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2018年6月13日(水)
徹底検証『米朝会談』 非核化と拉致問題は?

ゲスト

西村康稔
内閣官房副長官(前半)
岡本行夫
外交評論家
平井久志
ジャーナリスト 元共同通信社ソウル支局長
宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

会談は『成功』だったのか?
斉藤キャスター
「昨日シンガポールで行われたアメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長による史上初の米朝首脳会談を徹底検証します。昨日、米朝首脳会談後に発表された共同声明をまず見ていきましょう。ポイントは、トランプ大統領は北朝鮮の安全を保証することを約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に向けた強く揺るがない決意を再確認しました。さらに新しい米朝関係を築くことを決意。また、朝鮮半島に永続的かつ安定的な平和体制を築くため協力する。板門店宣言を再確認して北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて動くことを約束するなどなど。西村さんにあらためて聞きますが、今回のこの米朝首脳会談とこの共同声明をどう見ていますか?」
西村議員
「まずここまで来たことに対し、トランプ大統領のリーダーシップ、あるいは努力、これを評価したいと思いますし、このことは安倍総理から昨日、トランプ大統領に電話会談でも伝えた、伝達をしたところです。と言うのも、金正恩委員長の『非核化に向けた強く揺るがない決意を再確認』と非核化に向けてアメリカの大統領に対してコミットしたということ、このことは非常に大きなことだと思います。これまで軍事オプションも含めて様々な、机の上に全てのオプションがあるということを言って、圧力をかけてきた、そのことが、最終的に北朝鮮を動かした、私はその成果だと思います」
松山キャスター
「これはアメリカメディアの反応ですけれども。たとえば、ウォール・ストリートジャーナルは『北朝鮮が核兵器の放棄にコミットするなどの新たな具体的成果には乏しい』と言って批判をしています。一方、昨日のニューヨーク・タイムズですけど、『この共同声明は不十分であり、将来的な次のステップや予定表を提示していない』と、こちらも結構、厳しいトーンで批判しています。岡本さん、アメリカの反応を見てもなかなかこの共同声明の内容そのものは諸手で礼賛していると見てとれないのですけれども」
岡本氏
「今回、ちょっと辛口になってしまうかもしれませんけれども、トランプさんは壮大な政治的なショーとして打ち出したけれども、中身はアメリカ及び同盟国にとっては薄いと。だけども、薄くてもそれでもいいのだという、トランプさんの考え方ではないかと思いますね」
松山キャスター
「共同声明や会談を振り返って、平井さんはどういうふうに」
平井氏
「興味深いのは、北朝鮮の労働新聞が、金正恩さんがシンガポールに行った時の報道の中で、この会談で何がやるのかということについて『新しい米朝関係を確立して朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制を構築する。朝鮮半島の非核化を実現する問題』、それをやると言って、まさしくこの①②③ですよ。そういう意味で、大変、北朝鮮の要求が当初も、会談をする前にこの会談はこのために行くのだというのが、そのまま①②③。おそらくそういうままではちょっと釣り合いがとれないから、既に過去にやったことですけれども、遺骨の問題を入れて。1番目、2番目はむしろ北朝鮮が要求していること。3番目の非核化はアメリカが要求していることですから。遺骨の問題を入れて2対2の体裁を整えたような感じを受けるので。意味がある最初の出会いだったと思いますけれど、具体的な内容においては非常に、北朝鮮の方がかなりポイントを稼いだ内容ではないのかなという気がします」
松山キャスター
「宮家さんはどうですか?アメリカはかなり譲歩したのではという印象を僕も受けるのですけれども」
宮家氏
「基本的には、2人がおっしゃったことに尽きるんですけれど。私はちょっと今、これが歴史的に大きな流れの中でどういう意味を持つかというのを考えているんですよ。確かに歴史的なんです。これまでは善い意味でも、悪い意味でも冷戦があって、英知と、惰性で、これが固まっていた。しかし、それが、トランプさんの衝動だか、思いつきだか知らないけれども、これをぶっ壊したわけですよ。モーメンタムを与えちゃったんですね。そうすると、これはこのままじっとしていない可能性があるわけですよ。この微妙なバランスでできあがってきたバランスが、これが動き始めた時にどっちに動くか。少なくとも現在、我々が、私が思っているのは、おそらく戦争は回避できる、しかし、同時に核兵器ももしかしたら廃棄できないかもしれない。つまり、戦争もないけれども、核廃棄もないような非常に微妙で、戦争でもないけれども、しかし、平和でもない、安定しない、非常に不安定な漂流するような時代がきちゃうのではないか。まったく深く考えずに動かしたその一手が、何かカオスの原理ではないけれども、1つの違う方向に動いていくのではないかという気がして、すごく心配しているんです、その意味で。ですから、そういう意味で、すごく歴史的ですよ、うまくいけばいいと思うんだけれども…」
斉藤キャスター
「この『非核化に向けて…再確認』というのもありますけれども」
宮家氏
「だって、その非核化、『朝鮮半島の完全な非核化』は、これまで言っていることと同じですから、それ自体はまったく意味がないんですよ。そうではなく、それではなく、モーメンタムの点でどっちの方向に動くのか。どちらかの方向に動き始める可能性があると。もう元に戻らないかもしれないという恐れ、それが現在感じていること…」
斉藤キャスター
「安倍総理は昨日、トランプ大統領と電話での会談後、記者団に対してこのように述べました。『金正恩委員長が朝鮮半島の完全な非核化についてトランプ大統領に対して明確に約束した、その意義は大きい。歴史的な会談の成果の上に立って国連安保理決議の完全な履行を求めていく。日米韓の基本方針についてあらためて再確認できたと思っている』と語りました。あらためて、西村さん、昨夜の電話会談ではトランプ大統領から非核化についてどのような報告があったのですか?」
西村議員
「記者会見で述べられ、あるいは共同声明に入っている通りでありまして。金正恩委員長が非核化をコミットしたということですね。これからポンペオ長官なりが、北朝鮮側としっかり話を詰めていく。相手側の話ですのであまり細かくは申し上げられないのですけれども、趣旨としてはそういう趣旨で話がありました」
松山キャスター
「アメリカ側は米朝会談の前日に、たとえば、ポンペオ国務長官が記者会見を開いて、いわゆるCVID、完全で検証可能、不可逆的な非核化、それが唯一の道だということを強調していたのですけれども、蓋を開けてみたら結局、共同声明にはそれは盛り込まれてないという状況ですけれども、それについてトランプ大統領と安倍総理の間で何かしらやりとりというのはあったのですか?」
西村議員
「ええ、はい。まさに国連安保理決議というのはここにCVID、完全な検証可能な不可逆的な廃棄、これは核、それから、あらゆる距離の弾道ミサイル、核だけではなく、化学兵器も含めて、これを完全に廃棄するというCVIDが書かれていますので。そういう意味で、この決議の完全な履行を求めていくということを確認していますので。そういう意味では、CVIDを求めていくということを細かいやりとりは申し上げられませんけれども、そのことは確認しています」
松山キャスター
「宮家さん、今回の共同声明で、一応、北が求めていた体制保証という部分と、完全な非核化という部分と両方盛り込まれた。ただ、その具体的な内容についてはかなり乏しいという見方がありますけれども、どう見ていますか?」
宮家氏
「非常に単純な話なので。本当に北が核兵器を放棄する意図があって、そして、それを何らかのテコとして使おうと思うのであれば、それはある程度の具体的な内容を言ってくるはずなんです。私は非常に常に目を細く見ていて、核の問題について北朝鮮の核兵器を放棄するかどうか、廃棄するかどうか、そこだけを見ているんです。そこについて、もし本気であるのだったら文言が必ず出てくるはずで、その文言を探しているのですけど、1つもないんです。と言うことは、我々はまだ十分に北朝鮮がそういう意図を固めたという確証を持つだけのものを持っていないんです。ですから、と言うことは、皆、ある意味では、推測しているだけです。我々はもう推測はいいんです、これまでもやりましたから。何度もやって何度も騙されてきたのですから。そろそろ北朝鮮さん、本当にやる気があるのだったら、具体的なものをそろそろ出す時期ですよと。トランプさんだってそんなに…、彼は優しいことを言う時は何かしてほしい時なんですよ。褒め殺しをするのだから、あの人は。だけど、そのあと、トランプさんはやらなかったら怒って違う反応をしますよ。だから、私は、北朝鮮の金正恩さんにもし、アドバイスする立場にはないですけれども、そろそろ出した方がいいのではないですかと、出さないとこれは逆効果になりますよと言いたいです」

『拉致問題』解決への道筋
斉藤キャスター
「さて、今回の米朝首脳会談は、日本にとっては拉致問題の解決への道筋をつけられるのかが大きな焦点でした。昨日の記者会見でトランプ大統領はこのように述べているんです。『拉致問題についても話し合った。共同声明には書き入れなかったが取り組んでいくだろう』と述べました。西村さん、昨日の安倍総理とトランプ大統領の電話会談で、拉致問題についてはどのような報告があったのですか?」
西村議員
「米朝の首脳会談で拉致問題を取り上げたということで。安倍総理がこれまでトランプ大統領に説明してきたことをしっかり相手に伝達した、伝えたということで話がありました。このことについては安倍総理から謝意を申し上げて、昨日、安倍総理のぶら下がりで発言した通りですけれども。日本が北朝鮮と直接向き合って、これは日本が解決していかなければいけない課題だということで、その決意を表明されたところであります」
松山キャスター
「今日、官邸を訪れた萩生田幹事長代行が総理と会ったあとに、昨日の電話首脳会談の中で、北朝鮮側から、金正恩委員長の方からは拉致問題について解決済みだというような言及はなかったということなのですけど、それはそれでよろしいですか?」
西村議員
「はい。トランプ大統領からは金正恩委員長がこれは解決済みだと発言したとは聞いておりません。私自身の受け止めは、拒否することはないだろうというニュアンスで、私自身は、トランプ大統領の発言を受け止めました。詳細は申し上げられません」
松山キャスター
「岡本さん、拉致問題についてトランプ大統領に提起してほしいということを安倍総理からお願いして、今回、米朝会談ではきちんと提起はされたと。ただ、具体的な進展については、最後は日朝両国でやる。今回の結果を受けてどう感じますか?」
岡本氏
「こういう流れしかないと思いますね。それで西村さん達が拉致問題をここまで一生懸命やってこられて、トランプ大統領に対して、これは日本の大変に重要な関心事項なのだから、キチッと伝えてくれと、こう言われた。そこまで本当によくやってこられたと思いますが。さあ、これがトランプさんの胸の中にどのくらいズシンと響いているか?共同声明に載っていなかったのはまだしも、記者会見の冒頭発言でも出ていませんよね。それで記者団から、拉致問題は出ましたかと言ったら、彼は一言、イエスとそれだけですよね。それでまた記者団が、記者がさらに質問したのに対し、これはプライムミニスター安倍の最関心事項であると、だから、もちろん、提起したよと、こういう話でしょう。さあ、それで続くやりとりの中で、申し訳ないけれども、トランプさんの人権感覚に対する希薄さというのが露呈されていくわけですね。北朝鮮の中での大変な人道問題というのが現在、あるわけですね。10万人ぐらいの脱北者とか、それから、反体制分子、皆、強制収容所に閉じ込められて、これをどうするのだというのが世界的に大問題になっていることを記者団が言うと、いや、それはもちろん、酷いよ、しかし、他の国だってやっているではないかと。これは信じられない発言なんですね。北朝鮮を擁護しているわけでしょう。やっているのは北朝鮮だけではないと。だから、そういう人権感覚の中でどこまで本当に強く金委員長に言ってくれたのかというのは一抹の疑念が残りますね」
西村議員
「その点は、直前の日米首脳会談、いわゆる手立てと言われる…」
松山キャスター
「1対1の…」
西村議員
「首脳と1対1ですけれど。両外務大臣というか、国務長官も入っていましたけれど。その時の大半の時間を、拉致問題の説明。これまでも何度も総理はされていますけれども、このことについてもう一度、丁寧に説明をされて、日本にとっては重要な問題だということを再認識、再々再認識ぐらいだと思いますが、してもらって、話をしてもらっています。トランプ大統領は、記者会見をはじめ、これまで何度も日本にとって大変な問題だと、13歳の少女が拉致されてということを国連の演説でも言われていますので。トランプ大統領の頭の中、心には、私はズシッと入っていると思います。そのうえで非核化の問題も米朝でやりつつ、かつ拉致についてのいろいろなやりとり、紹介できませんけれど、これはあまり外に言うべき話ではないと、これから日朝でいろいろ交渉する話だから、ということもあって積極的には言わなかった、言われなかったのだろうと感じています」
松山キャスター
「昨日の電話首脳会談では、拉致問題についてはもう少し具体的な内容も含まれていたということですか?前向きな何か反応が北朝鮮側からあったという情報がありますけれども」
西村議員
「えーと、そこは申し上げられません。これから日朝で、これからいろいろな形での交渉がどういう形で始まるかどうかも含めて、ありますので。手の内をさらすことにもなりますので申し上げられませんけれども。しかし、昨日の電話でもトランプ大統領からお話が、一定のお話がありましたし、それについて我々はしっかり受け止めて、安倍総理の決意の通り、日本が直接向き合って解決していくと」
松山キャスター
「現在、日朝直接会談についても安倍総理は強い意欲を示し始めているところだと思うのですけれども、具体的に時期としては、ではいつまでか。たとえば、9月にウラジオストクで東方経済フォーラムがあって、そこにプーチン大統領が金正恩委員長を呼ぼうとしているという話もありますけれども。そこに仮に来たとしたら、そこで安倍総理と一緒に接触する機会いうのが生まれると思うのですけれども。それぐらいまでに何とか実現したい?」
西村議員
「いや、これはそう簡単な問題でないと思いますので。これまでもいろいろなレベル、いろいろな機会で、とらまえて、いろいろな、特に日本の立場、日本の考え方、考え方は伝えていますけれど、申し上げられるのはここまでなのですけれど、そう簡単ではありませんから、あまり楽観視してもいけないです、と思います。むしろ、いろいろな努力をし、また、国際社会のいろいろな力も借りながら、前に進めていくことが大事だと思いますので。いついつまでということではなく、地道に粘り強く今後交渉していくということだと思います」
松山キャスター
「なるべく早くということは考えているのですか?」
西村議員
「ええ。これはもう拉致被害者のご家族の方々の年齢を考えても、もう1日も早く解決しなければいけないという思いは、これは安倍総理が1番強く持っておられますし、我々は全力で取り組んでいきたいと思っています」

朝鮮半島の行方と日本
斉藤キャスター
「米朝首脳会談では、日本の安全保障に関わる問題も話し合われました」
松山キャスター
「1つ、米韓合同軍事演習の中止に関するトランプ大統領の発言ですね」
斉藤キャスター
「『北朝鮮との対話継続中は米韓合同軍事演習を中止する』と述べています。西村さん、この米韓合同軍事演習の中止ですけれども、日本の安全保障にどのような影響があるのですか?」
西村議員
「えっと、まず『対話継続中は』という訳になっていますけれども、日本語でどう言うべきかですけれども『進むべき対応で進まなくならない限り軍事演習は停止する』と。つまり、ちゃんと非核化に向けて進んでいけば、その間は停止するということだと思うんですね」
松山キャスター
「協議が続いている間はある程度、停止するということ?」
西村議員
「ええ。だから、その協議もちゃんと具体的な、口だけではなくて、ちゃんと具体的な行動で非核化に向けて進んでいる限りはと認識をしていますので。そういう意味では、何か思うようにいかなかった時には、演習もやるし、また、軍事オプションも含め、全てのオプションが机の上にあるという状態に戻っていくのだと思います。『制裁の解除は核がもはや問題でないと確信できた時』ということですので、制裁は継続していくということでもありますので。そこをうまくトランプ大統領は話しながら、説得をされている、説得をしているのだろうと思います」
松山キャスター
「岡本さん、この米韓合同軍事演習の中止、正直驚いた人も多いと思うのですけれども、トランプ大統領がここまではっきりと発言するのかという。これはどう受け止めていますか?」
岡本氏
「また、トランプさんの悪口になっちゃいけないのだけれども、基本的には彼は不動産事業の手法ですよね。要するに、1丁目のビルと4丁目のビルを売却するのに、共通のポリシーなんてないわけですね。もう個々の物件で全部対応が違いますから。つまり、その場その場で彼は言うことが違うんですよね。それで、米軍合同軍事演習を中止するという、その理由として何を言ったと言うと、金がかかりすぎるとか…」
松山キャスター
「やめれば安いだろうと言いました」
岡本氏
「金がかかり過ぎると。彼は国防予算を増やさなければいかん、増やさなければいかんと言って、500億ドルも増やして、6000億円増やしているんですよ。だけれども、これは高いからダメだって、その間の論理一貫性なんてまったくないですよ」
宮家氏
「トランプさんというアメリカの軍の最高司令官が、安全保障の感覚がまったくないということがはっきりしたと思うんですね。まず1つは、米韓訓練、合同訓練というのは別に韓国をもちろん、守るためにやっているのだけれども、同時に韓国に駐留している米軍が自分を守るためにやっているんです。ですから、これを1年でもやらない、もしくは数か月でもやらないということはそれだけ戦闘能力が落ちるということで。それだけ多くのアメリカ軍の兵士を危険にさらすということです。それを最高司令官が平気で言うというのは、まず…、なんですね。そのうえに、もう1つ大事なことは、同盟国である韓国にどこまで話をしているか知らないけれども、韓国に対してこれをやめますと言ったら、韓国は自分達を守るために同盟を動かすためにやっているものが、まったく蚊帳の外で、こういうことが外に対して表明され、もし韓国に対して何もなかったのだとしたら、本当に安全保障をわかっているのですか、ちょっと待ってくださいよと言いたくなる」
西村議員
「1点だけ、1点だけ…。まさにこの日本を含む、この地域の平和と安定のためには、日米同盟と、それから、米韓同盟、これによる強い抑止力が必要だ、そういう立場、日本はそういう立場でありますので。今後いろいろなことが起こる可能性もありますので、いかなる事態になろうとも対応できるように日本としてしっかり取り組んでいかなければいけませんし、日米、それから、日米韓の連携を密にしていくということだと思います。連携協力を、密にしていきたいと思います」
松山キャスター
「ある意味、でも、在韓米軍の将来的な縮小みたいなことも示唆する発言しましたけれど、たとえば、日本側には事前のすり合わせというのはきているのですか?」
西村議員
「いろいろなやりとり、朝鮮半島、北朝鮮をめぐってはいろいろなやりとりを、日米、日米韓でやっています。ただ、その中身は申し上げられませんので。ただ、いかなる事態になっても、日本としてしっかり対応できるように、日米と日米韓の連携・協力を密にしていくということだと思います」
松山キャスター
「昨日の発言、トランプ大統領の記者会見での発言を聞いてもそれほど驚くことではないということですか?」
西村議員
「そこはコメントを控えたいと思いますけれども。しっかりと日米で話をして、日米韓でも話をしていきたいと思います」

『体制保証』と非核化
松山キャスター
「平井さんに聞きたいのですけれども、在韓米軍について米韓合同軍事演習についてはもちろん、北朝鮮はずっと反発して、やめろ、やめろと言っていましたが、在韓米軍については北朝鮮側ある程度、残ってもいいというシグナルをここのところを発していたと思うんですね。ある意味で、対中国への牽制という意味もあるのかもしれないのですけれども。今回、トランプ大統領が将来的な在韓米軍の縮小まで言及した。北朝鮮から見たら、これはどう北朝鮮は受け止めますか?」
平井氏
「北朝鮮が現在、狙っていることが、たとえば、アメリカとの国交正常化というところまでいくのであれば、何が1番キーポイントになるかと言ったら、北朝鮮側が在韓米軍と米韓同盟を認めるという前提がないと非常に難しいわけです。だから、そうすると、次第に北朝鮮のいろいろなものの言い方、スタンスというものが、在韓米軍を黙認するという方向にここのところなりつつあったわけで、それを認めれば、韓国との和解も非常にスムーズにいくわけで、そういう落としどころを目指して、韓国政府も非常に動いていたわけで。だから、それをトランプさんが在韓米軍も撤退もあるというようなことを言ったら、中国は喜ぶかもしれませんけれども、北朝鮮も自分が思い描いていた地図が描けなくなる可能性があるわけですね。だから、そういう意味で、演習の問題とは違う、もう少し非常に本質的な問題を揺るがしちゃう危険性があるという気はしますね」
松山キャスター
「ちなみに、韓国は今回のトランプ大統領の在韓米軍の将来的な縮小というのをどう受け止める?」
平井氏
「それは驚いていると思いますね。特に現政権は、その流れが非常に強くなった場合、保守系の方から非常に攻撃を受ける危険性がありますから。だから、過去に金正日総書記に在韓米軍の存在を認めさせようとしたのは金大中さんですね。金大中さんが首脳会談で。だから、進歩政権が現在の分断状況の中で役割を果たすためには、在韓米軍を北朝鮮が認めてくれないと、韓国の進歩政権として困るわけですよ。それの延長に現在の政権もあるわけですから。そういう意味では、韓国の思惑を超えちゃった発言をトランプさんがしたのではないのかなという気がします」
松山キャスター
「宮家さんはどう見ていますか?」
宮家氏
「あまり考えない衝動的ないつものパターンですよね」
松山キャスター
「トランプ節…」
宮家氏
「実害がないトランプ節と、実害があるトランプ節があるのですけれども、時々、実害が出てくるので。ただ、トランプさんの弁護をするつもりはないけれども、いずれにせよその話は、遠い、遠い、遠い、遠い、遠い先の話です、もし全ての話がうまくいけばというような話だろうと思わなかったら理解できません」
松山キャスター
「昨日の米朝首脳会談でもう1つの焦点となっていたのが、体制保証という問題がありますけれども、共同声明の中にはこういうふうに…」
斉藤キャスター
「トランプ大統領は北朝鮮の安全を保証することを約束、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に向けた強く揺るがない決意を再確認しました。まだ非核化が始まっていない段階でトランプ大統領は北朝鮮の安全を保証することを約束してよかったのですか、岡本さん?」
岡本氏
「うーん、金正恩委員長に対しては大変大きなプレゼントですね、これから2、3年ぐらいは軍事行動は使えなくなるから、金正恩委員長は安心してさらに核兵器の開発を進めることができるわけですね。だから、制裁を解除しない、これは大切だと思いますけれども、それと同時に安全保証というのは、長い会談・交渉の出口にあるべきご褒美で。それに向かって北朝鮮も一生懸命いろいろな譲歩をできる限り考えるという構図は残しておくべきだったのではないですか」
松山キャスター
「宮家さん、体制保証という文言が共同声明に盛り込まれましたが…、ただ、どういう形での体制保証かというのは具体的にはこれからは見えていないという状況ですけれども」
宮家氏
「セキュリティ、ギャランティーズをプロバイドすると言っているので、これは具体的に何かを言っていないですよね」
松山キャスター
「その対象は金政権とは言わずに、北朝鮮となっていますよね、DPRKという形で」
宮家氏
「ええ、はい、そうです。しかし、そこはDPRKなんでしょう。つまり、ただ、この本質は、要するに、攻めませんよ。だって内部的に崩壊したり、何かおかしくなった時に、それはアメリカがギャランティできるわけないわけですから。と言うことは、対外的に何かあると。しかし、他に北朝鮮を攻める国はないでしょうから。それはアメリカがやりませんよという意味なのかもしれない。だけど、岡本さんがおっしゃった通り、これは交渉のイロハとして切り札を先にドンドン切っているわけですよ。元はと言えば、首脳会談という最後に切ればいい切り札を最初から切っているわけ、3月8日に。これまでとはまったく違う交渉のやり方だと言って、すごく胸を張っているけれど、よくこれまでこれでもっているなと思いますよね。相当、セオリーに反する形でやっているけれども、現在はまだボロが出ていないのは奇跡に近いと思いますよ」
松山キャスター
「でも、トランプ大統領はディールメイカーというのを自認している方なので。最後の大きな絵としてはまだこの1個、1個切っているカード以外にもっと大きなビジョンというのを持ってやっているのかと」
宮家氏
「いや、私はいつも言っているのだけれど、交渉の達人というより興行の達人で。見世物の達人なんですよ。そういうものをつくるのは得意だけれども、交渉をやっているのではないですよ、彼がやっているのは」
松山キャスター
「平井さんはどう見ていますか?この体制保証1点について、どう感じていますか?」
平井氏
「具体的な、たとえば、不可侵の問題であるとか、国交正常化の問題とか、この言葉を支える非核化と同じですよね。客観的に具体的な問題が入っていないので。非核化と並べるためにワーディングとして使ったのではないのかなという気がするんです」

朝鮮戦争終戦と平和協定
松山キャスター
「今回の米朝首脳会談の直前には、朝鮮戦争の終戦宣言的なもので合意がなされて、そこで発表されるのではないかという観測がありましたが、今回、共同声明の中にもそれは盛り込まれていません」
斉藤キャスター
「『アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島に継続的かつ安定的な平和体制を築くため協力していく』と。昨日の会談後の記者会見でトランプ大統領は『平和協定はいつか必ずやる、また適切な時に金正恩委員長をホワイトハウスに招待する』と述べました」
松山キャスター
「平井さん、終戦宣言までは今回は至らなかった。背景、結局はすり合わせが事前にできなかったというのと、そこまでアメリカも妥協できなかったということもあると思うのですが」
平井氏
「と言うか、1つは大きな要素は、ここで米朝が終戦宣言をやっちゃったら、中国がすごく反発すると思いますよ。中国は戦争で非常に多大な犠牲者を出しているわけで、それを中国が外された形で終戦宣言が出るということに対しては、中国は絶対にそれは容認できないという立場ですから北朝鮮に対しても相当そういうことは許さないということは言っていると思うんです。だから、そういう意味で、終戦宣言はできなかった。北朝鮮の立場からすると、今回の会談で、彼らが勝ちとった1番大きな成果は、これまで敵対関係にあったアメリカとの関係を新しい関係に向かわせるのだという、アレを書き込んだということが北朝鮮にとっては1番大きかった。その先に、韓国や中国を巻き込んだ形で、先の南北首脳会談で出た、年内に終戦状況に持ち込むという。だから、米朝だけでは終戦宣言というのは少し無理がある。もともと無理があったのではないのかなという気がしますよね」
松山キャスター
「宮家さん、トランプ大統領は早い時期にできるだろうみたいな見通しだけは示していましたけれども、この終戦宣言をどう受け止めていますか?」
宮家氏
「ちょっと難しい話をすると休戦協定というのは3者がサインしているわけですよ。それは国連軍の司令官と、それから、北朝鮮の人民軍の司令官と、それから、中国は義勇軍の司令官がサインをしているんです。中国は意図的に正規軍を送っていないんです。ですから、中国は怒るかもしれないけれども、だったらいったい中国は誰が代表するのだという話ですよ。正規軍を送っていないのですから」
松山キャスター
「当時、はい」
宮家氏
「ですから、そのような状況で本当に戦争終結を考えるのであれば、政治的にはいくらでも宣言はできますけれど、法的な裏づけを考えたらば、国連軍をどうするのですかっちゅう話と、それから、中国は誰が代表するのですかという話と、すごくややこしいわけです。だから、できるわけがないですよ、こんなことそんな簡単に。少なくとも2か国だけでは絶対にできません」

朝鮮半島と東アジアの行方
松山キャスター
「米朝首脳会談から一夜明けて、アメリカのトランプ大統領はツイッターにこういう投稿をしています。『世界は潜在的な核の大惨事から大きく一歩抜け出した。もはやロケット打ち上げ、…ミサイルのことだと思いますけれども…、ロケット打ち上げや核実験・研究はない。拘束された人達は家族のもとに戻っている、…これは拘束されていたアメリカ人が戻ったことを言っていますよね…、金委員長に感謝する。我々が共に過ごした1日は歴史的だった』と。昨日の米朝会談を本当に自画自賛しているニュアンスの発言をしていますけれども。これを受けて今後、米朝がどういう形で協議を続けていくのか。また、それが北朝鮮の本当に非核化につながるのかどうか。そのあたりの見通しは?」
岡本氏
「これを自画自賛と松山さんはおっしゃったけれども、その通りで。こんなものは金委員長が昨年の12月29日と今年の4月20日に、もう自分達はこんなことはやらないと宣言しているんですね。何もトランプさんが金委員長からとりつけたことではないですね。その前に北朝鮮独自の政策としてもう発表されているわけですね。それで、今回まざまざと感じるのはアメリカの外交の質の劣化というのかな、あの共同声明1つにしても、宮家さんはどうお感じになったか、英語の達人ですから…」
宮家氏
「何をおっしゃる…」
岡本氏
「英語がまず下手くそっちゅうか、品位を欠いていまして。本当だったらシンガポールに対するキチッとした謝意の表明も書くべきだし…」
松山キャスター
「ああ、確かに」
岡本氏
「それから、要するに、プロの書いた文章ではないんですね。定型的なフレーズを何度も何度も使ってみたり。それであそこのワーキングランチに座っている面々を見ると何かこんなちぐはぐな人達で外交ができるのかな。要は、全てトランプ大統領が、首席補佐官を兼ね、安全保障担当官を兼ね、国務長官まで兼ねて全部1人でやっているわけでしょう。何と言ったって、アメリカにしっかりしてもらわないと、東アジアの安全というのは確保できないので、それが大変心配ですし、それをじーっと見ているのが習近平主席でしょう」
松山キャスター
「虎視眈々と見ている…」
岡本氏
「中国は大変なこれから拡張政策を、既にやってきていますけれども、南シナ海、東シナ海、こう出てくる。そういう時、ツイッターで政策決定をしながら、さあ、やったぞ、やったぞと言うことで中国を相手にとてもではないけれども、アメリカは外交できないですよね。この点が1番心配ですね」
松山キャスター
「宮家さん、岡本さんは外交の文書としても、共同宣言の文言もかなり表現が通常と違っているという…」
宮家氏
「小学生の文章です」
松山キャスター
「外交のプロがあまり絡んでいないで、つくりあげている?」
宮家氏
「岡本さんの言う通り、トランプさんが担当官ですよ。こんなことってめったにないですよね。昔、ジョージ・ブッシュが中国の担当官だと揶揄されたことがあるけれど、このトランプさんは文章まで書くのですから、大したものですよね」
松山キャスター
「確かにツイッターは自分で誰のチェックも受けずに流しているという話もありますけれども」
宮家氏
「でも、東アジア全体について言わせていただくとすると、ちょっと狼少年かもしれないけれども、トランプさんがやってきたことは確かに、前任者、前々任者がやってこれなかったことにやるのだ、と言って世界中でそれをやっているわけです。その中にはNATO(北大西洋条約機構)を批判してみたり、TPPはもちろん、NAFTA(北米自由貿易協定)だ、イランの合意もひっくり返しましたね。それで今度、北朝鮮ですか。これを見ていると、何も生んでいないですよ。壊しているんです。これまであるもの壊すのは結構ですけれども、壊すのだったら何か秩序をつくってくださいよと。この調子で中東も無茶苦茶にされたし、それから、ヨーロッパも、あの写真も典型的な例ですよね。あの噛みつきそうなメルケルさんとトランプさんの…。アジアについても何か現在あるもので機能しているものを壊すのだったら、それは勘弁してください、何か新しいものを生んでくださいと私は言いたいですよ」
松山キャスター
「平井さん、米朝の非核化を中心とした協議ですけれど。これからポンペオ国務長官やボルトン補佐官らが中心になって北朝鮮と協議をやっていくということ言っていますけれども、プロセスは始まったと大々的に宣伝していますけれども。実際に、効果的な協議が着実に進んでいくと見ていますか?」
平井氏
「うーん、1つ、1つの協議や会談というのはよくわからないですけれど、当事者の意図を超えて、朝鮮半島を中心として東アジアの情勢が非常に流動化しちゃっているというような感じは受けますよね。だから、政治日程にしても、たとえば、年内に平和協定を結ぶという、一応…」
松山キャスター
「終戦宣言…」
平井氏
「終戦宣言までもっていくというためには相当いろいろなことが起こるわけですよね。南北が統一というのは、私は無理だと思いますけど、少なくとも国家連合のような形でも南北の結びつきが急速に引っついていく。韓国は現在、経済では既に中国との方がアメリカの経済関係よりも大きくなっちゃっているわけですから。それでトランプさんが言うように、軍事的にはプレゼンスが低下していくなると、本当に朝鮮半島を中心として、東アジアの流れがすごいテンポで、我々の意図を超えて何か変わっていくのかなという、それが良い方にいけばいいですけれども、下手をすると流動化が、困難ということもあり得るわけで、そこはちょっと…、それにトランプさん、金正恩さんと非常に予測が難しいキャラクターが深く関与しているというのが少し不安ですよね」
松山キャスター
「宮家さん、先ほど、岡本さんが、習近平さんはちょっと離れたところからじっと見ているという話がありましたけれども。今後、この米朝のプロセスがある程度時間をかけて進んでいくとしたら、中国はそれにどう絡んでくるのですか?」
宮家氏
「むしろ私は逆に見ているんですよ。東アジアの最大の問題は米朝ではないです。東アジア最大の問題は米中、もしくは日米と中です。この中のいろいろな競争なり、ライバル意識の中の一環として、もしくはエピソードとして北朝鮮問題があって、それが現在、表面化しているわけです。これが終わったからと言って、米中の、もしくは日米・中のこの競争はこれからも続くんです。始まったばかりだと思ってください。ですから、その意味では、この問題の処理というのは非常に大事だけれど、仮にうまくやったとしても、それで全体が安定するわけでは必ずしもない」
松山キャスター
「岡本さん、この米中という構図、これから先どう進んでいくと」
岡本氏
「中国はすごい勢いで伸びていますよね。それは単にサイズだけではなく、中身もそうですね。私も先週、中国にいたのですけれども、14億人の国家の中で、成績主義でドンドンと上に上がるシステム。14億人から選抜された人達が指導する国の凄さ。それは、片一方は我々の頼りとするアメリカですけれども。こっちの親分は自分の選挙のことしか関心がないんですよね」
松山キャスター
「トランプさん?」
岡本氏
「簡単に言えば。2020年の再選、もうそんなのはないだろうと我々はつい数か月前までは思っていたのですけれども、現在ワシントンに行って、だいたい聞きますと、英語でUnlikely, But possibleと。そういうことはないだろうけれども、しかし、可能性はあるという、こういう答え。だから、それはトランプさんのピタリとした照準は2020年の再選と、それから、ノーベル平和賞ですよ」
松山キャスター
「そこを目指していますよね?」
岡本氏
「ええ。そうすると、外交すらもディールの道具として、つまり、自分の国内での政治的な人気を上げるための道具として使い始めると、中国の非常に系統立った戦略的な外交ととても対抗できないのではないか。ですから、ちょっと日本にとって大変なことになりはしないかと心配しているんです」

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言:『継続は金なり』
宮家氏
「40年前に外務省に入った時に、外交の継続性という言葉を何度も言わされたんですね。だけれども、私は現在、振り返ってみて、それは間違いではないと思うんですよ。外交は継続してナンボなんですね。安倍さんは5年やっているから、だから、これはいろいろ、G7でも言いたいことが言えるわけですよ。と言うことは、習近平さんは10年以上やるつもりなのだから、安倍さんでなければいかんということはないけれども、継続は金です」

ジャーナリスト 平井久志氏の提言:『自己主張』
平井氏
「『自己主張』ですね。安倍総理は、昨年は全てがテーブルの上にあり、日米は100%共にあるということを言っていて。私は、これはちょっとおかしいのではないかと思っているんです。軍事行動をとって被害は日本人が受けるのに、日米は共にあったら困るわけで、国益とか、その国の事情があるわけですから。トランプさんを皆、おかしいと言うのにトランプさんについて行っちゃっている状況があって。今回も、たとえば、経済的負担は日本と韓国が負えというような、そういう状況の中では、日本外交というのはもう少し自己主張をして、日本の国益や日本の立場ということをもう少し明確に言うべきではないのかなという気がするんです」

外交評論家 岡本行夫氏の提言:『埋没するな!』
岡本氏
「『埋没するな』ということです。平井さんがおっしゃったこととニュアンス的にはちょっと似ているのですけれども。要するに、日本は放っておいたら、埋もれてしまうかも知らんと。たとえば、この北朝鮮問題にしたって、下手をすれば、アメリカと韓国と北朝鮮の間で、さらに中国を入れましょうかということでやっていく。しかし、日本にお声がかからない。日本が主張しないと。安全保障でも日本の利益というのは自動的に実現されるわけではない、放っておくと埋没していってしまいますよ。そうなってはいかんという提言であります」