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2018年6月22日(金)
総括『米朝首脳会談』 飯島勲が読む日朝展望

ゲスト

河井克行
自由民主党総裁外交特別補佐 衆議院議員
飯島勲
内閣官房参与
中林美恵子
早稲田大学教授
磐村和哉
共同通信社編集委員兼論説委員 元平壌支局長

総括『米朝首脳会談』 トランプと金正恩の思惑
生野キャスター
「先週火曜日の米朝首脳会談で、トランプ大統領が拉致問題について金正恩委員長に提起して以降、日朝の関係者が国際関係の場で接触するなど慌ただしい動きを見せています。果たして日本は北朝鮮とどう対峙していくべきなのでしょう。米朝首脳会談の総括と拉致問題解決に向けた日朝首脳会談の可能性について聞いていきます。アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長が先週火曜日、史上初となる米朝首脳会談を行いまして、共同声明に署名しました。合意内容の大きなポイントは『北朝鮮の安全を保証』『新しい米朝関係樹立の推進』『金正恩委員長が朝鮮半島の完全な非核化を約束』となっていますけれども」
松山キャスター
「磐村さん、北朝鮮から見たら、これまで主張していたものがかなり北朝鮮寄りで実現されているような印象もあるのですけれども」
磐村氏
「はい。ただ、北朝鮮は完全には満足してないと思います、押し切れなかったと思います。北朝鮮はこの共同声明のどこかに国交正常化という文言を入れさせたかったと思うのですが、そこまでいきませんでした。『新しい関係』というのが3か所、出てきますね。そこにとどまってしまった。それから、体制の保証と我々は言っていますけれども、北朝鮮にとっての安全保証のメカニズム、これに対して法的・制度的な何か具体的な言及もおそらく北朝鮮はほしかったと思います。ただ、そこも出ませんでした。セキュリティ・アシュアランスではなくて、セキュリティ・ギャランティーズというものが共同声明に入っていますけれど、これが具体的にいったい何を意味するのか。米韓合同軍事演習の中止を、そのあとに打ち出しましたけど、北朝鮮としては、セキュリティ・ギャランティーズは米朝だけではなく、この地域一帯、日本も含めて話し合うもの、その第一歩がおそらく朝鮮戦争の休戦協定の平和協定への転換になると思うのですけれど、それも入らなかったということで。一見すると、北朝鮮がちょっといろいろとった、CVIDが入らなかった、非核化の…、北朝鮮の方が、ポイントが高いのではないかと見られがちですけれども、私は必ずしもそうではない、互いに痛み分けというところでしょう。特に外交交渉では『悪魔は細部に潜む』と…」
松山キャスター
「よく言いますね」
磐村氏
「よく言いますよね。だから、今回は悪魔を見ないで、天使だけを見て、お互いに署名したと。ただ、それと切り離して歴史的な意義という意味では大きいと思います。敵対関係にある両方の首脳がサインをした。信頼関係を構築する第一歩にはなったのかなと思います」
松山キャスター
「飯島さん、どうですか?トップ同士が会うこと、それ自体は歴史的ということなのですか?」
飯島氏
「今回はそれぞれ五分五分で、言われて、私はある意味、すごい共同声明だなと思っているんです。トランプ外交というのはこれまでの国際政治外交とはまったく違う、まったく見えない。最初、バーンとひっぱたいておいて、崖っぷちに立たせてから、実際は本音で握手する、そういうパターンも結構あるんです。問題は、トランプさんが1月に大統領になった時に、すごく内心、報道された中でビックリしたことがある」
松山キャスター
「大統領になる前ですか?」
飯島氏
「いや、なってから。こともあろうにホワイトハウスの中にポンペオCIA(中央情報局)長官の個室をつくった。これは将来何を見たらいいのかとなって。トランプさんの場合、それで結果的に国務長官になり、北朝鮮の交渉をポンペオCIA長官がやってきた。これはそれでいい。問題はトランプさんの場合、相反する状態は皆、更迭したんですね。ただ1人、ネオコン族の代表のボルトン大統領補佐官は残した。これをどう見るかということです。結果的に6・12の米朝会談で、国務長官のポンペオさんの横にボルトン大統領補佐官が座っていたんですよ」
松山キャスター
「映っていましたね」
飯島氏
「これは何かということです。このアレを完結するためには大変なアレは、また磐村さんも言ったような安全保証の問題等も含めて、考えた場合、いくらトランプさんが最大の権力と最大の発言をしようと、アメリカの国防産業がマイナスになるような妥協点は絶対あり得ないということだと。なぜならば、今年になって安倍総理に対しても、いわゆるイージス・アシェアか、あるいはアレですよね、ステルス戦闘機とか、下手をすると8000億円、1兆円に相当するアレをトランプから押しつけられて、それを購入する状態になる。一方、韓半島のアレがなって。確かに8月の乙支フリーダムガーディアンを延期と言った。しかし、そういう状態の中で本当にTHAADの設置、韓国、これもやめますと、あるいは米軍が撤退することは絶対あり得ないです、100%。どこかで武器を売らなければいけない。これが米露やなんかの仕事ですね。となると、ボルトンさんがこれからロードマップをつくることに、ボルトンさんの発言を完全に注視して見ていかないとダメですよ」
生野キャスター
「中林さん、トランプ大統領は今回の米朝首脳会談で何を目指したのだと思いますか?」
中林教授
「結果的に蓋を開けてみると、トランプ大統領に何がもたらされたかというのをまず考えてみると、それが見えてくると思うんです。内容を見るとまだまだ詰められていないと。しかし、扉を開いたのは素晴らしいと。アメリカ側の国民から見ると、これは半分以上の人達が良い会談だったと評価しているんですね」
松山キャスター
「評価が高いみたいですね」
中林教授
「高いです。これは私達、日本から見ているとなかなか実感できないものなのですけれども、アメリカ国民にしてみたら、ミサイルがグアムの方に飛んでこないとか、または核戦争に、もしかしたらなるのではないかといったような不安まであったわけで、それがなくなったことが非常に大きい成果だったようです。ましてや、平和だとか、これからの期待できる、これから事務方が詰めていく内容というところの、今の時点では非常に期待がかなり先行しているのではないかなと思われます。トランプ大統領の支持率が、ここにあるんですね。これというのは各社が世論調査をしますよね、それの平均をとったものなんです。ですから、かなり全体を表しているのですけれど、支持率が上がってきているんです。黒い線の方が支持率なのですけれども」
松山キャスター
「上がっていますね」
中林教授
「はい。これがだんだん、間が空かないぐらいにまでなれば相当トランプさん、今年の中間選挙でがんばったということになるのではないかと言われているのですけど、これぐらい今回の北朝鮮での緊張緩和というのは、うまくとられている。と言うことは、トランプさんにとって何が大事だったかというと、CVIDの『V』を入れることでも、『I』を入れることでもなく、そこはやり始めたら亀裂がかなり深くなってしまうので、そこをやめておいて。今回の歴史的な意義といったものを、アメリカ国民にアピールすることがかなり大きかったのではないかと思います」
飯島氏
「米朝共同声明でアメリカ国民から見たら『素晴らしい』の一発回答で出ているっちゅうこと。これは何かと言ったら、間違いなく火星15号から15号、いわゆるICBM(大陸間弾道ミサイル)、これはもう北は完全に廃棄するでしょう」
松山キャスター
「共同声明だけからなかなかそこまで読みとるのは難しいような気も…」
飯島氏
「いや、これはもう必ずやると思います、ええ、はっきり言いまして」
松山キャスター
「逆に、日本が懸念していた中距離・短距離のミサイル、このあたりはどうですか?」
飯島氏
「現在の私個人の分析では火星7号、射程距離が1400㎞から1800㎞、日本海に4発に着弾した、ここらへんのアレを、500発以上保有しているというのが事実ですから。これはそのまま残すでしょう。ええ、私は相当厳しくそっちの方は見ています。ただ、ICBM、火星15号は完全廃棄するでしょう。これはもうトランプさんは喜んだ実績ですね。あとは米兵の遺骨の返還、調査開始、これも具体的な各論で6.12にやって決まったことですから」
松山キャスター
「アメリカではかなり歓迎されているみたいですね?」
飯島氏
「すごいですよ。私がアメリカ国民だったら、よくやったと言いますよ」
松山キャスター
「河井さん、どうですか?日本としては、その全ての射程のミサイルの廃棄というのを主張していたわけですけれども、今回の共同声明ではミサイル、具体的な文言が盛り込まれていない。ただ、アメリカはICBMだけ、大陸間弾道ミサイルだけ廃棄できればいいのではと思っているのではないかという見方も一部であるのですけれども」
河井議員
「これから先の、いわゆる非核化の過程なんですけれど、プロセスですけれど、おそらくトランプ大統領は、俺は史上初めて北朝鮮の最高指導者と談判し、完全な非核化という文言を文書にきっちりと書いたんだと。だから、あとはお前しっかりやれよ、ポンペオというふうに考えているのではないかなと私は思う」
松山キャスター
「実務者でやっていってということ…」
河井議員
「それで、1つ気がかりなのは拡大会議、いろいろな閣僚とか、補佐官、先ほどから名前の挙がっている人達を交える前に、通訳だけで2人きりでおよそ37分から40分間、2人だけで会談をまずしているんですよ。これは合衆国の外交の仕組みですけれども、一切通訳は、通訳はするけれど、記録はとっちゃいけないということになっていて、あとから、たとえ、ポンペオ氏であろうと、ボルトン氏であろうと、ねえ、あの時、大統領と金正恩はどういう話をしたの?教えて、と言われても、絶対に教えちゃいけないんです。つまり、通訳というフィルターが入ることによって不確かな情報が政権で拡散されることを防ぐために、絶対に記録をとっちゃいけないと、他の人に言っちゃいけないということになっている。先ほどのこの共同声明とトランプ氏の会見、この間に、かなり乖離があるんですよ。トランプさんはこう言い切ったんですよ。『北朝鮮は極めて早期に具体的な実績核廃棄措置をとることになる』、こう大見栄を切って言ったわけです。それで、6月12日のあとに安倍総理と電話会談、首脳会談を行いました。その様子を聞いたら、いや、あまりうまくいかなかった、しくじったと、バツが悪い感じは露ほどもなくて、俺はやったよと、強い幸福感、ユーフォリアと言っていましたけれど、幸福感でいっぱいだったという話があるんですよ。つまり、トランプ氏は本気で本心から今回の会談は成功したと、彼自身はそのように確信をしている。いろいろな情報分析があって、CVIDについて、金正恩氏の方がより柔軟で、彼の周りの側近達はより慎重だったという見方があるんです。これは先軍政治というのを長い間ずっと北朝鮮はお父さんの代からやってきました、それを急遽転換すると。かなり軍の中で抵抗、あるいは反対意見があったと。だから、現に、軍のワン・ツー・スリー・トップを相次いで直前に交代させましたよね。だから、ひょっとしたら…」
松山キャスター
「穏健派に代わりましたよね?」
河井議員
「そう。ひょっとしたら、その37分間にトランプ氏に対して金正恩氏が、俺も国内では大変な抵抗なんだと、CVID。だから、CVIDの文言が入りそうにないというのは直前に情報として入ってきましたけど。大変な抵抗なんだと、でも、これは進めなければいけないと思うようなことをもし言ったとして、表現はこういう表現に共同声明はなったのだけれども、あの37分間で実は突っ込んだ話し合いを両首脳がしている可能性もあるし、逆に水準が低い非核化で俺は構わない、みたいなことをトランプ氏が言ったかもしれない。これはわからないです。ただもう1回言うと、この共同声明とトランプ氏の会見との間で乖離があり過ぎるというのは、これから分析をしていく必要があると思います」
松山キャスター
「磐村さん、どうですか?北朝鮮内部で現在、河井さんが話したような話を僕もちょっと他のところで聞いたことがあるのですけれど」
磐村氏
「北朝鮮の内部では『化石のような思考方式』という言い方があるのですけれど、要するに、現実の変化に柔軟についていけない古参の官僚達です、そういった人達は確かに、いわば抵抗勢力的にはいると思います。それを金正恩委員長はもうそういう時代ではないということで切り替えようとはしているようですね。ですから、今回、1つ面白いのは、過去、北朝鮮はいろいろな合意をやりました。アメリカと枠組み合意もやりましたし、6か国協議でも合意をやりました。その時に北朝鮮の国内でそれに合わせて何か政策調整が行われたかというと、そういう形跡はないです。ただ、今回はこの米朝首脳会談やる前からやっています。党の会議を2回やって、いわゆる核開発と経済建設の並進路線というものを一応、勝利宣言して終わりました。これからは経済一本やりだというふうに現在、国内でシフトチェンジ、ギアチェンジをはかろうとしている。これからもおそらくその動きは国内で続くと思います。ですから、そこに、いわゆるトランプ大統領が俺達を信じていいんだよ、というような措置、安全保証に関する措置を、1つ、2つ積み重ねながら、北朝鮮もそれに応えて非核化の行動とっていくという流れができれば、これはある程度、非核化というものも夢物語ではなくなると思います」
松山キャスター
「その後、アメリカのトランプ大統領はどういう発言をしているのかというのをちょっと見ていきたいのですが。これは21日、つい最近の発言ですけれど、トランプ大統領が『北朝鮮はミサイル発射をやめ、エンジン実験場を破壊する。4つの主要実験場の1つは爆破した。完全な非核化は既に始まった』、これは、日本時間の昨日の夜、発言していましたけれども。一方で、アメリカのマティス国防長官は、非核化の具体的な行動については『まだ始まっていない』という見解も示している。飯島さん、北朝鮮の行動について、この米朝首脳会談を受けて具体的行動が既に始まっていると見て…」
飯島氏
「いや、IAEA(国際原子力機関)も何も関係なく、発射をやめて、実験場を破壊、これは勝手に破壊しても、またどこでもつくれるわけですから、これを軸足にして考えるのは危険なんですよ。あと1つ、前のめりし過ぎている。たとえば、韓半島は統一されるのではないかと、文在寅さんとやっている。これは100%、100年経ってもあり得ないですよ、私の見方は。核の北と、経済のアレが一緒になった場合、中国、ロシア、アメリカ、日本、とてつもない危機感を感じます。だから、2国のままの中で、どうやって体制を保証するかっという方向に私は流れていくだろうと、勝手に。これは磐村さんの方が1番、見方・分析はプロですから、わかると。私の個人的な見方はそういうこと。いろいろな限られた条件があるんですよ」
松山キャスター
「ただ、南北首脳会談のあとの板門店宣言の中では、今年中に終戦宣言を行って、そのあと現在の休戦協定を平和協定に変えていく協議をすると…」
飯島氏
「これは国連でやらなければいけないと。国連で現在、休戦状態になっておりますから。問題はそのロードマップの作成の過程の中で、いつ終息宣言、朝鮮半島の、これを国連でいつやるかという見方、これはいくつか並んできていますから。そこらへんをよく見ていかないとわからない。ともかく私から見るとよく6.12で共同声明、総論ですが、もっていった。あと、あまり各論の組み立てが遅いと、トランプさんの支持は一気に下がると私は見ています」
松山キャスター
「磐村さん、どうですか?飯島さんの意見では、単純な南北統一というのはなかなか実現しないのではないかということですけれども?」
磐村氏
「むしろ、北朝鮮がこれから普通の国家を追求していくと、事実上の2国間関係になってしまう。だけど、2国間が朝鮮半島で平和共存するという新しい形の疑似的な統一状態ですかね、それに進んでいくのではないかと思います。その意味で、平和協定の議論にしても、南北、それから、アメリカ、中国だけではなくて、この北東アジア全体を俯瞰しながら新しい秩序をつくっていくという流れを、これは日本も、あとで日本の話が出る時に申し上げたいと思うのですけれど、日本もそれに積極的に関与するということが必要になっているのではないかと思います」

拉致問題解決への道筋 日朝双方の認識は
松山キャスター
「最近気になるのは、日朝平壌宣言の中では、国交正常化交渉において、国交正常化が実現に至る過程においても日朝間で諸問題に取り組む決意を表明するという文言があるのですけれども…」
飯島氏
「ええ、ありますね」
松山キャスター
「と言うことは、正常化を前提とした交渉をまず始めて、交渉の過程の中で拉致問題を含む、様々な問題について解決していくと読めるのですけれども…」
飯島氏
「えぇ」
松山キャスター
「現在の安倍政権のスタンスは、これまで言ってきたスタンスは、まず拉致問題を解決しないと交渉、対話に入れないという主張だったかのように思うのですが」
飯島氏
「えぇ」
松山キャスター
「ちょっとニュアンスが違うような気するのですけれども」
飯島氏
「いや、平壌宣言のところで相当具体的な無償資金協力から長期借款とか、いろいろ書いてあります。最後に『国交正常化において経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした』と書いてある。これは途中過程のアレもありますが、ただ、あくまでも拉致・核・ミサイル、これがしないとまったく経済支援も何もできませんから。今日、古屋圭司、拉致担当議連の方々が総理に会った、まさにあの通りで。前のりにならないで何があろうと、この平壌宣言に基づいた完結がなければ、一切何も支援しないと。これは北朝鮮も承知しているんです、私のインテリジェンス。どういうことかと言うと、いろいろな発言で朝鮮放送にも出てきますが、平壌宣言は、これまで全部、それは認めています。同時に対話の精神も持っているんです。だが、現実的には世界で1番、安倍総理が圧力、圧力とペースメーカーみたいに言っていることに対して、すごく憤慨し、怒っていることは事実。今日も、毎日新聞のトップで朝鮮系にかかるアレを金融庁が調査命令をしたと、トップで。今やっている報道から見ると、融和の精神、何か訓練は中止すると言ったって、私に言わせると在日朝鮮人に対するアレだって同時並行でやっていかないと、拉致だけ完結したらもう終わりではないですよね。融和の精神というのは大事だし、同時にミサイル・核も日本には大事。つまり、アメリカが火星15号の廃止、これは100%するでしょう。しかし、中距離弾道弾を含めたアレは黙認する可能性がある、アメリカは関係ないから、アメリカに届かないから。だから、ここらへんのところは日朝平壌宣言の『核及びミサイル問題を含む安全保障上』にかかるわけですね。ここのアレは米朝でなく、日朝の問題で、安全保障上、どうやって完結するかっつうことになる」
松山キャスター
「磐村さん、拉致問題というものは北朝鮮の中では現在どういうところにきているのですか?」
磐村氏
「難しいですけれども、解決済みと自分達は思っているのだけれども、日本側が疑問を持っているなら、それについては話し合いましょうと。この解決済み、マル切れではなくて、解決済み、点々、点々、だけど、日本が疑問を持っているなら対応するというような読み取り方が、私はできるのではないかなと思います」
松山キャスター
「中林さんはどうですか?この拉致問題については、トランプ大統領は提起したという情報がありますけれども、進んでいるのか、進んでいないのかははっきりとしない状況になっていると。この状況をどう見ていますか?」
中林教授
「日本が提起しても、北朝鮮が私達の望むようには応えてこなかったわけですよね。だからこそトランプ大統領が軍事力もバックして、大きな大国の力を使って入口を開いてくれたということはとても良かったことだと思うのですけれど。ただ、日本だけでこれを解決できるかというと非常にハードルが高いと思うんです。そうかと言って、このチャンスを利用しなければ、またこの先いつになるかわからないですね。慎重であるべき部分と、同時に勇気をもって踏み出す部分というのが必要になってきて。一歩を踏み出すためにはどうしても、日本がどうやったら北朝鮮の聞く耳と、あるいは北朝鮮を無理やり押していく力になっていくのかということを十分整理して、カードを全部用意してからではないと非常に難しいと思うんです。それに役立つのは、1つはトランプカードです。トランプさんは言った、だから、あとはもう米朝でやってちょうだいという状況ではありますけれど、まだまだ今回の核の問題についても、これからドンドン交渉もしていかなければいけないわけですよね。その中にまだまだ入れてもらう余地があるかもしれないし、これは本当にかすかな余地でも利用していかなければいけない。いわゆるトランプカードだと思います。それと、あとは日本がこれまで様々なアジアの国々と、いろいろな援助をしてきたり、信頼関係を築いてきたりとかしましたけれど、他の国にも協力してもらえないかというものを見ていくことも大事だと思うんです。なぜなら拉致被害を受けた方々はもう時間がないんですね。なるべく本当に全員の方にすぐにでも帰ってきていただきたいわけですから。これをするためにどうしたらいいのかという発想で、そっちを順番にして組み立てていく必要がある、もうこの時期にきてしまったのだと思います」

日朝首脳会談の必要性
松山キャスター
「北朝鮮側から見ると、拉致問題に関しては日本と直接会談をやるメリットがあるかどうかという判断で、なかなか北朝鮮は前向きになっているように見えないのですけれども、そのあたりはどう考えますか?」
磐村氏
「2つ、ちょっとお話をしたいと思うのですが、1つは、これまで金正恩委員長がやっている小首脳外交、これはいずれも中国、韓国、アメリカ、全部平壌からシグナルを出して展開しています。ただ、そのシグナルがどうも東京には届いてこない。むしろ東京の方からシグナルを出している。そのベクトルの違いが1つ背景の基本にあるということを踏まえて言うと、日本が北朝鮮にとってこれだけ必要なのだということをアピールするようなアプローチというものが必要になってくると思うんですよね。それは何かと言うと、この日朝平壌宣言にある経済協力の部分だろうと思います。特に現在、北朝鮮が非核化に向かいますよと、米朝首脳会談もやったということで現在、韓国と中国はヨーイ、ドンでもう制裁の緩和・解除に動き出そうと…」
松山キャスター
「そっちの方向に動いている感じですね?」
磐村氏
「ただ、実は、それは北朝鮮にとっては必ずしもウエルカムではありません」
松山キャスター
「そうなですか?」
磐村氏
「はい、と私は思います。まず、中国に飲み込まれる、一帯一路がございます。中国の、いわゆるバラ撒きと言っちゃアレですけれど、大きな、巨大な経済構造に飲み込まれてしまう、人民元経済圏になってしまいかねない。韓国も同じ。北朝鮮が1番恐れるのは吸収統一です。韓国の経済力で飲み込まれてしまう。実は北朝鮮、支援はほしいけど、全部それには依存したくないというのが韓国と、中国と朝鮮の関係です。日本はどうか。別に日本は北朝鮮を併合しようとか、そんなことは考えていませんよね、誰も。軍事力も脅威ではない。1番はある意味、ニュートラルに経済支援のプロジェクトを進められる相手というのは日本なのだという部分をアピールして突き動かすということも検討してもいいのではないかなと思います」
松山キャスター
「そういう立ち位置もあるということですね」
磐村氏
「ええ」

拉致問題解決への道筋
松山キャスター
「拉致問題の解決という時に、河井さん、日本としてはどの段階で拉致問題が本当に解決したと言えるのかという、この線引きの問題がありますね。これはどう考えていますか?」
河井議員
「これはもう常に一貫してぶれずに主張してきたことを私は貫いていくべきだと考えます。つまり、全ての拉致被害者、即時一括全員の帰国を目指す。日本政府が認定した拉致被害者の方々17名のうち、まだ12名が帰ってきていません。さらに拉致の可能性を排除できない事案が883名。ひょっとしたら、それ以外にも、その他にもいらっしゃるかもしれない。その全ての拉致被害者の皆さんの安全の確保、即時の帰国、これはずっと言い続けるべきだと、主張していくべきだと考えます」
松山キャスター
「中林さんは、拉致問題については、日本はどの段階をもって解決したと言えると考えますか?」
中林教授
「これは、おそらく安倍総理が最後はお決めにならなければならない非常に難しい問題であると思います。おそらくそれは民意とも、日本の国民の民意ともかかわってくると考えます。ただし、私は全員の方がしっかり帰ってくること、そのために北朝鮮が全力を尽くして全ての人を、誠意もって調査してくれなければ始まりません。それが正直レポートされて、1人残らず疑いのある人がどうなっているのかということもきちんと調査をさせるぐらいに日本が強く、ここを主張していかなければいけない部分ですし、国家の責務だと思うんですね。ですから、800人以上、もしかしたら900人以上かもしれませんけれど、そういった人達の本当に不遇な現在の状況を解決していくのが、拉致問題が解決されたと言い切れる段階だと思います」
松山キャスター
「磐村さんはいかがですか?」
磐村氏
「うーん、これは難しいのですけれど。何をもって解決したのか、したと言えるのか、これはひょっとしたら安倍首相が、もしくは日本政府が、解決したと言うよりも、被害者の家族の方々、これが納得するという段階に至るまではなかなか解決したとは言い切れないのではないのかなと思います」
松山キャスター
「逆に、北朝鮮としては何をもって解決かというのがわからないということが、日本との接触を難しくしている側面というのはあるのですか?」
磐村氏
「現実問題として何をもって日本が納得するのかというところはずっとこの16年間、わからないまま。それから、実はそれについてはアメリカや韓国、中国も6か国協議をやっていた時なんかもよく出ましたけれども、日本の代表に、何をもって解決なのだということを問い続けてきました。これを日本側がこの原則をあらためてきちんと言うと。同時に、私はちょっと順番を入れ替えて、認定をされている方々、疑いのある方々という枠を外して、とにかくまず北朝鮮側が調べて、生きている日本人がいるなら、もう即座に帰すと。問題は、話し合いはそこからだというような、やり方というのもあってもいいのではないかなと思います」
松山キャスター
「飯島さんはどうですか?何をもって拉致問題が解決と見るべきか?」
飯島氏
「まず交渉をする前に在日朝鮮人や北朝鮮の人間は100%信用できないという前提から成り立っている、制裁処置をやったりしている。これでは前に進むわけないの。これが違った状態で、ここだけはなるほどというような状態にまず精神的にならなければ拉致の交渉は100%意味がない。問題は、全員生きて帰って来るという言葉ですね。仮に意に反した結果の場合、それを認めるか、認めないかという問題がある。ここらへんの、アレというのは大変な交渉になりますね。だから、これはまったくわかりません。現在の状態でいったら、即座の解決はあり得ないと私は断定せざるを得ないです」
松山キャスター
「まずは北朝鮮との交渉を何らかの形で始めて、その中で…」
飯島氏
「始める前に信頼できる状態、お互いの、そういうアレができるかどうか。これが全部解決すれば、日朝の絆が太くなるわけですから。ここらへんが、相手がどう思ってくれるかという、いわゆる状況をどうやって、そうつくるのか、それでスタートするか、この最初の一歩のところの構築がすごく大変ですね」
松山キャスター
「あともう1つ、2014年の北朝鮮と日本との間でのストックホルム合意というのがありますよね?その時に、いわゆる共同での調査という話も盛り込まれましたけれども、それも現在の段階ではほとんど行き詰まってしまっていると…」
飯島氏
「いや、だけど、北朝鮮の方では公表しているように、ストックホルムの合意は死んでいないというのを昨年暮れにも発信してきていますから、日本側に対して」
松山キャスター
「そこを出発点にして、まずは共同での調査という方向に何とかもっていく、日本も積極的にそこに関与していく、そういう姿勢は考えられないですか?」
飯島氏
「ただ、日本では共同調査っつっても、どうですか。日本ではバックグラウンドの材料が何にもないわけですよ」
磐村氏
「ないし、日本側が警戒しているのは、共同調査をやったということは責任を持たされるわけですよ、その結果に対して、共同で責任を持つと。そうすると、ああ、もう日本が解決したと認めましたね、というような流れをつくられやすくなってしまうという部分があると思います。そこが、ちょっと日本側が警戒している部分ですね」
飯島氏
「それ、まさに、そういうことですよ。どこに誰がというのがわからなくて、調査のしようがないですよ」
松山キャスター
「ストックホルム合意も引き続いて、継続しているという北朝鮮からの見解があったと現在、飯島さんからもありましたけれども、当然、日朝平壌宣言についても同じスタンスで北朝鮮はいると考えてよろしいのですか?」
飯島氏
「いや、だから、ある程度話し合うって信頼に至る交渉人が誰かということですね。ただ、はっきり言って、小泉総理が訪朝した時、まさに安否情報、アレも、たぶん北朝鮮はドタバタしたと思うの。内閣総理大臣が行って、北朝鮮の、日本で言う総理大臣というのは国防委員会委員長なんです。つまり、トップ同士の会談の中で安否情報の資料が、当時、イギリスの公使だった梅本さんに託されているの。差出人が朝鮮赤十字社、宛先が日本赤十字社御中、総理に来たの。文書を見ると、たぶん3つの組織ではないかなと思うんですね、回答の羅列が。トータルすると、どこどこで事故で死んだとか、こうだっつうアレになっていますが、これは、向こうの回答はあまりドタバタした状態の安否情報ですから、私個人としては本当にこれ?という感じ…」
松山キャスター
「信ぴょう性がまだ?」
飯島氏
「ええ。ですから、それは十分精査しなければいけない。だけど、共同で調査と言ったって、お墓がどこにあるかもわからなくて、地滑りで亡くなったって、これは無理ですよ、まさに」

飯島勲 内閣官房参与の提言:『完結和平』
飯島氏
「私は、ともかく第2次安倍内閣で『完結和平』、そこまで持ち込んでもらいたい、また、期待しています」
松山キャスター
「その和平というのは?」
飯島氏
「つまり、平壌宣言に基づいて、全部完結に着地させて、それで日朝の平和的な経済協力を含めたアレをやっていってほしい。世界で1番埋もれた手つかずの地下資源が700兆円ぐらいある。こういうことも含めて友好的にやりたい。そのためには第一歩の前に、先ほど言ったように、ただ信用できないではなくて、信用できなかったら話になりませんから、どういう部分で信用し、在日朝鮮人のアレも、理解を得られる精神的なアレをまずやって、速やかに、それから、進めて完結してもらいたい。それが私の願いであり、期待しています」

河井克行 自由民主党総裁外交特別補佐の提言:『守るべきことは守りつつ、新しい柔軟な発想も』
河井議員
「首脳会談を焦る必要はまったくない。同時に、拉致で進展がないのに総理が金正恩委員長に会うことはできない。これが、守るべきものは守りつつという意味です。そのうえで新しい柔軟な発想。たとえば、現在の日露交渉のように役所のこれまでの積み上げではない、つまり、安倍総理が、政治的な判断ができる空間というものは用意されるべきだと考えます」

中林美恵子 早稲田大学教授の提言:『カードを増やす』
中林教授
「『カードを増やす』。これは、交渉のカードという意味もありますけれども、現在、日本と北朝鮮をめぐる国際環境というのは大きく変わったと思うんです。たとえば、小泉政権の頃はアメリカが、日本が直接、北朝鮮と交渉することに最初は反対していたんですよね。そのあとアーミテージ国務副長官などから助言もあって、柔軟になって、小泉総理は直接北朝鮮と交渉できましたけれど。アメリカからしたら核がしっかり解決しないうちに何を、そんな緩んだことをというような気持ちが当時はあったわけです、特にネオコン側。ブッシュ政権のネオコンの人達が中心になって最初はかなり反発がありました。それが現在ないというのは、トランプ政権のまた大きな実は果実でもあるわけです。それどころか拉致被害の問題をテーブルの上にあげてくれ、そのチャンスを今回、橋渡ししているという部分もあります。にもかかわらず、日本はカードが減っているような気もするんです。なぜなら北朝鮮に対して中国も、ロシアも、また、いろいろなことを言ってきています。それから、アメリカは最大限の圧力ということで、もちろん、日本とある程度の歩調はありますけれども、なんとなく韓国との軍事演習も減っていくのではないか、在韓米軍はどうなるのか、では、経済制裁がどこまでいくのか、もし、ICBM、長距離弾道ミサイルだけ廃棄して、日本が心配している中距離・短距離・科学兵器その他はどうなるのか。そういったところも含めると、まだまだ日本のカードというものが少ないうちはなかなか北朝鮮と交渉できない。だったら全て使えるものは、もちろん、日本の中の直接のカード、人脈、それから、諜報機関の情報、個人的な人間関係、全部使わなければいけませんし、さらに外にあるカードもドンドン集めていく必要があると。アメリカもまだまだ日本は使っていかなければいけないという状況にあると思います」
松山キャスター
「1つのカードとして、トランプ大統領と安倍総理との緊密な関係によるトランプカードというのがあと?」
中林教授
「そうですね。そこがどれくらいこれから効力を保ってくれるのかというのはわかりませんけれども、あらゆるチャンスを掴んで、全てを使っていくということです」

磐村和哉 共同通信社編集委員兼論説委員の提言:『日本の必要性 アピール』
磐村氏
「『日本の必要性』、独自の必要性というのはアピールすべきだろう。現在、平壌からは積極的なシグナルが届いてるかどうかはわかりませんけれども、振り向かせるためのアピールというものが必要で。それは河井さんがおっしゃるように、新しい柔軟な発想というものも含まれます。ただ、私、1点気をつけなければいけないと思うのは、アリバイ的に北朝鮮が安倍首相と会うというようなことを避けないといけないと思います。つまり、シンゾー・ドナルドの関係があるから、ワシントンの目を意識して日本と会うと。それでトランプ大統領が機嫌良くなってくれたら、もう北朝鮮としてはOKだ、みたいな。そういった流れだけは気をつけないといけないなと思います」
松山キャスター
「日本としては、日本の主張をきちんと言って、成果がある時だけ会うべきだと」
磐村氏
「そうですね、会うべきだと思います」