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2018年6月5日(火)
米朝首脳会談まで7日 『非核化』韓国の理屈

ゲスト

松川るい
自由民主党参議院議員
黒田勝弘
産経新聞ソウル駐在客員論説委員
李泳采
恵泉女学園大学人間社会学部准教授

復活!米朝首脳会談 米朝『非核化交渉』の行方
竹内キャスター
「中止から一転、再開が決まった米朝首脳会談まで1週間に迫りました。両国の橋渡し役を自負する韓国の文在寅大統領は、首脳会談の開催にどのような思惑を持っているのでしょうか。半島情勢に詳しい政治家と専門家の皆さんをゲストに迎えて、北朝鮮をめぐる韓国の思惑、韓国の内政・外交も含めた現状を徹底検証していきます。トランプ大統領は今月1日、米朝首脳会談を当初の予定通り12日にシンガポールで開催すると表明しました。金正恩委員長の最側近である朝鮮労働党統一戦線部長の金英哲氏と、ホワイトハウスで会談後、記者団に明らかにしたものです。トランプ大統領の発言のポイントは『非核化へ向けた始まりだ。1回の会談では終わらない』『制裁は続くが非核化は時間をかけてゆっくりでいい』『制裁について最大の圧力という言葉は使いたくない』『朝鮮戦争終戦を協議した』『アメリカは朝鮮に多額の資金支援はしない、日中韓が実施する』とありますが…」
松山キャスター
「これまで日本とアメリカがやってきたスタンスと若干、ニュアンスが違う言葉がこの中に入っているのですけれど…」
松川議員
「そうですね」
松山キャスター
「制裁については『最大限の圧力』という言葉はもう使わないみたいなこと言いましたよね?」
松川議員
「はい」
松山キャスター
「日本政府としては、基本スタンスとして制裁は続いているのだから、それは変わらないということを言っていますけれど、ただ、言葉としてアメリカの大統領にこういうことを言われちゃうと、これまで安倍総理がずっと言っていた『最大限の圧力』は、その路線はどうなったのという印象を受けちゃうのですけれども」
松川議員
「これは、でも、私は、最大限の圧力をまさにかけたからこそ、金正恩委員長は、いつかアメリカとやりたいと思っていたのでしょうけれど、彼がこういう形で決断をしたのは間違いなく圧力というか、制裁のおかげ、あと軍事オプションというのがあったおかげだと思うんですね。ただ、これからはトランプ大統領の立場というか、考えからするとおそらく、そこのところはもう終わったのだ、これからは、圧力はもちろん、具体的行動がされるまでは国連の安保理決議は絶対外さないという、これは間違いないと思うのですけれども。これからそういう大きなディール、トランプ大統領の好きなディールをしていく中で、最大限の圧力の最大の意味と言うのは、実は制裁だけではなくて、制裁は国際的な安保理決議なので、軍事オプションということだと思うんです。軍事オプションというのをやるかもしれないぞと言いながら、大きなディールというか、交渉はできない、というか邪魔になると。だから、そういうモードから少し距離を置きたいなという気持ちがちょっと現れたと思うのですが。あの発言はすごく考えて言ったというよりも、とっさに出たという感じだと思います」
松山キャスター
「そういう印象があります」
松川議員
「わざわざ、これをはっきり明言しようと思って言ったというよりはこれからはそういうことをやっていこうと自分は決意したから、そのプロセスに、マイナスの影響というか、雑音になり得ることは十分、それがうまくいくまではやらないみたいな気持ちがちょっとあるのではないですかね」
松山キャスター
「黒田さん、ちょっと1点聞きたいのですけれども。北朝鮮の副委員長、かなり高官ですね、金英哲さん。こういう方がアメリカを訪れる。これは北朝鮮にとってかなり異例のことなのですか?過去にこういうことはあるのですか?」
黒田氏
「だから、今回18年ぶりというのが出ていますよね。以前には、だから、例の趙明禄という、ナンバー2的な人が、クリントン時代ですけれども、訪米していますし、その時は逆にオルブライト…」
松山キャスター
「…国務長官」
黒田氏
「…が平壌に行っていますから。その時は米朝首脳会談の直前までいったのですが、クリントンさんも任期がちょうど交代にさしかかって実現しなかったのですけれども。初めてではないわけで。僕の長くウォッチングしている立場から言うと、既視感と言うのですか、デジャヴはありますけれども。今回は、北の金正恩さんの切実感というのがあって、トラップさんの心を掴まなければいかんということだと思います。相当、だから、たとえば、韓国でも、文在寅さんの周辺で言われているのは、要するに、トランプさんの心を掴めということで。その1番良い方法が褒めることだと言っているんですよね」
松山キャスター
「ああ、それは確かに正しいかもしれないですね」
黒田氏
「だから、今回、金正恩さんも、あなたが頼りだ、みたい、相当そういう気分を良くする内容だったのだと思います」
松山キャスター
「なるほど。確かにトランプ大統領も笑顔で応じていましたけれども。李さんは、今回の金英哲副委員長のアメリカ訪問をどう感じましたか?」
李准教授
「トランプさんの言葉なのですが、実際これは私から見ると、非常にトランプ大統領が前に比べればリアリズム、冷静になってきたということが読みとれると思います」
松山キャスター
「結構、譲歩みたいな話も入っていますよね?」
李准教授
「ですよね」
松山キャスター
「『時間をかけてゆっくりでいい』という。これまで早期、即時の非核化みたいな路線でいったのがかなり譲歩しているのではないかという…』
李准教授
「ですよね。それは完全な一括妥結ということを言って、全て北朝鮮に一括で全て譲ってほしいということを言っていたのが段階的だと、あるいは時間がかかるという認識をしたことは実際、交渉をやってみると一括で終わらないのだということなんですね。それで1回の会談で終わらないということは、場合によっては複数回も言われるのですが、米朝首脳会談が現在、南北会談みたいに定例化していく可能性もあるということですね。場合によっては平壌も訪問すると。あるいは国連で2人が会う可能性もあるとか、それは今後、中間選挙まで何回もこのような大きな政治的なショーを、実際、トランプさんはやっていきたいというような1つの自分のシナリオをもう描いているということですよね」

『仲介役』文大統領の思惑は
松山キャスター
「米韓首脳会談の時のトランプ大統領は、非常に険しい表情で、文在寅大統領の横で語っていましたけれども、どう受け止めましたか?」
黒田氏
「そうですね。文在寅さんは割とニコニコ、まあ、ニヤニヤ…」
松山キャスター
「無理して笑っている感じもありましたけれども」
黒田氏
「そうなのですけれども。この時の首脳会談というのは、僕のちょっと記憶ですけれども、会談自体は20分そこそこで。その終わったあと、写真が出ている場面…」
松山キャスター
「いわゆる頭撮りと言われている…、最後撮りですよね」
黒田氏
「ええ。その時には記者団も呼んだのですけれども、あれが40分ぐらいかかったというわけですよ」
松山キャスター
「そっちの方が長かった?」
黒田氏
「ええ。だから、これを考えてもトランプさんとの直の話というのは、要するに、なかったに等しいというね、要するに、トランプさんが割と軽くあしらったということでしょうね。それで、これは韓国のメディアで出たのですけれど、記者団が皆来て、それで質問したわけではないですか。その時には、文在寅さんがいろいろ説明を、当然、答えをしたのですけれども、その時に、トランプさんがこれは通訳しなくていいと言ったんですよ」
松山キャスター
「文在寅さんが言っている答えを、俺には、耳に入れなくていいと?」
黒田氏
「そう。それで、記者団もいるのですけれども。韓国人はわかるのだけれども。それについて韓国のメディアは、何だ、これは外交的欠礼ではないかという、その不満を述べた場面があったんですよね。だから、文在寅さんからすると相当、トランプさんに冷たくあしらわれたのではないかという感じですよ」
松山キャスター
「カメラがたくさん並んでる中で、トランプさんが横の文在寅大統領に向かって、彼はちょっと非核化の問題では違う考えを持っているかもしれないけれども、みたいなことを公の場で言っていましたよね?」
黒田氏
「うん、その背景が、これまであなたからいろいろ聞いていたけれど、ちょっと違うのではないかと話が、という不快感があったと思うのですけれど。そのあと文在寅さんが、これは韓国のメディアに出ていたのですけれど、よく今回の米朝関係において、私は運転手だ、という言い方をしているわけです、つまり、仲介者みたいな形で…」
松山キャスター
「ハンドルを握っている?」
黒田氏
「うん。それについて、彼は、韓国は仲介者ではないのだと、米韓と一体の立場だということを、そういう趣旨のことをわざわざ言いました。それはメディアで出ていたのですけれども。そう彼が言わざるを得ないぐらいに、トランプさんの方で、ちょっと不信感があったと、あんたはどっちなのだと、何か北の良い話ばかり私に伝えて、私を説得しようとしてるのか、みたいなものでしょう。だから、そういう不快感があの時にはあったのだと思いますね。不信感と言いますかね」
松山キャスター
「松川さん、外交官としての経験もあるので聞きたいのですけれども、ああいう会談の席で、相手国の首脳が発言している時に、その訳は別に俺には訳さないでいいなんて、目の前、記者の前で言う、これは…」
松川議員
「いや、それは大変失礼だと思います。ただ、トランプ大統領ですからね…」
松山キャスター
「さもありなん?」
黒田氏
「トランプ的と言うか…」
松山議員
「うん。李さんは、米韓首脳会談での文在寅大統領とトランプ大統領の様子、これは2人の間でどういうことが行われていたと思いますか?」
李准教授
「実際、もちろん、トランプ大統領はなぜキャンセルしたのかはちょっと証明しにくいところがあるのですが。しかし、そのあとの行動を見ると、いくつかまたその目的がちょっと推測できることはあります」
松山キャスター
「この2日後にキャンセルしたんですよね?」
李准教授
「そうですね。手紙を見ると、いつでもまた電話とか、メッセージをくださいということは、会談はしたい、ですよね。しかし、当時、既に20名近くの実務チームが、国務省のチームが全部もう韓国に入っている状況なんです。また、シンガポールでも交渉をやろうとする状況なので、シンガポールの中では実際、韓国のいろいろ調べをみると、ホテルがキャンセルもされていない状況なのに、キャンセルをしたいという、会談中止ということは政治的な目的をはっきり表しているというメッセージとして韓国は受け止めたわけですね。だから、実際、トランプさんの本意がいったい何にあるかということを確認しようとしたと思います。ただ、文在寅大統領に言われたのが、北朝鮮は非核化をするのですが、本当にアメリカは体制保証をしてくれるのだろうかに関して、不安定な、不信感が強いわけですよね。トランプ大統領は体制保証すると何回も言っているにもかかわらず、北朝鮮が非核化に対する意志をはっきりしないまま、ボルトンさんとか、ペンス副大統領まで名指しをして批判するということに関して非常に不快感があったと思うんですね。いわゆるボルトンさん対しての批判は我慢できたとしても、副大統領はアメリカの人格になるので、その人を名指して批判するということは相当、トランプ大統領が自ら国内世論を勘案しても、そういうようなメッセージ、中止というようなメッセージまでもはっきりしなければいけないような立場があったと思います。ただ、文在寅大統領に問われているのは両者をどれほどお互いに信頼させ、会わせるのかということが、文在寅大統領が1番中心的に考えてきたことであって。しかし、トランプ大統領の記者会見のあとにすぐ、20分ぐらいの記者との会見…があって、あとには実務者会談を実は全部しているわけですね、韓国の閣僚とアメリカの閣僚が。その時まではトランプ大統領はシンガポールの会談の意志ははっきりしていたので、突然的な変化に関し、本当にこれは戦術的なものであって、完全キャンセルではないというような判断を韓国はしていたと思います」
松山キャスター
「トランプ大統領がいったんシンガポールでの6月12日の会談をキャンセルすると発表した直後に、25日の未明に韓国は国家安全保障委員会、NSCを緊急招集したと伝えられていますけれども。この慌てぶりから見ると、黒田さん、韓国は米朝会談の中止表明というのを事前に知らされていなかったのではないかなという印象を受けるのですけれども、そのあたりはどう感じますか?」
黒田氏
「真相はわかりませんけれども、僕はそう思います。というのは、トランプさんからすると、先ほど、言いましたように文在寅さんのスタンスに若干の、疑念と言うか、あなたはどっち側なのというのがあるではないですか。そうすると、事前に連絡すれば、そのまま金正恩さんの方に、先に話がいっちゃうのではないのということではないですか、端的に言えば。そうすると、トランプさんのああいうサプライズ作戦というのですか、恫喝でもいいのですけれども、その効果がなくなるわけでしょう。事前に韓国に言わなかったと思いますね。それだけに韓国は驚いたということですけれども。ところが、あとでいろいろ聞いてみると、トランプさんの書簡、レターがあるではないですか、アレをよく読むとラブレターみたいなところがあるではないですか」
松山キャスター
「最後の方は、対話の窓口は開いているよみたいな、いつでも電話してきてくれみたいな…」
黒田氏
「うん、あなたと会ってもいいのだというか、会いたいのだということが文脈の中にあるわけでしょう。だから、結果的にはそんなに飛び上がらなかったという話になるんですけれども。つまり、日にちはともかくとして開催はあり得るべしという判断だったと聞いています」
松山キャスター
「なるほど」
黒田氏
「従って、今回もそれで、そのあと金正恩さんと文在寅さんが板門店で…」
松山キャスター
「電撃的に2回目の南北首脳会談を…」
黒田氏
「会うのですけれども。それは、要するに、文在寅さんの方から話、声をかけたのではなくて、金正恩さんの方から言ってきたわけですから。それは作戦成功ということでしょう、トランプさんからすれば」
松山キャスター
「なるほど。李さんはどう感じましたか?」
李准教授
「韓国の国内の対応と、実際、文在寅大統領の支持率が実は非常にリンクされていると思います。なぜかと言うと文在寅大統領は危機に非常に強い判断力を持っているわけですね。皆、危機だったら、判断力が揺れてしまうのですが、危機コントロール能力があるんです。だから、今回も危機だと思った時、NSCの会議のあとにすぐ、たぶんこれは推測ですが、国家情報院長を北朝鮮にコンタクトさせたと思うんですね。まず金正恩委員長のこの声明文、金桂冠さんに読ませた内容が非常に柔らかい。もちろん、金正恩委員長の人柄のリーダーシップもあるわけですが。しかし、それは普通であれば北朝鮮は大反発をすることで、これは決裂になるわけなのですが。その週末、まだメディア報道がない時に、秘密裏に、北朝鮮のこの第1の声明が非常に大事だと思われた時期に、それが柔らかい形に出たことには、のちに見れば、韓国の働きもあったとは思います。しかし、それで秘密裏に第2回目の会談までして、それで新たな米朝首脳会談がまた軌道に乗せるようにしたことは、まさに文在寅大統領の能力だと思うんです。しかし、韓国にとってなぜ文在寅大統領の支持率がまだそこまで高いのかと言うと、1年前の5月の状況を見ると、朝鮮半島は戦争の直前ではないかと、アメリカの先制攻撃と、また、北朝鮮は何回も核実験をして、アメリカは最大の経済制裁をやると。そういう時代に1番困った立場は文在寅大統領だったわけですね。しかし、どちらにも揺れず、持続的な説得をずっとやってきた」
松山キャスター
「今回、電撃的な2回目の南北首脳会談を行ったのは、1つは、北朝鮮の金正恩委員長の方から呼びかけてきたという情報になっていますけれども。北朝鮮側にもすぐに南北で会談をやる、モチベーションというのは当然あったと思うのですけれども。そのあたりの事情をどう考えますか?」
松川議員
「これはいろいろな見方があると思うのですけれども、私は中国に会ったあと、北朝鮮は相当、アメリカにも結構大きな態度になったし、韓国に対しても相当、冷たい…、若干、用済み的な感じがちょっとあったと思うんです。だけど、困った時にはお兄さん頼みというか、困った時には南に助けてもらおうと思うのだなと。だから、困ったら戻って…、とにかく南だったら言うことを聞いてくれると、そういう感覚があるのでしょうし、あと李先生もおっしゃったように韓国からしても軍事的事態を避けるということが最大の目標、これだけは絶対嫌なので、米朝はやってもらわないと困る、せっかくここまで持ってきたのに。米朝をやると、軍事オプションはとりにくくなるわけです。顔を合わせて話をしたあとに。だから、そういう意味では、何としてでもこれを達成したいという、米朝を実現したいという気持ちは韓国側にもちろん、あって。そういう意味では、たぶん言ってきたのは北だと思うのですけれど、『我が意を得たり』というか、両方共にインセンティブはあったと思うんですね。仲介者という役割というのは、これまでもあったとは思うのですが、私はもはや韓国は当事者だと思うので。この先は米朝が12日、来週に始まれば、韓国の役割というのは仲介としてはほとんど…、本当に困った時には結局頼まれるという役割は、…としての仲介はあると思うんですね、今後も」
松山キャスター
「きっかけをつくる役として?」
松川議員
「きっかけというか、どっちかがとにかく困った時、困ったら。困っていない時はたぶん関係がないのですけれど、困った時に何かと頼まれる役というのは今後もあり得ると思うのですが、米朝が会ったあとというのはむしろ朝鮮半島の片方の当事者としての立場ということに主としてなるのではないでしょうか」
松山キャスター
「まさに韓国の人達が今回の非核化などについてどう考えているのかというアンケートがあるのですけれども」
竹内キャスター
「世論調査なのですが、朝鮮半島の非核化と平和定着の可能性について尋ねたところ、『可能である』が66.5%、『今は難しい』が20.2%、『わからない』が13.3%となりました。この調査は、先月24日にトランプ大統領が米朝首脳会談の中止を表明した翌日25日に行われているのですが、米朝首脳会談のキャンセル直後の調査にもかかわらず、楽観的な見通しが…」
松山キャスター
「まだ2回目の南北首脳会談が行われる前に行われた調査でもこれだけ楽観的な見通しを示しているということですね」
竹内キャスター
「この理由と言いますか、韓国国民は、李さん、北朝鮮にシンパシーを感じている?」
李准教授
「もちろん、これは楽観的というより、韓国の人々は今回、これをかなり実現しないといけないのだという、いわゆる執念、あるいは期待心理だと思うんですね。朝鮮半島が危機になると、戦争が起こるのは日本とか、アメリカではない、これは朝鮮半島で戦争が起こる。朝鮮の人々が1番被害者になるわけですね。だから、今回は現在、文在寅大統領が登場し、何があっても戦争は2度とないのだという約束する、大統領のもとで、アメリカと北朝鮮がこれほど実は危機の対立になっている。一歩間違うとこれは、交渉の失敗は、その後遺症はもう1つの挑発行為と先制攻撃による戦争の道しか残っていないというような危機感を実は韓国の人々は持っていたわけです。だから、今回トランプ大統領の手紙に最後の希望ということをちょっとでも書いてあったので、それを信じながらも、韓国の人々はこの機会を絶対に逃したくないというような、その意志の表れだと思います。だから、逆に、危機だからこそ、そういうような可能性をもっと探ろうとすることが、…日本とか、他の海外にあまり伝わらないかもしれませんが、韓国あるいは北朝鮮にもそのメッセージは伝えたと思うんですね。今回、このチャンスを逃すと、2度と実は北朝鮮が夢見ている、いわゆる体制保証、経済発展ということはないかもしれないということなので、北朝鮮も世論を抑えて、必ずここにもう1回、北朝鮮がトランプさんと会話するということを、国民の世論として、もう1回、北朝鮮を説得する、そういうような要素になっていたと思うんです」
松山キャスター
「黒田さんは、韓国国内での楽観的な世論をどういうふうに?」
黒田氏
「韓国の皆さんというのは日常的にも『べき論』の人達ですよ。こうあるべきだと、こうあってほしい。それで…」
松山キャスター
「願望ですか?」
黒田氏
「そうそう。それで生きている人達ですから、僕に言わせると。良く言えば、夢がある人達ですけれども。そういう気分の人達ですから、こういうチャンスは、活かすべきだと、実現されるべきだと。平和であったり、あるいは場合によっちゃあ、南北和解、交流であったり。そういう期待感の表れ。期待感というのは日常的にこういう世論調査では大きく出ますね」

検証!『板門店宣言』『非核化』米朝韓それぞれの思惑
松山キャスター
「非核化についてのスタンス。たとえば、日本と韓国の間でかなり距離は開いているなという印象を受けるのはこういった発言なのですけれど。これは今月2日にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議、いわゆるシャングリラ会合ですけれども。そこに出席した日本の小野寺防衛大臣が『北朝鮮は過去に融和ムードを演出しながら核・ミサイルを開発し続けてきた』ということで、対話に応じるから、というだけで報酬を与えてはいけないということも繰り返し述べたと、これまでの日本のスタンスを言ったわけですけれども。これに対して同じ会議に出席していた、韓国の宋永武国防相がこのような発言をしています。『北朝鮮を疑い続けると会談や発展に支障をきたす。度量の大きい決断をした北朝鮮を理解してほしい』と。北朝鮮がせっかくこういう大きな決断をした時なのだから、変な雑音を言わずにここはじっくり聞いてあげようではないかというスタンスで発言をしていると。かなり日本と韓国の間でスタンスが広がっているなという印象があるのですけれども、松川さん、このスタンスの広がりをどう見ていますか?」
松川議員
「それはあるとは思うんですね。韓国は直接、南北首脳会談を2回やって直接、北の話を聞いて、本当に彼らはそれなりに体制保証がされれば、本当の意味で北が核を廃棄する覚悟があるのだろうということについて、自分達なりに確信というか、それなりに何か感覚を持っていると思うのですけれど。日本にはそれはないではないですか。また、韓国は先ほども申し上げましたけれど、軍事自体が起きないこと、文在寅政権としては特に南北の共存というか、融和というか、統一というのか、言葉はいろいろありますけれど、それが大きな目標というか、達成できればと思っていることなわけで。対話で解決をするのだという、そのモードにもう変わっているのだという、そういう感覚がたぶんあるんだと思うんですね。だから、そういう意味で、小野寺大臣がおっしゃったこと、これは事実、正しいことではあるのですけれども、現在のモードの韓国にちょっと、…の感覚からすると、少しずれを感じるところではあったのかもしれないですよね。ただ、小野寺大臣がおっしゃったように、過去の北は確かに融和ムードを演出しては我々を出し抜いてきた。だから、どちらも正しいんだと思うんです、そういう意味では」
松山キャスター
「韓国の政府関係者からは、過去に失敗したから、圧力、圧力と言って、失敗したからといって、今回もそれが機能しないとは限らないのではないかという、少しは期待してみようではないかという意見が結構出ていると思うのですけれども」
松川議員
「うん」
松山キャスター
「日本としてそこは慎重にならざるを得ないというところなのですか?」
松川議員
「そうですね、ならざるを得ないのですけれど。ただ、私は個人的には、過去と同じではない可能性はそれなりにあると思うんです。金正恩委員長というのはスイスで育った35歳の若いリーダーで、あと40年、自分の国を統治しなければならなくて、核はたぶん放棄したくないんですよ。イスラエルみたいな国になりたいとたぶん狙っているのでしょう」
松山キャスター
「ギリギリまで?」
松川議員
「ギリギリまで。なんとなく皆がその状態に慣れてくれればと、狙っていると思いますけれども。ただ、いわゆるこれまでのような北のように、脅威を与えて、援助を引き出すとか、そういうことをあと40年やり続ける気はたぶんないと思うんですね、普通に考えて、普通というか、彼のようなリーダーであれば…」
松山キャスター
「これから先長く統治することを考えると」
松川議員
「私は、そういう意味で今回の、わからないですよ、これは結局、わからないですけれども、もしかすると過去の繰り返しではないことを、北のリーダーが考えている可能性は結構あるのではないのかなと。なぜそう思うかと言うと、たとえば、強硬派の軍の幹部を辞めさせてみたり、あと4月末だったかな、と思うのですけれど、中央委員会で、並進路線、核と経済の並進路線から経済重視路線を変えるということを説明したり。国民の前で涙を流しながら、国の経済が発展させられてなくて、自分は申し訳ないと思うとか言ってみたとか」
松山キャスター
「そういうビデオが幹部に流されたという話が一部にありますね」
松川議員
「何でしょうね、これは、フィルターを我々は持っているんですよ、過去に騙され続けてきたので。拉致もあるし。だけど、割合素直に見てみると大きな変化の、それなりに覚悟しているということではないのかと見ることもできると思いますね」
松山キャスター
「なるほど。李さんはどうですか?小野寺防衛大臣の発言は日本のこれまでのスタンスを言っているだけなのですけれども、これが若干、周りの関係国が対話に動いている中で、若干ニュアンスが変わってきているのではないかという見方も一方ではあるようなのですけれども。李さんはどう見ています?」
李准教授
「1番、北朝鮮に対する認識が変わっているのはアメリカとトランプ大統領ではないでしょうか。アメリカは変わっています。明らかに交渉の相手にしていますし。明らかに1人の指導者として認めて、そこまでアメリカは…」
松山キャスター
「現実的な対話の方に?」
李准教授
「国交正常化まで考えていることであれば、国際社会の一員としてアメリカは出発しているわけですね。経済投資もいくわけなんです。中国・ロシアもいっています。そうすると、日本の厳しい立場は理解しているのですが。フレームが変わって、国際レジームが変わっていく時代に、それにどういう形で日本が反応していくかは当然必要になるわけなんですよね。それで北朝鮮に関する様々な分析をする研究者達が北朝鮮の文脈の中で、先ほどおっしゃったように、既に経済建設1本にする、経済発展のことを最高指導者が決めて演説までしている社会は、それを逆戻りすることができない路線にもう出発しているということなんですよね。そうすると、これまでとは違う北朝鮮を我々が外交という、あるいは経済支援という形でもう1回、付き合ってみる。これを文在寅大統領の言葉で言えば、過去に歩んだ道かもしれませんが、しかし、未来はこれまで誰も歩んでいなかった道をこれから我々は歩まないといけないというメッセージというものは新しい時代という可能性を見ていかないと何も希望がないではないですか、というようなことなんですよね」

『終戦宣言』と『平和協定』の行方
竹内キャスター
「松川さん、12日の米朝首脳会談で終戦宣言が行われる見込みはあると思いますか?」
松川議員
「あるのではないでしょうかね。もちろん、それだけではなくて、それに対置できるようなコミットメントを北がすることが前提だと、たとえば、査察を全面に受け入れるとか、あると思うのですけれども。この前、先ほど申し上げた、金英哲さんが記者とのブリーフで、トランプ大統領自身が終戦、朝鮮半島の終結について話をした、それについて、12日に何らかある可能性はあるみたいな、ちょっと正確な文言は覚えていないのですけれども、聞いただけなので、だけど、…とおっしゃっていましたので。それは少なくともアメリカは、たぶん外交官達がいろいろ詰めていると思うけれども、それなりにそれはうまくいきそうだったらと考えていることはあるのではないでしょうか」
松山キャスター
「終戦宣言の一方で、休戦協定から平和協定に転換する協議というのも板門店宣言には入っていましたけれども」
松川議員
「うん、はい」
松山キャスター
「その協議を推進する主体としては、3者、または4者という表現で…」
松川議員
「そうですね」
松山キャスター
「南北朝鮮プラス、アメリカ、または南北朝鮮プラス、アメリカ、中国という4者、いずれかという話はありましたけれども。終戦宣言、これについて当事者が何か国集まれば、これはできると考えますか?」
松川議員
「これは割とバリエーションがあり得ると思うんですね。要するに、平和協定に転換するというのは休戦協定当事者が入っていないと話にならないので、と普通だったら思うので、プラス休戦協定に入っていなかった韓国も当然入らないといけないし、それは少なくともアメリカと中国、南北朝鮮が入らないとというのがあると思うのですけれど。終戦宣言というのは法律、国際法上のものではなくて、宣言ですね、意志なんですよね。だから、それは普通に考えれば朝鮮戦争を戦った当事者である南北が入っていないといけないのではないのとか、中国も入っていないといけないのではないのという考え方もあり得るとは思うのですけれども、別に米朝だけで言っちゃダメだということもないし、でも、韓国がいなければいけないのではないかという意見もあるかもしれないけれど、私は終戦宣言というのはいろいろな形が、考える幅のあるものだと思いますね。外交的には幅がつくりやすいものではないかと思います」
松山キャスター
「韓国の文在寅大統領が今回の6月12日のシンガポール会談に合わせて、ひょっとしたらシンガポール入りするのではないかということで、準備作業に入っているという一部報道もあるのですけれど、仮に文在寅大統領が本当に行ったとして、あとは米朝の首脳がそこにはいるわけですよね。この3者がいれば少なくとも終戦宣言ぐらいだったら、やろうと思えば可能は可能?」
松川議員
「それは全然可能ですよね。私なんか、米朝だけでやりかねないと思っているのですけれども、本当に」
松山キャスター
「黒田さん、どうですか?終戦宣言、シンガポールで行われる可能性については?」
黒田氏
「あると思いますね。それで、ただ、僕は、この終戦はどういう意味があるのだろうかと、実質的にね。松川さんがおっしゃったように宣言ですから、象徴的な意味として…」
松川議員
「うん、象徴的な意味…」
黒田氏
「…のシンボリックな言辞だと思いますね。本当の終戦は当然、平和協定まで行かなければ意味がないのであって」
松川議員
「うん」
黒田氏
「その際、たとえば、これまでなぜ終戦でなかったのかと言えば、休戦状態で北の繰り返される軍事挑発があったり、韓国に対する攻撃があったり、テロがあったりしたではないですか。そういうものが今後ないんだよと、そういうことはしないんだよということでなければ本当に終戦でもないし、それは平和協定でもってそれは担保されなければいけないと思います。だから、終戦宣言というのは見栄えがいいし、言葉としてはいいので、トランプさんは、それは好むと思いますね。シンガポールで、それをやったということで。だから、それはあると思いますけれども。僕は中身、実質はその先に持ち越しだと思いますね」
松山キャスター
「一説にはトランプ大統領がノーベル平和賞の受賞を本気で狙っているという話も、アメリカでは結構言われていますけれども…」
黒田氏
「…あるでしょうね」
松山キャスター
「一方、文在寅大統領もノーベル賞って狙っていたりするものなのですか?たとえば、昔、金大中大統領時代には…」
黒田氏
「ありますよね」
松山キャスター
「南北会談をやっただけでノーベル賞を獲ったというのがありました」
黒田氏
「うん。もちろん当然、最初から、世論的にはあって、特に文在寅さんの支持勢力はノーベル賞推進委員会というものまでつくっちゃったので、大統領は、それは格好悪いからやめろと言ってやめさせたということがあるのですけど。当然うまくいけば、1番の功績になると思いますね」
松山キャスター
「韓国国内ではそういう世論みたいなのがあったりするわけですか?」
黒田氏
「そうですね。ただ、今回、米朝があるので、つまり、米朝2人と文在寅さんと3人で、ノーベル平和賞というのは、僕は抵抗がありますね」
松川議員
「…」
黒田氏
「僕、金正恩さんには出したくないですね」
松山キャスター
「金正恩委員長まで入っているという形というのはちょっと…」
黒田氏
「ねえ?」
松川議員
「でも、1回だけのこれではならないですよ。だって、何回か…」
黒田氏
「もちろん、そうですけれど」
松川議員
「あと、さすがに、だから、終戦宣言というのをやるためには核の全面査察を来月中にやるとか、そういう、その程度のアレを出さないと…」
松山キャスター
「非核化に関するステップもそこに入っていなければおかしいと?」
松川議員
「いや、そうでないと、トランプ大統領はいったい何をやっているのだと?金正恩さんに手玉にとられ、こんなアホみたいなディールをしちゃってということになって、支持率が下がりますよね。だから、それは両方とも、なるほど、とそれなりに思えるようなものでないと、それは宣言だけ出るということはあり得ませんから」
松山キャスター
「李さんは、この終戦宣言の可能性、シンガポールで行われる可能性、どれぐらいあると考えますか?」
李准教授
「いや、そもそもなぜ終戦宣言の話になっているかと言うと1953年7月、休戦協定を結んで、ジュネーブでそのまま平和協定を結ぶ予定だったわけです。しかし、それが決裂して、それがずっとこれまで何もできていない状況です。1番重要なのはアメリカと北朝鮮がお互いに攻撃しないのだという何かの保証が必要ですね。しかし、今回、トランプ大統領は何も署名はしないということは終戦…、署名ではないということです、ただの宣言にすぎないことなので。北朝鮮では口の約束だけでは保証できないので、何かをしてほしいということで。だから、文在寅大統領が今回行く大きな目的は、終戦宣言参加だけではなくて、実はその中に必要なのは、最低限、不可侵条約という、アメリカと北が平和協定というものは、永久の平和をつくるための幅広い枠組みですよ。そこにはたぶんロシアも、あるいは中国も利益があるわけなんですね。だから、不可侵条約というものは最低限、アメリカと北朝鮮がお互いに侵略しないのだということは声明文に入れていいのではないかというところを、現在、韓国が提案しているわけです。だから、そこまでやると北朝鮮はアメリカの脅威さえなければ、核兵器を持つ必要がない。だから、今回、この非核化の工程表を全部提出するのですが、終戦宣言以上のものを実は要求しているわけなんですね。たぶんそこを最高首脳の会談でどこまで折り合いをつけて、いわゆる韓国、文在寅さんの役割で提案している不可侵条約をそこに入れるか、入れないか、これがまさにもう1つ、次の信頼関係をつくるかどうかの問題だと思います」
松山キャスター
「まさにそれに関連して、アメリカのポンペオ国務長官が先日、議会での公聴会で体制保証というのはどういうものかということを民主党議員に聞かれて、1つの案としては、上院の3分の2以上で可決する条約の形での保証というのを示唆する発言をしたんですね」
李准教授
「そうですね」
松山キャスター
「ある意味、一種の不可侵条約みたいなものだと思うのですけれども。それは北朝鮮としては、そういうこれまでの1994年の枠組み合意とか、これまでの6か国協議での合意、全て行政だけで行っていた合意、大統領権限だけで行っていた合意ですが、議会も含めた合意だと今度ハードルが上がってなかなか解除できなくなる。そういう形での合意、体制保証というのを北朝鮮は求めていると?」
李准教授
「北朝鮮は当然求めるわけですね。ただ、現在、アメリカのいろいろな政治的な文脈の中で、相当、議会でそこまですぐトランプ大統領と金正恩委員長が合意したからといって、アメリカの議会ですぐそれが保証されるのは実は時間がかかるわけです。当然、アメリカの中でも非核化の中身を見ないとそこまでできないということになるので、当然、北朝鮮にそこまで望むわけですが、最低限トランプ大統領と、あるいは内閣が不可侵条約に関するある程度は認定というところまでを見て、しかし、それがアメリカの国内にまた持ち込まれて、議会でどこまで承認できるのかは、アメリカの一種の表現でもあったと思いますね」

『平和協定』と在韓米軍
竹内キャスター
「『南北は互いの軍事的信頼が構築されるのに伴い、段階的な軍縮を実現』とありますが、松川さん、ここで言う軍縮というのは在韓米軍も含まれているのですか?」
松川議員
「あると思います。ここの文言そのものかどうかということは別にして、この前のトランプ大統領の金英哲さんの会見のあとの反応とか、それから最近のシャングリラダイアローグでマティス国防長官が質問された、在韓米軍の撤退というのは平和条約締結後があったらあるかと言われた時の答えとか、いろいろなものを総合して考えても、それがまったく起きないと、1回撤退とか、縮小がないと思う方がナイーブだと私は思います。それは単純に、北がそれを望むからとか、そういう単純な話ではまったくなく。その存在…、もともといくつもありますけれど、トランプ大統領がそもそもコスパ重視の方なので、もともと選挙中から在韓米軍2.8万人もあそこにいる必要があるのかということを言っていたり、あと最近、アメリカの軍事戦略というのが大規模軍をあっちこっちに駐留させるというよりも、もうちょっと、より敵から遠いところからモバイルな形で対処するという方向に変わってきているということもありますし、もう1つ、マティス長官が言った答えがすごく示唆的だったと思うのですけれども、これは米朝の問題ではないと、米韓の問題であると。これは減らすのですか?減ることになるのですか?と聞かれて、そう答えたんですね。減らさないとまず言わなかったことと、米韓の問題だということは、つまり、韓国がどう思うかということがありますよと。私は、韓国というのは国防部と青瓦台と全然違うと思うんですよ、感覚が。たぶん国防部はそんなことをまったく望んでもないし、縮小とか。保守派の人もそう思っていないですけれど、最終的に文在寅大統領が続いているとすれば、在韓米軍の役割というのが多少縮小しても、それによって南北の統一であるとか、融和であるとか、朝鮮半島独立とか、いろいろなものが総合的に推進されるなら、それでもいいのではないかと考える可能性というのは十分あると思うんです。ここは全然違う理由ですよ。トランプ大統領からしたら、駐留維持費とか、人員が無駄だとか、もったいないとか、違う思惑なのですけれども。結果的には一致点がそこそこありそうな気がするんですね。だから、そういう意味では、これは短期ではありません、今回の12日とか、この米朝の何回かの首脳会談の中で出てくるということでは必ずしもなくて、その後の平和条約が締結されたあとの朝鮮半島を中長期的に見た時に、それは日本としては在韓米軍が縮小していくという可能性を十分に念頭に置いて、防衛政策を我々はつくっていかなないといけないと思いますよね」

李泳采 恵泉女学園大学人間社会学部准教授の提言:『分断の痛みの共有』
李准教授
「私は日本が文在寅政権と向き合うためには『分断の痛みを共有』という言葉を取り上げています。ヨーロッパでは、ドイツが分割されることで戦争が終わりました。しかし、東アジアでは実は日本の戦争であったにもかかわらず35年間植民地にされた朝鮮半島が分断されている矛盾に陥ったわけです。実際そもそも38度線というものは、日本軍の武装解除宣言が始まったのが、冷戦の影響の中で分断線にもなってしまいました。ある政治学者は、38度線は、これは日本の近現代史の延長線で考えるべきだと、思っている人もいます。まさにそれで38度線は400万の悲劇の戦争の線にもなってしまったのですが、朝鮮半島では分断線を何があっても今年なくしたい、あるいは東アジアの痛みをなくしたいような姿勢で見ているわけです。日本社会が朝鮮半島の分断の痛みを、日本の歴史として一緒に共有する、文在寅政権と一緒に歩む、何か新しい時代を開くことが可能かなと思っております」

黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の提言:『あらためて用韓論』
黒田氏
「3月に出させていただいた時に、私は拉致問題解決のチャンスだと書いたんです。現在、文在寅さんはアメリカにも行く、トランプさんとも話をする、それから、もちろん、金正恩さんとも一生懸命話をしているわけですから。文在寅さんを利用しよう。拉致問題を含めて、日朝の問題の解決のために。だから、私は昔から韓国を利用しようと。日本人は韓国が嫌いだとか、嫌だという人が結構多いのだけれど、しかし、利用価値、活用価値はあるよと。今回、チャンスが1つきているよという意味で『用韓論』です」

松川るい 自由民主党参議院議員の提言:『建設的にリアリスティックに』
松川議員
「『建設的にリアリスティックに』ということですけれども。私は文在寅大統領というのは、割とリアリスティック・ドリーマーというのですか。この先の流れを考えると結局、南北というのは行き来できる場所になると思うんですよ、おそらく。板門店宣言に入っていなかったけれども、行き来の場所もずっと言っていたことを書いているんですよね。そうすると日本からすると、そのうちですよ、中長期的には8000万人の人口、日本の3分の2の大きさのある、そういう塊が出てくるわけですよ。こことどう関わるのかという時に、韓国とは建設的な関係は維持する必要が、ベッタリしなくてもいいのだけれど、あるんですよね。もう1つ、黒田さんがおっしゃった日朝、拉致問題の解決、最後は日朝をやらないとダメです。そのことを考えても、このタイミングを見計ったり、いろいろなことをしていく時に、建設的でリアリスティックな関係、これをつくっていく。そういう努力というのは必要だし、できると私は思います」
松山キャスター
「拉致問題で文大統領に仲介役的な役割を果たしてもらうと。そういうことも日本としてはできることはドンドン働きかけてもいい?」
松川議員
「考えてもいいと思いますよ。ただ、日本の問題ですから。これは日本が主体的にやらないと話にならないと思います。でも、使えるものは何でも、トランプさんでも文在寅大統領でも、そういうのも外交ですから、と思います」