プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2018年5月28日(月)
『米朝会談中止か開催か 日本の活路と安倍外交』

ゲスト

佐藤正久
外務副大臣 自由民主党参議院議員
飯島勲
内閣官房参与 松本歯科大学特命教授
東郷和彦
京都産業大学教授

トランプ×金正恩会談は…米朝『非核化』交渉の行方
竹内キャスター
「先週日本時間の木曜深夜に突然、米朝首脳会談のキャンセルを決めたアメリカのトランプ大統領。しかしその後、北朝鮮側の外交官が発した対話継続を求めるメッセージに続き、2度目となる南北首脳会談が行われ、事態は再び急転しました。6月12日の会談に向けた水面下の協議が米朝間で進んでいるとみられます。そこで急転する朝鮮半島情勢の行方と関係諸国の最新動向を読み解いていきます。先週、米朝首脳会談をアメリカがキャンセルするというニュースが飛び込んできましたが、主な経緯を見ていきます。24日、トランプ大統領が『最近の声明で示された怒りと敵意から、この時期の会談は適切ではないと感じた』という書簡を北朝鮮に送ります。一方の、北朝鮮、25日に金桂冠第1外務次官が『トランプ大統領の努力を内心で高く評価してきた。いつでも向き合い、問題解決する用意はある』との発言がありました。すると26日、南北首脳会談が行われたと、27日に文在寅大統領が会見を開き発表しました。その内容は『金委員長は朝鮮半島の完全な非核化と米朝首脳会談の成功に向けた意思を表明した』というものです。その一方で、トランプ大統領は『南北首脳会談はとてもうまくいった。6月12日シンガポールでの開催を検討している』という発言になりました。佐藤さん、この時点、書簡を送った時点で、トランプ大統領は、本当に本気で会談をキャンセルするつもりだったのか、それともトランプ流の駆け引きだったのか、どう見ていますか?」
佐藤議員
「駆け引きの部分はゼロではないと思います。ただ、ホワイトハウスのバックグラウンドブリーフによると、この大きな理由は2つあると、1つは度重なる北朝鮮からの声明による苛立ち。もう1つは約束違反だと」
松山キャスター
「そのホワイトハウスのバックグラウンドブリーフィング…こういった理由も、中止を書簡で送った理由として挙げられているのですけれども…、『米韓合同軍事演習を軍事挑発として南北閣僚級会談を一方的に中止したこと』と『核実験場の廃棄に国際監視団の立ち会いを拒否したこと』また、『シンガポールでの米朝の実務者協議を無断で欠席していたと』。こういった理由もあるということなのですけれど。ただ、ここまで世界的に注目されていた、6月12日の米朝首脳会談前。現在もまだそれに向けて動いているということなのですけれども、アメリカの大統領が突然書簡を、しかも、世界に対して公表して、この会談には応じられないということを発表する、かなり異例の事態だったと思うのですけれども。これは外交的にはかなり奇異に映ったのですけれども、どうですか?」
佐藤議員
「我々も驚きました。実は24日の書簡の前日まで、河野外務大臣がワシントンの方にいて、まさにポンペオ国務長官とか、あるいはボルトン安全保障担当補佐官と話をしていました。だから、その時はまさか米朝の会談を中止するということ、そんな雰囲気はありませんでしたので。それから急転直下、こういう書簡が出たということは、正直驚きました。だけど、普通、まさに普通ではないかもしれませんけれど、これは結果として、北朝鮮側はこれに、中止声明に驚いて、向こうの方から寄ってきたと。苦しいのは北朝鮮だと。どうしても米朝首脳会談をやらないと、苦しいのは北朝鮮だということはわかったと。米朝首脳会談の主導権が、アメリカの方にいったという面では、このトランプ大統領流のディールのやり方というか、必要があれば、前から言っていますけれど、会談は必ずやるとは限らないとか、場合によっては席を、会談途中に席を立つとか、いろいろなことが言われていましたけれども、まさにそういうことを実践したということかもしれません」
松山キャスター
「飯島さんは今回、トランプ大統領が突然、書簡で会談中止を発表して、そのあと突然、今度は北朝鮮の金正恩委員長が韓国の文前大統領と会談をしたり、まさに急展開だと思うのですけれども」
飯島氏
「うん」
松山キャスター
「まずはトランプ大統領の駆け引き、外交上の駆け引きで、まずそれで得点を1つ稼いだと見ていますか?」
飯島氏
「うん、そうでしょう。中国云々とか、あるいは韓国とか、ロシアと言うけれど、トランプさん自身は、米朝会談は自分で決定するという強い意志があると思うんですね。他に左右されることなく。その中であのぐらいのことは日本でも昔の田中角栄先生みたいに、日本でも内容は違いますがあるわけで。トランプの会談中止は、あっ、そう、本当?というぐらいの程度でしか私は見ておりませんでした」
松山キャスター
「一方で、北朝鮮側から見ると、ランプ大統領がそこまでの行動をとると、予想していなかったから、慌てて動いているという感じですか?」
飯島氏
「北朝鮮も完全に分析できていないのではないですか。私はそう思います」
松山キャスター
「東郷さんは、この一連の動きをどう見ていますか?」
東郷教授
「現在、全体の文脈をちょっと理解する必要があると思うんですね。昨年1年は、今頃はトランプさんと金委員長と間の舌戦で、ドンドン緊張が拡大していって、何かあたかもいつ戦争になるかわからないような状況だったですね」
松山キャスター
「はい、ありましたね」
東郷教授
「それが今年になってから、ここにパラダイム転換が行われ、圧力でこれまで北朝鮮を抑え込むのではなくて、そこから対話に転換したんですね。基本的にはその流れの中にある。まず韓国と北朝鮮で話をして、米朝になった。そうすると対話を実際にやる前に、お互いに自分の立場を有利にしようと、始める時の立場を有利にしようと思って、いろいろ勝手なことを言い出したんです。それの積み重ねがたくさんの発言だったのですが、ただ、基本的にはトランプさんもやりたい。ましてや金正恩さんはやりたい。それはなぜかと言うと、これまでの長い抗争の中で、アメリカの大統領が会うと言ったのは今回初めてなんです。だから、金正恩さんにとっては、これは非常に大きなことなので、やりたいという基本的な立場がありますから、崩れないで、今日に至っていると思うんですね。ですから、両方のやりたいという気持ちを崩さないようにして、対談に入っていくことがとても重要ではないかと思います」

揺れる半島情勢と安倍外交
松山キャスター
「まさに朝鮮半島をめぐる情勢、すごいスピードで動いていますけれど、週末に行われた、突然行われた南北の首脳会談。その翌日に韓国の文在寅大統領が、その会談内容についての発表をこのように行っていますけれども。文前大統領の会見の内容で主なところを見ると、『「形にとらわれず会いたい」という金正恩委員長からの要請で会談を実施した』と。『朝鮮半島の完全な非核化の意志を4月の首脳会談と同様に表明した』と。『北朝鮮が非核化に応じた時に、アメリカが確実に敵対関係を終息させ、体制を保証するのかを心配している』と、金正恩委員長がトランプ大統領の会談中止の発表を受けて、焦っていると言うか。何とか韓国の文在寅大統領に近づいてきて、自分の意志をきちんと伝えて会談を実現させたいという意向がにじみ出ているような気がするのですけれども」
東郷教授
「交渉をやる時は、これは昔から、自分は何を要求するかと、それから、相手が何を要求するかということを正確に理解することが最も大事だと思うんですね。それで今回の場合は、トランプの方は核兵器のCVID、完全、不可逆可能な…」
松山キャスター
「…検証可能な核の放棄」
東郷教授
「向こうは体制の保証ですよね。金体制というものを保証してもらいたい。これは、最初からのお互いのポジションで非常にはっきりしていたと思うんです。ところが、問題はどうしたらそれを確信できるかというところがお互いわからない。交渉をやる時に一方が、俺が要求するものをお前が出すまでこっちはやらないよ、ということをどちらから言い出したら、交渉は絶対に成功しないんですよね、残念ながら」
松山キャスター
「まさに東郷さんが言うようにアメリカは本当に非核化する気が北朝鮮にあるのかどうかという部分を気にしていると思うのですけど、北朝鮮側は自分の体制が保証されるのかどうか、この間でせめぎあいがあって、不信感がこの間で生まれてくる?」
東郷教授
「そう。それをどうやって不信感を除去しながら、お互いにほしいものが少し…、ほしいものがとれていくのかというのが、これから時間のかかるプロセスではないかと思います」
松山キャスター
「飯島さん、そのプロセスをどう見ていますか?」
飯島氏
「気持ちはわかるんです、両者の。まさに金桂冠さんの発言、同時並行で崔善姫さん、北朝鮮の外務次官等の発言を見ると、この体制の保証と言っても超マクロ的な単語で、具体的に保証される、そのいわゆるロードマップというか、工程表はまだトランプさんは何ら示していないですよ。ただ、核・ミサイル、一気に廃棄というと、リビアを思い出しちゃうし、体制の保証という道程というか、工程表が見えるまではお互いにイライラする。そこを何とか打破して、まず答えを出すと。あと会談をどうするか、これはちょっと一夜にしてうまくいくということは100%あり得ない」
佐藤議員
「ただ、明確に我々の立場としては、完全な非核化なくして体制の保証はないと、これは明確な立場…」
松山キャスター
「まず非核化が先?」
東郷教授
「…問題は、自分の体制の保証は核だと思っているんですよ。だから、核を放棄したら体制の保証がなくなると相手は思っているわけですから、そこをどうやって乗り越えるかという…」
飯島氏
「ただ体制保証と言いながら、アフガニスタンで核を正確に目的地まで搬送して、投下訓練をやっているんですね。これは爆弾投下という、核の弾頭と、世界最大の重い弾頭ですね、これを使ってやっていると。あるいは潜水中の潜水艦からアメリカは4発のトライデントミサイル、これを撃って、実射する。だから、そういうことを考えたうえで容認しているような米韓軍事訓練、この恐怖感というのはあってもおかしくないと思う。それはまさに防衛の専門家から…」
佐藤議員
「交渉中はアメリカの軍事行動はないです。だから、交渉をやめたら、また、同じように全ての選択肢がテーブルの上にあるとアメリカは言っているのに、そこは非常に脅威に感じて。しかも、トランプ大統領が今回は上手なのは、声明を出したあとに記者会見をやっているんですよ」
松山キャスター
「やっていますね?」
佐藤議員
「記者会見の時に、わざとかもしれませんけれども、マティス国防長官と統合参謀長と話をしていると。我々は非常に強い軍事力を持っていて、いつでも準備ができているということを合わせて、この声明を出した記者会見で言っているんですね。そういうプレッシャーもかけているというのはまさに…」
飯島氏
「そう、そう」
佐藤議員
「先生が今言うようなことは間違いないと。ただ、ここで1つ、ファクターが抜けているのは、経済制裁を含めた国際社会の圧力です。だから、このまま両睨みで時間がたてば苦しくなるのはどっちかと言うと、軍事的な脅威に加えて、北朝鮮なんですよ。もう現在、国際社会で圧力をかけますから。まさにトランプ大統領がこの声明のあとに、この記者会見で言ったのは、会談はもう中止だと。これからこれまでにないぐらい最大限の圧力をかけ続けると言いました。それが結構効いて、長引けば長引くほど苦しいのは北朝鮮ですから。だから、こういうお互いに対等の交渉ではなく、我々としては、非核化なくして体制保証はないということを勝ちとるために、圧力をかけ続けると」
飯島氏
「世界で1番、北朝鮮から見たらとんでもないのは日本だと。何が拉致問題だと、1億年経っても扉が開かないみたいなことを言ってるのは、佐藤大臣が言うように、一瞬にして核やミサイルを配備することを前提で見ると、それに対しフラフラしないようにやるというのは、現在、世界に向かってやっているのは安倍外交だけです。緩めていいというわけではない、そこらへんのところをどうやって読むか」
東郷教授
「おっしゃられた、1億年経っても云々は、まさに北朝鮮がアメリカに対しても1番激しいレトリックを使っていたその流れで、私は現在の安倍外交が、これから申しますけれども、確実に北朝鮮外交に戻ってきて…」
飯島氏
「うん」
東郷教授
「それで向こうは安倍さんの言うことは面白いなということを確実にキャッチしていると思いますね」
飯島氏
「相当1番きつく言っているのは日本なの。一方で、北朝鮮はそれに対して相当、朝鮮紛争とか、発言がありますが、平壌宣言はまだ生きているというのが横にあるんですよ。だから、これも複雑な外交…」
東郷教授
「まさに飯島さんがおられますけれども、安倍外交はこの平壌宣言を前に出し始めたということを、北朝鮮は確実にキャッチしていると思いますね」
飯島氏
「うん」
松山キャスター
「今日の国会答弁でもそういう発言が出ましたので、紹介しておきたいのですが…」
竹内キャスター
「日露首脳会談の結果を含め、今日の国会答弁でこのように述べました。『日朝平壌宣言に基づき、核・ミサイル・拉致問題の包括的な解決を目指す日本の方針を、ロシア、プーチン大統領に説明した』と、『拉致問題の早期解決に理解を得た』『完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄を求める国連決議に基づき米朝首脳会談実現の後押しで合意した』と述べています」
東郷教授
「私、おうかがいしたいのですけれども、現在の日本の立場は4月27日のあの板門店宣言が出た、その直後に、河野外務大臣声明というのを出して、これを私は見て、本当によくできたものだと思いました。これは、文在寅さんがよくやったと称賛して、それからCVIDを大胆にやる、大胆にして。それから、北朝鮮にはしっかりやってくれと期待したあとに、私達はこれから平壌宣言に戻ってやるということを言っていて。ここに飯島さんおられるからアレですけれど。でも、平壌宣言を読むと7割は日朝正常化のことが書いてあるんです。つまり、日本はこれから新しい外交を始めて、行き先は日朝正常化ですよというところ、目立たない形でサラッと出し、現在の安倍外交は完全にこのラインに乗って動いていると思いますね」
東郷教授
「これを北朝鮮は見ていて」
松山キャスター
「シグナルとして受け取っていると?」
東郷教授
「シグナル…」
飯島氏
「ただ、新聞報道によると、佐藤副大臣も辛いだろうけれど、日本は米朝会談の中で置いてけぼりとか、あるいはもう全部終わったという報道が結構あります。そうではない。少なくとも安倍外交のこのアレは、米朝会談なくして、最初から私が言うように、完結したうえで、それから、拉致問題の解決。日本は拉致問題の解決のうえに、いわゆる平和回復、こういうプロセスがあるわけですから。一瞬にして全部、拉致問題の答えが出なかったらダメだということは当てはまりません」
佐藤議員
「まさに言われたように、現在、我々がどうしても日朝首脳会談ということで足元を見られるんです。前のめりになる。でも、まさに国際性が圧力をかけて、やっと北朝鮮がこっちの方に、交渉のテーブルに乗ってきたところです。そういう時には、まさに国際社会の代表として、アメリカが我々の立場も踏まえて北と交渉するという時に、日米がどれだけ緊密に連携できるかということが大事で。核・ミサイルを解決できるのは体制保証という部分がカギであれば、アメリカしかいないわけですよ」
飯島氏
「うん」
佐藤議員
「だから、まさに米朝首脳会談のあとに、日朝というステージがまさに拉致、その部分は日朝平壌宣言というものを読むと、経済支援というものもありますから、そこにくると。まず日米がしっかり連携をしながら、米朝でやってもらうという」
松山キャスター
「最近、トランプ大統領も北朝鮮に対して非核化が実現できれば、たとえば、北朝鮮というのは素晴らしい未来が待っている、金融大国になれるみたいな言い方をしていますけれども。先ほど、たとえば、東郷さんが話されたように、日朝平壌宣言について安倍総理が発言すればするほど、北朝鮮側は国交正常化、また、その先の経済発展まで見据える。そういうシグナルを受け取っているのではないかという意見がありましたけれども、北朝鮮はそこまできちんと理解していると、佐藤さんは思いますか?」
佐藤議員
「当然、北朝鮮の外交を見れば、考えた外交をやっています。当時の日朝平壌宣言は、これは無効ではないということを彼らも当然理解して、日本の方にいろいろ強いメッセージを出すということは意識しているんですよね。前も、昨年まではアメリカに対してすごく厳しい声明を出していました。でも、結果的に交渉相手がアメリカとわかっていますし、これからもし非核化というのを終えたあとに、これからは経済重視ということも今年の年頭の辞で言っています」
松山キャスター
「はい、言っていますね」
佐藤議員
「これから経済をしっかりと立て直すのだという時に、この周辺を見た時に、日本の支援なくして北朝鮮の経済の改革・発展はあり得ませんから、そこは当然わかっていると」
東郷教授
「経済のことを皆さん、おっしゃるのですけれども、その通りだと思うのですけれども。しかし、現在のシグナルで最も重要なことは、平壌宣言の中にあった日朝国交正常化の話なんだと思うんですね。北朝鮮は体制の保証を圧倒的にアメリカから求めてるのは間違いない。でも、日本は北朝鮮の外交環境をつくるということによって、北朝鮮の体制というものをある意味で保証する、そういうカード持っているんですね。ですから、アメリカとの話し合い、アメリカと話をしようとしている時、もしうまくいかなくなった時、あるいはそれを側面支援する意味で北朝鮮の体制保証ということについて持っている日本のカードをどこでどう使うかということは、日本外交の主権的権利だと思うんですね」
飯島氏
「小泉内閣も安倍内閣も共通して言えることは、拉致問題が解決するまでは経済とか、いろいろな信用はできない。あくまでも拉致問題が解決したら平和会談…」
東郷教授
「…その通りですけれども」
飯島氏
「ええ」
東郷教授
「しかし、拉致問題は安倍総理がご自分で行って、直接、金大統領と話すことだと思うんです」
飯島氏
「そうです」
東郷教授
「そこに持っていくためには現在のようなプロセスを経て向こうが関心を持つような環境をつくって話をするということによって、相手を拉致の問題で引き出す。総理の責任として、ご自分でこの拉致問題について最大限のことを引き出すということは絶対にやっていただきたいことであり。現在、初めてその可能性が生まれつつあるように…」
佐藤議員
「まさにそこは拉致問題、日本の政府が主体的にやらなければいけない問題だと。ただ、言われたように、そのためには環境をつくるという面において、現在バタバタ動くという段階ではない。今言われたように、それを高く売りつけるためにはまさに現在、米朝という部分でいかにこの厳しい要求の中で向こうが降りてくるかと。その代わり、非核化の先には明るい未来があると。安倍総理も何回も北朝鮮に対して日朝平壌宣言というものを踏まえたうえで、北朝鮮に明るい未来があるということを何度もシグナルとして出していますから、そこは向こうもわかっていると思います」

北方四島『共同活動』の課題
竹内キャスター
「ここからは週末に行われた首脳会談の成果を中心に今後の日露関係について考えていきます。今回、北方四島での共同経済活動について、このような事業を進めていくことで両首脳が合意をしました。『海産物の養殖』『野菜の温室栽培』『観光ツアー開発』『風力発電の導入』『ゴミの減容対策』という5つの事業を優先、参加事業者による調査団を7月か8月に派遣する。合わせて、人の自由な往来に関する枠組みを双方の法的立場を害さない形で検討していく、としました。安倍総理からの提案でスタートした北方四島での共同経済活動のこのプランですが、東郷さんは、ここまでの進捗スピードをどのように見ていますか?」
東郷教授
「この話は悪い話ではないのですけれども、ちょっと懸念するのはスピードが遅いですね。昨年1年、ほとんど具体的な合意がなく、今年、しかも、5月の合意がここで止まっていると。これはなぜか、と言う問題があると思うんです。これは1番下に書いてありますように『双方の法的立場を害さない制度』、ここはちょっと心配になっているので。なぜかと言いますと、そもそもこういう共同経済活動として、新しいアプローチとして、総理が山口で言い始められたわけですね、何が新しいのかと。なぜかと言うと、共同経済活動というのは、その前の私が若干関与したと時なんかもそういうのはやっていたんですね。1番新しいのは、主権の問題がちょっと難しいので、急がば回れで、こういう共同経済活動のようなものを最初にやってみて、それでいずれ平和条約ができたら日本人とロシア人があの島に一緒に住んで仲良くやっていくしかないので。日露が一緒にやるということがいかにいいかということを少し先に体験しようというのが、現在の共同経済活動…」
松山キャスター
「信頼を先につくるということですね?」
東郷教授
「信頼を一緒に、現場で一緒になのだと、山口の話を聞いて私はそう思ったんですね。ところが、法的問題が解決していませんので、解決していない状況であまりガッチリした仕組みをつくろうとするとできないですね。なので、現在つくるものはガッチリした法的仕組みではなくて、一緒にいることがいかに楽しいかということがわかる程度のサラッとしたもの。それだったら、副大臣がおられるので…、それだったら、そんなに難しくないかなと思うのですけれども。報道によりますと、やけに難しくなっている。ここはちょっと心配…」
松山キャスター
「いくつか、ウニの養殖とか、イチゴとか、という話は出ていましたが、具体的には…」
東郷教授
「そう、話は出ているのですけれども、ちゃんと着地しないですよね」
佐藤議員
「えっと…」
東郷教授
「それを是非、法的な問題を難しくしないで着地させてさせていただけたら」
佐藤議員
「まさに言われるように、今回のこの新たなアプローチという形での共同経済活動の1番の目的は、領土問題の解決や、平和条約を締結するうえで信頼醸成がなければその議論が進まないというところを何とか打破しようということで、こういう1つの共同経済活動というアプローチが出てきたと。今回、新たな段階に入ったのは、それぞれ5つの分野を含めて、ビジネスミッション、事業者を決めてお互いにそれを7月か8月に調査団を派遣すると、具体化しようと。実はその具体化がなければ、どういう法的な立場を決めるかというのもなかなかできないというところも事実、側面がありまして。そこをまた詰めて、詰めながら、どういう形がいいのだと。実際、利益が出れば、そこから持ち出す時に、そういう関税をどうするかだとか、いろいろありますから、それぞれの主権の中で。事業の中身をもっと詰めてから、言われたように、どういうお互いの法的立場を害さない形、たぶんそれぞれごとに違うかもしれません、場所ごとによっても違うかもしれません。そこをまず詰めましょうと」
松山キャスター
「飯島さん、たとえば、経済活動を共同でやるにあたって、法的立場がネックになっているという話がありますけれども、どっちの国の?」
飯島氏
「いや、安倍総理自身、今回で、21回目のプーチン会談。お互いにマクロ的に考えると2国間の国際的共通課題で進展している。こういう中で昨年9月から既に50件を超える認可事業の調印までしてスタートしている。少なくとも130件を超えるプロジェクト」
佐藤議員
「これは極東まで入れて、北方領土だけではないですから、極東まで入れて」
飯島氏
「ええ、全体で、という状態で、いわゆる8項目のうち、今回5つの共同プラン、現在のところ具体的になってきた。各論で言うと、海産物の養殖は、私個人はすごく興味があるんです。どういうことかと言ったら、東郷大使の頃も大変だったと思うのですが、あの近海における拿捕事件はよくありましたよね」
松山キャスター
「ありましたね」
飯島氏
「現在、プーチンさんは先般から拿捕というアレはやめたんです。ただ、ロシアの法律に引っかかった場合、いわゆる補足するということがあるんです。この前もあったのですが。海産物の養殖、そういう中でウニの養殖ですね。と言うことは、これまで近海の漁業協定だったのですが、ウニの養殖ということは沿岸までウイングを広げて交渉に入ったと。これはすごくいろいろな意味で、これからヒラメの養殖、あるいはマダイとか、いろいろなアレが出てくるきっかけがウニだと思うんですよ。こ野菜もそうですね。だから、イチゴあたりから生産と。ロシアのイチゴというのは糖分がないらしいですね、あまり」
東郷教授
「あまり…、日本のイチゴの方が甘いんですよ」
飯島氏
「これは、ロシア人が甘いイチゴをほしい」
「だから、いろいろな意味で、大変素晴らしいアレだと思うんです。ただ、安全保障から見ると、佐藤副大臣の世界ですが、これは国後、択捉、いろいろな話題になっているけれども…」
松山キャスター
「まさにこういう動きがありますよね。国後、択捉島にロシア側が新型ミサイルを2016年に配備した。2017年に5000人規模の新師団を配置する計画を発表した、あるいは2017年8月にはロシア法に則った色丹島での特区を決定したり、また、2018年には国後島周辺で軍事演習を行ったりと。一方で、共同経済活動と言いながら、軍事的には固めてきているという印象があるのですけれども、飯島さん…?」
飯島氏
「これは、そんなに目くじら立てる必要ない。現在、外務副大臣のアレ、ゴラン高原でも経験もあるわけです、大将として。日本の場合、ロシアが北海道を攻めてきたらどうするか、少なくともアレは日本海側ですが、山形の戦車部隊とか、いろいろ自衛隊のアレがきたけれども、現在、そういう…」
松山キャスター
「旧ソ連時代はよくそういう話が…」
飯島氏
「うん、現在はそうではない状態できていますから。とりあえず、太平洋の戦略とか、そういう作戦行動を考えたら、すぐやめろというわけにはいかないですが、これは改善策があると思いますね」
松山キャスター
「新しいアプローチということで、現在、主権の問題を1つ置いといて、経済活動という話になっていますけれども。よく言われるのは、たとえば、北方四島が仮に日本に戻ってくるとなった場合に、日米安保条約の適用範囲内だという認識に立てば、そこにアメリカ軍基地も設置できるということになってしまうと。それに対するロシア側の警戒感がかなり強い?」
飯島氏
「安倍政権でありがたいのは、現在言ったように、帰属問題、領土返還と言っていないですよ、1855年2月7日に、北方四島は日本の領土だとやった当時のロシアがソビエトに瓦解して変わり、そのソビエトは、ヤルタ会談のあと1945年にソビエト軍は北方領土を占拠して、71年以上経っている。ソビエトが15の国に分かれて現在のロシアになる。こういう中で帰属の権利とか、そういうのがもらっていない状態ですから。まさに副大臣のご尽力で、早くアレは日本の領土だということをやって、それから、順次返還運動ともっていってもらいたいなと思いますね」
佐藤議員
「まずは主権とか、そういう問題というのはいずれきます。いろいろと現在のアプローチはまずは信頼醸成という形からやりましょう。いずれそれはきます。この安全保障問題を考える時は、もう少し大きな絵で見ないといけない。北方四島だけでなくて、オホーツク海全体で見ないといけないという…。要は、オホーツク海の戦域化という話があるように、オホーツク海にロシアの戦略原潜、これを沈めれば、そこからアメリカに対して報復的な核打撃ができるという戦略というのが前からあって。そうすると、ロシア側から見ると、ちょうどオホーツク海があって、そこに、防波堤上に島列島が並ぶんです。その島列島の、ロシア側から見て右奥に、国後、択捉、北方領土があるという中、全体でロシアの方は現在いろいろ安全保障の関係でやっています。そこをわかったうえで、我々も議論しないといけません。ただ、日米安保というのを考えた場合でも現在の米軍の配置というものも、これは現実問題として理解していただきたいのは、アメリカの1番の北の基地はどこかと、どこだと思います?」
松山キャスター
「三沢ですか?」
佐藤議員
「三沢ですよ。北海道にないんですよ」
松山キャスター
「そうですね、北海道にはないですね」
東郷教授
「2点申し上げたいのは、1つは、米軍…、もし戻ってきた時の米軍基地の問題なのですけれども。70年間、ロシアはあそこを実効支配していたわけですね。それを日本に返した。そうしたら、返した場所に、ロシアの方を向いている、自衛隊にせよ、米軍にせよ、基地を日本がつくると言うのだったら、ロシアは返しますか?」
飯島氏
「ううん」
東郷教授
「返すことはあり得ないと思います。あり得ない。ですから、仮に、たとえば、色丹島だけにしても、戻ってきたところには、ロシアの方を向いた、自衛隊にせよ、米軍についての基地は置かないと。これは私、健全な常識の範囲内の話だと思いますね」
松山キャスター
「日米間でそういう合意ができればということですね?」
東郷教授
「それは、私の話で、アメリカ人でちょっとおっしゃられましたけれど、三沢しか現在、基地がないのに、返してもらった色丹島に基地を置きたいと言ったアメリカ人は1人もいないですね。それは外務省がちゃんと話をして、そういうことにはしないのだということを説明して、十分説明できる話だと思いますし、早くやっていただいて、この問題を消していただきたいと思いますね。他方、ロシアの国後、択捉には…」
佐藤議員
「師団…」
東郷教授
「ロシアの軍がいるわけですね」
松山キャスター
「師団がありますね?」
東郷教授
「師団がある。日本として現在、考えなくてはいけないことはこの師団の鉄砲がどこを向いているのか。日本を向いていないと思うんです。これが現在、日本にとって1番重要な話だと思うんです。それで全体の戦略をどう考えるかというのは、非常に大きな問題がありますけれども、とりあえずこの平和条約を結ぶ時にはその鉄砲は日本を向いていないということを前提にして、全体の戦略環境を考えるということが1番大事だと思います」
松山キャスター
「それはどちらを?中国を向いているのですか?」
東郷教授
「それは私の口からはちょっと言いにくいのですけど、少なくともこの地域で、ロシアが現在、危機となる可能性がある国は2つしかないですよね。それは日本ではない」
松山キャスター
「なるほど」
東郷教授
「それで、とりあえず日本としては平和条約の問題は考えた方がいいと。最後に平和条約の問題ですけれども。安倍総理が、平和条約をやりたいと言っておられる以上、あまり時間はないですね」
松山キャスター
「任期を考えると」
東郷教授
「先ほどの共同経済活動の成果を上げつつどの時点で平和条約交渉に移行するかということは、現在、外務省の方が本当に頭を痛めている件だと思います。横から見ていますとあまり時間はない」

北朝鮮めぐる国々の思惑は
松山キャスター
「あらためて今後の外交日程をここでまとめて見たいのですけれど。6月12日の最大のヤマ場とされる米朝首脳会談、まだ実現するかどうかはわかりませんけれど。今後の日程としては、6月8日にG7で、カナダでのサミットで、おそらくトランプ大統領と安倍総理との会談がここで1度は行われるだろうと。安倍総理自身はこれより前の日程でもひょっとしたらトランプ大統領との会談を行うかもしれないということで調整をしているということになっています。6月9日、こちらの方は上海協力機構での会合で、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が顔合わせをすると。ここでも2大国間の会談の可能性が出ているということですね。最終的にそのあとで6月12日、トランプ大統領と金正恩委員長との会談が実現するかどうかという状況になっているわけですけれど。今後の日程を見て、佐藤さん、どういったところに注目して見るべきだと思いますか?」
佐藤議員
「当然、日米が、まさに日朝の前に、日米の両首脳が会って政策をすり合わせするというのは極めて意義が大きいと思います。ただ、一方で、ちょうど同じタイミングで、上海協力機構でプーチン大統領と習近平国家主席と会う。実はここに顔が出ていないですけれども、イランのロウハニ大統領も参加するという状況がある。つまり、イランの核合意についても話をされると。つまり、アメリカにとって北朝鮮の核の廃棄と、イランの核能力をなくすということを両方追求しているわけで。そこはイランについては現在の核合意は、これは不十分だということで、そこから離脱をして制裁をかけるというかなり厳しいことを言ってますから。であれば、北朝鮮に対して、そんな甘いこともできないということを言う評論家もいます。まさにこのサミットでやっている時に、上海協力機構の方で、イランの核合意と北朝鮮についての議論というのがどういうふうになされるかと、非常に注目したいと思います。実際にロシアのラブロフ外相が北朝鮮の方に、6月5日…」
松山キャスター
「行くという話がありますよね?」
佐藤議員
「…5日ぐらいに行くという話もあるんですよね。まさにロシアと北朝鮮の関係というのが、この1週の間に動きますから、たぶんいろいろな動きが、ここに載ってない、6月12日の前に起きるかもしれません。まさに日替わりメニュー的に、いろいろなことが起きますから。まだ3週間弱ありますから、まだいろいろなことが起きる可能性はあると思います」
松山キャスター
「東郷さんは、どう見ていますか?」
東郷教授
「中東がトランプさんによって、ちょっと火薬庫化していると」
松山キャスター
「そうですね、エルサレム…」
東郷教授
「エルサレムの問題と、それから、イランの問題、この2つ。でも、そのことはアメリカにとって同時に両面作戦はできませんので。中東の危機が高まれば高まるほど、北朝鮮の問題はある程度で収めようという方向が、力学が働くかもしれないですね。ですから、そこを日本はよく見てバタバタすることなく、北朝鮮問題に関する平壌宣言の立場を守っていくということがこの全部の会談を通じて、とても重要なことになると思います」
松山キャスター
「先ほど、佐藤さんも話されていましたけれども、たとえば、ロシアで言えば、ラブロフ外相が北朝鮮に行くのではないかという話もあると。ここへきてロシアと北朝鮮がドンドン接近していくという可能性もありますか?」
東郷教授
「日本とロシアは弾かれる可能性があるんです。そうすると、ロシアとしてはそれを埋めるために自分の外交努力を当然することになる。何ら不思議はないのではないでしょうか、ロシアが北朝鮮と会談すること自体は」
松山キャスター
「なるほど。佐藤さんはどう見ていますか?」
佐藤議員
「まさに言われたように、ここは、この1週間というのは北朝鮮だけに目を向けてやってしまうと失敗する可能性があります。東郷教授が言われたように、中東まで含めて多面的に見ないと、いろいろな動きがある1週間だと思います。アメリカにとっては当然、中東も大事、でも、北朝鮮関係についても極めて大事という中で動きます。さらに、アメリカのトランプ大統領から、習近平国家主席が会談を金正恩委員長と2回目をやったからおかしくなったという批判も受けています。それに対して、どう今度は動きが出るかと。当面は自分の言葉を伝えるのに、現在のタイミングでは、中国の習近平国家主席よりは文在寅大統領と言ってもらった方がいいということもあって、南北会談になったのかもしれませんけれども。ただ、後ろ盾は中国。貿易の9割が中国ですから、そういう意味においては、習近平国家主席とこの金正恩委員長、その関係が米朝の12日の前にまた何らかの形で話し合われる可能性も、それは否定できないと思います」

佐藤正久 外務副大臣の提言:『首相外交+α』
佐藤議員
「『首脳外交+α』と。現在、安倍総理のリーダーシップでトランプ大統領とも良い関係にあります。プーチン大統領とも良い関係にあります。習近平国家主席とも昨年、ダナンで会い、まさに笑顔の会談ができた。安倍総理のリーダーシップによっていろいろ現在、米朝も日露も動くという。大事なことは、それを支える我々、+αの部分を、いかにこれから厚くしていくかということが結果を引き出すポイント。特にこれから米朝の先に、日朝という部分がくる可能性があります。まさにそういうものを、+αをいかに厚く、いろいろなことを考えて準備するかということが大事だと思います」

飯島勲 内閣官房参与の提言:『トランプの新方式外交』
飯島氏
「『トランプの新方式外交』と言っていいのかどうかはわかりませんが、現在あらゆる報道が米朝会談であるのですが、度肝をということはないのですが、まったく違った方式で米朝会談が入り、それである程度の着地を見ていくと。その手法がこれまでに想定できないトランプ方式が見えるのではないかなと。これを読み誤ると、日本も他国も外交戦略で相当、軌道修正しなければいけない事態も出てくると。それを心配し、この外交を注視して見ています」
松山キャスター
「新しい時代に入っている?」
飯島氏
「はい」

東郷和彦 京都産業大学教授の提言:『北との直接交渉とロシアとの平和条約を!』
東郷教授
「私は、具体的にまず北との直接交渉、これは現在の圧力が対話のパラダイムに変わったことによって大きな可能性が、バタバタすることなく、日本外交に開かれたと思うんですね。これによって拉致の問題を総理が直接交渉する。こういう主体的な外交をすることによって、主体的な外交を、まさにプーチンさんは非常に関心を持って見るに違いない。これは日露平和条約交渉を進める非常に重要な国際情勢上からの要因になります。総理がいる間にロシアと平和条約を結んでいただくと」
松山キャスター
「北朝鮮情勢の解決が、ひいては日露関係の改善にもつながる可能性がある?」
東郷教授
「総理は非常に幸運。その2つが現在、連動して動き始めた」