはそういう意味で、アメリカ自身がWTOを批判するというのは、国連のような164か国で合意しなければできないというような構造になってにっちもさっちも動かないわけです、WTOが。そういう現状に対する問題提起としてはとてもいいとは思います。ただしやり方がいけないので。そういう意味では、これからちょっと議論になると思いますが、そういう国際秩序をつくり変えということを今後、日米、あるいはヨーロッパも一緒になってどうしていくのかというのがこれから大事なテーマだとは思います」
松山キャスター
「今日初日が行われた新日米貿易協議でアメリカ側の代表となっているライトハイザーUSTR代表ですけれども。ライトハイザーさんという方がどういう方なのか、細川さんはどう見ているのですか?」
細川特任教授
「いや、僕が若い頃ですね、遠目に見たことがあるのですけれども、一言で言えば、あまり友達がなりたくないタイプですよね」
生野キャスター
「えー、どういうことですか?」
細川特任教授
「いや、もうガンガン要求してくるという。実はこの間も。米欧首脳会談がありましたでしょう。あの時も、閣僚レベルでライトハイザーさんと交渉をずっと直前までやって、ライトハイザー代表が要求しかしてこない、と言って辟易していたのがヨーロッパだったんです。決裂寸前だったところ、首脳会談で急転直下、合意した。それは、ライトハイザーさんを外して合意しちゃったので。現在、地団駄を踏んでいるのですけど、彼は。そういう、日本にだけではなくて、彼のスタイルとしてそういうやり方をする方だと思いますね」
松山キャスター
「クーさんはこのライトハイザーさん、どういう方だと?」
クー氏
「この立場、USTRというのは交渉するための事務所です。だから、そのトップに交渉屋が就くのは当たり前で。これまでもミッキー・カンターさんとか、交渉屋が日本をひっかきまわし…」
松山キャスター
「橋本龍太郎さんと昔やっていましたね、ガチガチ…」
クー氏
「それは、そういう職場ですね。だから、職場のトップに就いている人がどうのこうのと言っても、彼らはそれ以外の選択肢にないわけで」
片山議員
「うん」
クー氏
「ただ、先ほど細川さんがこれは日本としては受け入れられないと言われましたけれど、日本が赤字を出していた時、1950年代、1960年代、どのくらいこの国は保護主義だったかと。これを思い出していただければ、当時日本には自動車…」
松山キャスター
「国内産業育成というアレがありましたよね?」
クー氏
「すさまじい保護主義だったわけです。自動車鎖国という言葉が日本語にあったのですから」
細川特任教授
「それは別に赤字だから保護したわけではないですよ、それは違うな」
クー氏
「あの時はちょっとでも経常赤字が出てくるとすぐ引き締めをやって、いろいろなことをやって、それ以上悪化しないようにしていた。だから、これは黒字国の議論ですよ。でも、赤字国からしてみればドンドンその分だけ所得がなくなっていくわけですから。と言うのは、GDP(国内総生産)を、今日も日本のGDPが出ましたけれど、GDPを計算する時に、貿易赤字、対外赤字ですね、これはトータルから差っ引くようになるんですね。黒字は足されるわけですから、GDPはその分だけ、赤字の国はその分だけ本来の水準よりも低くなっているわけで。これを40年続けたんですね、アメリカは。40年続けますと当然負け組の人が増えてくる。これを無視して、いや、自由貿易、自由貿易と言っても、これは民主主義の国で、それこそトランプさんが独裁者でない限り無理ですね。と言いますのは、ヒラリー・クリントンさん、民主党の候補ですけれど、彼女も同じことを言っていたわけで、トランプさんと。選挙戦にTPPから…」
松山キャスター
「『NO TPP』と看板を掲げている支持者がいっぱいいましたね」
片山議員
「うん」
クー氏
「そういうところまでアメリカが行ってしまったという事実から、では、日本としてどうするか。では、ヨーロッパとしてどうするかと。こういう発想で対応しなくてはいけないと思いますね」
松山キャスター
「片山さん、こういった話をどう受け止めますか?」
片山議員
「ライトハイザーさんとミッキー・カンターさんというのは、だいぶタイプが違いそうだなと思うし…」
松山キャスター
「違いますか?」
片山議員
「あと、それから、ライトハイザーさんの頃にはまだWTOがなく…」
松山キャスター
「カンターさんの頃?」
片山議員
「カンターさんの頃が終わったあたりでWTOができた。『スーパー301』というのはこれ以上使うとやばいよねと言って、一方的措置もとりにくくなるという前の方々で。ですから、あの当時というのはルールで縛られずに日米で押し込んでいろいろなことをやらせようと思えばできた時代であり、かつアメリカは双子の赤字に苦しんでいた。私が財務省にいてプラザ合意の時のメモ取りか、何かしていましたけれども、皆でアメリカを助けなければという部分が確実にあったのですけれども。現在、アメリカ経済はかなり良い方になっていて。しかも、赤字の額からいくと日本の黒字、日本の対米赤字というものが全体から見てどのぐらいなのかというと、そういう意味の脅威論は完全に中国に対して安全保障上、脅威…」
松山キャスター
「対日本はそんなに強くない?」
片山議員
「ですから、その中でトランプさん流のディールをライトハイザーさんが前面に立ってやる時に、あの頃の日本脅威論につながりかねず、しかも、アメリカが一方的な措置をバンバンやってもノーというWTOがなかった時と同じ意識でやられると困るなというのはありますが。そのへんはたぶんトランプさんは、見ながら使っているなという気もしているんですよね」

対トランプ交渉術
松山キャスター
「そうした中で今回の日米協議に1つ参考になるかと言われているのが、このアメリカとEU(欧州連合)の首脳会談の結果なのですけれども」
片山議員
「そうですね」
松山キャスター
「一時先鋭化するかと見られていた貿易対立が、EUとアメリカとの間ではいったん収束していると。これは日本としては参考になりますか?」
片山議員
「参考になるというか、非常におもしろいのはアメリカとEUが、これが関税のタリフラインも含めた協議ということになると、これをWTOの下でやろうとすると結構難しいですね。自動車も入れるとこれは立派な米EU、FTA(自由貿易協定)になり得るんです。9割以上のタリフラインの譲許率になるから。ただ最後、私がうかがったことによると、ドイツも、10%と2.5%で不公正と言われている関税についてもしょうがないかなと言ったという説もあり、つまり、EUのアメリカに対する赤字はほとんどドイツなので、目に見えたライバル国としての製造業国はアメリカから見てEUの中ではドイツしかないので、ドイツがそういうことになればできないことはないですね。そうすると、米とEUの間で一定レベルの経済連携が何らかの形でできて、日本とEUはもう結んだ。アメリカと日本が最後どうするかということになると、事実上新たなパラダイムができてくるということにつながりかねないので。ある意味で、結果的には先ほど申し上げたような、中国以下、非常に低いレベルでしか達成できないところは置いていかれる可能性があるという意味ではおもしろい動きではあるし、アメリカとEUというのはG7で見ていても最後必ず握るんですよ。私達の時はフランスの代表がトリシェで、ラリー・サマーズで、そこに我々が入ってずっとやっていましたけれど、先鋭に対立しているようでいて、親戚がいたりしますから情報の量が違い、必ず握るんですよね。今回はNATO(北大西洋条約機構)のこともあって、きつく言っていた部分でNATOの部分の軍事負担をおそらく各国が少し増やしてくるから、意味はあったから、全体のホールパッケージとしてはアメリカは降りてもある程度いいという部分もあって、おもしろい…ですよね」
松山キャスター
「細川さんはこの米EUの会談の結果をどう見ていますか?」
細川特任教授
「これは交渉のやり方にすごくレッスンがあると思います。日本にとってね。と言いますのは、先ほど申し上げたように、ライトハイザーさんというのは閣僚交渉をずっとやって決裂している状態で、実は首脳会談の当日にクドロー国家経済会議委員長のところに別途、共同宣言文を別なルートで持ち込んで、クドローさんからトランプさんに上げさせて、ああ、これでいいではないかという話になって…」
片山議員
「そう、常にいろいろな人を使うんです」
細川特任教授
「そう。それで、…と言うより、首脳会談の場でもライトハイザーさんはガーッと反対していたのだけれども、トランプさんが、おい、いいよ、いいよという話になった。と言うのは、大事なのはライトハイザーさんとだけ交渉をやっている、この正面だけで見ていたらダメなので…」
松山キャスター
「突破できないと、そこだけでは?」
細川特任教授
「複線でいろいろやっている、これがEUのしたたかさ、1つ。それから、もう1つ大事なのは、この合意ですよ。この合意、何か輸入拡大とか書いていますけれど、実はよくよく読めば、輸入拡大するというコミットをEUはしたわけではないです。宣言文を読めば、米欧両方が、その拡大に向けて取り組むとか、あるいはLNG(液化天然ガス)もアメリカはその規制を見直すとか、そういう話が実は背景で…背景というか書いてあるわけです。何が言いたいかと言うと、トランプさんはそのあと選挙民に対して、俺は大豆でヨーロッパから獲ってきたぞと言って…言っていたんです。それだけを日本のメディアは聞いて、拡大で何かコミットしたかのような報道をしていますが、それはまったくそうではないです。だから、何が言いたいかと言うと、トランプさんに、獲った、獲ったぞというふうに思わせるような仕立て、仕立てづくり、この知恵が大事」

日本の国益は守れるか? 自動車関税と日本の対応
生野キャスター
「アメリカは自動車に関して日本には安全基準や検査手続きなど非関税障壁があると主張していますが、日本側は、関税は撤廃され、非関税障壁もない、としています」
松山キャスター
「アメリカが非関税障壁がまだ日本にはあることを主張していると言う一方で、アメリカは本当にアメリカでつくっているアメリカ車を日本の市場で売りたいということを本気で考えているのかどうか?」
細川特任教授
「いや、思っていない」
片山議員
「思っていない…」
細川特任教授
「アメリカは、僕は日米で自動車の交渉をずっとやってきました、その時と同じセリフを言っているんです。同じことをずっと言い続けているんです。なぜ言っているかというところが大事です。まず昔と違って、ビッグ3は現在、日本の市場に入ってくる気はないです。逆にもう撤退しているんです。かつて日米自動車交渉をやって、協定を結んでやりましたけれども、あの時以降、増えているのはドイツ車ばっかりですよね。ビッグ3はドンドン減っていって現在は撤退です。だから、日本マーケットに入ってくるつもりはまったくないのになぜこういうことを言っているかというところが1番大事ですよ。なぜかと言いますと、まず自動車の関税はどうなっているかですよ、現在。アメリカが乗用車2.5%、ライトトラック25%…」
松山キャスター
「ライトトラックにすごく関税をかけているんですね」
細川特任教授
「ライトトラック、これはピックアップトラック、これは稼ぎ頭ですよね。だから、ここで儲けようとしているわけですよ。25%という高関税をかけている。日本はまったく関税ゼロ、EUは10%。トランプさんはEUの10%がけしからんとわめいているわけですよね。それで、実はなぜ日本のマーケットについてこういう非関税障壁があるというような、いわば言いがかりをつけているかということですよ。それはアメリカのこのマーケットを守りたいんです。実は、よくメディアでは自動車と農業で日本は攻められるというトーンで書かれるではないですか。アレはアメリカの言っていることをそのまま書いているところがあります。まったく意味が違って。確かに農産物は売ろうとしています。自動車は売ろうとしていないです。わざと攻めている形をとって攻めは最大の防御ですよ」
片山キャスター
「攻撃は最大の…」
細川特任教授
「攻撃は最大の防御ですよ。それで何を防御するかというのは、アメリカマーケットを防御するために日本マーケットをわざと攻める。これは1990年代の僕が交渉をやっていた時からずっと同じです。そこをちゃんと本質を見なければいけない。だから、この間おもしろいことが起こったのは、米欧の合意がありましたよね。アレで『自動車を除き』と書いていますでしょう」
松山キャスター
「双方が自動車を除く工業製品の関税撤廃に取り組む…」
細川特任教授
「これがすごくミソですよ。実は、除いてくれと言ったのは、アメリカが頼んだんですよ。全部ゼロでいいではないかと。実はヨーロッパが何と言ったかというと、自分のところの10%もやめるから、あなたのところもやめてよと…」
片山議員
「そう。メルケルさんが飲んだという話を私も聞いています」
細川特任教授
「そう。そういうふうなボールを投げたんです。良いボールだと思います。そうすると、逆にトランプさんはオタッとするわけです。これを下げるつもりはないから」
生野キャスター
「なるほど」
細川特任教授
「それはわざと相手を攻めてこっちを守るつもりだったから。それで全部をゼロにしましょうよという、先ほどの工業品をゼロにしましょうというところに、『除く、自動車』と書かせたのはアメリカですよ。これで馬脚が現れたわけですよね。要するに、口では相手のことを責めているけれども、実はここを守るためだというのが今回の米欧の交渉ではっきりしちゃったということなので。これから先、日本も、そこを念頭に置いて交渉に当たらなければいけないということです」
松山キャスター
「まさにトランプ政権が実際どういう自動車関税を検討しているのかというあたりをちょっと見ていきたいと思うのですけれども」
生野キャスター
「トランプ政権は、現在、自動車や自動車部品に対して最大25%関税を検討しています。その根拠となるのが通商法232条で、アメリカ大統領に安全保障理由とした貿易制裁を認める法律で、大統領が脅威と認定すれば、関税率の引き上げや輸入割当枠の導入などの制裁措置を発動できるというものです。片山さん、トランプ大統領は安全保障を引き合いに関税の発動をちらつかせて相手の譲歩を引き出そうとするやり方です」
片山議員
「アメリカとの2国間の安全保障条約を結び、米軍基地を抱えている我が国がどうして安全保障上の脅威になり得るのと?しかも、普通の乗用車がどうして安全保障上の脅威なのと?鉄板の一部は確かに軍事的なものの材料になるものはなくないのかもしれないけれど、車、普通車がなる?本当?というのは確かにありますよね。ですから、この手法で本当に来られたら、日本も、第1の同盟国ではあるけれど、キチッとモノを言ってWTOにも協議を申し入れ、他の国が鉄鋼の時にやって、日本はやっていなかったけれども、何らかの対抗措置も…、ということになる可能性は高いし、そこは一連のディールの中で日本もちゃんと持っておかなければいけない、そういう部分はあると思いますね」
松山キャスター
「これは単純試算なのですけれど、自動車の関税引き上げの影響、こういう形で大和総研が試算を出しています。日本からの直接輸出と、メキシコ・カナダなど第3国を通じた輸出等を含んで、これだけの金額が変わってくると、負担が大きくなるということなので。細川さん、日本としてはこの通り本当に推移するかどうかわかりませんけれども、影響は大きいと見ざるを得ませんよね?」
細川特任教授
「もちろん、影響はすごく大きいですよ。ただ、これは気をつけなければいけないのは、アメリカの消費者の負担であって、日本の企業ではないということです。それから、大事なのは、そうすると、アメリカに輸入車というのはもっと多いですから、全体で900億ドルぐらいの負担増になると思います。問題はそういう負担の大きさの問題だけではなくて、これは秩序を歪めている、ルールを逸脱しているところが根本的な問題ですよね。それで先ほど、僕が交渉材料に使っていると申し上げましたでしょう。これは鉄鋼の時もそうなのですけれど、今回の米欧のこの交渉の時もロス商務長官はこれで脅しをかけているからヨーロッパはこういう妥協をしてきたのだと公言しているわけですよ」
松山キャスター
「では、ブラフの材料としてこういうことを言ってきている…」
細川特任教授
「…もう彼ら自身が公言しているんです。可能性ではなくて、もう自分で公言しているんです。交渉のために手を上げている。現にこの自動車…、アメリカの自動車メーカーは、どこもこれは賛成しているわけではなくて、逆に反対している…」
松山キャスター
「そうですよね。消費者への影響が大きいですからね」
細川特任教授
「これまでの日米交渉というのは、必ずアメリカ側の産業界が要求をして、USTRが交渉する、これが当たり前の世界ですよ。産業界も反対することを、では、なぜするかと言うと、その産業のためではなくて、他のいろいろな交渉材料…交渉でとるためにやっているということがはっきりしているんですよ。だから、それを念頭において、我々はこういう単なる交渉材料をやっていることに対する向き合い方、これははっきりとWTO提訴するとか…」
クー氏
「…産業界だけ見たら間違いですよ。労働者はどうなのかと?」
細川特任教授
「それは、でも、本質的な問題ではない…」
クー氏
「アメリカの産業界はドンドン工場をメキシコに持っていったり、やっちゃったわけですよね。その方が儲かるから。でも、残された労働者はどうなったのかと?」
片山議員
「そう。公聴会でも労働者団体だけは、トランプさんのこの政策に賛成だった。あとは皆、反対…」
松山キャスター
「トランプ大統領が見ているのはアメリカの労働者…」
クー氏
「産業界の票で当選したのではなくて、労働者の票で当選しているんですよ」
松山キャスター
「なるほど。消費者はどうですか?アメリカの消費者…」
クー氏
「ただ、いろいろなアンケート調査を見ても、ある程度の被害はしょうがないと。あまりにも自分達はこういう状況を放置してしまったという声はアメリカの中でもあるんですね。トランプさんも言っていますように、自分達は日本が悪いことやっているとか、中国が悪いことやっているとは言っていないと。自分達の怠慢で、こんな状況を何十年も放置してしまったと。40年間、もうアメリカは貿易赤字、極めて大きな赤字を出していたわけですから。それを現在直そうとしているだけなのだと。日本のせいでもないし、中国のせいでもないと、我々の怠慢だと、こういうふうに言っているわけです。だから、それはまさに労働者のことを考えて行っていると。だから、産業界が反対していると。現在、自動車業界というのは、世界中で部品があらゆる形でまわっていますから、それはこんなことが、トランプさんみたいなのが出てくると大混乱になっちゃうわけですね」

市場開放にどう臨む
生野キャスター
「アメリカは農産品の市場のさらなる開放を求めているのに対し、日本側はTPPの合意ラインが最大限の譲歩との認識を示しています。細川さん、アメリカは、さらなる市場の開放を求めているのですけれど、どのような要求が出たと考えますか?」
細川特任教授
「うーん、今回どういう形だかはわりませんけれども、ただ、現在のアメリカの置かれている状況をちゃんと押さえておかなければいけないと思うんです。これは特に農業州、中西部の、現在、中国、あるいはカナダとか、いろいろなところで報復関税をかけている。この打撃を受けて農家が、相当不満が溜まっているという現実があるわけですよ。そうするとこれから先、中間選挙に向けて票田の中西部の農家の不満をどう解消するか、これが現在、トランプ大統領の最大の関心事項ですよ。従って、現在出しているのはそういう農家の、打撃を受けている農家対策で、9月の下旬に比べ120億ドルの救済の現金給付をやるというすごいことも、そういうこともせざるを得ないような時代になっている。そうすると、今回、米欧の首脳会談でも大豆の輸入というのがテーマになりましたでしょう。これが効くかと言うと、今申し上げたような状況で、大豆の生産地域…農家に対し、これは現在、中国の関税引き上げですごく打撃を被っています、そこに対する救済なのでトランプさんは飛びついたということですよね。だから、そういう意味で、日本との関係では牛肉。大豆ではなく、牛肉だと思います。そうすると、カンザス、ネブラスカ、アイオワ、こういうところの肉牛生産者、そこに対する対応をどうするのかが最大のポイントになっているという、こういう構図ですね」
松山キャスター
「まさに日本の輸入牛肉の国別推移というのが、こちらにグラフがあるのですけれども。一時期、2003年頃にBSE(牛海綿状脳症)問題が発生したことによってアメリカ産牛肉の輸入が激減したという時期がありましたけれども、そのあと徐々に徐々に回復してきて、最近まで回復傾向にあるのですけれども、まだオーストラリア産にアメリカ産が押されているというような状況だということで。アメリカはここを、アメリカ産牛肉をもっと日本の市場を開放して入れていきたいという、そういう圧力を強めてくる?」
細川特任教授
「そうでしょうね。現在、中国、あるいはカナダ、こういうところの報復関税でアメリカ産の牛肉というのは相当打撃を受けています。そうすると、日本がこれでTPPが発効するとますます日本市場におけるオーストラリアとの競争力がなくなっていくということを懸念するわけですよね。そうすると、直近に打撃を受けている中で、さらにTPPで日本市場が苦しくなるという、これは耐えられないという声が出てきてもおかしくない。だから、これに対してどういう救済ができるのかというのがトランプ政権の現在の最大の関心事ではないかなと思いますね」
松山キャスター
「クーさん、アメリカが日本に輸出する牛肉、これに対する熱意と言うか、どれぐらいの圧力をかけてくると考えていますか?」
クー氏
「かなりかけてくるのではないですかね」
松山キャスター
「1つの大きな焦点ではありますか?」
クー氏
「と思います。私もアメリカに戻って日本に帰ってくると、スーパーマーケットに行くと日本の食品は高いなと。これは日本で高くても、台湾とか、アジアで同じように高いかというとそうでもないですよね。日本の関税が高いから。そうすると、ああ、日本の皆さん、どうやってやりくりしているのかなと思ったりするわけで。ここはまだ日本としてもできるところがあるのではないかなと思います」
松山キャスター
「片山さん、この牛肉というところではアメリカが関税引き下げというのを強く求めてくる可能性があるということですけれども、日本としてはどれぐらいまで応じられるという、そういうラインというのはだいたい見通せていたりするのですか?」
片山議員
「今回、FFRが7月にも始まるかもしれないということで、我が党としては、日EUとか、あるいはTTPの対策本部として、TPPのライン、要するに、TPPに戻るということだったらいいけど、2国間の交渉ということは相当慎重に考えてほしいと。もっと言って、まかりならぬに近いですけれど、そういう申し入れを茂木大臣に、党の対策本部としているのは、TPPに達するまでの38%から下げていくというあのラインですね。あれを、国内を説得するのに非常に大変で、結果的にそこまでして日米間のマルチの中でのTPP合意もつくったら抜けちゃったと。オバマさんからトランプさんになったら抜けちゃったと。残りオーストラリアの分、ニュージ―の分、カナダの分、メキシコの分、いろいろとあるけれども、それはもう結んだものですからそのままやるということになると、年内か来年早々には下がってくるから差がつくと。そこをどうしてもイコールフッティングにはしてほしいと言っているアメリカに対して、いや、我々はもう散々あなた方とはやったと。たとえ政権がなくなってもやって、それ以上の深堀はない、ということに尽きると思うんですよね。そのための対策パッケージまで全部、法律や予算を通してやっていますから。ですから、ここが簡単に動けるラインではないということが、まず今回非常に大きなことですよね」
松山キャスター
「まさに牛肉の関税引き下げについてTPP11の合意内容では現行38.5%の関税を段階的に引き下げていって16年目以降で9%まで引き下げるということですが、徐々に徐々にこのあと下がっていくと?」
片山議員
「豚肉にしても、豚肉は重量税ですから四百何十円というのが下がってくる。それから、小麦についても、TPPについて枠を設定しましたけれど、アメリカはそこから抜けたので枠もないと。ですから、両方が全部きれいに発効すると、明らかに得意としている農産品の1番儲かる分野においてライバルに劣後しちゃうと、そのお気持ちはわかるのですけれども、だったら…」
松山キャスター
「日本政府の方針としては、TPPの合意ラインまでだったら最大限譲歩できるという姿勢のようですけれども。もともとTPPは農産物とか、畜産物と工業製品と合わせてパッケージで合意する…」
片山議員
「そうです」
松山キャスター
「…数字だったと思うのですけど、ここだけ下げることは可能ですか?」
片山議員
「つまり、アメリカに対する、自動車部品も下がる、他のものも下がるということだったんですよ。ですから、最大の市場はTPPの中では日本にとってはアメリカで、アメリカにとって日本だったのだけれど、それ以外のところと結んで、それでも同じ率でやっているという合意を日本は日本の判断でしたわけだけれども、それでアメリカということになったら、それはアメリカが他の部分についても、譲ってくれないとねということは当然言いますわね」
細川特任教授
「牛肉だけの関税を下げるということはWTOのルール上できないですよ」
片山議員
「できないんです」
細川特任教授
「…2国間で」
片山議員
「できないんです」
松山キャスター
「そうですよね」
細川特任教授
「そうすると、TPPのようにパッケージでほとんどの貿易をカバーできるような仕掛けをつくって初めてこれが合意できるわけです。そうすると、アメリカの要求しているところを仮にTPPまではいったん譲歩したのだから、日本はいいではないかと、これも一理あるんですよ。だったら、その時に合意した自動車のアメリカの関税引き下げ、こういうのも全部含めて、これは全部パッケージで合意しているわけです。だから、良いとこ獲りだけするというのはあり得ないんですよ。そうすると、パッケージでやっていくと、どういう姿になるかと言うと、これがよく巷の言われるFTAという形になる。だから、2国間のFTAという形をつくらない限りは牛肉の関税引き下げだけをするというわけにはいかない、というのが制度上の制約です」
片山議員
「だから、そこ…」
細川特任教授
「従って、なぜライトハイザーさんがいろいろなところで、国内で日米FTAと言っているかと言うと、何もFTAをやりたいのが目的ではないですよ。手段です。目的はあくまでも牛肉の関税、牛肉以外もありますよ、典型例、典型例が…」
松山キャスター
「個別の品目での個別の交渉をやりたがっているということですか?」
細川特任教授
「…で、それをパッケージで合意しない限りはできないので、FTAという手段しかない。だから、言っているというここの本質をわからないと、FTAを言ってくる、FTAを言ってくるという議論があるではないですか。そうではなくて、何を獲りたいために言っているかというところを見極めなければいけない」
片山議員
「うん、そう、そこがすごく重要なポイント…」
松山キャスター
「クーさん、どうですか?アメリカとしては…」
クー氏
「だから、アメリカは、TPPの11か国のうちの6か国ともうFTAを結んでいるわけですよ。だから、残ったのは日本。と言うのは、残った国々、5か国の中で日本だけGDPの87%ですから。あとのニュージーランドとか、ベトナムとか、たいしたがことないので。だから、日本とFTAを結べば同じような形になるではないかと、そういう発想があるんですね」
片山議員
「注目しなければいけないのは、これがTPP11と日EUのEPAですね、FTAではなくて、投資やサービスもあってEPA(経済連携協定)なのですけれども。ルールとしては、タリフラインで9割以上をお互いに自由化している2国間の、あるいはマルチの自由貿易協定ないし、プラスαのものでないとWTO上の例外にしてもらえないです。ですから、日本はいつも、我が国も結構市場が大きいですから、どことやる時も、日本の方の品目は、コメとかをしっかり守って、9割いくと、1番高くても90%台前半で、相手の方はずっと高いというディールをしているから、そんなに、農業関係の皆さん、ご覧になっているかもしれないですけれども、相当がんばって守ってきたんですよ、取引としてはね。これでやるというやり方以外にないのでしょう、ということを日本側は言っているわけで。それは、すなわちTPPの空いているカセットのところにアメリカが戻ってくることと一緒でしょうということを言っている、こちらの気持ちも…」
松山キャスター
「そこを説得していくということですよね、日本としては?」
片山議員
「そうですね」
細川特任教授
「だから、TPPに戻ってくるということをトランプさんができないと言うなら…」
片山議員
「そう、政治的にできないから…」
細川特任教授
「TPPと同じようなもの、内容を、日米間で…」
松山キャスター
「別な形で?」
細川特任教授
「EPAという形でやるという手もあるかなと思います」

細川昌彦 中部大学特任教授の提言:『通商システムの再構築』
細川特任教授
「『通商システムの再構築』と書いていますけれど。日米関係を僕もずっとやっていて、伝統的に圧力をどうかわすかとか、守り一辺倒になるというのは、メディアを含め、そういうマインドがこびりついているわけです。早くこれを脱却しなければいけない。危機は、国際秩序が現在、WTOも含んで揺らいでいるという、これは日本にとって危機ですよ。そうしますと、今回の日米もグローバルな通商システムをどうやってつくる…、ルールベースにつくっていくかということ。そのために、日欧、TPP、日米という、こういう仕掛けで全体を描いていくという、こういう攻めの姿勢でやっていただきたいなと、こういう思いです」

リチャード・クー 野村総合研究所主席研究員・チーフエコノミストの提言:『森を見よ』
クー氏
「この交渉事、先ほど、細川さんの方から20年前と同じことをアメリカは言っていると。私としては、日本は20年前と同じ間違いを犯してほしくないと。つまり、過去、個別交渉ではここはおかしいではないか、あそこではないか、そんな主張はおかしいと、これをやって、トータルではどうなったかと。トータルで1995年は79円75銭まで為替はいっちゃうんですね。その時、日本はアメリカ政府に泣きついて何とかしてくれと。当時のアメリカ政府の対応は、あれは自業自得でしょう、市場開放をそれだけ拒否しておいて、それで最後、為替が円高になったら泣きついてくるとは何事か、こういう話になっちゃうんですね。それだけは避けてほしいなと。いろいろな意味で…」
松山キャスター
「木ばかり見ていてはいけないと?」
クー氏
「と言うことですね。森を、全体を見てほしいなと思います」

片山さつき 自由民主党政務調査会長代理の提言:『大義と説得』
片山議員
「日本が初めてアメリカとの交渉の中でこちらが理を説いて大義を唱える時だと思うし、それが言える立場に日本はなってきていると思うんです。ただ、それだけではなく、結果を求める大統領であり、しかも、現在の日米関係の重要性に鑑みれば、ここは安倍総理に、安倍総理の言うことをG7の首脳の中では1番聞く大統領ですから、説得していただくと。そういう意味で、我々、これから総裁選があるけれど、トランプ大統領とのトップ交渉しかないですね。それができるのは、総裁は安倍総理しかいないかなと、そういう理由にもなっていますね」