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2018年5月8日(火)
櫻井よしこ×松川るい あるべき日本外交戦略

ゲスト

松川るい
自由民主党参議院議員
櫻井よしこ
ジャーナリスト 国家基本問題研究所理事長

金委員長電撃訪中の真意
竹内キャスター
「明日、日中韓会談が東京で行われます。北朝鮮の非核化をめぐる対応等について話し合われるとみられていますが、圧力継続を掲げる日本は融和ムードの中でどう存在感を示すべきなのでしょうか。東アジア情勢と世界における日本の役割について話を聞いていきます」
松山キャスター
「北朝鮮の金正恩委員長が訪中して、今回また新たに習近平主席と会談を行ったと、再会談を行ったと中朝のメディアが伝えたということですけれど、櫻井さん、この動き、本当に動きが急になっているという印象があるのですけれど、どう受け止めていますか?」
櫻井氏
「金正恩さんが3月最初に中国行きましたね。その時から本当にガラッと様相が変わったわけですよね。これまですごく強硬だった人が、まるで平和をつくるために私がやっているのだというイメージですけれども。ここで中国がガッチリと金正恩さんを自分達の手に握りたい。今回、大連に招待したのでしょうけれど、大連には中国の空母がありますよね」
松山キャスター
「はい、新しい国産空母…」
櫻井氏
「そうです。それを見せるといいますか、まだ海には出ていないわけですけれど、まだ航行はできないわけですけれど、見せることによって、中国の力というものを金正恩委員長に実感させるということで、もっとガッシリ自分達の手元においておきたいということだと思いますね。米朝会談、もうすぐ実現されるとは思いますけれど、そこについてもまだ疑問もありますけれども。まず米朝に入る前にとにかく自分達の手駒として金正恩さんをとっておきたいという、その思惑がすごく強く感じられましたね」
松山キャスター
「松川さんはいかがですか?」
松川議員
「これは米朝の会談を前に、金正恩委員長としても中国と私達、緊密にやっているのよと、だから、ゆめゆめ米朝会談がどうなるかわからないけれども、北にきつく当たると後ろに中国という後ろ盾がいますからねということをアメリカに対してメッセージとして送っていると思いますよね。もう1つは、そういうメッセージ性だけではなくて、実際にもしかしすると水面下でやっている米朝の交渉の中で、非核化のあり方とか、段階論とか、いろいろなことについて、中国と心合わせしないといけないということがもしかしたらあったのかもしれない、ここはわからないですけれど、と言うところもあるのではないかなと思います」

どう見る? 『板門店宣言』
竹内キャスター
「先月27日に行われた文在寅大統領と金正恩委員長の南北首脳会談で、板門店宣言に署名がされました。そのポイントをあらためて見ておきますと『年内に朝鮮戦争の終戦宣言を行い、休戦協定を平和協定に転換するため、南北米、または南北米中の協議を進める』『完全な非核化を通じて核なき朝鮮半島を実現』という内容です。櫻井さん、休戦協定を平和協定に転換するために南北米、または南北米中としている、ここの意向をどう見ていますか?」
櫻井氏
「まず休戦協定を平和協定にするということの意味を私達は考えないといけないと思うんですね。休戦協定ということは、まだ戦いは続いていて、とりあえずお休みしているんですよと。だから、北朝鮮の脅威から韓国を守るために在韓米軍が必要なんですよということで、朝鮮半島にアメリカ軍がいることをある意味、正当化してるわけですね。ところが、これが平和協定なります。平和協定というのは、戦争は終わりましたと、本当にもう戦争がないですよということで。戦争がないのであるならば、北と南は戦う必要が、必要もないのであるから。ここに書いてありますね、『朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言』。これがこの板門店宣言のタイトルですよ。朝鮮半島の平和と繁栄、統一のためですからね。だから、もう戦争がないわけだから,アメリカ軍は要りませんねという究極的にはそういう話になりますね。これは、北朝鮮はもうずっと前から、朝鮮半島からアメリカ軍を排除するということが1つの大きな目的だったわけですよ。だから、そこにすごくキレイな言葉で書かれていますけれども、これは、アメリカさん、出ていってね、ということですね。そのことを南北朝鮮、それにアメリカ、もしかして中国も加えて協議を進めましょうということで。アメリカのトランプさんがこれに乗って、文在寅さんは、ノーベル平和賞の話が出た時に、自分達は平和だけでいいと、ノーベル賞の方はトランプ大統領に、などと言いましたけれども。ここは私、文在寅さんの非常に戦略的なずるさというか、賢さというか、考えるのですけれども。トランプさんを上手に乗せようという、米朝会談に持っていって、そこでトランプさんをいい気持ちにさせて、できたら休戦協定を平和協定にするということに合意をしてもらってという方向へ目指しているのではないかとさえ勘ぐってしまいましたね」
松山キャスター
「当時の休戦協定、1953年、結ばれたのは、国連軍、アメリカを中心とした国連軍と、北朝鮮の朝鮮人民軍、中国人民志願軍、義勇軍とも呼ばれますけれども。その間で結ばれたということになっていますけれども、実際、韓国は当時署名をしていないということですけれども。この3者また4者と、2007年の南北首脳会談までは言っていたものを今回は南北と米、または南北と米中ということで、平和宣言に向けてやっていくと、中国が入らない枠組みというのも南北首脳会談では提示されたことになるわけですけれど、南北朝鮮からすると、中国に対する牽制のシグナルというのもあると考えますか?」
櫻井氏
「そうですね、中国にとっては非常に不愉快なことですね。だから、中国は何が何でもここでガッチリと、朝鮮半島に対する自分達のグリップを効かせておきたいという気持ちになるわけですね。これは北朝鮮、とりわけ北朝鮮は歴史的に見て中国とロシアを上手に操ってきた国ですから。簡単に中国の懐に飛び込むというようなことを1回見せてしまったけれども、それがずっと続いているわけではないよという意図かもしれませんね」
松山キャスター
「松川さんはどう見ていますか?」
松川議員
「これは実は3者、または4者ということは、2007年に出した、10・4宣言、10月4日宣言にも書いてあって、それ自体別に、たとえば、中国の目から見て初めて見たということでは…。その名前は書いていないですよ、南北米とか、南北米中という書き方はしていなくて、3者または4者でと書いているので。そこは実は新しく中国を逆なでしているということではたぶんないのではないのかなと。私は、朝鮮半島をめぐる現在の情勢というのは、まさに米中の間の影響力というのもあるのでしょうけれど、大きく言うと、ある意味、チュチェ思想の広がりと言うか、南北朝鮮が朝鮮半島を自分達が主人であって、でるだけ…、要するに、独立と言うか、独立国家なのだけれど、実際問題として朝鮮半島を南北朝鮮のものにしようよという大きな動きというのがあることがむしろ新しいのではないのかなと思うんですね。これまでも2007年ももちろん、2002年の金大中の時も試してきたわけですけれども。日本にとって言うと、朝鮮半島、これはもう白村江の戦いから、日清戦争・日露戦争、日韓併合、ずっと一貫して朝鮮半島の南半分、日本に接する部分が敵対勢力にならないようにするということが日本の一貫した安全保障政策だったんですよね。現在、在韓米軍がいて米韓同盟がしっかりあるという状況というのは非常に日本にとっては安全保障上、非常にいい状況。これが崩れるということが日本にとって最大の危機だと思うんですね。そういう意味では、今後の動きの中で注目すべきなのは、私は、文在寅大統領は統一とは言っていますけれど、本当の意味で1つの国家になるということは別に考えていないし、ましてや北に飲み込まれることを善しとはしていないわけであって。せいぜい考えているのは、北と南の行き来が自由可能になって、釜山であげた荷物がそのままユーラシア大陸につながっていく状態をつくろうというようなことと、テンションをなくす、終戦宣言。終戦宣言を行うというのは宣言なので、協定を、平和協定に変えるという作業は結構時間もかかるし、それはそもそも平和協定を交渉、しましょうという前提として核廃棄はできたのかとか、いろいろなハードルがあるわけで。年内にやりたいと言っているのはたぶん終戦宣言。平和協定に転換するという時に、平和協定当事者としては当然、少なくともその南北朝鮮とアメリカと中国が入っていないと、それは話にならないわけで、そこについて中国はたぶん心配していないと思うのですが、韓国が米韓同盟をきちんと維持し、できれば日本としては平和条約ができようと在韓米軍のプレゼンスを維持してもらいたいと。ただ、トランプ大統領自身がどう考えているのかがちょっとわからないところはあると思うんですよね」
松山キャスター
「ニューヨーク・タイムズの記事などを見るとトランプ大統領が実際に国防総省に在韓米軍を縮小、撤退ではないですけれど、縮小していく、シミュレーションみたいなのを指示したという報道も1部あって、でも、それはすぐボルトンさんが否定をしました。ホワイトハウスは否定しましたけれど、ただ何となく北朝鮮からも在韓米軍は当分維持してもいいとか、たとえば、米韓合同軍事演習も従来通りの規模でやってもいいというシグナルがたまたまきていますけれども」
松川議員
「そうですね」
松山キャスター
「将来的には、在韓米軍の撤退というところを北朝鮮は考えていると?」
松川議員
「そうなればいいと思っているでしょうけれども。私は、文在寅大統領という大統領は過去の政権の失敗から学んでいると思うんですね」
櫻井氏
「すごく学んでいる」
松川議員
「うん、すごく学んでいるから。ある意味バランス感覚というか非常にうまくやっていると思うんです」
櫻井氏
「ただ…」
松川議員
「…で、北が現在、戦ったら、それはもちろん、韓国の方がずっと、40倍のGDP(国内総生産)で軍事力も上なのだけれども。しかし、本当に陸の勢力とかだけでいく、あと核兵器があるという状況からすると、結構大変ではないですか」
櫻井氏
「うん」
松川議員
「だから、何を申し上げたかったかと言うと、少なくとも韓国からすれば、北の脅威、核兵器とか、それから、軍事力ですよ、それについて本当に安心できない時に、米韓同盟とか、駐留をやめちゃうというのは、それはやらないと思いますね」
櫻井氏
「米韓同盟とかをやめるというのは、そんなに簡単に起きることでないのは確かなのですけれど、私達が見なければいけないのは、文在寅さんはどういう人ですかということですよ。現在、文在寅さんがしていることは何かと言うと、韓国の陸軍を2020年までですか、だから、あと2年ぐらいして、これを10万人削減するんですね。現在、61、62万人ですけれども、これを50万人に削ると。それから、ジェネラルがいますよね、将官。将官は現在430人ぐらいいるのですけれども、これを80人削りますと、つまり、縮小するわけですね。北ともし何らかの形で対峙するなら、陸軍が中心になるわけですよね。もう現在の北は韓国の兵力の3倍いると言われているんです、150万人いると言われている時に、逆にこれは縮小していくということですね。そう考えている。それから、板門店宣言の中に書かれてあることで朝鮮半島の西側の海、これは島がたくさんあって、北朝鮮の工作員が侵入するルートになっていて。ここを開放して、つまり、北朝鮮に明け渡すというようなこともここに…、明け渡すとは書いていませんけれども…」
松山キャスター
「平和の海にするみたいな表現がありましたね?」
櫻井氏
「そうですね。いかように書いても、明け渡すということですよね。そのようなことを考えると、文在寅さんは松川さんがおっしゃったようなところをもっと超えて…」
松川議員
「うん」
櫻井氏
「もっと超えて北朝鮮に入り込んでいく、北朝鮮と一体化していくことを考えているのではないか。彼の経済政策を見ても、これは現在、韓国の自由経済を守ろうとしている姿勢ではないですね。サムソンは事実上潰れかかっています、潰されているでしょう。それから、今度は大韓航空だって、ナッツ姫とかいろいろなことがありましたけれども、これによって検察の手が入っているわけです。これはおそらく非常に困った状況に追い詰められていくと思いますよ。だから、韓国を支えている大企業の根幹を現在の政権でドンドン揺るがせている。これは自由経済を信奉している人のやり方ではないですよね」
松山キャスター
「なるほど。実際、南北が統一される、近い将来統一されるということが実際にあると思われる?」
櫻井氏
「いや、近い将来かどうかはわからない。タイミングが分からないけれども、文在寅さんが目指してるのは明らかにそっちの方向だと私は読んでいます」

なぜ急接近? 中朝の思惑は
松山キャスター
「ここで1つ新しい情報が入ってきたのですけれども。中国の新華社がによりますと北朝鮮の金正恩委員長が習近平国家主席との会談の中で『関係国が敵視政策をやめれば朝鮮が核を持つ必要がなくなる』と述べたと伝えています。中国側のメディアが伝えたという情報ですけれども、櫻井さん、どう受け止めますか?」
櫻井氏
「これは、でも、金正恩さんがずっと言っていることですよね。アメリカが攻撃をする意図がなければ、自分は核も持つ必要はないのだということをずっと言っていますよね。だから、内容としては別に古いわけではないけれども、あらためて大連に行って、中国の国産空母を見たあとで、これを言ったということは、中国も北朝鮮の側にしっかり立っているぞということを見せているわけですね。だから、非核化に彼がどのような思いを持っているかということをあらためて感じさせただけで、これはなぜ現在のような状況になっているのかということについて金正恩さんはアメリカが悪いという態度を持っているわけですね。私達から見ると、北朝鮮の方がルール破りなのではないのという見方がありますけれども、これはまったく反対の立場に立っているということですね」
松山キャスター
「松川さん、どう受け止めますか?このコメント」
松川議員
「これは現在、内容はまったくこれまでと言っていることと変わりないのですけれども。なぜこれをこのタイミングで、中国の新華社が言っているものを北朝鮮は否定しないですよ、韓国が言っているのではないから、言ったのだと思います。これはアメリカに向けたメッセージであり、日本向けたメッセージだと思いますよね。、完全で検証可能な北朝鮮の核廃絶が、核廃棄がない限りは、それまでは圧力を継続するのだと言っているのは、もちろん、関係国は皆、一応言っているのですけれど。でも、皆さんご存知の通り、1番これをしっかりやっているのはアメリカと日本なわけではないですか。明日、日中韓首脳会談があって。この前、金正恩委員長は、日本にも対話のドアは開かれているよ、ということも言っていましたよね。要するに、日本の態度を変えさせたいというとこもあると思うんです。だから、ここは米朝首脳会談に向けて、北朝鮮がしっかりやる気が、核削減をする用意がある、削減と言うと、私が勝手に削減と言っちゃいましたけれども、…用意があるんだよというメッセージであり、明日の日中韓首脳会談に向けて日本もそろそろ態度を変えた方がいいのではないですかということも中国の口から言わせているという意味でもメッセージだと思います」

『非核化』の形と実現性は
松山キャスター
「まさに各国の非核化のスタンスは若干違っている部分があるので」
松川議員
「そうですね」
松山キャスター
「もう1回、ここでまとめておきたいですけれども」
竹内キャスター
「スタンスの違いですね。日本とアメリカは完全かつ検証可能で不可逆的な非核化、CVIDを主張していきます。これは短期的に解決したいという考えです。その一方で、中国・北朝鮮・ロシアは段階的な非核化ということで長期的な非核化を主張しているということで。櫻井さん、この日本とアメリカが主張している、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化、これを実現するためには何が必要だと思われますか?」
櫻井氏
「何が必要かと言うよりは、段階的な非核化ということで、これまでずっと20年間以上騙されてきたということがまずありますよね。だから、いかなる理由があっても、先延ばしすることは騙されることだと心得ておいた方がいいということを踏まえて、CVIDをどうやって実現させるかということは簡単なことではないです。かつてと違いますからね。今や北朝鮮は核を持っているわけで。アメリカに対する反撃能力もあるわけでしょう。その後ろに中国がついていて、しかも、その中国が世界第2位の軍事力と言いますけれど、すごく強気でやっていて、習近平さんの神御一人の世界をつくってしまったということもあって、これはCVIDを本当にアメリカ及び日本などこちら側が実現させることができるかどうかというのは現在非常に難しいところですよね。北朝鮮が言うことを聞かなかったら、これに同意しなかったらその時にどうするのと、よく軍事オプションだということを言う人がいるのですが、軍事オプションについては大変なことでしょう。これはまず軍事的な行動とったからと言って、完全に北朝鮮が核の能力を、ミサイル能力を潰してしまうことができるかと言えば、軍事的に見て非常に難しいという面がありますね。またその時、ソウルや東京に被害が出るという危険性もありますよね。ですから、私達は現在、本当に覚悟を迫られているわけで、一致団結して、北朝鮮及び中国に対する構えをつくらないと、そこには本当は韓国も入らないといけないのですけれど、話が出ているようにどうも韓国が抜けていますし、だから、本当に私達は難しいところにきているということを認識しないといけないですね」
松山キャスター
「アメリカのスタンスとしてよく言われるのがリビア方式という方式で、何とか北朝鮮を非核化しようという考えがある。新しく国家安全保障担当補佐官になったボルトンさんもこれを支持しているということですけれども。リビアのカダフィー大佐、当時、が非核化に応じた時の合意内容、これをモデルとしてアメリカが短期に核を取り除こうとしている状況ですけれども、それには期間がかなり短くて、核の技術・装備をとにかく外に1回出して国際的な査察も即時に受け入れるという体制を目指している。ただ、現実問題として北朝鮮がこの方式に応じる可能性はあると思われますか?」
櫻井氏
「おそらくないのではないかと思うんです。たとえば、板門店宣言にたびたび戻りますけれども、ここの中で核に触れているのは1番終わりのところですよね。終わりのところで、完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島、これはアメリカの核を念頭に置いて、アメリカが核をなくしてくれれば自分達もなくすよということで、朝鮮半島の非核化ということを言ってるわけですね。また、北側がとっている主導的な措置、北がいろいろなことをやっているけれども、それは朝鮮半島の非核化にすごく役立ってきたのだという、重大な措置だという、自画自賛をしているわけですけれど、これも勝手な理屈であって。彼らは本当にこちら側が言っている『北朝鮮の非核化』という意味を理解しているだろうかということが疑問に思われるくらいです。このリビア方式でやった方が、金正恩さんのためになりますよ、ということを本当にメッセージとして彼が理解しているのかどうか、私達は金正恩さんの言うこととか、理解ができないことが多々ありますよね。こう言ったかと思えば、次の日別のことを言う。同じことがトランプさんにも言えるわけですけれど。ここで本当にアメリカと北朝鮮の間で、非核化ということの意味、言葉の正しい意味での非核化というのが何を意味するのかということについてのコミュニケーションが、第1にとれているのかどうかという。いったい誰の言うことを本当に信じたらいいのかということがわかりにくい状況だなと思いますね」

『核実験場閉鎖』の真意は
竹内キャスター
「金正恩委員長の発言で、南北首脳会談で『豊渓里にある核実験場を5月中に閉鎖し、米韓の専門家やメディアに公開する』と述べているのですが、この意図は」
櫻井氏
「これは笑い話ですよ」
松山キャスター
「笑い話?」
櫻井氏
「豊渓里というのは、これまで何回も核実験をやっていて、地盤にそのヒビが入ったとか、地殻がどうなったということでもうあそこは実験場としても使えないと専門家は言っていますよね。だから、その使えない核実験場を閉鎖するわけですから、何の意味もない。いつか金正日の時代に煙突を爆破したことがありましたよね」
松山キャスター
「ああ、冷却塔…」
櫻井氏
「冷却塔ですね。あれと同じことだと思いますね。ただ、見せるだけ。ほとんど実質的な意味合いはない」
松山キャスター
「豊渓里の施設についてはいろいろと情報が出ているのですけれども、いったん中国の科学技術大学というところが分析結果として、既に実験場は崩落して使用不可能だと4月23日に言っていたのですけれども」
櫻井氏
「はい」
松山キャスター
「そのあとの南北首脳会談で、金委員長自身がこういう発言をしたと言われているんですが。『既存の施設よりも大きな2つの坑道が健在だ』と。要するに、この施設はまだちゃんと稼働しているんだ。だから、それを廃棄することに意味があるのだということを強調したと。そのあと、アメリカのシンクタンク・38ノースの分析としても、依然として地下核実験を敢行できる状況にあるということを言っているのですけれども、北朝鮮側としては、ここを1つのカードとして吊り上げて、稼働している施設を壊すと言っているのだから大きな譲歩だろうと、そういうアピールをしたいということですか?」
櫻井氏
「北朝鮮としては、アメリカとこれから交渉するにあたって、自分が悪者にならないようにしなければいけないですよね。自分はこれほどに努力をして朝鮮半島に平和をもたらそうとしているんだと。それなのに、アメリカが自分達の意図をよく理解しないで、もし軍事行動をとるようなことがあったら、世界はあなた方を批判しますよ、私は努力をしたんです、というような。この平和の環境というものをつくることによって、アメリカの軍事的な意図を抑止すると言いますか、そのような意図はあると思いますね」
松山キャスター
「松川さん、非核化という言葉自体も双方で見解がまったく違っていると。そういう中で、北朝鮮側はこういう実験場を壊すということを1つのカードのように出してきていると。この状況をどう見ていますか?」
松川議員
「ある意味で、トランプ大統領という人と米朝首脳会談をやるにあたって、核削減を実際に何もしないでうまくいくということはたぶんないということはわかっているわけですね。ただ、リビア方式、先ほど、話が出ましたけれど、まさにカダフィー大佐はああいう形で亡くなられ、イランの核兵器も現在、廃棄するとまでは言っていないです…」
松山キャスター
「日本時間の明日には大きな発表があるかもしれないですね」
松川議員
「…というアメリカの対応を見ていてもたぶんリビア方式で、はい、全面的に核削減・放棄をして、それを査察させて、ということを先にやるというのはあり得…、北朝鮮の立場からすればそれを受け入れる可能性というのはない、それはできないと思っていると思うんです。豊渓里という現在も使える坑道があるのだから、これを削減することは意味があるというのは、実際にもしかして使えるものを差し出している可能性は十分にあると私は思います。今回は、本当に舐めてはいけないアメリカです。だから、一定の核削減はしないと、これはしょうがないとたぶん腹をくくっていると思うんです。これは、中国に行った時も習近平国家主席から直接、アメリカのトランプ大統領がどういう人で、アメリカが何を考えているということを、もちろん、米朝のインテリジェンスラインだと思いますけれども、水面下でも直接もちろん、米朝でやっていますが、それだけではなく中国からも言われたと思いますよ。だから、そういう意味では、そこはわかっていると。このあと問題になって、非核化の中で焦点が合っていくのはやり方、段階論なんですよ。どうやって、段階論なのか、まさに全面的に短期間で廃棄させるというか、この方式とか、やり方とか、ここがフリップでもありましたけれども、皆、北朝鮮の核廃絶というか、核廃棄、全面的な、それはいいに決まっているけれども、しかし、北朝鮮の核の脅威をどの程度感じていますかということに関しては各国が違うわけですね。やり方について、たとえば、韓国は核が自分…、脅威だけれど、自分に使われるとは思っていないです、たぶん。アメリカもすぐに届くとは思っていないですよ。中国は自分に使われるとは思っていない、ロシアも思っていない。だから、そういう意味では、圧力というのか、大事なのはこの北朝鮮が言葉だけではなくて、現在、我々は言葉を聞いているわけですよね。言葉だけではなくて、具体的な行動として何をするのですか、豊渓里はその行動の1つかもしれませんけれども、さらに求めていることに関して北朝鮮が行動する、それを見届けないとその先はないんだよ、その先がないということの意味は、行動がきちんとなされるまでは圧力が継続する。それがあったとしても、私はいっぺんに北朝鮮が核放棄をするとはとても思えないですけれど。しかし、それがなかったら、ましてややるはずがない。ここでもう1つ不確定要素は、リーダーシップの長さだと思うんですね。金正恩委員長はあと30年40年、北朝鮮のリーダーです。だけど、民主主義国というのは代わっちゃう。それは当然、民主主義だから当然ですが。そうすると、現在このメンツが揃っているうちに、解決をできるだけ速やかにするということは、我々としては、我々と言うのはアメリカ・日本、我々の側からはやらないと、時間稼ぎをされると不利に、時間はどちらを利しているかとたぶん中国と北朝鮮の方ですね。中国はどっちにいってもそんなに困らないですよ、最終的には。中国が避けたいと思っているのは、北朝鮮から難民が押し寄せるだとか、あまりにも危険なレベルの核保有したままになって、言うことを聞かなくなって脅威になるということを避ければいいのであって。それ以外のパターン、いろいろなパターンがあり得ますけれど、最終的には別に自分の影響力の方が、たとえば、アメリカと比べて増すという可能性が高いのではないか。ここでの1つだけベアリングというのはもし米朝が本当にうまくいって、これは仮定ですよ、仮定ですけれど、北朝鮮がかつてのイランのように親米国になるようなことがあったら困るでしょうね、中国は」

激動の半島情勢に日本は
竹内キャスター
「明日5月9日に開かれる、日中韓首脳会談では、中国の李克強首相と韓国の文在寅大統領が就任後初来日、安倍総理と会談を行います。櫻井さん、この会談の肝となる焦点はどのようなことになると思いますか?」
櫻井氏
「これは、本当に状況が急速に動いている中で、3国会談ですから、日本にとって難しいと思いますね。北朝鮮問題が核になると思いますけれども、完全で不可逆的で検証可能な非核化というものを何とかきちんとやらなければいけないし、おまけに日本は拉致問題を抱えていますよね。拉致問題について文在寅さんにも北朝鮮の金正恩さんに言ってくれとか、安倍さんは首脳会談を行われる度に、どの国の首脳にも拉致問題を説いているわけですね。だから、この非常に難しい拉致問題も解決をしなければいけない、非核化もやらなければいけないということで死にものぐるいの外交の局面ですね。にもかかわらず、文在寅さんも、中国の李克強さんも、日本が考えているようなことは、おおよそ頭にないというか。先ほどから言っているように時間をかけて非核化という形をとりたい。その中でできれば、あまり無理を北朝鮮にさせたくない。自分達はむしろアメリカの側よりも北朝鮮の側に立ってこれからのことをやっていくのだ、朝鮮半島は南北の朝鮮の民族が中心になって自分達のことをやっていくのだと。先ほどから両国の共同宣言を見るとほとんど80%くらいが、2つの地域に分かれた民族が一緒になるのだということですね。それが韓国の考え方であり。中国は何と言っても、この朝鮮半島を自家薬籠中のものにしておきたいという意味で、北朝鮮の核について中国がギリギリ、ギリギリ考えているというわけではないわけですよね。だって、金日成の時代から、金正日の時代もずっと北朝鮮の核を事実上黙認してきたのが中国ですから。だから、私は日本対中韓の構図ですよね。これをどうやって友好的な枠組みの中で協力させるか、そのために日本が持っている力は何かということを考える時に、日本にある力は何だろうと思ったら、日本国には経済はあるし、あるけれども、完全に経済とか、外交のバックボーンになる軍事力というものがないですよ。憲法改正もまったくできていません。だから、安倍さんはすごくハンディを背負ってこの場に立たなければいけないわけです。全力で日本の国会は安倍総理の外交を支援すべきだと思う時に、何だか知らないけれど、モリカケだの、セクハラだのと言っていますけれど。ちょっと言い忘れましたけれども、財務省のセクハラ問題、これは本当にひどい話ですよ、もう許せないのですけれども。こんなに重要な局面は100年に1回だと思いますよ」
松川議員
「その通りですよ」
櫻井キャスター
「そうでしょう?」
松川議員
「本当にそう思います」
櫻井氏
「あなた、外交官だったからよくおわかりだけれど…」
松川議員
「本当に今回起きていることは…」
櫻井氏
「本当にそうですよ」
松川議員
「…朝鮮半島の形が本当に変わるかもという、もう100年に1回…」
櫻井氏
「朝鮮半島の形が変わるということは日本の運命が変わるということですよ」
松川議員
「うん、そうなんですよ、おっしゃる通りなんです」
櫻井氏
「それを、何だか知らないけれども、辻本さんや枝野さん、もう少し国のことを考えてほしいと思いません?」
松川議員
「はい」
松山キャスター
「やっと国会は正常化しましたけれども」
櫻井氏
「いや、正常化は、形のうえでは正常化したけれども、今日の中身は正常化していますか?」
松山キャスター
「議論は別ですね、確かに」
櫻井氏
「全然していませんよ」
松山キャスター
「外交面での議論というのはまだ十分尽くされていないと思います」
櫻井氏
「ええ」
松山議員
「松川さんはいかがですか?」
松川議員
「まあ…」
櫻井氏
「国益を考えると、政治をやってほしいと本当に思いますね」
松山キャスター
「明日から日中韓の首脳会談と、これも1つの大きな節目だと思いますけれども…」
松川議員
「その前にちょっと、せっかく櫻井先生が流れでおっしゃっていただいたので。私は本当にもっとメディアの方が伝えたらいいのにと思うのは、安倍総理は本当に各国で非常に存在感があって、この難しい情勢の中で、自分は自民党だから言うわけではないのですけれども、本当に安倍総理が日本のリーダーでよかった、ラッキーだったなと思っているんですね。日本の国内ではいろいろな、モリカケから、いろいろな全然そういう日本の置かれている国際情勢と関係のない議論というか論点がメディアの大半になってしまうのですけれども、もう少しバランスのとれた扱いと言うか、それも私は必要なのではないのかなと非常に思います。明日、日中韓首脳会談があります。私自分自身が日中韓の協力や首脳会談を担当していたので、もちろん、北朝鮮の問題でどういう連携を発信できるのかということが1番大きいわけですが、日中韓首脳会談が明日開かれること自体、非常に意味があるということも強調したいですね。もともと日中韓首脳会談というのは小渕総理が1999年にマニラのASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会談の、朝食会で、日中韓首脳会談をやろうよと言って初めて、日本が始めたんですよ。金大中大統領だったので、是非やろう、やろうと言って。それはアジアの7割の経済を占める日中韓、東アジアの中核国ですよ。だけど、どのように2か国とっても、日中、日韓、中韓、どの2か国をとっても難しい関係にあるわけですよね。だけど、大事な地理的には隣り合っていて、大事な中核国であることは変わりなくて。その状況を踏まえ、日中、日韓、2か国だけでは後ろ向きの話しか出てこない時もあるけれども、日中韓で話し合う時には地域の将来にかかわる前向き、かつ積極的なことを取り上げていこうではないかという、そういう思いで始めたものですよね。北朝鮮問題もまさにこの地域にかかわる、地域だけではなく、世界にかかわる問題ですけれど、明日そこで日本はホスト国です、果たす役割は極めて大きいと思いますね。安倍総理に本当に期待しています」
櫻井氏
「これでCVIDですか、きちんとやらないと、日本が危ないということだけではなくて、核の拡散につながるわけですよ。NPT(核兵器不拡散条約)体制は事実上、現在、破れていると言っているわけですね。パキスタンが持って、インドが持って、イスラエルが持って、イランもおそらく将来的に持つような方向に行くのだろうというような方向で明日のトランプさんの決定があるわけですけれども。それに加えて北朝鮮が堂々と核保有国として認められるようなことになる。しかも、北朝鮮がシリア等に核技術みたいなものを輸出したということも明らかなわけですね」
松山キャスター
「言われていますね」
櫻井氏
「うん。だから、ここで世界の核の拡散を防ぐためにも、ここできちんとCVIDに対して取り決めをしないといけないと思いますね」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言:『混迷の中 日本の地力を強化』
櫻井氏
「『混迷の中 日本の地力を強化する』。とにかく頼れるのは日本国だけ。もちろん、アメリカなどは助けてはくれますけれども。本当に問題を解決するのは私達の国・日本でしかないですね。そのためにあらゆる意味での力を強くしなければいけない。本当は憲法改正を死にものぐるいで早めてやるべき時ですけれど、現在のような状況ではできませんから、そこは目指すとしても、自分達の価値観であるとか、道義大国である、そういったことについて、とにかく自信を持って日本は間違ってはいないのですから、自信を持って自分達の力を強めていくということを心がける時だと思います」

松川るい 自由民主党参議院議員の提言:『中長期視点+地理』
松川議員
「中長期的視点と地理。現在起きているのは、半島、これまで朝鮮半島国家、北朝鮮と韓国のことを言ってきましたが、本当の意味で朝鮮半島が半島になる、つまり、海からユーラシア大陸までがつながる人口8000万人、日本の人口も2060年には8000万人になりますけれど、同規模の塊ができるということを考えて、日本外交を展開していかないといけない。地理的には中国と朝鮮半島と日本という場所は変わらないわけですから。日米同盟という基軸はありつつも、ネットワーク、インド太平洋戦略がありつつも、日中関係と日韓関係、その先の展開によっては北朝鮮とも建設的な関係をつくるという発想で中長期的な外交をやっていかないと、日本は50年後に困ったことになるだろうという気持ちが非常にしています」
松山キャスター
「まさにそれだけ歴史的な動きが起きている?」
松川議員
「そうだと思います」