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2018年6月29日(金)
大阪地震の『想定外』 全国各地の地震確率は

ゲスト

松本洋平
元内閣府副大臣防災担当 自由民主党衆議院議員
黒岩祐治
神奈川県知事
平田直
地震調査委員会委員長 東京大学地震研究所教授

大阪『地震6弱』の教訓は 地震発生の可能性と対策
生野キャスター
「今月18日に起きた大阪北部の地震、自治体や企業にとって、想定外の事態が相次ぎ、交通インフラの混乱やライフラインが停止し、人々の生活や企業の活動の停滞を招きました。震災で起きる想定外の事態に対してどのような備えをとるべきなのでしょうか。今週火曜日に政府の地震調査委員会が発表した全国各地の地震発生の確率から見えてくる、震災に潜むリスクと対策を検証していきます。政府の地震調査委員会が26日に発表しました2018年版の全国地震度予測地図です。今後30年間に震度6弱以上の揺れが起きる可能性を示したもので、確率が高い場所ほど赤い色が濃くなっています。まずは平田さん、この予測地図なのですけれど、どのような基準で地震が起きる確率を算出しているのでしょうか?」
平田氏
「これは各地で起きる地震が、起きやすいか、起きにくいかという、地震の過去に、どこで起きたかということと、それから、各地の地盤が柔らかくて揺れやすいという、2つのデータに基づいて、ある場所が強い揺れになる可能性が高いかどうかということを示した図です」
松山キャスター
「そもそもこの全国地震度予測地図というのをこうやってまとめて公表しようという、そのきっかけというのはどういうことなのですか?」
平田氏
「実は現在からもう23年前になりますけれども、1995年の阪神淡路大震災が起きた時に、関西地域では大きな地震による揺れは少ないだろう、地震はないのだろうというような風説ですね、科学的な根拠のない一種のデマというか、考えがかなり広く信じられていました。これは、科学的に見ればまったく根拠のないことだったのですけど、地震学者や地質学者が知っていたことが一般の防災の担当者や一般の方にちゃんと伝わっていなかったということを強く反省し、科学的な根拠に基づいた揺れやすさの地図をつくろうということで始めました。実はこの地震の地図の第一版は2005年にできまして、阪神淡路大震災から10年をかけて、この地図がやっとできました。それで2005年に第一版をつくって、それっきりではなくて、ほぼ1年に1回ずつ改訂版を出してデータを精査して新しい考えを取り入れるということを毎年やってきたわけです」
生野キャスター
「今回のこの地図を詳しく見ていきたいですが、地震度予測地図で震度6弱以上の地震が起きる確率が高いと予測された自治体はこちらです。千葉市85%、次いで横浜市82%、水戸市81%、高知市75%、徳島市73%、静岡市が70%、今月18日に震度6弱の揺れを観測しました大阪市は56%、東京都は48%となっています。平田さん、こういった数字をどう見ればいいのでしょうか?」
平田氏
「紹介された数字を出した市というのは、多くが太平洋に面している地域です。そこはそもそも海域で起きる大きな地震が繰り返し発生している、いた、過去に発生していて、現在も発生しているという場所なので、地震の発生する可能性が高く、この数字が大きくなりました」
松山キャスター
「先日、大きな地震が起きた大阪府北部ですけれど、これを見ると大阪市については56%となっていますけれど、他の、たとえば、千葉市とか、黒岩さんが知事を務めている神奈川県の横浜市ですとか、80%も超えている場所もある中、大阪市はそれに比べると若干低めの数字が出ているということなのですけれども、これは大阪の今回の地震より前にデータが集計された結果だということだと思うのですが、この数字についてはどう分析されますか?」
平田氏
「まず56%は決して小さくないです。すごく大きな数字です。まずそういう認識をしていただいて、50%も80%も、はっきり言ってそれほど違わないです。すごく大きいです。つまり、私達が生きている間に必ず震度6弱以上になるということをいずれも言っているので。50%だから安心で、80%だから危ないと思ってはいけないと、これは最初に申し上げたいと思っています」
松山キャスター
「ちなみに、どこでどれぐらいの確率で地震が起きるか、視聴者の方も皆さん心配なさっていることが多いと思うのですけれども。こういう地震ハザードカルテというのが用意されているというように聞いたのですけれども、これはどういうものなのか、ちょっと説明を願えますか?」
平田氏
「最後は地図になるのですけれども、これにはどこで地震が起きやすいかという情報と、つまり、どんな地震がある場所に影響があるかということと、その地盤が硬いか柔らかいかというような、両方、いろいろな情報が…」
松山キャスター
「ホームページにアクセスすると、この情報にたどり着ける?」
平田氏
「はい、そうです。この地図自体は国の地震調査研究推進本部から地震本部のホームページで見られますけれども、これは地図しかないので。もっと自分の住んでいる場所の住所を入れ、その情報が知りたいという時には、ここにある『地震ハザードステーション』という、そのホームページで見ていただくと、いろいろな情報が…」
生野キャスター
「取り出すことができる」
平田氏
「カルテはその1つです」
松山キャスター
「これは1つの例ですけれども、これは東京の千代田区丸の内1丁目ということで、東京駅付近の数値ということで数字が出ているのですけども、震度5弱、30年以内に震度5弱の地震が起きる可能性が99.9%…」
平田氏
「地震ではなくて、揺れですね」
松山キャスター
「震度5強が91.7%、震度6弱が45%ということで…」
平田氏
「この地域でどういう種類の地震によって影響を受けやすいかということも、この地図、これには詳しく書いてあるのですけれど。これはフィリピン海プレートという海のプレートが関東の下に沈み込むことによって起きる地震。具体的にどこで起きるかというのは言いにくいのですけれども、そういう地震の影響が高いということと。それから、南海トラフで起きる地震や、太平洋プレートの沈み込むというような海の、海プレートの動きによって起きる地震が影響しているというようなことが、この情報から読みとることができます」
生野キャスター
「時間帯によっては、ちょっとつながりにくい時がありますよね、このホームページ?」
平田氏
「そうですね。現在、一生懸命宣伝したために少しアクセスが増え過ぎ、うまくつながりにくい…」
松山キャスター
「これは、最新版が間もなく更新されるということなのですか?」
平田氏
「そう、地図としてはもう更新されていますけれど、カルテという、まとまったものが昨年、2017年版しか見られない状態ですけれど、間もなく最新のものも出てきます。地図は最新版が出ていますから、是非、『J‐SHIS』というのですけれども、地震ハザードステーションというところを検索していただいて、見ていただきたいと思います」

都市の弱さと対策
生野キャスター
「ここからは今月18日、大阪北部で発生した地震と、その被害について検証していきます。発生は18日午前7時58分、朝の通勤ラッシュを直撃しました。震源地は大阪府北部で、規模はマグニチュード6.1、最大震度は6弱です。人的被害、死者が4人、負傷者が428人。住宅被害、全壊が4棟、半壊が46棟、一部損壊が1万9193棟です。避難所は38か所設置されていまして、173人が避難している状況です。平田さん、規模と被害の状況から見まして、今回の大阪北部の地震はどのような地震だったと言えるのですか?」
平田氏
「この地震を自然現象として見た時は、日本では普通に大きい地震、ちょっと変な言い方ですけれども、非常に大きい地震ではなく、普通に大きい地震です。一方、実際の災害、震災という観点から見ると、内陸の浅い地震が起きた、起きる場所が大阪という大都市の中にあって、人口の多い、家がたくさんあるようなところで起きたため、大きな人的なあるいは建物の被害が発生したということで。災害としてみれば、これは大災害になった。特に都市部のいろいろな機能に大きな影響を及ぼしたということで、大きな災害・震災だったと考えています」
松山キャスター
「マグニチュード6で、今回は被害も出ているわけですけれど、これは過去の、熊本の地震や東日本大震災と比べた図なのですけれども。今回の大阪北部の地震、マグニチュード6.1で最大震度6弱という震度を記録している。マグニチュード7.3で熊本地震の場合は震度7、東日本大震災はこれまでなかったようなマグニチュード9ということで、震度7ということで、それに比べるとマグニチュード6という強さなのに震度6弱まで震度が大きく膨らんでしまう。どういうふうにこの数字を見たらよろしいですか?」
平田氏
「まず震度というのは定義上最大が7ですから、それ以上大きいのはありません。ですので、たとえ、非常に大きな地震があっても最大は震度7です。ですから、震度7も、震度6、6は6弱と6強とありますけれども、それほど違いません。ただ、もちろん、震度6弱の方が小さいですけれども、これは強い揺れになる面積が大きな地震と、小さな地震、マグニチュード6の地震と7では違うということなので。最大、これは震度6弱とか、7と書いてありますけれど、最大震度が6弱、7ということですので、この数字にそれほど意味があるわけではないですね」
松山キャスター
「マグニチュードの差ですけれど、マグニチュード6とマグニチュード7というのは、実際の力としては、被害もかなり7になると大きくなってくると思うのですが、どれぐらい被害というのは大きくなってくるものなのですか?」
平田氏
「被害というか、自然現象としての地震の大きさは、地震によって強い影響を及ぼす面積が10倍ぐらいは違います。それで放出されるエネルギーは30倍違うというふうに考えていただくといいです。つまり、桁が1桁大きくなる、マグニチュードが1違うと、1桁エネルギーなどが違うということです。ですから、簡単に言うと、影響を受ける面積が10倍になるので、人口密度が同じだったら、10倍の人が影響を受けていると考えることができます」
松山キャスター
「実際に大阪北部の今回の地震でどれぐらいインフラなどに被害が出たか、どうやって復旧したかというのを振り返ってみたいと思うのですけれども…」
生野キャスター
「まず電気は、大阪府・兵庫県内で最大およそ17万戸が停電。ガスは、大阪ガス管内およそ11万戸の供給停止。水道は、大阪府・兵庫県・京都府の一部で漏水や断水被害。鉄道は関西の鉄道会社全線で一時運転を見合わせました。大阪でこうした水道やガス・電車が止まるなどの生活への影響が大きくなった要因というのは平田さん、都市部だということが大きなポイントなのですか?」
平田氏
「そうですね。建っている建物が多ければ、同じ面積で密度が高ければ、影響は多くなる。特にインフラですね、電気・ガス・水道というのは都市部には密集してありますから、そこが適切に耐震化されてなければ、被害が出てしまいます。一定の割合で被害が出るということは、これまでの例でもそういうことがありますので。この数字は、大都市で地震が起きた時にどういう被害が起きるかということの教訓になったと思います」
生野キャスター
「それから、復旧の状況を見てみますと、一部のガスやモノレールを除きまして、全面復旧しているんです。地震が発生してからインフラが復旧するまでの状況というのはどう見ていますか?」
平田氏
「割と速やかに復旧したのは、自然現象として地震の規模がマグニチュード6.1、つまり、影響を受けた面積が局所的な限られているところだったので、外からいろいろな支援を受けて、適切に復旧することができます。ガスというのは少しでも漏れると危ないですから、復旧するのに時間がかかるので、1週間ぐらいかかりましたけれど、電気や水道については速やかに復旧しました。ただ、これはマグニチュードが6だったからであって、この規模が7になればエネルギーは30倍ですから、影響を受ける面積も10倍以上になるので、影響を受ける面積が大きいことによって被害はもっと広がったと思います」
松山キャスター
「松本さんは、今回の大阪北部での地震を受けて、そのあとのインフラ復旧…、平田さんの方からはかなり早かったという認識が示されましたけれども、復旧の状況を見ていかがですか?」
松本議員
「まずもって今回の地震で被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。もちろん、災害が発生した時、今回都市部での地震ということでありましたけれども、それぞれのケースによって当然被害の状況も違いますから、一概に過去と比較をするということは難しいのだろうと思っております。ただ一方で、過去の災害の教訓というものが様々な形で活かされておりまして。たとえば、今回ガスの復旧に関しましてもガス漏れ等があった場合に勝手に流してしまうと、これは大変な被害につながってしまう可能性もありますから、かなりきめ細かくチェックをしたうえでガスを流すという作業をしているわけでありますけれども。当然、大阪府だけでは人員として足りなかったりするものですから、そういう意味では、近隣のところから応援要員が派遣されてきて、それぞれの皆さんが人海戦術でそうしたチェック作業を行った結果、今回のような形で、1週間弱で全面復旧という形にいけたのだと思っております。まだ当然改善しなければならない点というのは今後の検証作業の中で出てくるかと思いますから、これで良かったという話ではないかと思いますが。今回の大阪の対応に関してはそうした対応をされたということだと思います」
松山キャスター
「黒岩さん、今回の大阪でのケースを見て、たとえば、1つ問題になったのが、東日本大震災の時に首都圏で帰宅困難者というのが大変クローズアップされましたけれども、今回については帰宅困難者と言うよりも、出勤途中の出勤困難者みたいな人がたくさん出てきたと。こういった状況を見てどう感じましたか?」
黒岩氏
「帰宅困難者問題は3.11の時に大きな問題としてクローズアップされました。我々はそういうことに備え、どうすればいいかといった中、一斉に帰宅しないでくださいというメッセージを皆さんに発信するということ、これを徹底してやってまいりました。そういうことが周知されてきたので、だいぶ皆さん、認識ができているかもしれない。それとともに、たとえば、今回のように逆に帰宅ではなくて、行っている場合、そういう場合にも、たとえば、神奈川県の場合には一時的に滞在してもらう場所、そういった場所をあらかじめ確保していると、こういうこともやっています。こういう時には様々な民間との連携というのが大事になるんです。その時に、たとえば、コンビニエンスストアとか、ファミリーレストランとか、ガソリンスタンド、こういうところと事前の協定を結んで、そういう時、いざという時に、たとえば、水をドンドン提供してくださいとか、おにぎりをドンドン皆さんに差し上げてくださいとか、そういったことをやっていただくような、そういう普段からの準備というのを進めているんですね。神奈川県で言うと、たとえば、そういう協定を結んでいるところが41団体9862店舗、そういう形で準備をしているということですね」
松山キャスター
「あと黒岩さんは前にアメリカのワシントンにもお住まいになっていたから、ちょっと感じていると思うのですけれども。アメリカの場合は、こういった大きな地震とか、台風の災害の時は出勤前の時間帯でそれが起きたら、その時点で出勤するのをやめるという認識の方がどちらかというと強いと思うのですけれども。日本の場合はどう判断していいかわからない、上司とも連絡がとれない、とりあえず会社に向かわなければみたいな感じで出勤を続けるという力の方が強く働いているような印象を、僕は受けるのですけれども、そのへんを改善する余地というのはないのですか?」
黒岩氏
「さあ、それは難しいですよね。その時間帯によっても、微妙だと思うんですよね。自分の家に近いのか、会社に近いのか、というようなところもあるだろうし、自分が交通機関に乗っているのか、乗っていないのかということもあるだろうし、様々あると思いますけれど。しかし、現在、言っている大きな働き方改革という中で捉えていくということも必要なのではないですかね。とにかく会社に行かなければいけないのだ、ではなく、働き方改革の中で、こういう時、自分はそういうことをうまく自分で解釈し、自宅待機ということ、そういうことも、だから、お前あがってこなかったなと怒られるような、そういう会社の文化というのもだんだん変わりつつあるのではないかなと思います」
松山キャスター
「松本さん、国とか、政府レベルではこういった帰宅困難者対策、今回は出勤困難者対策ということですけれども、どういう施策が検討されているのですか?」
松本議員
「まずは地方自治体と連携をして、しっかりと対策を立てていくということが大変重要なことだろうと思います。その中で、こうした帰宅困難者の皆さんにできる限り職場にとどまってもらう、こうした取り組みというものを推奨しているところでありますし、また同時に、実は帰宅困難者対策というだけではなくて、企業にとってはビジネスをどうこの災害を乗り越えて継続をしていくのかというBCPという観点でも計画を策定していただいて、その中でこの帰宅困難者対策というものもしっかりとやっていただくような取り組みというのが大変重要ではないかと思っています。現在、政府としてもいろいろとこれを、取り組みを進めてもらうように企業の皆さんにも働きかけをしているところではありますけれども、まだまだそれがつくられていない。また、社員の皆さんに徹底されていない。そうしたことが、この帰宅困難者を多く生みますし。また、この帰宅困難者の皆さんが多くいるということで、実は救助・救出活動も非常にいろいろな難しい問題が出てくるというようなこともありますから。是非ここは、地方自治体もそうですし、民間の皆さんにも協力をしていただいて、そうした個々の取り組みというものをしっかりと進めていただきたいと思います」

『想定外』大阪の教訓は 『情報共有』国・自治体の対策
生野キャスター
「過去の地震の経験から震災発生後は情報を共有する重要性が指摘されていますけれども、松本さん、国としてはどのような対策をとっているのでしょうか?」
松本議員
「これまでも当然、過去の災害において、それぞれの皆さんが一致協力をして災害にあたってきたと思っています。当然、国の行政組織もそうですし、また、自治体もそうですし、また、民間企業・民間事業者の皆さんも様々な形でご支援をいただきながら、大きな災害の際には、様々な対応というものを行ってきたわけでありますけれども。ただ一方で、それぞれの組織が持っている情報がどんな情報を持っているのか、また、それらを自由に閲覧することによって、自分達の様々な活動に役立てていくような、そういう決められた仕組みというものが、これまではありませんでしたので、熊本の地震の教訓を活かしながら、私が副大臣をやっている時に政府の中に『災害情報ハブ推進チーム』というチームをつくりまして、ここに当然、政府の各省庁の代表の方にも入っていただきましたし、また、黒岩知事をはじめ、知事会の代表の皆さん、また、市長会・町村会の代表の皆さんにも入っていただき、また、たとえば、携帯電話の会社であったり、トラック協会であったりとか、様々な、そういう民間事業者の代表の皆さんにも入っていただいて、情報を共有して、1つの同じ情報をもとにして皆がそれぞれ機能的に災害対応にあたれるような仕組みをつくろうということで、この災害情報ハブ推進チームをつくらせていただいて、現在、取り組みを進めています」
松山キャスター
「災害情報ハブの概念というのをこちらに図にしてまとめてみたのですが、これはどういう形になるのですか」
松本議員
「これだけを見るとプレイヤーは3つに見えるのですけれど、省庁も各省さまざまあります。また、地方自治体も47都道府県を含め、1700以上の自治体というものが存在します。また、民間企業や団体も本当に多くのそうした団体があるわけでありまして、それぞれが、災害が発生をした時には様々なそれぞれの取り組みというものを進めていくわけでありますけれども。たとえば、この民間企業さんが持っている情報でわかりやすい例で言うと、たとえば、携帯電話会社はどの地域にどのぐらいの携帯電話をお持ちの方がいらっしゃるかというのはだいたいつかめるわけ…」
松山キャスター
「位置情報…」
松本議員
「そうですね、つかめるわけですね。熊本地震の時には決められた避難所だけではなくて、車中泊をされている方も非常に多く、そういう意味では、決められた避難所だけを見ていたのでは実際に避難していらっしゃる方達の数であったりとか、どのへんにいらっしゃるのかということの情報をつかむのが非常に難しかったという教訓があり、逆に携帯電話会社さんの持っている、そういう情報を活用をする、ビッグデータを活用することによって、たとえ、避難所に避難をしていなくてもこのへんに車中泊をしている方達が大勢いらっしゃるということがわかることによって…」
松山キャスター
「ああ、そういうことまでわかるんですね?」
松本議員
「はい。たとえば、そういうところに行政側から積極的に働きかけしていって、避難の支援をするとか、そういうことができないか。また同時に、現在、車の情報を見ると、どの道路をいつ、どういう車が通ったかという情報というのはだいたいわかるようになっていまして。そうすると、そこの道路が果たして通行できない道路なのか、それとも通行できる道路なのかということがある程度リアルタイムに把握することができるような仕組みもありますから。そういう情報をいち早く地方自治体や各省庁が知ることによって、救助・救援の物資や人員を運ぶ時の迅速化につなげていくことができるのではないのかといったような、それこそ国が持っている情報、地方自治体の皆さんはおそらくそれぞれの地域で、どこに避難所があって、どこにどれぐらいの被害者の方がいらっしゃってという情報を1番持ってらっしゃるのは自治体の皆さんでありますし、また、実際に物資を供給するにあたって、物資を持っているのは民間企業だったりするわけですから。そうした様々な情報を統合し、共有をすることによって、共通の情報をもとにして戦略的に一刻も早い救助・救出活動、支援活動ができるようにしようというコンセプトでできあがったのが、この情報ハブの機能になります」
松山キャスター
「ちなみに、今回の大阪北部を中心とした今回の地震については、こういった運用というのは、たとえば、試験的にされていたりするのですか?」
松本議員
「はい。災害情報ハブの基本的な機能は、1つは今申し上げたような情報の共有化をしっかりとはかっていくということが1つ。2つ目は、私も副大臣や政務官をやっている時に、各災害現場に行きましたけれども、それは当然、地元の自治体は、もう大変な大混乱でありますし、ただでさえ人手が足りない。様々な情報が寄せられる中で、情報も錯綜をして、これを整理するというのも極めて大きな体力がかかるという現状があります。情報を共有するのと同時に、その情報を共有するための支援をする人材もいなければいけないということで、この取り組みの中のもう1つの大きな柱は、官とあと民の皆さんにもご協力をいただいて『ISUT』という組織をつくっているのですけれども、本格的な運用はまだもう少し先の話にはなるのですけれども、今回の大阪北部地震におきましても、実際に内閣府の先遣隊と一緒にこの部隊が現地に入らせていただいて、様々な情報を共有するためのお手伝いをさせていただいたという実績があります」
松山キャスター
「黒岩さん、実際に大きな災害になった時に国と自治体との連携、これについては現在うまくいっていると思いますか?」
黒岩氏
「その準備は着々とやっておりますね。大きな地震があった時には県の中に災害対策本部というのが直ちに立ち上がります。私を本部長にして一斉に皆集まってきますね。これが国の会議とちゃんとつながるようになっています。県内各地の様々なところと全部つながるようになっていて、その情報を統合的に管理しながら、整理していくということですね。それと共に、このSNSの時代で、一般の方が自分でドンドン情報を提供してくださると。これは非常に大きな情報源ですね。ここの橋はこうなっていますよとか、ここではこんなようなことが起きていますよという、それをいかに集めてくるかということですね。これは地震が起きてからいきなり、くださいと言っても、それは無理なので。我々がやっているのは、神奈川県の中に『かなチャンTV』という、インターネット放送局を立ち上げているんですね。普段はそこから県の情報をいろいろ提供しているんです。皆さんはそれをスマホとかでご覧になっているんですね。これはいざという時に、切り替わって、災害情報をそれで皆さんに送るということ。災害情報をドンドン送るということにもつながる、逆に皆さんから、ここはこんなふうになっていますよという情報をいただくということによって、災害対策本部の中で整理していって、正しい情報を発信していく。そういう流れを現在つくっているんですね。ですから、これまでの防災訓練という中でも、そういった情報の受伝達訓練といったもの、これを同時並行でやるようになってきました」
松山キャスター
「SNSの活用でかなり情報共有は進んできたと思うのですけれど、1つ、それをどういう形で集約して一般市民に渡るようにするかという、そのルート、たとえば、きちんと窓口を一本化するとか、そういうあたりがまだしっかり制度化されてないような気がするのですけれども」
黒岩氏
「それが、私が申し上げた『かなチャンTV』という、県が発信する場です、ここは。寄せていただいた情報を精査して、県が。その中にもしかしたらデマもあるかもしれないですね。そういうのをちゃんと精査したうえでドンドン発信していくというのも日常的にやっているんですね」
松山キャスター
「県の職員もそれをチェックして、この情報はちょっとあまりにも事実と違うから、そこは削除しようと、そういうこともやる?」
黒岩氏
「そういうことですね。そういう判断をしながら、正しい情報をドンドン出していくということですね」
生野キャスター
「平田さんは、この都市における情報共有、この発信の必要性というのをどう考えていますか?」
平田氏
「はい。知事のおっしゃる通りで、防災の研究としても、内閣府が進めている『SIP』というプロジェクトがございまして、その中で、国の組織、それから、自治体、民間の方、SNSのデータなどをうまく統合して、それを防災の現場に活かすというような、そういうことが現在、ICTの技術を使って非常に積極的に研究が進んでいます。これをうまく国や自治体に使っていただけるようなことをしたいなと思っております」
松山キャスター
「よく大きい震災があるとボランティアで全国から人が集まって、その地域にガーッと行ったりしますよね。これは松本さんに聞きたいのですけれども、そういうボランティアで行く人達は土地勘がないので、どこに行ったらいいかわからないという人も多いと思うのですけれども。そういう人達もうまく巻き込んだ形での情報共有のシステムというのは構築できるものなのですか?」
松本議員
「まだこの災害情報ハブの取り組み自体、進化途上でありますし、現在、様々な調整をしているところです。たとえば、避難所情報1つとってみても、たとえば、黒岩知事の神奈川県と、たとえば、東京都でデータの形式が一緒でないとそれを1つに統合したデータとして使えないっていうようなこともあります。たとえば、そういうルールをどういうふうにつくるのかということも検討をしていかなければいけないですし、また、その情報の形式みたいなものもきちんと合わせていかないと、それぞれの自治体によってまちまちのデータが上がってきてしまっても信頼性を欠くものになってしまうとか、様々な課題がありまして。これらを1つ、1つ整理しながら、実のあるものを少しずつ、つくり上げていこうということで現在やっています。そのうえ、今回のボランティアの話ですが、最終的にはこの災害情報ハブは、ただ単に、支援をする側に与えられる情報ではなくて、この協議会の中にはマスコミの方にも代表で入っていただいておりまして、どのような形で国民の皆さんにこの情報を提供して避難とか、自らの生活の様々な部分に役立てていただけるかということも、チームとして検討しているところでありますので。おそらくその中で様々な結果というものが出てくるのではないのではないかと思います。その中で当然ボランティアの役割というものも大変重要で、各災害現場に行って今やボランティアの皆さんの力なくしては、災害復旧はあり得ない、というぐらいの大きなお力を発揮していただいています。実は政府も、各都道府県や市区町村の皆さんと連携をして、現地対策本部をつくって実際にどう対応するのかというような訓練をやっているのですけれども、こういうところにはボランティア、民間団体の代表者の皆さんにも参加をしていただいて、実際にそういう皆さんにも災害対策本部の中に入っていただいて、一緒にオペレーションをする、現地対策本部としての訓練を実施するというような取り組みというものは、既にスタートしているところであります。同時に、それぞれの地域で、なかなかボランティア運営のノウハウが自治体の側にもなかなか、実際に経験しなければなかったりしますし、そういうのをリードしていくようなそういう体制というものもできておりませんので。実はそういう大きな災害があった際には、そうした活動を実際に支援してきた、国であり、地方自治体の方に、現地に入っていただいて、そうしたボランティア支援のノウハウを、そこで活用していただく。実際に、ボランティア団体のそういう知見のある方にも行っていただいて、そういう取りまとめをしていただく、というような、ボランティアの皆さんに活動していただいているという状況です」

防災スペシャリストの育成
生野キャスター
「松本さん、国としては、災害発生時の対応で核となる人材をどう育てているのですか?」
松本議員
「実際、災害の現場に行ってみて大変強く痛感をするのは、災害に対する知見を有している方が行政の中にどれくらいいらっしゃるのか。これが本当に地域の防災力にとって極めて重要な要素であるということを大変強く感じています。実は国におきましても様々な取り組みをやっていまして。たとえば、40日間ぐらいの時間、派遣してもらって、座学で様々な形で防災の知識を習得していただくような、そうした災害のプロフェッショナルを育てるような、そういう研修も実際にやっていたりするのですけど。残念ながら、そうした様々な研修でも、自治体の中で参加をしているのが、研修の種類にもよるのですが、約3割程度の自治体しかまだ参加をしていただいていないという実態があります」
生野キャスター
「それはなぜですか?」
 
松本議員
「様々な理由があると思いますが、よく言われているのは、特に小さな自治体になりますと、結局、防災を担当していらっしゃる方が他の役職も兼任をしていたりとかするので、防災のためだけに長い期間、地元を空けることができないというようなこともあるということで報告を受けています。また同時に、内閣府に、たとえば、3か月とか、1年とか、派遣をしていただいて、実際に内閣府の防災の皆さんと一緒になって、災害対応をするというような、そういう取り組みも、各自治体の皆さんにお願いをしてやっているところですけれど。こちらの方も残念ながら、なかなか応募していただけないというような実態もあります。このあたりをどういうふうな取り組みをし、予算的な部分で対応していく部分もあると思いますし、また同時に、そうしたそれぞれの自治体における業務に関しては、それこそ、たとえば、黒岩知事のように、知事の皆さんにご協力いただいて、ある一定時間は県の職員さんとかで少しカバーしてもらって、そういう人達が、そういう防災をしっかりと習得できるような時間をつくっていただくとか。それぞれ状況に応じた、きめ細かな対応をしていくことによって、できる限り多くの自治体で、防災の現場を経験したプロフェッショナルを育てていくということは、今後の極めて重要な課題だと考えています」
松山キャスター
「神奈川県としては、防災や災害にプロとして携わる職員の育成にどう取り組んでいるのですか?」
黒岩氏
「これは神奈川県で、その防災担当で、自衛隊のOB、これを神奈川県庁の職員になってもらって、中心的な役割を果たしてもらっているんですね。警察からきている人もいます。こういう人達を中心にして神奈川がずっとやっているのは『ビッグレスキュー』というものです。ビッグレスキューというのは、実は私がフジテレビのキャスター時代に、緊急医療支援訓練、自衛隊の緊急医療支援訓練、これをやるべきだって言って、私が提言をして…」
松山キャスター
「キャンペーンを張っていましたね?」
黒岩氏
「救急医療キャンペーンの中でやったことだったんですね。自衛隊には実は医療チームというのもあるわけです。これを前面に出して救うべきだろうという話をし、それを現在、神奈川県でやっているんですね。これは単なる自衛隊の訓練という枠を超えて、まさに名前の通りビッグレスキュー、県内の100を超える機関が一斉にそこに参加するんですね。警察・消防は言うまでもなく、海上保安庁、自衛隊、在日米陸海空軍、日赤からいろいろな医療チームから全部、参加してやる、まさにビッグレスキュー、これをやっている。それを毎年、毎年やっています、統合的にこの訓練をするわけです。そういう時の中心人物で仕切っているのが、自衛隊のOBできている人です。ですから、そういうことで皆、参加すると、だんだん皆さんのパワーが上がってくるんですね。これは積み重ねがすごく大事だなと思うのは、要するに、大規模なものが起きた時に、いかに連携してくるかという。当初は消防のやり方と、自衛隊のやり方と、在日米海空軍のやり方は違うと。それが訓練をしているうちに、だんだん融合してくるんですね。そういったことによって皆の災害対応能力が上がってくる、そういうことを現在進めているんですね」

平田直 地震調査委員会委員長の提言:『考えて、備える』
平田氏
「実は私達の周りには防災に関する情報がいっぱいあふれています。その中で、自分にとって本当に必要なものは何かということをよく考えて、自分のこととして考えて、是非備えていただきたいと思っております」

黒岩祐治 神奈川県知事の提言:『いのちへの想い』
黒岩氏
「『いのちへの想い』ということなのですけれども。何が大事かと言ったら、命が1番大事だということですね。大きな災害があっても、町が、たとえ、流れたとしても、潰れたとしても、命を守るということが何より大事だと。そこに集中しましょうということですね。そのため、命の大切さということを普段から皆で考えていくと、そういうことがすごく大事だと思うんですね。神奈川県の中では全部の学校で命の授業というのをずっとやっています。そういう中で、命の大切さということを考え、自分の命だけではなくて、周りの人、地域の人の命をどうやって救うかということに皆が思いを寄せるということが私は1番の基本だと思いますね」

松本洋平 元内閣府副大臣防災担当の提言:『当事者意識と想像力』
松本議員
「私は『当事者意識と想像力』ということにさせていただきました。私自身が災害の現場に行って、多く聞かれる言葉の中に、まさか自分達の地域でこういうことが起きるとは思わなかった、そういう言葉を多くお聞きをしたところであります。是非、日本でも様々なところで災害が発生をして、報道がされているわけでありますけれども、そうした1つ、1つの事柄を我がことと是非、考えていただきたいと思います。同時に、想像を膨らませて、そういう時に自分達がどう行動すればいいのかということを考えていただきたいと思います。これは国民の皆さん1人、1人ももちろん、そうなのですけれども、同時に、国もそうですし、地方自治体もそうですし、それぞれが考えてもらいたいと思います」