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2018年5月4日(金)
『通商摩擦』再燃か? 日米の交渉戦略を検証

ゲスト

宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹(冒頭)
阿達雅志
自由民主党外交部会長 参議院議員
細川昌彦
中部大学特任教授
西濱徹
第一生命経済研究所主席エコノミスト

日中首脳が初の電話会談 北朝鮮の非核化・制裁は
生野キャスター
「トランプ政権による鉄鋼・アルミの輸入制限を発端に再び火がついた日本とアメリカの新たな経済摩擦。さらに昨日からアメリカのムニューシン財務長官らが中国を訪れ、輸入制限後初となる米中の協議が行われました。通商交渉の場でアメリカが激しい駆け引きをくり広げる中、日本は今後どう対応するべきなのか。アメリカ第一主義を掲げるトランプ流の通商交渉を徹底検証し、今後の日米の通商交渉について考えます。その前に、松山さん…」
松山キャスター
「今日の夕方ですけれども、日本の総理大臣と中国の国家主席との間では初めてとなる、安倍総理と習近平国家主席の電話会談が行われました。電話会談の中で両首脳は先の南北首脳会談でまとめられた板門店宣言に完全な非核化が盛り込まれたことを評価するという点で一致したとともに、安保理決議をしっかりと履行することは極めて重要だということで北朝鮮政策での足並みを揃えました。また、9日に東京で中国からは李克強主席が出席する日中韓首脳会談が開かれますけれど、それを前に習主席との間で互いの意思の確認が行われたものとみられます。宮家さんはこのタイミングで日中の初の総理と国家主席との電話会談が行われた、これをどういうふうに?」
宮家氏
「今回の動きを見ていると、南北がまず握って、前のめりで動き始めた。本来であれば、アメリカがドーンとしていなければいけないのに、アメリカも前のめりで走り始めた。国内的な理由もあると思います。その中で中国と日本というのはどちらかと言うと、受身になってしまっている、中国からすれば。北朝鮮の問題というのは、本来6者協議というものをやって、北京で自分が議長になって、全ての情報が北京を通っていかなければならないメカニズムをつくって、そのうえで解決、もしくは現状維持をしようとしてきたわけですね。ところが、そのシステムというのが壊れてしまって、動がなくなって。現在このような形で、中国を外した形で、外したというのは言い過ぎかもしれませんけれども、どちらかと言うと、南北の主導で物事が動き始めたことに対する、焦りがあったと思っているので」
松山キャスター
「中国の焦り?」
宮家氏
「はい。ただ、トランプさんがあんな、簡単にと言ったら申し訳ないけれども、反応をしたものですから。おそらく金正恩さんも驚いたというか、アッ、これは下手したら何が起きるかわからない。しょうがない、本当は中国はと話したくないのだけれども、中国と話しましょうという形で北京に行った。しかし、中国が中心になって昔のような形で物事が動いているような状況ではない。ですから、今回この話をうかがった時にどっちが先に声をかけたのだろうなと思ったんですよ」
松山キャスター
「この電話会談?」
宮家氏
「そうです。おそらく阿吽の呼吸。メンツが両方ありますから、阿吽の呼吸なのですけれども、こんなものと言ったら申し訳ないけれども、首脳会談を電話でやることというのはよくやることですから、普通では。これまで中国がやらなかったということは、少なくともこちらが呼びかけたにせよ、中国がその意味を感じた、何か話したかったことがあるはずなんですよね。それはおそらく6者協議に戻すことは無理にしても、どちらかと言うと、南北プラス、アメリカで動いているこの主導権をどのような形で動かしていくか。また中国が中心になれればいいなという形でいろいろな外交をしている一端ではないかなと、これは私の見方です」
松山キャスター
「直前に中国の王毅外相が北朝鮮を訪れて金正恩委員長と会談をしたと」
宮家氏
「はい」
松山キャスター
「映像も流れていましたけれども」
宮家氏
「はい」
松山キャスター
「そこで、またあらためて南北首脳会談後の流れの中で非核化についても話したということで出ていますけれども」
宮家氏
「そうですね、ええ」
松山キャスター
「そういった内容についても今回は、安倍総理との間で話になっている可能性はあると思いますか?」
宮家氏
「…はあると思います。ただし、1時間半前のことはわかりません。わかりませんけれども、中国が金正恩さんと会って、どのようなことを感じたかというのは伝えてきて…くる可能性はある。それはとりもなおさず中国が主導権を握るための1つの手段として流してくる可能性があると思っています」

『新・日米経済摩擦』 通商交渉の課題と今後
生野キャスター
「先月行われた日米首脳会談から日米通商交渉について見ていきます。鉄鋼とアルミ製品の輸入制限に関してですが、日本は適用除外を要請しましたがアメリカは新貿易協議で合意すれば適用除外の可能性を示しました。TPP・環太平洋経済連携協定について日本はアメリカの復帰を望んでいますが、アメリカは復帰に慎重な姿勢です。2国間協定が望ましいとしています。また、通商・貿易に関しては、茂木経済財政担当大臣とライトハイザー通商代表部代表による新貿易協議の開始で合意しました。細川さん、この結果をどのように見ていますか?」
細川特任教授
「一言で言えば、同床異夢のところが散りばめられているのですけれども。だから、これは意図して、と言いますか、折り込み済みの同床異夢だと思ってます。ある意味で、これで今回、首脳会談を収めたということは1つの成果だとは思います」
松山キャスター
「互いの国で互いの国でメンツが立つギリギリの…?」
細川特任教授
「そうですね。そういう意味では、ただ、通商交渉というのは、こういう同床異夢というものがつきもので、それがないと通商交渉にならないので。そういう意味では、通常の日米の間で貿易摩擦があるとは思ってはいなくて、この程度は通常の状態である。これまで15年以上、日米間で何もなかった、ない状態というのが異常な状態なので。ある意味では、1980年代、1990年代を経験した者からすれば、この程度はあり得るべき姿かなという見方をしています」
松山キャスター
「阿達さん、同床異夢でこの程度なら、まだそんなに本格的な摩擦ではないという細川さんの意見ですけれども、この結果を見て、どれぐらい?」
阿達議員
「私も直前の状況からいくと、よくこれで済んだなというのが正直な印象です」
松山キャスター
「もっと厳しい提案を突きつけられたかもしれないと?」
阿達議員
「たとえば、日米経済対話にしても、2回やったけれども、何の成果もないと、3回目なんかやっていられないというのが結構、アメリカ側で意見があったわけですね。USTR(アメリカ合衆国通商代表部)も言っている。それから、ペンス副大統領の周辺も言っているということで。そういう中で、とにかくこの首脳会談で何らかの進展がなければ、日本に対してもっと厳しくいくというのは相当言われていたわけですから。こういう形で延長戦に持ち込めたというのは非常にいいことです。それから、もう1つ、日本にとって嫌だったのは経済と外交安全保障をディールされるのが1番嫌だったわけですね。それも回避できたと。これはなぜこの程度で済んだのかと言うと、これはトランプ大統領が安倍総理に配慮したと。だから、直前までに事務方がいろいろ積み上げ、もっと日本に対して厳しいことを言おうとしていたのを現在、安倍総理に対して、安倍総理、あるいは日本とのそういう関係を、全体を考慮した結果として、トランプ大大統領が相当、配慮をして、この程度に終えたと。だから、同床異夢で済んだという感じがします」
松山キャスター
「阿達さんがおっしゃるように、トランプ大統領と安倍総理との関係、非常に良好だと言われている関係があったので、この程度で済んだという話ですけれども。であれば、日本が求めていた鉄鋼・アルミでの輸入制限については、もともと安全保障を理由に欠けていること自体が同盟国の日本に対してどうなのかという問題があると思うのですけれども、これぐらいはアメリカが譲歩してくれてもいいのではないかと思うのですけれども、そこはできないのはなぜですか?」
阿達議員
「これはトランプ大統領にとって鉄鋼・アルミの通商拡大法232条というのは、安全保障と言っても全然意味合いが違うんです。トランプ大統領が言っている安全保障というのはアメリカの安全保障上、コアな産業を自給すべきだという考え方でやっていますから。だから、日本が同盟国であるかどうかというのが問題ではなくて、トランプ大統領からするとアメリカの安全保障のうえで必要な、そういう鉄鋼とか、アルミという素材はアメリカでつくらないといけないのだと。こういう考えのもとで、特に大きなところでは、トランプ大統領にしたら先ほどの外交と安全保障の話とミックスした考えがもともとあるんですよね。だいたい日本というのは、アメリカがどこかの国から攻撃されても日本は守ってくれないね。一方、日本は攻撃された時は、アメリカは守るのだと。こういう一方的な外交・安全保障の関係があるのに、日本はアメリカに対してこんなに輸出をして、それを全然配慮していないというのはおかしいのではないのという、こういう非常に素直な、素朴な疑問をトランプ大統領は持っているわけですね。だから、それは引っ込めるわけにはいかないということですね」
細川特任教授
「私はこう見ているんですよ。安倍さんとの関係であるなら、なぜこんなことするのという感覚を持つのは日本人的なのだと思うんですよ」
松山キャスター
「そこは冷徹にもう?」
細川特任教授
「うん、冷徹というか、トランプさんは一流の取引をやりたいと言うだけであって。これを人質にとって、中間選挙前までのある種、その成果というのを日本からも何かいただけるものがないかという、これをやっているだけですね。だから、そういうゲームをやっている感覚というのは通商の問題をゲームだけで済ますのかよという感覚はあるかもしれませんが、所詮、彼、トランプさん自身が頭はそういう発想ですから。私は、これは、だから、1つのゲームとして徹して、日本側の対応ももっとそういう情の世界でなくて、対応すべきではないかなと思うんです」
松山キャスター
「西濱さん、この内容を見てどう感じますか?」
西濱氏
「先ほど来、同床異夢という話もありますけれど、私自身が非常に懸念していたのは、日本が下手な妥協をする可能性があるのかなという怖さを感じていました」
松山キャスター
「どのあたり?」
西濱氏
「たとえば、鉄鋼・アルミとかです。直前に、たとえば、韓国がこれを適用除外になりますけれども、ただ、その背後で実は韓米FTA(自由貿易協定)に関して言うと、韓国は自動車だとか、製薬の特許だとか、相当譲歩を迫られて無理矢理押し込んだということがあるわけですね。日本がそういうラインに入るのは、これは決していい話ではないなと思っていますので。ある種このラインで落ち着いたというのは非常に良かった。かつ、通商・貿易に関しても新たな窓口、麻生さん・ペンスさんではなかなか動かなかったものが茂木大臣に移った。茂木大臣のところでこれまでTPPにしろ、ありとあらゆる、つまり、通商交渉といったことというのはやってきましたので。そこで一元化するという形を日本として示すことができたというのも、これは大きかったのではないかなと思います」
松山キャスター
「鉄鋼・アルミについては除外された国とそうではない国がありますね」
生野キャスター
「先ほど、西濱さんからもありましたが、アメリカが輸入規制から除外した国と地域を見ていきますと韓国は恒久的に適用除外となっています。オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルは適用除外を継続。これは交渉が合意に至ったとして、恒久的に除外となる見通しです。EU(欧州連合)、カナダ、メキシコも5月末まで適用除外を延長されています」
松山キャスター
「たとえば、オーストラリアとか、アルゼンチン、ブラジルというのはトータルの貿易バランスでアメリカに対し、アメリカがそんなに赤字を負っていない国?」
阿達議員
「黒字…」
西濱氏
「…どっちかと言うと黒字状態にあるので、はっきり言うとまったく痛手がないというところですね。なので、はっきり言うと、そこまでやる必要がない。韓国に関して言うと確かに貿易赤字だけれども、先ほど申し上げた通り、韓国に対してはそれだけ交渉をして譲歩を得たというところがあるので恒久的にやった。カナダ、メキシコに関しては現在、NAFTA(北米自由貿易協定)の交渉をやっていますので、そっちで進めればいいというようなことですから、ある種、ディールをずっとやっているという状況なのだろうと考えています」
細川特任教授
「これは、実はこの適用除外に日本はなぜなっていないのかというところですけれども、先ほど、人質にとってということを申し上げましたでしょう。結局、このヨーロッパも、カナダや、メキシコも経済協議を持っているからという理由づけになっていますけれども、日本も今回、経済協議をやるわけですよね。同じような扱いになぜならないのという当然、疑問が起こる。これは皆この3か国とも法対抗措置をちらつかせた国なんですよ。日本は全然そういうことを言っていないですよ。私が申し上げたいのは今回、韓国のようにならなくてよかったね、ではなくて、日本の対応は甘いと思います」
生野キャスター
「交渉があまり上手ではなかった?」
細川特任教授
「甘い。と言うのは鉄鋼・アルミのところは3月に出させていただいた時、あれはWTO(世界貿易機関)違反だということだと思うんです。そういうことを前提に、EUも、これはWTOに協議要請をしました。それで整わないなければ、代償をいただくという、WTOのルールに基づいてやりますよと言って報復しているわけですね。日本はなぜしないのかということなのですよ。そこに疑問を持たなければいけないですよ。結局なぜそれかと言うと、アメリカに対する配慮、これ以上ちょっと怒らせたくないなという思いがどこかにないのか、とかですね。あるいはもう1つ、よく言われているのは、アメリカ、EU、日本で一緒になって知的財産権について一緒にWTOに提訴すると。一緒に提訴する仲間だから相手を撃ちたくないんだと、こう言う人もいるんです。ただ、これはよくよく考えなければいけないのは、WTOのこういう撃った、撃たれたという世界はある種入り乱れてやっているのが当たり前の世界です。それをこっちで、仲間で一緒にやっているから撃ちにくいのだというのは日本的で、もっと日本は、そこは大人に、成熟しなければいけない。いつまでもそういう感覚でいるというのはすごくまずいので。結構、EUはしたたかにやっていて、撃つぞと、WTOに持っていっているんですよ。持っていきながら、他方で適用除外の延長ももらっているという、非常にしたたかなやり方。日本はもっとEUに学ばなければいけないと思いますね」
松山キャスター
「阿達さん、どうですか?もっと日本はしたたかにやった方がいい?」
阿達議員
「この問題、日本は国除外を狙う方法と製品除外を狙う方法と2通りで考えたわけです。国除外については実際に他にこういうFTAを交渉している国は酷い目に遭っているではないかと。だから、やらないのだと。むしろ製品ということでいけば、アメリカ自身がつくれないからいいだろうみたいな、ここは甘く見たところがあると思うんですね」
松山キャスター
「日本のつくっている鉄鋼は特殊なものが多いので、アメリカはどっちにしても輸入せざるを得ないだろうという意見もありましたよね、日本の中に」
阿達議員
「ええ。だけれど、これはトランプ大統領がなぜこういう鉄鋼・アルミの輸入規制というむちゃくちゃな方法を、あるいは25%だ、何だの関税と言ったかというと結局、交渉に引きずり出して、FTAのような形で有利なことをやりたいと、そのための材料で使っただけなので。仮に日本が国除外になろうが、あるいは製品でうまく立ちまわったとしても結局、アメリカはまたいろいろ無理難題を言ってくる状況だったと」
細川特任教授
「問題は、国で除外されようが、製品で除外されようが。そこが本質的な問題ではないですよ。実害があるかどうかの問題ではなくて。要するに、WTOに違反している国に対して、筋を通すということをなぜしないのかと。EUは除外を言いながらも、他方で、これはWTO違反だから、と言って筋を通して撃っているわけです。日本は、WTOのルールを1番大事にしている国ではないですか。これが死命を制するわけですよね、今後の。通商システム全体の問題として日本は考えなければいけないと。こういうのを見逃していると、たとえば、中国が今後安全保障を理由に似たようなことをやりかねないわけです。そういうことまで考えて、この件だけが実害がなければいいやというような単純な発想ではなく、短期的な発想ではなく、中長期的に通商システムを守るのだというところにプライオリティを置くというところでWTOに持っていくべきだと申し上げているんです」
松山キャスター
「そういう中で、トランプ大統領が言うところの『互恵関係』、この意味合いですね、いわゆるWTOを中心とした自由貿易とはちょっと違うニュアンスにとれると思うのですけれど。細川さん、『互恵関係』をトランプさんはどういうニュアンスで言っていると?」
細川特任教授
「これはもう1年前の安倍・トランプ首脳会談がちょうど最初ありましたよね。あの時に最初に記者会見でトランプさんがこの『互恵』という言葉を使ったんです。その時に、私達、1980年代、1990年代を経験している者は、アッ、これは悪夢の再来と思ったんですよね。この言葉が当時使われた時には何を意味するかと言うと、貿易バランスの是正、要するに、結果として、貿易をした結果として、お互いのバランスがとれているのだというところを目指しましょうと、こういうことを相手側に要求する時のキーワードだったんです。これは危険用語だというので、私達はずっと身構える習性があるんです。ところが、長年ずっとそういうことを経験していない人達は、それを聞いて、メディアも全然反応がなかったんです。ところが、これはライトハイザーさんとか、1980年代を経験している人達が裏にいて仕込んでいるわけですね。だから、この言葉にはすごくそういう意味合いが込められている。貿易不均衡是正する時の、これは大義名分として使われると、こういう言葉なんですよね」
松山キャスター
「ライトハイザーさんは当時の日米摩擦の交渉担当でありましたよね?」
細川特任教授
「そうです、はい」
松山キャスター
「阿達さん、このアメリカが言う、トランプ政権が言う『互恵関係』というのはちょっと警戒すべき言葉と捉えていますか?」
阿達議員
「今回、この『互恵関係』という、このレシプロカルという言葉、これを最後に入れて言っているのはトランプ大統領本人ですね。ただ、先ほどの細川さんの話とで考えた時に、実はちょっとこれちょっとよくわからない部分は、トランプ大統領がもともとこのレシプロカルという言葉の、こういう長い長い歴史がわかっていたとは思えないわけですよね。昨年の段階で入れた時というのは、たぶん原稿をそのまま読んで、入れている。今回は自らが入れてきたという、そこはちょっと違うなと思いますね。トランプ大統領は現在のFTAについての議論でも非常が素朴な考え方で、アメリカの貿易赤字が減るようなFTA、あるいは貿易黒字になるようなFTAでなければFTAとして意味をなさないということまで言っているわけですね。だから、そういう意味では、まさに結果ということで、この言葉にはっきりと反応しているのだと思いますね」
細川特任教授
「その点、安倍総理は今回、すごくうまく立ちまわられたと思うんです。今回この言葉が入っていますよね、協議の目的の中に。これは譲歩をしたのかと皆さんお思いかもしれませんけれど、ちゃんとそこは、安倍総理は会見の場で、このレシプロカルという先ほどの言葉を『互恵的』という伝統的な訳し方でなく『相互的』とおっしゃったんです。『相互的』とおっしゃったうえにさらに説明されたのが『相互に利益のあるように』という、いわゆるWin‐Winで…」
松山キャスター
「Win‐Winの関係」
細川特任教授
「ね?というので…」
松山キャスター
「ちょっとニュアンスが違いますよね?」
細川特任教授
「違いますでしょう?それでレシプロカルという言葉は1980年代を知っている者からすれば手垢のついた言葉なので、あっ、これは結果の平等を意味するのだと思っているわけですよ。ところが、純粋にレシプロカルという言葉だけを英語的に考えれば、別に結果の平等ではなくて、相互にWin‐Winの関係だと私は解釈しますと、現代的にね、というふうなことを安倍総理はあそこでご説明された。だから、私が先ほど申し上げた、同床異夢という意味は、そういう意味でして。Win‐Winですから、たとえば、アメリカが農産物で日本に要求してくるのなら、日本はアメリカの自動車の関税を要求しますという形で、Win‐Winですよと使えるような布石を安倍総理は打たれたと、こういうことです」
松山キャスター
「西濱さんはどう見ていますか?この『互恵関係』」
西濱氏
「細川先生の方からもお話がございましたけれども、相当うまいことをやったなという感じはありますよね。確かに事前の話だと、どれだけ厳しい言葉が飛び交ってくるか、アメリカからドンドン厳しいことを言われて、どれだけ譲歩をするのかみたいな話があったのが非常にそこをある種、切っ先を変える、力をいなしながら、逃げるような話にうまいこともっていけたのかなと思います。これが次、ライトハイザーさんと茂木大臣の新たな交渉になりますけれど、ある種、時間稼ぎもうまいことできたかなというところで。あまり事前に攻めて、攻めてという形で、功を焦り過ぎないような形に双方できたのかなと私自身は捉えています」

新貿易協議の認識の違い
生野キャスター
「これまで日米の通商交渉は、麻生副総理とペンス副大統領によって行われてきました。日米経済対話です。貿易や投資のルール、経済・構造政策分野における協力、分野別協力でした、この3項目が話し合われてきましたが。今回、アメリカと日本が合意した新貿易協議では貿易や投資のルールの分野に特化しまして、茂木経済財政担当大臣とライトハイザー通商代表部代表が話し合うということになりました。阿達さん、新貿易協議のこの場が設けられたのはなぜなのでしょうか?」
阿達議員
「もともとアメリカは、最初からずっと日本に貿易赤字を減らせと言ってきたわけですね。日本はどちらかと言うと、これは時間稼ぎのために日米経済対話というもうちょっと広い枠組みの議論をしてきたわけですね。ところが、2回やって、全然成果が出てこないと。アメリカの中で、特にペンス副大統領の周りから、はっきりと、日米経済対話は意味がないではないか、という声が出ていたと。そういう中で何にもない状況でこれから交渉に入るよりはこういう協議体というのをつくりたい、つくって、少し先に延ばしたいというのは、これは日本側の非常に希望としてあったわけです。ですから、日本側の希望をアメリカ側が受け入れてくれた。ただ一方で、アメリカ側からすると、これまでフワッとした形で貿易や投資のルール以外のマクロ経済政策、あるいは分野別協力ということでやってきたのを、貿易や投資のルールに限定するということで、とにかく貿易赤字をどうやって減らすかに絞るのだということができるようになった。しかも、そこにマンパワーを集中できる。特にアメリカは現在、NAFTAの交渉をやっている真っ最中です」
松山キャスター
「はい、メキシコ、カナダ…」
阿達議員
「NAFTAが終われば、そこで現在あたっている人達を全部、日本との交渉の方に持ってこられるというのがあるので。アメリカ側としてはとにかく貿易赤字を減らすための枠組みつくるということで中を説得したと。それと先ほど言った、日米経済対話が機能していないというところは、どうもペンス副大統領から必ずしもトランプ大統領に完全には上がっていなかった。だから、トランプ大統領は、いや、貿易赤字削減の話はいろいろ日米経済対話のところで動いているのだろう、皆が努力して作業しているのだろう、と思っていたら全然結果が出てこない。今回の首脳会談にあたって、それではダメだと。もうそこだけに絞れということで、日本側の提案を飲んだと」
松山キャスター
「ここから先は、かなりきついことをアメリカが言ってくるのではないですかね?」
阿達議員
「もともとこういう日米経済対話というので、時間稼ぎをしたのはアメリカ側からバイのFTA、2国間のFTAをやれという、そのプレッシャーを回避するためだったんですね。ところが、いよいよそれが効かなくなってきた。ここでもう1度、2国間のFTAの議論というのが、この新貿易協議の中で相当議論になってくると思いますね」
松山キャスター
「西濱さん、この新しい日米の間での、ライトハイザー・茂木ラインでの新協議体、これをどう見ていますか?」
西濱氏
「確かに先ほどからお話がある通り、麻生さんとペンスさんの間でまったく話が進んでこなかった。それはどこかで変えないといけないよねと言った時に、顔をいったい誰にするのだと。アメリカ側は、これはライトハイザーさんというのは最初からずっと決まっていたのだと思うんですね。そこで日本はどうなのだと言うと、茂木大臣のもとでTPP11もようやく決まりましたし、非常に外に向けては、このEPA(経済連携協定)、FTAで尽力されたということがあります。ここで一元化するのだと。日本としてはもうここに全部集中するのだという形で体制を整えるのだというようなことを見せられたということが1つ大きいのかなと思います。確かに、アメリカ側は非常にこれから態度が厳しくなるということは予想されますが、その一方で、日本側もこれまでTPP11だとか、いろいろ交渉をまとめてきた実績がありますので。このチームをぶつけることによって、また正攻法できちんと議論していけばいい、という段階に入っているのではないかなと捉えています」
松山キャスター
「ペンスさんのラインでやっていては周りにもそんなに経済協議に強いスタッフがいなかったとか、そういう事情もあるのですか?」
西濱氏
「きちんと揃えられなかったというのはあるのだとは間違いなく思いますよね。実際にトランプ政権の中の政治任用職員がまだまだ決まっていないということもありますし、これはもう各省それぞれで、はっきりと今現状決まっているのは、おそらく国防総省ぐらいではないかなと思います。それ以外のところはほとんど動いていない。かつ通商も完全にスカスカであるとなると、ペンス大統領のもとになかなか情報が上がってこない。それでは困るよねと言って、アメリカ側もしびれを切らし、日本側もそれだったらきちんと体制を整えましょうというのが現在の段階なのかなと思いますね」
松山キャスター
「細川さん、ライトハイザーさんがアメリカ側のヘッドになって新協議体ができたと。昔の日米交渉でもかなり重要な役割を担っていた方だという話ありましたが、ここから先は、アメリカはかなり本格的に赤字解消に向けた動きを強めてくると?」
細川特任教授
「ギアチェンジしてくるのだと思います。ただ、日米経済対話についての評価は、若干ちょっと私は違った見方をしていまして。決して時間稼ぎを最初から目論んでいたというわけではないですよ。必ずしもそうではなくて、こういう時に必ず枠組みというのはアメリカの新政権ができると必ず新しい枠組みをこれまでもずっとつくってきたんです。その中で、事実上、FTAになるような内容のこともここで話し合おうと思えば話し合える土俵ではあったんです。では、なぜ進んでなかったかというと、これは交渉実態を、この2回の会合を含めて見ましたら、アメリカ側の準備不足です。と言うか、準備できるような体制がまったくないですよね、他のことで忙しくて。NAFTAがある、米韓がある、そうした時にスタッフが、ペンスさんがどうのこうの話ではないですよ、スタッフ体制です。USTRとか、商務省とか、国務省とか、そういう人達が、要するに、動けるような状態ではないわけですよ。そうすると、何が起こったかと言うと、この協議の場で言ってくることはこれまでと同じようなセリフ。農業の市場開放の話、自動車が閉鎖的と昔から同じ言葉を繰り返し言うだけで、一般論で終始して、具体的に詰めていこうにもかみ合うようにはやれないわけですね。そういうことが背景にあったので。決して日本が時間稼ぎしたから向こうが苛立ったのだという、よくメディアもそういう書き方をしていますが、そこは余り自虐的に考える必要はまったくないとは思います。そうは言っても、そういうことを延々トランプさんに説明したところで、しょうがないわけですよ。だから、今回、安倍さんはちゃんと衣替えして、ある種、交渉モードにギアアップしますよという、そういうメッセージを込めて新協議を提案した。従ってプレーヤーとしても、ライトハイザーさんであり、こちらは茂木さんという形で、まさに交渉を専門にする閣僚がトップに立つという形、それに交渉モードに合わせたというところに意味があるのではないかなと思いますね」

2国間協定とFTA交渉
松山キャスター
「阿達さん、日本にとってFTAはどうしても避けたい道なのですか?」
阿達議員
「現在、アメリカとのFTAということに限定すると、TPP11、これを日本は進めようとしているわけですね。発効に向けて作業中なわけですけれど。このTPP11の前提というのは、アメリカがいずれTPPに戻ってくる、そのためにアメリカに関連するところの条項を凍結するという、こういう構成になっているわけです。そうすると、TPP11を進めようとしているにもかかわらず、アメリカと2国間のFTAを進めるということになると、残りの10か国からしたら話が違うということが、これは当然出てきますから、日本としてはまずTPP11をしっかり進める、これが大前提になるわけですね。それと、アメリカとの2国間のFTAの話を始めると当然、アメリカからはいろいろなマーケットアクセスの要求が出てくる。で、これを飲まないといけない。ただ、もう1つ大きな大前提は、アメリカがなぜ日本、あるいはいろいろな国との間で貿易赤字が膨らんだのかと言うと、アメリカの製造業が生産拠点を海外に移してしまったわけです。アメリカ自身がグローバリズムということで進めてきた、その結果が全部いっているわけですから。だから、アメリカ自身が自分で蒔いた種によってアメリカの企業がドンドン海外に出て、そこから製品が入ってくる。アップルのスマートフォン、iPhoneが典型ですけれども、こういう状況をつくってしまっている。このグローバリズムというものに対して、トランプ大統領というのはある意味、反対の考えを持っているわけですね。本当は現在のグローバル経済の中ではグローバル・サプライチェーンというのがあって、いろいろな国でモノが自由に行き来することによって、それぞれの国の経済というのが良くなるのだ。それから、製造業だけではなく、サービス産業というのでアメリカは現在、大きな収益を得ているのだと、こういうところをトランプ大統領が見たうえで議論してくれればいいのですけれど。彼は製造業の仕事がないところ、ここが1番大きな問題だと思っている、グローバリズムの問題だということで言っていますから。ここはFTAの議論をしてもなかなかかみ合わないところですね」
松山キャスター
「そうなると、新たな協議体をつくっても、TPP11に何とかアメリカに戻ってきてほしいと言っている日本側と、2国間でやりたいと言っているアメリカ側と折り合える部分はほとんどないような気がするのですけれど。2国間で協定を仮に組むとしたら、TPPの基準に合わせたレベルだったら受けられるけれども、それ以外はダメということになっちゃうと思うのですけれども」
阿達議員
「日本にとって、TPPというのはあくまでゴールだったわけです。このゴールを動かすということはできない。ところが、トランプ大統領が言っているのはTPPの中身がスタートだったら考えてもいいよと言っていますから。ゴールか、スタートかの議論というのはすごく大きいわけですね。特に日本の場合、農業だとか、こういう牛肉の問題、こういったものというのは、TPPにせよ、EUとのEPAにせよ、日本の国内は非常に政策的に難しい、反対の多い中で何とかゴールを設定したわけですから、これをそう簡単には動かせない。そこをまずアメリカが完全に飲んでくれれば、それはTPP、あるいはFTAの議論というのもまた可能にはなるでしょうけれども。アメリカはそのゴールを変えたいがためにFTAの議論をしてきていますから、これはかみ合わないと思います」

どうなる? 鉄鋼・自動車・牛肉
生野キャスター
「日本とアメリカが合意した新貿易協議で議題になるとみられる項目について双方の主張を見ていきます。まずは自動車に関して、アメリカは安全環境基準など非関税障壁があると主張していますが、日本は、非関税障壁は存在しないという主張です。牛乳に関して38.5%の関税引き下げやセーフガードの見直しを主張するアメリカに対して、日本はTPPを超える水準の受入れは困難だとしています。農作物に関しては、市場のさらなる開放を求めるアメリカに対して日本はTPPを超える水準の受け入れは困難という主張です。阿達さん、この主張の違いをどう見ていますか?」
阿達議員
「たとえば、自動車を取り上げた時にアメリカ安全環境基準なり、非関税障壁が日本にはあるのだという主張をしているわけですけれど、これが本当にあるのだったら、ヨーロッパ車が日本でこんなに走らないですね。ですから、どうもこのアメリカが言っている日本人がアメリカ車を買わないというのはアメリカ車が大き過ぎるとか、燃費が悪いとか、日本人向けにつくられてない、むしろ日本人の好みの問題ですよね。だから、好みの問題がこういう通商問題になるということ自体がちょっと変な話で。むしろアメリカは自分達のマーケットを守りたいために日本側を単に攻撃しているだけということですし、仮に日本がアメリカから車100万台買いますと言ったら、たぶんアメリカでつくった日本車になるんです、トヨタとか、日産とか」
松山キャスター
「アメリカ製品として日本に?」
阿達議員
「アメリカ製品として日本へ来る」
松山キャスター
「以前、ホンダのアコードとか、そういうのがありました、逆輸入車…」
阿達議員
「ええ。だから、そういう逆輸入ということが起きる。それはアメリカのもともとの自動車メーカーというのが、日本というマーケットを重視していないということの裏返しなので。それをこうやって通商のところで主張するというのはちょっと無理があるのだろう。それから、たとえば、この牛肉のところにしても、38.5%の関税引き下げと言いますけれども、これを引き下げるための仕組みがTPPだったわけですね。オーストラリアはその引き下げ、最後9%というところを享受できるわけで。アメリカはTPPから外れたから、この関税引き下げの恩恵を受けない、セーフガードの対象になってしまうということですから、むしろこれはアメリカ自身が招いた部分。農産物についても結局、TPPというものがもともとあったのに、ここから出てしまったがために、TPPのメリットというのを受けられなくなったということですから。それをこういう形で別出して議論をしてきて、さらにTPPよりも良い条件にしてくれと言うのはちょっと無理筋の話だと思いますね」
細川特任教授
「よくメディアでは自動車、それから、農産物という必ずワンパターンで、アメリカはこれを言ってくるぞと書かれるわけですよ。これはアメリカの思うツボでして、これは本当にメディアも注意してもらいたいと。自動車というのは、先ほど、阿達先生がおっしゃった通りでしてね、逆にわざとアメリカは言ってきているんですよ。これは私が20年前から自動車交渉をやっていたのですけれども、その時から同じセリフを言っているんです。それで、先ほどおっしゃったようにドイツ社はドンドン売れているわけですから、これはもう障壁と言えるものではないというのは事実が語っているんですよね。しかも、フォードとか、クライスラーも2016年、2017年にもう撤退しているわけですよ」
松山キャスター
「1度来て、撤退しましたね」
細川特任教授
「ね?だから、20年前の自動車、ビッグ3と現在の状況はまるで違って、日本市場から撤退しようとしている、入ってくるつもりがないですよ。なのに、なぜ言うのかというと、阿達先生がおっしゃった通り、自分のアメリカ市場、それが現在、乗用車は2.5%、ピックアップトラックで25%の関税がアメリカ側にかかっている、日本はゼロです。アメリカ側のこれを下げさせるというのが日本の目的です。ところが、ここで実はビッグ3は儲かっているわけです。ピックアップトラックに25%の関税をかけて儲かっている、ドル箱なわけですよ。ここを守るためにどうするかと言ったら、相手のところを攻めて、攻撃こそ最大の防御なりです、グジャグジャにしておいて、この件を自分のところのヤツをなるべく目くらましするというのが、前から言っていることですよ」
松山キャスター
「高度なテクニックですね」
細川特任教授
「だから、この意図をわかってメディアは書かなければいけないわけですよ。だから、本気で日本のものを問題にするのでなく、ここは農産物のところとまったく意味が違うということを理解してほしいなと思いますね」
松山キャスター
「ビッグ3は日本に本気で乗り込もうという気はあまりない?」
細川特任教授
「まったくないです。もう撤退を表明したわけです」
松山キャスター
「西濱さんはこの個別分野の主張の違いを見て、どう感じますか?」
西濱氏
「再三これはもう、TPPを超える水準の受け入れは困難だと日本が言っているというところに集約されているのだと思うのですけれども。日本としてはこれまでTPP11…、TPP交渉をし、アメリカが抜けたあとはTPP11をこれまとめ上げたという実績がありますので、アメリカがいろいろ言ってきても、まずはTPPがありますよ、戻る気があるのですかぐらいの、ある種、高みの見物を構えられるような状況に現在どちらかと言うとあるのかなと。かつTPP自体ももともと走り出したタイミングが相当古くなってしまっていますから、実際これを発効したあとにまたちょっと手直しが必要になってきている段階は実はあるというところですから」
松山キャスター
「最初の交渉はもう5年ぐらい前になりますか?」
西濱氏
「そうです、なりますので。そういう段階に来ていますので。はっきり言うと、発効したあとにまたいろいろと手直しをしなければいけない。そこでアメリカとまた個別交渉しながら、いったいどこにまたTPPを持っていくのかというような話に持っていけば、実際のところはいいのかなというところです。なので、それぞれ個別の交渉は確かにするのでしょうけれども、そればかりに気をとられていると実は全体観が見えてこないというのが実態かなと」
細川特任教授
「西濱さんがおっしゃった、TPPからだいぶ年数が経ったので、その後の状況というのはとても大事なポイントでして、特にこの4、5年の間で何が起こっているかと言ったら、デジタルの世界がすごく急速に進化していって、特に中国のデジタル分野で保護主義の動きがいろいろあるわけです。データを囲い込もうとしたり、越境移動を制約しようとしたり。そういう分野で日本が先頭に立って、アメリカ、あるいはヨーロッパと一緒になって新しいルールをつくっていって、対中のいろいろな対策を講じていく、これが新しいルールだと思うんです。このTPPを超える部分のルールをこれから一緒になって日米で話し合っていこうというのも大切なポイントなのかなと思いますね」

阿達雅志 自由民主党外交部会長の提言:『トランプ大統領の腹落ち』
阿達議員
「『トランプ大統領の腹落ち』です。現在、日本の役所の方々に、非常に緻密な議論をアメリカ政府の閣僚を含めて話をしているのですけれども、現実にはアメリカ政府の人達も全部ものを決めているのはトランプ大統領なのだ、トランプ大統領がこう言っているからダメだということで、緻密ないくら理論を積み上げても納得してくれないですね。そうすると、トランプ大統領が、アッ、なるほど、というような持っていき方をしないと、いくら緻密に議論しても、通商交渉がちゃんとできないのではないかということで、トランプ大統領の腹落ちが大事だということです」

細川昌彦 中部大学特任教授の提言:『日米→3極→有志連合』
細川特任教授
「日米から3極、3極から有志連合へと書いています。トランプさんにどう腹落ちさせるか、とても課題ではあると思いますが。日米で現在やるべきことは対中国の関係で新しいルールをどうつくっていくかという作業が1番大事だと思うんです。だから、そのためには日米で話をするだけではなく、ヨーロッパも入れた日米欧3極の会合、これは2回ほどやっていますよね、これが今後とても大事になる。さらにこの日米欧を核にして、オーストラリア、あるいはカナダ、こういうところを入れ、有志連合を組んでいく。こういう段階を仕かけして、決して中国を封じ込めるという意味ではなくて、どう取り込んでいくかを皆で考えるということのポイントが日米だと思います」

西濱徹 第一生命経済研究所主席エコノミストの提言:『正攻法』
西濱氏
「私は『正攻法』と書かせていただきました。確かに真正面で今回議論できる場ができたということは非常に良かったでしょうし、今後何をしなければいけないかと言うと、先ほど、細川先生からもお話がありましたけれど、WTOをどう機能させるのかとか、根源的な通商のルール、通省のあり方といったところに対して、ちゃんと正攻法の議論を日本として、きちんとまっすぐ出していくことがより必要になってくるのではないかと考えています」