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2018年6月18日(月)
検証!骨太の方針2018 社会保障費の削減規模は

ゲスト

片山さつき
自由民主党政務調査会長代理 参議院議員
長妻昭
立憲民主党代表代行 政務調査会長 衆議院議員
中島厚志
経済産業研究所理事長

両立可能? 成長と財政再建
竹内キャスター
「先週金曜日に政府の経済財政運営の指針、いわゆる『骨太の方針』が閣議決定されました。骨太の方針を検証し、今後の経済財政運営のあり方について考えていきます。先週金曜に閣議決定された政府の経済財政運営の指針、いわゆる『骨太の方針』では、プライマリーバランス、基礎的財政収支の黒字化目標の延期が明記されましたが、まずはプライマリーバランスの実情がどうなっているのか見ていきたいと思います。そもそもプライマリーバランスと税収など、国債発行以外の収入で政策にかかる費用を賄えているかというものです。今年度の予算を例に見てみますと、税収がおよそ59.1兆円、その他が4.9兆円で64兆円以内に政策にかかる費用を抑える必要があります。ですが、政策にかかる費用を見てみると、およそ74.4兆円と収入を大きく上まわっていて、プライマリーバランスは10.4兆円の赤字となっています。これを国債発行で賄っているという現状です。長妻さん、いかがですか、この現状?」
長妻議員
「そうですね。結局、安倍内閣は経済成長が全てを解決すると言わんばかりの運営をしてきて。特に、非常に深刻なのは、経済成長率を非常に高めに発表すると、あっ、将来これだけ税収があるのだと、では、現在これだけお金使っちゃっても大丈夫だというようなことで予算が膨張すると。ところが、その経済成長率がなかなか当たったためしがない。現実に税収は予想よりも上がらず、でも、その予想通りに支出しちゃったから赤字が増えて借金が積み上がると。GDP(国内総生産)比で、地方・国を合わせて200%、2倍ぐらいの借金になっているというようなことなので。今回もプライマリーバランス、2000年から5年先送りしましたけれども、経済成長率の予想を見ますと、5年後もこれ達成できないのではないかと危惧するんですね」
松山キャスター
「かなり高い経済成長率しないと厳しい数字にはなっていますね?」
長妻議員
「そうなんです。5年先送りしたのにそれさえ達成する見込みがないと。だから、私は経済成長率を最悪の数字と、このぐらいかなという予想の数字、2つ出して、キチッと国民の皆さんに説明するというようなことも必要なのではないかと思います」
松山キャスター
「片山さん、プライマリーバランスの黒字化目標、5年先送りということになったわけですけれども、これについては当初の見通しが、あるいは甘かったか、あるいは外的要因がいろいろ、消費税が上げられなかったとか、いろいろな要因あると思うのですけれも」
片山議員
「うん、そうですね」
松山キャスター
「どういう要因が1番大きかったと?」
片山議員
「でも、消費税を先送りした時に、国際的な経済学者を官邸に呼んだりして、その外的要因もあって、我々がその成長戦略でチャレンジしたほどには確かに成長率が上がらなかったけれども。でも、その前の3年限りは、我々は拡大経済に転じた、マインドも変えたという意味ではこの道しかないということで続けているわけですけれども。そのうえで今年重要なのは、そこはわかっていただきたいのは、デフレギャップというのですかね、一応、ギャップが内閣府の数字だと解消していると。これまではギャップがあって、ギャップを埋めるということから始めて、そのための景気対策とか、そういう話だったのが、今度は成長するにはサプライサイドだと。サプライサイドで何だろうと言うと、生産性革命による生産性向上で潜在成長率を上げることと、あと経済の規模というのはP×Qですから、そのQの方の生産年齢人口、働き手、それが女性活躍であったり、1億総活躍であったり、これから議論に出てくる海外の方のこともありますけれども、高齢者の活用であったり、そこを徹底的にやっていく『人づくり革命』ということで対応していけば、我々は2%、3%という数字はできると思うし、そうではない見通しも今年1月の見通しには出していますが、それらを考え、これまでと同じようなペースの歳出削減も組み合わせれば、2024年ぐらいにプライマリーバランスがプラス化するという数字もできるのですけれど、歳出が自然体であって、削らない、あるいは削れないような経済情勢のことも考え、そうして2026、2027にいくと、その間の2025年を目標としたわけですよね」
松山キャスター
「中島さん、現在は赤字という状況が続いているということで、プライマリーリバランスの目標を5年先送りという状況に現在なっているわけですけれど、この現状と受け止めていますか?」
中島氏
「実際に、確かに経済再生なくして財政健全化なしというのは正しいんですね。ただ、数年前から、景気は回復している、あるいは外需で成長率がかさ上げされている、あるいは金融緩和でこれもまた景気を支えている、といった条件が揃っているわけですね。ですから、本来であれば、こういう環境の中では結構プライマリーバランスの改善というのは出てくるのが、残念ながらこの2年間はちょっと足踏みしているんですよ。ですから、その点はもう少し加速するような状況があっていいと思うんですね。それが1つですけど。もう1つは、経済の需給が、需要が多くなったということが、この1年間ぐらいで起きてきていて。そういう意味で景気が良くなる素地がさらに一段と強固になったというような経済環境に実はある面でなっているんですね。ところが、それにもかかわらず財政赤字というのがなかなか減らない。ここはもうちょっとスピードアップする必要があるし、もう現在の環境から言うと、それがさらに力強くできるようになってきた。とは言っても名目成長3%、実質2%の目標というのは…」
松山キャスター
「かなり高い目標ですよね?」
中島氏
「これは高いですね。日本の本来の潜在的な成長力が1%弱と言われてますから、それから見ても、それを超えるような現在成長をしているわけですね。ところが、それでも足りないということなので。ここのところが実際に歳出抑制、歳入増も含めて対応していくということをピッチアップするということは考えなくてはいけないと思いますね」
松山キャスター
「両方をやらなければならない?」
中島氏
「はい」

財政健全化『先送り』の是非
松山キャスター
「プライマリーバランスの黒字化の目標を先送りについて、今回の骨太の方針の中ではこういう理由の説明がなされていまして、『成長の低下によって税収の伸びが鈍化した』と。あと『消費増税の延期や補正予算の影響がある』と。あとは『消費税収の使途の変更』ですね、幼児教育の無償化など使途を変更したという。こういったことが影響して、2020年度という達成目標はいったん置いておいて、あらためて今回の骨太の方針では2025年度に達成すると、黒字化を達成すると5年先延ばししたということですが、長妻さん、この説明はどうですか、納得いきますか?」
長妻氏
「これは、だって説明になっていないですよね。黒字化をするという一定の成長の数字も出して国会でも何度も答弁している。でも、成長ができなかったからですと言うのは、これは理由になってないわけですよね。なぜ成長できなかったのか、なぜその数値目標、ある意味では、バブル期が最後のぐらいの、名目3%超とか、そういう数値目標を掲げているわけで、それについて何の説明もない。ですから、ちゃんと反省に立てば、今後の政府が出してくる経済成長の見込み、これについても再検証して、本当に現実可能な、実行可能な数値目標を出すというようなことに、強烈な反省をして、この数値の出し方というのを見直す必要が出てくると思うのですが、そういう感じが、いや、成長しませんでしたという、あっさり理由もなく言われるということは非常に不可解であります」
松山キャスター
「片山さん、どうですか?アベノミクスの3本の矢の3つ目は成長戦略ということを言われたわけですけれども、成長戦略を目標としていながらも、成長低下によって税収の伸びが鈍化したということを理由に挙げている。成長戦略がまだうまく機能してないということなのですか?」
片山議員
「その成長戦略の背景にあるものは、我が国も含めて、本当に動きの速いグローバル経済の中で戦っていくということで。たとえば、急速に電気自動車への移行が進む中国マーケットをどうするのかとか、エネルギーについてもコストはドンドン世界では下がっている。ヘルスケアも1か月経ったら新しい、バイオの世界ですね、それにキャッチアップするというか、それに勝っていくしかないわけですよね。日本の場合は、人件費やコストが高い国ですから、ハイエンドで勝つしかないわけですから、その戦略を打つために『Society 5.0』とか、『第4次生産性革命』でAI(人工知能)とか、本当にデータベースを広げてビッグデータとか、インターネット・オブ・シングス、あるいはインターネット・オブ・ヒューマンヘルスでもいいですけれど。そういう形で、ハイエンドのところで日本が勝ちにいくような形をつくる。そのために人材投資をしたいので、我々はそれを選挙の公約というか、中心に据えて人づくり革命で、これまで、今度、5.4兆円の税収が2%で入ってくるわけですけれども、消費税ですね、来年の。それを初めて骨太に明記したうえで、その使途を昨年の人づくり革命で変えた。その選挙でご信任をいただいて、引き続き与党をやらせていただいて。これまでは1兆円だったのが、だいたい半分は社会保障や教育に使って、それでさらなる成長の糧を得ようと。それこそが我が国が長期的に目指すべき国のあり方、そのやり方でしか長いこと、サステナブルに成長国家でいられないという方向へ転換したわけだから。それは大きな政策変更を伴いながら、常に我々は毎年、毎年状況を見て考えながらやっているので、決して反省がないと言われてしまうと大変辛くて。前政権の最後で我々がいただいた国と地方のプライマリーバランスは、GDP比-5.5で、2018年は-2.9ですから、悪くはないということを、テレビをご覧の皆様にも敢えて強調したいですね」
長妻議員
「ただ、現在、長々とお話になりましたけれども。これからこうするという話で、聞いているのはなぜ成長できなかったのかということなんですよね。だから、現在、これだけ高い成長率がなかなか難しいのであれば、非常に自民党も罪なのは高い成長率を掲げて、それだけ税収が入ると見積もったうえ、ドンドン支出をして赤字を結局増やしているわけであります。我々は、この2016年の政府の成長戦略を分析しましたが、134政策があるんです。今年1月時点で目標達成しているのは半分もない、半分を下まわっているということで。にもかかわらず、また、新たなことを現在おっしゃったようなことをドンドン花火上げていくというようなことでは、なかなか私は日本の経済、難しいと。我々は人への投資をキチッとして、職業訓練も含めて、先進国で20位まで労働生産性、稼ぐ力が下がってしまった現状を直視して、『生産性革命』と政府はおっしゃっていますけれども、おっしゃっている裏腹に労働法制をドンドン緩めて、長時間死ぬまで働かすような、生産性を低めるような方向にもっていっているというのは、我々は非常に不可解であるということで。我々は労働法制をキチッと強めるところは強めて、どんなご家庭に生まれても、能力と意欲があれば、そういう方々が力を発揮できるようなそういう社会をつくるという、まずこの経済の基盤を固めるということを最優先でやらなければいけない。経済成長率は正直に出すと」

消費増税と景気減速リスク
松山キャスター
「中島さん、政府側の説明として黒字化目標が達成できない理由、1つには消費増税、その使途変更があったという指摘もありましたけれども…」
中島氏
「はい」
松山キャスター
「このあたり、使い道を変更したこと、これ自体は財政政策としては理にかなったものだと考えますか?」
中島氏
「財政の健全化から言えば、残念ながら道半ばになってしまうのですけれども。ただ、使途変更の中身の幼児教育の無償化というのは、これは長期的に見れば、格差是正とか、人材の高度化というか、活用にはプラスだというのが、日本では…、だけではなく、アメリカでそういう実証研究が出たりしていますから。ですから、長期的に見ると、人材に投資するというのは効果があるんですね。ただ問題は、それはそれとしてやらなくてはいけないのですけど、短期的な、これまでもお話があったように、2025年のプライマリーバランス黒字化、その前は2020年度であったわけですから、このステップの中でいったいどのタイミングでどういう政策を打つのかという、そこの状況が1つ大きなポイントですね。私自身は消費税の引き上げがなくなったわけではないので、使途を入れ替えるということですから、完全にダメということではないのですけれど。ただ他方で、そういう形でお金も歳出を増やすのであれば、消費税も上げるということはあるにしても、その金額が減った分だけ他で歳出入の改革というものも加速するというような、全体としての数字を調整するという動きがあってもよかった、いいのではないかと思いますね」
松山キャスター
「中島さんが言う消費税の増税については、今回その骨太の方針の中にはっきりと明記されたわけですけども…」
片山議員
「そうですね、初めて」
松山キャスター
「『社会保障の安定財源を確保し、消費の拡大を通じて経済活性化につなげるため、2019年10月1日に予定されている消費税率8%から10%への引き上げを実現する必要がある』と、こういう形で盛り盛りこまれたわけですけれど、これは一定の評価はできる?」
中島氏
「ええ、盛り込まれたことは、これは大変評価したいですね。と言うのは、これはヨーロッパ、欧州連合にしても、EUですけれども、あるいはアメリカにしても、第3者の公的な機関が、財政規律というものをちゃんとその指針を出して、それを監視しているという具合になっているわけですね。EUであれば欧州委員会、あるいはアメリカがあれば議会に予算局というのがあって、それで見ているわけです。日本にはそういうものはないので、自己規律しかないですね。ですから、そういうものをある意味だと規律を高めるということをまさに骨太の方針で明記していると、これは評価されますね」
松山キャスター
「長妻さん、消費税率の引上げを明記されたということ、これについてはどう考えますか?」
長妻議員
「実は明記されたと裏腹に、これもこれまでに前例のないことがセットで明記されているんですね。と言うのは、消費税をこういうふうに上げるということと同時に、その影響を緩和するために、経済のダメージを2019年と2020年度、2か年度にわたって当初予算で、消費税の対策、景気対策を打つということも明記されている。当初予算で、景気対策すると財政諮問会議、骨太の方針というのは私、初めて…」
松山キャスター
「補正ではなく、当初予算でやると?」
長妻議員
「それで、そこにはいろいろな景気対策、相当、数兆円に拡大するのではないかという懸念もありますし、フリップでも『必要がある』というような非常にそういう書き方でありまして、これは先送りを何度もされているので、総理は。また、先送りが別にできないわけではない書き方なので。消費増税を先送りして景気対策だけ先行してやるということになると、2019年度予算、来年度予算から、当初から、消費税の対策、景気対策が入るわけで。その後、数か月前に消費増税がストップしたら、それだけまた赤字拡大ということになりかねないので、このへんは私、非常に心配なところです」
片山議員
「それはないですよね」
松山キャスター
「この表現が、長妻さんはまだ先送りの可能性があるのではないかと?『必要がある』という言い逃れができる言い方だと…」
片山議員
「それはリーマン・ショック級のことが起きればということ以外はあり得ないから…」
長妻議員
「プラス…相当、2か年度にわたって当初予算で消費税対策をドーンとやりますというような趣旨の形で骨太方針に書かれているというのは初めてだと思うんです。ですから、せっかく消費税を上げたとしても、相当な景気対策をやれば、帳消しになるとは言いませんけれども、どれだけのマイナスになるのか、非常に財政規律の面で心配だと」

高齢社会『成長の処方箋』は
竹内キャスター
「骨太の方針を策定するにあたって出された有識者によるプライマリーバランス黒字化の試算を見てみますと、現状に近い名目成長率1%程度で進めば、黒字化は見えてきませんが。名目3%以上の成長率で推移した場合は2027年度に黒字化を達成するという、その可能性があるとされています。さらに毎年およそ1.3兆円、6年間で8兆円の歳出を削減すれば2024年度には黒字化に達する可能性があると試算されています。つまり、名目成長率を3%に押し上げて税収を増やすことで歳入を改善し、予算や政策の見直しなどで毎年1.3兆円削減することで歳出も改善されます。これが2024年度まで継続できた場合に赤字が解消されるということです。片山さん、なかなかハードルの高いという印象なのですが」
片山議員
「うん、厳しくはあるのですけれども、まず成長が前提となるかということと。あと、我が国が超少子高齢化で、これから非常に厳しい状況を迎えるということがございまして、75歳以上になると急に医療・介護についての予算がグンと伸びるわけです。これから実は何年か、戦中・戦後直後に生まれた方が少ないので、社会保障の当然増が少ない時期がくるんです。ここからこの3年が大変なのは、団塊の世代の1番人口のボリュームゾーンの方が75歳になるので、その全部が75歳になる2025年までに一応のメドをつけてしまわないと、あとが大変ということが実際に出てくるという、切迫した事情。つまり、維持していくのには、人口の極端なコブ、極端な増減の、鋭角なカーブを乗り越えていかなければいけないので。だから、毎年、毎年の努力と言っても違ってきちゃうということ。当然増がどのぐらいになるのか、ここまで違う時というのはこの数年以内にはありませんので、そこを現実的に考えていきたいんですね」
松山キャスター
「まさにこの2020年度、2021年度、いわゆる終戦前後の頃に生まれた世代が、確かに人口が少ないということで、ここのタイミングを逃すと今後、財政収支のバランスをとっていくためには相当厳しくなるということで…」
片山議員
「そうですね」
松山キャスター
「ここで何とか、改善したいという?」
片山議員
「ここの3年間は、我々、基盤強化期間として2020年度に、しっかりした社会保障を含めた計画を、2020年度中につくっていこうということまで明記してあるので。決してその間に、何もしないわけではないし、中間の、2021年のところでチェックポイントみたいな、半減チェックポイントみたいものを入れているのも、その基盤強化期間があるからで。決して毎年手をこまねいているつもりはまったくないです」
松山キャスター
「中島さん、若干楽観的ではないかという見方もあるようですけれども、どう見ていますか?」
中島氏
「いや、楽観的と言うよりは、かなりハードルは高いなということで。それで、ただ、私自身は先ほど、ちょっとありましたけれども、第4次産業革命、これが少しそれを支えることになるのかなと期待はしているんですね。と言うのは、第4次産業革命はご案内の通り、人工知能とか、あるいはネットにあらゆるものがつながる、インターネット・シングスですね、あるいはロボット、あるいはビッグデータ、こういうものが処理されて、機械が自律的に、いろいろな処理をするということですね。実はそういう中で特に日本に期待が大きいのはこれですね。と言うのは、日本の場合には2000年ぐらいからIT(情報技術)投資の全投資に占める割合というのが横ばいになっていまして、これは、欧米諸国は上がっているんです。ところが、その間、2000年以降も、1990年も同じような上がり方をしていた非正規雇用者の全雇用者に占める割合が上がり続けている。現在でも下がってはいないですね、40%近い水準で高止まりしているわけですね。言い換えると、ある一因としては、柔軟で安い非正規の人達の方を、IT投資するということよりも企業が優先してきている面があるのではないかということなんですね」
松山キャスター
「正規雇用が多くなった場合、それが逆にIT化を拒んでいるという状況になっている?」
中島氏
「そうですね。企業としては、むしろ柔軟で安いという人件費であれば、それを使った方が有利だと。ところが、現在は状況が変わってきていますし、まさに第4次産業革命が近いということになれば、これは当然のことながらITへの投資の費用も安くなってくる。企業として少し欧米に比べて出遅れていたIT投資をするチャンス」
片山議員
「いや、まさにその通りなので…」
中島氏
「ええ、それが成長を高めるという」
長妻議員
「非正規雇用が増えると解雇しやすい、いつでも解雇できるから企業は十分な社内教育をしないと、IT装備もさせないと、こういう状況で。あとIT投資も先進国で最も低い部類に日本がなっていると。この2つが生産性の上がらない大きな理由だと。内閣府に私が聞きまして初めて文書が出てきたのですが、労働生産性が高くならない日本の最大の理由の1つは非正規雇用の比率が高いことだと、これは政府も初めて認めているわけで。私が自民党に言いたいのは…」
片山議員
「え…」
長妻議員
「労働法制をここまで緩めて、非正規雇用を4割まで拡大したのはいったい何なのだと、誰なのだと。小泉内閣からドンドン緩めて、職業教育も、不十分なままですね。ですから、その反省に立てばいいのですけれども。現在の労働法制の議論、来週ぐらいに強行採決とも言われていますが、今週かな、労働法制はドンドンまた緩める方向にいっているので、それは違うと」

社会保障費『膨張』と日本財政
竹内キャスター
「ここからは2025年度プライマリーバランス黒字化に向けた前提条件の2つ目、歳出の削減について話を聞いていきます。日本の財政支出のうち3分の1を占めるのが、社会保障費と言われていますが、政府は2016年度からの3年間を集中改革期間と定めまして、社会保障費の高齢化に伴う自然増を毎年5000億円以内に抑制してきました。2016年度は薬価改定などで1700億円、2017年度は高額療養費見直しなどで1400億円、2018年度が薬価制度改革などで1300億円です。今回、出された骨太の方針では、来年度以降について具体的な数値目標は示されず、『これまでと同様の歳出改革努力を継続する』、このようにされています。片山さん、今後の社会保障費の抑制ついて具体的な目標設計がされていないというのはなぜなのでしょうか?」
片山議員
「また、もう1回、出てくるのですけれども、これは、前の3年間についてはだいたい同じようなペースで必要額が増えてくる、たとえば、5000億円ぐらい増えていくことを前提に、それをさせるということで揃っていたのですけれども。ここからの3年間がこうなわけで、そもそもあまり必要額が増えないかもしれないところと、そのパーセンテージのずれがあるので、一律のキャップがはまらなかったというのが1番正直な理由であって。そのスタート台というのですか、発射台が違うことを前提としながら、たとえば、医療費が1番、年金のように『入るをはかり、出ずるを制す』の改革ができていないですから、費用対効果の問題ですとか、まさに、受益と負担の問題ですとか、かかりつけ医をどうするとか、それから、薬価は毎年のように上がっていますね、ジェネリックも含めて。あとベッド数を抑えていく、人口が減っていくわけですからどうするのかとか、そういうことも全部、論点はそろそろ出揃っていて、その改革をまとめたものを2020年度に出そうかなということを今回、書いておりまして。先ほど、ちょっと出たのですけれども、補正も含めて、プライマリーバランスを2025年に黒字化するということの中には補正も入っていますので。たとえ、消費税引き上げに伴う駆け込み反動への対策をやるとして、それを織り込んでもそこまでいくということなので、この集中改革は相当キチッとやらなければいけないと。様々なメニューについては今申し上げたように出ていると思います。それをどこまで決断できるかということではないかと」

社会保障改革と歳出抑制
松山キャスター
「抑制の目標自体、長妻さんはそこにこだわるべきものではないという考えですか?それとも、これまでの通り毎年度5000億円とかに設定するべきかどうか?」
長妻議員
「仮に金額を決めていくらとか、キャップをはめて、今回しないわけですけど、キャップをはめてしまうと、私は非常に無理が発生していくと。一見、国の支出を抑えると、あっ、これは国の支出が助かったなと思いがちなのですけれども、たとえば、必要な国の支出を抑えてしまうと、その分自己負担が増えたり、家族の負担が増えたり、自分の負担が増えたり、あるいは職場を辞めて親を介護しなければいけなくなったり、介護が削られると。そういう形で別のところにしわ寄せがきて、国民トータルで見ると社会のあり方や経済の基盤という意味ではマイナスになりかねないので。本当に必要なものについても、数値目標でバサッとやるというのは、慎重に考えなければいけないと思っています」
松山キャスター
「中島さんはどうですか?長妻さんは数値目標をきっちりと決めることも、また、それはそれで問題点があるということですけれども」
中島氏
「確かに、これから数年間、片山先生がおっしゃったように。高齢者、後期高齢者の増加はちょっと抑えられますからね。むしろ数値目標を決めると、それはむしろ過大に歳出になる懸念もあるんですね。そういう意味だと、この数年間は、数値目標はないと思うんですね。ただ、全体としては社会保障費の増大をどうやって抑制するかということは必要で。ただ、無理な抑制をするというのは、これあってはなりませんので。私は公助と、共助と、自助ですね、これをバランスよく組み上げていく。そういう意味だと、たとえば、自助の部分で言えば、どのように自分が健康寿命を延ばすかということもありますし、また、自助につがるという意味だと、あとは定年制ですよね。たとえば、イギリスは定年68歳に、まだこれから20年ぐらいかけるのですけれど、上げていこうとしてるわけですね。あるいはフランスも62歳から67歳のレンジの中で定年を迎えることができるという意味で上限を上げている。という中にあって、日本もこれから社会の環境整備というのも大事なのですけれども、いかに年金の受給年齢を高めるか。不合理にならない範囲で、高めていくかという努力はさらにする余地はあるんだと思いますね」
片山議員
「いや、おっしゃると通りで。今回、骨太の方針で1番大きな転換の1つは、まず公務員について65歳、国も地方も定年を65歳まで、年金の支給開始が2025年に65歳になるので、もっていくと。民間についてもできるだけ定年という考えをやめて、長く働いてもらうと。1回切って継続雇用ではなくて長く働いてもらって、エイジフリー社会というのですか、エイジレス社会、何歳だったらダメだとことではなくて、体力が5歳から10歳若返っているんですよ。ですから、できるわけですから。能力とやる気に応じて社会参加年齢を健康寿命と同じにする。つまり、現在、アメリカは64歳ぐらいまで男性は働くことを平均化して民間年金を組んでいるんですね。男性の平均寿命が79歳でしょう。日本は現在60歳法定定年で、65歳になった男性は85歳まで平均的に全部生きていらっしゃるんですよ。そうすると、こんなに間が開いてる国はないだろう、どうするのだと考えたら、もしもその気がおありになるのだったら、そういう形にして、働いている間はあとでもらった人は年金をウンと高くできるような設計にできるわけです。その代わり、私達は強制的な年金の支給開始年齢の繰り上げはしません。それは期待を裏切るから絶対やらない。早くもらいたい方は少なくもらい、65歳は平均的にもらい、70歳まで働いていたい方は、在職老齢年金も見直して、四十何万になったらカットするということをしないで、その代わり、また年金に入って働いてる間は払うから、またポンと増えて、辞めたらまたというふうに、ストップ&ゴーにできるようなことを、参議院の方ではそこまで提言しているんです」
松山キャスター
「実際、片山さんが話された在職老齢年金の支給停止…」
片山議員
「はい、四十何万…」
松山キャスター
「ある程度、お金を稼いでいる人には年金が止まってしまうという現在の制度を見直す?」
片山議員
「見直す…」
松山キャスター
「それは本格的な政策として、今後取り組んでいく?」
片山議員
「それは完全廃止ではなく、その見直しというか、そこを検討するということはもう踏み込んでいますし、特に参議院の政審の方では完全に撤廃したうえに、ストップ&ゴーにできるように柔軟化、1人、1人が人生100年の設計をできるようにしようというところまでもう考えていますね」
松山キャスター
「ここまで、プライマリーバランスの黒字化に向けた方策についていろいろ議論してきましたけれども、大きく分けて方策としては歳出を減らすのか、あるいは歳入を増やすための成長戦略、何らかの新しい戦略を描くのか、そういった2つ、それのコンビネーションだという話がありましたけれども。中島さんは1番の決め手になるポイントというのは、どのあたりにあると考えますか?」
中島氏
「これは一緒にやるしかないですね。ただ、財政が大変な深刻な赤字状態にありますので、しかも、本来だったら歳入を増やすよりは歳出を抑制する方が、あまり痛みが見えないですね。ただ、この財政の深刻度を考えると両方一緒にやるしかないと思いますね。できる余地は、しかも、両方にあるということだと思いますね」
松山キャスター
「片山さんはどうですか?」
片山議員
「いや、これも二兎を追うし、バランスをとるということしかないというのはもう歴史が証明しておりますし、たとえば、仮に北朝鮮の動向によっては防衛費は削れるどころか大幅増強せざるを得ない国の、これは国のサバイバルのためですし、今回の大阪の本当にあの悲惨な被害を見ましても、もうちょっと水道とか、壁とか、そういうところぐらいキチッとやっとけばという部分があるわけではないですか、老朽化とか。だから、削れる部分はそれほどない中、重要なのはムダ感とか、あるいは正直者がバカを見ている不公平感みたいなものが、歳出には非常に重要だという部分も感じますね」
松山キャスター
「長妻さんはどう考えますか?」
長妻議員
「歳出の面で言うと、よく言われる公共事業なのですけれども、これいまだに、主要先進国で、GDP比で1位なんですね、日本は。ですから、リニアモーターカーというのも、必要性を全面否定はしませんけれども、本当に優先順位から言って、維持費も相当かかるんですね、これから。そういう歳出の厳しい見直し。社会保障の中にも、いろいろ過剰なものもありますから、そういうものもきめ細やかに見直しする。歳入については、民主党政権で消費税10%ということを決めて、その後、選挙でボロ負けしましたけれども、現在10%があるということで、かろうじて財政的に規律の糸がまだ切れずに残っているのではないかと思います。そういう意味では、10%に上げたあと、果たして日本はどうあるべきかという議論を、我々は中長期に視野に立ってしなければ、これからいけないと思います。現在、国債を買いまくっておりますので、日銀が市場で、そういう状況がいつまで続くのかということと、見合って、綱渡り的にこれから10%を上げても、上げなくても、日本の財政、なってくると思いますので。その時に中長期的に日本の財政の姿をキチッと示す政党が日本に出てこなければ、日本は本当に危うくなると思っています」
松山キャスター
「中島さん、先ほどの社会保障費の抑制のところ、高齢者の負担の関係では一部、富裕層の負担をもう少し厚くし、もう少し平均的にこなれたような感じで分配できないのかという議論はあると思うのですけれど、そういう制度設計、システムづくりというのはなかなか難しいものなのですか?」
中島氏
「いや、これはできる余地はあるんですね。と言うのは、日本は公的な社会保障支出、GDP比で見ると、高齢者、これは高齢化が進んでいるという面が多筋ですけれども、ウエイトがすごく大きくて、現役世代が少ないですね。。ですから、少子化対策とか、そういうところに十分なお金がまわっていない。そのバランスをとるということは、社会支出の保障支出のバランスをとるという意味、あるいは現役世代をもう少し手厚くするという意味では大事なんですね。その財源も含めて、高齢者のところで余地があるところはもうちょっと我慢していただくというのが必要だと思いますね」
松山キャスター
「実際、政策としてはどうなのですか?政府与党の中でそういった政策というのは検討されているのですか?」
片山議員
「歳入ですか?」
松山キャスター
「はい」
片山議員
「歳入については、2つのKと言って、森林環境税の環境と、それから、外国人観光客のための整備も含めた観光について財源を今回決めましたね、昨年暮れに。それについては思ったほど大きな抵抗はなかったんです。ですから、国民お一人、コーヒー1杯かもしれないし、チケットにかけるから、わかりにくいかもしれない、負担観が見えないかもしれないけれど。でも、本当に世論は成熟してきていて、これに充てるということに意味があって、国民の皆様にご負担をお願いしてもわかる、染み入るというものをキチッとメッセージとして出されば、負担に全てNOということではないということを、私達は政治として学びつつあるので、そういう形での模索。ですから、見えている方がいいですね、きっと」
松山キャスター
「一部の富裕層の高齢者に対する負担増、そのあたりはどうですか?」
片山議員
「そのことについても当然、2020年度に出す様々な社会保障を含めた改革の中では、基盤の中に入ってくる要素の1つとして出てくると思います」

片山さつき 自由民主党政務調査会長代理の提言:『活力持続型の健康長寿社会』
片山議員
「私達は参議院政審で『活力持続型の健康長寿社会、スーパー・アクティブ・エイジング・ソサエティ』というのを出しまして。これは健康寿命を延ばして、社会参加寿命と一致させると。皆が人生、全部を楽しめて、しかも、誰も置いていかない社会で、しかも、持続性があるという社会をつくっていこう。これなしには日本の社会がまわっていく、社会保障の負担も含めて、まわっていくということが、これなしにはできないし、それから、現在のままで、認知症や要介護が増えてしまったら、その危険性という意味で持続性がないですね。ですから、絶対に社会という意味で、日本が生き抜くこの前提は、スーパー・アクティブ・エイジング社会、それが財政をも持続可能にするということだと思います」

長妻昭 立憲民主党代表代行の提言:『正直』
長妻議員
「財政健全化に必要なことということなのですが、『正直』ということだと思います。日本の政治は経済成長率、今回も名目3%を超えますという前提で、税収はこんなにいっぱい入ってきますから、これだけ使っても大丈夫ですと、当たったためしがないと。ドンドン赤字が拡大していくという、歴史をたどっておりますし、これから年金だって、基礎年金が3割カットになる、こういうようなことも、政府は認めていませんけれども、そういうことを正直に言って、このままでは社会保障はなかなか立ちゆかなくなる、お金に余裕のある方にもう少しご負担いただく、こういうことを政治は中長期、勇気を持って言うというような、正直な政治というのが1番求められていると思います」

中島厚志 経済産業研究所理事長の提言:『国民の合意』
中島氏
「私は『国民の合意』ですね。財政が、赤字が大変深刻だと言う一方で、だけど、何が国民生活に問題が出ているのだという声もあるわけですね。ただ、これは明らかに、歳出が実際に抑制されてますから、財政が硬直化してくるというような弊害も出てるわけですね。従って、そういう点では、国民がそういうことを理解したうえで、収入と支出が財政でも見合う、そこについてのコンセンサスをとるというのが大事だと思いますね」