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2018年7月4日(水)
中国の新たな外交戦略 米国代わり世界主導か

ゲスト

若宮健嗣
自民党国防部会長 衆議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
朱建榮
東洋学園大学教授

徹底検証 中国『新』外交戦略 外交の要『中央外事工作会議』
斉藤キャスター
「今日は中国の野望とアメリカの戦略を徹底的に読み解きます。先月22日と23日の2日間にわたって中国で外交に関する最重要会議『中央外事工作会議』が開かれ、習近平国家主席は新たな外交方針を打ち出しました。中国はどのような外交を行うのか、その中国にアメリカはどういう戦略で向き合うのか、さらに日本はどう対応すべきなのか。専門家の皆さんとともに考えていきます。先月の22日と23日、北京で中央外事工作会議が開かれました。この会議は中国の外交戦略の最重要会議で、これまで2006年と2014年に開かれていて、今回で3回目です。習近平国家主席をはじめたとする党最高指導部である政治局常務委員7人だけではなくて、習主席の盟友と言われる王岐山国家副主席などが出席していました。朱さん、4年ぶりの会議ということなのですが、この会議は習近平政権にとってどのくらい重要な会議なのですか?」
朱教授
「4年前の会議は、習近平政権で、初めて自分が外交のリーダーシップをとったということで、これから外交をリードしていくというメッセージだったと思いますけれども。今回は昨年の秋に開かれた19回党大会を踏まえ、これからの『習近平思想』の一環としての『習近平外交思想』、それを、今回は1つの枠組みとして、たとえば、その中の内容ですね、10項目とか、いろいろなキーワードとかを織り交ぜて打ち出すと。そういう意味で、これからの中国外交をリードする1つの重要な会議で、重要なメッセージを出していると思います」
松山キャスター
「アメリカのトランプ政権としては、2017年の12月に『国家安全保障戦略』というのを出しまして、そこでは『中国やロシアなどはアメリカの国益や価値観と対極にある世界を形成しようとする修正主義勢力だ』と定義づけていまして。また、2018年1月、今年の1月ですけれど、『国家防衛戦略』の中では『国防の最優先課題は今やテロではなくて、中国・ロシアとの長期的かつ戦略的競争だ』ということで、敢えてこの競争相手だということを定義づけたわけですけれども。これまでのオバマ政権に比べるとトランプ政権はかなり中国に対する対抗意識というかライバルとしての見方を強めているわけですけれども、こういったことも今回の中国の姿勢の変化には影響しているというふうに思われますか?」
古森氏
「非常にあると思いますね。影響というよりもむしろなぜ習近平さんがこの時期にこういう重要な演説をしたかということも、その理由の1つにはアメリカが長年の中国への政策を変えて…もう変えるということを決めているわけですよ。これまでの、親切にしましょう、優しくしましょう、協力しましょう、中国はこっちに来てくださいよというのは、それは寛容政策、エンゲージメント、これはダメだったということが超党派でコンセンサスになった。中国というのは、アメリカが主導して延々と戦後70年築いてきた国際秩序、これは、国連であるとか、ブレトン・ウッズ体制であるとか、人権とか、自由民主主義とかいろいろありますよね。日本もその中にばっちり入っているわけだけれど。こういうものに対して挑戦をしてきている。これを崩す、崩して自分達の価値観で新しい秩序をつくろうとしているのだという認識をトランプ政権は特に強くバーンと出してきたわけですよ。だから、習近平さんが今回こういうことを言ったのも、アメリカが出てきていることに対する一種の対抗というか、対応というか、…の意味が非常にあると思いますよね」
松山キャスター
「若宮さんはこの一連の動き、中国がこういった重要な会議を行う背景には、アメリカの方針の変化を受けてのものだと受け止めていますか?」
若宮議員
「はい。まず第1は、昨年、習近平さんがほぼ実質全権を握れる状況になったということが1つ言えるかと思います。そのうえでアメリカ自身もそうですし、それから、先の大戦から振り返ったこの流れを見てみますと国際情勢が非常にパワーバランスの上で多極化してきている。この情勢の中で、中国、確かに現在、経済力も軍事力も力をつけてきています。その中で、いざ、ここで自分の体制がキチッとできあがったところで、外交にある程度打って出ようと。その打って出るやり方、それから、あるいは打って出る考え方の根本がどういったものだろうかということをあらためてこの重要な会議、メンバーも非常にキーマンの方ばかりだったと思いますので、そういうポイントはあるかと思います。また、さらに言えば、これは国際機関とか、たとえば、国際のいろいろな会合とか、会議とかを含めまして、中国の影響力を外交的にもさらに発揮させようという意図もおそらく大きくあると思います。それを主要な幹部達を含めた形で、これは幹部だけでなく様々な、いろいろな部門の方々が全部今回、この会議には入っておりますので、それをある意味では中国国内でも徹底していこうということが言えるかと思います。それから最後に、アメリカに対する脅威というのは、これは絶対公的にはおっしゃらないと思いますけれども、あると思います。現在トランプ政権が相当、関税の問題でも厳しい条件を突きつけているのも言えるかと思いますけれども、このアメリカに対する脅威に対して何とか力を相対化していきたいなと。これには、ある意味では、外交力をもってしてやっていこうという、こういった意図もあるのではないかなと考えております」

習近平主席が示したビジョン
斉藤キャスター
「人民日報が報じた中央外事工作会議で習近平国家主席が発表した重要談話の一部を見ていきます。古森さんはこの内容をどう読まれますか?」
古森氏
「社会主義という言葉を全面に出してきていると。グローバルガバナンスということを言っていると。外から見て、客観的に見て、公式の文面を見れば、社会主義ということを有力な指針として、グローバルガバナンスをつくる、進むうえで中国が前に出してきた。これはアメリカのこれまでの国際秩序を支えてきた価値観とはどうしてもぶつかるわけですよ。社会主義そのものがぶつかるわけではないけれど、現在の中華人民共和国というのは、憲法でも明らかなように何がその理念上の柱になっているかと言うと、これはもうはっきり書いてある。マルクス・レーニン主義、それから、毛沢東思想、鄧小平理論と、ここで今回加わるのは『習近平思想』というのがズーッと大きくなって外に向かっての、中ではもう当然大きくなっているのだけれども、外に向かって出していくと。習近平思想とはいったい何なんだと言うと、中国的な特色を持った社会主義思想であるという。これは、社会主義と言えば何なのかと言うと、もともと中国が信奉している、公式に信奉しているのは共産主義ですよね。共産主義というのは広い実の社会主義の中の1つの非常に密度の濃い形の、1党独裁制とか、階級闘争があって資本主義の世界は滅びるとか、これは旧ソ連が言っていたことと同じわけで。そういうパッケージに包まれた社会主義という言葉を出してきたというのは理念上はアメリカ側、西側、日本も含めて、我々の理念とはぶつかるわけです。だから、もしかしたらこれはイデオロギー上の米中冷戦の始まりかもしれない。それを今回のこの工作会議の重要談話で事実上宣言したようなことになるかもしれない」
松山キャスター
「オバマ政権の頃には、習近平さんとの間で『新型大国関係』みたいな話がよく中国側から出ていましたけれども。今回この談話の中では『中国の特色ある大国外交に新局面を開く』という形になっていると。この大国外交ということの意味する部分ですけれども、これはアメリカをかなり意識していると考えるべきなのか、あるいは他の国も含めて、中国が中心となって大国外交を進めていくという意味なのか、どう捉えたらいいのですか?」
古森氏
「いや、比重はアメリカとの関係。中国の理想としては、アメリカと中国が当面、均等、対等になって、太平洋を2つに分けようよという話が、半分冗談かもしれないけど、あったではないですか?」
松山キャスター
「以前からありますね」
古森氏
「だから、そういう、何とか大国関係という、新型大国関係というのは『G2』という言葉に象徴される、米中対等で、これが、だから、当面の理想であるけれども。今度のこの重要談話、習近平さんの談話の言葉、文字づらだけを見ると、台頭を超えてやがては中国が先導していくんだ、ということを理念上は謳っているということなわけですよ。だから、これはアメリカとしては受け入れられないし、もうそういうことは防ぎますよ、抑えますと。たとえ、衝突があっても抑えますよということをトランプ政権は言っている」
松山キャスター
「朱さんはこの談話、『グローバル:ガバナンス体制の改革』とか、いかにも世界のリーダーたらんとしていると文面からは受けとれるのですけれども」
朱教授
「大国外交というのはもちろん、中国は現在アメリカの存在を1番気にしているし、中国の台頭をおそらく阻害する唯一の最大の要因というのはアメリカによる妨害だと、そのような警戒感が伝わっているのは事実です。ただ、ここで言う『大国外交』というのはその前後の言葉が『大国外交の枠組みをつくっていく』というような表現も入っているので、すなわち、このアメリカの暴走に対して、アメリカが現在の世界でのいろいろな枠組み、パリ協定を含め、WTO(世界貿易機関)についてすら、アメリカは自分が不利なら脱退もあり得ると、そのようなことに対して中国はヨーロッパ、日本、ロシア、いろいろな国と一緒にこれまでのこの秩序を維持しようと。そういう意味で、この大国外交というのは…、もちろん、そういう中で、結果的に中国の存在を高めようというところは間違いないんですけれども、大義名分としてアメリカの現在のやり方は大国たらんとしていない、そのようなことを自国の、アメリカファーストでやっていると、世界的に責任を果たせというようなところを中国は主張している」
松山キャスター
「アメリカがトランプ政権という、ある意味、特殊な政権が誕生した、アメリカファーストという政策を推し進めている国際機関からもドンドン離れようとしている、それを逆に中国は、チャンスと捉えて…」
朱教授
「そう、そう」
松山キャスター
「これを勢力拡大のきっかけにしようとしているというふうに見えるのですけれども」
朱教授
「これは言えます。ただ、これは中国単独でするのではなく、他の大国、途上国と一緒にやるんだと。ここで言う『大国外交の枠組み』という表現というのは、たとえば、メルケル、ドイツの首相が11回も訪中しているんです。つい先月も北京に行っていて、要するに、アメリカのやり方に対してどうすればいいのか、そのようなことを言ってみれば、中国は単独でアメリカには対抗できないし、特に現在は、アメリカは中国を脅威のようにしていて、そういうところが、中国はむしろ他の国と組んで、アメリカに対抗する、そういう中で中国自身の影響力を高めていく、そういうような考えではないかと思います」
松山キャスター
「古森さん、どうですか?一時代前だったらグローバリズムを主張しているのはアメリカで、それに対抗しているのが中国という構造だったわけですけれども。現在、中国側が言っていることを聞くと、まるで昔のアメリカが果たしていたグローバライゼーションの旗手として中国が先頭に立とうとしているという、ある意味皮肉な結果になっているような感じがするのですけれども、そのあたりはどういうふうに?」
古森氏
「それは、中国の戦略ですよね。だから、1つは、中国側が言うのは、アメリカの国際的影響力が衰えているという、だから、中国、あるいは別の存在がもう少しリーダーシップを発揮しなければいけないという。これもアメリカのグローバルな面での勢いが衰えているということを、簡単に言えない。むしろ中国の方が一見ずっと盛り上がってきているようだけれども、国内問題は非常に深刻なこといっぱい…。経済も、アメリカは経済がすごく良いわけですよ。それから、軍事的に現在、すごくトランプ政権というのは軍事増強し始めているわけですよ。それから、いろいろな北朝鮮に対する態度を見ても、国際関与というのは、まさに孤立主義とは反対に関与していっていますよね。ただ、選別的な関与で、何もかもというのは、中東の国に行って国づくりするとか、そういう関与の仕方は、トランプ政権はしないと言っている。ただ、選別的に、これはアメリカの国益、あるいは世界にとっての最重要であるという時には、バカッと入っていくというような関与もあるわけで。そういう勢いが、だからそ、この部分を中国はアメリカが衰えている、あるいは暴走しているというような図を描いて、そういう認識は他の国も持っているんだよと、ドイツのメルケルさんを引き入れ、反アメリカというか、非アメリカでもいいよね、この何か包囲網的なものをつくって、中国の力を強めていくというのは、これは戦略だと思うのだけれども」
松山キャスター
「たとえば、自由とか、人権とか、法の秩序、そういうことについては、共通の価値観というのが西洋諸国一般であるわけで、中国が新たな大国外交を目指すうえで、そこが1つのネックになってくる可能性は十分あると思うのですけれど、そのへんは、朱さんはどう考えていますか?」
朱教授
「中国は外交で、おそらくそのような国際的なルールというところは、従わないとやっていけないと思うんですね。ですから、いろいろやっている中で、今回の中でも、まさにおっしゃったことが、このグローバルのガバナンスというのが、あくまでも、公平・正義を理念とすること。1国の利益ではなく、皆で一緒にやっていくのだ、そのようなことが、中国自身がもちろん、それぞれの発展の段階で、現在の中国の一部のやり方が外部の国から自分のために、というようなところは、中国は本当に世界的理念に合っているのかと。しかし、現在、習近平さんは、人類運命共同体で一緒に共通項を増やしていこうと。ところが、アメリカは、いや、共通項というよりも、アメリカファーストで自分の有利なところだけ増やそうと、そのようなところで中国は結果的に他の国と組んで、自分の影響力を高めているということではないかなと思いますね」
松山キャスター
「若宮さん、根本的な価値観の部分で中国が他の国との違いというのがまだあるという段階で、中国がグローバルガバナンス体制の構築ということを言った場合に、各国がそれにうまく同調して本当にそういう、中国が求めるような世界になっていくのかどうか、そのあたりは疑念があると思うのですけれども」
若宮議員
「はい、おっしゃる通りで。私は、はっきり言って、ほとんどの国が疑念を持っていると思います。と申しますのは、先ほど、朱さん、あるいは古森さん、ドイツの話も出されておりましたが、ドイツは、メルケルさんは、中国の国内で走っている車の70%がドイツ車ですね。大の得意様です。中国でもしも売上げがなくなってしまったら、会社が傾くのではないかというぐらい、中国にかなり…」
松山キャスター
「たくさん走っていますよね?」
若宮議員
「…投入しています。だから、そういった面も含めますと、そういったところはあろうかと思いますが、私自身、たとえば、ミュンヘンの安全保障会議とかに臨ましていただいた時でも、フランスのルドリアン、現在、外務大臣をなさっておられますけれど、当時、国防大臣の時にお話をさせていただいたりした時に、南シナ海に人工島をつくってしまった問題、それから、また、それを軍事化しないと言っていたにもかかわらず実際には軍用機が離発着している。まして、現在では対空砲火もある、また、レーダーもある。という形で、それから、またそこにファイアリークロスでは、かなり喫水の深いものも入れるような大型の港湾をつくってございます。これはまさにその輸送船でも、それから、軍艦でも入港できる状態になっています。さらに3000m級の滑走路があるということは、現在、世界中で飛んでいる全部の、全ての、何もかも、軍用機も、民間機も含めた全ての飛行機が離着陸できるだけのものになっていますので。それを認めるわけにいかんということで、フランスも、あるいはイギリスも、『航行の自由作戦』で、このあたりに関してはキチッと関与していくということもはっきりお話をされておられました。ですから、中国の言っている、これから皆と仲良くやっていくんだと言っているのであれば、仲良くやる、本当にその姿として、現実として見せなければ、なかなか難しい。裁判に対して…、全部従っていますよと言っても、たとえば、フィリピンとの裁判の件については従っていないわけですから。そういった自分にとって不利な部分については従わないというのは、確かにアメリカのWTOとか、そういった話もちょっとありますけれども、それは確かにどこの国でも自分の利益を1番に守るのが最優先であることは実際明白ですけれども、その中でいろいろな条件の中、国際情勢の中で、いろいろな国々とのやりとり、あるいは多国間とのやりとりでプラスマイナスがあろうかと思いますので。そこはしっかりと大国になったのならば、大国になっただけの振る舞いをしていかなければいけないのではないかなと思います」

米国と中国の火種『台湾問題』
斉藤キャスター
「中国政府は世界44の航空会社に書簡を送付しました。ウェブサイト上などの『台湾』の表記を、『中国台湾』に変更するように要求しました。これに対して日本政府はというと、外交ルートを通じて懸念を表明しているんです。一方のアメリカ政府は『全体主義的な馬鹿げた行為だ。威嚇と抑圧をやめるよう求める』と抗議する声明を発表している状態ですね。若宮さんに聞きますが、中国は台湾をめぐって、アメリカだけではなく、各国に圧力をかけていくと見ていますか?」
若宮議員
「国際的な評価としてもう台湾というのは、中国の完全に一部のものであるのだから、表記としても当然の如く中国とつけろということも当然のごとく言ってくるのは、中国はこれから各国に対して浸透させるのだろうと思いますね」
松山キャスター
「台湾の表記については日本の一部の航空会社も一部のウェブサイトで『中国台湾』という表記に変更したということもあったようなのですけれども。アメリカ政府は『非常に馬鹿げたことだ。こんな威嚇はやめろ』ということを強く言っていますが、日本政府としても、こういうことについてはきちんと抗議するとか、攻撃してくるという立場をとるのですか?」
若宮議員
「そうですね。日本の正式な立場としては、中国は『1つの中国』という立場には変わりはありませんので。今日はもちろん、いろいろ見解の違いがあるとしても、中国とは良い関係を築いていきたいとも考えている、間違いのないところでもあります。特に今年は大事な周年の記念の年でもありますので、そういった意味で、中国との関係を悪化させようと決して思っていませんし、先般の安倍総理との関係でも、海陸連絡メカニズム、こういった形でも調印をいたしまして、無用な衝突は避けていこうということで、実務的なものを組み立てていくことになっておるかと思います。ただ、この台湾に関しましては、それはアメリカ、たとえば、この前も、実はこの番組でも出させていただいて、ちょうど中台の関係でご一緒させていただいたかと思いますけれども、中国は過度にちょっと台湾に対しての力の誇示というのが明らかである。軍事演習も明らかに大規模なものでやっていると。それに対しても、蔡英文さんが非常に恐怖を感じているのではないかなと思っております。その部分というのは、たとえば、中国が60隻の潜水艦を持っているけれども、台湾は4隻しかないと。これに対してアメリカはある程度、これから供与していこうかというような方向性も、まだ確定していないとは思いますけれど、出てきているということは、この台湾という位置づけというのは日本にとっても大きな戦略的な意味を持つのではないかと考えますね」
松山キャスター
「古森さん、この中国政府の対応、『中国台湾』という表記を使えと航空会社にまで言っているという状況。これは裏を返して見ると、アメリカが台湾に対する肩入れをかなり強めているということにかなり神経質になっているということですか、中国は?」
古森氏
「ただ、台湾問題に関しては、中国は一貫して神経質です。それだけ重要な問題だという認識が深いことだと思うんです。ただ、こういうこの出来事、これだけを見ると、たいしたことのないように見えるかもしれないけれども、もっとずっと大きな問題は中国という国家のあり方として、こういう自分達の政治主張を突きつける、それに相手がもし応じないような時には、別な搦め手から報復とか、恫喝という行為に出るわけです。たとえば、韓国がTHAADという迎撃ミサイルをアメリカと連携して配備…、中国は反対したと。それでも韓国が配備しますよと言った時に、中国が何をやったかと言うと、中国国内に進出している韓国企業に対してボイコット、ロッテに皆、行かなくなっちゃったとか。それから、南シナ海でフィリピンが国際機関に提訴した、中国のやり方はおかしいと提訴して、中国は提訴するな、するなと言っていて、それでも提訴を取り下げなかった時には、フィリピンが中国に輸出している果物、パパイヤとか、バナナとか…、そういうところが非常に中国というのは上手なんですよ。関税とかではなく、検疫、虫がついているということとかあるではないですか。それを、検疫をドンドン遅らせるわけです、それをドーンとやって。それから、もう1つ、中国人の観光客はフィリピンに行くなというようなことをやって、フィリピンは果物と観光でやられると、かなり困っちゃう」
松山キャスター
「経済的に打撃になる」
古森氏
「だから、中国独裁の特徴の1つは官民一体ですから。こっちで江戸の仇は長崎で討つなんか、適切な表現かどうかは知らないけれども、こっちでやられたら、こっちでやり返すという、これが非常にうまいわけですよ。だから、航空会社だって現在、恐怖におののいているという、ちょっとオーバーかもしれないけれども、何されるかわからないというのがあるわけですよね。そこはあの国の素晴らしいところだと僕は思うよね」
朱教授
「現在、アメリカは、ただ最初にこのような中国批判、抗議したというところが今伝えられて。最近、アメリカは、むしろ中国と交渉して、航空会社に表示というのは…。中国は、だってアメリカも台湾を中国の一部と認めているではないかと。ですから、それをめぐって現在、アメリカと中国はさらに妥協策を求めているんです。そういうところを模索しているというところが、私はそこに、話にも出ましたけれども、最近のアメリカの一連の動き、もちろん、それに呼応して、また、中国から見れば台湾の蔡英文政権がまた独立的な動きをしようとしている。そこへの牽制というところは互いに、中国から見れば、これからアメリカは中国を抑えるためにはいろいろなカードを使ってくる。それは、貿易カードであり、台湾カード。現在いよいよ台湾カードを切ってきたと。ですから、それに対しては、中国は絶対に譲歩しないのだと、そのようなところを、いろいろと航空会社のことを含めて、メッセージを出し合っていると思います」
古森氏
「朱さんがおっしゃったことで1点、これは正しいなと思ったことなのだけれど。アメリカはいろいろな中国が嫌がることをやってくると。中国に対するいろいろなカードを使って。これはそうだと思うんですよ。これは非常に穏健な中国専門のアメリカの学者、元制服職業の人達が、とにかく当面は中国が嫌がることをするのが1番いいんだと、そこまで言うわけですよ。だから、それが、1番効果があるんだと。本当の、本当の対決はまだ中国はアメリカとしたくない。だけど、これまでは中国が無法なことをやってもアメリカはそれに対してドンと毅然とした対応をしなかったから、ドンドンくるんだと。これからは打ち返しますよと。そうすれば、そこで何となく調和点で一応止まるのではないですかという、そんな考え方」
朱教授
「おっしゃるように、台湾について中国が警戒しているのが、アメリカの1つ、代表部に、1つにまとめて、それは立派な大使館みたいなものにして、アメリカの海兵隊が守るというようなことを、これから最終決定を待っているところですけれども。中国は非常に反発。F‐35を含めて、最新鋭のこの戦闘機を、台湾にそれを売却するのかどうか、最近アメリカ議会では、それは米軍と台湾軍が太平洋のソロモン諸島のところで共同演習をやってもいいと。それだったら、『1つの中国』のアメリカが認めた原則になるのかと。そこは、中国はかなり神経質になって、いろいろ最近反発しているというところは事実だと思います」

『一帯一路』構想と日米の対応
斉藤キャスター
「先月22日と23日に開催されました、中国の外交政策の最重要会議である中央外事工作会議で示された方針では『
「一帯一路」
建設の着実化・深化、長期安定的発展を推し進め対外開放を新たな段階へ』と、今後も一帯一路の建設を着実に推し進めていくとして、同時に『発展途上国との団結・協力を深め、手を携えて共に歩み、共同発展する新たな局面の形成を目指す』としています。ただこの『一帯一路』構想について最近、こんな動きがありました。マレーシアのマハティール首相が5月28日に会見を行いまして、一帯一路構想の主要事業である、クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画について『巨額費用がかかるだけで有益ではない』として計画の中止を発表したんですね。古森さん、このマハティール首相の決断ですが、どう見ていますか?マレーシアは中国に対して反旗を翻したのでしょうか?」
古森氏
「振り子がこう振って、彼から見ていき過ぎて、中国に寄り過ぎたというのを、真ん中の方に持ってこようとする是正ではないかと思うのですけれども。ただ、ナジブ、前の首相と彼との間のも個人的な非常に深い、ドロドロした恨み、つらみがグーッと骨身に染みるぐらいのところぐらいまであるような、個人的な衝突みたいなものも何か大きな要素だと思うんですよね。だけど、全体として一帯一路的な構想、これは中国側の『中国の夢』とか『平和的発展』とか、いろいろな外へ打って出るぞという、この構想に対して、周辺諸国がちょっと、いいのかな、マズいのではないのかなという、その警戒心の表れ。他の国でも、そういう現象がずっと出ていますから。だから、それの1番わかりやすい形で出てきた象徴で。日本の一帯一路に対する態度を見ていると安全保障とか、価値観とか、そういうところに対する関心というのは、ほとんど公の場で見ていると少ないから。このマハティール、マハティール首相は92歳ですよね、すごい。この人が下した判断というのは二重、三重の意味で日本としては注目する必要があるのではないでしょうか」
松山キャスター
「まさに一帯一路構想、地図にすると、こういう形で見たこともあると思うのですけれど、『陸のシルクロード』と言われる、陸を通ってヨーロッパにつながる線、もう1つは『海のシルクロード』と言って、このような形で、首飾りに例えられたりすることもありますけれども、海路を使ってアフリカまでつながる。そこからヨーロッパへとつながっていく線ということですけれども。ただ一部、中国が実際に一帯一路構想で経済計画を発展途上国なんかで推し進めていっても、結局、雇用はその国の労働力ではなくて、中国から来る中国人の労働力で賄われてしまって、結局、自国の経済にまったく役に立たないという不満も出てきていると。あと一部には、中国からお金を、融資を受けて、建設したけれども、たとえば、港の建設の費用が結局払えなくなって事実上、中国がそのままそこの港を押さえてしまうようなことも起きているということで反発もかなり起きているようですけれど、そのあたりの一帯一路構想の限界というか、矛盾というか、そのあたりはどう見ていますか?」
古森氏
「これは、中国の学者が言っていることでいくつか面白いなと思ったのだけれど、マーシャルプランだと。マーシャルプランは、アメリカが言う西ヨーロッパの復興のためにこうやって、アメリカが主導してパクス・アメリカーナの始まりみたいな、アメリカ的なものをガーッと広げる。だから、そのことを言った人、それから、一帯一路が地理的に存在していく、あるいは伸びていく地域というのはアメリカの最も影響力が少ない地域で、ユーラシア大陸。というところで、一種のアメリカから見たら力の空白であると。だから、そこで何か衣の下の鎧ではないけれど、中国の勢力拡張の野望みたいものがあって。本来、一帯一路は、日本的な受け止め方をすれば、皆で一緒になって港をつくりましょう、道路をつくりましょう、飛行場をつくりましょう、仲良くしましょうねという、そんな感じではないですか。そこでお金が儲かればいいですよという。ところが、アメリカは安全保障というところから見るわけですよ。私も、この議会での公聴会で一帯一路だけについて、しかも、安全保障の意味ということについての公聴会を朝、午前9時から午後5時ぐらいまでやるんですよ。十何人の証人が出てきて、専門家が喋るのだけれども、ほとんど警戒ですよ。だから、たとえば、経済面での警戒というのは、中国ふうの、国家主導型の経済モデルを結局、…不透明な、広めていくのではないかということから始まって。これは、人民解放軍がやがては出て行くことの拠点になるのではないかとか。結局は中国の野望の拡大がこの一帯一路なのであって、それに入っていくこと、軍事的な意味も随分あるから、たとえば、一帯一路のプロジェクトがあって、そこにテロとか、何か、不安が起きて、守らなければいけないと言った時に、では、人民解放軍に来てくれよ、というようなことがあったらどうするのとか、そういう具体的な質問がドンドン出てくるわけですよ。だから、ほとんど安全保障の面からアメリカはこれを見ている。日本は経済という面からからだけ見ているので。警戒心は強いし、一帯一路のアメリカでの人気というのは非常に低いです、国政レベルでは」
松山キャスター
「朱さん、この一帯一路について、一部の国からは警戒するような声も出ているということなのですけれども、そのあたりは?」
朱教授
「いや、中国は、本当にそれは試行錯誤でやっているようなもので、中国自身の問題と。もう1つ、欧米が、自分がやってきた経験で、中国に当てはめていっている部分。中国はそれを意識しながら少しは修正しているというところ合わせて見ないといけないと思います。アフリカに進出して、一時期、要するに、現地の政府と契約して、2年間で何々をつくりあげると。現地の人を使おうとしていても、当時はなかなか役立たない。それで急いで中国から労働力を投入した、それで批判された。しかし、現在その批判はアフリカにありますか?それはもう3年、5年前の批判ですよ。現在のアフリカでは、中国は大量に現地の人材を育成する。ですから、それが、現在のアフリカからは相当支持されるようになったということです。もう1つ、中国が突出して出るということは批判される、それで現在、中国が強調していた一帯一路というのは、中国の構想ではあるのですけれど、あくまでその国の構想とドッキングする、ロシアはロシアの構想が、モンゴル、カザフスタンはこういう構想、それと対等にやればいいと。それから、これまで中国だけで出ると先進国のと、先進国の技術がない分、それは先進国と組んでやるのだと。実は今回の李克強首相の訪日で合意した最大の1つの内容は、第3国での産業協力。まさにそこのところで日中がただ熾烈な競争で共倒れをするより、それぞれ長所で一緒にやっていくと。それはアフリカや、実はマレーシアを含めて。クアラルンプールの話が出ましたけれども、それが5月の末に、主に前首相のナジブの反発で全て否定すると言ったのですが、6月中旬から、私は中止ではなく、もっと我々の国が負担が可能な範囲でやっていく、慎重に検討をする、後まわしというような、もう少し時間をかけて検討すると。ですから、そこの部分、私はむしろこういうようなところは、かえって中国も国際的な、いろいろな声を受けて改善して良かったと思います。日中が、中国は日本と競争してインドネシアのバリ島の高速鉄道をとった、日本はインドをとった。しかし、それぞれ多大な犠牲を払ってとっておいて、実は、両方ともうまくいっていない。それをこれからもっと協力して第3国をやっていく。中国も、そこは軌道修正する必要もあるかと思います」
松山キャスター
「若宮さん、日本としてはこの一帯一路についてどういうスタンスで臨んでいくべきだと?」
若宮議員
「アメリカの観点から見ると、安全保障という観点は、これは絶対に外せない課題だと思っています。私はもちろん、防衛省の制服の勤務を務めたこともありますので、私自身も安全保障の観点というのは絶対に外してはいけない観点と思っています。確かに、先ほど、地図でお示しになられた部分というのは、非常にまだ不安定な地域も中に含まれています。それから、また、海でもそうですけれども、いろいろな意味で、まだまだ、現在だいぶ減ってきましたけれど、海賊の問題ですとか、様々な、あるいは災害ですとか、いろいろな場面がありますので。いざと言う時に、どこの誰が、どういった、この安全と、それから、治安の確保をするのかということについては、なかなかまだ触れられてない、確定していないところもあります。ただ、そうは言っても、朱さんがおっしゃられましたように、第3国のケースで日中間の民間の経済協力、これは非常に大きなポイントだと思います。このハイレベルな経済対話の枠組みの下に日中民間ビジネスの第3国での展開の推進に関する委員会、これをつくるということで合意をいたしました。また、省庁横断でこういった形を具体的に進めていこうということにもなってきていますので。こういった形で、どちらかと言いますと私自身、常に思いますのは、これは総理もおっしゃっておりますけれども、まずは開かれた形で、オープンな形で、また、公正で、平等で同じ立場でモノが言える、モノが見られる、そういった形のモノをつくり上げていくことが望ましいのではないかなと考えます」

朱建榮 東洋学園大学教授の提言:『日本は改めて東・西洋の掛橋を』
朱教授
「日本はあらためて東洋・西洋の架け橋を努めよという提言です。20年前まで、日本はかなり自信を持って中国とヨーロッパ、欧米の架け橋をしてきたと思うのですけど、現在の米中というのは、アメリカは中国に追い上げられているところで何でも中国が悪いと切り落とそうとする。中国は、大国ドッカリして、しかし、十分にはわかっていない。そういうところで、中国が出て行くところに、もっと国際ルールの中でやっていくために日本の知恵ということを、また、アメリカがあまりにも脅威ということを言わないよう、架け橋的な役割というのを期待したいと思います」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『尖閣の危機を見よ!』
古森氏
「尖閣諸島の危機というのは日本にとっての国難という言葉も何か手垢がついてきたようですけれども、国家全体・国民全体にとっての危機だと思います。武装した外国の艦艇が自由気ままに日本固有の領海に入ってきているという状態の異常さをあらためて国会などで考えた方がいいのではないか、論じようということです」

若宮健嗣 自民党国防部会長の提言:『広く深く戦略的な多国間への外交を展開(日本はコーディネーター役を)』
若宮議員
「『広く深く戦略的な多国間への外交を展開』。日本は、その中心となってコーディネーター役を担っていく、こういう外交展開をしていけば望ましいと思っております」