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2018年5月21日(月)
日本成長のアキレス腱 『労働力不足』対応策

ゲスト

田村憲久
自由民主党政務調査会長代理 元厚生労働大臣
樋口美雄
労働政策研究・研修機構理事長
熊谷亮丸
大和総研常務取締役チーフエコノミスト

どう活かす? 『眠れる働き手』
竹内キャスター
「総務省は今月11日に発表した労働力調査で初めて未活用労働に関する調査結果を公表しました。この未活用労働とは求職活動中で希望に合う仕事がないという方。さらに既に仕事をしているがもっと働きたい。働く意欲はあり、すぐに、もしくは2週間以内に就業できるという方を含めたもので、これまで捉えきれていなかった労働力を把握することができるというものです。未活用労働力をどうすれば活かすことができるのか、日本経済の成長にどのようにつなげていくべきか、労働政策に精通したゲストの皆さんと議論していきます。現在、人手不足を感じている企業が7割に上っています。こうした中、総務省が未活用労働という新たな指標を公表しました。これまでのデータとどこが違うのかと言いますと、これまでは収入を得る仕事に就いている就業者、仕事探しをしていて、すぐにでも働く意思があるものの希望に合う仕事がない失業者、仕事も仕事探しもしていない未就業者の3つに分けていました。それを新しい指標、未活用労働は就業者の中でも既に仕事はしているが現在よりもっと働きたいという人、未就業者の中で働く意欲はあり、すぐ、もしくは2週間以内に就業できるという人、そこに失業者を合わせて未活用労働者としています。この未活用労働者がどのくらいいるのかと言いますと、もっと働きたいという人が177万人、失業者が184万人、潜在的な労働力が37万人とされていて、合わせて398万人で、働く意欲のある人のうち5.9%ということです。熊谷さん、活用できていないという、この労働力を掘り起こす意義はどこにあるのでしょうか?」
熊谷氏
「ええ、もともと労働力人口がドンドン減っていくわけですね。これが減ると、日本の潜在成長率という、経済の実力がドンドン落ちるということがあって。たとえば、この労働力人口が1%、65万人減ったとすると、日本の潜在成長率という、この実力のGDP(国内総生産)がだいたい0.7%ぐらい、3.5兆円ぐらい落ちることになるんですね。そうなってくると、これから10年間でどれぐらい労働が減るかと言うと、2.3%、これは115万人ぐらい減るので。それを単純に当てはめていくと、日本の潜在GDPが1.6%ぐらい、これは10年間で1.6%ですから、年率にするとだいたい0.14%ずつぐらい減ってしまうということなんですね。ですから、何とか働く人を増やさなくてはいけなくて、潜在的な力がどれぐらいあるかというのを見る意味で、このデータが非常に重要なんですね。今回、公表されたデータはポイントとして言うと、ここ(働く意欲がある人)の5.9%、これが、国際比較で見ると非常に小さいんですね。他の国はまだまだ働く余地と言うか、潜在的な労働力というのが、まだ未活用のものがたくさんあるということで。たとえば、イタリアだと23%ぐらいあるんですね。それから、だいぶ低いドイツでも8.5%あって、この1番低い部類に属する8.5%のドイツと比べても、5.9%というのは非常に低い。つまり、これから労働力を増やす余地が日本はそれほど残っていないということが言えるんです。その中でこの3つに分類して見ると、失業者はもともとあるわけですが、意外に少ないのが、この37万人、潜在的な労働力というのがあまり多くないなというのが、これが1つのポイントですね。他方、3つの中で言うと追加就労を希望する、この人が177万人ぐらいいますから。このあたりをどうやって掘り起こすか。それから、もう1つは、この潜在的労働力というのに現在入っていないけれども、入ってくる人をどれだけ増やすかというような、そういう多様な政策、働きやすくなるような、そういう政策が必要になるということです」
竹内キャスター
「現在、仕事を探しているけれど、希望に合う仕事がないという失業者のこの184万人をどう活かすかについて考えていきたいのですが。樋口さん、この『希望に合う仕事がない』という理由を述べていますが、この点を含めて、どう対応していけばいいと考えますか?」
樋口氏
「これは、いわゆる失業率ということです。失業率を下げるためには大きく2つの方法があるというんですね。1つは何かというと、企業の求人を増やしていく、雇用を増やしていくことによって失業を減らす。これは通常考えられるわけですが、もう1つの方法というのが、実は失業者というのは無業です。しかも、求職活動をしてます、職探しをしています、という条件の人達なんですね。従って、良い仕事がないから、職探しを諦めたらどうだと、というようなことを言えば、おのずから失業率が下がってくるんですね。私は失業率というよりも、むしろ就業率、どれだけの人が働いているのかということに着目した数字を見ていこうと思いますね。この出てきている失業率というのは、実はこの中身というのは、まさに需要不足失業というのと、もう1つ、ミスマッチ失業というような、要は、ミスマッチというのは求職者の求めるという条件と求人側の求める条件が合わないと。その結果、ミスマッチによって、意見が合わないためにそれが就職につながりませんと、というようなところがあると思いますね」

『雇用のミスマッチ』の現状
松山キャスター
「ミスマッチについては、こういう調査があるのですけれども、失業者の中でもミスマッチの理由について、たとえば、希望する種類・内容の仕事がないというのが1番多くて28.5%、あとは求人の年齢と自分の年齢とが合わないというのは17.3%、その他、勤務時間・休日等が希望と合わないとか、こういう理由づけがされているのですけれども。これは1つ、1つ、改善点があるということなのですか?」
樋口氏
「そうですね。1番上の希望する職種、…についてというのは、求職者の方は一般事務というのに就きたいという人達が多いんですね。ところが、その仕事はなかなか最近ですとなくなってきていると、ということで別の、たとえば、それにしてもIT(情報技術)ができるとか、中にはAI(人工知能)も使えますというよ、そういった技能的なところというのはありますから。技能を高めていくようなことというのも必要な、このミスマッチを減らすための、対策と考えられるのだろうと思いますね」
松山キャスター
「なるほど。田村さんはどう見ていますか?」
田村議員
「そもそも2.5%の失業率というのは日本の国においてはたぶん現状、均衡失業率、要するに、完全失業率に近い数字ですね。ですから、ミスマッチは当然ありますから一定程度、それを就労につなげていくというのは、かなり難しいことだと思います。いろいろな条件が合わないのはありますけど、たとえば、非常に国が貧しく、生活ができないような、そういう状況だとすると賃金が低くても働かなければいけないというので、そういうミスマッチは自然と解消、善いのか悪いのか別にして、されるわけですよね。だから、一定の成熟国家となってくると、なかなか2.5を下げるというのは、先生、これは大変な、私は苦労を…」
樋口氏
「そうですね、それは厳しいですね」
田村議員
「…すごく労力を払わなければ、この方々が労働市場で顕在化はしてこないのではないかなと思いますね」
松山キャスター
「一方、都市部への一極集中みたいな問題もあると思うのですけれども。たとえば、地域によるミスマッチみたいなものも背景にはあったりするのですか?」
田村議員
「それもあるとは思いますが。しかし、地方と中央を比べると都会の方がどうしたって仕事が多いですから。そういう意味からすると、地方も、それでも失業率はそれなりに高いというのは全体的に人が足らない、労働力が足らないという結果なのでしょう」

『女性活躍社会』現状と課題
竹内キャスター
「熊谷さん、このもっと働きたいと考えている方というのは、具体的にどういう方なのでしょう?」
熊谷氏
「これはちょっとどういう人達かというのをフリップになっているのですけれど。いろいろアンケート調査をとっているのですが、1番下のところにあるですね、正規雇用の仕事がないからという人、これは実は不本意の非正規雇用と言うのですが、これは非常に少ないですよね。19万人ぐらいしかいないということですから。よく、非正規雇用を嫌々やっているという議論がありますが、現在そういう不本意でやっている人が非常に少なくなっているということが今回の調査結果でわかってきた。それから、上から順番に、都合のよい時間に働きたい人、これがだいたい42万人ぐらいいるんですね。それから、家計だとか、学費の足しにしたいという人が31万人、育児とか、介護と両立しやすいという人が31万人ということですから。その意味で言うと、たとえば、もうちょっと働き方を自由で柔軟にして、都合のよい時に働けるようにするとか。下から2番目のところで育児だとか、介護の両立。現在、安倍政権は相当この育児とか、介護のことをしっかりやっているわけですから、環境を整えていけば、これから雇用が伸びる余地というものが潜在的に、雇用というか、既に働いている人が働く時間を増やす余地が潜在的に残っていると、そういうことが言えるのだと思いますね」
樋口氏
「過去を少し遡って考えてみたいのですけれども、人口の減少というのは、実はつい最近始まったことでもないですね。生産年齢人口とよく言いますけれども、15歳から64歳の人口、ここのピークは現在から20年前だったんです。1997年。その時に比べれば、現在その年齢層は1100万人減っているんですよ。1100万人減りながらも、実は就業者の減少というのは僅か27万人で済んだと、ということで。その年齢層は減ってきたのだけど、働く人達の比率が上っていった。それは女性の就業率が上がったり、あるいは65歳から69歳と、というところの働く人達の比率が上がったということなんですね。こちらにパネルがあるのですが。このパネルを見ますと、ここに2007年と2017年、10年間の変化、女性の働く人達の比率を調べています。それで赤い線というのが、正規の労働者で働いている人達。点線の方が10年前ですね。実線の方が、赤い実線の方、正規の、最近の2017年の数字。確かに正規も増えているのですが、その一方で、非正規の方がずっと増えていると。特に有配偶女性を中心に、そこのところが上がってきたと、というような形で。非正規のところはおっしゃるように、時間が正規は長すぎると、あるいは硬直的で、それでは正規としては働けないという人達が実は多いということで。一種のミスマッチという形で、非正規の方で働きましょうという人達が増えていると、ということですから、ここのところの人材の活用というようなことになっていけば正規の働き方も見直していかなければいけないと、というようなことになるのではないかと思いますね」

人口減少時代と『働き方改革』
松山キャスター
「もっと働きたいという人を活かすという点では副業・兼業をどうするかという問題があると思うのですけれども。『副業・兼業の促進に関するガイドライン』という、2018年1月に出ている、労働政策研究・研修機構の調査ですね。その中では企業側のメリットとしては労働者が社内では得られない知識やスキルを獲得できると、また、新たな知識や情報・人脈が入ることで事業機会の拡大に繋がるというメリットがあるということを謳っているのですけれども。一方で、一般企業の副業の許可の状況を現状見てみると、これを禁止しているところが83.4%とかなり高率になっている。容認しているところは僅か16.1%しかないと。樋口さん、この実態をどう捉えていますか?」
樋口氏
「企業としては、これまでは自分の企業で仕事に専念してほしい、時には残業をやってほしいということですから。兼業をやっているとなかなかそれはできないですねということもあったと思いますね。あるいは企業内の秘密が他社に漏れてしまうのではないかと、というような懸念もあるわけで、それを専念することによって、守っていこうということが強かったと思います。ただ、その背景としてあるのは生活はわが社で働いていれば安心なんだよと、その分だけ保障していくんだよと、というような機能があるから、逆に他の仕事はやらなくてもというようなことになってくるわけですが。そこは揺らいできているという中においては、自分で副業・兼業というのによって、自分のキャリアの幅を広げたいと、というような人達というのもすごく出てきている」
松山キャスター
「正規の労働者の中とか、ですよね?」
樋口氏
「そうですね。昔はお金がほしいから兼業・副業です、と言ってきたわけですが、最近ではいろいろな知識を得たい、能力を高めたいと、ということで副業・兼業となっていますから。これをやっているうちに、たとえば、中高齢層においても、他のキャリアと、ダブルのキャリアを積むことによってだんだんにシフトしていくと、というような、これまでの会社から新しい仕事の方にシフトしてくということができる。急に替われと言ってもこれまでは100%ある会社にいた、ところが、明日から別の会社ですよ、別の仕事ですと言うと、なかなかそれはうまくいかないということですから、そういったところも考えていくということが必要になってくるのではないでしょうか」
松山キャスター
「熊谷さんはこの副業・兼業の実態、かなりの企業がまだ禁止している状況…」
熊谷氏
「うん」
松山キャスター
「これをもっと自由化すれば、労働がもっと流動化して、活性化するのではないかという気がするのですけれども。そのあたり、どう感じていますか?」
熊谷氏
「伝統的に考えれば、樋口先生がおっしゃいましたけれども、本業に集中をしてほしい、それから、情報漏えいのリスクもある。もしくは労務管理が非常に大変になったり、働き過ぎになってしまったりだとか、いろいろなことがあるわけですから。どちらかと言えば、企業はまだこれを認める状況にはなっていないということだと思うんですが。ただ、大きな流れとして見れば、おそらくこれからドンドン副業が認められる方向に行くのではないか。なぜかと言うと、2つポイントがあるのですけれども。1つは、要するに、イノベーションですね。いろいろな創意工夫が副業して知見を広めることによって起きてくる。最近の経営学の知見でわかってきたことは、実は自分からちょっと遠い分野のことを勉強すると、そこからイノベーションが起きるということがわかってきたんです。たとえば、トヨタのカンバン方式というのがありますけれども、これは、元はアメリカの流通システムから取り入れて、異分野のものを入れることによって新たなイノベーションが生まれるということ、これが1点目。もう1つは、たとえば、企業、いろいろなベンチャー企業を興しやすくなるということがあって、1つの仕事があってある程度、生計が安定していれば、そこでチャレンジをすることが可能になるわけですね。たとえば、スウェーデンという国が、非常にイノベーションが起きて、ベンチャーが発達しているのですけれども、先日その大使の方にうかがった時に、なぜこんなにイノベーションが起きるかと言ったら、生活が保障されている。そうなってくるとチャレンジができるという、ここは非常に大きいことです。だから、長い目で見れば、おそらく副業はドンドン拡大していくだろうと考えています」

『もっと働きたい!』の実情
松山キャスター
「なるほど。一方で田村さん、これは先ほど紹介した、政府のガイドラインですけれども、副業・兼業を推進するということを謳っている一方で、『働き方改革』ということで、労働時間そのものは短縮しようとしていると。一見すると、ちょっと逆行しているような動きのように見えるのですけれども」
田村議員
「現在も兼業はいろいろな形で、就業規則の中で禁止してあったりするのですけれども、本当に限定的なんですよ、本来、判例見ると。よほど他で働いていて、本業が疎かになっちゃって、業務に支障をきたすという場合でないと、あとは利益相反みたいなことだとか、企業同士の。そういうことでない限りは、兼業は禁止できないんですけれど。現在、そういうような就業規則のところが多いものですから、これに関してガイドラインをつくって、新しいモデルを、就業規則を国として示し、できるんですよ、みたいなことを示してくださいというような話をしているのですが。ただ、心配なのは、言われる通り、労働時間の管理。これは、たとえば、Aという企業に勤めていて、途中でBという企業に勤める場合、今回、法律改正で年720時間を上限、36協定の特別条項を結んでも、上限ができますよね。では、AとBと、どちらに責任があるのだと。それはあとで働き出した方が、責任があるんですよ。超えてはいけないんですよ。ところが、Aでどれだけ働いてるかというのは、よほど両企業が仲良くないと情報なんて伝ってきませんよね」
松山キャスター
「その計算はなかなか難しいですよね」
田村議員
「事実上の長時間労働是正という観点からすると、フリーランスならばこれは自分で、副業という形がやれるのでいいですけれど、兼業して他の企業で働くという場合になると、これはよほど運用が難しい。ましてや、それで労災申請なんていうことが起こった場合、いったいどっち側にどれだけの責任があるのだというのは、これまでほとんど想定されていませんから、事例はないと思うので、あまり。こういう側面から考えるとかなり難しい話だと思いますね」
松山キャスター
「それは実際に今後、兼業・副業をまだ禁止している企業多いから顕在化していないんだと思いますけれど、先ほど、田村さんが話されたように、Aという企業で普通の時間労働していたとして、そのあと夜になってBという企業で勤め、その方が不幸にも、たとえば、過労死されたという場合に、責任はどっちだという議論になった場合、そこを埋めるような法整備というのはまだできていない?」
田村議員
「それは法整備と言うよりかは実態をどう把握するかという話になりますから。どういうような比率になるということがあるかどうか、労災審査の手続きというものを私もそこまで細かく分析したことがないので、逆に先生の方がよく知ってるおられるかもわかりませんけれども…」
樋口氏
「いや。1人の個人がマルチジョブですよね、そういった場合にこれまでですと、誰がどこで働いているかというのは、個別に各企業が把握しているわけですから、それはわからないというのが実態だと思うんですね。今後はそれができる可能性も、マイカードであるとか、いろいろなところであると思いますけれども。一方で、プライバシー問題もありますから、そう簡単に申告義務を課すことができるかどうかという。ただ、兼業を、ということになれば、現在勤めている企業の許可を得て、どういう仕事だったらいいよ、という形にしていかざるを得ないのではないかなと思いますね」

人口減少時代と『働き方改革』
松山キャスター
「続いて議論していきたいと思いますけれど、未活用労働の議論の1つのきっかけと言うか、現在、国会で審議されている『働き方改革』にもつながってくる話だと思うのですけれども。大きく見ると、働き方改革はこういった柱から成っていると。終身雇用が中心だったこれまでの企業文化から長時間労働を是正していく。また、非正規雇用での場合、同一労働は同一賃金という方針にしていくという大きな柱があるわけですけれども。まず長時間労働の是正というのが日本経済の経済成長そのものの足かせになる懸念があるのではないかという指摘がよくありますが、田村さんはどう感じていますか?」
田村議員
「ある意味、長時間労働是正で上限を一定程度に決めると、結果的にそこまでいっていない人達も、労働時間を短くしようではないかという機運が当然起こってきますよね。現在、社会全体がそういう機運だと思います。その短くなったものを生産性の向上で補えるかどうか。逆に言うと、長時間労働をしなければいけないような、そういう職種と言いますか、企業でもいいですよ、それを長時間労働しなくてもいい形態に変えていく。1番わかりやすいのが、コンビニエンスストアみたいなところが、結果的に本当に24時間、どんな田舎でもフランチャイズのところはやらなければいけないのかと。私の地元にも、住民がどうでしょう、5000人、6000人の、昔は村だったところがありますけれど、そこにあるんですよね。面積は、昔は県庁所在地だったところよりも広いみたいなそんなところなのですけれども。そこにコンビニができて便利なのですが、本当に24時間、開いている必要があるのか。コンビニエンスストアは本来、むちゃくちゃ生産性が高いはずですよ、労働生産性が。なぜならば、あれだけの人数であれだけのものを売って、売上げを上げるのですから…」
松山キャスター
「はい、何でも揃っています」
田村議員
「ところが、24時間でお客さんが来ないようなところでもやっているわけですよ。そういうところを調べてみて見ると、あまり高くなくなっちゃうと。だから、本当に24時間必要ならば限定するとか、東京にこんなに必要ないのではないかとか。ちょっと数を減らすだとか。あとは無人化を進めるだとか。実は、はっきり言って生産年齢人口が減って、労働力が減っているということと、今回、長時間労働を是正するということは、逆に知恵を出して生産性を上げる方向に進んでいくのでないかという、これは日本の経済が強くなっていくための方策でもあるというのが我々の認識なんです」
松山キャスター
「熊谷さんはどう考えますか?一方で経済成長の足かせにならないよう、逆に生産性を上げていくという意味での労働時間の短縮が可能なのかどうか?」
熊谷氏
「私も、基本的には田村先生の考えと同じですね。短期的に見れば、これは時間を減らすわけですから、経済にマイナスの影響が出るわけですが、そこで働き方を変えて、無駄なことをやらずに重要なことに集中をして、徹底的に労働生産性を上げるということが重要である。これは短期的にはどれぐらいの影響が出るかというのを、私どもが試算をしてみたのですけれども。現在、労働時間の規制がフルにかかったとすると、どれぐらい月当たりの労働時間が減るかと言うと、3.8億時間、月当たり国民全体で減ってくるんですね。これが賃金にどれぐらい効いてくるかと言うと年間でだいたい8.4兆円ぐらい。これは残業代が減るわけですね。ですから、だいたい国民の所得が単純計算でいうと3%ぐらいですね。この労働時間の規制をかけただけではマイナスの影響を受けてくると。これをどうやって補うかというのが下半分のところに書いてありますけれども。たとえば、社員の残業を少し増やす。たとえば、0から20時間ぐらい残業している人を30時間に増やすというようなですね。それによってどれぐらい賄えるのか。それから、パートの人が、年収130万円ぐらいになるまで働いたら、これぐらい賄える。パートの既存の人を、4分の1ぐらい正規雇用に変えたとすると、だいたいこれぐらい賄えてくる。それから、下の方は、たとえば、男性の労働を増やす、女性の労働を増やす、高齢の男女の労働を増やす。これ以上に重要なのが先ほど来、話が出ているような労働生産性を上げること。まずは無駄な時間でダラダラやっているところがあるわけですから、それをしっかり減らして。2・8の法則などと言いますが、大事な8割のことはだいたい2割の時間でできるわけですね。ですから、まず重要なことに集中をして、たとえば、無駄なサービス、たとえば、夜中にいろいろと営業するとか、こういうこともドンドンやめて生産性を上げることが非常に大きな鍵であってですね。この労働時間を減らすことは、その大きなきっかけになるのではないかと考えています」
松山キャスター
「田村さんはどうですか?たとえば、非正規雇用を同一労働同一賃金にしていくという話もありますけれど。これはこれまで日本企業は、たとえば、新卒で採用した社員に対しては徹底的に研修とか、いろいろ投資をして、育て上げて、その中で企業の戦力として使うことをやってきたと。同一労働とはっきりと、きちんと区分けできるのかどうかという問題も出てくると思うのですけれども…」
田村議員
「人材活用の仕組みがヨーロッパと違うので、なかなか難しいんです。それはなぜかと言うと、新卒一括採用、特に事務職はそうなのですけれども、皆、自分らは経営者・部長ぐらいまではなれるという時代に、そういうのがスタートしたんですよね。ですから、皆そういう期待で実際になっていましたし、自分の企業でなれなくても自分の下請け、もしくは自分のところの会社の関連会社の重役なんかになったわけなんですね。だからこそ会社側は無限定にいろいろなことを社員にやってくれと、転勤もしてくれ、仕事も職種も変えてくれと、いろいろなことをやらせるわけですね。ところが、今の時代、そういう時代ではなくて、あっ、課長にもなれないやという人が出てているのに、同じような会社の拘束力と言いますか、やっているわけです。ヨーロッパは、そういう、経営者になっていくというのは全体の1割もいないんですね。そういう方々は確かに無制限に働くわけです。ところが、他は、一定程度の限定されている中で働きますから。だから、同じ職種ならば、どの企業に移っても、だいたい同じような、違いはありますけれども、…幅に入ってくるという同一労働同一賃金みたいな。本当を言うと、同一労働同一賃金、同一価値労働同一賃金というのは男女の差を埋めるという概念からヨーロッパでは発展してきたのですけど、同じ賃金体系になってくるわけですよね。ところが、日本はそういう無限定な働き方の方々が多いですから、すると同じ、何か作業は同じなのだけれど、給与が違うと、こういうのが起こるんです。職務が同一というのは、職務というのは、業務と責任に分かれるんですよ。業務は何かと言うと、作業の内容と知識や熟練度に分かれるんですね。つまり、それと責任が一緒ならば、同じ給料と言うのですけれど。それは正規社員と非正規社員の方々は違いますよね、それは。責任も違えば熟練度もいろいろなものが違うと思います。そうなってくると、人材活用の仕方も違いますから、転勤があったりなんかするので。すると、給料が違うというのが現状。何のためにこれをやるかと言うと、日本の同一労働同一賃金というのは、実は正規と非正規だけの話なんです。正規同士は、同一労働同一賃金でなくてもいいんですよ、法律上は。正規と非正規というのは…」
松山キャスター
「そうでないのことがいっぱいありますよね?」
田村議員
「そうです、…今回、提起をしましたので。そういう意味では、非正規の方々の処遇改善は必ずすると思います。だから、そういう意味で、これは非正規の方々の処遇が改善し、やりがいを持って働いてもらうというような形になりますので、これまで以上に生産性を上げていただく1つのツールになると思っていますね」

未活用労働力を掘り起こせ!
竹内キャスター
「現在、日本の15歳以上の人口は1億1100万人いますが、そのうち、現在働いていない25歳から64歳は男性が268万人、女性が858万人、そこに65歳から69歳の男女524万人を合わせると1650万人に上るということで。熊谷さん、人手不足が叫ばれている中で、こういった働きたくないと思っている方々という方が、働きたいなと思うように変わるためにはどういった対応策が考えられますか?」
熊谷氏
「多様な働き方ができるようになって、たとえば、短時間だとか、そういう形でも働けるようにしていくということが1つは大事なのだと思うんですね。それで働く意欲がある人というのは、結構数が多いということがあって、337万人いるということですね。この仕事を求めていない理由というのを、これ見てみると『適当な仕事がありそうにない』と言う人が94万人ぐらい。ただ、これは、たとえば、自分の知識だとか、能力に合う仕事がないというような、そういう方もいるわけですから。こういう人に対しては、いわゆるリカレント教育という、社会人の人に対する教育をすることによって、ここを伸ばす余地があると。その他で言うと、たとえば、出産とか、育児が原因の人が81万人ぐらい。それから、介護だとか、看護が原因の人が25万人ぐらいいるわけですから。まさにこういう方々は、たとえば、保育所の整備をするとか、もしくは介護の仕組みを整えることによって、かなりこれから働いてくださる余地があるということですから。その意味で、いろいろな環境整備を行っていけば、これから働くことを希望している人達がさらに職を探すようになって、いずれは働くようになると、そういう余地がかなり残っているんだと思いますね」
竹内キャスター
「私の友達も、この出産・育児のために、現在は専業主婦だっていう人も多いので。そうなると、現在の仕組みと言いますか、待機児童の対策などが最善…?」
熊谷氏
「そうですね。たとえば、大学を出た方で就職して一生勤めた方は、生涯所得が、二億数千万円ぐらいあると言われているのですが。途中で子育てのためにやめて、非正規になったとすると、これが5000万円ぐらいになってしまうんです。ですから、そのあたりを考えると出産で子育てをやったとしてもまた仕事に戻れるような、そういう柔軟な仕組みをつくるということが非常に重要なのだと思います」
松山キャスター
「一方で働きたくない、働くことにそれほど積極的ではないという人の中にはもう既に十分な収入があるとか、資産があるとか、もう働く必要ないだろうという人達も含まれると思うのですけれど、そういう人達も労働市場に出てきてもらえるような、活性化策みたいなものは考えられるのですか?」
熊谷氏
「おそらくそういう方々は数としてはそんなに多くないと思いますよね。他方で、要するに、ちょっと働くのが大変だから働きたくないような方は一部でいると思いますが。これは勤労感と言うか、職業教育のようなものでもあるし、また、いろいろな、ちょっとの時間でも働けるだとか、近くで働けるだとか、それから、自分の持っている知識だとか、趣味を活かせるだとか、そういう多様な仕組みを整えることによって、働いてくださる方は潜在的には出てくるのではないかなと思います」
松山キャスター
「なるほど。一方で、先ほど、65歳から69歳の人口で500万人ほど、いわゆる潜在労働力に含まれるという話がありましたけれども、これは、いわゆる、たとえば、65歳で定年退職された方とかも含まれてくると思うのですけれども、実際に、会社の規模と働き手の年齢というデータがこちらにあるのですけれど、65歳以上の人を従業員として雇っているという企業は、比較的小規模の企業に多いということがこのグラフからわかるのですけれど。300人以上の大企業だと65歳以上というのはかなり低い比率でしか雇用していないと。樋口さん、これを見ると、大企業よりも中小企業の方が、いわゆる65歳以上の高齢者をうまく活用していると見てとれるのですけれども、実際のところはどうなのですか?」
樋口氏
「中小企業の場合はなかなか人が集まらないと、というようなことで、高齢者、年齢に関わらず働いてほしいと。ということで、そういった実態として、小さなところで高齢者がたくさん働いてます、ということもあると思いますね。20年前に比べ、先ほど、生産年齢人口が1000万人減りましたと、ということを言ったのですが、働いている、会社で働いている人は逆に増えているんですね。増えているのですが、特に従業員500人以上の大企業で働く人が増えまして、中小企業の方は大きくそこのところというのは減少しているんです。この1人から29人のところは、実は229万人も減ったと、という、自営業とか、家族従業者と共に、そういったところが減っているということで。そこもまさに死活問題として人材を確保しなければということで、それだけ高齢者にも働いてもらうと、というようなことが起こっているのだろうと思います。ですので、中小企業だからというよりも、制度が中小企業の場合は割と柔軟に変えられるわけです。たとえば、60歳の定年と言っても、ある人がもっと働きたい、能力がある、では、働いてもいいよと、というような形で、そこのところは柔軟に対応できる。ところが、大手企業の場合は制度が優先して、定年が60歳ですとか、あるいは65歳まで雇用保障しますと、というような延長雇用が行われても、そこのところは全員一律というような形になってきますから。どうしても、個人によって高齢者の特性というのはいろいろ違っている、体力的にも違うと、というような、希望も違うということになれば、それに応じた働き方というのを提示していかないと、なかなか大企業で高齢者の人達も戦力として働いてもらうと、ということは難しいのではないかなと思いますね」
松山キャスター
「田村さんはこの数字をどう見ていますか?中小企業の方が柔軟に高齢者を活用している」
田村議員
「と言うよりかは、お話がありましたけれど、若い人が集まらない。一方で、少なければ少ないほど、1人抜けた時の影響が大きいですよね。すると、ある程度、仕事がしっかりやれる方ですから、それは逆にやめたいと言っても、残ってくれというのはよくある話でございまして。そういう形で、どうしたって規模が小さければ小さいほど高齢者の方々の比率が多くなると。もう1つは、これは一般論ですけれども、小っちゃければ小っちゃいほど結構、解雇を安易にされるんです、解雇。大企業は解雇するといろいろ企業イメージ等々がありますから、だから、やらないですよね。整理解雇に近くても整理解雇をやりませんから。だから、そういう意味からすると、解雇がしやすいというので残っている方々は結構、優秀な方々が残っている可能性が高いと思います。ですから、こういうような傾向があるのだろうなと予想できます」

日本人は何歳まで働くのか?
松山キャスター
「あと全体の流れとして、たとえば、年金の受給開始年齢を70歳まで引き上げようという動きが出ていますけれど、そうなってくると、高齢者の活用という意味では、また違った意味を持ってくるのですか?」
田村議員
「それはそうでしょうね。当然のごとく、年金の金額が少ないという話になると、調整されちゃうと、何か損したなというようなイメージになっちゃいますから。ただ一方で、現在、我々は60歳から実は70歳までの間で、年金の支給開始が選べるんです。65歳ですけれども、それまでに早くもらうと少なくなるし、ひと月あたり。遅く延ばすと多くなると。70歳になると、70歳まで我慢すると65歳でもらう時よりも4割2分ぐらい、月の年金の給付額が増えるんですよね。これを75歳まで選択できるようにしたらどうだというようなことを、今提案をしようとしているのですけれど。そうなると、年金を、支給を開始しないという選択もあるかもわかりません。だから、元気だから、収入があるから、68歳まで、70歳まで我慢して、その代わりにひと月にもらえる年金の額を増やそうという、そういう選択もこれが出てくるかもわかりませんから。年金、それから、働くということですね、これに対して我々与党、ましてや政府も、もっと国民の皆さんにいろいろな選択の幅がありますよということをしっかりとPRしていく必要があると思います」

人手不足経済の処方箋
松山キャスター
「外国人労働者の受入れについては、今日のニュースとして入ってきたものですけれども、現行制度では技能実習を5年間となっていたものが新たな制度を検討し、就労資格5年間というものを付与したらどうかということで。たとえば、介護の分野では毎年1万人程度受け入れる、農業は2023年までに10万人程度の外国人労働者を受け入れる。建設業では2025年までに30万人以上。宿泊、ホテルなどは、2030年までに8.5万人以上受け入れるという検討したらどうかという方針が出ているわけですが?」
田村議員
「この制度は制度として1つあるとは思いますが。この数字を見ていて、まあ、こんなものかなと思いますけれども。他の産業を含めて、どれぐらい入れるかというのは、昨年1年だけで20万人増えているんですよ、外国人労働者。20万人です、1年で、1年でですよ。そう思うともっとインパクトのある数字が出てきてもおかしくないのかなとは思います」
樋口氏
「技能実習制度がかなり多く…。外国人労働者は、早急に議論していかなくてはいけないと、と思うのですが。その前にAIであるとか、ロボタイゼーションというのを、いかに活用して生産性を上げていくかということが重要だと思うんですね。日本ですと、IoT(モノのインターネット)、ITの進展というのがどうも過去20年間、他の国に比べて生産性の向上につながっていないと、という結果が出てくるんですね」
松山キャスター
「なるほど」
樋口氏
「それはなぜなのだろうかと思うと、労働力であって、人材としていかに能力を高めていくかと、というようなところというのを、どうも日本の企業も個人も怠ってきたのではないかと、というようなところが指摘されるんです。よく資本と言った時に現在の無形資産、それと有形資産、…有形資産というのは機械であるとか、そういったものですね。そういったものはIoTについてもたくさん導入しているのだけれども。無形資産の方、たとえば、R&Dであるとか、あるいは現在の人材です、そういうところに対する教育訓練費というのは削減されてきたと、というようなことがあって。そのことが結局、IoTを使いこなして、いかに生産性が上げているかと、というような取り組みに積極的ではなかったと、というような。これまでのものを単にIoTで置き換えますと、人がやっていたもの、というだけに使ってきたのではないかというようなことがありますからね。ここのところというのは企業としても、企業戦略として考えていくというのが必要なのではないですか」
松山キャスター
「それは技能訓練とか、そういうものをしっかりやって、IoTが活かせるように、という」
樋口氏
「技能・スキルですけれど、単に手に職ということだけではなく、まさにビッグデータを使って、いかに顧客開拓をしていくかというような、同じインプットで、労働でありながら、たくさんの付加価値を生むというような努力というのをしていくというようなことが必要になってくるのではないでしょうか」

熊谷亮丸 大和総研常務取締役チーフエコノミストの提言:『ダイバーシティ(多様性)』
熊谷氏
「1番大事なのはダイバーシティ、多様性だと思います。これまでの日本というのは、いわゆる非常に守られたメンバーシップ型の正社員と、他方で厳しい不安定な非正規雇用という、かなり2極化して、働き方が非常に歪だった部分があると思うんです。ですから、それを同一労働同一賃金にして、また、労働時間等も、もっと柔軟でフレキシブルにして、あまり働き過ぎないようにすることによって、さらには海外からもいろいろな人に来てもらって、そのことでいろいろな考え方が切磋琢磨することで、イノベーションを起こしていくということが重要なのではないかと思います」
松山キャスター
「刺激も必要だと?」
熊谷氏
「そうですね、はい」

樋口美雄 労働政策研究・研究機構理事長の提言:『“人”がますます大切な社会』
樋口氏
「人がますます大切な社会にということで、人間、これが有限であるということをあらためて認識しているわけですね。それを解消していくためには人の意欲を高めて、また、能力を向上させて、その人達が活躍できると、というような社会・企業にしていかないと人はなかなか集まってくれないと思いますので、これを挙げました」

田村憲久 自由民主党政務調査会長代理の提言:『一億+アルファ総活躍』
田村議員
「『一憶+アルファ総活躍』という提言です」
松山キャスター
「+アルファ?」
田村議員
「はい。+アルファとは何かと言うと、それこそAIや、IoT、ロボット、こういうものと、外国人の皆様方のお力、ここも必要だと。もちろん、1億の皆様方、女性の方々も長時間労働だと正規で働こうという意欲が出てこないですね。生活と両立できるということを考えれば、長時間労働を是正して、女性の方々もまだまだがんばりたいわという方々はがんばれるような、そういうような環境をつくるということも大事だと思います」