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2018年7月18日(水)
激化する米中貿易摩擦 覇権争奪戦の行方は?

ゲスト

山際大志郎
元経済産業副大臣 自由民主党衆議院議員
リチャード・クー
野村総合研究所主席研究員 チーフエコノミスト
柯隆
東京財団政策研究所主席研究員

日欧EPA TPP11 多国間協定がもたらすもの
斉藤キャスター
「今日は世界の経済に詳しい専門家の皆さんを迎えて、安倍総理が昨日署名した、日本とEU(欧州連合)の経済連携協定、日欧EPAがもたらす経済効果、さらに激しさを増している米中貿易摩擦が今後どう展開していくか、日本の対応のあり方も含めて聞いていきます。昨日、安倍総理は日本とEUの経済連携協定、日欧EPAに署名しました。これは来年3月までの発効を目指すというものです。また今日と明日の2日間は、神奈川県の箱根でTPP11の首席交渉官による会合が行われています。昨日から、日本をはじめ、中国やインドなど、アジア16か国が参加するRCEP、東アジア地域包括的経済連携の第23回交渉会合がタイのバンコクで行われているということです。米中貿易摩擦が激化する中で多国間の経済連携の動きが活発化しているということなのですが。山際さんは、現在、日本はどういう戦略でこの多国間の交渉を進めていると考えていますか?」
山際議員
「第2次安倍政権がおおよそ6年近く前にできました。そこでより加速させて、TPPをやろうと言ってギアをガツンと入れたわけです。正直言って、世界中のTPPに参加しようとしていなかった国々からすると、そんなにハイレベルの自由貿易、並びにルールまで含めたそんな国際協定はできないだろうと見ていた向きが多かったと思います。ところが、それを成し遂げたわけですね。成し遂げてみたら、それは乗り遅れてはいけないというので、他の、日EUのEPAもそうですし、RCEPもおそらくそうだと思います。ドンドンこれはやらなければいけないなという雰囲気になってきたことは間違いがない。ただし、交渉には1年、2年ではなくて、数年、5年以上の時間が通例ですから。やっと第2次安倍政権ができてから5、6年経って1つ、1つ実を結び始めている。なので。実を結び始めているから、皆さんが注目し始めているというところなのではないかと思います。すなわち方向性は全然変わっていなくて、ずっとぶれずに我々は世界に開かれた国でいこうというのを見せ続けているということだと思います」
松山キャスター
「一方で、6年前に安倍政権誕生した当時には予想していなかった、アメリカがTPPに入ってこないという事態が実際に起きているわけですけれど、そういう意味では別の流れがアメリカからまた起き始めていると言う状況で、日本としてはこの多国間貿易、高水準のルールづくりということで、新しい大きな流れをつくって、それに巻き込んでいくという、そういう基本方針なのですか?」
山際議員
「もちろん、日本としては、これもぶれずに、ですけれど、アメリカにTPPの枠にもう一度戻ってきてもらいたいというのはずっと言い続けていますね。それは日本にとってもプラスですし、何よりもアメリカにとってもこれは最良の選択だということを我々は確信しております。ですから、アメリカにもそれを愚直に言い続けることになると思うのですが。確かにアメリカのトランプ大統領は多少というか、かなりと言うのですか、方向転換をしたように見えますけれども、日本が別に、だからと言って、方向転換をする必要はないですね。それはずっとそういう方針で来たものですから。だから、ある意味、その土台の部分というのはこれから先も変える必要はないと思うし、変えて日本が生き残れるかと言われれば、生き残れないだろうなとそう思います」
斉藤キャスター
「日欧EPAが発効すれば、世界の貿易のおよそ4割を占める、世界最大規模の自由貿易圏が誕生します。関税の分野では、農林水産品と鉄鋼業品製品を合わせて日本側がおよそ94%、EU側はおよそ99%を撤廃することになります。具体的に言いますと、EUから日本への輸入品に対してですが、このようになっているんですね、たとえば、ワインの関税は即時撤廃、チェダーチーズなどのハード系チーズは段階的に下げていって16年目に撤廃。また、パスタも同じように段階的に下げていって11年目に撤廃されることになります。一方の日本からEUへの輸出品を見てみますと、10%だった乗用車に対する関税は段階的に下げられて、8年目に撤廃されます。そのほか、テレビ、醤油などに対する関税が今後撤廃されることになるということです。これを見てみますと、ワインはワイン好きの方にとってはとても嬉しい協定だと思うのですが。クーさん、日欧EPAの日本経済へのプラス効果というのをどう見ていますか?」
クー氏
「私は、海外に住んでいた者からすると、一部の日本の食品は非常に高いですよね。特に、たとえば、ラザニアをつくろうとしたら、日本でチーズを買ったらもう大変な金額になっちゃって、できたものはレストランで食べたのとあまり変わらないか、もっと高くなってしまう。だから、そういうところには大きなメリットがあると思います。ただ、自動車の部分は確かに日本には優秀な車がいっぱいありますし、10%これから安く売れるのであれば、日本経済にも大きなメリットがあると思いますが。たとえば、テレビになると現在、テレビの日本の産業、テレビとしてはもうだいぶ…」
松山キャスター
「衰退していますよね?」
クー氏
「衰退していますね。だから、どのくらいメリットがあるのかという気はします。ただ、もちろん、日本とヨーロッパという元気な2つの経済が、こういう自由貿易体制を守っていこうと、皆アメリカのようなミー・ファーストみたいなことになっちゃ困るわけですから。その持つ意味は大きいと思います。また、日本がこれをがんばっているというのはアジアの他の国も見ていますから。以前は、日本は非常に閉鎖的なところがあって、だから、アメリカと日米貿易摩擦もあったわけですけれど、現在、日本がこれからもっと大きなマーケットになっていくんだというメッセージ、このメッセージ性というのが非常に大きいと思いますね」
斉藤キャスター
「山際さんは、この日本へのプラス効果をどう見ていますか?」
山際議員
「現在の関税が下がりますというのは、一定の効果はこの分野に携わっている者に関してはあると思いますが。むしろ、すごく簡単に言うと、日本の企業が日本国内でビジネスをやるのと同じ条件でヨーロッパでも同じようにストレスを感じずにビジネスをやれるようにしていこうではないかと。それは逆も然りですね。EUに存在している企業が日本で何かやろうとした時に、いろいろな障壁があってルールが違うことでやりづらいよねというのを、お互いにやりやすい状況をつくりましょうということの方が長い目で見た時にはインパクトはすごく大きくなると思うんです。ですから、29万人の雇用が生まれるとか、あるいはGDP(国内総生産)1%、5兆円分ぐらいは経済効果があるのではないかということ。これはもちろん、何らかの前提を置いて計算するとこういう形でということで発表されているのだと思いますが、長期的な目で見たら、ビジネスの環境を整えるということで、いかようにでも増やせるのだと思うんです。5兆円で終わってしまうような話ではなくて、もっと経済をお互いに発展をさせられるようになるんだと思うんですね。また、そういうふうにしていかなくてはいけない。と言うのは、先ほど言っているような日本の姿勢ですと。そうなると、どう考えても日本国内だけの経済を見れば1億2500万人の方を相手にした経済になる。EUになればそれが何億人という方になるわけですから。それが、同じルールで経済活動ができるということになれば、市場は一気に何倍にも広がるということになるわけではないですか。そういう意識をこれから日本の企業がさらに、既に多くの企業がEUに出ていますけど、さらにそういうことを思って、ちゃんとそういうふうな意識を持って出て行くことができるかどうかですね。これはこういう環境整備した時には問われているのだと思います」
松山キャスター
「クーさん、実際これだけの経済効果は本当に上がるものなのですか?」
クー氏
「エコノミストとして言うのもなんですけど、この種の数字は何でもなっちゃうんですね、どういう前提を置くかによって。今回、トランプさんが強く言い出したのは、アメリカがいろいろな防衛協定を過去に結んできたと、その時に皆、こういう数字出したわけですよ。これをやったらこのぐらいよくなる、アレをやったらこれぐらいだと。検証してみろと、検証してみたら…」
松山キャスター
「あくまで目標だということなのですか?」
クー氏
「…なんとほとんどがアメリカにとってマイナスだったと。これが昨年のUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)の年次報告の最初の部分に出てくるのですけれど。だから、全てがうまくいって、山際さんが言われたように、両サイドの企業がそれを100%活用していけば、これは、また、これ以上の成果が出てくるかもしれませんが、現実なかなかそういかない部分もいっぱいあって、結果的に何かアレどうなっていたんだっけ?ということが、何年か後に言われるかもしれないですね。だから、この数字は、特にアメリカの経験からすると、ちょっと余裕を持って見た方がいいというふうに思います」
松山キャスター
「柯さんに、今回、日EUのEPAが署名されましたけれども、実はこのEUの代表は直前に中国にも立ち寄っていますよね。中国ということも念頭に置いてEUは動いているのだと思うのですけれども、そのあたりはどういうふうに…」
柯氏
「その前に、そのフリップを見せていただけますか?」
松山キャスター
「安倍総理の発言ですか?」
柯氏
「うん。29万人の雇用を創出すると昨日おっしゃっていましたが、ご存知の通り、失業率の統計から見ると、現在、日本は完全雇用です。いや、それよりも人手不足だよね。これで喜ぶのかということですよね。GDPを5兆円増やすと、クーさんがおっしゃる通りでして、わからないんですよ。もしこれはアベノミクスの新しいエンジンなのだったら、こんな小さなエンジンを喜ぶのかという話なわけです。このEPAの本当の意味をわかっていないのか、わかっていながらおっしゃられなかったのかはわかりませんが、EUは日本にとって本当の重要性どこにあるか。インダストリー4.0、第4次産業革命をどこが提案したか、ドイツですよ。ヨーロッパの国の強さが何かと言うとコンセプトと戦略をつくること。そこは日本企業の最も弱いところ。でも、日本企業の強さはテクノロジー、技術ですよ。この2つをハイブリッドすると、天下無敵とまで言わないにしてもすごく強い。だから、目の前のちまちま枝葉の議論で利益だと思ったら間違っていて。さて、ご質問に答えるとすれば。北京で中央サミットがあったんです。これは一帯一路ですよ。一帯一路はここに来てみて少し何かトーンダウンというか、息切れしそうな感じになってきたわけですね。いろいろなプロジェクト、たとえば、マレーシアが、松山キャスター
「高速鉄道を突然やめると…」
柯氏
「インドなどもそうですけど、警戒しているわけですから。だから、中国にとってヨーロッパを抱き込んで一緒にやろうと、このへんはある種1つの対立軸みたいな構図が見えてくるのが日本と中国ですよ。どっちが先にヨーロッパを取り込めるかというのは、東アジアのリーダーになれるか、なれないかの1つの分水嶺になるので」

米国・中国『次の一手』は
斉藤キャスター
「では、ここからは世界経済の大きなリスク要因になっている米中貿易摩擦の行方について聞いていきます。アメリカと中国の貿易をめぐる対立は貿易額で見ると現状はこうなっています。アメリカは知的財産権侵害を理由に、この500億ドル相当の中国からの輸入品に対して最大25%の制裁関税を発表、そのうち340億ドルは今月6日に発動しています。これに対して中国もすぐ同じ規模の報復関税を発動しました。アメリカは8月に残り160億ドル分の発動を検討しているとされています。さらに今月10日ですが、トランプ政権は新たに6031品目2000億ドル、日本円にして22兆円相当の中国製品に10%の追加関税を課すという、これまでにない規模の制裁措置を発表したところです。この2000億ドル相当の新たな制裁措置の発表というのは、中国経済にとっては、柯さん、かなりの衝撃だと思うのですが、いかがでしょうか?」
柯氏
「もし実際にそうなった場合ですね。ただし、今週の月曜日、中国は第2四半期のGDP統計などを発表したのですけれども、あれで見ると貿易が、特に対米輸出がむしろ増えているんですね。なぜか?駆け込み需要ですね。関税を課されるのがわかっているので、皆、できるだけ前に発注してしまって取引を終えようとする。従ってこの影響がいつ出てくるかですけれども、おそらく第4四半期、特に来年以降ですね、厳しいと。来年以降、本当にそうなのか、どうなのか。もともとこの議論が出てきた時に多くの方が指摘をしたのが11月の中間選挙、ですよね、アメリカの?」
松山キャスター
「アメリカの中間選挙…」
柯氏
「だから、その中間選挙が終わったあと、トランプさんがどう変身するか、正直にこの先わからない部分が結構大きい。最後一言だけ言わせていただくともし2000億を実際やられた場合、現在の中国の経済はかなりダメージを受ける」
松山キャスター
「実際に、トランプ大統領が2000億ドルの規模の関税についてもやってくる可能性というのはどれぐらいあると考えますか?」
柯氏
「五分五分だと思いますが。と言うのは、いいですか?少し話をさせていただいて。中国の政府の中でこれを担当する副首相・劉鶴さんというのがいまして、彼が首相になる前、副首相になる前に2月に1回、ワシントンに入っていったんですね。ただ、まだ就任する前だからトランプさんは会わなかったんです。ちょっと…会わない。5月の初めにもう1回行ったんです。副首相に就任したのでネゴシエーションに行ったわけですが、まったく機能しなかった。その直後にムニューシンさんが北京に行ったのですけれども、空港ではもう交渉にならないと言って戦争になったわけですよ」
松山キャスター
「貿易戦争になってしまったと」
柯氏
「貿易戦争になったわけですね。これからどういう展開になりそうなのかと言うと、まず中国は戦争をやりたくない。この1週間、2週間、相当、マスコミのいろいろな報道を見る限り、方向転換したんです。我々中国人が最も得意ではない腰を低くすること、低くしたんですよ、この2週間ぐらいは。これまで強がっていたのだけれども、腰を低くして謙虚になったわけですけれど。この先どうなるかと言うと、おそらくは王岐山さんという国家副主席、この人はもともと経済の専門家で…」
松山キャスター
「習近平さんの側近と言われていますよね?」
柯氏
「彼がワシントンに乗り込んでいくだろうといろいろなことところで言われ、ただし、タイミングの問題があって8月、北戴河会議という、毎年のインフォーマルな会合があるので、その前に行きづらい。だから、8月のその会議が終わったあと、おそらく9月ぐらいに行って、何をしに行くかと言うと、市場開放のメニュー、いろいろな努力、たとえば、金融開放だとか、それで貿易のインバランスを是正するような、いろいろな努力を示して。同時に、ポールソン元財務長官がこの人はアミーゴと言われているのだから、財界を動員して…」
松山キャスター
「アメリカの財務長官ですね、元?」
柯氏
「そう。ロビー活動をやるわけですから。そこでもう9月に入れば、中間選挙が目の前にくるものだから、だから、諸々の努力をして、おそらく2000億ドル発動される直前に回避するだろうなと…」
松山キャスター
「何かメニューを示して打開策を見つけ出すということが予想される?」
柯氏
「そうです、はい」
松山キャスター
「ただ1つ、柯さん、このトータルの貿易額で見ると、アメリカは中国から輸入している額の方が圧倒的に大きく、中国がアメリカ製品を輸入している額というのはそれほど、その半分にもいかないという規模になっていますけれども。このまま関税をかける吊り揚げ合戦をやっていった場合に、中国製品にはもうかけられる余地というのがあまりなくなってくると思うのですけれども」
柯氏
「うん」
松山キャスター
「そういった場合、中国がアメリカから輸入する分、…にあまり関税の余地がなくなってくると思うのですけれども、そうすると、このこと自体で既にもう中国は不利なのではないかなという気がするのですけれども、そのあたりどうですか?」
柯氏
「おっしゃりたいことはよくわかるのですけれども。私の答えが2つのポイントだけで、その前に一言申し上げたいのは、今回の貿易戦争は結論から言うと、中国にとって素晴らしいことになる可能性が高くて。なぜかと言うと、朱鎔基元総理が引退したあと、全ての改革が止まっちゃったわけですよね。これだけの圧力がかかったのはもう本当に久しぶりで、何が止まったかと言うと金融改革、金融企業改革、だからこそ過剰設備の問題が出てくるわ、債務の問題は蓄積されるわ。だから、外圧がかかるというのは決して悪い話ではない。むしろトランプさんが中国の改革をプッシュしてくれているという見方が、私はできると思うんです。それで、おっしゃったことはたぶん中国にとって切れるカードがそんなにないのだろうという話…」
松山キャスター
「そうですよね?」
柯氏
「ですよね。だから、もちろん、貿易不均衡をこんなに拡大しているものだから、切れるカードがないのはわかるのですが、最悪のシナリオ、最後のカードが何かと言うと、貿易ではなくて、別に不安を煽るつもりはないのだけれど、1兆ドルの国債を中国を持っているもので、米国債を持っているものだから、売らなくても、追い詰められたら、売るぞというアナウンスをするだけで、そのアナウンスメント効果がかつて橋本龍太郎…」
松山キャスター
「橋本龍太郎元総理が言いましたね」
柯氏
「…の時代、そうでしょう?だから、もし中国は1兆ドル持っていて、一言言ったら、ニューヨークも東京も上海もフランクフルトも大暴落する。円が現在110円を切っている…、超えたのだけれども、場合によって50円にいく可能性もあるのではないですか。だから、そうなった場合、自爆テロなのだけれど、そこまでいきたくないのですが、追い詰めるなという話ですよ」

激化する『米中貿易摩擦』 覇権争奪戦の先にあるもの
斉藤キャスター
「日本の株価もアメリカの株価も堅調な状況が続いている、ドル相場も一時、今年1月以来、113円台に乗せると、円安に傾いているということですが、クーさん、この米中貿易摩擦による日本経済への影響というのをどう見ていますか?」
クー氏
「大きな超大国が2つ、喧嘩を始めれば、日本も一時は経済大国と言われましたけれども、当然影響は受けるわけで。いろいろなものが日本から中国、中国からアメリカにいっているというものもたくさんあるわけです。見るとメイド・イン・チャイナ、でも、あとで話を聞いてみて中身は皆日本製だった、こういうケースは非常に多いです。それは当然、日本にも影響があると思います。決して良い影響ではないと思いますが。ただ一方で、アメリカと中国がこういうだんだん対立を高めているということは、中国の日本に対する態度の軟化につながっているんですよ。だから、今度は中国から見るとドンドン孤立に向かっているという危機感を持っていますから、そうすると、日本ともっと仲良くしよう、周りともっと仲良くしようという動きは明らかに出ていると思いますね。だから、それも日本にとってプラス。だから、そういう意味では、1つのチャンスかもしれない。これまで日本を叩いてもたいしたことないと思っていた方々が、いや、これはもしかしたら日本を大切にしなくてはいけないかなと思いだしたということは、これは日本にとってチャンスかもしれないですね」
松山キャスター
「クーさんが、日本から中国に渡って、中国でつくって、アメリカに送られているものも多いということを挙げましたけれども、それは、たとえば、機械の部品とか、そういったもの?」
クー氏
「そうですね。あとはメモリチップだとか、我々がカメラに使うSDカードがありますが、あれにはほとんどメイド・イン・チャイナと書いてあると。でも、実際のメモリはほとんど日本でつくられているんです。パッケージが中国だったから、ああいうふうになっているだけで。この340億ドルの関税をかけた時に中国側は、あの品目の6割は外資が中国でつくっているものですよと、わざわざ発表したのですけれども。と言うことは、そういう外資も皆影響を受けちゃうわけですよね。その中に、日本企業もあり、アメリカ企業もあると。だから、そういう意味では、非常に影響は広範囲に広がっていっちゃうと思いますね」
松山キャスター
「なるほど。柯さんはそのあたり、アメリカと中国だけではない他の国にも影響が出てくるというあたり、どういうふうに」
柯氏
「いや、この番組がなぜか貿易摩擦と記しているのですけれど、英字新聞を読んでいたらトレード・ウォーですね、貿易戦争ですよね、皆。いずれにせよ、摩擦だろうが、戦争だろうが、要は、戦争です、対立しているわけですよね。それの影響が何かと言うと、グローバルのサプライチェーンにダメージを与えるわけですから、グローバルです、日中だけではなくて。日本に限って言えば、現在、日本の会社が中国に行って、何社ぐらいの企業をつくっているかと言うと、ピーク時は2万5000社、現在は約2万社ぐらいなんです。残っている会社が、いわゆる高付加価値の、たとえば、半導体とか、機械とか、精密機器だとか、いろいろなものがあるのですけれど、彼らが現在、クーさんがおっしゃるように、日本から素材、中国でつくられない素材、部品、キーコンポーネントと呼ばれる、コアな部分ですね、中国に輸出して、中国でアセンブリ、組立をして、最終的にアメリカに輸出する。もちろん、中国で売る部分もあるのですけれど、大半はアメリカに輸出する。これらの企業が、これからどうするのと、皆さまよっているんですね、迷走している。1企業というのは力がないものだから、非常に困っているわけです。もちろん、できれば、戦争がソフトランディングすればいいのだけれど、もし本格化した場合、日本企業へのダメージが私はロングターム、長期的に見るとすごく大きいと思いますね」
松山キャスター
「山際さん、日本企業もうかうかしてられないという話みたいですが」
山際議員
「大きな影響を受けることは間違いないですね。だからこそ、先ほどから前段に議論になっていたビジネス環境を世界の中で整えていくということを我々が旗振り役になってやっていく必要があるということなのだと思うんです。簡単に言えば、これまで我々は、中国ともビジネスをしていると言うけれど、現在のお話のように、実は中国を通してアメリカとビジネスをしてきた部分が大きいわけですね。その最終的な、最終市場と言うのでしょうか、最終的なマーケットはアメリカにあって、アメリカと我々は、いろいろな経済的なことをやってきたということなのですが。これから先は直接と言いましょうか、最終マーケットが中国になると思います。中国の方々が日本の製品やサービスを当たり前のように使うという時代になってきていて、それはアメリカよりも中国の方は大きくなるわけですね。今回、また、日EUのEPAをやったことによって、ヨーロッパも同じように有力なマーケットとして我々は国内市場と同じように見なせるようにしていきましょう、ということをやっているわけですね。あるいはRCEPでやりましょうという話になれば、当然、東南アジアも非常に有望なマーケットとしてこれからドンドン育ってくる。これは中国と比肩する、あるいはそれを抜くぐらいのマーケットに必ずなるわけですね。ですから、ある意味、これまでアメリカ1本足打法だったものから、中国然り、東南アジア然り、EU然りというところで、いろいろな国々を多極化すると言うのですか、軸を、軸足をたくさんつくっていくということを今回のことを機に、必ず大きな影響を受けるから、大きな影響を受けるのだったら前に出ようやと、これまでのものを拘泥するのではなく、新しい何かをつくっていかないと強靱になれないよねと、そういう意識を持って、そちらの方向に戦略の舵を切るということをやるべきだと思いますね」
松山キャスター
「山際さんがチラッと話されたRCEPですけれども、先ほどTPPの話も出ましたが、日本はTPP11というものを推進していると同時に、RCEP、16か国がメンバーということでなっていますけれども、この中には中国もその中に対象国として含まれていると。これは中国も巻き込んだ形での貿易の枠組み、これも日本としては追求する意味があると、そういうことなのですか?」
山際議員
「もうそれは大アリですね。中国を抜きにして、日本の経済どころか、世界の経済はもう語れなくっていますよね。ますます中国の影響力は大きくなるわけですから、中国を外してルールを形成していくなんていうことは、これまではあったかもしれませんが、これから先はあり得ないです。ですから、ドンドン中国も巻き込んでいくという姿勢は大事で、RCEPに限らず、日中韓FTA(自由貿易協定)というのも協議をしております。そうやってドンドン市場を広げていくための努力をし続けることが必要ですよね」
松山キャスター
「柯さん、中国が入っているRCEPという枠組み。これは中国としてはこの枠組みをどういう形で役立てたいと考えているのですか?」
柯氏
「TPPが、アメリカが離脱する前、中国もすごくRCEPというのには積極的だったんです。TPPを排除されていたものですから。それで16か国、ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス6が、これができれば、ある種、中国からするとTPPとバランスをとる1つのツールができるようになるわけですね。ただ、こういった議論をする時に、我々は常に気をつけなければいけないのは、得する場合もあれば、必ず損するので。日本語と中国語で1つ共通した素晴らしい言葉、損得という言葉があるのだけれども。損するならば必ず得する、だから、全部得するというのはあり得ないので。だから、この中で中国と日本がそれぞれ何を得しようとして何を損しようとしているかというのは、…自分で決めないといけない、心の中で、そこは大きいと思う」
松山キャスター
「クーさんはRCEPという枠組みについてはどう見ていますか?」
クー氏
「TPPで中国を排除した政治的な理由もあると思いますが、あまりに発展段階でいろいろな違いがあったという議論もそこにあったわけで、今回、この発展段階の違いと言うと、日本は完全な先進国ですよね。この中にかなりまだ…」
松山キャスター
「発展段階の国もあると…」
クー氏
「途上国もたくさん入っていて。このルールを全部1つにするというのは、私はかなり難しいのではないかと思います。たとえば、特許にしても、昔、日本はアメリカの特許を何とか盗もうとか、いろいろな特許戦争みたいなのがあったのですが…」
松山キャスター
「ありましたね、昔」
クー氏
「現在、日本は盗まれる方ですよね。そうすると、日本の制度では不十分だから多くの日本企業がアメリカに行って特許をとっていると。アメリカの特許制度は非常に固くつくられていますから。アメリカで特許をとっていれば安全だろうと。そういう国と、逆にこれから盗んでいきたいという国が、同じビジネスのルールでうまくいくのだろうかという気はしますね」
山際議員
「一言だけ申し上げると知的財産の分野において中国はすごい勢いでキャッチアップしていると見た方がいいですね」
松山キャスター
「そうですね」
山際議員
「ええ。たとえば、特許件数、特許取得件数は中国は世界一ですよね。それは、30年前のアメリカであり、20年前の日本であり、現在は中国がそういう状況。ですから、これから先は知的財産を使う側から守らなければいけない側に中国も入っていますから。ですから、中国の発展のスピードというのは、とてつもないスピードだということを認識しておかないと我々は間違えると思いますね」

新たな『冷戦』? ハイテク戦争
斉藤キャスター
「そもそも今回の米中貿易摩擦というのは、アメリカが中国の知的財産権侵害に対して制裁を科したことから始まったということなのですが。その背景には米中のハイテク競争があるとされていて、新たな冷戦時代の幕開けとも言われています。たとえば、米中の技術的な実力を国際特許出願件数で見てみますと中国はワンツートップですね。1位が中国の通信機器メーカーであるファーウェイ、2位も通信機器のZTEと、中国が先端技術においてもアメリカを脅かす存在になりつつあると言えますよね。アメリカはこうした中国のハイテク産業を、クーさん、どのぐらい脅威に感じていると思いますか?」
クー氏
「中国の皆さん、勉強は大好き、大好きというか一生懸命やるし、すごく努力家の方が多い。これはもうアメリカも認めていて、多くのアメリカの、いわゆるベンチャーキャピタル、中国で半分ぐらい金を使っているところがあります。だから、シリコンバレーに半分、残りは中国というようなファンドがアメリカにはいくつもあるんですよ。そのくらいアメリカの中でも中国のハイテク産業は評価されている。これはもう止められないわけですよね。アメリカ…、しかも、シリコンバレーに行きますとかなりあそこで働いている人達は中国系です。シリコンバレーは中国系とインド系がいなかったら成り立たないと昔から言われていた。そういう人達で中国とつながっていますから、すごい勢いで中国が力をつけてきている、これは間違いないことなのですけれども。ただ、そういう中で、コンピューターをハックして盗んでくるとか、こういうことも同時に起きているわけですね。私は5月に国防省に行ったら、国防省が中国にハックされたとはっきり向こうから認めていましたから。だから、全部、アジアの武器は変えているのだと、新しいものにと。台湾の防衛も新しい武器でやると、そんなことをはっきりと言っていたので。全部ハックされちゃったと。だから、そういう警戒感は逆にすごく強いですね」
松山キャスター
「ついこの間、たとえば、アメリカのアップルコンピューターに勤めていた技術者の職員が、中国に転職をするというので、会社を離れる時に、実はその会社のコンピューターに収まっていた自動運転技術のデータをそのままで盗んで中国に持って行こうとしていたというFBI(連邦捜査局)がそれを逮捕したという事案がありましたけど。似たようなケースというのはいくつかもう出てきていると思うのですけれど、そういったところにアメリカは刺激を受けて、この知的財産を何とか流出を止めなければいけないと。それが今回の貿易戦争の原点になっているということなのですか?」
クー氏
「そうですね。ただ、これを今度は、中国側から見ると、現在の中国の方が心配しているのは『中所得国の罠』という経済用語があるのですが、これは、国民総生産、1人当たりの国民…GDPが、3000、4000ドルぐらいから1万ドルを超したぐらい、この間で経済成長が止まっちゃうんじゃないかという危機感ですね。これはどういう意味かと言うと、3000ドルとか、4000ドルの時は全世界から皆、工場をそこに持っていきたいと企業がきますから、経済発展はすごく急速に進むんですね。ところが、7000、8000ドル、1人当たり…GDPが7000、8000ドルになってくるともっと安いところが他にもあるのではないかと。そうすると、これまでの勢いが急に止まっちゃうのではないかというこの危機感。実際に過去の歴史を見ますと、この『中所得国の罠』を抜け出せた国、日本と台湾と韓国とシンガポールと香港とか、このいくつかしかないですね。あとは皆そこで止まっちゃうんですよ。中国の方はこれをすごく気にしています。いろいろな会話で出てくる『中所得国の罠』と。では、どうやって『中所得国の罠』を抜け出すのかと。これは技術をできるだけ早く蓄積していくしかないと、こういうことになるわけ。そうすると、国内で皆さん一生懸命やっている、に加えて外からも引っ張れるものはドンドン引っ張っちゃえ、こういう部分が当然出てくるわけで、『中国製造2025』ですか、それはこの『中所得国の罠』という恐ろしい事態からどうやって抜け出すのか、それがおそらく最も大きな危機意識ですね。そういう中でちょっと余計なことが起きちゃったと。アメリカがケチをつけたような感じがしますね」
松山キャスター
「まさにその『中国製造2025』というのがこちらですけれども。中国の習近平政権が出した方針で、製造強国に向けた3段階戦略ということで、まず2025年までに製造強国の仲間入りをし、2035年までには世界の中堅水準、2049年までに世界のトップクラスになると。ハイテク分野、次世代情報技術やデジタル制御工作機械といった分野を重点分野としていくということですけれど。柯さん、これは中国としては先ほどクーさんも話されましたけれども、まずはそのハイテク分野・情報分野、ここというのはある意味、これから先、情報を新たに、最新の情報をとりさえすれば、次の時代の覇権を握れると、ある意味、手っ取り早く握れるという、そういう考えもあってこういう方針が出ているのですか?」
柯氏
「重厚長大の、いわゆるオールドエコノミーの産業、自動車も含めてですけれども、キャッチアップしにくい。金型だろうが何だろうが、と少しずつ磨いていかなければいけない技術ですね」
松山キャスター
「匠の技術みたいなところがありますよね?」
柯氏
「コンピューター、IT(情報技術)だけは飛び級であり得るんです、ジャンプして行けるんです。いきなりスタートライン、日本とアメリカと同じ土台に立つものだから、だから、そこを中国は狙って、ZTEとか、ファーウェイとか、ドンドン特許を申請する。それが中国の立場に立つと戦略として正しい。ただこれは間違っている戦略と思うんです。やることはいいですよ、『中国製造2025』。こんな3段階、明確にタイムスケジュールまで発表して、トップレベルで強国になると、まさに世界の中国脅威論を助長しているような話ですよね」
松山キャスター
「他の国は警戒しますよね?」
柯氏
「私だったらスーパーコンピューターを開発する、量子コンピューターを開発する、ならいいですよ。これはもう俺らが2049年になると世界を凌駕するよと…、皆怖がるわけですから。なぜこんなことを。だから、強がるわけですよね。強がりの姿勢だからこそ、今回、戦争を招いたわけですよ」
松山キャスター
「ITとか、ハイテク分野では、いわゆる飛び級みたいな形で技術を現在とれば、次の世界の覇権を握れるかもしれないという、そういう考えもあるようですが?」
山際議員
「ええ。ほぼおっしゃる通りだと思います。『中所得国の罠』という言葉もありますが、『後発の利点』という言葉もあるんですね。あとから来た人達は、それまで先に進んでいる人達がやってきた失敗や苦労というものを飛び越して、良いところだけをとれるというのは後発の利点と言うわけですね。これの典型的なものはおそらく公害問題なんていうのはそうですね。環境に配慮しないでずっと重厚長大産業をやってきて苦しんできて、最先端のハイテク機器を使って省エネで環境に優しい、そういう工場が現在もう日本には既にあります。川崎などにたくさんあります。これを後進国は取り入れれば、公害問題を起こさないで、新しい技術で国を興せるという部分があるわけです。だから、後発の利点というのが考えられて。そういうものの分野の中でこのITの分野というのは、やりやすいというのは事実だろうと思います。アフリカによく行きますと、そうすると、電線もないですよ、あるいは電話線もないんですよ」
松山キャスター
「地中に埋まっているのですか?」
山際議員
「いや、違う。もともとないです」
松山キャスター
「あっ、もともとない?」
山際議員
「ええ。そういうところで何をやるかというのは、たとえば、電話というのは線でつながっているのが当たり前だって思っているけれども、そんなのはもう必要ない、携帯電話でいいわけですよね。まさに後発の利点そのものです。日本では紙幣を使うのが当たり前で、非常に強固なシステムだから、紙幣を使うというところからは逃れられないけど、もう中国ではアリペイだ、ウィチャットペイだと、電子マネーが当たり前になっていますよね。これもまさに後発の利点そのものだと思うんですよ。ですから、後発の利点を得られる部分というものに特化してドンドン技術を磨いていけば、そこはかなりゲームチェンジして土俵が変わっていますから、先ほどのお話のように、先進国と同じ土俵で、ヨーイ、ドンで戦える。ヨーイ、ドンで戦った時には中国は数千年の歴史があって0から1をつくり出す能力がある国だったわけですから、これから先だってありますよ。だから、そういうところでの競争というのはかなり勝ち目のある競争をしていくのだろうなという気はしますよね」
松山キャスター
「ある意味、日本は、高付加価値のIT技術、情報関連技術という点では一日の長があったと言われたのですけど、ただ、最近は中国がアメリカのたくさん技術者を学ばせて、本国に帰ってそこで育成してということで、かなり急速に伸びてきていると。日本としては中国が脅威になる事態というのは、これから先ドンドン出てくるのですか?」
山際議員
「もちろん、競合相手として非常に強力な競合相手になることは間違いがないのですが。では、日本のこれまでやってきたことが全否定されるかと言ったらそんなこともまったくなくて。我々の性質にあるのでしょう、コツコツ、コツコツと1つ1つの技術を磨いて、それをすり合わせてという現場を持っているなんていうのは、これは一朝一夕でできることではないし、では、他の人達が50年歴史を積み重ねたら本当に日本のレベルになるかと言ったら、たぶんそれはならないだろうねというぐらいに我々の信頼性の高いわけですよね。これから先、負けるところも出てくると思いますが、勝ち続けられる部分というのも確実にあって、そこがどういう分野なのかということをちゃんと見極めながら、グローバル経済の中でどこのポジションを我々日本はとっていくのか、こういう戦略を皆で練っていくということなのではないかと思います」

柯隆 東京財団政策研究所主席研究員の提言:『知己知彼 百選不殆』
柯氏
「孫子の兵法にある言葉ですけれども、己を知る、彼を知る、100回戦っても負け知らず」
松山キャスター
「百戦危うからずと…」
柯氏
「そう。今回は、だから、中国が、トランプさんをあまりにも知らなかったのと、それで自分も知らなくて、こうなっちゃったのですけれども。日本に対する提言はと言うと、今回の事態を打開するのに安倍さんにとって1つのチャンスが来たと思う。仲介役の役割を果たすべきだろうと思う。トランプさんと習近平国家主席をそれぞれ説得し、事情を説明して、特に日本のエクスペアレンス、経験は、習近平国家主席にとって非常に参考になると思うので、是非がんばってほしい」

リチャード・クー 野村総合研究所主席研究員の提言:『Keep Cool』
クー氏
「柯さんが中国語で書いたから私は英語で、とにかく『Keep Cool』で。両サイドがかなりカッカしている部分が現在ありますから、日本は冷静に。なぜアメリカが、こういう方向に行ってしまったのか。あれだけ貿易赤字を垂れ流して40年もすればこうなるのはある意味で当たり前で、これだけ自由貿易の負け組が増えた国に対し、自由貿易をやれ、自由貿易をやれと言ったって、やるはずがないです。だから、どうやってこういう人達をもう1回取り込めるような形にできるのか。こういうことに日本はもっと、日本も黒字を出している1国として考えて。しかも、それを中国といろいろシェアしていくというようなことがあってもいいのではないかなと思います」

山際大志郎 元経済産業副大臣の提言:『多極化への対応』
山際議員
「ちょっと中長期的な課題になるかもしれませんけれども、議論の中で申し上げたように、これから世界は本当に多極化していくわけですね。アメリカの1強ではもうなくなっている。中国もEUもアフリカもアジアも皆、極が大きくなってくるわけです。そこに対してどう対応していくかということは戦略そのものだと思いますが。その基本は、私達日本という国が置かれている宿命です。要するに、国を開いて、貿易をやることではなければ我々は生きていけない。この部分を考えて、だとすれば、ルールをつくっていく主導的な役割というものこそ我々がやらなくてはいけないのではないかと思います」