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2018年7月13日(金)
西日本豪雨の甚大被害 増える雨…治水対策は

ゲスト

片山さつき
自由民主党豪雨非常災害対策本部副本部長
大石久和
国土政策研究所長
土屋信行
リバーフロント研究所技術参与
藤井聡
内閣官房参与 京都大学大学院教授

日本の『治水』は十分か? 『西日本豪雨』対策と教訓
生野キャスター
「平成最悪の被害となった西日本豪雨。FNNの調べによりますと、これまでに亡くなった人は全国で196人、現在も48人の安否がわかっていません。毎年大きな被害をもたらす水害と私達はどう向き合うべきなのでしょうか。政治家・専門家をゲストに迎えて、西日本豪雨を検証、日本の治水について考えます。官邸で開いた西日本豪雨の非常災害対策本部で、被災した58の自治体に対し、普通交付税合わせておよそ350億円の繰り上げ配分の決定を表明しました。FNNの調べによりますと、これまでに亡くなられた方は全国で196人、また現在も48人の安否がわかっていません。片山さんは広範囲で浸水の被害がありました岡山県の真備町の視察に行かれたそうですね?」
片山議員
「はい」
松山キャスター
「真備町を視察され、現地に着かれて1番印象に残ったというか、住民からの声を聞いて、1番、これが必要とされている、そのあたりどう感じましたか?」
片山議員
「必要とされているのは、あまりに突然これだけ大規模に浸水をしたわけですよ。この地域は、確かに水害はなくはなかった。あとでお話が出ますが、この小田川は、ジャングル川になっていて、河床が上がっていて、木がすごく生えてきていて、この10年間で3回、東京ドーム3杯分ですね、木を切っているんですよ。あとでお写真が出てくるでしょうが、切ってもジャングルですよ。ですから、そのへんについて住民の方はなぜ切ってくれなかったの、みたいなことを私に抱きついておっしゃった方はいらっしゃいますが。まさに河川つけかえ事業が今年から始まって10年かかるのですが、今後のまた、この異常な雨が、これまでに日本でなかった雨がまたくるなら、10年かかる事業もいいですが、緊急の2級河川の点検等の観点と、緊急避難的に河床されて全部これをとるというようなこともせねばならない、その恐怖のお話もあったし、とにかく暑いと。そして、せんべい布団であの体育館に寝るということ、その快適化のための必要性も非常に。それから岡山市も訪れましたが、こちらは政令市してございまして、オペレーションセンターもあり、市長は元防災管理官でございますが、倉敷市はそこまでお慣れになっていないので、いろいろな意味で、県も国もそれから、被災経験自治体も全面支援をすると、こういった必要性もありまして、すぐに。お風呂のことも日曜日から月曜日にかけて官房長官とお話して、改善をしていった点の1つですけれども、様々ございましたね」
生野キャスター
「今日、安倍総理が視察した愛媛県で7日、西予市を流れる肱川が氾濫しまして、5人の方が亡くなりました。この川の上流にある野村ダムでは放流量を緊急的に増やしていたことがわかりました。その経緯を見ますと大雨になる予測があったため4日から事前放流が行われていました。また、大雨が続いたため、7日の午前2時半、野村ダム管理所から西予市へ防災操作、これは緊急的な放流なのですけれども、その開始時刻が6時20分だということを伝えました。朝の5時10分、西予市が野村町内の一部に避難指示を発令、防災無線で地域に呼びかけをしました。6時20分に、防災操作、緊急的な放流が開始されまして、7時50分には最大放流量に達しました。この量というのは安全とされる基準の6倍を超えるものだったということです。大石さん、この安全とされる基準の6倍の量と聞きますとちょっと驚いてしまうのですけれど、このダムの対応というのは必要な措置だったのでしょうか?」
大石氏
「そうですね。ダムに流入してくる水量が、ダムが放出することができる水量をはるかに上まわるという状況が生まれたものですから、ご説明にありましたように、事前放流でダムの容量を上げていたのですけれど、それを上まわる流入量がきて、ついに放水量よりも流入量の方がかなり上まわってきたという状態になったんですね。それでもう既にダムはほぼ満水位にありましたから。これを放置しておくと、ダムから越流を始める。ダム本体に大きな傷がついてしまう可能性があって、ダムが、簡単ではありませんけれど、崩壊してしまう危険があると。これは何としても避けなければならない。ダムが洪水調節能力を完全に失ってしまうということになりますので。この操作そのものはやむを得ない操作だったかなというように思います。そのような操作をしなければならないほどの流入量があって、つまり、豪雨だったということを示しているんだと思います」
松山キャスター
「藤井さん、今回のダムの対応をどう見ていますか?」
藤井氏
「今回、放流をしたところが確か8つ、9つあったかと思いますけれども、そちらのデータを拝見すると、雨が降り出した初期の時点ではしっかりと水を貯めて、流入量をコントロールしていたんです。そういう意味で、コントロールしていた時に1番たくさんの雨が降っていて、あのデータを見ていますと、もしあの時にダムが存在していなければ、あのままのピークの流入量が完全に下流側にいって、さらに激しい洪水が起こっていたのは、これは火を見るよりも明らかだということを示すデータでした。ただ、それがずっと貯まっていると、今回非常に長い期間、大量の豪雨がありましたので、その容量を超えてしまう。そうすると、その時点で流さざるを得なくなってくると。その時のピークというのは1番のピークよりも低くなっているので、実は非常に残念なことではあるのですけど、効果は、一定程度は存在していたということは言えるのかなと思います。ただ、もう1つ申し上げられるのが、この肱川水系ですか、…が、ダムの増強事業が計画されていまして、かつ新設の事業もありまして、水系は複数の支流がありますから同じ支流ではないですが、総合対策、治水総合対策と言うのですが、このダムが、その2つが完成していれば、今回の洪水というのは回避できた可能性は十分考えられるなと。ただ、このあたりは、本当に流量をデータに基づいてしっかりと検証していく必要がありますけれど、そういうことは十分…、申し上げることができるかなと思います」
松山キャスター
「その経緯の中で、実際にダムの管理所から西予市に対して放水の開始時刻が伝えられてから、実際に防災無線で住民に呼びかけるまでの間というのが2時間半近くあるのですけれども、時間が深夜だったということを理由の1つに市長は挙げているようですけれども、このあたりの対応はどう見ていますか?」
藤井氏
「そうですね。その点についても検証が必要になってまいりますけれど、さらに可及的速やかに、その2時間という時間をどこまで短縮できたのかというところは、これから検証していく必要があると思いますね。いずれにしても行政としては可及的速やかに情報は提供すべきだということは言わなければならないと思います」

豪雨が引き起こした水害を検証
生野キャスター
「西日本豪雨が引き起こした水害について見てみますと晴天下での氾濫が広島県府中町、河川の堤防の決壊が岡山県倉敷市の小田川。内水氾濫、低いところに貯まった水が排水されなくて起きる現象ですけれど、これが広島市で起こりました。まずはこの晴天下での氾濫から見ていきたいと思うのですが、広島県の府中町では雨が止んだ10日午前に中心部を流れる榎川が氾濫しまして、周辺の住宅街に土砂などが流れ込みました。土屋さんこれは雨が止んでも水害が起こるということですよね?」
土屋氏
「起こります。河川は長い距離をもって流れるわけですが、どこで氾濫するかはわからない、どこで堤防が切れるかわからないという状況で、雨が降っている時が最大のピーク流量ということではないんですよね。1947年の関東地方最大の洪水と言われているカスリーン台風は、栗橋で決壊して東京が水没するまで4日間かかっているんです。当然、雨は初日の段階で終わりましたから、東京の最後の守りと言われていた、水元のところにある桜土手、これが切れるというのは、深夜に切れているのですが、その前後はピーカンのすごくきれいな天気です。だから、洪水は遅れてやってくることもあるのだ、というのは十分に認識していただきたい。安全情報が出るまでは洪水はまだ安全ではない、だから、地震の時は皆さん、あとでまた大きなのがくるかもしれないと思っていらっしゃるんですよ。水害に対しての備えというか、水害に対しての常識というのがもうほとんど伝わっていないことが問題ですね」
松山キャスター
「よく川の両側に、日本でよく見る風景としてはよく木が生えていたりしますけれども、あれも実は水害の1つの問題になっている部分だという話を…」
土屋氏
「そうですね。堤防に木が植わっていていいかという問題は、はっきり言って、いくつかの局面があって。江戸時代は堤防をつくるのはもちろん、人力でつくって、土を積み上げていたんですね。版築と言って、少し土を入れ、それを突き固める、踏み固める。また、土を乗せて同じことを繰り返す。丈夫につくろうと思うと、1回の版築の立ち上がり量が10センチ、3寸と言われている。それは、現在では30㎝ずつになっていますけれども。昔はもっともっと踏み固めて丈夫にしたいということから、江戸を守る日本堤というものは、そこに新吉原って、吉原、そこに吉原通いする時、そこに桜を植えて、そこに通る人達によって堤防を突き固めようということで桜の木を植えました。ですから、全国河川に桜の木が植わっているところは結構あるんですね。それで歴史的に古い時代にそういうのを植えたのですが。現在は桜の木は根っこが非常に浅くて横に張るので、堤防の1つの水路をつくってしまうということで、堤防はなるべく堤体本体には木を植えないように、ちょっとずれたところに少し盛土で腹付盛土をして、そこに植えているんですね。もう1つ、実は河川敷内に木が植わっていたということが今回もあります。実は一昨年の岩泉、岩手県の洪水の時もたくさんの木が植わっていました。実は鬼怒川の決壊の時も植わっています。これは植えたわけではなく、自然に伸びてしまった木なのですけれども、古くは実は河川敷内というのは入会と言われて、地域の人達が誰でもが行ける、もちろん、魚も獲れる、もう1つ、木も切ることができる。そこで昔は河川敷地内の木を切って薪炭、蒔や炭にして生活のために使っていたんです。竹も切りました、生活用具をつくりました。だから、河川敷内の木は適度に使われて適度に除伐されていたんです。だから、それが、木を切るという文化がだんだん廃れてきたために自由に伸び放題に伸びてしまって、今度それを切るとなるとまたきれいな緑が美しいということで、切るのにたくさんの反対も出てきたりということで、切られることがほとんどなくなってしまった」
松山キャスター
「河川敷内にたくさんの木が生えていることによって、実際にその川の水量が増した時に、川に木が流れてしまうと、それがまた大きな被害を起こしてしまうと、そういう原因になるということですか?」
土屋氏
「そうです。まず抵抗物としての木があるので、河川水位が上がってしまいます。堤防は濡れることが1番弱体化の原因になりますから、堤防の水位は1ミリでも1センチでも上げない方がいいわけです。だから、それがもうドンドン上がってしまう。もちろん、それが今度は倒れて、大木のまま流れて行って橋に引っかかる。それがまた脇にあふれて、地域の中に押し寄せてくる、悪循環」
松山キャスター
「大石さん、昔の人は河川敷内の木を適度に伐採していたことが、逆に功を奏していた部分があるという土屋さんの話ですけれども。必要のない木の伐採というのは必要不可欠ということなのですか?」
大石氏
「そうですね。土屋さんがおっしゃったように、伐採すべき木は伐採したいですけれども。ところが、そこには、たとえば、鳥の巣があったりして、国土交通省でも伐採しようとすると地元の反対を受けて、鳥の住みかをなくすのかといったようなことで伐採できなかったといったような事例があります。なかなか難しい問題ですけれども、治水上のことを優先するのであれば、河川敷内…に生えた自然木とのお付き合いの仕方というのは、地域の皆さん方のご理解を得て、かつてのような循環型にしていくような工夫も絶対必要だと思いますね」
松山キャスター
「倉敷市真備町の小田川のケースですけれども、これについてちょっと見ていきたいと思います」
生野キャスター
「今回、市内を流れます高梁川、大きな川ですけれど、その支流であります小田川、ここが氾濫しまして、堤防、この部分が決壊しました。町の4分の1以上が浸水したのですけれども。大石さん、なぜこの支流である小田側の堤防が決壊したのでしょうか?」
大石氏
「うん、これは既にバックウォーターのせいだと、こういうことが言われておりますね」
生野キャスター
「バックウォーター?」
大石氏
「バックウォーター。それは高梁川が本線ですから、高梁川本線にこのように水が流れて、それに支線である小田川からも水が入っていく、このような流れ方をするわけですね。ところが、高梁川の水位が上がりますと、高梁側から小田川の方に水が逆流して」
松山キャスター
「入ってきちゃうんですね?」
大石氏
「ええ、そうそう。こちらの水位が高いものですから、吐ききれずにこちらの方に流れちゃう。流れていくことによって破堤箇所が起きちゃった、できちゃったと、こういう現象ですね。これはこの河川だけではなくて、河川が合流しているところでは時々起こる現象です。バックが起こるというような現象ですので。従って、小田川の改修計画が進められて、バックが起こったとしても、もっと下流域で、合流させるといったような事業をやる予定だったのですが。その事業が終わっておれば、このようなバックによる破堤が起こる、大きな湛水が起こってしまうといったようなことはなかったのではないかというように思いますね」
松山キャスター
「藤井さん、高梁川と小田川の計画、そのあたり詳しいと」
藤井氏
「そうですね。少しご説明させていただきますと、これはお話のあった高梁川で、ここに小田川があると。ここでバックウォーターが起こった。これをどういうふうに対策するかというのは半世紀近くですかね…」
片山議員
「そうそう、50年ぐらいやっている」
藤井氏
「ずっと議論をされていて。本当いろいろな議論があって。ようやくこの秋からやろうとしていた工事が、ここにもう1つ支流というか、バイパスを…」
片山議員
「付け替える」
藤井氏
「…まして。この合流点、こちら側変えるというふうに考えていたんです」
松山キャスター
「水をそっちに流そうという計画だったと?」
藤井氏
「こちら側になると下流側ですから水位がこちらの方が低いので、バックウォーターが起きにくくなるんですね。その事業をまさにやっていれば、バックウォーターが起きず、堤防が決壊することもなかったということはほぼ間違いないだろうと思われます。いろいろな経緯は確かにあるのですが、場合によっては、予算の制約だとか、いろいろなプロセスということがあるのですけれども、そういったものを全部乗り越えて、きちんと現在やっておけばということが悔やまれてならないところですよね」
松山キャスター
「それはなかなか工事が進まなかった理由というのはあるのですか?」
藤井氏
「はい、これはもともと細かいことを申しますと、こちらの河川は、利水事業と治水事業を合わせた事業で進めていたんです。ところが、折から予算がないということで、もう利水の需要も少ないのだから、やめたらいいのではないか、という議論が起こって、では、利水もやめてしまうと。そうすると、でも、治水だけはやらないといけないということで、もたもた、もたもた議論があって、…遅れてしまった。場合によっては、利水も治水もしっかりと、何十年も前に決まっていたような話を終わらせておけば、とっくの昔にこの事業が終わっていたというふうに考えられます。もう1つ申し上げたいのが、なぜ決壊するのかというところです。これはなかなか一般の方はご存知ないから、簡単にご説明しますと堤防というものは盛土ですね、土の盛土です。水があふれ出します。あふれ出すだけだったら実はそんなに大きな被害は起きないです。問題は、あふれ出すとこちら側のここの土手が洗堀と言いまして、崩れていくんです。崩れていく、ドンドンここが崩れていくと凄まじい圧力がかかっていますから、あるところまで崩れるとガサッとこの山全体が崩れて、水が全て街の中に流れ出てしまうと。従って、越水してしまえば、もう堤防がこうやって決壊するリスクというか、決壊に、100%と言わないですけれども、今回も越水したけれど、破堤しなかったところもありますけれど、越水をして暫くするとまず間違いなく決壊をしてしまうと思っておいた方がいいわけです。ですから、越水をしないような対策をどうやるのかということで、こういう対策が必要だと。もう1つ申し上げると、私は京都ですけれども、京都では桂川が非常に危ないと言われる。桂川は、日吉ダムというところが、そこも放流して、非常に毎年、毎年、大変なことになっているのですけれども、あそこは浚渫という工事をやって川の底をちょっと深くしておいたんですね。ですから、その分…」
松山キャスター
「…定期的に深く掘るということですね?」
藤井氏
「はい、そうですね。これはすぐに埋まってしまうので本当に定期的にやらないとダメなのですけれども。これをやっていたので、今回、越水はしたのですけれども、大規模な被害には至らなかった。従ってこういったそれぞれの場所・土地の状況に合わせた対策というのが本当にたくさんあります。その土地にはどういう対策が1番ベストなのかということを、日本の土木技術者はしっかりと認識していますから、それはきちんとした予算と、きちんとした状況さえあればいくらでも安全にできるはずなのだと」
松山キャスター
「理想的な堤防のつくり方というのはどういうことが検討されているのですか?」
藤井氏
「そうですね。理想的な堤防というのは、越水をしても破堤しない堤防ということが1番安全ですね、良いと思うんですね。治水対策にはたくさんのものがありますけれど、洪水被害はたくさんいろいろなパターンがありますが、堤防決壊が1番激甚な被害になるんですよね。ですから、堤防をしっかり守るというのが本当に安全な街のために必要なんですね。そこでよく言われるのが、スーパー堤防という考え方なのですけれど、スーパー堤防と言うと何かとてつもない鉄の塊とか、とてつもないコンクリートのスーパーなものだと思ってしまいがちなのですけれども、全然イメージの違うもので…」
片山議員
「全然違いますよね」
藤井氏
「名前が、スーパー堤防はよくないなと…」
松山キャスター
「何かスーパーマンを想起するような…」
藤井氏
「…これは何か古い発想、古い発想の人がつけたのだろうと…」
片山議員
「あの頃は何でもかんでも悪者にされて…、酷かった」
藤井氏
「…堤防。黒いところ、こんなんが普通の堤防ですよね。これが越水すると、洗堀してダメになると。スーパー堤防というのは全部、すごく長い土地利用をつくるんです。だから、川を埋め込むような、街の中に」
松山キャスター
「大きな大地のような形にするということですか?」
藤井氏
「そうです。通常はこういう堤防だと、この上に人は住まないわけですけれども、これは街づくりと一体化して、ちょうど土地区画整理事業のようなもので、木密地域とかの土地区画整理事業は、街づくりではよくやりますけれど、アレと同じように、この河川の周りのところをいったん、一度どいていただいて、それでここの街全体を街としてつくる。もう1度ここに戻ってきていただいて、住むと。こういうところが既にいくつかできあがっていまして、視察に行っていただくと本当にわかるのですけれど、川まで本当になだらかにつながっていますから、川との親水性と言いますけれども、アメニティーと言ったりするのですけれども、本当に川と暮らしが一体化するんです。ですから、これはスーパー堤防と言うから何か変な感じなのですけれど、これは川街づくりです、あるいは防災川街づくりとして、これが本当にできれば、2度と堤防は決壊することはありません」
松山キャスター
「ただ、予算はかなりかかりますよね?」
藤井氏
「かかります」
片山議員
「だから、街全体のかさ上げに近いのですけど、東京がスーパーメガシティであることを考えるとやらなくてはいけなくて。私達はその強靭化計画をつくる、それで東京都さんにも、東京都が、防災機能が高い都であるのはわかっていますよ、都庁の能力も高いのはわかっているけれども、その危険と被害があまりにも他に比べるとあまりにも大きいから、首都直下地震対策のその計画ももう少し緻密に膨大にやってほしいし、五輪がくる前に前倒ししてほしいということを期待しているのですが、なかなかそうならないです」
藤井氏
「一言だけ申し上げると、予算がかかるからこれをやりたくてもできないということで話が止まってしまうのですけれど、実はその考え方を少しだけ考えていただきたいのですけれど。たとえば、100年間かけて毎年税収の範囲でちょっとずつつくると、100年後にできるとすると、その100年の間は洪水がきて人がいっぱい死んでいくんです。そうではなくて、現在は金利が低いですから、まずはしっかりと予算、国債を発行して、調達をして、まずはつくってしまう。そのつくった費用を100年間で、皆で分担していけば、100年分の支出の出しているお金はまったく同じ、だけど、早くできると」
松山キャスター
「それは自治体の予算立ての問題も出てきますよね?」
藤井氏
「そうです」
松山キャスター
「単年度で予算を組んでいるのでは出てこない発想だと…」
藤井氏
「そうです。ですから、災害対策は災害が起こってからやっても意味がないので、とにかく早くやる」

『避難指示』の判断は?
生野キャスター
「災害時にテレビなどを通じて出されるのが避難通知ですが、危険性の度合いにより3つのレベルに分かれています。避難準備・高齢者等避難開始、それから、避難勧告、避難指示、これは最も危険度の高いものです。緊急性を要するものが避難指示となっています。今回の避難勧告・避難指示の出され方をどのように見ていますか?」
片山議員
「これは今日、交付税を前倒し交付した自治体だけでも58あるので、いくつかからは上がってきていますが、また、今週末1番酷いところに党の幹部が手分けして入り、実際どうだったのかということ、県や市から上がってくる報告と地元がそれをどのように聞いて、どのように行動したかはまた別の問題ですから、そういったことも週末しっかりと検証をする一助としてまいりたいと思います。ただ、これは制度としてずっと市長村長に非常に重たい責任がいっておりまして…」
松山キャスター
「勧告や指示を出すのは自治体ということになっていますよね?」
片山議員
「そうです。どんなに早いところでも7月6日夕方より前に出しているところはおそらくないでしょう、今回、…だと思いますよ。ですから、それですと川がだんだんあふれて水量が増していく、真備町のようなパターンではなくて、何年か前に広島の市の北部で安佐北・安佐南で…、そこは何回目かですね。それで土砂法も直したわけですよ。レッドゾーン、イエローゾーンについてほとんど区域指定までは終わってきている、57万区域。ところが、今回おそらく崩れたところは昨年度の実績を見ると、おそらくイエローゾーンに入っている、9割方そうだろうと。と言うことは、イエローゾーンであることがわかっておられた可能性がなくはないのだと。だから、それが了知されていたかどうかと、イエローゾーンであって適切に避難勧告が出た場合にそれをどのように実現化させるかと、ご高齢者や小さなお子さんがいらっしゃる時に。実際に逃げた時に、安全に快適に逃げる場所としての避難所が行けるところにあるかというような何段階の問題があって。今回800万人以上に避難勧告、あるいは指示が出ていて、実際に避難された方が数万人以下。だいたいそのぐらいの割合ですよ、いつも。だから、それが繰り返されるようだとこのような世界気象機関が異常と判断することが数年に一度でも起きるのであれば、この規模の犠牲が出てしまいかねないので、この辺りの実効性を高めることを真剣に検討せねばならないのではないかと想起するわけでございます」
土屋氏
「そうですね…」
松山キャスター
「土屋さん、現在の災害対策基本法では、最終的な避難勧告・避難指示の判断というのは市長村長、自治体が行うことになっていますけれど…」
土屋氏
「はい、そうですね」
松山キャスター
「これ自体は機能していると考えますか?」
土屋氏
「うーんと、実はここはきちんと考えなければいけないですけれど。なぜ首長に、避難命令ですよ、実質的な指示というのは。それを委ねたかという歴史的背景が実はあるんですね。災害対策基本法というのは昭和34年の伊勢湾台風がこれまでもそうですが、水災害で命を亡くした5500人ですか、大変な被害があったために設定されたのですが。その時の日本の状況を考えると昭和33年はついこの間、終戦まで毎日のように避難訓練を地域でやっていたんです。空襲警報のことです。地域のコミュニティが相互に助け合うということもあり、顔の見えない人はほとんどいないと、相互に誰がどこに住んでいて、どんなことをやっているのか、要は、いったん被災した時に誰をどう助けなければならないか、お年寄りがどこにいるか、子供をどう助けるのか、相互に強い結びつきをつくった地域があったんです。そうなると当時、中央政府が台風の位置を把握するのに気象庁はどうしてたかというと、全国の測候所から、言ってみれば昔僕らが使った百葉箱です、気圧と気温と風向と風力、そのデータを電話、または電信で大手町の気象庁にお伝えして、ちょっと…」
松山キャスター
「地方の情報を中央が吸い上げる形だったわけですね?」
土屋氏
「はい、測候所から。それを、この紙のところに全部丸を書いて、チョッチョと羽を書くような、中学校の時にやったと思うのですが、アレを書いて台風は現在ここかなというのを把握していた時代で。そんなことをやっている間に現場の方はもう雨あられ、下手すれば土砂崩れも始まっているという時に、地域でその判断を早くする、昔の古老に話を聞くと、あそこの山は崩れやすいぞとか、そっちの谷は行っちゃいけないぞという地域におけるリスク情報がたっぷりあって、それには先ほど申し上げた地域の結びつきから避難しろと言ったら、パッと、ハイ、わかりました、というぐらい地域の方が、情報伝達力がある。だから、首長に委ねた方が的確な情報伝達と同時に、災害対策ができるという時代だった…」
松山キャスター
「現在はもう?」
土屋氏
「現在ははっきり申し上げて…」
松山キャスター
「中央の方に情報が集まっているかもしれない?」
土屋氏
「いや、だって電子機器もある、スーパーコンピューターもある、宇宙からは人工衛星で台風の発生も見ている、線状降水帯の位置もはっきりわかっているという状況では、はっきり言って1700の自治体にはそんな設備はないし、それははっきり言って地方自治体の方が情報伝達網は著しく脆弱になってしまったということで。いつまでも首長に委ねておくのがいいかどうかというのも、転換期がきたのではないかと思います」
松山キャスター
「大石さんは、こういった意見をどう見ていますか?」
大石氏
「そうですね。これはなかなか難しいところがありまして。地域の実情に1番詳しいのは基礎自治体の長ですね現在でも。どこにどういう方がおられて、どういう被災を経験してきたかというような情報の蓄積が最もあるのは基礎自治体ですから、基礎自治体にこういう避難指示や勧告の権限を持たせているというのは、1つの理屈ではあると思うんです。ただ、その判断をすべき市長村長さんが判断するに至る情報だとか、判断能力を備えているかという問題があるんですね」
松山キャスター
「難しい問題ですよね?」
大石氏
「たとえば、市町村全体の約3割に1人の技術者もいないですね、それで言うと。…土木建築関係の技術者が市町村にいるケースが多いですけれども、市町村全体で3割、市では約7%、それから、町で言うと4割いないし、村で言うと8割に1人の技術者もいないです。そうすると、村長さんや町長さんが相談する相手が中にいないですよね。これをどうやって手助けするのかというのが現在、土屋さんがおっしゃったような情報が中央に集まるような時代ですから、首長さんに情報をちゃんと伝えるだとか、判断のお手伝いをするだとか、気象庁の気象台の一部がそういうお手伝いをするような動きをしているところもあります。だから、そんな形で支援してあげる仕組みをまずは急いでつくる必要があるのではないかなと、このように思いますね」

『西日本豪雨』対策と教訓
松山キャスター
「大石さん、日本の国土の特徴から見る脆弱性はどう説明されますか?」
大石氏
「我々日本の国土に生まれ、日本の国土に育ちましたから我々が1番日本の国土を知っているようなつもりになっていますが、日本の国土の特徴を知っているということは、諸外国に比べてどうなんだということが分からないと知っていることにはならないんですよね。そういう意味で言うと、現在、日本とヨーロッパを比較する図をお出しいただいておりますが、日本は、このグリーンに見えているところはだいたい標高200メーター以下のところなんですね。日本は国土全体に脊梁山脈と言う、2000メーターから3000メーター級の山脈が縦貫しておりまして、この縦貫している山脈を南北に、あるいは東西に振り分ける形で河川が流れています。従って、河川は皆、それぞれ短いんですね。利根川と言ったって、この程度でありまして。一級河川が、この国土に109水系があるのですが、一級河川の水系の109の平均流域面積は、2400平方㎞です。50㎞×50㎞ぐらいですよ。ところが、フランスのロワール、ロワール川という河川はここをこう流れているのですが、この河川の流域は11万平方kmです。日本の国土面積は38万ですから、それの3分の1ぐらいが1つの流域に入っているというぐらいの河川ですから、上流に雨が降っても下流には降っていないのだというようなことが…」
松山キャスター
「しかも、ゆっくり流れていくわけですね?」
大石氏
「そうですね。日本の河川は、もう1つの雨域に河川全体が入っちゃっているというようなことになっているものですから、2、3000メーターの急激な山から流れ落ちるということもあって、勾配は急だし、水量も一気に増えるんですね。先ほどの栗橋の話がありましたが、これが栗橋では、普段流れている水の量に比べて、洪水時の水の量は1000倍になるので、1000倍。これはヨーロッパに流れている河でそんな数字になるような河川はありません。私、もう1つ、ここで申し上げたいのは、ヨーロッパの国土、200メーター以下ぐらいのところが圧倒的ですね。この国土はどのように形成されたかと言うと、現在から数百万年前ぐらいに、氷河が何㎞もの厚さで覆っていたんですね。この氷河が溶けていく時に、表土の風化した岩は全部流しちゃったんです。従って、このヨーロッパの国土というのは、極めて新しいフレッシュな岩の上に成り立っているのですけれども…」
松山キャスター
「しかも、フラットに…」
大石氏
「フラット。だから、非常に使いやすいですよ、日本は山脈に分断されていて、氷河があったのですけれど、山岳部にだけ日本の場合はありました。そこで溶けていったものですから、風化岩を全部、この山の中に残していっちゃったんです。従って、ちょっと雨が降ったら土砂災害が起こるというのは、日本の国土の特徴になっていまして。従って、砂防という言葉がありますが、砂防という言葉は津波と同じように世界語です、世界語。世界でも日本と同じような…」
松山キャスター
「砂防という言葉で、世界で使われている?」
大石氏
「使われている、いうような言葉になっているぐらいに、これは厳しい国土を我々は預かったと…」
片山議員
「地滑りが起きやすいということですよね」
松山キャスター
「そうですね。まさに今回、土砂災害が非常に大きな被害をもたらしたわけですけれども。土屋さん、こういった水害が多い国土に住んでいる我々日本人ですが、生活の知恵として水害をうまくかわすというか、そういった水害とどうやって向き合っていくのか、どう見ていますか?」
土屋氏
「私達、日本国土に何千年と暮らしているわけで、その中で、いわゆるその地域がどんなリスクがあって、逆に言えば川というのは大きな恵みももたらしてくれるんですよね」
松山キャスター
「都市はだいたい川の近くにできていますよね?」
土屋氏
「はい、そうですね。実は私達が古老から聞いた話では、洪水というのは豊かな有機物をたくさん含んだ土を持ってきてくれる。稲作の原点となる水田に、洪水の最後、大荒れに荒れている時は別ですけれども、なであがっていって、ようやく終わるぞという直前にまだまだ土はたくさん含んでいる時に、田んぼのあぜの石版を上げて、洪水を全部田んぼに入れ、それで翌年の豊かな実りを待つという作法があったんですね。もう1つ、ちょっとこれを見ていただきたいのですけれども。要は、水塚と言いますけれど、そういう地域では水の中に暮らす術として、少し家を建てる時には盛土をして…」
片山議員
「ああ、これは…」
土屋氏
「そこに家を建てると同時に、少し離れになるような場所に、納屋だとか、それから、土蔵をつくって、そこに、味噌、薪炭、米、布団も入れて1か月ぐらいは水の中に孤立しても生きていれられる。それと同時に舟を用意して、地域のコミュニティは舟で…」
松山キャスター
「いざとなったら舟を利用して…」
土屋氏
「…使って、これは救助のための舟ではなく、孤立した時に地域とつながるために、もちろん、救助にも使えますけれども、1か月ぐらいは、そういうことを毎年のように体験しているので。はっきり言うと…」
松山キャスター
「洪水はくるものだという前提で家を設計していたと、昔の人は?」
土屋氏
「そうです。こういうのは、江戸時代までは東京だけではなくて、関東地方にはたくさんそういう地域がありました。そういうふうに、恐れるばかりでなく、水と一緒に、または洪水も自分のものとして豊かに暮らす。はっきり言って、水に関連したたくさんの言葉もあるではないですか。そういう豊かな営みを少し思い出していただきたいなというふうに思うんですね」

大石久和 国土政策研究所長の提言:『インフラの再認識』
大石氏
「私は『インフラの再認識』とさせていただきました。河川で言えば、堤防とか、ダムだとか、あるいは道路や港湾といったようなインフラが私達の暮らしを安全なものにし、我々の暮らしを効率的なものにして、全体として国の経済競争力や経済成長のもとになっている。そういうことを今回の水害、土砂災害から、想いをいたしていただきたいとこのように思います。どうも我々はインフラを公共事業という言い方で言い過ぎた、このように反省しています」

土屋信行 リバーフロント研究所技術参与の提言:『スーパー堤防は日本の命山』
土屋氏
「私は『スーパー堤防は日本の命山』とさせていただきました。実は、スーパー堤防をやろうとしているところは大阪・東京も全て0メーター地帯でやろうとしています。実は0メーター地帯にあるのは日本の経済、国家、文化の中枢にあります。日本の首都・東京を守ることは、経済的なばかりでなく、世界に対して日本が自分の首都を守りきれるかという国際公約だと思うんですね。日本のアイデンティティーをきちんと守るために、首都は絶対水没させない、その認識がなければ日本はたぶん世界から置いてけぼりになります。絶対に首都は守り切るということがスーパー堤防だと思います」

藤井聡 内閣官房参与の提言:『かわまちづくり』
藤井氏
「私は『かわまちづくり』という言葉を提唱したいと思います。これは実は土屋さんがおっしゃった、スーパー堤防のこと、そのものであります。スーパー堤防と言うと、堤防だけをつくるようでありますけれど、本来は先ほどもお示ししましたけれど、これをやって、堤防をつくって、川と堤防と街そのものをつくる。本当にもう二度と堤防が決壊しない、非常に強く、しかも、川と親しく、ここで新しい街ができるわけですから。これは後ろ向きの、災害を小さくするための事業ではなくて、その都市が発展する、成長するための前向きの事業として、『かわまちづくり』という認識で、スーパー堤防事業をやっていくことが大事だと思います」

片山さつき 自由民主党豪雨非常災害対策本部副本部長の提言:『本当の強靭化!水防災意識社会へ』
片山議員
「実は今年、2018年の国土強靱化アクションプランにもう入れているんです、この『水防災意識社会へ』というのは。ですから、タイムラインに応じて避難勧告で何をするべきか、これを訓練していこうと。ハザードマップ、河川・内水両方とも9割以上配ってはいるのですけれども、その意味合いがわからない。それから、日頃の都市計画を、もともと水防災を意識したものに変えていこうではないか。コミュニティの再検討や、これにIoTなんかも入れていくということもあると思うのですが。本当の意味の強靱化、国土強靱化計画自体を今年末までに全部見直しますので、今回の本当に大変なこの状況を踏まえて、しっかりと良いものにつくり直していきたいと思います」
松山キャスター
「情報伝達のあり方も見直していく?」
片山議員
「極めて重要だと思います」