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2018年4月27日(金)
速報『南北首脳会談』 金正恩委員長何語る?

ゲスト

中谷元
元防衛大臣
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
平井久志
ジャーナリスト

文大統領×金委員長『板門店宣言』
生野キャスター
「韓国と北朝鮮による南北首脳会談が行われ、共同宣言を発表しました。今夜は南北首脳会談を緊急検証。ゲストとともに両者の思惑、今後の展望について議論をしていきます。文大統領と金委員長の共同会見ですけれど、中谷さんはどう見ましたか?」
中谷議員
「冷戦が終わって30年近くになるし、朝鮮戦争が終わっても65年近くになりますので、朝鮮半島の平和と安定は、アジア、我が国にとっても非常に大事なことでありますので、この点において両国の首脳が話し合ったということは非常に歓迎すべきことと思います。ただ、我が国にとって北朝鮮の核、ミサイルという大量破壊兵器は非常に安全保障にとっても懸念になっているところでありまして、今日もこの中では、朝鮮半島の非核化ということしか言われませんでした。具体的に北朝鮮が核をどうするか、これは非常に大事なことでありますが、まったく言及がなかったということ。それから、今年中に、停戦協定を平和協定にする、そのためにこれからアメリカを踏まえて、南北とアメリカ、もしくは南北とアメリカ・中国と協議していくということで、日本が外されているんです。我が国にとって朝鮮半島の核・平和は大事な問題で、6者協議というものがありましたので、これは日本も踏まえて話し合ってもらいたいということでありますので、そういうところでは残念なところがありました」
生野キャスター
「武貞さんはどう見ていましたか?」
武貞特任教授
「今日の首脳会談の議題というのは3つあったはずですね。1つは核兵器のない朝鮮半島、これはアメリカが1番求めていることです。国際社会が注目していましたし、ここにどういう文言が北朝鮮から出てくるか我々も注目していたところですけれども、『核兵器のない朝鮮半島』というのが1つの柱。もう1つは緊張緩和の問題、これは南北間の鉄道を、これは宣言の中に盛り込まれましたけれど、鉄道を開通させようとか、あるいはケソンに事務所をお互いが共同で持ちましょうと、これは緊張緩和と信頼醸成措置、核兵器の問題とはちょっと違うもう1つの柱ですよね。これについて具体的なものを踏み込んで、盛り込んで、宣言をして、北朝鮮も合意したと。もう1つは隠された議題であり、1番印象的だったのは、記者会見も板門店宣言も最も色濃く出ていたのは南北統一という問題ですよ」
松山キャスター
「確かににじみ出ていましたね」
武貞特任教授
「『私達民族は』とか、『南と北が』とか、私達が主導権を、統一するに向けて努力していくということは中国とか、アメリカはちゃちゃ入れないでくださいということですよね。核兵器のない朝鮮半島というのは、これはアメリカの核戦略と関連しますから、アメリカが絡んでくる、絡んでくることもこれは受け入れざるを得ないから。もう1つの3本目の柱として統一問題を語り合う限りでは南北は同じことを言えるし、共有するものが多い。他の国が何かそれについて言おうとしたら、あっ、黙っていてください、私達民族の問題ですと言えますよね。3つの柱は明らかに意識して、南北が事前に準備して、実は全体を貫くトーンは南北統一、同じ民族同士、朝鮮半島の問題の主人公は南と北だねというのを色濃く出した宣言だったと思いますよ」
生野キャスター
「平井さん、共同会見についてどう見ていましたか?」
平井氏
「文在寅大統領の発言は、ほぼ板門店宣言の内容をなぞるような内容ですよね。金正恩委員長の方は、むしろ宣言の内容にあまり踏み込まないで、南北の同じ民族であるという南北の同一性を非常に強調した発言ではなかったかと思うんですね。ただ、思うのは、南北の会談なのですけれど、北朝鮮がこれまで、たとえば、非核化について直接発言したことはあまりなかったわけですよね。北朝鮮の非核化に対する姿勢というのは韓国の特使団を通じて発表され、中国の報道を通じて、こう言ったのだということで。そういう意味では、彼らが自分達の、特に最高指導者のサインをした文書で抽象的な表現ではありますけれども、非核化ということに言及したことは一歩前進であると思うと同時に、これは非常に読み方によってはいろいろな読み方ができると。完全な非核化という言い方というのは、たとえば、北朝鮮の立場からするとグアムにある戦略兵器を朝鮮半島に持ってくるなという、そういう完全な非核化というのをイメージしている可能性もあるわけですね。ですから、この表現がある意味では非常に抽象的ですし、どこまでも目標であるという点に留意する必要があるということ。予備会談ということは言われていますけれども、仕方のない面もあって、核問題では韓国は当事者になれない。それと休戦協定を平和協定に変える平和体制の問題でも、これは、たとえば、休戦協定には韓国はサインをしてないわけですね。中国と北朝鮮とアメリカがサインしているわけですから。そういう意味で、米朝の間で基本的には解決しなければいけない問題なので。そういう意味では、会談そのものがある種の制約性のある中で、1番目の議題と2番目の議題は扱わざるを得なかったという問題はあると思いますね」
松山キャスター
「武貞さん、今回、こういう形で休戦協定から実質的に平和協定に転換するための協議を行っていくということを発表したという。それをメドとして今年という期間も盛り込まれたわけですけれども、これをどのように見ていますか?」
武貞特任教授
「そうですね。今年中に終戦を宣言して平和協定に転換をするという随分期限を区切って、あと8か月しかないわけですね。相当、南北間で合意したということにしては、せっかちだなという印象を受けます。と言うのは、休戦協定というのは当事国がいくつもあるわけで、休戦協定にサインをしたのは両軍の、国連軍と北朝鮮軍が署名したと。あとは彭徳懐中国人民義勇軍とマーク・クラーク国連軍司令官と朝鮮人民軍の金日成将軍が同じ席ではなくて、別々のところでサインをして。一応、サインをした人は国連軍司令官、国連軍、中国・北朝鮮となっているのですけれど。韓国軍は当事者なのであって、国連軍の中に入って戦争を戦ったんです。1950年6月25日に戦争は始まりましたけれど、その直後に、7月に大田(テジョン)協定というのを結んで韓国軍の指揮統制権は国連軍に、アメリカは返上したんですよ。だから、国連軍が全部、韓国軍の面倒を見ますよ、指揮も全部、韓国軍をコントロールしますよということで、韓国軍が全部、国連軍の司令官の下に入った。だから、休戦協定を結んだ時に、1953年7月27日に休戦協定を結んだ時に中国と国連軍司令官と北朝鮮の金日成将軍が3者だから、休戦協定の当事者からは韓国は外れるというのは、これは正しくないのであって」
松山キャスター
「よく言われる見解ではありますよね」
武貞特任教授
「国連軍代表、だから、他の16か国も国連軍として参加をしているんですね。国連軍プラス韓国軍、17か国が西側の代表であるけれども、それを代表してマーク・クラーク国連軍司令官がサインをしたのだから、実は休戦協定の当事者というのは17か国、プラス中国軍、北朝鮮軍ですよ。でも、17か国で17人集まるのは大変だから、アメリカが代表するとなれば、これはアメリカ・北朝鮮・中国・韓国、4者が休戦協定当事者と言っても全然おかしくない。ただ、北朝鮮はある時期から韓国を外して米朝直接取引をしようということで、韓国軍は李承晩大統領が北進統一という選択肢を残しておきたいから、休戦協定を嫌だと言ったんですよね。これが、韓国が世界にばらまいちゃった誤解ですよね」
松山キャスター
「それをもって韓国は当事者でなかったという論がちょっとあるということですね?」
武貞特任教授
「しかし、指揮権は全部、国連軍が握っていたから、韓国は国連軍が代表して韓国の分も署名したわけだから当事者です。ですから、北朝鮮の途中から韓国は当事者ではない、ないと言ったのだけれども、実際今日の映像を見ても、休戦協定に基づいて38度線ができて、軍事境界線ができて、それをまたぐ時に…、軍事境界線との休戦協定があるから軍事境界線ができたわけで、そこをまたぐか、またがないか、南北トップ同士が話し合うということ自体、韓国も当事者の1人として軍事境界線をまたぐか、またがないかという議論をしたわけだから、北朝鮮は当事者であるということを十分認識しているのが今日の映像だったと思いますよ」
松山キャスター
「日本としては、こういう朝鮮戦争の停戦協定から平和協定につなげていくという話が、今回のような形で南北会談では前面に出てくるということは、ある程度予想されていた?」
中谷議員
「新たな段階に入るためのステップだと思いますが。この3者もしくは4者の会談で大事な枠組みが決まれば、それは変えられないわけですから。北朝鮮が核を、大量破壊兵器を廃棄するということが非常に大事なことでありますので、この3者、4者だけで枠組みを決められると、そのあとは変えられない現実が残ってしまうということになろうかと思います」
武貞特任教授
「1つ指摘したいのは、休戦協定を平和協定に変えるということは、これは法律…、条約を転換するということだから当事者は決まっているわけで、国連軍と中国と北朝鮮、それを平和協定に変えるわけですから。そうしたら平和協定に変えたら終戦宣言ですけれど。そのあとに考える平和体制構築というのは、その先の条約は休戦協定からは離れた話ですよね。それはもう6者協議というのがかつてあって、そこの中に5つの作業部会があって日朝関係を扱う部会、米朝関係を扱う部会があって、日本は当事者そのものだったんですよ、部会の当事者であって。だから、平和体制を構築という未来志向の平和協定ができたあとの未来志向の、この地域の平和のシステムがどうあるべきかというのはまさに日本は当事者そのものです。であれば、ここで日本を加えてもらっておかなければおかしいわけで。この文章は平和体制構築というその先のプロセスでも日本を外しているではないですか。ここは、日本は、いやいや、将来の平和体制構築というのは6者協議の精神にもあるように、当事者ですよと、日本は主張すべきです」
平井氏
「思い出したのは、6か国協議の919合意というのがあるんですよ。先ほど、武貞さんがおっしゃったように、その中に日朝とか、米朝とかもあるのですけれど、その6か国協議の919共同声明の中の1つに、もう1つのフォーラムというのがあるんですよ。それが平和体制をつくるためのもう1つのフォーラムという合意事項が、第4項目だったと思いますが、あるのですけれども。それが朝鮮戦争の当事者が参加するフォーラムと思われているんですね。それはあくまで独立してあるものではなく、6か国協議の枠内にある部会という感じなんですよね。ですから、そういう枠内であれば、全体のその一部の会議の結果を6か国会議に持ち込むという形で日本をコミットすることも可能だという、そういうやり方もあるとは思います」
武貞特任教授
「ただ、今日の2人の首脳は、6か国協議という言葉は1回も触れていないですから、過去のものとして、あの中でのいろいろな手続き事項を全部忘れちゃって、先を見た、この文言のような気がします」
生野キャスター
「日本が食い込んでいけるのですか、ここに?」
中谷議員
「まずはここから始まるという認識でありますが。先ほど、言われたように、北朝鮮の核の保有というのが1番の懸案ですから当然、日本やロシアが入った6者協議がベースになるということですが。この宣言で私が思うのは『堅固な平和体制の構築』、これはいったい何でしょうか?北朝鮮も、韓国も、統一をすることを描いているんです。その2つの国がどのような形で存続するのか?いわゆる連邦制で、違う制度であるのか、連合制なのか、非常にそこはプロセスが長いわけですが。こういった平和体制においては周辺国も関与することですから、これは日本を加えて協議をしてもらいたいとは思います」

板門店宣言『非核化』
松山キャスター
「非核化の問題、このような文言が盛り込まれました。『南と北は完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した』と」
生野キャスター
「共同の目標ですね?」
松山キャスター
「『共同の目標を確認した』ということですけれども。朝鮮半島の非核化という文言は一応盛り込まれましたが、これが具体的に何を示すかよくわからないような気もするのですけれども。中谷さん、これをどういうふうに?」
中谷議員
「まず具体的なことがないですよね。問題になっているのは、北朝鮮の核保有、大量破壊兵器の存在で、これは査察もしなければいけませんが、検証もされていないと。大事なことはいかにそれを具体的に進めていくかということでありますので、あまり中身のない、合意の文言だと私は思います」
松山キャスター
「今回、6月にも行われるとみられる米朝首脳会談に向けて、アメリカはこの南北首脳会談の結果をじっと見ていると思うのですけれども。現在のトランプ政権の立場からして、こういう内容が出たということで、前にこのまま進められるというレベルの合意と受け止めるのですか?」
中谷議員
「はい。アメリカがどう受けとるか。ポンペオ氏も既に北朝鮮入りしていますが、非核化という言葉が出てきたのは初めてなので。やる気があるかなというニュアンスは伝わったと思いますので。そういう意味で、今回の合意はアメリカに対するメッセージですが。問題は中身で、具体的に両首脳がどのようなプロセスとか、各論まで話し込んだのか、それは次第に明らかになっていくのではないかと思います」
松山キャスター
「予想よりかなりあっさりした表現だったという印象はありませんか?」
中谷議員
「朝鮮半島の非核化ということを決めてしまったということは、私にとっては残念でしたね。そういう言葉の中に入ってしまうということは」
松山キャスター
「それは、北朝鮮の非核化ではなくて、朝鮮半島と言うことによって、朝鮮半島全体、在韓米軍も含めた、非核化というのを南北で確認したということになってしまうからということですか?」
中谷議員
「これは数十年前から使われた言葉で、北朝鮮は朝鮮半島の非核化ということをずっと言い続けてきたので、何ら変わったことを言っていないなということで。前進があってほしかったと思います」
松山キャスター
「平井さん、どう見ていますか?」
平井氏
「僕は、むしろその目標というところ、そこに注目したいのですけれども。と言うのは、今回の会談は米朝首脳会談へのプロセスだとは思うのですけれど、1番大きく違うのは、アメリカ側はまず核を放棄しろということを言っているわけです。北朝鮮側は段階的に同時的措置をとって、非核化というのは出口にあるわけですよね。だから、そういう意味では、『この目標に』というのは、北朝鮮の言っている非核化の出口論に少し近いのではないのかなという気がするので。それを非核化という言葉を使いましたけれども、結果としての非核化で、いろいろな対価を伴うものですよと。いろいろなものを北朝鮮に保障、体制の保障であるとか、軍事的脅威の解消みたいなことが実現すれば、その先に非核化がありますという、そういうニュアンスを少し感じます」
松山キャスター
「今後、米朝首脳会談に向けては実際に検証可能になのかどうかという具体的なプロセスが問われてくると思うのですけれど。今回の南北会談だけを見て、まだそこまではまったく見通せない?」
平井氏
「北朝鮮としての立場からすれば今回、そのカードを全部切っちゃうというのは、ちょっと無理があったのではないか。トランプさんとの会談で、その部分は本論に入っていくわけで、だから、その入口のところで、カードを、手の内を見せるという、そこまでサービスをする必要はないと北朝鮮は考えたのではないかなという気がします」
松山キャスター
「武貞さん、どうですか?非核化の表現、先ほどからまずは統一が念頭にあってという話がありましたけれど、今回の非核化に関するこの表現、朝鮮半島の非核化を実現するという共同の目標を確認したという言い方ですけれども…」
武貞特任教授
「ええ、非常にあっさりした表現で、総論を述べただけですけれども。述べただけでも米朝首脳会談につながりますし、それをもう少し細かく北朝鮮がすべきこと、アメリカは1年以内ぐらいに北朝鮮が核兵器を放棄するというのをメドにして、北朝鮮に迫ろうというどうも作戦のようですけれども、交渉でですね。北朝鮮は自分自身の核兵器を放棄するという選択肢は国家戦略上、北朝鮮にはないです。と言うのは、4年、5年前の北朝鮮の修正憲法の条文の中で核保有国という文言を入れ、憲法の中で入れているわけで。出先で金正恩国務委員長が、文在寅大統領の話の中で核兵器を放棄しますということを、憲法にあるのに、国務委員長が板門店で述べるということ自体がほとんど不可能だったと思いますよね。それだけではなくて、憲法にあるというだけではなくて、憲法を変えればいいということになりますから。北朝鮮の国防戦略として、統一をするためにアメリカの軍事介入を防ぎたい。アメリカの軍事介入を防ぐためには通常戦力ではダメで、核戦力でアメリカの軍事介入を遮断したい。その時にワシントンに落ちちゃう核弾頭をいくつか並べたら、アメリカは軍事介入を諦めて南と北でどうぞやってくださいと言うに違いない。核兵器を持っちゃったら、あとはアメリカに軍事介入やめますと一筆をとるだけの作業だということで、今年1月から米朝首脳会談をまっしぐらに北朝鮮は走り始めたわけだから。アメリカと不可侵協定ができあがって、朝鮮半島が北朝鮮主導で統一する時まで北朝鮮の核兵器を捨てませんよ。だって、統一するための核兵器なのだから。言いかえれば、統一に向けて、南と北が戦争しないでお互い信頼関係を構築して、行ったり来たりしながら、よその国の手助けとか、あるいは介入、軍事介入も含めてですけれども、なしに平和で繁栄した、安定した統一コリアを実現できれば核兵器は使い道がなくなりますよねというところで、既に韓国と北朝鮮は動き始めていますよ。それをじっくりと見て、そうだったのかと思い始めたのがポンペオ新国務長官ですよね。ポンペオさん、1月23日にアメリカ・エンタープライズ・インスティテュートでこう言ったんです、発表して。『北朝鮮は自分の体制を維持するために核兵器をつくっていると思ってきたけれど、どうもそうでなかった。統一のために核兵器を持とうとしている。これはCIA(中央情報局)のスタッフ皆が共有している考えだ』と言った。この人が国務長官になった。それを知っていてトランプさんは彼を国務長官に据えたということは統一問題と絡めて核兵器放棄というのは最後の出口の方に持っていくことしかもう方法はないのかなと考えたトランプさんは軍事力でギュッと押さえつけて、参ったと言わせて、核兵器を放棄させようという選択肢は捨てたんですよ。捨てたからポンペオさんが国務長官になったんですよ」
生野キャスター
「北朝鮮の非核化に向けた動きですが、こちらを見ていただきましょう。北朝鮮は今月20日に開かれました党中央委員会総会で、核実験の中止、核実験場の廃棄、大陸間弾道ミサイル、…ICBMです、発射実験の中止というのを決定しました。この前後の経緯を見てみますと先月、トランプ大統領が米朝首脳会談開催を表明したのち、北朝鮮はすぐに中国の習近平国家主席と会談しています。南北首脳会談の1週間前に核ミサイル実験の中止を決定しているという状況ですね」
松山キャスター
「中谷さん、今回の南北首脳会談では、北朝鮮が既に出している方針、核・ミサイル実験の中止とか、核実験場の廃棄とか、既に発表している内容ですけれども、それについても表では発表されなかった。今回の南北の場では。これはその問題については米朝で出すから、ここでは敢えて出す必要がないという判断もあるということですか?」
中谷議員
「既に決定されていることでもあるし、これはアメリカに対し、北朝鮮も本気で考えてますというシグナルだったと思いますが。実は今日の会談で、最初に出会った時に、文在寅大統領に金正恩氏が『私のおかげで、あなたを朝早く、起こさせました』と、『寝不足になったでしょう』と、『しかし、これからは朝早く起こさせることはありませんから』ということで。そういう短距離のミサイルも心配しなくてもいいですよというようなことでありますので。これは冗談か挨拶かわかりませんが、既に中距離・短距離のミサイルも発射する意思はないということは語られたとは思います」
松山キャスター
「北朝鮮が先に発表した内容の中には、はっきりと中距離・短距離が含まれているかどうかというのも盛り込まれていなかったのですけれども…」
中谷議員
「うん」
松山キャスター
「それは、でも、金正恩委員長のそういう発言からは、念頭にあらゆるミサイルはそこで生まれていると受けとってよろしいのですか?」
中谷氏
「これはアメリカに対するメッセージで、米国は、ICBMは心配しなくていいですよっていうことで。日本にとっては中距離・短距離は脅威の対象になってます。ですから、まだ何も実行もしてないし、本当にそうなのかということですから、これはよく詰めてですね、日本としては、この点においては、それが実現するまではしっかりと警戒もし、また、それが実現するように、また圧力もかけ続けていかなければいけないと思います」
松山キャスター
「平井さん、どう見ていますか?先に北朝鮮が発表した、ミサイル・核実験の中止という内容は、今回は一切声明にも入っていない…」
平井氏
「いや、声明にも入っているんですね。明示的に入っていませんけれど、『南と北は、北朝鮮側がとっている指導的な措置が朝鮮半島の非核化に向けて非常に有意義で重大な措置』だと、これはそのことを言っているのだと思いますよね。だから、明示的に3つのことは具体的には書いていませんけれども、北朝鮮が先の中央委員会総会でとった措置が非常に有意義な措置であるという表現で一応言及はされているのだろうと思いますね」
松山キャスター
「なるほど。文在寅大統領も確かに会見で『核の凍結行為は非常に重要な意味を持つ』ということで、まさにこれを念頭に置いた発言…」
平井氏
「はい。ですから、一応、直接は、言及はないけれど、間接的な言い方で言及はしているし、それと党の、北朝鮮の場合、党の中央委員会総会でやった措置というのは、これは決 定ですから、ある意味で、わざわざ具体的にもう1度指摘する必要もないと韓国側が考えた可能性があると思います」
松山キャスター
「一方で、金正恩委員長はカメラがまわっている会見の場では、非核化とか、ミサイルというものを一切言わなかったのですけれども」
平井氏
「はい、ええ」
松山キャスター
「それは現在の北朝鮮の状況からして、まだ最高指導者がそういう言葉をカメラの前で発するというのは難しいことなのですか?」
平井氏
「うん、少しわだかまりがあるし、それはアメリカに対するカードとして残して置こうみたいな意識があるという気がするんです」
松山キャスター
「武貞さん、どう見ますか、そのあたり?」
武貞特任教授
「非核化というのは宣言の中に抽象的に謳っているわけですから、金正恩さんもそれを賛成しているということは間違いないですけれども。敢えて、それは米朝で丁々発止やるということで、今回の主要議題でないということで発言をしなかったのだと思います。そこに朝鮮労働党中央委員会総会での決定書ですけれど、これも1つ謎があるのですが、これは20日に総会が行われ、全体の議定1、2、3を読んだのは金正恩国務委員長だったんですよ。読んだ時に金正恩委員長は中長距離ロケット、それから、大陸間弾道ロケットを発射するということの必要もなくなるということを述べたんです」
松山キャスター
「中長距離も文言に出ていました?」
武貞特任教授
「出ていました。1部の新聞は早とちりし、それが決まったみたいに、中長距離を盛り込んだものが、中止するということは決まったみたいな報道が1部ありましたけれども。そうではなくて、金正恩さんが、議定1の中、1の中に盛り込まれていたのですけれども、中長距離ロケット、大陸間弾道ロケットを発射する必要はなくなると、条件付ですけれども、言ったのに対して最後それをもとに討論して、議定書というのが決まって、決定書が決まって、6項目が決まった中に核実験の中止、核実験場の背景、ICBM発射実験の中止が盛り込まれたんです。決定書が全てであって、原稿をはじめ、金正恩委員長が読んだものというのは皆に提案した内容だったんですよね。その中にあったはずの中長距離ロケットの文言が落ちちゃって、アメリカにだけ…。アメリカが最も気にしているICBMに関しては4月21日から発射を中止しますと宣言しちゃった。非常にアメリカを意識して、日本の心配はどこかに吹っ飛んだ決定書の内容になってしまっているんです。これは相当、アメリカを意識するあまり、決定書にはICBMを入れたということだと思うんです。それだけに周辺の諸国、特に日本の安全保障について配慮していただいた決定書ではないなということは、日本の立場からは申し上げたいですよね」
松山キャスター
「一方のアメリカですけれども、よく言われるのは、アメリカの、たとえば、ホワイトハウスに最近入ったボルトン大統領補佐官が考えている方式として北朝鮮に対してもかつてのリビア方式と言われるようなものを念頭に置いているのではないかと言われているのですけれども」
生野キャスター
「リビア方式を紹介します。リビアを非核化した時に使われた方法ですけれど、IAEA・国際原子力機関による査察、核・ミサイル装備等の解体、申告以外の疑惑の施設も査察ということです」
中谷議員
「これは既にIAEAの査察を北朝鮮は受けていますけれども、拒否していたんですね。それから、リビアは結局、持っていなかったんです。けど、北朝鮮は持っていると言っているわけですから。持っていない国の査察とどこかにあるかもしれない国の査察は違うんですね」
松山キャスター
「難しいですよね、どこかに隠しているかもしれないので」
中谷議員
「そう。リビアとか、イラクは砂漠ですから、探すのは簡単ですけれども。北朝鮮は森林の国ですから、トンネルを掘れば隠すこともできるし、それを本当に検証するというのは本当に難しいと思います」
松山キャスター
「現段階でアメリカが求めているものと北朝鮮が実際に今回妥協できるものを突き合わせてみると、なかなか一致点を見出すのが難しいと思うのですけれども」
中谷議員
「今回の制裁で、北朝鮮は経済的に厳しい状況でありますので、体制の維持ということを確約してもらえば、核については放棄するというようなことには応じる可能性もありますので、これはしっかり米国と協議するかどうかということですが。これは日本の安全保障にもかかわることですから、他人事ではなくて、ましてアメリカ以上に日本はその脅威がありますので、しっかりと、これは日米で協議をした上で、アメリカと話し合ってもらうしかないと思います」

拉致問題の行方
生野キャスター
「今回の南北首脳会談では、韓国の文在寅大統領が日本人の拉致問題を提起するという話になっていた、現在のところ、言及があったかどうかは明らかになっていません」
松山キャスター
「今回の南北首脳会談の発表を受けて、総理官邸で安倍総理が記者団に語っているのですけれど。あくまで『拉致・核・ミサイルの包括的な解決に向けて、また米朝首脳に向けて、日米韓で緊密に連携していきたいと思う。この問題の解決に向けて、さらには中国やロシア、国際社会ともしっかりと連携をしていきたいと』と言っているのですけれども、韓国側が提起するといった拉致問題、どういう形で提起したかまだ明らかになっていませんけれども。中谷さん、南北会談で拉致を提起したかどうか、また提起をしたとして、どれぐらいの効果があると考えますか?」
中谷議員
「これは安倍総理に、文大統領から連絡があると思います。事前に電話で30分以上、日韓で、安倍総理がお話をしていますので。当然、韓国からその話もあったと思いますし、また、連絡もあろうかと思います。アメリカのトランプ大統領も日本の拉致問題は非常に、この前の首脳会談でも、最重点事項ということで要望していますので、米朝の会談の中でも話し合いはします。それだけではなくて、日本も独自にやっていかなければならないわけで。この拉致問題の解決の取引材料は経済支援ですね。小泉総理の時に平壌宣言がありました。拉致・核・ミサイル、国交正常化。放っておいても、なかなか解決ができなかったわけですから、何らの交渉材料を提示することによって、何とか拉致問題、家族にとっても現在が1番のチャンスだと思っていますから、そういう話し合いができる非常にいいきっかけですから。是非、水面下で北朝鮮と拉致問題、また包括的な話、これは日本もやっていくべきだと思います」
松山キャスター
「武貞さん、今回の共同宣言の中では、人道問題についても触れられている部分があるのですけれども。韓国と北朝鮮との間の、いわゆる離散家族とか、親戚の再会という問題については協議して、解決していくことにしたと。南北赤十字会談などを開催してということで盛り込まれましたけれども。もちろん、共同宣言の中に日本の拉致問題がなかなか入らないという事情はあると思うのですが、実際に2人の、金正恩委員長と文在寅大統領との間で拉致問題はどれぐらい協議されたと考えますか?」
武貞特任教授
「話が出たと信じたいですし、出たのではないかと思うのは、36分、37分ですか、2人。文在寅さんと金正恩さんが2人で椅子に座って話している時が出た時だろう」
松山キャスター
「まさに2人だけで話をしていました、あの時間は?」
武貞特任教授
「そうですね。…と思います。それに対して、いや、拉致問題が解決したものであるからと、もし金正恩さんが答えた時に、テレビカメラがずっとそれを、音声を拾っていると非常に困ったことになりますから、2人の話し合いというのはまさにチャンスであっただろうし、その時に話し合ったと思う。また文在寅大統領も今年、日本が日中韓サミットの主催国でありますし、政治的にも日韓関係が大事だなということを知っておられると思いますし、経済的・安全保障面でも、日本と韓国の関係が非常に大事だと思っておられると信じたい文在寅さんは、37分間の間に金正恩さんにおっしゃられただろうし、その時の反応については、中谷先生がおっしゃいましたように、韓国の方から連絡があるのだろうと想像します」
松山キャスター
「平井さんはどう見ますか?今回、拉致問題、どれぐらい会談の中で…」
平井氏
「文在寅大統領が取り上げたことは間違いないと思います。それは慰安婦問題で非常に日韓関係が悪くなっていますけれども、逆に日韓関係を良くするためにも、韓国の代表としてこの問題をちゃんと提起しておく必要性はある。特にすぐに日中韓の首脳会談もあるわけですから。たぶん明日の電話会談で、どういうことを話して、どういう回答があったのかということは伝えられると思います。ただ、南北の会談ですから、議題としてそんなに上の方に置いているとは考えられないわけですよね。そういう意味で、中谷さんがおっしゃいましたけれど、メインは日本が北朝鮮に対する2国家間交渉の中でこの問題を解決していくと。水面下の交渉がかつては割と頻繁に行われていたという感じがしたのですけれど、昨年ぐらいから、やっているのか、やっていないのかがわからない。やったと確認されているのは、むしろ公の会議の場に北朝鮮が出ているところに日本が行って、日本の立場を一方的に伝えるという感じが多いので。本当に腹を割っての水面下の協議というのが、ここのところあまりなかったような感じがするので、私はそういうことを早く再開する。国際的な協力を求めることも大事ですけれども、日本自身が正面から取り組むという姿勢がないといけないのではないかなと思うんですよね」
中谷議員
「拉致家族の皆さんにとっても現在が最大のチャンスと思っているんですね。核とか、ミサイルとか、停戦とか、確かに2者、4者の話ですが拉致の問題もありますから、これは6者にすべきですね。拉致・核・ミサイル、そういうことで6者の中で日本も主張できるし、こういう場でないと話題にもなりませんから、他は4か国にお任せをしても、これは本当に日本に独自の問題ですから。この6者協議というのを再開できるチャンスがありますので、そこまで持ち込んでもらいたいと思いますよね」
松山キャスター
「ここ1、2か月の一連の外交官の活発化を見ていても、なかなか以前の6者協議の枠組みをもう1度という話がなかなか出てこないような気がするのですが。唯一、中国発の情報で、金正恩委員長が中国・北京に行って、習近平さんと会った時に、中国側からは6者協議にも前向きな姿勢を示したのだという報道が出ているのですけれども…」
中谷議員
「6者協議というのは、東アジアの平和と安全保障のすごくいいテーブルですよ、この6か国は。現に中国に担当大使もいて、部署まであって、やってきた実績もありますから。中国が入ることも念頭に何とか日本も東アジアの平和の問題ですから、一緒に協議できるようになったらいいなと思いますね」
武貞特任教授
「ただ、北朝鮮というのは、6か国協議というのは米朝直接協議のきっかけにしたいという気持ちが強くて、なかなか米朝直接協議が目の前に来ているわけですから、首脳会談が。6か国協議はもう古い昔のものだとおそらく北朝鮮は考えているのでしょうね。そこを何とか、日本は、いや、6か国協議の中の1つの部会は日朝に関する部会なのだと、日朝国交正常化交渉を議論する部会なのだということを主張して、中国と一緒に北朝鮮に直接語りかける。そういう意味でも、日朝の直接の協議、先ほど、平井さんおっしゃったように、直接の協議で北朝鮮を説得するような努力が必要ですよね。そういう過程が必要ですけれども、残念なことにこの数年間、圧力と制裁だけで一本槍でいこうという意見が大多数。その背景に、もうじき北朝鮮は潰れるのではないか、崩壊間際ではないかと。放っておいたら潰れるから、潰れたら拉致の問題は自然に解決できるのではないかと。困り切った金正恩さんが助けてくれと言って、韓国とアメリカと首脳会談をやりたいと言ってきた。もう少し待っていたら自然と日本に有利な条件で拉致の問題を解決できるような、日朝関係改善の協議が始まるに違いないという、こういう楽観論があったと思うのですが、そうではなくて…」
松山キャスター
「そうはなっていないですよね」
武貞特任教授
「いろいろな条件をうまく活用して、アメリカと韓国をうまく自分の方に取り込んで、ノリノリで積極外交をやっている北朝鮮に対して、拉致された人達を返してくださいと言うのは、ズバリ日朝首脳会談しかないですよ。開城に連絡事務所を先に韓国につくられる前に、平壌に日本の連絡事務所をつくって、拉致の問題をどのように考えておられますか、特別調査委員会を再びつくってくださいと。先週の調査はどのような内容でしたか、教えてくださいと平壌で問いただせばいいではないですか。それだけの直接の協議をやろうというエネルギーが生まれなかったところで、膠着状態で困り果てるという話ばかりが現在、聞こえてくるのですけれど、やるべきことをやっていないです、日本は」
松山キャスター
「中谷さん、日朝は水面下でいろいろやっているのではないかという話も出てはいますけれども、なかなか日朝首脳会談の見通しは立たないと思うのですけれど。今後、たとえば、米朝首脳会談を受け、その内容を見て、日朝に向けて日本政府が積極的に動いていくという可能性はありますか?」
中谷議員
「そうですね。米朝を踏まえたうえの対応だと思います。ただ、ここまできたのは、日米で圧力をかけてきたから、ここまできたということで。ここまでは正しかったのですけれど。局面が変わって、話し合いで、テーブルについてきたわけですから。日本にとって拉致問題解決のためにあらゆることを考えなければいけませんので。こういった局面をしっかり捉えて、何とか日朝間で話し合いができるような交渉を続けていくということです。また、圧力だけは続けていかなければ、応じないとは思いますよね」

中谷元 元防衛大臣の提言:『拉致・核・ミサイルの上で 国交正常化 6者協議へ』
中谷議員
「拉致・核・ミサイルの上で、国交正常化、それの6者協議。これは2002年に小泉総理の時に平壌宣言、これが基本ですね、それで話し合いがありました。その時点に戻れるようにするということと、現実に6者協議をやってましたから。そういう場で日本はプレーヤーとして参加できるように、その前には水面下の交渉も必要でありますので、あらゆるチャンネルでこういったテーマで、日朝間で話し合いができるようにしなければいけないと思います」

武貞秀士 拓殖大学大学院特任教授の提言:『日朝首脳会談 3つ 非核 らち 国交がテーマ』
武貞特任教授
「議論の中で中谷先生と随分食い違ったのですけれど、最後に書いたものがほとんど同じというのは不思議でしょうがないのですけれども。日朝首脳会談は急いでやるということで。非核、核兵器のない朝鮮半島、拉致の問題、国庫正常化、この3つをテーマにして、まずは連絡事務所を早期に設置をするということ。日本も平和のプロセスに1枚噛みたいですね」
松山キャスター
「日本の連絡事務所を、たとえば、平壌に?」
武貞特任教授
「…平壌に。北朝鮮の連絡事務所を東京につくると」

ジャーナリスト 平井久志氏の提言:『圧力と対話の並進路線』
平井氏
「北朝鮮は先の中央委員会で並進路線はやめたと言っていますけれども、日本は圧力を維持しながら、対話を模索すると。これまでちょっと圧力一辺倒過ぎて、圧力の先にある出口というものを日本はあまり考えていなかった感じがするんですね。出口、アメリカも最大の圧力と関与ということを言ってるわけで関与の部分を少し強める必要があるのではないのかなという気がします」