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2018年7月25日(水)
与野党議員が徹底議論 検証…公文書新ルール

ゲスト

武見敬三
自由民主党参議院政策審議会長
逢坂誠二
立憲民主党政務調査会長代理
階猛
国民民主党政務調査会長代行

『改ざん』『隠ぺい』防げるか? 政府の公文書『新ルール』
斉藤キャスター
「先週金曜日に政府は財務省の決裁文書の改ざんなど一連の不祥事を踏まえた再発防止策をまとめました。果たして政府が示した新しいルールで公文書の改ざんや隠ぺいは防げるのか、与野党の皆さんと徹底的に検証します。政府がまとめました公文書の改ざんや隠ぺいなどの再発を防ぐための対策です。どんなことが書かれているのかと言いますと、コンプライアンスや意識改革を促す取り組みとして、幹部を含む、職員研修の充実、文書の管理状況を人事評価に反映させる。また、改ざんなど悪質な場合は免職を含めた懲戒処分。独立公文書管理監の権限を拡大する。各府省に公文書監理官を新たに設置するとしています。この文書の管理については、公文書管理の電子化だったり、決裁文書の事後修正を認めない。また、電子決済を推進するとしているんですね」
松山キャスター
「この案の中で独立公文書管理監というのが内閣府の中にあって、その権限を拡大するということで、それとは別に各府省についても、文書管理を専門にする公文書監理官というのがそれぞれ置かれると?」
武見議員
「そういうことです。これまでは各府省の中で官房長を中心に独立してやっているだけだった。しかし、それをあらためて各省統一のガイドラインをきちんとつくって。それがきちんと守られているかどうかというのを、この内閣府の公文書管理監がきちんと指導・監督・助言をするという格好になるんですね。その内閣府に属する新たな権限を持った公文書管理監が、どこまで我々が期待するように各省を横断した横串の、文書管理の仕組みをつくり、それを役所の機能の中でちゃんと定着をさせるかというのを、我々はこれから相当厳しくチェックしていかなければなりません。実際に、この行政文書のこういう管理の仕組みをつくり変えるということは、言うなれば、官僚の文化を変えるのと同じぐらい難しいですよ。そういう大変大きな課題に現在、真正面から我々、とにかくできるところから始めようということで、今回の取り組みができあがったと、こういうふうに理解していただきたいと思います」
松山キャスター
「一方で、先の国会の中では野党側は、公文書管理については法改正も攻めた抜本的な改正というのは求めていたわけですけれども。安倍総理も、そうした議論の中では、一連の不祥事を受けて『再発防止のため組織や制度の見直しの必要があれば、そのための法改正も含め公文書管理のあり方について政府をあげての見直しを行う』と、これは4月9日の参院決算委員会での答弁ですけれども。こういうふうに、公文書管理法の改正を含む、法改正について言及されていたわけですけれども。実際のところは法改正というところまでは先の国会ではいかなかったということですが。逢坂さん、安倍総理の発言と、実際に政府与党が、この国会で示した姿勢、どういうふうに見ていますか?」
逢坂議員
「今回のこの改正案というか、対応ですけれど、本質から目をそらしていると。それで公文書管理をきちんとやろうという本気度が感じられないですね。なぜかと言うと、理由はいくつかありまして。1つは、今回の森友・加計の問題でなぜ公文書が改ざんされたのかという、その理由をまったく明らかにしていないわけですよ。だから、森友・加計がきっかけになって今回、公文書の問題に対応しているはずなのに、原因・理由をはっきりさせないで対応しようというのはそもそもその場しのぎなのかなという感じがするんですね。それから、もう1つは、今回、内閣の文書を内閣が管理していることによって問題がいろいろ出てきたわけです。そのルールをつくるのもまた内閣でやっているわけですよ。だから、不信の渦中と言うと問題があるかもしれませんが、疑惑がある人達が、その人達が自分達でまとめた対策なのでお手盛りではないかということがあるんですね。もしそう言わないというのであるなら、公文書管理委員会という諮問をする機関があるわけだから、公文書管理委員会に聞けばよかったのに、それもきちんとやっていないわけです。だから、自分達でやって自分達に都合の良いものをつくったのではないかという感じもするんですね。公文書管理で大事なのはどんな総理が出ようとも、どんな官僚が出ようとも、どんな総理、どんな官僚というのは、たとえば、文書を捨てるとか、隠すとか、改ざんする、という人がどんなに出たとしても、それに負けない仕組みがあるということが大事ですよ。でも、今回のこの仕組みのままだったら、総理がこれはまずいぞとか、これは隠したいなと思うような素振りを見せたら、官僚が忖度をする仕組みであることには変わりはないんですね。だから、その意味では、踏み込み不足、本質をしっかり押さえていないというのは、私の印象ですね」
松山キャスター
「階さんは今回の政府の一連の不祥事を受けての再発防止策が、先の国会で散々、森友・加計問題とかいろいろ議論していましたけれど、最後の最後になってこの再発防止策が出された、このタイミングについてはどう考えますか?」
階議員
「これもまた非常に作為的なものを感じるわけですけれども。国会の実質最終日ですよね、7月20日にこういうものを出してきたと。しかも、法案ではないので、国会で審議もされないということで。もうこの先、この問題について議論の場を与えないという意思が如実に表れているということで、極めて姑息なやり方ではないかと思います」
斉藤キャスター
「さて、公文書の管理については公文書管理法というものがあります。そもそも2009年に公文書管理法が成立した際、附帯決議がつけられていました。参議院の附帯決議の主なものはこちらですが、『意思決定に関わる記録を作成しその透明化をはかる』『軽微性を理由に文書の不作成が行われないようにする』『作成後、時間を経過した文書が不必要に廃棄されないようにする』『公文書の電子化について十分な検討を行う』等が主なものです。まるで今回の一連の不祥事を予見していたかのような内容だと思うのですが…」
松山キャスター
「まさにその軽微性を理由に文書の不作成が恣意的に行われないようにするとか、一連の森友・加計、あるいは日報の問題でまさに焦点となっていた部分がこの通りに行われていれば、この問題は起きなかったのではないかということを匂わすような文言も入っていたわけですけれども、このあたりは改善の余地があるということですか?」
武見議員
「こういう問題について、これから実際に我々が新たに策定をした、こうした提言や、実は与党の提言の方が、政府が今回取りまとめた再発防止の取り組みの文書よりもずっと詳しく詳細につくられているんですよ。ですから、それをどこまで今度は政府がきちんと実行するかということを、与党の立場としてはこれから相当厳しく見守っていくことになります」
松山キャスター
「なるほど。逢坂さん、いかがですか?この今回の国会よりも前に参院での附帯決議というのが、こういう内容が盛り込まれたということですけれども」
逢坂議員
「この現行の公文書管理法というのは、成立したのが2009年の6月、麻生内閣の時です。提案されたのが実はそれよりも1年少し前の福田内閣の時だったんですね。私は実はその時、総理から直接連絡をいただきまして、実は公文書管理法をつくりたいのだと。当時、ねじれ国会でしたので、何とか協力してもらいたいということで、私も公文書管理はライフワークとしてやっていますので、福田さんと思いが一致して、やりましょうと、修正もしましょうということでスタートしたんですね。ただ、政府から出された法案を見ると、議論が十分ではなくて、この法案のままだったら必ずいろいろな問題が出る、そのおそれがあると。それが全部、附帯決議になっていったわけですね。本来これは法律に盛り込むべきことだったのですけれども、現在の法律のままだったら、これはダメだと、そういう思いの表れですよ。本来、法施行後、5年後の見直しというのがあって。その時に抜本的にこれを見直すべきだったのですが、その5年後の見直しの報告がされたのは2年前の3月ですから、平成28年の3月ですね。その時の政府の姿勢はどうだったかと言うと、公文書管理法問題なし、それから、公文書管理法ができたことによって公文書管理が良くなっているというような内容の報告だったわけです。だから、その時に私は、相当これはおかしいと。附帯決議のことも踏まえていないし、5年後の見直しの機会に良くなっているなんて、これはおかしいぞというのが偽らざる私の思いだったです。だから、こんなことを放置して置いたら変なことが起こるぞという、そんな感じですよ」
松山キャスター
「階さんはいかがですか?この通りに実行されていれば、なかなか今回の一連の不祥事が起こり得なかったのではないかという気もするのですけれども?」
階議員
「先ほど、斉藤さんがこの通りやられていれば今回のような問題は起きなかったのではないか、みたいな現在の状況を予見したかのような附帯決議だと言われたわけですけれども。予見できていないことが1つありますね。文書の改ざん。これは…」
松山キャスター
「そこは想定外だった?」
階議員
「想定外ですね。さすがにいくらなんでも、『いくらなんでも』と言った理財局長がいましたけれども、いくらなんでも、財務省の高級官僚の方達が公文書、しかも、決済済みの公文書を改ざんするということは想定できていなかったんですね、その時は。そういった事態が起こり得るということに立って制度設計をしなくてはいけないと」
松山キャスター
「一連の問題の中で今回、公文書とは何ぞやという部分がかなり問題になったと思うのですけれど、そもそも公文書なのか、個人のメモなのかみたいなところで議論が行ったり来たりしていたということがありました。そのあたりをもう一度おさらいをしてみたいと思います」
斉藤キャスター
「加計学園の獣医学部新設をめぐる文書に関しては、文科省が調査を行った際に、『総理のご意向』だったり、『官邸の最高レベル』の記述がある文書の存在を認めたものの、公開しない個人メモだと説明していました。では、そもそも公文書とは何かということになってくるのですが。公文書管理法第4条では公文書の作成義務をこのように定めています。『行政機関の職員は経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、または検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き文書を作成しなければならない』としているんですね。『経緯も含めた意思決定に至る過程』が書かれているのであれば、たとえ、個人のメモであっても公文書ということになるのではないかと思うのですが、武見さんはどう思いますか?」
武見議員
「これは実際に組織として意思決定をする時にどのように活用されたか。たとえば、個人で実際に必要と思って参考にするために実際に用意した文書、直接的には関係がないというようなものまで含めて、行政上の公文書とするのか否かというところで、これは意見が分かれるわけですよ。だから、我々の立場としては、記録として行政文書というものを考える時には、行政というのは組織ですから、その行政の組織的な決定の中で、その役割を果たした文書をまず基本として抽出することによって記録としても、精緻に、正確にしておくことが必要だという認識を持っています。そういう点で、個人のものと、組織として実際に使った文書というものを分けて考えるという考え方がこの法律の中にも組み込まれていて、それは現在の与党の、我々の立場も基本的には変わっていません」

公文書の定義と作成義務
松山キャスター
「そうした中、公文書管理法の中で、いわゆる3つの条件と言われますけれども、公文書というのは職務上作成して取得したものであって…」
武見議員
「はい」
松山キャスター
「もう1つは、組織的に用いるもの…」
武見議員
「そういうこと」
松山キャスター
「あと1つは、現に行政機関が所有しているもの、というその3つだと思うのですけれど。たとえば、文科省の今回のケースで言うと、共同で所有する行政文書としては最初『存在していない』ということを最初に公言されていたと。それがあとから調べてみたら実は特定の幹部の間だけでまわしている、いわゆる手控えとしてあったメモみたいなものが、ある程度の幹部にはまわっていたということがわかったと。これは組織的ではないかという意見が野党の方から当然出たのですけれども、当時こういうグレーゾーンみたいなケースは結構出ていると思うのですけれども」
武見議員
「それは今回、今年度中に、今度は内閣府の中でこうした行政文書にかかわる統一的なガイドラインをきちんと示しますから、その中で具体的に整理をするということになります」
松山キャスター
「それは厳格にルール化、分けることというのは、かなり難しい作業になってくると思うのですが」
武見議員
「ええ。単なる抽象的な説明だけではなくて、実務的にわかる事例的なものもちゃんと組み込んだ形でガイドラインはつくる必要性があると思っています」
松山キャスター
「逢坂さん、いかがですか?」
逢坂議員
「ですが、現在の日本の公文書管理法の問題は、その組織共用文書という、武見先生が指摘をしたところなんですね。だから、どんなに意思決定のプロセスが明確に書いてあるものであっても、自分しか見ない文書なのだと言ってしまえば、それは公文書にならないわけですよ。それから、もう1つ新たな事案が発生していまして。現在、総務省でやっていた実は有識者会議ですけれども、ここで議事録をつくっていたと。ところが、この議事録というのは議事概要をつくるためのメモであって議事録ではないから、公文書ではないみたいなことを言っているわけですね。これは明らかに組織共用のはずなのに、これも個人なのだということを言い出しているわけです。だから、そういうこと考えると、私は行政文書の中に個人のものとそうでないものがあるという発想そのものがおかしいと思うんですよ。だって、勤務時間中に給料をもらって仕事の文書を書いているのに、それは個人のものです、と言うのはそもそもおかしい。だから、原則、公文書になり得るのだということが出発点であって、その中で特別にこれとこれは、でも、いくらなんでも個人メモですねという発想に立たなければいけない。最初から個人のものがあるのだということではまずいのではないかなと思うんですね」
松山キャスター
「単純に考えると、たとえば、公務員の職員の意識としては、個人メモと公文書というのが分けられるのであれば、なるべく個人メモという形にしておいた方が、あとで情報開示請求がきても開示しなくてもいいみたいなことを考えると、そっちの方が安心だという心理がどうしても働いちゃうのではないかなと思うのですけれども」
逢坂議員
「でも、逆に、私も公務員でしたから思うのですけれども、自分がやってきた仕事のプロセスをきちんと残しておくことで自分の正当性を明らかにするということにもなるんですよ。隠すではなくて、ちゃんとした仕事をやっているのだということの証明にもなるということですね」
松山キャスター
「武見さん、個人メモを含め、全部を公文書ということでとにかく記録するという、そういうわけにはいかないのですか?」
武見議員
「これは膨大なコストと、それから、その管理上の難しさがそこに伴いますよ。電子化しても、そのキャパの中で必ず問題が出てくる」
逢坂議員
「その膨大な作業量みたいなことを言いますけれど、現在と一緒でいいんですよ。現在もメモをとっているわけですから。それも公文書足り得るのだということにするだけの話ですよ」
松山キャスター
「ただ、手書きではなくて、かなりPC(パソコン)を使ってやっているケースは多いと思うんですよね。そういった電子化されたものだけでも少なくとも公文書として記録すると、野党の案にはそういうことも織り込まれていたようですが」
武見議員
「それは野党の皆さん、そうおっしゃるのだけれど、記録と歴史と教訓というのがあるんですよ。この記録というのは、常にそれが正確にきちんと記録されて、のちの世で歴史としてちゃんと教訓になるように活用できるものにしておかないといけないわけですね。そういう時に、個人であまり関係なく使っていたような文書まで、その中に組み込まれていて、何がどう判断されたのかがわからないようなものというのは実はあまり好ましくない。従って、いわゆる文書の専門家という、アーキビストみたいな人達がどうやってそういう記録として、将来、歴史として活用できるようなものになるかという基本的な知識を持っていますから。こういった人達をこれから、日本は数が実は少ないんですよ、そういう人達が。そういう人達をしっかりと育てて、それから、資格もちゃんとつくって、それで、こうした各役所に配置して、全体はしっかりと内閣府で統括し、こういう文書管理というものを一歩しっかりとした形で管理できるようにさせていくというのが、私は現実的なやり方だと思う」
松山キャスター
「逆に全部、公文書にすると言うと、公務員自体が逆に業務を委縮してできなくなってしまうと、そういう面もあるということですか?」
武見議員
「いや、それもあると思います。だいたい役人だって人間なんですよ。自分に都合の悪いと思ったことについては、ドンドン今度は記録に残さなくなっちゃう、そうすると…」
斉藤キャスター
「なるほど」
松山キャスター
「頭の中だけで…」
武見議員
「それが非常に…」
逢坂議員
「そこは、実は何を記録に残さなければならないのだということをちゃんと決めていないからそういうことが起こるんですよ。それと、もう1つ、事例の紹介ですね、ちょっと遠くて見えづらいかもしれませんが、これはアメリカの情報公開で出てきている公文書なんですよ。こういう『?』がついていて、下に『wow!』がついています。これは要するに、意思決定のプロセスの中で、上司が、要するに、書類がまわってきて、何だ、これは?よくわらかんぞと、『wow!』と…」
松山キャスター
「そういうメモまで残っているわけですか、公文書として?」
逢坂議員
「これまで意思決定のプロセスとして非常に大事だと言うのは、これは…、公文書を残すという意味ですよ」
松山キャスター
「本当にメモ書きみたいなもの…」
逢坂議員
「ええ、でも、日本ではこれは…」
武見議員
「いや、これはメモ書きではない」
逢坂議員
「いや、だから、そういうふうに武見先生みたいにおっしゃってくれればいいけれども、そうではない流れが現在の日本の中にあるので。だから、そこはまさにそこにある通り『経緯も含めた意思決定に至る過程』をきちんと残すためには何をすべきかという議論をもっとしなければいけない」
松山キャスター
「階さん、いかがですか?かなりルールづくりという面で難しいような感じもするのですけれども」
階議員
「ただ、先ほど逢坂先生が取り上げた、総務省の研究会の議事録、これが公文書に当たらないというのはおかしい話で、武見先生が正確性ということにこだわるわけですけれど、1番正確なわけですね。その発言内容を正確に起こしたものですから。これすらも、組織的に用いるという要件から外れて公文書にならないと言ってしまう現在の運用を防ぐためには組織的に用いるということは外して、公務員が業務上作成した文書はすべからく公文書だという方が私は法の目的には沿うと思います」

『監視』強化と『罰則』規定
松山キャスター
「公文書の保管をめぐる不正行為があったのか、ないのか。あった場合は罰則がどうなのかという話について、このあと議論していきたいと思うのですけれども」
斉藤キャスター
「政府は先週金曜、罰則規定を設けました。刑法上の罰則に当たらない場合も懲戒処分の対象として、特に悪質な場合は免職を含む処分とすることを、人事院が定める懲戒処分の指針に明記すると。刑事罰則を求める声も多いということなのですが、逢坂さん、あらためてこのあたりはどう考えますか?」
逢坂議員
「これは当然でして。今回、森友・加計の問題で刑法上の罪に当たらないから、もうセーフなのだと、もう大丈夫なのだと、何も問題ないだろうみたいな意見がたまに聞かれることがあったのですが、それはそうではないと。刑法上の罰則に当たらない場合であっても、公務員としてやってはならないことをやっているということでありますから、それは何らかの罰則規定を設けるということは私は当然のことだと思います。それから、もう1点ですが、それでは、現行の刑法上の規定、たとえば、公文書毀棄罪とか、公文書変造罪とか、これはどういうケースの場合にそれに該当するのだというところをもう少し掘り下げておく必要があると思うんですね。実は公文書の毀棄とか、改ざん・変造というのは何か自分の思いで1人でやっちゃうと犯罪の立証は割としやすいと思うのですけれど、複数人がやると、それはどういうプロセスで行われたのかがなかなかわからないところもあるわけですので。だから、現行刑法の規定で犯罪、罪になるケースは、どういうケースなのだというのはもう少し議論する必要があると私は思いますね」
松山キャスター
「まさにその1つの例として先の国会で問題になっていたのが森友学園をめぐる財務省の決裁文書の改ざん問題ですけれども。この場合は森友学園の国有地売却をめぐる決裁文書の改ざんを指示したとされる佐川前長官が大阪地検特捜部に…、佐川氏本人の関与を確認したものの、決裁文書の核心部分について変更とか、虚偽記載があったわけではないということを理由に、虚偽の文書を作成したとは言えないと判断して、結果不起訴という判断をしました。階さん、この決裁文書の改ざんという前代未聞の不祥事とも言われましたけれども、その場合で結果的には不起訴という結果になったということなので、これは司法の判断ということだと思うのですけれど。その刑事罰が具体的に規定されていないということも、こういったことに影響していると考えますか?」
階議員
「たぶん今回のケースというのはギリギリのラインだったと思うんです。変造…、偽造ではなくても変造に当たっている可能性もあります。その場合は文書の本質的部分について証明力を異なるような変更を加えるというのが過去の判例というか、通説の考え方なのですけれども」
斉藤キャスター
「消しただけでも変わっていることになるのですか?」
階議員
「ええ、そうですね。証明力が変わったと言われれば、変造に当たるということなのですが。今回は、私どもはまさにその部分がないことによって、決裁に至った理由は本質的に変わったと思っていますから、その部分を削除したというのは、変造というふうに考えているわけですけれども。そこが曖昧なところではあります。なので、本質的な部分を変えて証明力が変わったとか、そういう法律の文章に書かれてないところで犯罪の成否が変わるということがないようにしなくてはいけないと。つまり、客観的に文書をいじった瞬間に、これは犯罪だと。つまり、決裁文書ですから、それ自体は極めて重い文書なわけですから、これはもし直すのだったら新たに決裁を取り直せばいいわけ、それをしないで勝手に直したらもう犯罪だということで、客観的に決めてしまえば、グレーということはなくなって、抑止力も強まるのではないかと」
松山キャスター
「武見さん、ある意味、議論、交渉の経緯も含めた、そういったものをきっちり公文書として記録するということが厳格にルール化されていないので、こういう事態が生じるのではないかという気もするのですけれども」
武見議員
「それはおっしゃる通りです。ですから、これからあらためて、ガイドラインをつくって、各省共通で管理をさせるわけですよ。そこの中に、どこまで具体的な事例も含めて、書けるかが課題」
松山キャスター
「あと具体的な罰則規定についてはどうですか?]
武見議員
「これは、罰則を現在の時点で、すぐに刑法で厳しく取り締まるというやり方をやったら、官僚が萎縮します」
斉藤キャスター
「委縮…」
松山キャスター
「そうすると、業務を遂行するどころではなくなってしまう?もう下手な公文書なんてつくると罰則に引っかかるかもしれないから…」
武見議員
「うん、確実にそうなりますね」
階議員
「いや、現在、問題にしているのはできあがった文書を改ざんすることについては罰則を与えるという話なので。改ざんしたものを、手を加えないということが委縮するかどうかというのはあまり関係ない」
武見議員
「いや、ただ、今回の、我々の取り組み、再発防止の取り組みの中でも、それから、昨年のガイドラインの中でも、もしその修正をするということであれば、必ずもう一度決裁を取り直すと…」
階議員
「うん、それはその通りです」
武見議員
「…いうことになっています。従って、決済もとらずに勝手に修正してしまうということは認められないと。これは明らかに間違った行為であって、それらについては人事評価を通じて評価を、しっかりとその評価をすると同時に、そこの中に非常に悪質なものあったということになれば、それはこうした新たな人事院の懲戒処分の対象にし、最悪の場合には、まさに免職という最も重い処分にまでするのだということにしたんですよ」

『保存』の期間と電子化
斉藤キャスター
「森友学園をめぐる公文書についてですが、財務省は近畿財務局と学園側の交渉や面会の記録を保存期間1年未満に分類して廃棄しました。そのため売却に至る交渉記録というのは残っていなかったという状態でした。今年の4月から適用されている公文書に関する新たなガイドラインでは、公文書は原則1 年以上の保存と規定しているのですが、保存期間1 年未満とする文書について、この7つのケースが例示されています。たとえば、具体的に言うと、この1番、別途、正本、原本が管理されている写しだったり、2番の日常的な業務連絡や日程表ですね。3番目、出版物を編集した文書などですが。6番目を見てください。『意思決定の途中段階で作成したもので当該意思決定に与える影響がないものとして長期間の保存を要しないと判断されるもの』とあります。これだと都合の悪い文書は、恣意的に保存期間1年未満に分類されてしまう可能性というのは武見さん、ないのですか?」
武見議員
「いや、これはまさに4月から施行されて、各役所で実施していることですね。ですから、この中身がどこまで守られて、運用されているのかということを見極めるにはまだちょっと早いですよ。ただ、我々としてはより厳格にこの7つの類型についての適用がされていることを期待していて、これらはPDCAサイクルの中で常にこれからチェックをしていく必要があるという課題の1つだと思います」
松山キャスター
「この1年未満という、よく議論になるところですけれども、この1年という期間が保存期間としては短いのではないかという意見はずっとあると思うのですが、ある程度のものはドンドンためていったらキャパシティをオーバーして保管できなくなるという、そういう趣旨から、こういう制限というのは盛り込まれているのですか?」
武見議員
「そうですね。だいたい1年、人事のことも考えて、だいたい保存期間1年というのを1つの基準にして、整理をしてきたということになるわけです。これは基本的には妥当なところかなと思います。だいたい日々のお役所の業務も膨大な業務を実際にしていて、そこで毎日、政策立案して、文書を作成し、新たにそのための必要な書類を集めているわけですよ。これらを同時に本質業務としてこれからしっかりと管理していくことが求められていくわけですから。その過程で、まず1年間でどこまで何ができるか、という観点できちんと我々は整理をしていくべきだと考えているんですね」
松山キャスター
「そうした中、先の国会で問題になった森友学園の交渉記録の文書とか、ある意味、1年未満だから存在しないということを言われた文書の話でいくつもあったと思うのですけれども。それはこういう部分をある意味、悪用されたケースと捉えればいいのですか?」
武見議員
「いや、ですから、要は、7つの分類というのに適合しないものは実質、原則的には継続して保存する格好になっているんですよ」
松山キャスター
「そういうことですよね?」
武見議員
「ですから、そういう意味ではある種の例外的に認める廃棄可能なものは何かという7つの類型だと、こういうふうに考えてください」
松山キャスター
「逢坂さん、この期間をめぐっては誰がどう判断するのかということも含めて、かなり問題があるかのように思うのですけれども」
逢坂議員
「相当に問題がありますね。特には現在、斉藤さんがご指摘いただいた6番目のところ、『当該意思決定に与える影響がないものとして』、当該意思決定に与える影響がないというのは、誰、どういうことをもって判断するのか、これはすごく難しいです」
斉藤キャスター
「確かに」
逢坂議員
「だから、たとえば、谷査恵子さんから財務省に連絡があったと。それはその意思決定に影響がなかったのだって、誰がそれを言えるのか、誰が判断するのかという。そういう人から連絡あれば、少し忖度するのではないかというふうになる可能性もある。だから、そういう6番みたいなものは非常に曖昧だなと思いますね」
松山キャスター
「階さん、いかがですか?」
階議員
「武見先生はこの1から7までに当てはまらなければ、全部…」
松山キャスター
「原則保管だと…」
階議員
「…保管だとおっしゃったのですが。ガイドラインをよく見てみますと、1から7番は、たとえば、という例示として挙げられているわけです。つまり、拡大解釈されて、そこに挙がっているもの以外にも、1年未満にされる可能性もガイドライン上はあるということをまず指摘おかなくてはいけないということと、あとなぜ1年未満で廃棄しなくてはいけないのかというと、保管のコストとか場所が大変だということだと思うのですが、電磁的記録の場合はもはやそういう心配もないわけでして…」
松山キャスター
「確かにスペースは要らないですから」
階議員
「そうですね。電磁的記録の場合は別に1年に区切る必要もないわけで、もっと長く保管してもいいと思いますし、あと今回、森友にしても、加計にしても、一部の部外者に対して特別な便宜を与えて行政がゆがめられたのではないかと、こういう疑惑があるわけです。疑惑を払拭しようと思えば、その対外的な交渉の記録、部外者との交渉の記録については長きにわたって保管しておかなくてはいけないということで。6番の要件を理由に、途中段階の交渉の話だから捨ててしまうというのは、これはまったく的外れでして。むしろ部外者との交渉記録は長く保管して説明責任を果たせるようにすると、これが本来のあり方です。そういう観点から、野党では公文書管理法の改正案、電磁的記録のもの、あるいは対外的な交渉の記録、これについて1年未満はダメだよという内容で出しています」
逢坂議員
「あと、1年未満の文書をキチッと設けておかないと、保管のコストとか、手間が大変だという話をよくされるのですけれども、それでは、保存期間が3年とか、5年とか、10年のもの、保存期間が満了してどうなっているのか。実はほとんど廃棄とか、移管の手続きをしないで、そのまま置いてあるんですよ。本来、保存期間が満了したら公文書館へ移管するか、廃棄をするかということをやらなければならないというのが、現在の公文書管理法のルールです。ところが、全部の省庁でそれが適時適切にやられているかと言うと、されていないケースの方が多いです。だから、1年未満の文書が多くなると実は保管の手間やコストがかかるのだというのは、私は、それはちょっと言い訳にしか過ぎないのかなというのが実感ですね」
松山キャスター
「ある意味、自衛隊の日報の問題も、建前上はそういう1年未満で破棄ということになっているのであれば、これは自分で、個人ファイルにも置いてあるけれど、ちょっと大事だなと思うから、個人的にはちょっととっておこうと…」
逢坂議員
「そうなんです」
松山キャスター
「…みたいなのが、あとから出てきたみたいな話ですよね?」
逢坂氏
「ええ…」
松山キャスター
「こういうケースは他の省庁でももしかしたらあるかもしれない…」
逢坂議員
「だから、それは完全におかしいです。だから、もう1つ言うと、公文書管理は片手間にできないです。だから、企画立案をしていろいろな仕事をしている人が、では、公文書管理まで徹底してやろうということは、なかなか手がまわらない、これは現実ですよ。だから、公文書管理にある一定程度の人員を割くということは、行政全体の効率を高めることにつながっていくんですよ。だから、そこを、手をこまねいているというのは、いかがなものかなというふうに思いますね」
武見議員
「それを、まさにこれからのガイドラインの策定と同時に、今年度末までに決めようと言っているわけです。だから、日本には十分アーカイビストがちゃんといないで、その保存に関わる記録の基準の設定というものが明確にできていない。それをあらためてちゃんときちんと明確にするということを決めているわけですね。従って、この7つの例にしても、これが実際に具体的にどのように適用され、運用されていくのかというのは、まさにこれからのそうした課題になって残っているわけです。我々としては、できるだけ厳格にきちんと守られるように運用されるべきと考えていて、今年度中に策定するようなガイドラインでもそうしたことはきちんと明確にしておく必要性があるだろうと」
斉藤キャスター
「公文書の管理について、政府の新ルールでは、公文書管理の電子化というものを謳っています」
松山キャスター
「階さん、電子データを活用した方がいいという話が先ほどありましたけれども、ある意味、電子データということは、もう1つの危険性としてはセキュリティの問題というのもあると思うのですけれども」
階議員
「ああ、それは、外部からのアレですよね…」
斉藤キャスター
「ハッキングとか?」
階議員
「ハッキングとか、そういうものについてセキュリティを、こういうご時世ですから、しっかりやらなくてはいけないということなのですが、それはシステムを…」
松山キャスター
「たとえば、公文書管理のネットワークだけはクローズシステムにして、外から侵入できないようにするとか…」
階議員
「そうですね、ええ。たとえば、そのあとに出てくる電子決済のシステムだと、外部から侵入されない、省内のシステムですから、そういうものは電子化の有効なツールにはなるのではないかなという気がします」
逢坂議員
「電子…ということは非常に期待できるものではあるのですけれども、電子化することと記録をどう残すかということはまったく別の問題ですから。紙媒体であろうが、電子化であろうが、公文書とはいかなるものかという議論は、これは避けては通れませんので。電子化すれば何か問題が全て解決されるかのように思うのは、1つ、注意しなければいけない。もう1つは、電子決裁が良いように思われますが、今回、財務省が改ざんしたうちの文書の1つは電子決裁文書ですし、電子決裁の文書も実は改ざんされていたというところにも留意する必要があると思います」
武見議員
「電子決裁というのは基本的にきちんと進めて、誰が決裁文書にアクセスしたかということもきちんと確認ができるようにして、また、さらにそれをコピーするというようなことをしたら、どこの誰兵衛がそれをやったかということが明確にわかるようにしておく」
松山キャスター
「記録が残るようにしておく?」
武見議員
「そういうふうなことをちゃんとやっておくことが今回の教訓として、我々、痛切に認識したわけです。これはおそらく与野党共通だと思うな。だから、そういう点で、電子決裁は進める。しかし、それの運用について、その規定をより厳格にして、アクセスできる人についても、その日報に3万人もアクセスできるなんて、そんなことはもうあり得ないので、本来。そういうものについてはきちんとアクセス制限と、また同時に実際の運用に関わるガイドラインをできるだけ具体的に、きちんと事例をつくって、説明をして実行させていくと。それで電子決裁を、その中で適切に進めていくということは時代の流れだろうと思います」

階猛 国民民主党政務調査会長代行の提言:『フェイクを禁じ、フェアを広める。』
階議員
「『フェイクを禁じ、フェアを広める。』という考え方に立つべきではないかと思っています。あるものをないと偽ったり、あるいはもともとの文書を改ざんしたり、こういうフェイクは厳しく処罰して、なくしていくと。他方でフェアな情報の公開をするためには、公文書を適切に作成し、管理していかなくてはいけないということで。そのための電子的な方法を含め、いろいろな方策をもって、フェアな情報公開につなげていくということを念頭に置くべきかと思います」

逢坂誠二 立憲民主党政務調査会長代理の提言:『独立した記録管理庁』
逢坂議員
「独立した記録管理庁といったようなものをつくる必要があると。公文書管理は片手間ではまったくできません。それから、継続した専門的な知見が必要です。さらに、番組の中でも言いましたけれども、どう記録するかということが非常に大事なことなので。仕事をしている当事者にそれを考えさせるというわけにはなかなかいきません。それから、公的機関から独立をしていないと、身内に都合の良い公文書管理をやってしまいますので、独立した記録管理庁のようなものが必要だと思います。こういうものをつくると行革に反すると言う方がいらっしゃるのですけれども、私はきちんとした公文書管理をやることが究極の行政改革になると、私自身の体験から思っていますし。国会で毎度毎度、文書を出せとか、出さないとか、あるとか、ないとかいう議論をもうしなくて済むわけですから、これだけで相当に国会の審議にプラスになります」

武見敬三 自由民主党参議院政策審議会長の提言:『記録・歴史・教訓』
武見議員
「まずいかに行政文書というものを正確に記録するか、その記録というものがしっかりと将来歴史として検証できるようにさせておくことが極めて重要であって、そのことによって初めて我々は正しく歴史から教訓を学べます。この基本的な理念というものを、日本の政治社会の中というのはあまり十分でなかったものでありますから、これからこうした理念をしっかり定着させる必要性があると思っています」