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2018年7月19日(木)
延長国会終盤の攻防 ▽ 来年度予算の行方と形

ゲスト

後藤茂之
自由民主党政務調査会副会長
長妻昭
立憲民主党代表代行 政務調査会長
岸本周平
国民民主党役員室長
伊藤惇夫
政治アナリスト

延長国会終盤の攻防 ▽ 来年度予算の行方と形
斉藤キャスター
「政府は先週各省庁が来年度予算を要求するにあたってのルールである、概算要求基準を閣議了解しました。高齢化に伴う社会保障費の自然増が見込まれる一方で、成長戦略などに関する政策には特別枠を設け、また、消費増税に伴う予算も概算要求とは別枠で設けるなど歳出総額が当初予算で初めて100兆円を超える可能性もあります。経済成長と財政再建という2つの課題を両立するための予算編成はどうあるべきか、与野党の論客をゲストに迎えて徹底議論します。先週10日、政府は各省庁が来年度予算を要求する際の基本方針の概算要求基準を閣議了解しました。こちらの図は今年度の予算です。その内訳はと言いますと、公共事業費などの裁量的経費が14.7兆円、人件費などの義務的経費が12.7兆円、また、年金や医療などの社会保障費が31.5兆円、地方交付税交付金と国債費というのはそれぞれ15.5兆円、また、23.3兆円で、予算総額は97.7兆円となっています。今回、閣議了解された概算要求基準は。この予算から国債費を除いたものでつくられるのですが、裁量的経費は今年度予算の14.7兆円から10%削減、義務的経費も削減を促す方針です。一方、その削減額の3倍までを成長戦略などの政策に使う優先課題推進枠として要求することを認めています。その規模は4.4兆円になる計算なんですね。また、社会保障費は31.5兆円から6000億円の自然増が見込まれるとしています。さらに、幼児教育無償化など2兆円規模の政策パッケージへの予算。さらに、来年10月に予定される消費増税への対策については概算要求とは別枠で予算編成の過程で検討すると。国債費も含めると、来年度当初予算の総額は100兆円を超えている、初めて超えるという見方もあるんですね。まずはこの予算の規模感について、長妻さんはこの規模感、どのように考えますか?」
長妻議員
「非常にメリハリがなく、放漫財政の兆しがあると。これは第2次安倍内閣になってから、いわゆる基準というか、シーリングというか、概算要求の上限、キャップ、これがないわけでありますし…」
松山キャスター
「そうですね、はい」
長妻議員
「結局、何をするかということですよ、この予算で。たとえば、介護離職ゼロだと、こういうふうに安倍総理はスローガンでおっしゃった。先日、介護離職のデータが出ましたけれど、全然減っていないと。あるいは待機児童ゼロと、こうおっしゃいましたけれども、全然ゼロではないとかですね。生産性革命と今度はおっしゃいましたけれども、コロコロ、コロコロおっしゃることが変わってくるので。私は4.4兆円、心配なのですが、本当に使うのだとすれば、徹底的に少子化対策の緊急対策宣言をして、少子化対策に徹底的に、現在、お金を集中投下するというようなこと。あともう1つ、日本の大きな問題は格差が固定化して、力のある、意欲と能力があっても豊かな家に生まれないと適切な教育を受けられずになかなか力が発揮できないと。あるいは1回、非正規雇用になってしまうと、どんなにがんばっても正社員になって、能力を発揮できないとか、男女賃金格差も倍以上ある。女性の昇進も、男性と比べて非常に下がると。こういうふうなことで1人1人の力を最大限発揮できるような、そういう予算という、そういうメリハリをつけた考え方を、コロコロ毎年変えるのではなくて、安倍内閣はこれだけなのだというような形で4.4兆円を有効に使ってほしいというふうに思います」
松山キャスター
「岸本さんはいかがですか?この予算の規模と、成長戦略のために4.4兆円規模の優先課題推進枠というのをつくるということですけれども」
岸本議員
「はい。そもそも財政規律を守ろうという姿勢が、まったく感じられないのと。それから、概算要求基準というのは、昔はシーリングと言われていたのですけれども…」
松山キャスター
「天井をこう設けて…」
岸本議員
「天井を設けて。たとえば、裁量的経費の1割カットみたいなのを天井設けているわけですよね。これはすごく古いやり方なんですね、枠を設けて、ちょっとご褒美に、減らした分だけ多めに要求してもいいよと。だから、4.4兆円全部予算をつけるという意味ではないですね。要求は、それで結構ですよと、査定はしますよと。シーリングというのは1961年からスタートしているんです。もう50年、60年前からやっていました。それで、いわゆるゼロシーリングになったのが1982年、マイナスシーリングこの1割カットみたいなのが1983年翌年なのですけれども、それだけでも40年近くやっていて、それでもって財政再建ができていないわけですよ。もうこんな茶番劇みたいなことをいつまでもやっている必要はないと思いますね」
松山キャスター
「ただ、シーリングをやめたこと自体は、当時から議論があるように、いわゆる予算の硬直化を何とか防ぐという意味で、シーリングを外すという議論もあったと思うのですけれども」
岸本議員
「ええ。ただそれは要するに、政治的な意思決定が行われていなくてボトムアップでやっていますから、公共事業費の河川の比率は変わらない、そういうことの縦割りの弊害があったわけですけれども。それは政治家が配分を変えるということをすればいいので、シーリングが問題だったわけではないと思います。問題は、たとえば、優先課題推進枠の4.4兆円は、裁量的経費の1割カットの中にいれればいいんですよ、14.7兆円の中で、『君達ね、自分で考えてやってごらん』と、実は財務省主計局は情報の非対称性というのがあって、予算の中身がわからないわけです。執行官庁に比べると非常に情報が少ない。それを査定しているフリをしているものですから、非常に皆さん誤解しているのですけれど。1番いいのは、悪いけど、1割カットさせてくれと。だけど、裁量的経費は、自由に使っていいよと。もう査定しないから、その代わり結果だけはチェックさせてくれよと。それは主計局でチェックするけれど、ともかく1割カットして、その14.7兆円の9割は自由に使ってくれと。俺達、主計局は何にも言わないと言ったら、素晴らしい予算できますよ」
松山キャスター
「後藤さん、いかがですか?いわゆる成長額と言われる優先課題推進枠については昨年よりもまた、増枠で要求されていますけれども…」
後藤議員
「まずその優先課題推進枠というのは、『骨太2018』とか、あるいは『未来投資戦略2018』というところで、特に今後、日本の生産性の向上、あるいは人づくりのために必要な施策として取り上げているものをここで要求して実現するという枠なわけで。1つ言えば、予算を抑えるためだけだったら、たとえば、上限をセットして、要求側で、その中だけでやりくりしろと言って、頭を押さえちゃった方が、予算の抑制ということだけであれば効果もあるという議論は、岸本先生のおっしゃったようなことは一理あるとは思いますが。しかし、ここで言っているのは、裁量的経費をカットした、少しレバレッジが効いて、より有効な予算の活用ができるようにということで優先課題推進枠をつくっているということだというふうに思います」
松山キャスター
「伊藤さん、どうですか?こういう予算の組み立て方、これについてはどう考えますか?」
伊藤氏
「どうせ当初予算が足りなくなったら、また、ドカンと巨額の補正予算を組むのだろうなと僕は思っているので…」
松山キャスター
「補正は入っていないですからね」
伊藤氏
「このこと自体に、どうなのかと言われてもアレですけれども。予算という意味では、安倍政権としての顔は見えないな、キャラが立ってないなという印象が1つ大きいですよね。もう1つ言うと、たとえば、つい最近ですけど、安倍総理は少子化というのは国難と評したこともありますよね。たとえば、先ほど、長妻さんがおっしゃったように、少子化問題なら、少子化問題に極めて特化したような予算の組み方というのも1つ考えていく必要があるだろう。それから、安倍政権というのは実は看板をかけ替えるのがすごくうまい政権で、最初は女性活躍、地方創生、1億総活躍…」
松山キャスター
「人づくり革命…」
伊藤氏
「…働き方のあとが人づくり。だから、看板をかけるのだったら、その看板が見えるような予算組みというのかな、そういうのが必要なのかなという気はしますね。現在、掲げているのは、最新は人づくり革命のはずですね、確か。過去、地方創生どうなったの?女性活躍どうなったの?そういうのはキチッと検証して、それができているか、できていないか、それによって予算の組み方をまた変えるというメリハリをつける必要があるのではないかなという気がします」
岸本議員
「そこはまったくそうだと思うんですね。役人は賢いですから同じ予算を看板変えて出してくるんですよ。同じような事業ですけれども、ある時は地方創生で出して、ある時は人づくりで出してくるんですよ。だから、本当に意味がない」
松山キャスター
「岸本さんから、看板のかけ替えだけで実は予算の付け替えが行われているだけなのではないかという意見がありました。後藤さんはどう受け止めますか?」
後藤議員
「まず現在の内閣の経済財政政策の顔が見えないという話なのですけれども。私は経済を良くすること、財政改革を同時に実行していくのだということを非常に明確にアベノミクスの経済政策と共に掲げてきていると思っています。それから、最初の三本の矢が出て、これは円安・株高によってマーケットがびっくりして、輸出関連の大手産業を良くするということから始まりました。しかし、そのあとに安心、社会保障だとか、子供の対策だとか、そういうことをきっちりやることによって消費が安心して出てくるような、そういう政策をやらなければいけないというのが1億総活躍でした。600兆円の強い経済、1億総活躍の前提となる経済政策として、イノベーションと働き方改革をサプライサイドの政策として提言をしてきている。需給ギャップが解決したところで、それを社会システムの改革として、人づくり革命、生産性革命、これは労働生産性も含めてそういう形でまとめていっているので、1つの経済政策としての進化の形であって、次々と割合に、一貫した流れで経済政策を推し進めている。それを具現するための経済と財政改革の両立という形で予算も組まれているし、一定程度の規模を確保されてつくっているということだというふうに思っています」

社会保障費『自然増』と抑制策
斉藤キャスター
「ここからは予算の3分の1を占めて、来年度予算で6000億円の自然増が見込まれている社会保障費について聞いていきます。過去3年間、高齢化等による社会保障費の自然増が毎年6300億円から6700億円見込まれていましたが、これを年5000億円、3年間で1.5兆円に抑制する数値目標を設定し、実際に目標を達成してきたということです。今回の概算要求基準では過去3年間掲げていたような社会保障費自然増の抑制目標を示していないということですが、社会保障費の自然増分抑制は、後藤さん、必要ないということなのですか?」
後藤議員
「この数字が3年間で1兆5千というのが今回の骨太、新しい経済財政計画に書かれていないというのは事実としてはそうですけれども。ただ、今回の財政計画においても高齢化による増加分に相当する伸びに収めることを目安にするという、その旧計画の財政目標自身は堅持されるということで骨太に書かれています。しかし、一方で、その高齢化による増加分に相当する伸びの額がいくらなのかということについては、これはこれから3年間、割合に高齢化の伸び率が低く抑えられます。団塊の世代が2019年から2021年までは75歳以上に新たになる伸び率の人達というのは、これだけ落ちてくるわけです。しかし、そのあと、団塊の世代が75歳に突入してくる時になると、急に75歳以上人口の伸び率が大きくなるので。だから、こういう非常に大きなデコボコがある時に一定率の目標というのを掲げにくいということで、最も直近の数字を当てはめながら、高齢化による増加分に相当する額というのをきちんと予算の度にキチッとチェックしながら歳出改革も含めやってこうというのが今回の考え方なので。決して何もルールを放棄したとかいうのではなくて、そういう形で従来と同じ考え方の歳出改革も含めやっていこうということで。いずれにしても歳出改革というのは大切だということについては変わりません」
松山キャスター
「長妻さんはいかがですか?」
長妻議員
「これは一律に金額で、機械的に毎年毎年抑制するというのもいかがなものかと思うので。政府が社会保障についての抑制の工程表をつくっているんです。ただ、それ見ますと、おそらくいろいろな団体、有力な福祉には団体がありますけれど、そこに非常に気兼ねした抑制策ですね。私に言わせれば、医療でも過剰医療があります。特に薬漬けと以前言われていましたが、現在もまだ治っていなくて、先進国、OECD(経済協力開発機構)諸国30か国の中で1人あたりの薬の費用というのは、日本は世界第3位でありますし、これは飲み残しも相当多いので。いろいろな後ろに団体がいるというのはあるのかもしれませんけれど、キチッと過剰医療にメスを入れる、あるいは過剰介護というのもあるんですね。ケアマネージャーさんが独立してなかなか自分で食べていくことができにくいということで、どこかの福祉の事務所のサラリーマンになる。そうすると、ケアプランを立てる時にどうしてもそこの事業所のサービスを多く使うと。皆が皆そうではないのですけれども。そういうことで、過剰な介護が行われている。私が見た例は、おばあちゃんに対して、90歳の、朝は体をきれいに拭いて夜はお風呂に入れるというような非常に過剰な形で、車椅子も何台も買ったりですね、そういうことも…。取っ手もいろいろなところに、取っ手はいろいろなところにつけるのは必要ですが、福祉として。ただ、そういうものについてもあるので、そういうところに本当にメリハリをつけて、ムダを削るということが必要なのですが、そうではなくて、手っ取り早く、福祉サービスそのものを削っちゃうんですよ、自民党は。そうではなくて、もうちょっときめ細やかに過剰なところを削減していくということをやってほしいと思います」
松山キャスター
「岸本さんはいかがですか?当面の数値目標というのが設定されてないと、社会保障費について設定されてないということですけれども…」
岸本議員
「これは、後藤さんおっしゃったように、かなり老人の伸び率が減りますから、実は3年で自然増を1.5兆円に抑制と言ってしまったら甘くなるんです。だから、そこは考えておられて、もっと抑制したいというのは財務省の考え方。そうなるかどうかはわかりませんが。ただ、問題は…」
松山キャスター
「人口的に終戦直後、終戦前後ですか…に生まれた世代というのは人口的に少ないからということで…」
岸本議員
「そういうことですね…」
松山キャスター
「その直後に今度、団塊世代が75歳以上になる大波が来ると…」
岸本議員
「問題はこういうのを全部、当初予算でやっているんです。当初予算でやって、一応制度で計算するとこうなるのですけれど、決算で見た時に本当にそうなっているのかというのが結構大事で。それで、たとえば、診療報酬改定もマイナスにしましたと言うと、すごいねと、マイナスにしたのかと言うと、2年経って決算を見たら、医療費は必ず増えているんですよ、実は。つまり、制度改正してもその通りにならないということの方が圧倒的に多い。つまり、当初予算でやりました、キレイにしましたと言うよりは、決算で本当にそうなったのですかということを国民の皆さんに見ていただくということが大事だろうと思うのが1つと。いわゆる無理して、たとえば、当然、75歳以上の方でも、70歳以上の方でも私は、負担は所得に合わせるべきで、所得が高い人が負担すべきで年齢に関係ないとは思いますけど、激しい改革がなかなか政治的コンセンサスを得られないということであれば、少なくとも現在マイナンバーができました。マイナンバーが健康保険と紐つきができるようになるという流れ、これは後藤さんがなさっているのだろうと思いますけれど。そうすると、まさに検査漬けとか、薬をいくつかの診療所でもらうということがなくなる。それだけで相当な、苦労をしなくても合理的にガッと社会保障費が減る。そのことを皆で、超党派でやっていくという努力がとても大事だと思っているんです。実はシンガポールは20年前に、国民総背番号ですから健康カードを持っていまして、全ての病歴とアレルギーとかが入っていて、それで過剰診療がないですよ。20年前です。そのIT(情報技術)技術は日本の家電メーカーの技術だったんです。日本ではそれができていない。ようやくマイナンバーと健康保険がつきますので、それをやれば、相当な節約になります」

社会保障費『国民の痛み』は
松山キャスター
「後藤さん、所得によって、もう少し高齢者の医療負担を増やすこともできるのではないかという意見ですけれども」
後藤議員
「年齢による負担というのでなく、所得とか、現在は資産の把握はできませんが、なかなか、しかし、その把握ができるようになれば、所得や資産による負担能力に応じた見直しを進めるべきだというのは正しい方向だと思っています。また、かかりつけ医だとか、かかりつけ薬局のような制度をつくることによって長妻先生がおっしゃっているような、いろいろな医療に関するムダの問題だとか、そういうものがあれば、それを改革していくということも必要だと思います。特に思うのは、見える化とか、インセンティブと言われていますけれども、いわゆる予防だとか、重症化・重度化をきちんと防ぐような、そういう対応を医療、介護等でしっかりとやっていくことによって、それがきちんと評価されるような仕組みにしていこうとか。ICT(情報処理や通信に関連する技術)とか、AI(人工知能)による、社会保障における労働生産性を高めたり、いろいろサービスをより良いものにしていくと、そういうような形をとることによって、歳出改革、制度改革に大きくつながっていくと思います」
松山キャスター
「よく言われる後期高齢者の窓口負担、現在1割ですけれども、それを2割負担にするとか、もっと伸ばすという議論もあるようですけれども。そういったことというのは改善策としては検討の余地というのはありますか?」
後藤議員
「検討項目に挙げられてはいます。ただ、高齢者の皆さんに1割を2割でお願いします、というふうに申し上げるのはなかなか大変なことです。子供、若い世代と高齢者の世代間争いにならないように受益と負担のバランスをしっかりとりながら、負担能力に応じて負担をしていただくと。だから、現役世代並みの所得があれば、現役世代並みの所得の方の負担を調整するだとか。ちょっとずつ国民的な議論を進めながら、関係者のご理解を得ながら、こういう問題は進めていかないと実現が難しい」

消費増税『反動減』対策は
斉藤キャスター
「ここからは来年10月に予定されています、消費税率引き上げへの対応について聞いていきます。今回の予算概算要求基準では消費増税への対応について2019年10月の消費増税に伴う需要変動への対応ということで、臨時特別の措置を2019年、2020年度当初予算において講ずるとしています。この措置というのは、概算要求の別枠として設ける方向なのですが、なぜ別枠を後藤さん設けるのでしょうか?」
後藤議員
「消費税の税率引き上げは来年の10月になります。3年間の、いわゆるルールがハマっているわけですけれども、その中で2019年の10月の消費税率に関わりがあるのは2019年度と2020年度の2か年の予算が関わりがあるということなので。そういう意味で、機械的に見た時に、この一時的要因については外すというのが1つの考え方だというふうに思います。もう1つは、4月消費税率引き上げの実施の時は、補正予算で対応してもちょうど補正を出動する時のタイミングに合うのですが、今回、前回の反省もあって、2019年の10月の消費税の税率引き上げの前に勢いをつけて経済を吹かすのではなく、どちらかと言うと、税率引き上げ後に消費税の反動減に対する対策をやった方がいいと、そういうこともあります。ですから、補正予算ではなくて当初予算で対応するべきだというふうな議論になっています」
松山キャスター
「また、具体的な中身なのですけれど、『骨太の方針』にこういったことが提言として書かれています。教育負担の軽減、酒類・外食を除く飲食料品等への軽減税率制度の実施、また、駆け込みや反動減の平準化策、また、自動車や住宅などの耐久消費財対策ということですけれども。以前も消費増税をやった際には直前でこういった対策をとられていましたけれども、今回のこういった方策はどのあたりに特徴があるのですか?」
後藤議員
「最初に、前回8%に上げた時に反動減が起きて、非常に経済に対してマイナスの効果が大きかったという反省点は持っています。ただ、今回、その時との違いを少し考えてみると、だいぶマグニチュードは小さいというふうに思っているんです。大きいですけれども、小さい、比較して。それは、今度は引き上げ幅が3%から2%になっているのに加えて、軽減税率で1兆円ほど、実を言うと、税収が上がらない形になっています。そういう意味で、まさにこの軽減税率制度が実施されて1兆円ぐらい、同じ2%と言っても引き上がらないと。それから、自動車や住宅などの耐久消費財対策で、自動車については今後、税制改正等で考えることになりますが、現在の段階でも住宅はこれ以上の対策が必要だという声も大変に聞きますけれども、たとえば、住宅ローン減税だとか、あるいは贈与の非課税特例だとか、反動減対策になるような、いろいろな対応のものも準備もしています。それから、消費税の使い道を変えまして、若年層への対策になる、いわゆる子育て支援という形で消費税の税率の一部が、1.7兆円のうちの1兆円ぐらいは少なくとも子供のために使われ、最も現在、消費性向が落ちていると言われている若い層への対応にもなるということなので。我々として前よりはマグニチュードは下がるけれど、消費税の税率アップというのは非常に大きなインパクトのある、国民に負担を求めるものですから、消費税増税への対応として、こういうことを含めて、先ほど申し上げたように、歳出が必要なものについて言えば、2019年、2020年の当初予算で対応していくと考えています」
松山キャスター
「前回、2014年に消費税が増税された時の消費の推移を表したグラフがこちらになります。直前の駆け込み需要とそのあとの反動減によって消費が大きく落ち込んでグッとグラフが下がっているということを示しているわけですけれど。これが景気の腰折れにつながった、という指摘が当時さんざん言われました。岸本さん、現在、政府与党で検討されている消費増税とその対策、こういった経験を踏まえて新たな対策を打つということなのですけれども、そのあたりをどう受け止めていますか?」
岸本議員
「いや、まず腰折れしたのが消費税増税のせいだというのは、それはちょっとよく考えた方がいいと思うんです。と言うのは3%から5%に上げた時も駆け込みがあって反動減があったんです。そのあと戻らなかったんですね。だけど、よくグラフを見ると、ちゃんと戻ったあと、落ちているんです、前の時、3%から5%の時。それはなぜかと言うと、金融危機があったからですね。アジア金融危機があって、金融危機があったからです。今回もよく見ていただくと、1年前の97がそのあと97まで戻っているんですよ。だから、戻っているではないですか。どこが腰折れなのですか?だけど、そのあと、ずっと消費が伸びないです。それは実質賃金がマイナスだったからであるのと、あと将来不安があって、介護はどうしよう?年金はどうしよう?と言って、消費がシュリンクしていると。そこをきちんと分析もせずに、消費税を上げたから反動減で、腰折れになりましたと言うのは、ちょっと言い過ぎだと思います。もちろん、対策をとらなくていいと言っているつもりはありません。これは、しかし、駆け込み反動減の平準化策はこれまでもやってきましたし、特に自動車・住宅のような耐久消費財はやってきています。これはやるべきだと思います。だから、私は、軽減税率には現在でも反対で、軽減税率は結局、制度を複雑にしたうえ、お金持ちがまた得するんです。食料品で贅沢なものを買った人ほど得するという。手続きをやる必要があると思いますけれども、消費税を上げる度に恐れおののいて、ヨーロッパの国はやっているんです2年に1回、3年に1回、駆け込みがあって反動減があってケセラセラなんです、対策なんか打っていないですよ。これはいろいろな複雑な仕組みがあって、実は付加価値税というのは、日本でもそうなのですけれど、売上×消費税率-仕入×消費税率で納めればいいですね。1個ずつ対応してないんです、本当は、商品1個ずつ。だから、フランスは、消費税率の引き上げが決まったら、引き上げの日より前に売れ筋のものは上げちゃうんですね、値段を。売れないものは値段を上げられないので、トータルで消費税率が上がった分を納めると。だから、案外その反動減とか、デコボコが少ないです。日本人は真面目だから、4月1日に全部の商品を3%上げるとか思うのだけれど、そうではないというのは、しょうがないのですけれど、何にしても駆け込み反動減を過度に恐れる必要はないと思います」
松山キャスター
「後藤さん、この意見についてはどうですか?」
後藤議員
「先ほどの4つの対策の中で、1つだけ平準化の部分について申し上げなかったのですが、ちょうどこれが出てくるだろうということで見ながらと思っていたのですが…」
松山キャスター
「2014年の消費の推移…」
後藤議員
「と言うのは、2014年、8%に上がった時はデフレ状態でデフレマインドが強かったです。だから、事業者間できちんと転嫁ができるかどうかということは非常に心配だったんです。そういう背景もあって、あの時は、消費税率を引き上げる前に、たとえば、前倒しの需要が増えた時に、その値段、モノの値段を上げるというようなことをやろうと思っても、これは便乗値上げでできない。消費者庁が目を光らせる、あるいは引き上げが行われたあとは、たとえば、反動減で需要が下がっても売値の価格を下げると何か消費税をきちんと転嫁していない、消費税の分を上乗せしていないという形で議論が非常に進みまして、消費税率の引き上げの前後でマーケットを人為的にフラット化したという事情がありました。ですから、それは転嫁ができるかどうかということは、今回でも中小企業の皆さんにとっては非常に重要なことですから、ビジネス・ビジネスの間の転嫁をきちんとやるということを考えないといけないですけれども。少なくともその需要に応じて価格が動くことを担保しておかないと、マーケットが、ジャンプが起きて、たとえば、価格が1日またぐと3%ジャンプするとか、その取引が大きく変わる。ヨーロッパ等はそういうことは、岸本先生が先ほどおっしゃったみたいにないです。ないというのはなぜかと言うと、結局、今言ったみたいに、需要に応じて価格が市場裁定されて決まっていく形ですので、破格のジャンプ、あるいは取引のジャンプも起きにくいと。ちょっと難しい話…」

増税再々延期の可能性と影響
松山キャスター
「伊藤さん、そもそも論で聞きたいのですが、消費増税が、来年10月にあるという前提でずっと議論が進んでいますが、上げない可能性というのもありますか?」
伊藤氏
「うーん、過去2回、延期しているわけですから。間違いなく上げると、それは自民党、後藤さんもおっしゃるでしょうけれども、本当にそうかなという疑問が1つあるし、それから、もう1つ、お三方にうかがいたいのですけれども、将来的に消費税はどのぐらいを皆さんは想定されているのですか?国会議員として、政治家として…」
松山キャスター
「だいたい何パーセントぐらいが理想だと?」
後藤議員
「20%にいかない水準。おそらく現在の中福祉中負担の国を目指すのであれば、10%の後半ぐらいは覚悟しなければいけないという時代がありますが、ただ、問題は、そこは北欧のように高福祉高負担国や、歳出の大きい国で、それで25%という国なのか、それとも、現在、世界でも、アメリカもそうですけれども、低い国と差があるということです」
松山キャスター
「長妻さん、どうですか?」
長妻議員
「今後、中長期的に増税をしないで、日本の少子社会、少子高齢社会を乗り切れるとはなかなか思えないので。ただ、消費税の税率がいくらだというふうに言われると、そこは全部の税率、あるいは保険料含めて、ミックスして、将来の人口動態も含めてやらないといけないと思いますので。いずれにしても所得税の累進も相当きつくするべきだと、再分配機能をもっと回復するべきだと思いますし。あるいは相続税についても、明日ここでやるようでありますけれども、それも累進を強くすべきだと。あと金融所得課税についても税率を上げるべきだというようなことも含めて、トータルでどのくらいになるのか。中長期的にはお金に余裕のある方にご負担をお願いせざるを得ないと思います」
松山キャスター
「岸本さんはいかがですか?」
岸本議員
「簡単に私は言いますと、20%だと思います。それは財政破綻の可能性があるので、1日も早くちょっとずつ上げていくのと、行政改革して財政歳出をカットしたうえで20%だと思います」

後藤茂之 自由民主党政務調査会副会長の提言:『経済と財政の両立』
後藤議員
「今日の話題に直結で、経済と財政再建を両立させていくということが重大な課題であると思います」

長妻昭 立憲民主党代表代行の提言:『みんなが生きがいを感じられる社会』
長妻議員
「『みんなが生きがいを感じられる社会』ということ。この予算を、全ての人に居場所と出番のあるような、そういう社会をつくることで結果として経済の基盤も固まると思いますので。これはもう皆さんも幸せになるし、そういう予算の使い方が必要だと思います」

岸本周平 国民民主党役員室長の提言:『予算より決算』
岸本議員
「ともかく財政再建は、すぐにやらなければいけない課題だと思っています。そのためには当初予算をきれいにして、誤魔化すような手法をやめ、ともかく決算を国民皆が見られるように、我々も努力することで財政再建をしていきたいと思っています」
斉藤キャスター
「伊藤さん、提言を聞いていかがですか?」
伊藤氏
「それぞれなるほどと思いますけれども。最終的に予算編成にこれから入るわけですから、できる限り国民から見て、ああ、なるほど、こういうところにこういうお金を使ってくれているのだというのが見えるようなものに、最終的な形をつくってほしいなと思いますね」