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2018年5月23日(水)
森友『新文書』検証 △ 米韓首脳会談

ゲスト

和田政宗
自由民主党参議院議員 予算委委員(前半)
津村啓介
国民民主党衆院予算委理事 衆議院議員(前半)
山田惠資
時事通信社解説委員長(前半)
阿達雅志
自由民主党外交部会長 参議院議員(後半)
春名幹男
元共同通信社ワシントン支局長 国際ジャーナリスト(後半)
木宮正史
東京大学大学院総合文化研究科教授(後半)


前編

『森友』新文書公表 首相・昭恵夫人の関与は?
斉藤キャスター
「日本時間の今日未明、ワシントンでトランプ大統領と文在寅大統領による米韓首脳会談が行われました。今日の会談が、6月12日、シンガポールで開催される予定の米朝首脳会談にどんな影響を与えるのか、専門家の皆さんとともに考えていきたいと思います。その前に…」
松山キャスター
「日本国内では森友学園への国有地売却をめぐる問題で、財務省が今朝、900ページを超える森友学園側との交渉記録とおよそ3000ページの改ざん前の決裁文書を国会に提出しました。交渉記録については財務省の佐川前理財局長が昨年の国会で『廃棄した』と答弁しており、あらためて国会答弁の信憑性が問われることになります。また、今後の政局にも大きな影響を及ぼしかねない状況です。今日提出された文書が終盤国会にどう影響するのか、安倍政権への影響などについて緊急検証していきたいと思います」
斉藤キャスター
「森友学園への国有地売却をめぐる問題で、財務省は今朝、学園側との交渉記録や改ざん前の決裁文書を国会に提出しました。まずは津村さんに聞きますけれど、あわせておよそ4000ページに及ぶ文書が新たに提出されたというわけですが、これをどう受け止めていますか?」
津村議員
「短くまとめたとしても、4つの大きな問題があると思うんですね。1つは総理が『私か妻が、関係があれば総理も国会議員も辞める』とおっしゃったわけですけれども。総理自身のことは必ずしも明確でないと思います。ただ、奥様の昭恵さんの関与については、フリップにも出てますが、私、今日、予算委員会の理事懇で直接いただいたものですけれども、交渉記録の721ページ目と722ページ目に、こうやって『優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり』『当方、財務省として現行ルールの中で最大限の配慮をして対応しているところである』と答えているわけですから、これが関与でなくて何なんだということが1つです。2つ目は、改ざんというのはまさに嘘ついているわけですから、公の文書について、これはもう犯罪ですよね。3つ目は廃棄、検証不可能な行政を行ってはならないということ。最後にこれは皆さんなかなかおっしゃらないことですけれど、これは1年前に出せた文書なんですよ。この文書が1年間、出てこなかったことで、これまで皆さん、森友問題、加計問題をいつまでやっているんだよと、私達もそう思います。野党もそう思いますが、1年経ってようやくこの文書が出てきた。この1年、国会審議は何だったのだ。これ与党の筆頭も怒っていらっしゃいますけれど、これは与野党、おそらく和田さんもそうだと思うのですが…」
和田議員
「そうです」
津村議員
「…国会軽視の最たるものですから。1年もかかってしまったということが私は大変大きな問題だと思っています」
松山キャスター
「今回提出された森友学園側との交渉記録。一度その内容を見ていきたいと思うのですけれども…」
斉藤キャスター
「2015年11月の理財局と安倍昭恵総理夫人付政府職員だった谷査恵子氏のやりとりが記録されていて、『定期借地権の制度について優遇を受けられないかと知り合いの方から総理夫人に照会があり、問い合わせをした』と書かれているんです。さらに別のやりとりでは当時の田村国有財産審理室長です、『森友学園に対する国有地の貸付け・売り払いについては、現行のルールの中で最大限の配慮をして対応しているが、なかなか先方が理解してくれない』などのやりとりがあったことが記されている。他にも森友学園の籠池詢子氏が『小学校開設に関しては安倍総理、安倍総理夫人、自民党幹部も認識していると伝えた』という内容もあるのですが、山田さん、安倍総理と安倍総理夫人の関与、可能性が高まったと見ますか?」
山田氏
「1つ言えますことは、谷さんが、国側の事情、あとに『国側の事情もあって現状では希望に沿うことはできない』と答えていますので、結果に対する影響は少なくともなかったということにはなるということだと思います。ですから、今日、わかったことで言いますと、8億円の値引きのところで谷さんの関与があって、それが昭恵さん付であって、それを関与と呼ぶかというところは前からずっとこう言われていた話で、新しい話では決してなかったということだと思いますね」
松山キャスター
「和田さん、先ほど、津村さんは今回明らかになった記録の中で、特に定期借地権の制度について、総理夫人の昭恵さん付の政府職員だった谷査恵子さんの方から財務省に対して『知り合いの方から総理夫人で紹介があり問い合わせをした』という内容が入っていると、ここの部分は、初めて昭恵夫人が関与していることを示すその証左ではないかという話がありましたけれども、これは自民党として見た場合は、別に新しい事実ではないという立場なのですか?」
和田議員
「これは散々これまで国会審議でもやられてきたことですし、谷さんが何かを動かしてほしいとか、何か総理や夫人の力を借りて圧力をかけたとかということであれば、それはもう関与したというようなことになるとは思うのですけれど。あくまで事実としてはアレですけれども、今日の総理の答弁では昭恵夫人のところにも電話はかかってくれば、いろいろな書面とかが来ればという中で、昭恵夫人はタッチしないようにしていたというようなところで、谷さんが、そういうようなことで。どういうことだったのかわからないですけれど、事実関係だけでも確認をというようなことだったのかもしれないですけれど。これは別に総理夫人が動いたから動く案件というのはないわけですよね?」
津村議員
「安倍総理夫人の昭恵さんについて言えば、まず1つ目は、彼女が名誉顧問に就任したということは事実としてあるわけですね。これは総理もお認めになっていることですし、そこに『小学校開設に関して自民党幹部も安倍首相夫人も認識している』、それは認識していますよね、顧問に就任しているわけですから、それは確実として1つあります。今日明らかになったのはその次の段階として、言われたから名前だけ貸したのではなくて、夫人の秘書さんの方から、中身について総理に言わせるとゼロ回答かもしれませんけれど、一定の照会があった、やりとりが詳細に出てきた。それが今日ここまでの話です。もう1つ、3番目に重要なのはその先、谷さんが何をされたかというのは確かに出ていませんけれども、ここで受け止めとして、財務省さんが紹介を受けた側の財務省さんが『現行ルールの中で最大限の配慮をして対応している』と、そこにもあるように答えているわけですね。ここから財務省さんの忖度がスタートしたわけですよ。ですから、そこから先、谷さんが何回関与したか、それがゼロかどうかということではなく、谷さんの働きかけによって財務省の一連の改ざんであり、廃棄であり、そういった一連の不祥事がここからスタートした、平成27年の11月10日からスタートした、その生々しいやりとりが、今日明らかになったということですから、決定的な関与だと思いますね」
斉藤キャスター
「うーん、関与でなくとも口利きになるのではないかという?」
松山キャスター
「実際、安倍総理はこれまでの国会答弁では昭恵夫人付だった谷査恵子さんから財務省への問い合わせについて『何度か昭恵夫人の方に電話があったみたいだけど、それは留守番電話のメッセージだけだった』と、『谷さんが自発的に財務省に問い合わせたのではないか』という答弁をしていました。ただ、今回のこの資料を見ると昭恵夫人の方から明らかに谷さんに何らかの形でコミュニケーションがあって、その話が伝わっていたと見てとれるのですけれども、これは関与というふうには…」
和田議員
「これは文脈上、そうとれないですよね。『知り合いの方から社会福祉法人同様、優遇を受けられないのかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせをさせていただいた』ということで。なので、総理夫人は辟易としているというか、基本的に関与しないようにというような中でもドンドンそういう問い合わせとか、いわゆる紙とかが来るので、その中で谷さんが動かれたのではないかということがこれまでのいろいろな政府の答弁でも出ているわけですよね」
松山キャスター
「この記録を見ても、谷さんがそこについては独断で自発的にやったと理解できるのですか?」
和田議員
「そこはこの文面からは、そこまで断言することはできないですけれど。これまでの政府の答弁とこの応答メモ、今日出てきたものとを一緒に考えるならば、そういうようなことというのが、かえって強まると言うか、そっちの証明になっているのではないかなと思います」
山田氏
「今回の森友問題というのは2つの問題があって、まずなぜ8億円が値引きされたかということと、それから、なぜ改ざんが行われたかというのがあって。ちょっと現在それが、議論的にはしょうがないんですけれど、混在している部分があって。今回明らかになったことというのは8億円の値引きの中にどれだけ昭恵さんの影響があったのかどうかということだと思うのですけれども。これは今回の文書からは、これまで通り読みとれないです。つまり、わからない。ないとも言えないし、あるとも言えないんです。ただ、名誉校長に就任されたということがその大きな流れの中にずっと底流にあったかどうかというのは、これはかなり読み込んでいかなければわからない面かなということは思います。それから、もう1つ、一方でおっしゃったように大変、籠池氏の側から強い圧力が財務省にかかったのは事実ですけれども、圧力をかけられた、圧力をかけることが籠池さんにできた理由というのは後ろに、昭恵さんという存在があったということは、私はあったかもしれないと。それまで含めれば、広い意味での影響はあったと私は思います」
斉藤キャスター
「和田さん?」
和田議員
「もうこれは利用されてしまったわけですよ、総理夫人は。名誉顧問の就任の時のいろいろな映像とかも残っていますけれども、いきなり名誉顧問に就任いただきます、みたいな形で振られて、それでそこで、いや、私は受けられません、とは言えないですよね。それでそういうような状況をつくり出されてしまったということと。あと小学校用地の横で撮った写真がありますけれども、私は、同行した人間に直接聞きましたけれども、無理やり連れて行かれているんですね。だから、籠池氏はあそこで昭恵夫人と写真を撮ることが目的だったわけですよね。それを見せていろいろ交渉していこうというようなことがあったわけで。だから、そこは利用されてしまったというようなところは、それは山田さんがおっしゃったように、あるのだろうとは思いますけれども。それが関与したかとか、そういったところには、私はつながっていかないと思います」

政局への影響は?
斉藤キャスター
「津村さん、野党はこれからどのように追及していかれますか?」
津村議員
「そうですね。予算委員会に出された資料ですから、予算委員会の場では集中審議などをしっかり詰めなければいけないと思います。ただ、はっきりさせておきたいのですけれども、予算委員会以外の場では現在、法案審議が非常に進んでおりまして、我々、建設的な提案もしっかりさせていただいていますし、法案で言えば、だいたい8割ぐらいは賛成をして、最終的には議論を深めて賛成をして、国政を前に進めているところです。先ほど申し上げましたように、資料が1年間出てこなかった、そのためにこれだけ時間を要したというのは、これは与野党問わず非常に憤っているところで。ただ、我々としてはこの文書が私達だけにこっそり見せてもらったのではなくて、世の中にオープンになったわけですから、これからは我々の手を、ある意味では半ば離れて、メディアの皆さんであるとか、在野のいろいろな方々がしっかりとこれを一緒にチェックしていただければいいので。国会審議は、これとはまた別のところをもう少しがんばっていきたいと思います」
松山キャスター
「和田さんは、財務省の中でも一部の職員が廃棄まで指示していたと…」
和田議員
「はい」
松山キャスター
「その責任問題をどう感じますか?」
和田議員
「これは財務省の責任というのは当然あるわけであって、これは与野党ともそれは一致しているところだと思うんですね。まだ現在、捜査が続いている段階であるということと、処分がまだなされてないというところがありますので。それがなされたあとに、どういうような判断になるのかというようなことであると思っています。国会審議について、津村先生の方からおっしゃっていただいたことというのが非常に国民にとっても有益であると思っていて。この問題については政府与党として、聞かれれば、それは与党側としても真摯に政府に答えてくださいということで求めていきます。ただ、国民生活にとって非常に重要な法案の審議があります。これは自民党が賛成で、国民民主が反対かもしれないですけれども、…もあるかもしれないですけれども、国民民主は国会に出てきて、いわゆるしっかり議論をして反対をするという、反対の場合は、という立場です。これはしっかりと停滞をしてしまった議論を、国民生活のための法案というのがこのあとにまだ控えていますので、しっかりと会期中に通せるように、やっていかなくてはならないと思います」


後編

検証『米韓首脳会談』 トランプ氏『米朝会談延期』言及
斉藤キャスター
「日本時間の今日、アメリカのトランプ大統領と韓国の文在寅大統領が会談を行いました。会談の冒頭で、トランプ大統領、『米朝首脳会談が実現しない可能性もおおいにあるが、まあいいだろう。長い間、うまくいかないわけではないが、6月12日は実現しないかもしれない』と、延期の可能性に言及しました。一方、文在寅大統領ですが、『米朝首脳会談が予定通り開かれると確信している』と発言しています。阿達さん、このトランプ大統領の延期の可能性について言及したことはどう受け止めていますか?」
阿達議員
「もともとこの3月にトランプ大統領が、米朝トップ会談をやっていいと言い出した時から、実は変わっていないんですね。あの時も条件が整えば会うんだ、条件が整うと言うのは、結果が出せるような状況ができれば自分は喜んで会うと言っていたわけで。その頃から、アメリカの中でも条件というのは具体的には非核化の進め方だったわけですけれども、これが本当に細部にいけば、悪魔は細部に宿るではないですけれど、お互いに合わないのではないかと、考えていることが違うのではないかと、こういう考えはずっとあったわけですね。ですから、確かに6月12日という日にちが設定された。また、中国だ、韓国だの、いろいろな動きの中で、期待値はすごく上がっていたわけですけれども、根本的な条件、これを現在、米朝の高官同士で交渉しているわけですけれども、これがなかなか6月12日までに本当に詰め切れるかどうかという、こういう状況になっているということだと思います」
斉藤キャスター
「文在寅大統領ですけれども『米朝会談が予定通り開かれると確信している』と言っているのですけれども。トランプさんとのギャップはどう見ていますか?」
木宮教授
「もちろん、要するに、文在寅さんとしては、今回の首脳会談というのは、いわゆる非核化をめぐる米朝の、おそらく板門店ではなくて、シンガポールでやったと、それから今回、トランプ大統領の口から延期するかもしれないということを言ったということは、おそらくまだこの問題は完全に合意ができてない、詰められていないということだと思うんですね。それはもう韓国もわかっていて、文在寅大統領としてはこの米韓首脳会談というのをできるだけ米朝の、歩み寄りということを韓国がある程度の役割を果たすことによって、していこうと、そういう会談として位置づけてきたと思うんですね。もちろん、なかなかこの会談の直前に南北関係が若干ちょっと摩擦があったりもしたり…」
松山キャスター
「次官級協議が延期になりましたね?」
木宮教授
「そうですね。…会談が延期をされたりして、若干ちょっと本当は日曜日に、いわゆるホットラインで、南北で電話会談をやるというような話もあったのだけれども、実際はまだやられていないようですけれども。本当はできれば、そういうことをやって、もうちょっと韓国が米朝の間に立ちながら、何とかその間隔を、いわゆる埋めていこうというようなことを考えていたとは思うのですけれども。今回の結果から見ると、まだまだおそらく米朝の間で詰める話はまだ残っているということではないかと思いますね」

牽制し合う米朝の思惑
松山キャスター
「まさに文在寅大統領がホワイトハウスでのトランプ大統領との会談のあと…、会談の前ですか、撮影の時に喋っていた内容。『米朝首脳会談は成功することができるのか。北朝鮮の完全な非核化ということは果たして実現するのか。懐疑的な見方がアメリカの国内であることを知っている』ということを言っていたのですけれども、これは文在寅大統領としてはトランプ政権の内部も含めて、非核化の原則論をめぐっては北朝鮮との間で溝が埋まってないという認識を率直に示したと受けとっていいのですか?」
木宮教授
「そうですね。非核化と言っても、たとえば、北朝鮮は無条件の非核化とは言っていないわけで。軍事的脅威の解消と体制の安全保障、これを誰がどういうふうに提供するのかという問題はあるわけです。それから今度、アメリカの側から見るといつまでに非核化するのだと。それから、どういう方法で、本当にCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)と呼ばれるような、そういう方法でやらなければいけないのに、本当に北朝鮮がその要求に応えるのかどうかと。その問題というのは依然として、かなり違いがあると思うんですね。ただ、もちろん、非核化をすると、そのための見返りを北朝鮮に与えるという点についてはおそらく米朝でもある程度合意ができているのだけれど。具体的にそれをどう非核化を進めながら、どう見返りを与えるのかという点については、依然としてまだまだ違いがあるということではないかと思います」
松山キャスター
「春名さんはどうですか?今回の文在寅大統領の訪米は、1つは、先日の南北首脳会談から次の米朝首脳会談の橋渡し的な役割を果たしたいということで、文在寅大統領は行ったと思うのですが、それには成功していると思いますか、成功していない?」
春名氏
「彼が詰められたということはなかったような気がしますね。ただ、少しは問題点が明確になったのではないかと。表には出していないのではないかと思いますけれども、問題点を詰めることはできたのではないかという気がしますけれども」
松山キャスター
「問題点があることはきちんと整理できた?」
春名氏
「はい。つまり…」
松山キャスター
「詰まっていないと?」
春名氏
「はい」

『非核化』と米朝の隔たり
斉藤キャスター
「非核化に向けて、アメリカは、一括または短期、さらにこの話に出ています、CVIDというのは、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化というものです、これを主張している。一方の北朝鮮はと言うと、段階的に行うとしている。制裁の緩和についても、アメリカは完全な非核化が実現してからだと主張しているの対し、北朝鮮は同時並行的と主張している、このような比較があるんですね。春名さんに聞きますけれども、トランプ大統領は、アメリカが求める条件が満たせなければ、会談を延期するという可能性を示唆したのですが」
春名氏
「そうですね」
斉藤キャスター
「条件というのは何ですか?」
春名氏
「条件というのは現在のところ表に出ていないのですけれど、相当原則的な問題ではないかと。細かい話になりますと6月12日までにはできませんので、そこに出ています、段階的か、1段階なのか、同時並行的なのか、あるいは完全な非核化が実現してからなのか。同時並行的ということと、段階的というのを、実は、習近平国家主席は3月の26日の中朝首脳会談の時は言っていないんですね。その時は、金正恩委員長が言っていたんです。ところが、5月の7日、8日の時に、今度は習近平国家主席の方が言い出したんです。おそらくそれがトランプ大統領にとって気に入らないことではないかと思うんです。従って、中国のことを言っていたと。それで金桂冠・北朝鮮の外務第一次官です、彼はこれまで、北朝鮮のこの非核化の問題で一度も顔を出していなかったのですが…」
松山キャスター
「突然、また出てきましたよね、ここへきて」
春名氏
「そうなんですよ。彼は6か国協議で、中国と一緒に協力し合ってやってきた人なんですよ。その人が出てきたところを見ると、中国側の意図が示されているのではないかと。中国が今回は、1つの大きい問題になってきたということだと思います」
松山キャスター
「段階的な措置、制裁の解除については韓国でこういう報道が出ているのですけれども。『米朝間では北朝鮮の核兵器と大陸間弾道ミサイル、ICBMを、6月12日の米朝首脳会談後、少なくとも数か月以内に北朝鮮から国外に搬出し、対価として対北朝鮮制裁の一部を即時緩和する案が議論されている』と。真偽のほどは確かではないのですけれど、何かしらの譲歩みたいなものが水面下で、米朝2国の間で取引されている、駆け引きされている、そういう可能性というのはあると思われますか?」
春名氏
「あると思いますし、これは、それでは国外のどこに持っていくのか、おそらく北朝鮮側も、中国側も、アメリカに運び込むことについては抵抗を示すのではないかと。そうすると、ロシアに運んだり、中国に運んだりするということもあり得るわけですね。そうしますと第3国と交渉しないといけないと。そういった交渉をした形跡が見られないので、こういった問題も時間はかかるのではないかと思われるんですね」
斉藤キャスター
「でも、核兵器だとか、ICBM、一部だけの搬出ということになると、中距離、短距離ミサイル、これは日本にとっては到底認められないですよね、阿達さん?」
阿達議員
「そうですね。そこでアメリカは一部というのはまず認めないと思いますね。既存の核兵器。核兵器も既にある核兵器の話と現在開発途上のもの、これを2つ分けて考えていると思うんです。少なくとも既存の核兵器、既存のミサイル、これについては基本的には全部、国外に持ち出す。それに加え、過去のデータ、それから、技術者、こういうものについても制限したいというのが、これがアメリカですね。実際に現在、アメリカの中では、これを持ってくるのだったらテネシーに持ってこさせろと。テネシーには核兵器の廃棄施設を、アメリカは持っていますから、そこのオークリッジに持ってこいというような、こういう話をしてみたり、これを本当に受けられるか、受けられないのかというところを現在問われているのだと思うんですね」
松山キャスター
「木宮さんはどう考えますか?段階的措置みたいなもので、アメリカが何らかの譲歩をしてくる可能性というのはあると思いますか?」
木宮教授
「現実的にもちろん、実は国外に、いわゆる搬出をして、そこで、要するに、処分すると、破棄するという話は比較的最近出てきた話ですね。おそらく北朝鮮としては当初考えていたのは自分達のところで自分達の手で廃棄するということをおそらく考えていた。だから、結構時間もかかると、段階的にしかできないんだといういう話であったのが、外国、特にアメリカに搬出をして、そこで廃棄するという話が出てきて。そうすると、確かに時間は相当に節約をされて、早くなるという可能性は出てくるとは思うのですが。しかしながら、北朝鮮からすると、せっかく自分達で完成したものを、自分達のために自分達の力で廃棄するということはある程度受け入れざるを得ないのかもしれないけれども、それをアメリカに渡して処分してもらうというか、廃棄するということに対する抵抗感は依然として私は強いと思いますね。特に最近、南北の関係が若干ちょっと悪化したというのは、実はこの案というのは、日本の朝日新聞が、これは実は韓国の鄭義溶外交安保室長が言ったのだ、という話を一応言って、韓国政府はカンカンに怒って、朝日新聞の記者を出入り禁止にしたんですね、青瓦台の。おそらくこの問題は実は、確かに本当の北朝鮮の、いわゆる非核化のためには1番手っ取り早いし、1番有効なのだと私は思うのですけれども。北朝鮮としては相当に抵抗感のある、そういう方法ではないかなと思いますね。だから、そこのところが、この話が出てきた途端に、どうも話が違うのではないかということで、結構、非核化の具体的な方法について、米朝の間で、いや、まだ結構話が実は違ったのだということをお互いにある意味で、今さらながら、お互いの思惑の違いを認識し合ったのかなと思います」
松山キャスター
「北朝鮮が、豊渓里という場所にある核実験場の廃棄を表明しまして、そこに各国の記者を呼んで、廃棄の様子を撮影させたり、取材させさせたりする、ということで現在、招待をしていますけれども。そういった一方で、たとえば、アメリカとか、イギリスのメディアと一緒に韓国のメディアもいったん招待しながら、名簿の受け取りをいったん拒否して、あらためて今日になって、また、名簿を受理したりするという動きも出てきているということですけれども。北朝鮮側の思惑、阿達さんはどう見ていますか?」
阿達議員
「豊渓里の施設自体は、これから使えないのではないかと言われていたぐらい、非常にいろいろ傷んでいた、崩れたり、痛んでいたわけです。それをこういう形で、そのパフォーマンス的に、放棄するのだということを示していたということですね。だけど、これに実際マスコミを入れるということ、あるいはそこをある程度自分達がコントロールするということで、先ほどのCVIDの検証可能の部分について、現在いろいろな揺さぶりをやっているのではないかなという感じがしますね」
松山キャスター
「ただ、豊渓里の実験場に記者を入れたとしても、そのこと自体が本当に核廃棄プロセスに入ったかどうかの証明にはならないという意見もあると思うのですが」
阿達議員
「ええ、まったくこれは別問題、あくまで核開発施設を放棄したというだけで、実際に南北の間の板門店宣言でも、現在持っている核兵器を廃棄するとは一言も書かれていなかったわけです。『将来的な非核化を目標として協議をする』としか言ってないわけで。だから、北朝鮮からすると、別に現在急に意見を変えたというつもりはないわけですし、その中で、ましてそれを検証というのはいったい何を指すのだと。よその人間が勝手にズカズカ入って来て、何でも見ることを検証と言うのではないのだと。自分達がちゃんと正しいことやっているのを見せてあげて、それをもって検証だと、そのぐらいのつもりだと思うんですね」
松山キャスター
「春名さんは今回の豊渓里の実験場公開の動きをどう見ていますか?」
春名氏
「本当に非核化の一環としてやっているのか。アメリカの専門家の間では、証拠隠滅なのではないかという声も…」
松山キャスター
「あとでいろいろ調査されないように?」
春名氏
「はい。…という声も出ています。現にイギリスのジャーナリストは、ガイガーカウンターを持ち込もうとしたのですけれども取り上げられてしまったということですので、ひょっとして危ないかもしれないということもありますので。しかも、阿達先生が言われたみたいに、使えない施設になりつつあったわけなので、これが将来の非核化に、直接結びつくものとははっきりは言えないと思います」
松山キャスター
「実際に記者が入って、あそこに行っても、専門家ではないので、なかなか資料を集めたりとか、科学的にどういう意味合いがあるのかというところまで検証は難しいと思うのですけれど、今回IAEA(国際原子力機関)の関係者、そういうエキスパートを入れていないというのは…」
春名氏
「そうですよね、はい」
松山キャスター
「ある意味、政治的ショーみたいな形で北朝鮮をやろうとしている?」
春名氏
「いや、そうなんですよね。今回の非核化そのものが非常に難しいというのは、かつてIAEAの査察官が入っていたのですけれど、北朝鮮の中に。その頃は核兵器がまだなかった時代なんですね。IAEAには核兵器の専門家は実はいないんですよ。原子力の平和利用が核兵器に転用するのを防ぐための査察官なんですね。従って、核兵器の専門家を何としてでも査察官として入れるようにしなければならない。そうなると、ロシアの専門家だとか、第3国のイギリスとか、フランスの専門家も入れた方がいいということになると思いますので。相当、本格的にやろうとすれば、相当な手間がかかるということだと思います」
松山キャスター
「木宮さんは今回の動き、特に韓国メディアがいったん拒否され、また入れるという話になったりとか、こういう動きがありましたけれども、どう見ていますか?」
木宮教授
「ちょっとこれはエピソードみたいなもので、本当になぜこんな複雑なことをやったのかなというのはちょっと疑問ですが。おそらく米韓首脳会談の様子を見ながら、ちょっと揺さぶりがあったのかなというのが私の解釈ですけれど。確かに豊渓里の核実験場の、いわゆる廃棄処理というのは確かに私もまったくパフォーマンスに過ぎないと思うのですけれども。他方で、北朝鮮の非核化というものに対する取り組み方が本当に、もちろん、まだ始まっていないと思います、まだ具体的に何も始まっていないのだけれども、これまでのこの問題の取り上げ方とか、出し方を見た場合に、これまでとまったく同じで、また、嘘ついて騙すつもりなのか、それともある程度の戦略的な決断をしようとしているのかもしれない。そこのところはどちらかと言うと、ある程度の戦略的な決断を…したと言うよりも、しようとしているのではないかと。それが現在行われているのではないかなと思います。それは、なぜならば北朝鮮にとって、確かに一方で核を抱えながら、それでも制裁にさらされるわけで、そうすると核を抱えながらも貧しいままで終わるわけですね。それと、いわゆる核を放棄して、それこそもちろん、核を放棄すれば豊かになるという保証はないし、韓国に吸収されてしまうというリスクも大きいわけですけれども。ただ、核を抱えながら貧しいまま終わるのも、これもあまり未来がないわけだし、それから、核を放棄するということの見返りに、ある程度の豊かさを確保できるのではないかと。そのためにおそらく北朝鮮にとって必要なのは体制の安全保証なのだけれども、それを北朝鮮はアメリカの対北朝鮮敵対政策のいわゆる解消、つまり、米朝の国交正常化というところに賭けているのかなとは思いますね」

北朝鮮の体制保証
斉藤キャスター
「北朝鮮の体制保証についてですが、春名さん、トランプさんは本当に体制保証すると思いますか?」
春名氏
「体制保証は、この形のうえで体制保証を紙のうえに決めると思うんです。それがおそらく平和協定だと思います。平和協定を結ぶことによって平和で相手と戦争しないという意味ですので、それを結ぶのではないかと。しかし、南北首脳会談で、3か国で協議するか、4か国で協議するか。つまり、南北プラス、アメリカか、南北プラス、アメリカ・中国か。中国が半分しか入っていないですね。これで中国側が巻き返しをはかったということは十分考えられると思いますし、体制を保証する平和協定というものをどういうものにするかというところが、1つのこれからのカギになると思います」
木宮教授
「これは若干、食い違いがあるのは、アメリカは盛んに経済的なある種の平和協定と、それから、経済的なある種ご褒美と言うのですか、報酬ということを言っているのだけれども、北朝鮮はおそらくアメリカから何か経済的なものを獲得できるとはあまり思っていないと思うんですね。そうではなくて、北朝鮮が1番ほしいものは何かと言えば、米朝の国交正常化。もちろん、その前段階として平和協定が必要だと。つまり、終戦宣言、平和協定、米朝国交正常化、この見通しがある程度つくということが、おそらく北朝鮮にとってみれば現在、北朝鮮が進めている非核化プロジェクトというものをある程度本気で行うかどうかということのちょっと分岐点かなと思います」
松山キャスター
「阿達さん、体制の保証という話で、トランプ大統領も安全は保証するということを盛んにテレビの前で言っていますけれども。ただ、アメリカは、たとえば、金正恩政権をそのまま認めるとしても、そのあと、たとえば、国交正常化したあとに民主化運動みたいなものが中で起きたとしたら、その民主化運動まで弾圧するようなことは、アメリカはたぶんやらないと思うんですよね」
阿達議員
「そうですよね」
松山キャスター
「そういう意味では、正確な意味での体制保証が本当に制度上できるのかなと思うのですけれども?」
阿達議員
「できないと思います。あくまでここで言っている体制保証というのは現体制を否定しない。現独裁政権を否定しないというだけであって、他の国における体制の保証というのは、それぞれの国の体制というのは、それぞれの国の国民が決めるというのは、これは国際法ではっきりあるわけですから。それを保証するということはあり得ないですし、現在は表面にあまり出てきていませんけれども、アメリカにおける人権問題の扱いというのがあるわけですね。中国に対してさえも天安門のあととか、いろいろな局面でアメリカというのは非常に厳しく人権問題を攻撃してきた。そうすると、北朝鮮が仮にここで体制を否定されなくても、それ以降のいろいろなプロセスの中で、またかつてのような、いろいろな人権弾圧をやった時に、アメリカがそれに対して非難しないかというと、間違いなく非難しますから。だから、その意味では、ここで言っている体制保証というのは、とりあえず現体制を否定しない。現体制との間で平和条約を結ぶ、あるいは経済協力をすることもあるかもしれないという、それにとどまるのだと思いますね」

木宮正史 東京大学大学院総合文化研究科教授の提言:『独自の存在感』
木宮教授
「『独自の存在感』ということですけれども。もちろん、米朝がある程度、成功しないと話は始まらないと思うのですけれども、米朝が成功、ある程度、成功したあとに、私は日本の出番というのは必ず出てくると。それは何かと言うと北朝鮮から見て1番経済的な、経済協力を獲得、最もリスクが少ない形で、これは、要するに、中国や韓国と比べ最もリスクが少ない形で経済協力を獲得することができるというのは日本しかないと思うんです。アメリカは、経済協力はあまりしない、する義務もない。日本の場合には、日朝国交正常化と、それに伴う経済協力ということがあるので日本の持っている存在感というのは少なからずあると思います。ただ問題は、日本にとってもう1つ重要な問題、ご存知のように拉致問題というのがありますね。拉致問題というものも考えながら日本が北朝鮮に持っている存在感を示しながら、交渉していくということが必要ではないかと思います」

国際ジャーナリスト 春名幹男氏の提言:『“非核化”のあと、平和構築で汗をかけ』
春名氏
「非核化のあとは、平和構築で汗をかけと。つまり、非核化が終わっても、本当の意味での平和が訪れるとは限らないですね。つまり、平和が訪れるように何らかの新しい動きをつくると。日本が中心になって、たとえば、北朝鮮は非核化をしても国を開こうとしませんし、民間レベルの交流とか、あるいは人権問題とか、メディアとか、文化的な交流とか、そういったものを拡大することによって北朝鮮の国を開かせていくと。そういう働きかけを日本がすべきだと思います」
松山キャスター
「逆に、国を開くことによって体制が不安定になるのではないかという部分も北朝鮮はまだ持っている?」
春名氏
「いや、そうだと思います。従って、凝り固まって、なかなか外に目を向けないということだと思います」

阿達雅志 自由民主党外交部会長の提言:『不動心』
阿達議員
「『不動心』ということで。現在、国際環境が激動している、凄まじいスピードで動いている、これは間違いないのですけれども。ただ、1つ、1つにあまり一喜一憂するのではなく、特に北朝鮮との問題を考えた場合に、過去のように絶対騙されてはいけない、これがまず第1です。それから、拉致・核・ミサイル、この問題をとにかく今回解決するのだと、この方針は絶対変えてはいけない。3つ目としては、最後に解決されるまでは圧力を一切緩めてはいけない、この姿勢も崩してはいけないと思うんです。この3点において日米韓が本当に一体となってやる。これが不可欠だと思いますので、細かいところでいろいろな行き来はありますけれども、とにかくここはじっくりと方針は変えずに、不動心で臨むというのが日本の外交のあり方だと