プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2018年7月24日(火)
齋藤農水相×食の未来 FTA・TPP対抗策

ゲスト

齋藤健
農林水産大臣 自由民主党衆議員議員

齋藤農水相に聞く 西日本豪雨被害への対策は
竹内キャスター
「先週、日本とEU(欧州連合)が経済連携協定、EPAに署名し、来年初頭の発効を目指すこととなりました。ワインやチーズといった本場の製品が安く入ってくるメリットのある反面、日本の農業や漁業はますます厳しい状況になるのでは、という見方もあります。日本の農業・漁業の未来はどういう方向に向かうべきなのか話を聞いていきます。政府は、西日本を襲った記録的豪雨を含む大雨被害を激甚災害に指定しました。現在判明している農林水産関係の被害がこちらです。被害総額が1466億1000万円、農作物被害が57億1000万円、農地・農業用施設関係の被害が735億3000万円、林野関係が658億4000万円、水産関係が15億3000万円ということで。さらに、愛媛のみかんや岡山の桃は木が根こそぎ倒れていて、今年だけではなく来年の収穫も激減するとみられています。野菜や、お米にも各地で大きな被害が出ているという現状ですが、齋藤さん、どのような対策、支援を考えているのでしょうか?」
齋藤農水相
「そうですね。現在の被害額ですけれども、これはまだ大きな被害を受けた岡山県とか、広島県のものが、まだ十分に把握しきれていないので、この数字はもっと大きくなると思われますね。やらなくてはいけないことはたくさんあるわけでありますが、政府は農林水産業の対策は第1弾を打ち出しておりまして、たとえば、それを見てみますと、農地や農業用施設に関しては復旧するための費用を、国が大きくみるとか。それから、農作物の被害についても、たとえば、果樹がやられますと、それを植え替えるための費用とか、そういうものも出すし、当面の資金繰りが大変であれば無利子の融資というものを5年ぐらい出せるようにするとか、当面の対策はいろいろ打ってきているわけでありますが、ものによっては少し長引くものも出てくるかなというふうに思っていますね」
松山キャスター
「当面の対策、政府の予備費を使ってという部分もあるかと思うのですが、それ以外にも今後、補正を組んでしっかりと対策してくれて、そういうことも視野に?」
齋藤農水相
「そうですね。まだ被害の状況が、全貌が把握できていないと思いますので、その状況を見ながら、ということになるのだろうと思いますね」

日本農業の現状
松山キャスター
「もう1つ、昨日、気象庁が、このような発表をしました。『気温が高い状態がさらに2週間程度続く見込み』だと…、農作物や家畜の管理に十分注意が必要だ」
ということで全国に呼びかけているのですけれど。この猛暑対策というのもかなり深刻な問題になってきているようですけれども、このあたりどういう対応を?」
齋藤農水相
「まずいろいろな技術的な対応をしていくことが大事でありますので。7月の18日付で、農林省の方から、こういう高温、それから、少ない雨に対応するための農作物の被害防止に向けた、技術指導通知というものを出しておりまして。たとえば、稲の場合はこういう注意をした方がいいですよとか。そういうことで被害を最小限に抑えるための技術的な対応というものを徹底していくというのが現在の当面の対策ということになっていますね」
松山キャスター
「なるほど。特に猛暑で懸念される農作物の種類、そういうものはどういうものが想定されるのですか?」
齋藤農水相
「これはいろいろあるのですけれども。既に葉物、キャベツとか、ほうれん草とか、それから、レタスには既に生育不良が見られているところがある、それから、稲に少し赤みがかったものが出てきたという報告も少しあります。大事なことは正確な情報で行動するということが大事で、そういうものが少し流れて過剰に反応するというのも、よくないと思いますので。我々としてはしっかり技術指導し、状況の正確な情報をお伝えするということが大事かなと思っています」
松山キャスター
「豪雨も猛暑もそうですけれども、いわゆる被災地とされるような場所での農作物についての無用な風評被害とか、そういうものが出ないようにそういうことも注意…?」
齋藤農水相
「うん、そういうことです、そういうことです。だから、正確な情報ですね」
竹内キャスター
「農業就業人口のグラフなのですが、2017年の農業就業人口は181万6000人と、平均年齢は66.6歳です。農業就業人口は30年前がおよそ543万人に比べて、現在6割も減少していまして、しかも、平均年齢が66.6歳と会社勤めならば退職している年齢です。齋藤さん、この日本の農業が置かれている現状をどう見ていますか?」
齋藤農水相
「これは、過去、こういう形で就業者数も減ってきているし、高齢化をしているし、もっと言えば、若い人がなかなか農業をやらないとか、それから、耕作放棄するところが増えているということが現在言われている、農業の厳しい現状なのだろうと思いますね。ただ、私は現在、農業が置かれた現状で何に1番注目をしなくてはいけないかと言うと、今後の日本の人口減少です。これは昨年1年間で40万人ぐらい減ったという統計がありますが。この減少ペースはこれからますます加速していきますね。ですから、あと10年ぐらいしますと毎年70万人ぐらいずつ、毎年ですよ、減る時代を我々は迎えますし、それから、15年経つと、毎年80万人とか、90万人減る時代を迎える可能性が高い。おそらく我々が生きている間はその傾向は変わらないと。人口というのは人の口と書きますよね。ですから、口で食べていただくものを生産している産業にとって、これは一大事です。ですから、そこに希望が見せれば、農業をやってみようということになりますし。希望を見いだせなければ、この傾向が続く、ということなので。今後の人口減少にどう対処していくかというのが、現在、口に入れる産業ですね、農業とか、水産業にとって最も重要な問題なのだろうと思っています。そこに手がつけられれば、この傾向も変わる。私は日本の農業には可能性は多いにあると思っていますので、そこをどう展開していくというのが現在の課題なのだろうと思いますね」
松山キャスター
「農業に従事する人、そのものの人口もかなり減ってきているという話ですけども…」
齋藤農水相
「うん」
松山キャスター
「これまでの従来の農業は農家が代々、親から子へ、子から孫へという形で引き継いでいくというイメージがずっとあったと思うのですけれども」
齋藤農水相
「そうですね」
松山キャスター
「ただ、それがだんだん行き詰まっていると、制度自体が行き詰まっているという印象を受けます。これを今後、打開するために、たとえば、農業の大規模化によるその収益の増加とか、いろいろ言われますけれど、どういったところに1番ポイントがあると?」
齋藤農水相
「まずやらなくてはいけないことはいっぱいありまして。ただ、現在言った人口が減るということに対処するためには大きく言って2つの方向で力を入れていくしかないと言っても過言ではないですね。1つは国内のマーケットが縮小するのであれば、海外のマーケットをとりにいく、輸出ですね。おかげさまで国内の人口が減っても世界の人口は激増します。それから、お金持ちも増えます。さらに言えば、日本食はブームですね」
松山キャスター
「はい、世界的にブームですね」
齋藤農水相
「ブーム。さらに言えば、過去4年間で世界の日本食レストランは倍増しているんです、4年で。ですから、そういう意味では海外のマーケットをいかにとりにいくかというのが1つの大きな方向ですね。それから、もう1つの大きな方向は生産だけで所得を上げるのではなくて、流通とか、加工に出ていって、より付加価値高いものをつくって、それが農家に還元をされると。ですから、生産だけで稼ぐのではなくて、少し加工とか、流通で所得を上げられるように工夫をしていくということ。ですから、その2つが大きな方向です。あと、もちろん、大規模化が進んだ方がいいし、コストを削減するということももちろん、大事ですけれども。この人口減少という1つのチャレンジに対しては、その大きな2つの方向で、どこまで踏み込めるかということが非常に大事なのだろうと現在思っています」
竹内キャスター
「農業就労人口が減少している中、数を増やしているのが農業法人。2010年には1万2500だった数が2018年には2万2700と、その数が増えているのですが」
松山キャスター
「たとえば、イオンアグリ創造株式会社というところがやっている形態ですけれど。ビジネスとして成り立っている農業法人の1つの例として、よくいろいろなところで紹介されていますけれども」
齋藤農水相
「うん」
松山キャスター
「具体的にこれを見てみると、たとえば、年間の就労期間が105日とか、健康保険とか、厚生年金保険とか、いろいろ保険も整備されていると。手当も通勤手当が出たり、時間外手当が出たりということで、給与は日給・月給制ということでどれぐらい働いたか、日給や月給によって決まっていくということで。しかも、社員の平均年齢が29歳と若い法人になっていると、従業員数が650人、かなり大規模な従業員数だと思います」
齋藤農水相
「そうですね」
松山キャスター
「こういう形態の農業法人で農場を経営していくということで、実際に埼玉でやられているようですけれども」
齋藤農水相
「うん、うん」
松山キャスター
「これをパッと見ると、本当に企業で勤めるサラリーマンと同じような感じで農業に従事できる。そういうところに魅力を感じる若者がだんだん増えてきていると、そういうことなのですか?」
齋藤農水相
「そうですね。このイオンアグリの場合は株式会社形態でやっていますけど、別に株式会社でなくても農業法人というのはたくさんあるわけですけれども。聞くところによると、イオン系の関連会社というのが百何十社もあるらしいのですけれど、学生の1番人気がここだというので。学生も農業を重労働で忌避するということではなくて、魅力を感じている人も、若い人でたくさんいると。だけど、休みもほしいし、ボーナスもほしいみたいな…」
松山キャスター
「週休2日、ほしいみたいな…」
齋藤農水相
「…人も若者の中には多いということで。そこをうまく捉えると、こういうことになるのだろうと思うんですよね」
松山キャスター
「たとえば、若い人で、実は土の匂いを感じながら農作物をつくりたいと思っていても、いや、自分の家は農家ではないから…」
齋藤農水相
「そう」
松山キャスター
「そういう人が結構こういうところに?」
齋藤農水相
「だから、生産法人の良いところは非農家で農業に関係のない人でも雇ってもらうことによって農業に参加できるという、こういう新規の就農者がとっつきやすい。そういう、自分の農地を借りてやりなさいなんて言われても、なかなか大変ですけれども、農業の経験のない人が始められやすいという、そういうメリットは、法人形態ではあるのだろうと思います」
松山キャスター
「このイオンアグリ創造もそうですけれども、農業法人がこういうスタイルで、農場経営する場合によく、耕作放棄地ですか、既に使われていない農地…」
齋藤農水相
「うん、うん…」
松山キャスター
「荒れ放題になっているようなところを結構ある程度こう使って、有効利用する形でこういうビジネスを立ち上げるというケースもあるようですけれども、そういう意味でも効果があると?」
齋藤農水相
「そうですね。その大規模化や、それは農業の集積・集約をする時には法人形態の人の方が、それはやりやすいということがあろうかと思いますね」
松山キャスター
「今後こういう形態での農業法人は、このペースでドンドン増え続けていく?」
齋藤農水相
「まだ増える可能性は高いのではないかと思いますね」
竹内キャスター
「これまでの個人農家の方とどう折り合うと言いますか…」
齋藤農水相
「それは地域、地域でいろいろありますけれど。聞くと、こういう法人の人も地域の人と協力をして助け合わなければうまくいかないというケースも多いですので、何も敵対関係になるということではないと思います」
松山キャスター
「このイオンアグリのケースで言うと、いろいろ本や新聞を見ていると、スーパーを経営するグループの一環ということで立ち上げたわけですけれど、地元の農家は、最初は保守的な人達が多く、よそ者意識みたいなものもあって、突然来たけど、土地を使って農業をやっているふりして、そのうちスーパーを建てるのではないかとか、周りから白い目で見られることもあったという経験談もあるようですけれども」
齋藤農水相
「そうですね」
松山キャスター
「そのあたりまだ農業法人という形態が日本にはまだまだ浸透してないから、そのあたりの誤解がまだ残っている?」
齋藤農水相
「そうですね。農村地帯に、そういう意識があるというのはまだ現実としてありまして。だけど、お互いに一緒にやる中で理解をし合う、うまくいくというケースというのもたくさん出てきていまして。だから、非常にうまく経営展開している企業の人で、農協さんとの協力関係が1番大事なのだとおっしゃる方もいるし、ですから、協力し合いながらやるということは、どうしても地域性がある産業でありますので大事になってくるのだろうと思うので。時間をかけて、そういう方向に意識を変えていくしかないですね」

メガFTAと日本農業
竹内キャスター
「先週から今週にかけて日本が参加している様々なFTA、自由貿易協定で動きがありました。17日には日欧EPAの署名式がありました。18日、19日にはTPP11の首席交渉官会合ありました。17日から27日にかけて、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉会合がタイ・バンコクで開催されています。以上のように日本の農林水産業に大きな関わりのあるメガFTAが立て続けに進んでいるのですが。齋藤さん、こういった動きに対して、国内の農業従事者の方からは不安の声なども上がると思いますが」
齋藤農水相
「ここでちょっと大事なことなので、押さえておかなくてはいけないと思うのですけれども。こういう世界と自由貿易協定ですとか、経済連携協定を結ぶということは日本の今後にとって死活的に重要ですね。日本のマーケットが、ドンドン人口が減っていく中、成長著しい、たとえば、アジア太平洋の活力をどう日本の経済に取り込んでいくかという意味で言うと、これらの取り組みというのは非常に重要ですね。TPPはアメリカが抜けましたけれども、もしアメリカが入っていれば、世界経済の4割を占める世界最大規模の自由貿易圏、しかも、ハイレベルのものができあがるはずだったし、それから、RCEPというのは、これは東南アジアの10か国に、日中韓、オーストラリア、ニュージーランド、インド、この16か国で進めているわけですけれども。このRCEPの肝は、中国とインドが入っているんですよ。中国マーケットとインドマーケットが含まれていると。これは非常に重要な交渉、現在、交渉中ですけれども。それから、ヨーロッパとは日欧EPAと。このアジア太平洋と、中国・インド入りのRCEPと、それから、ヨーロッパ、この3つが重層的に組み合うことによって日本の経済の活力を活性化し、これは進めていかなくてはいけない政策なのだということをまず理解をしてもらったうえで。しかし、だからと言って、日本の農業がどうなってもいいと言う国民は、私はほとんどいないのではないかと。自分の子や孫のことを考えますと、世界で人口が急増し、気候もおかしくなっているよねと。いつ何時、食料に影響が出ないとも限らないよねと。日本でしっかりした農業生産基盤、これは維持しなくては子や孫が飢えることになるということなので。農業がどうなってもいいと、これさえ進めれば、と言う人もいないと思うんです。だから、我々がやっていることは、こういうものによる影響は、確かに農業はあります。ただ、交渉によって、たとえば、関税を引き下げる期間をなるべく長くしようとか。それでも影響が出たら緊急輸入制限ということで輸入を抑えることができる措置も講じています。時間がかかりますからその間、日本の農業の競争力をつけて太刀打ちできるようにしていこうと。さらに、これらの地域に輸出攻勢をかけようということをやって、これも進めるけれど、同時に日本の農業・水産業を強化する政策も同時にやっていくということを現在、安倍政権ではやっているということですね。それを、全体像を是非押さえて議論していくことが大事だろうなというふうに思います」
松山キャスター
「一般的に、TPPとか、アメリカはまだ入ってないという状況ですが、TPPとか、日欧のEPAが結ばれると工業製品とか、日本の技術、知財に関するものというのは、日本が有利に動くだろうなという漠然としたイメージがあって…」
齋藤農水相
「うん…」
松山キャスター
「逆にそれとの取引で農産物については外国からの安い製品がドーッと日本に入ってくるのではないかというイメージも漠然と思っている人多いと思うのですが、そういう視点だけで見るべきではない?」
齋藤農水相
「まず1つ、1つ、品目を見てもらって、たとえば、チーズでどうなっている、牛肉でどうなっている、お米でどうなっている?と。お米を心配する人が多いと思いますけれども、お米、TPPでどうなっているかと言うと、オーストラリアから入ってくるかもしれない、でも、入ってくる分と同じ量を国内で国が備蓄用として買い上げるということになっているので需給で一切影響でないようになっているんです。だから、そういう1つ、1つを見ていただくと、なるほどと。それなりにしっかりした措置を講じているな、ということになるわけで。ただ、漠然としてイメージを持つ人が多いと思うのですが、1つ、1つ見てほしいなというのが、私の主張ですね」
松山キャスター
「たとえば、このヨーロッパからのボトルワイン、これについては即時関税を撤廃すると」
齋藤農水相
「うん」
松山キャスター
「また、ハード系チーズは16年目までに段階的に関税を廃止していくと。また、イタリアのパスタです、パスタも11年目までに段階的に減らしていくということで。いわゆるヨーロッパの代表的な作物、装飾品、こういった点では日本の消費者にとってはかなりのメリットが出てくるのではないかと言われていると」
齋藤農水相
「うん、うん」
松山キャスター
「一方、TPP11の方では、米とか、という重要な5品目を項目の中に入っているもの、これについてはそのままある程度維持されて、それ以外のほぼ全ての農作物について関税を撤廃していくということなのですけれども、これは品目によっては日本の農家も影響を受ける部分とのは当然出てくると思いますけども」
齋藤農水相
「当然ありますね」
松山キャスター
「それに対する個別の対策というのはどういうことが?」
齋藤農水相
「1つ、1つよく見るべきだと繰り返し言うことになるのですけれども。米の話は先ほど、言いましたけれど、米以外のほぼ全ての農産物と書くと衝撃が走るわけですけれども。1つを見ると、たとえば、このTPPに入っている国からの輸入はほとんどなく、それ以外の国から輸入しているものは別に撤廃しても影響がないよねとか、そういうものを1つ、1つ精査をして我々は対応しているし、それから、影響がありそうだなというものについては個別の対策も同時にやるし、あるいは輸入が急増した時には輸入が止められるような措置も合わせて講じますとか、だから、1つ、1つを見ていくと、かなり…」
松山キャスター
「事情が違うと?」
齋藤農水相
「かなりの防御策、ディフェンスはしているということですね。それから、もう1つ、たとえば、ハード系チーズが減りますねということに、関税が、なってないのですけれども。現在、チーズは、日本からヨーロッパに進出するのは現在できないんですよ。なぜかと言うと、検疫の問題がありまして。この検疫は現在ヨーロッパと交渉をしていますので、早晩これは解除されます。そうすると、日本からヨーロッパに出るチーズも関税が即時撤廃になります、即時。そうすると、北海道のチーズ工房でつくったチーズ、これは現在ヨーロッパの、たとえば、コンテストに出すと優勝したりするんです。だから、これが正式に検疫がクリアされて、輸出できるようになったら、私は、北海道のチーズのパリ上陸作戦をやろうではないかとか。それはワインだって、現在こういうふうに言うと衝撃が走りますけれども、日本のワインもかなり世界で戦える…」
松山キャスター
「評価が上がっているという話ですよね?」
齋藤農水相
「だから、そういう攻めのことも同時にやろうと。その可能性はかなりあると。これまで努力をしていないだけで。私は、そう確信していますので。自分で宣伝することになりますが、私は経済産業省でいろいろな産業を見てきました。自動車も見たことがあるし、いろいろ見てきましたよ。農業を担当するようになって、これは可能性があるなと本当に思いました。特に世界でこれほどこれから伸びしろのある産業は日本の国内で他にどんなものがあるだろうと。鉄はどうだろうか?自動車道はどうだろうか?ITはどうだろうか?総合家電はどうだろうかと?そういうものと比べた時に農業はやれるなと私は本当にそう思った」
竹内キャスター
「政府は、2019年までに(農林水産物・食品の)輸出額の1兆円達成を目標に掲げています。2017年に8071億円と8000億円の大台に乗ったものの、1兆円達成の2019年まであと1年半ほどということで、この目標を達成する見込みというのはどうでしょうか?」
齋藤農水相
「かなり皆さん、努力をしてくれて、高まってきていると思いますね。このまま…、トレンドでいくと1年間で11.3%の輸出を伸ばさなくてはいけないということになるんですね、1兆円を達成するには。だけど、今年に入ってからこれまで14.6%、輸出、1年間ですよ、増えていますので。11.3%は少なくともこの半年はクリアをしているなと。ですから、この勢いが続いていけば、1兆円の目標というものは達成できるし、達成しなくてはいけないと思っています」
竹内キャスター
「日本からの輸出品というのは、どういったものが多いのですか?」
齋藤農水相
「水産物のホタテとか、これまでそういうものが多かった」
松山キャスター
「ホタテがすごく多いですよね?」
齋藤農水相
「多い。だけど、最近いよいよ我々が本丸かなと考えている農産物の輸出がいよいよ伸び始めた」
松山キャスター
「それはどういった農産物ですか、たとえば?」
齋藤農水相
「たとえば、牛肉」
松山キャスター
「あぁ、和牛」
齋藤農水相
「牛肉は、昨年1年で1年前に比べまして輸出は4割増えました」
松山キャスター
「そんなに増えているのですか?」
竹内キャスター
「すごいですね」
齋藤農水相
「1年間で。それから、イチゴは、1年間で6割、増えました。お米も2割増えました。それから、日本茶は25%増えました、1年間。もちろん、輸出量が少ないので発射台が低いと、だから、伸び率が高く出ますけれども、でも、6割は…」
松山キャスター
「すごい伸び率ですよね?」
齋藤農水相
「イチゴはいけると思うでしょう。海外に行ったらね。そういうものの良さをわかってくれて、やってみようとチャレンジする人が増えてきて、それでようやくここにきて、そういうものの伸びが加速してきたなということですね。私はアメリカでの生活経験もありますけれども、アメリカのイチゴと日本のイチゴを比べてみて…」
松山キャスター
「ごついイチゴが売っていますよね?」
齋藤農水相
「そう。私はアメリカ人によく言うのですけれども、このイチゴは日本ではイチゴとは言わないよと、日本ではレモンと言います…、そのくらいに味が違うわけです」
松山キャスター
「色も緑色だったりして、野菜のような…」
齋藤農水相
「すっぱい…。だから、絶対いけると。だけど、かつて日本の自動車が全米で売れるようになったし、それがなぜ売れるようになったかと言うと、自動車メーカーの人が売り歩いているわけですよ。だけど、自動車メーカーの人も大企業ですから、社員がやることができましたけれども、日本の農家にそれをやりましょうと言っても、面食らうだけですから。それは政府がサポートし、農業関係団体がサポートしなくてはいけないと思いますけれども。そういう努力をすれば、余地があるなと本当に思いますね」

日本漁業の現状と課題
竹内キャスター
「2025年までの各国の漁業生産量の成長の見通しです。ブラジルや中国などは軒並みプラス成長となっていますが、日本だけが大きくマイナスに落ち込む予想となっています。世界的に見ると漁業は成長産業ですが、日本の漁業はマイナス成長ということで。斎藤さん、独り負けという状況ですか?」
齋藤農水相
「そうですね、ええ」
松山キャスター
「この日本の現状をどのように受け止めていますか?」
齋藤農水相
「かつて日本の水産は世界に冠たるものがありましたね。その理由は、日本の漁船が外国、遠くまで行きまして、外国の沿岸でも漁業をして、それで日本に持って帰ってくるということをしたんですね。ところが、200海里経済水域というものが設定されるようになって外国の傍まで行ってする漁業が極めて制限されるようになってしまったので、日本の漁獲量というのがずっと減ってきているというのは非常に大きな要因ですね。それから、日本の魚を食べる人が減ってきているとか。それから、資源が、だんだんと枯渇、枯渇までいかないけれども、少なくなってきているとか、いろいろな要因が重なっているのだろうと思うんです」
松山キャスター
「200海里の設定ということでは、各国、沿岸諸国については同じ条件があると思うのですけれども。それでも日本だけが漁業で大きく落ち込んでいるというのは、そこまで日本の漁業というのが近海漁業にかなり偏っていたからということですか?」
齋藤農水相
「いや、日本が遠くまで行って獲っていたと。で、それができなくなったということですね。遠くまで行って…」
松山キャスター
「他国の200海里に入って?」
齋藤農水相
「他国の中に入ってこれまでは自由に獲れていたのが、それが制約を受けるようになって、なかなかできなくなったので」
松山キャスター
「なるほど」
齋藤農水相
「ですから、日本の活躍する面積が狭くなってきたということですね」
松山キャスター
「なるほど。1つの象徴的な例として最近よく挙げられるのが、サンマの漁獲量ですけれども」
齋藤農水相
「そうですね…」
松山キャスター
「サンマ、これから旬を迎えるサンマなのですけれど、今月11日に築地に初入荷した大型の生のサンマが1匹当たり3300円の値段がついて、過去最高記録を塗り替えたというニュースがありましたけれども。サンマの値段が非常に上がっているということで。サンマというのは回遊ルートというのがあるということですけれど、公海上から、ここで育って、日本の近海に来て、近海に来たところで日本は従来、漁業をやっていたということですけれども…」
齋藤農水相
「そうですね」
松山キャスター
「最近は、公海上に中国とかの大型船が来て、かなり乱獲に近い形で獲ってしまっているのではないかという指摘があって、日本が獲れるサンマの量がかなり減ってきているという話ですよね?」
齋藤農水相
「そうですね、うん」
松山キャスター
「これは、日本としては深刻に受け止めている?」
齋藤農水相
「深刻ですね。かつてはだいたい20万トンぐらいずつサンマを獲っていたのですけれども、昨年は8万5000トンまで落ち込んできたということで。ニュースでサンマが獲れないということだったんですね。その1つの理由が現在、松山さんがおっしゃったように、日本は沿岸でサンマを獲っているわけです。ところが、沿岸に来る前に公海上で中国とかの船によって獲られてしまうと。だから、ここに入って来るサンマの量が減っているのではないかというのが1つの理由として考えられるわけですね。ですから、これを解決するためには、中国をはじめとして、ロシアもそうですし、他の国もそうですけれど、そういう北太平洋地域で漁業をやっている国と交渉をして解決策を見出すしかない状況になってきていて。現在、日本は必死でそれをやっているというのが現状なんですね」
竹内キャスター
「日本もそこまで出ていって対抗して獲るようなことは?」
齋藤農水相
「すぐそれは考えられないが、公開ルートで獲るためには船の大きさから変えていかなくてはいけない。試験操業的に、試験的には現在やっていますけれども、来年からやりましょうというわけにはなかなかいかないということなんですね」
松山キャスター
「中国はどちらかと言うと大型船の比率が多いということですか?」
齋藤農水相
「そうですね。中国は沿岸でサンマが獲れないですからもともと遠く行って獲ろうということですので、大きな船で来るわけですね」
竹内キャスター
「そこで今月に日本など8か国・地域が北大西洋の漁業資源を管理する国際機関、太平洋漁業委員会『NPFC』の会合が開かれたのですが。日本はサンマ漁獲量の規制の導入について提案をしましたが、資源減少の根拠が不明ということで、中国とバヌアツが反対し、合意できませんでした。ちなみに昨年も中国・韓国・ロシアなどの反対で実現できずということで。日本が訴えても乱獲防止をできない、この反対国に届かないという現状…」
齋藤農水相
「今年の、この北太平洋漁業委員会で我々は一定の前進があったというふうに見ているんですね。昨年やった時は、中国・韓国・ロシアなどの反対で実現しなかったというふうに書いてありますが、昨年は、それぞれ国ごとの漁獲量を決めようと、枠を決めようという議論をしたのですけれども、ダメだったんです。今年は作戦を変えまして、枠の数字そのものを現在決めきるのは難しいだろうと。だけど、枠をつくって、管理していこうではないかと、そういう提案については、中国・バヌアツ以外は賛成をするようになったんですよ。だから、一定の前進はあったと。中国・バヌアツ…、中国がなぜ反対をするかと言うと、サンマが減っていると、資源量が減っているという科学的根拠がないと、減っていないと、減っていないというか、減っているという科学的根拠が薄弱であると。だから、管理する必要性が感じられないというのが一言で言うと中国の主張だったんですね。だから、次の年までにもう1回、科学的な評価をしっかりして、もう1回議論しようではないかというところまできたし。それから、先ほど言ったように、枠をつくって管理をしましょうねということについては、中国・バヌアツ以外はそうだよね、というふうになってきたので、一定の前進があった。それから、小さなものはできるだけ獲らないようにしようとか、そういう枠以外のことでも前進がありましたので。我々は、今年は昨年に比べて二歩も三歩も前進したなと思っているのですけれども。来年また勝負をしたいと思っています」
松山キャスター
「ウナギでもそういう議論があったと思うのですけれども…」
齋藤農水相
「うん」
松山キャスター
「このサンマのケースでも中国はあまり体が大きくなっていないサンマを沖合の方で先に獲ってしまうと…」
齋藤農水相
「そうです」
松山キャスター
「日本はどちらかと言うと脂が乗っている、もう1番本当に熟した形の大型になったサンマを獲りにいこうとすると。ただ、中国が先に小型、小さいうちにもうドンドン獲ってしまうので、それが育たないという問題があると聞きます」
齋藤農水相
「うん、そうです、おっしゃる通り。だから、まわり込んで入って来る時に、だんだん大きくなりながら、1番美味しくなった時に日本の沿岸に入ってくるわけですね。その前に公海上で獲られているから漁獲量が減っているのではないかということですね」
松山キャスター
「国際的な漁業の考え方としては、いわゆる親の魚、親魚と言うのですか、きちんと卵をも産めるぐらいの大きさになって、ある程度の数が維持できると…」
齋藤農水相
「そう、そう」
松山キャスター
「そこからの余剰分について漁獲するというのが基本的な考え方ですよね?」
齋藤農水相
「おっしゃる通り、おっしゃる通りです」
松山キャスター
「では、ルールとして守られていない疑いがあるということですか?」
齋藤農水相
「このケースは、だから、そこまで資源が枯渇をしていると、だから、管理をしなくてはいけないという、その前提を合意していないので。合意できれば、次はどうしましょうかと進められるのですけれども。だから、それは来年またチャレンジを」

日本漁業のこれから
竹内キャスター
「漁業就業者数のグラフです、日本の漁業就業者数は年々減少している一方で、65歳以上の数は年々増加しています。2017年では就業者数15万3000人、そのうち65歳以上は5万9000人、4割弱を占めているということですよね」
松山キャスター
「かなり高齢化が進んでいるという印象ですけれども?」
齋藤農水相
「そうですね、農業と同じ傾向ですよね」
竹内キャスター
「はい、こちら、1965年ではおよそ229万人もいたということで…」
齋藤農水相
「そうですね」
竹内キャスター
「かなり減っているということですよね?」
松山キャスター
「漁業従事者の人口を増やすということも1つあると思うのですけれど、魅力的な日本の漁業というのを創出していくために新しい方策というのが求められているということですか?」
齋藤農水相
「そうですね。現在1番求められているのはとにかく資源管理をしなくてはいけないということが1つですね。それから、日本の漁業も農業と同じで現在、技術革新の途上にありまして、特に養殖を見ますと。これは私もこの間、ノルウェーに行って見てきましたけれど。ノルウェーの養殖はかなりIT(情報技術)化が進んでいるというふうに思って行ったのですけれども、ざっくり言うのも何だと思いますけれども、たいしたことないなと、技術的には、そう思いましたね」
松山キャスター
「やろうと思えば、日本もできる?」
齋藤農水相
「うん、日本も工夫をすれば、あの手のことは…思います。ただ、状況が、環境が違うので同じようにはできませんけれども。技術的にそんなにすごいというふうには思わなかったんです。日本の養殖も、私は、三重県の若い養殖をやっている人の話を聞いて、彼が大臣室に来て、やってくれたことがすごくて。餌を定期的にあげるわけですね、養殖ですから。それをスマホの操作で餌があげられるんですよ」
松山キャスター
「必要な時期を知らせてくれる?」
齋藤農水相
「三重県の養殖場で餌をあげるのに、私の大臣室で、東京の大臣室で、齋藤大臣、ちょっとこのボタンを押してください。スマホのと。ボタンを押したら映像でその三重県でこう餌がバーッと出ている」
松山キャスター
「水槽の中に餌をバーッと撒くように?撒く様子が見える?」
齋藤農水相
「…東京のボタンで。そういう技術革新はすごくやられていて。コストを下げる大きな効果もあがると思いますし、いや、農業も同じですけれども。まさにその技術革新の途上にありまして、そういうのを若い人達が非常に創意工夫しながら成功しているケースというのがポツポツ出てきていまして。だから、そういうものが、これから実を結んでいくということにおおいに期待をしているし、そういう事例が広まっていけば、漁業、面白いなというふうになってくるのだろうと思うんですね」
松山キャラクター
「養殖で言うとよくニュースで見るのは近畿大学がやっているマグロの養殖がありますよね?『近大マグロ』という一種のブランドになっていますけれども…」
齋藤農水相
「ええ、はい、そうですね」
松山キャスター
「ああいう形で、なかなか回遊魚のマグロを養殖するという発想がそもそも昔は中なかったと思うのですけれども、それが実験で成功している」
齋藤農水相
「そうですね」
松山キャスター
「それが、実際にビジネスベースに乗っているという状況があるということで。そういったケースというのは他にもまだポテンシャルとしていろいろな魚、いろいろな種類で…?」
齋藤農水相
「ウナギですね」
松山
「ウナギですか?」
齋藤農水相
「ウナギは今年ちょっと…、昨年、漁期があまり良くなかったのですけれど、もともとウナギの完全養殖を研究していまして。ウナギというのは皆さん、土用で食べる時期ですけれど、こういうシラスウナギという小さなウナギがずっと海流に乗ってやってきまして、日本の川に来るわけですね」
松山キャスター
「登って行きますよね?」
齋藤農水相
「それをバサッと網で捕まえて、それで養殖の池に入れて、大きくなるまで育てる。だから、この小さなウナギが獲れなくなると、そこから先ができなくなるという、そういう問題があるわけです。ですから、卵から孵化して、それでウナギを大人まで成長させる技術ができあがれば、ウナギを捕まえる量が減ってもカバーできるようになるので。卵から孵化する技術というのを現在必死に研究しているわけです。成功しました。卵から孵化して、それで大きなウナギになるまで成功したのですけれども、小さな時に食べる餌の問題がありまして、これが非常に高額ですよ」
松山キャスター
「それは実際に自然にいる魚とか、そういう?」
齋藤農水相
「ある種類のサメの卵しか食べないということなので。それが非常に高価でウナギより高いと。だから、商業的には完全養殖は成功していないです。ただ、その時期に食べるものを発見できれば、これはブレイクですね。商業的に完全養殖が成功すれば、ウナギでもう今年の夏はいくらになるのだろうかみたいなものは随分和らぐということになるので、そういうことも必死に現在やっているんですね」
松山キャスター
「農業の話の中では攻めの農業ということで、海外にドンドン日本から農作物をドンドン輸出していくという話がありましたけれども、水産品についても輸出という、ビジネスというのは?」
齋藤農水相
「ベトナムでは日本のサンマとか、サバとか、非常にうけていまして、輸出が増えていますし、それから、サバも途上国に結構出しているんです。ただ現在1番大事なのは輸出もすごく大事ですが、資源管理をしっかりとやらないと現在はよくても将来を失うので。科学的根拠に基づく資源管理というものをしっかりやって。それで輸出できるものはドンドン輸出をしていくという、農業と違った面が1つ加わっていますね」

齋藤健 農林水産大臣の提言:『挑戦』
齋藤農水相
「『挑戦』ということです。ピンチとチャンスが併存している現状が、現在の日本の農業と水産業ですので、そこを打ち破っていくのが挑戦ということだろうと思うんです。先ほど少しお話しましたように、人口が減っていくということは何もやらなければドンドン、ジリ貧になっていかざるを得ないということであります。そこで挑戦が必要になってくるので。おそらく農業もそうでしょうし、漁業もそうでしょうし、もっと言うと、日本の内需型産業というものは人口減少の影響を受けますので、挑戦というのがこのタイミングでこれほど重要なことはないのではないかなと思います」
松山キャスター
「国内だけを見ていないで、外にもドンドン目を向けた方がいい?」
齋藤農水相
「そうです、いろいろな意味での挑戦ですね」