プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2018年6月12日(火)
『トランプ×金正恩』 検証!米朝首脳会談

ゲスト

佐藤正久
外務副大臣 自由民主党参議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授

非核化・終戦・拉致問題の行方は
竹内キャスター
「今日の午前、トランプ大統領と金正恩委員長による史上初の米朝首脳会談が、シンガポールで行われ、歴史的な合意がなされました。非核化問題、朝鮮戦争の終戦、日本人拉致問題など、焦点となっていたポイントに関して両首脳はどんな結論を導き出したのでしょうか、緊急検証します。まさに今日は歴史的な1日となったわけですが、まず佐藤さんに聞きたいのですけれど、今日の米用首脳会談を見て、全体的にどのような印象を持たれましたか?」
佐藤議員
「歴史的な一歩だというように思いました。冷静に考えますと、まさに国交がないアメリカと北朝鮮、しかも、国際法上は戦争状態にある国のトップ、つまり、最高軍司令官同士が会って、朝鮮半島の問題を解決しようとして交渉のテーブルにのって話し合ったという意味では、1つの一歩だと思います。今回、明確に『完全な非核化』ということでも文書で米朝が抑えたということも、意義があったと思います」
松山キャスター
「トランプ大統領は最後に『我々はこれからも何度も会う』ということを言っていましたけれど。これから続く協議に向けた最初の、第1段階のステップとしての協議だったという位置づけですか?」
佐藤議員
「そうですね。昨日、ポンペオ国務長官が記者会見の中で今回の米朝首脳会談の1番の目的はフレームワークをセットするのだと、枠組みをまずつくるのが1番の目的だと言っていましたし、日米首脳会談の時も、トランプ大統領はプロセスが始まるんだということを言われていました。プロセスという観点ではまさに一歩目で。実際に記者会見を見ていたら、来週にもポンペオ国務長官、あるいはボルトン安全保障担当補佐官を通じて、米朝の協議を始めると言っていますから。まさに今回の合意事項をさらに具体化するための協議が始まると。まさにそういう面では今回は枠組みをつくって、もう一歩目を進めたということが言えるのだと思います」
松山キャスター
「なるほど。武貞さんはどう見ていましたか?」
武貞特任教授
「そうですね。一言で言えば、大山鳴動して鼠一匹。前触れがすごくたくさんあって、CVID、後戻りできない完全で検証可能な核の放棄について北朝鮮がどこまで同意するか、どんな文言が入るかを皆注目していたのですけれど、抽象的な包括的な文言で終わってしまった。という意味で、前触れ、騒いだ割には鼠一匹ぐらいしか出なかったというのが全体の印象ですけれども。しかし、東アジアのこの国際政治の構造、大きく変わりつつあるなという印象を受けました。特にアメリカの政策ははっきり変わりましたね。北朝鮮が核を放棄するということを行動で表していなくて、文言に入れたというだけで、『体制の保証』という言葉を入れた。これは、核兵器放棄というのを相当いろいろな包括的なプロセスの先の方に置いて、とりあえずは戦争を回避しながら、経済支援とか、体制の保証を少しずつ、並行して進めながら、現在すぐ核を放棄しなかったら、この弾を撃ちますよという、昔のことになっちゃったね、というぐらいにアメリカが譲歩してしまった。今日はそういう意味で、アメリカの政策の変化というものが明確に表れたということなんですね。北朝鮮に関して言えば、2005年の9月19日の、6か国協議の共同声明で明確に非核化ということに北朝鮮は同意するということまで言って、かつ核と通常兵器でもって、アメリカは北を脅かさないと、そこまで保証して。何度も何度もやってきたことだけれど。今回はもう繰り返さない、嘘をつかれちゃったねと思ったアメリカが、先に行動で核放棄について何かアクションを起こしてくれなかったら、保証という言葉を使わないよという姿勢できたはずだったけれども、今日そうではなくなったということが文書になって出たということですね」
古森氏
「私は全然違う見解です。あとでいくらも説明しますから。行動をとらなかったら、アメリカも緩和のための行動をとらないよというこの一線は全然揺らいでいないし、現に北朝鮮は行動なるものはとっているわけですよ。あそこの核施設を爆破し、それから、今日、トランプさんが言っていたけれど、声明をまとめたあとに北朝鮮がミサイルのエンジンの実験工場を自発的に閉鎖するということを言っているわけですよ」
松山キャスター
「はい、言いましたね」
古森氏
「これは声明の中で入っていないという。だから、行動なるものはいっぱいあるし、一方、アメリカは制裁を変えないと、維持していくということをはっきり言っているわけだしね。CVIDだって、CVIDという言葉だけが入らないだけで、『完全な』という、CVIDで1番、最初にあるコンプリートという、それの非核化ということはやるのだということははっきり言ってるわけですね。トランプ政権の北朝鮮政策というのはね、ほとんど変わっていないですよ」

共同声明の評価は
竹内キャスター
「トランプ大統領と金正恩委員長が署名した共同声明の概要を見ていきたいと思います。トランプ大統領は北朝鮮の安全を保証することを約束しました。金委員長は朝鮮半島の完全な非核化に向けた強く揺るがない決意を再確認したうえで、新しい米朝関係を築くことを決意。米朝は朝鮮半島に永続的かつ安定的な平和体制を築くため協力。板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて動くことを約束。米朝は、戦争捕虜、戦争による行方不明者の遺骨の返還を約束するというものです。佐藤さん、まずは総論として、どういった受け止めをされていますか?」
佐藤議員
「武貞先生の、大山鳴動して鼠一匹、と言われましたけれども、敵対した国が最初に会って合意をつくるというのはそんなに簡単ではない分野になると思います。冷静に考えると、2016年、2017年というこの2年間を見ても、ミサイルが40発以上を撃たれ、核実験も数回行われたという、前回から比べたら、まさにこの7か月間実験もないという時だと、交渉によって安定した中でやっとここまで今日来たと。まさに先ほど言ったように第一歩という面では、こういうあたりで落ち着いたのかなという感じはします」
松山キャスター
「武貞さん、今回の共同声明の内容ですけれども、全体として見て、先ほど、アメリカの方でかなり譲歩があったのではないかという話もありましたけれども、北朝鮮としても譲歩した部分というのはここからは見受けられますか?」
武貞特任教授
「『米朝は戦争捕虜、戦争による行方不明者の遺骨の返還を約束する』と、これは、事務的な手続きで非常にやりやすいし、既にポンペオさんが3人のアメリカ人と一緒にアメリカに帰国しているということもありますので、そのちょっとお返しのような意味もあって盛り込まれたものでしょう。北朝鮮がサービスをした部分ですが、その他は『新しい米朝関係を築くという決意』、それから『安全を保証するということと引き換えに非核化に向けた強く揺るがない決意を再確認』、非常に抽象的・包括的で、双方が決して損をしないように、上手に抽象的な言葉でまとめ上げたなと思うんですね」
松山キャスター
「古森さん、肝心な非核化という問題については、アメリカが事前に言っていた、CVIDと言われる、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化というところから若干折れてきているような印象を受けるのですけれども」
古森氏
「まさにそれは記者会見で質問が出て、彼は時間がなかったからできなかったのだと、現実的にできないよということをはっきり言っていたから。だから、アメリカが、完全で不可逆的なという検証可能、CVID、これをやめたという兆しはまったくないですよ」
佐藤議員
「まさにその通りで、昨日のポンペオ国務長官の記者会見でもアメリカの究極的な目的はCVIDだと、これは譲ることがないと言っていますから。それは譲ったわけではなく、まさに記者会見で、CVIDは時間がなかったと、でも、コンプリートが入っているのだろうと。そこからもう始めるんだということだと思います」

トランプ大統領会見
松山キャスター
「武貞さんは会見をどう見ていましたか?」
武貞特任教授
「会見を見ていましたけれども。全体として印象的だったのは、南と北が対話をしていることに触れている部分が印象的だったんですね。かつては戦争し合った南と北は、現在はうまく話をし、話し合っているということに触れた。その他にも記者会見のところで、戦争終結について、やがてこれについては、やらなければならないところに触れていますよね。それらのことと、軍事演習はやらないという、ちょっと突出した発言。これは関連しあっているような気がするんですね。もう1つ、在韓米軍の行く末ついても述べていましたけれども、これは何かトランプさんの本音、心の中にあるものがポロッと出ちゃったような。つまり、南と北が仲良くしているのであれば、アメリカがそこで仲裁に入って、在韓米軍を置いといて、安全のための保証のための措置としてアメリカが努力をするという役割は減っていくのではないか。そうなると、お金もあまりアメリカは使う必要がないねという流れを読んだうえで、それぞれ関連し合っていないように見えることを、あの記者会見の中で1つ、1つが実は関連し合っているように聞こえてしまうように言ってしまったような気がする。つまり、これは、南北は仲良くしていたら、南北は今年中に終戦宣言をすると、もう板門店宣言で盛り込んでいますよね。と言うことは、南と北は戦争をやりあう仲ではないよねと宣言しちゃうと、韓国を守るための在韓米軍2万8500人ですよね、そうすると、誰から誰を守るの、何か全然曖昧になってしまうわけですよね。次に出てくるのは休戦協定を平和協定に変えるという話にすぐなるかどうかわかりませんけれども、ワンクッション置いて、在韓米軍が現在のままである必要はないねという議論は、必ずアメリカの中で起きてくる。そうすると、減らしていけば、費用も節約できるねと。減らして危ないのかという議論に対しては、南と北がこんなに仲良く話し合っているのに戦争のことを想定して在韓米軍2万8000人、なぜいるのという論理の方が正しいように聞こえてくるでしょう。といったことも考えて、アメリカファーストのトランプさんが、南と北が仲良くやってくれれば、自分の負担はなくなってくるから、この流れを加速してあげたいなという思いを強めつつ、ある結果、そこに『板門店宣言を再確認』という言葉を敢えて入れて、仲良くやってちょうだいね、アメリカの負担なくなるなあという気持ちを出しちゃったと思いますよ」
佐藤議員
「武貞先生が言われた在韓米軍の問題というのは、実は日本の安全保障にも大きく影響する問題で、実際にアメリカ国内でもいろいろな議論が出ているという話はあります。当面は縮小というものはないとはトランプ大統領は言っておりますけど、将来の…」
松山キャスター
「ニュアンスとしては将来はやるかもというニュアンスは…」
佐藤議員
「はい。そういう時に東アジアの安全保障というの部分が、日本の安全保障に間違いなく影響してきますから。そこは我々ともしっかりその議論にも入る形でやらないと。まさに本当にゼロになってしまったら、対馬海峡が第一線になってしまいますから」
松山キャスター
「最前線に?」
佐藤議員
「はい。いろいろな影響が出てきますし、日本には陸軍の戦闘部隊というのがいないですよ、在日米軍には。戦闘部隊は韓国にいて兵站部隊は日本に陸軍がいますけど、そこはいないと。ただ、海軍とか、あるいは海兵隊の主力は日本と、在韓米軍と在日米軍が一体での1つの戦力構成になってますから。そこは今後、まさにいろいろな動きを我々としてもしっかり見ないと本当にいけないと思います」
古森氏
「武貞さんが言われた南北の仲が良くなってきて、南にとって北が脅威ではないと、だから、北がこれまで韓国の存在を認めないような、いつか滅ぼすぞとか、そういうスタンスをとってきたわけだけれど。だから、脅威でないというのを、アメリカにとっても北朝鮮が脅威ではないという状況が生まれつつあるから。武貞さんがおっしゃったこと、前半の部分は非常に同感なのですけれども」
松山キャスター
「構図が変わってきたと?」
古森氏
「構図が変わってきた。だから、これもまた佐藤先生の、日本にとってどうだと。米韓同盟と日米同盟というのはちょっと土台を一にしている部分があるから」
佐藤議員
「もともと自衛隊とかは、できた原因が朝鮮戦争という部分がありますから。だから、それは日米同盟と米韓同盟、これは全然…」
古森氏
「違うのですか?」
佐藤議員
「違うとはあまり言えないと思います。連携しているところがあると思います」

日本人拉致問題は
松山キャスター
「日本にとって1番重要と言われている問題に日本人の拉致問題がありますけれども。これについて議論されたのかどうかということが、トランプ大統領の最後の記者会見の中で質問に出ました。それに対するトランプ大統領の答えがこのようなものだったのですけれども。拉致問題については『安倍総理は非常に重要だと思っている問題だ。もちろん、この点も提起した。文書に盛り込まれてはいないが、これから協議する』、これから取り組んでいくというような趣旨の発言をしました。安倍総理は再三にわたってトランプ大統領に拉致問題を是非、提起してほしいというようなことを言って、きちんと提起したということだったのですけれど。ただ、これ以上具体的にどういう議論があったかというのはまだ出ていないということなのですが、これをどう受け止めていますか?」
佐藤議員
「安倍総理も記者会見で言われたように今回、拉致問題を米朝首脳会談で提起をしてくれたという点については非常に感謝をすると言っておられます。実際にどういう形で提起をしたのか。あるいは金委員長からどういう反応があったのかというのが、記者会見では、残念ながら日本の記者が指名されませんでしたから、そこはなかなかあっさりとしてしまったのですけれども。おそらく今日、機上からトランプ大統領が安倍総理の方に電話をすると言っていますから、その中でもう少し具体的な内容が聞けるのではないかと思います。ただ、大事なことは、拉致問題は日本政府自身が主導的に解決しないといけない問題ですから。安倍総理が言われるように最終的には自分が首脳会談で解決する決意まで示していますから。まさにこれから米朝の協議と並行しながらも、日本が独自にいろいろルートを使いながら、これは調整をしないといけないとステージに入ったと思います」
松山キャスター
「古森さん、この拉致問題についてのやりとりをどう見ていましたか?」
古森氏
「私は、トランプ政権が日本人の拉致問題を本気で提起するということに対して、少しずつ、少しずつ、ああ、本当に提起するんだなと思ってきたのだけど。今回、本気で提起したんだろうなと強く思った根拠の1つは、ジョン・ボルトンという人物がピタッと傍にいたということですよ。これは、ボルトンさんというのはアメリカ政府の官民通じて、10年以上、日本人の拉致問題に対して、最も積極的に同情とか、熱意を示してきてくれた人で。ちなみにこのボルトンさんというのは核問題に関しては強行すぎるから、トランプさんから不評を買って外されるというのが結構、日本の有力新聞、これはアメリカのワシントン・ポストあたりからの報道をとったのだけれども、外されたと言っている…。1番傍に、近くに、マイク・ポンペオさんの隣に座っていましたよね?」
松山キャスター
「拡大会合の座席表を見ると、座席の様子を見るとテーブルの1番手前ですね?手前がボルトンさん…」
古森氏
「ああ。だから、これは私の持論。トランプ政権のあり方に対しての報道というか、認識を間違えないように気をつけなければいけないというのは、G7でメルケルさんとトランプさんがこう…」
松山キャスター
「ああ、やり込められているような写真?」
古森氏
「安倍さんが真ん中に立っていて、隣に立っているのが、ジョン・ボルトンさんです。だから、G7の時も1番側近にいて、ボルトン外し、ボルトン外しと大きく新聞で…」
松山キャスター
「一部で言われていましたね?」
古森氏
「…やっているけれども。だから、その人物がいたということは、脇の方の何か証拠というか、論拠の追加ですけれども、拉致問題を本当にトランプ政権としてはやってくれていると思うんですよ。ただ、厳粛たる事実というのは、当事国ではないわけですよ。アメリカ国民ではないのだから、それは日本にとってやらなければいけない。残念なのは現在の北朝鮮は日本に対してすごく冷たいというか、敵対的ですよね、現在のところ…」
松山キャスター
「日本だけをまず1つ敵として想定しているみたいな形になっています」
古森氏
「そうですよね。そういう時の彼らの言葉の使い方は上手ではないですか。海の底に沈めちゃうとか…」
松山キャスター
「何百年も…」
古森氏
「何百年も何とか…。ちょっと日本も見習ってもいいのではないかと思うぐらい」
佐藤議員
「でも、関心がある証拠でしょう、逆に言うと」
松山キャスター
「日本に対して関心があるというシグナルがその中に含まれている?」
佐藤議員
「だから、あまり米朝首脳会談の前に日本が日朝と言ってしまうと、前のめりになりますから。そこはここまで、まずは国際社会の代表としてトランプ大統領が、核や、ミサイル、拉致についての議論をしてくれるというのがこれまででしたから。ただ、これからは、提起してくれたという以上は日本政府も自分で主導的に動くという段階にきたと。まさに言われたように、日本政府もやらないといけない問題だと思います」
松山キャスター
「武貞さん、拉致問題についてのやりとり一応、トランプ大統領は提起したということを会見で言っていましたけれど。今後の見通しも含めどう見ていますか?」
武貞特任教授
「佐藤さんにおうかがいしたいのですけれども。『安倍総理は非常に重要だと思っている問題だ』と、日本の拉致問題。これはよく触れてくれたと思うんですよね。これは拡大会議の席なのか、2人だけの会議の席なのか、わかりませんけれども、よく安倍総理のお願いを聞いて、向こうに提起してくれたと思うのですけれども。これはいかにもこの文章を読んでも、安倍総理が重要だと言っているから指摘したのだという言い方で、日本の拉致問題は本来国際社会の深刻な人権問題だったのではないですか。シンガポールからも少女が拉致されたという話を提起してます、日本が。ヨーロッパからも拉致されたっていう事例があるわけですよね。安倍総理が提起しているから日本の拉致問題が大事だということをトランプさんが言った時に、アレッと思わなければいけないので。国際社会の問題で、国際社会の普遍的な人権の問題なのに、安倍総理が言ったから自分は提起したというようなこと言ってくれて、日本はよかった、よかったと言っちゃダメですよ」
佐藤議員
「たぶんそこは誤解があるのが…。トランプ大統領の記者会見の話、私もこれを聞いていました、この場面を。これは記者が人権について質問をしているんです。人権について質問したその続きで、拉致も合わせて質問したんですね、日本の拉致についても。だから、まさに前半がその人権のことについてトランプ大統領が答えたあと『安倍総理は非常に重要だ…』と拉致の方に入ってきましたので。全然人権のことについて触れてないというわけではなくて、その流れの中で、質問で、日本人の記者ではありませんでしたが、人権と合わせて、この拉致問題を聞いたうえで、こういう発現になった」
武貞特任教授
「それであればこそ、この日本の拉致の問題というものを、もう少し国際社会の普遍的な人権問題としてもう少し消化したような形で、トランプさんが記者会見の席で訴えてほしかったですよね、日本の立場としては」
松山キャスター
「ただ、昨年の、たとえば、秋の国連総会での演説では…」
武貞特任教授
「ええ、そういうことも…」
松山キャスター
「横田めぐみさんに敢えてトランプ大統領は言及したりしていますので。そういう意味で、拉致問題を理解したうえで、また、同盟国で非常に親しい仲と言われる安倍総理も重要な問題だと言っているからということで。重ねて、そういう表現をしたと」
武貞特任教授
「ですから、トランプさんのニュアンスはおそらく一応提起はした、あとは日朝でしっかりとやってくださいということは安倍総理との会話の中でもおっしゃっているだろうし、そういうニュアンスを私は考えましたよね。日本の方から提起があって…」
佐藤議員
「日朝もやりますけれども、アメリカも合わせてやるという、これから協議をする。主語はアメリカですから。だから、アメリカもやるし、日本も当然やらないといけない」
松山キャスター
「働きかけをやっていくということですね?」
佐藤議員
「はい」

共同声明の評価は
竹内キャスター
「トランプ大統領と金正恩委員長が署名した共同声明には、アメリカと北朝鮮の関係について『新しい米朝関係を築くことを決意』『米朝は朝鮮半島に永続的かつ安定的な平和体制を築くため協力』という文言がありますが。佐藤さん、この声明をどのように受け止めていますか?」
佐藤議員
「まさにアメリカと北朝鮮というのは、国交もない国同士です。しかも、朝鮮戦争における敵対国の中で、その敵対国の米朝が『永続的かつ安定的な平和体制を築く』ということはまさに戦争状態から、それを終結、平和協定という流れを今後つくっていくという意志が表れていると思います、『新しい米朝関係』と。まさに昨年の今頃は首脳同士があまり良い言葉ではないですけれども、非難をしあっていたんですよ。老いぼれとか、あるいはチビのロケットマンとか」
松山キャスター
「リトルロケットマン、ありましたね…」
佐藤議員
「トップ同士がそういうことを言っていたのが、そうではなくて、まさに2人が『新しい米朝関係を築くことを決意した』と、もうここまで。昨年の今頃はとても想像できないことが起きていると。そこはお互いのリーダーが過去を乗り越えてでも将来に向かって朝鮮半島を平和な半島に持っていくのだという意志がこの2つには出ているような。特に昨年のあの状況を考えれば考えるほど、この1年で随分変わるもんだなという感じは正直します」
松山キャスター
「板門店宣言の中に今年中の終戦宣言というものが盛り込まれていて…」
佐藤議員
「南北の、南北の終戦宣言」
松山キャスター
「そうですね。今回、米朝首脳会談でもそれに向けた何らかの方向性、何らかの合意が出るのではないかという見方がありましたけれど、結局のところ、それはまだ盛り込まれていないという状況ですけれども、今後の見通しをどう見ていますか?」
佐藤議員
「トランプ大統領が記者会見で終戦宣言どころか平和協定まで早くやるみたいに言及していますよね。そんな簡単ではないと思いますけれども。まず平和協定に行く前の段階として終戦宣言を南北では今年中にやると言います。米朝ではいつまでにそれやるのだと。もう1つ、中国という関係国がありますから、そういう形、どういう形で、まず終戦宣言という形で体制保証の1つというものをたぶん与えることにいずれなるのかと。ただ、向こうの核・ミサイルの問題もありますけれど、その関係の中でどういう形で終戦という形をやり、そのうえで今度は平和協定というものはその先にたぶんあると考えるのが普通と思うんですよね。なので、その時には、まさにこの領土問題が出てきますから。分離地帯、この部分をどっちの方に入れるのだ、あるいは海の方の北方限界線をどうするのだとか、まさにそのへんの話、あるいは賠償の話とか、いろいろ出てきますから。実際、これは武貞先生が専門でしょうけれど、韓国の憲法では北朝鮮は国として認めていませんよね。協定を結ぶということは、北朝鮮を国として認めるということにもなりますから。この2つの国を連合としてやるのか、あるいは将来的に北朝鮮が言うように連邦化するのかを含めて、いろいろな議論がたぶん今後、この終戦宣言のあとに、平和協定の中で領土問題を含めた国と国との関係、将来的には2つの国なのか、連邦をするのかを含めたいろいろな議論が出てくる可能性もあろうかと思います」
松山キャスター
「古森さん、終戦宣言とか、平和協定と言うと、当然、当事国としての中国が入っていないから、なかなかできないのではないかと意見もあるのですけれども。今回、中国の習近平主席が合わせて現地入りするのではないかという観測も、かなり前にありましたが、結局は入っていないという状況。そのプロセスを動かすために中国の要素、中国が入ってこないとなかなかこのプロセスは進まないということになるのですか?」
古森氏
「戦争状態を終わらせと言ったら、やがては中国がどこかで関与してこなければならないだろうと思いますよね。このへんの部分の言明、声明か、声明のところで私が気になることの1つは、北朝鮮の現在、金正恩体制の将来。そうすると、これまで金体制というのは韓国敵視、アメリカ敵視、日本も敵視、核兵器を持って、とにかく軍事強国だと、先軍で成り立ってきた。だから、国家非常事態というのはずっとほぼ永続的にい続いていて、その名のもとに独裁というのが許されるし、国民、自分達の政権にちょっとでも批判する人間は切って捨てるみたいなこともずっとできた。その柱がだんだんなくなってきた場合、この金体制の独裁を支えて維持していくエネルギーは何なのだという。ましてアメリカと仲良くする、韓国と仲良くするというのは、どうしても民主主義社会の価値観や何かに近づいていく、オープン、解放の体制ですね。だから、人権という言葉がキーワードになるかもしれないけれども、南北首脳会談で一言も出てこなかったのが人権という言葉。今度の会談でも、米朝でも、人権は出てこないですよね。でも、アメリカの世論、日本だってそういう世論はあるし、韓国だってあるでしょう。だから、北朝鮮の中の人権はどうなのだというようなことと結びついて、国家の柱が、これまでの金体制の柱が、何となく溶け去っていくような場合、金体制はどうなるのだという。だから、体制を保証すると声明は訳されているけれども、元の声明、米朝声明では、そういう言葉とちょっと違うんですよ。体制ではなくて…」
佐藤議員
「レジーム」
古森氏
「DPRK、レジームとも言っている。朝鮮民主主義人民共和国のセキュリティ…」
松山キャスター
「ギャランティ…」
古森氏
「ギャランティ。だから、安全を保証するというだけで金体制ということは一言も言っていないんですよ。だから、アメリカもそのへんをわかっていて、金体制をだけは絶対保っていくぞということは、絶対、それは口が裂けても言わないということですね」
松山キャスター
「確かに表現としては『President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK』と…」
古森氏
「だから…」
松山キャスター
「北朝鮮の、としか言っていないですよね」
古森氏
「そう」
松山キャスター
「金体制とは言っていないです」
古森氏
「金正恩さんにとって現在の状況は非常にいろいろな、鼠が1匹だか100匹だか知らないけれども、とにかくいろいろな形で良いことが起きてきて、良かった、良かったと言っているけれども、中期・長期で見たら、自分達の政権がよって立つ核心部分に、何とかの剣がブーッと刺してきているかもしれない」
松山キャスター
「武貞さん、体制保証、一応文言としては今回声明の中で盛り込まれたわけですけれども。その具体像というのはこれだけを見るとはっきりしない印象もあるのですけれども。今回、体制保証という部分についてはどう受け止めましたか?」
武貞特任教授
「体制保証というのは、非常に抽象的な意味ですから、もう少し具体的なものを、北朝鮮は要求をしたかったのでしょうけれど、トランプ大統領は体制を保証するということを約束したということで。北が望んでいることは不可侵協定を結びたいということでしょうね。でも、過去に、たとえば、2005年の9月の6か国協議の共同声明では、アメリカは核及び通常戦力で北を脅かしたりはしないということも保証していますから。それだけではなくて、北が望むのは不可侵協定を結んでほしい」
松山キャスター
「それは条約の形でということですか?」
武貞特任教授
「条約の形…」
松山キャスター
「アメリカの議会の上院の3分の2以上という賛成を得てという…」
武貞特任教授
「ええ、そうですね。そうすると、その先には当然ですけれど、在韓米軍は要らないね、米韓相互防衛条約もあれは矛盾するね、という論理が次に生まれますよね。そういう形にして軍事的コミットメントをなくす方向で、軍事コミットメントをなくしたら、核兵器を持ったままの北朝鮮は、アメリカの軍事介入の道を塞いだあとはワシントンに届く大陸間弾道ミサイルを持ち続けることによって韓国に対して有利な形で、しかし、戦争はしないで北の体制を残し、5分5分でよりも6:4でとか、7:3で統一コリアを自分がマネージできるシナリオがあると信じて核兵器をつくってきたわけです。その中で重要なのは体制の保証という言葉で具体的には在韓米軍撤退、米韓相互防衛条約廃止、不可侵協定締結、米朝国交を樹立、というものを込めて、体制の保証というものを米朝間で丁々発止やりたいというのが彼らのグランドデザインですよね」
松山キャスター
「現在でもその考え変わってないということですか?以前は、北は南を制圧することで統一ということを昔は言っていましたけれども…」
武貞特任教授
「いや、統一はほとんど毎日のように新聞に出ていますし、統一、自主的統一を目指して南と北は協力するというのはむしろ4月27日の南北板門店宣言の1番重要な部分であって。朝鮮労働党規約、憲法、全て統一するために北朝鮮は存在するというのは彼らの…」
佐藤議員
「北朝鮮は現在でも南北統一という旗は降ろしていないということですね?」
武貞特任教授
「いや、旗はもちろん、降ろしていないのですけれども、本音で諦めたいでしょうという解釈が多いですよ。その本音で北は…」
佐藤議員
「そこはどうなの?」
武貞特任教授
「…諦めたに違いないという時に、北の経済はもうメチャクチャで崩壊が近くなっていて持ち堪えることもできないような状態だから、統一ということはサラサラないし、統一に向けて歩み始めたら、韓国に飲まれちゃうようなことがあるから分断していてほしいと思ってるのは、むしろ北の方であって、在韓米軍がそこにいてくれることによって、軍事境界線は70年間、温存されてきたのだという論理で、北朝鮮はむしろ統一を嫌っているというのが、日本の中で相当多数の意見としてあったんですよね。ところが、いったん南と北が話し合って4月27日のような、ああいうふうにして韓国の世論も大きく変えるような、南北が話し合えば統一に向けて歩み始めるねということが起きると、韓国社会が、いや、意外と話し合ったら統一に向かって進むのではないかと一時、文在寅さんの支持率が85%いっちゃって、現在もまだ80%ぐらいで高止まり。これはいける、という気持ちは、おそらく北朝鮮の発想なのでしょうね。折しも、アメリカにはトランプさんのようなタイプの人が大統領になって自分達の国の守りを自分達でやってねと、よその国のためにお金を使うのは嫌だとか。まして大陸間弾道ミサイルがニューヨーク、ワシントンまで届きそうだ、1万3000㎞と飛びそうだなと思い始めると、ますます南北がしっかりと話し合って、まさに今日の記者会見の中でも出た、南北うまくやってちょうだい、うまくやっていますね、安心した、民族が相食む時代でなくなったね、軍事演習も今度やめてもいいよ、在韓米軍縮小してもいいよ、お金、あまり朝鮮半島で軍事費を使いたくないねという本音が出てきちゃった、という流れになるから、北朝鮮は自分の戦略を大幅に変えて現状維持のために、現状維持するために分断がそのままで、その方が北朝鮮の体制を温存できるのだということで。在韓米軍もそのまま置いておいてちょうだい、安全だね、在韓米軍がいて、米韓相互防衛条約があるねという考えを持つはずがないのはいろいろな条件が有利な方向に進んだね、というのが北の発想なんですよね」
佐藤議員
「要は、北朝鮮の南北統一という目標は…」
武貞特任教授
「建前も本音も…」
佐藤議員
「…本音も変わっていない?」
武貞特任教授
「変えていない」
佐藤議員
「という見方なんですね?」
武貞特任教授
「そうです」
古森氏
「では、板門店宣言というのはかなり嘘っぽいわけですか?北朝鮮が同意した…」
竹内キャスター
「それは核を持ったままの南北統一ということですよね?」
武貞特任教授
「それは、ですから…」
古森氏
「良い質問だな…」
武貞特任教授
「核を持ったまま南北を…」
佐藤議員
「そうですよね…」
松山キャスター
「そこが、1番そうですよね」
武貞特任教授
「だから、統一の時までは核は捨てないでしょう。統一のために核があると考えたのが金日成で、統一するための核戦略だと明確に言い切っていますよ」
松山キャスター
「今回の共同声明の非核化に向けたプロセスをすぐ始めるぞとアメリカ側は現在、トランプ大統領が言っているわけですけれども、統一するまで核を離さないという立場だとしたら、そうすると、プロセスはなかなか進まないことになる」
武貞特任教授
「うん、だから、唯一のプロセスというのは南北が本当に終戦宣言をして、戦い合う相手ではない南と北はなって、もし4年間で統合するとはっきり韓国の政権は言っているんですよね。南北が戦わないようにしようねと言うと、何のための在韓米軍かと、その次に、先ほども言ったように、生まれてきます、そういう論理が。そうすると、アメリカはどうぞ戦争を始めないので、核をぶっ放すということはないね、南北が仲良くするのならとアメリカが思い始めれば、統一の時まで一発の弾も誰も撃たないまま、統一に向かって進んでいくと、統一するための核兵器だったから、統一の直前まで行ったら核兵器の使い道がなくなりますよね、だって、統一のための核だから」
古森氏
「ただ、政治体制はどうなのだという1番大きな問題があるではないですか?」
佐藤議員
「そうそう。だから、核を持ったままの統一というのは…」
松山キャスター
「条件闘争のための核という、そこはなかなか…」
佐藤議員
「それはなかなか国際社会も、アメリカも、韓国も…」
武貞特任教授
「それを許すかどうかというのは韓国の体制、文在寅政権の発想、非常に極端な意見、それは統一したら我々の核というのは…、少数ですよ。そうでなくても統一するまでは北は手放さないだろうけれど、同じ民族に向かってぶっ放しそうにない核だから、緊密に南北対話を進んで進めていけば平和的に統一ができるだろうねというのが、進歩派政権の発想ですよね。だから、一生懸命、交流をしようとしている」
佐藤議員
「韓国は近代兵器をいっぱい持っていますよね。プラス核を持った統一国家ということですか?」
松山キャスター
「うーん、なかなかそこは受け入れられない、国際的に」
古森氏
「反日の統一朝鮮、核保有国家、悪夢のシナリオですね」

武貞秀士 拓殖大学大学院特任教授の提言:『日朝首脳会談と連絡事務所』
武貞特任教授
「今日は米朝会談無事に終わって良かったです。和やかな雰囲気のもとで終わった。日本にも歴史上初めてのチャンスが与えられたわけです。日米同盟をしっかりとしたものにし、日韓環境を良好にし、かつ日朝を改善していくチャンスが出てきたわけです。3つ同時に進めるというのはこれまで難しかったんですね。トランプさんもおそらく安倍さんにアドバイスをしていたでしょうね。首相官邸で安倍さんも言及していましたよ、日朝、直接やる以外ないですよ。日朝首脳会談、そこでは連絡事務所をつくって、拉致の問題も直接膝を交えて北朝鮮に対して直談判をするぐらいの対北朝鮮外交の発想の転換を望みたいです」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『激変を覚悟せよ』
古森氏
「米朝が接近して北朝鮮が国際的に優しい感じになるということは、そこだけ見れば非常にいいのですけれど、日本に対しては決してそんな兆しは見せていない。だから、拉致問題の解決というのはもしかしてますます難しくなるのかもしれない。それ以上に、また、日米の安保体制というのが、日米同盟というのがひょっとして、米韓同盟の揺らぎによって日米同盟までもが揺らぎかねないことも考えられる。これまで考えられなかったことを考えておかなければいけないと、そういうことだと思います」
松山キャスター
「北東アジアの環境がガラッと変わるということですね?」
古森氏
「そうですね」