プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2018年4月18日(水)
検証『日米首脳会談』 元側近マチダ氏に聞く

ゲスト

河井克行
自由民主党総裁外交特別補佐
アド・マチダ
元米トランプ政権移行チーム幹部
前嶋和弘
上智大学大学院教授

初日の『安倍×トランプ』
斉藤キャスター
「2日間にわたって行われる日米首脳会談の初日を徹底検証します。安倍総理にとって今回の会談は米朝首脳会談を前にした北朝鮮問題、そして日米の通商問題を抱えて、安倍外交の正念場とも言われています。ホワイトハウスの事情に詳しい皆さんにトランプ大統領の本音と今後の日米関係について話を聞いていきます。松山さんに聞きたいのですが、1か月ほど前までワシントンにいましたよね?」
松山キャスター
「はい」
斉藤キャスター
「松山さんから見て、今回の日米首脳会談、初日はどう見ましたか?」
松山キャスター
「いくつか焦点があったと思うのですけど、こちらにちょっとまとめてみたのですが、今回の初日の会談の結果からわかるポイントをこのように整理しました。まず1つは、大前提として北朝鮮問題では、北朝鮮の核の放棄を迫る。完全かつ検証可能で不可逆的な方法で実現するまで最大限の圧力を維持する方針を確認したと。ここは事前の方針通り、ここで合意できたということで、ここは1つの成果だと思います。もう1つは、トランプ大統領に何とか日本の拉致問題をちゃんと米朝会談で提起してほしいということを求めるという方針で臨んだわけですけれど、これについてもカメラの前でトランプ大統領が拉致問題をきちんと提起するということを明言しましたので、ここも1つ大きな成果があったんだと思います。あとは新しい話として出てきたのが、アメリカ側が北朝鮮との間で高いレベルの米朝の非公式対話を行っているということを表明した。ツイッターの中でも、トランプ大統領がポンペオCIA(中央情報局)長官と北朝鮮の金正恩委員長が直接会って対話を行ったということを認めたということですので、かなり新たな段階に入ってきたなという感じがします。あともう1つは、トランプ大統領が、これもカメラの前で言っていた言葉なのですけれど、6月上旬にも行われると言われている米朝会談がうまくいかなかった場合、アメリカは強い姿勢で臨みたいと言って、今回の会談がきちんとまとまらなかった場合に、より強硬措置をとる可能性があるということを示唆したと。ただ一方で、トランプ大統領は今回の会談、米朝会談自体がうまく物事が進まなかった場合には開けないかもしれないということも言ったということで、北朝鮮に対する牽制という意味もあるのだと思いますけれども。これから先、かなり水面下の交渉も含め、米朝の間でどういうやりとりが行われていくか、それをまさに示唆しているような発言だったと思います」
斉藤キャスター
「4つが注目ポイントということですね?」
松山キャスター
「そうですね、はい」
斉藤キャスター
「マチダさんは、今日の初日の首脳会談はどう見ましたか?」
マチダ氏
「大変、うまくいったと思います。大統領が安倍総理と挨拶しているところがありましたね、入口のところで。2人ともとても心地よさそうでした。マスコミに対して話をしていた時も。とても良いスタートだったと思います」
松山キャスター
「アメリカと北朝鮮が、既に高いレベル、閣僚レベルでの対話を行っていたと。閣僚と金正恩委員長が直接対話をしていたという話が出てきましたけれど。これは我々としては非常に驚きを持って受け止めているのですけれども。今回、CIAなど情報機関を通じて北朝鮮は水面下で交渉を行っているという話はチラチラ出ていましたけれど、こういう手法で実際にはどれぐらい話が煮詰まっていくものですか?」
マチダ氏
「これは私の憶測にすぎないのですけれども。想像するところではこの会談が2人の指導者の間であると、2つの国の指導者の間で。たとえば、アメリカが合衆国大統領、北朝鮮の指導者が過去には会談をしていないわけですけれど、そのためには実現するためには、それぞれの期待をよく管理していかなければなりません。ですので、まだその交渉というところまではいっていないだろうと思います。交渉という言葉はちょっと使えないだろうと思うのですけれども、しかし、このアジェンダ、議題をどうするか、どれぐらいの長さで会談を行うのか、どういった題目について話をするか、目的はどうなのか、アメリカ政府はどういったことを求めているのか、また、理解をすること、北朝鮮の政府が何を求めているのかといったことを考えているのだと思います。ですから、まだまだ交渉が既に始まっていると、高いレベルで始まっているとはまだ言えないだろうと思うのですけれども、しかし、このステージを整えるということ、準備段階を行っているというのは非常に大事だと思います」
松山キャスター
「河井さん、どうですか?この初日の状況が出てきましたけれども」
河井議員
「これまでの首脳会談との違いは3点あります。1つは日本にとって拉致、核とミサイル、国家と国民の存立の基盤を大きく揺るがしかねない、そういったすぐ近くの国の脅威について直接話をする。つまり、これは、安倍総理とトランプ大統領の首脳会談であると同時に、常にお二人はそこにいない、もう1人の主役である金正恩氏のことを念頭に置きながらの首脳会談ですね。それがしっかりと話し合われる。2つ目は1953年、昭和28年の朝鮮戦争の休戦以来、65年ぶりに現在、関係する国々、朝鮮半島を舞台にして巨大な外交のゲームが始まったばかりです。つい今日だって、先ほどもお話がありました、CIAの前の長官が訪朝したということが明らかになった。それから、CNNが報道しましたけど、習近平氏が平壌を訪れるのではないかと。27日の南北首脳会談は完全に生中継で行われると。これはもう1つ、1つ、全て外交のゲームが始まっているんですね。その真っただ中に、1番この関係国の中で重要な関係である日米同盟、両国の指導者が集まっていらっしゃる。それから、総理とトランプ氏にとってこれは26回目の会談ですよ。直接の顔合わせはこれまで5回です。電話では20回やってきたんですね。僅か1年ちょっとの間に合衆国大統領と25回も会談を積み重ねた日本国の首相はこれまでいません。そういう意味では、本当に今回は総理にとっても乾坤一擲の大変重要な会談である。初日についていろいろと模様について情報を聞いたんですけれど。まず安全保障については、北朝鮮問題について、これまで安倍総理は繰り返しトランプ大統領の、いわば頭づくりのお手伝いをしてきたんです」
松山キャスター
「指南役という?」
河井議員
「だって、これまでまったく公職経験がない、北朝鮮と交渉をしたことももちろん、ありません。一方、安倍総理大臣は25年前から北朝鮮とずっと関わってきた。主要国の首脳の中で総理ほど、役人のペーパーの説明ではないんですよ。肌身で、皮膚感覚で、北のやり口、嘘と騙しと裏切り、この状況について誰よりも知ってきたのが安倍総理ですから。それをずっとこれまで総理は助言してきたわけです。その頭づくりが完全にできたと。トランプ氏がしっかりと考えている確信が持てて良かったと現在思っていらっしゃるのではないでしょうか」

拉致問題とトランプ大統領
斉藤キャスター
「日米首脳会談、初日が行われたわけですが。ポイントとしては2つ、核放棄のこと、拉致問題を提起することをトランプ大統領が明言したということですが。河井さん、安倍総理との関係性が良好だということが、この拉致問題の提起につながったと言ってよろしいのでしょうか?」
河井議員
「これは決して、日本と北朝鮮、日朝2か国間だけの問題ではないと。つまり、これから先、さまざまな展開が予想されます。また、あとでいろいろと議論が出ると思いますけれど。本当の非核化を進めていくためには、どういう手順、仕組みでやっていくのか。最後の最後に27日が南北、先だって中朝でした、南北、米朝、ひょっとしたら途中で朝露も、露朝もあるかもしれない。今回、日米です。でも、最後にこの巨大な外交ゲームの最後にどうしても必要なのは日朝なんですよ」
松山キャスター
「それは、経済的支援を求めてくる?」
河井議員
「さまざまな日本の関与がなければ、この巨大なゲームのパズルの最後の1枚を埋めることはできないです。総理はそのことももちろん、よくご存じで。先だって4月に入ってお会いした時に、日朝について実は直接お尋ねしました。そうしたら焦る必要はまったくないと明言された」
松山キャスター
「総理自身が?」
河井議員
「総理自身が。こちらから求めるのではなくて、北の方から求めてくる状況をつくりあげるために圧力を強めてきたし、その方針には一切変わりはない。私はまったくその通りだと思うんです。その最後に日朝が開かれますか、開かれないですか?その鍵を握っているのは拉致ですよね。核とミサイル、これはもちろん、米朝でもしっかりやってもらうけれども、そのことをおそらく総理はきちんと論理立ててトランプ大統領にお話を、これまでもされてきたし、今回もきっちりと打ち込まれたんだと思います」
松山キャスター
「前嶋さんは、どのように見ていますか?この拉致問題…」
前嶋教授
「トランプさんはたぶん過去のどの大統領よりも世論がわかっている。安倍さんが何を求めていて、安倍さんの支持者が何を求めているのかもわかっている人。要するに、拉致問題というのは、日本にとってとても重要だっていうのはわかっていて、だから、これは抜かせない。ただ、一歩引いて考えると、要するに、日本側では論理的に河井さんがおっしゃったような形で説明しているけれど、トランプさんとしては、要するに、お前のところに、安倍さんのところに理解できるような形で拉致問題を今度は進めるから、貿易のところで何かディールを…みたいなことを言ってくるようなところは常にあると思うんです。それが、トランプさんがポピュリストであって自分の支持者のことをわかっているから。要するに、これをテコにして何か、があると思うんですね。それが、しかも、わかりやすい形で、明日どんなものが出てくるかということです」
松山キャスター
「拉致問題と経済・通商の問題をパッケージでディールしてくるというのは、なかなか普通のこれまでの外交ルールではなかなか理解し難いところですけれども。河井さん、どうですか?実際にそういうことがあったとして、トランプ大統領はそういうまとまったディールをやろうとすると思いますか?」
河井議員
「ですから、よく言われているのが、鉄鋼・アルミの関税です、法関税の撤廃と日米FTA(自由貿易協定)をディーリングするとか。安全保障、北朝鮮の脅威と貿易、トレード・イシューをディールするとか、いろいろなことは言われていますけれど。それはそれで言ってくるかどうかはわかりませんけれど、言ってきてもこちらが受けられないものは受けられないのだと言うことは、それは総理と大統領との信頼関係があるわけですから、きっちりと言えるし、私はおっしゃると思いますね。それと、もう1つ、日本国内の議論を聞いていて、何か拉致問題の解決を全部、アメリカ合衆国にばかり委ねていると、そういう意見が1部ありますけれども。これは事実だけを言いますと、2月9日、平昌冬季オリンピックが始まった。あの開幕式のあとの晩餐会で、国家元首、金永南氏が来たと。安倍総理はあの晩餐会で、晩餐会が終わり際にスーッと近づいていってズバッとど真ん中に直球を投げているんですよ。拉致のことを言っているんですよ」
松山キャスター
「はい、日本の主張を伝えたと言っていましたね」
河井議員
「きっちり言っているわけですよね。これはいくら形式上の国家元首と言っても、当然、帰ったら報告するわけですし、日本の関心の大きいものは拉致だということが、当然上書きをされたと私は考えますね」

米朝首脳会談と北朝鮮問題
松山キャスター
「今日、新しい情報として入ってきた、ポンペオCIA長官が既に北朝鮮に行って、金正恩委員長と会っていたという情報があって。先ほど、トランプ大統領本人がこれを認めたという話ですけれども。CIA長官が実際にかなり高いレベルでもう交渉を行っていると、かなり新しいステージに入ったなという気がするのですけれども。これは、次期国務長官になるとされるポンペオさんですけれども、ちょっと思い出すのはニクソン政権の時代に、当時NSC(国家安全保障会議)の担当だったキッシンジャーさんが極秘に中国に訪問して、事前にお膳立てをして最後は首脳同士で国交を開いたということがありましたけれども。それぐらい大きな出来事と捉えていいのですか?」
マチダ氏
「まったくその通りですね。アメリカというのはこれまで、この2人の指導者の間で会談をしたということはこれまでなかったわけですね。どんな合意についても話をするということはなくて、スタッフレベルで全部行われてきました。ですから、この中でアメリカ政府の見方としては大統領が北朝鮮の指導者と会談をするということは、ある意味では、既にある程度譲ったと受け止められました。ですから、大統領が、一方では、いや、そんなことはないと、この会談をすると、交渉をするということが開始地点だ、まずそこでどういうことなのかということを理解しなくてはならない。その観点からしますと、大統領はここで何か譲歩しているということではまったくないと思います。会談をするということは譲歩だと考えていないと思いますし、これは新鮮な見方ですよね」
松山キャスター
「ポンペオさんの過去の発言を、ここにちょっと取り上げてみたのですけれども。これは公聴会、この間、上院でありましたけれども、その時の発言で、今回、北朝鮮との間で『過去の失敗を繰り返さない自信がある』と。同様にこれまで制裁の解除を緩くやりすぎたということも発言していましたけれど。また、『金正恩氏が核兵器でアメリカに脅威を与えないようにするのが私の責任だ』と言っていると。あと『北朝鮮の体制転換を主張したことも、主張することもない』と。これはポンペオさんのもっと前の発言では体制転換と言っていたと思うのですけれど、北朝鮮に対するシグナルとして体制転換を求めないということを明らかに発しているんだなと思うのですけれども。このあたり北朝鮮との間で具体的な交渉が進んでいて、アメリカとしてはこういう体制で首脳会談に臨むから、北朝鮮も準備しろというシグナルを送っているように見えるのですが、マチダさんは、これをどのように見ていますか?」
マチダ氏
「マイク・ポンペオという人は、この問題を非常によくわかっている人ですね。元議員でした。また、議員の時には下院の情報委員会の一員だったんです。ですので、非常によく理解をしています。また、この情報機密の部分からも北朝鮮がどういう意味があるのか、アメリカだけではなくて世界全体にどういう意味があるのかということをよくわかっています。1年間、既にCIA長官を務めているんです。と言うことは、もっと情報を得ていると。北朝鮮が何をしてきたのか、どんなことを、どんなふうになぜやってきたのかと。誰よりもよく知っているだろうと、アメリカ政府の中では。ですので、このポンペオ長官がこのようなことをこの証人委員会で言ったということは非常によくわかるわけです。たとえば、誰か、この長官が証人をされる公聴会で、アメリカの一般に対し、あるいは上院議員に対して、こういったこういうことが何か達成できないから、何もできないと言うこと、前の政権よりもうまくできないなんて言ったとすれば、これは大きな衝撃になりますし、そんなことはないと思います。ですから、それぞれの長官というのは、それは大統領の下で仕事をするんです。ですから、時には、マイク・ポンペオ氏の過去から、何かこんなことを言っていたとしてもそれは現在、大統領が欲していることに関連がないことがあるかもしれませんけれども、しかし、それは政権の一員としてやっていかなくてはなりません、結局のところはです。ですから、大統領のアジェンダに沿ってやっていく必要があるんです。これは北朝鮮に対するシグナルということは、確かにこれから何かを学ぶことはできるとは思いますね。非常に緊密に守っていると思います。ですから、その観点からすれば、それは、長官にとっては最近会ったというだけではなく、復活祭の休暇の時にただ会ったという人物だけではなく、この人は非常に重要な根幹となる人物であるということだと思います、国務長官になった暁にはですね」
前嶋教授
「ポンペオさんが非常に優秀な方というのは、我々にも伝わっているわけですけれど。これの2番目のところで『金正恩が核兵器で米国に脅威を与えないようにするのが…』というのが、日本にとってみれば、米国と同盟国と言ってほしいところで、我々は少しそこでどうだろうと思うところがあるんですね。ただ一方、これは公聴会だと、アメリカの人が見ているというところがあるのかもしれません。ただ、もう1つ裏読みして、これはもしかしたら北朝鮮も見ていて、同盟国と言わないことによって、アメリカと話し合いができるという、こう一種の撒き餌のような気もちょっとしないでもない、何とも言えないところです。もう1点、先ほど、ちょうど松山さんがおっしゃられたポンペオさんが北朝鮮に行く話は、ちょうどキッシンジャーさんだと、あれはどう考えても、我々日本にとってキッシンジャーさんの中国訪問というのは一種、外交のトラウマですよね。我々は台湾を見ていた。しかし、急に中華人民共和国を見ないといけなくなってしまったのであって…」
松山キャスター
「歴史の大転換の舞台裏ですよね?」
前嶋教授
「ただ、ポンペオさんの北朝鮮に行く話を日本が知っていたなら、要するに、キッシンジャーではないわけですね、ニクソンショックはなかったわけです。とは言え、トランプショックはないわけなので。そこらへんは何かこれからいろいろ明らかになってくるところは知りたいところですね」
松山キャスター
「トランプ大統領は常に『All Options are on the Table』と『あらゆる選択肢が手中にある』という言い方をして…」
河井議員
「うん、その通り」
松山キャスター
「今日も、米朝会談が仮にうまくいかなかったら、より強い姿勢で臨むことになるという、軍事攻撃も示唆するような発言もしていると。今度の米朝会談、本当にトップ同士の会談で、ここで何らかの決着がはかれないと、突然、アメリカは方針転換して、対話から軍事オプションに傾くという可能性、そのあたりをどう見ていますか?」
河井議員
「まず今回の一連の流れは北の方から願ってきたんですよ。これは、つまり、日米が連携して、強力な経済制裁、国連経済制裁、瀬取りと言われる第3国経由の船の、沖合のいろいろな物資のやりとり、これも厳しくやってきて。ある話によると、あと1年以内に北朝鮮の外貨準備高、現在約30億ドルだと、中国に毎月流出しているのが約2.5億ドル、よって1年以内に、北朝鮮の外貨準備高は枯渇すると韓国の国家情報委員長が言明しているわけですね。そういう中で厳しくなってきた。北の方から来たと。私が大変印象的なのは、3月ぐらいですか、総理にお会いした時に、大統領の方が強い立場にあるのだと自分から言うつもりだと、そうおっしゃいました。これはいろんな意味合いを含んでいると思っています。1つは、条件は日米、日米の方がこれから突きつけるわけですよ。土俵もこちらが突きつけていくわけですね。その時に、日本側の主張、詳しいことは共同発表でされると思いますけれども、私の推測です、私は非核化について、1つは期限を区切ったCVID、『Complete, Verifiable, and Irreversible Denuclearization』です、完全・検証可能・不可逆的な非核化、この中で特に重要なのはVです、Verifiable。どうやって、この難しい検証可能をこれから実現するか、これでおそらくギリギリ米朝がやってきたか、これからやっていくんだと思います。2つ目は、制裁・圧力は継続すると。制裁の緩和は、完全な核放棄達成後に段階的に検討していくと。3点目は、核と弾道ミサイル、長距離・中距離・短距離、これと拉致を包括的に解決。最後は在韓米軍の維持と。日本側としてはそういった事柄が重要なこととして、アメリカといろいろと話し合いをしていくべきだと思います」
松山キャスター
「マチダさん、どうですか?今日のトランプ大統領の発言からすると、河井さんが言ったように、期限を区切った形での非核化、核・ミサイルの放棄を合意することを目的としているということで、そういう方針は変わっていないということなのですけれども。ただ一方で、うまくいかなかった場合は、より強い姿勢で臨むというこの言葉には、今回の米朝会談で良い方向性が出せなかったら一気に軍事オプションという可能性が高まってくるのではないかという見方もあるようですけれど、そのあたりどのように?」
マチダ氏
「先ほどもありましたけれど、全ての選択肢はテーブルの上に置かれています。しかし、マスコミがどんなことを言おうとしても、大統領がどういう人なのかいろいろ言われていますが、軍事オプションというのが最初のオプションではないと思います。まず外交オプションというのが、大統領が是非進めたいと思っていることだと思います。私は本当に先ほどの意見と、河井先生と意見は同じです。大統領が、これが初めての会談で、検証可能というのが本当にカギなわけです。その他のことを、たとえば、完全な、不可逆的なということは言いますけれども、しかし、これは変わることがあり得ます。アメリカの大統領が代われば、あるいは北朝鮮のトップが代われば、変えられる可能性があるわけですね。ですから、結局、ここで検証はできるんですね。非常に検証ということに対して重要な点というのは、誰が検証するのか、何を検証するのか。第3者ですね、それが国連の安全保障理事会であろうが、誰であろうが、ここで検証したと、これはアメリカが満足いくまで検証したと、核兵器は既にないということが言えるということが大事です。ポンペオ長官が公聴会で言いました、『過去から学ぶ』と。ここでまったくイラクであったことにはしたくないと。核のこの不拡散ということですよね…、はするけれど、しかし、そのためには資源が必要だと、エネルギーが必要だと、原子力は続けたいなどといったことは、そうすると、余地ができてしまいますから、それは与えてはならない。検証可能でなくてはならない」

日米通商問題の行方
斉藤キャスター
「トランプ政権は先月23日、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す輸入制限を発動しました。日本もこの対象国に入っているんです。安倍総理は今回の首脳会談で、日本を対象から外すよう働きかけるとみられているのですが。トランプ大統領は先月22日、このように発言しました。『安倍総理と話をするとほほ笑んでいる。"こんなに長い間、アメリカを出し抜くことができたとは信じられない"という笑みだ。こういった時代はもう終わりだ』と発言しています。通商問題に関しては2日目、明日の会談で主に話し合われるということですが。河井さん、このようなスタンスを見るとなかなか厳しい交渉になりそうなのですけれども、日本は対象外になることができるのでしょうか?」
河井議員
「まずこの鉄鋼・アルミの問題ですけれど、日本の全世界への鉄鋼輸出のうち米国向けは6.0%ですね、昨年。しかも、日本の製品は大変高品質ということですから関税を上げられても影響をそれほど受けないと見方もあります。話題には上がると思われますけれども。トランプ大統領もご承知の通り、取引、ディールがお好きな方ですから。この鉄鋼・アルミで、お願いします、お願いしますと言ったら、何?日米FTA乗ってくれるのという、これはもうあり得ない取引です。だから、それよりも、共和党政権というのは、歴代、だいたい安全保障については日本に対して近い考えであった。でも、貿易については厳しいと。レーガン政権、ブッシュ政権もそうでした。当然、その系譜が続いている。しかも、トランプ大統領は一昨年の大統領選挙でアメリカ人の雇用を守る、皆さんの給与を上げると言って当選してきた人ですから。厳しく当たってくるだろうということは当然、安倍政権も読んでいたわけで。その先手、先手を打ってきたのだけれども、あまりそれが報じられていないのが残念ですけれども。1つだけ言うと、昨年7月、日本とEU(欧州連合)のEPA(経済連携協定)、これで直後、ハンブルクのG20サミット、トランプ大統領は安倍総理の顔を見るなり、『晋三、やるな』と言ったといわれているんです。そのあとがTPP11、日本の主導権でつくりあげました。つまり、環太平洋とヨーロッパと、この大きな経済圏を自由貿易の枠で、日本が主導する形でつくったわけですね。そういうものを引っ提げて、トランプ大統領と安倍総理は相対している。だから、あとでも議論が出ると思いますけれども、トランプさん自身は最近、FTAという言葉を使っていないですよ、バイラティラルですね」
松山キャスター
「バイラティラルというのは言っていますね」
河井議員
「うん。私は、2国間、イコール、FTAではない。イコールというのは…」
松山キャスター
「別な形がある?」
河井議員
「全てが、全集合と言うのですかね、全てが含まれているとは考えていない。そこが1つ、明日行われるワーキングランチでの私は焦点ではないかと。だいたいFTAをやろうと思ったら、2年、3年、平気で経ちますから。目に見える成果がほしい、この秋の中間選挙、ここで下院を絶対に過半数割れを起こさせたくないというのがトランプ大統領の命題ですから。そうなると、また別の2国間のさまざまな話し合いが出てくるのではないかと推測します」
松山キャスター
「河井さんがおっしゃる通り、初日の日米首脳会談を終わったあとに、トランプ大統領はツイートしていまして、その中で貿易について言っているのですけれど。『日本や韓国はアメリカにTPPに復帰するよう求めているが、私はTPPを好まない』と。韓国はもともとTPPのメンバーでないので、トランプさんがちゃんと理解しているのかなと若干心配になるところなんですけども。そのうえで『2国間取引の方が効果的で有益だ』という言い方をしている。FTAとは言っていないけれど、2国間取引という言い方をしていると。明日、2日目の首脳会談は通商問題でこの2国間取引ということをかなりグイグイ言ってくると思うのですけれども。日本としては2国間の取引に持ち込まれると、自動車とかで1980年代の貿易摩擦を思い出すとかなり厳しい譲歩を迫られるのではないかという懸念が相当あると思うのですけれども」
河井議員
「ライトハイザーUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)の代表、彼は、おそらく成功体験があると思って。前、彼が…」
松山キャスター
「レーガンの時ですか?」
河井議員
「ブイブイ言っていた時…。それで日本の自動車のさまざまな輸出入の問題について成果を上げたと、おそらく成功体験があると思うんですね。ただ一方で、たとえば、アメリカ産のシェールガスを日本がもっと輸入するとか、あるいはアドさんもいろいろと関心を持っていらっしゃるけれども、アメリカ国内のインフラストラクチャー、社会基盤整備の投資に日本が協力をするとか、あるいは日本企業がアメリカにもっと投資することによって結果としてアメリカに輸出を増やすとか。そういったさまざまな話し合いというのは、私は可能性としてあるのではないかと考えます」
松山キャスター
「マチダさん、どうですか?河井さんは今回、トランプ大統領はFTAというはっきりとした言い方では言ってこないのではないかという見通しを話されました。日本としてはFTAをアメリカはやりたがっているのではないかという思いはかなり強いと思うのですけれども。今回、首脳会談でそういう意見を言ってくる可能性はありますか?」
マチダ氏
「私の考えでは特に驚きではないと思います。究極的な目標としてはアメリカにとっては日米のFTAのような合意をしたいと考えていると思います。その意味合いとして、大統領自身は必ずしもそれを、FTAがほしいとはっきりとは明言しているわけではない、むしろ2国間取引、2国間ということを言っているわけです。実質的に2国間であればいいという考えだと思います。2国間による合意というもので、私の考えでは業界別に結ぶことができるのではないかと思います。たとえば、日米の農業において、あるいは自動車業界において2国間取引する。あるいは貿易において、あるいはエネルギー問題、エネルギーにおいて2国間で取り決めをする。それが全て総合すればいつかの時点で将来的においては実質的にはFTAのようなものになるということが言えるわけです。ですから、もう1つ、もう1点、指摘したいのは、たとえば、YouTubeなどを見ることができますが、トランプ氏の1980年代、あるいは1990年代の発言を見てみますと不公平な貿易慣行ということが日米間であるということを言っていました。日本…株式会社が、日本がより優位な形で、対アメリカとの貿易を進めているということを言っていました。その2点は続いていると思います。彼の心の中では、いや、保守的な経済学者的なモデルとして、クリントン政権の1部であった場合においてもそういった輸入によってアメリカにおいては赤字が生じているということは、貿易赤字が…、そうすることは製造業の職がアメリカでは、国内では失われてしまうわけです。本来はアメリカでそれらの産品を国内で製造できたのに、そうではなくなってきたということですね。従って、大切な点としてはペンス副大統領、また、日米経済対話を結ぶということ。また、それと並行してライトハイザーUSTR代表と、それから、茂木大臣との間で、またもう1つ、話し合いの道筋をつくるということは、と言うのは日本企業による外国直接投資はアメリカにおいては、200億から400億ぐらい相当ですね。これはこの85万人の雇用を生み出すわけです。これは素晴らしいことです。それは本当に素晴らしいことです。ただ、逆にその裏側を見れば、アメリカにとって問題なのは、アメリカの企業が日本市場で成功するということがもっと大事、さらに大事ですね」
松山キャスター
「一方、トランプ大統領、1回は離脱を表明したTPPをもう1回、復帰できないか検討しろということをライトハイザーさんに指示したと言われていますけれど、どういう風向きの変化ですか?TPPを、たとえば、対中国へのカウンターパートのパワーとしてつくりあげたいのか、アメリカとしてTPPをもっとアメリカファーストを実現するためのツールとして使いたいのか、どういう意向が働いているのですか?」
マチダ氏
「全て相当すると思います。おっしゃったこと全てが当てはまると思います。是非、誤解していただきたくないのは、理由として大統領がTPPから撤退したのは理由があるからです。アメリカの国益にとっては良いものではなかったからです。製造業の職においても失われてしまうわけです。従って既存の状態の中でいろいろな話し合いができる。たとえば、1万8000の製品があって、それらのモノが、アメリカからTPPの各国に輸出できるとは言っても、1万8000ある品目のうち、たとえば、昨年だけを考えてみても半分以上は実はアメリカはそもそもTPP各国に輸出をしていない製品なんですね。7000、残りの7500はアメリカがTPP各国に輸出しているのは非常に量としては少ないわけです。従って、特にアメリカから見た場合に、TPPに再加入するのは特にメリットはない。しかし、例外的には、アメリカが実際に各国のために机上について再交渉することができればまた話は別ですが」
松山キャスター
「前嶋さん、どうですか?」
前嶋教授
「そうです。ほとんどマチダさんと意見が同じのとこではあるのですが、いや、河井さんと同じところがあるのですが。トランプさんが何を見ているかと言うとおそらく常に自分の支持者はどこにあるかということだと思うんです。それが鉄鋼・アルミニウム、それが白人ブルーカラー層かもしれないけれども、…の話であって、そこから始まって。一方、TPPに戻る話というのは、トランプさんの支持者は一枚岩ではなくて、自由貿易という言葉に惹かれる人はいっぱいあって。あとTPPの話に戻るという話で株価が動くわけですので、そこで喜ぶ人もいっぱいいる。そこらへんを見ながら動いていると思うんですね。一方、個別のディールの話、今日、ちょっとマチダさんもおっしゃられた、シェールガス、もちろん、河井さんもおっしゃられたのですが、牛肉とか、牛肉の関税引き下げ、あれも、たぶんトランプさんの支持者、まさに農業セクターは喜びます。だから、そこらへんを、どこを喜ばせるかを考えながら動いていて、時に矛盾するような、保護主義的な動きから自由主義っぽいものに戻るよみたいな、見せながらというのが、トランプさんのトランプさん的と言うか、過去にない大統領ということだと思うんですよね」
松山キャスター
「たとえば、アメリカのホワイトハウスの中を見ると、それまでうまくやっていたと見られていた閣僚がドンドン確執を伝えられ、ティラーソンさんが去ったりとか、マクマスターさんがNSCから去ったりというのを見ていると、1度その懐の中に入った人でも何かがきっかけで人間関係が崩れていくというのが、これが仮に安倍総理にも当てはまるのだとすると、すごく大丈夫かなという気持ちになってくるのですが」
マチダ氏
「私は、それは全然違うことだと思うんですね。お話なさったのは大統領の下で仕えている人達、自分のスタッフの話だったんです、先ほどの話。つまり、大統領が、やっていることが気に入らないとか、あるいはやっていることは良いけれども、しかし、個人的に相性が良くない時だったら、辞めさせるということもあるわけですね。しかし、日本の総理を解任することはもちろん、できないわけですよね。そういう権限があるわけではないですから。この数日間、非常に私は面白いなと思うのは日本のマスコミというか、いかにこのハネムーンですね、アメリカと日本の間のハネムーンが終わったというようなことを言っていますが、私に言わせれば、いや、そんなことはないと、今は結婚した夫婦だよと。結婚した夫婦なのだったら、そしたら時には不一致はありますよね、それはいいですよ、意見が違うことがあっても、夫婦なのですから。そこでお互いにコミットメントがあれば、それぞれの国に、お互いが大事だということが重要です。ですから、アメリカは日本と安全保障の協定、それを21世紀にどうやって形づくっていくのかということは、非対称的な世界の中で、それも全て関係してくるんです」
松山キャスター
「前嶋さん、どうですか?マチダさんの方からハネムーン期間だという話もあって、いや、それどころではない、既にカチッとした結婚をした首脳同士みたいな話がありましたけれども。現在、良好とされる安倍・トランプ関係は今後、そのまま維持できると考えますか?」
前嶋教授
「ええ、維持できるのではないかなと思いますよね。と言うか、トランプさんにとって世界のリーダーの中で誰と話ができるかと言ったら、安倍さんのところに来ると思うんですよね。それが1つだと思います。たとえば、ティラーソンさんの話をしたり、マクマスターさんの話をしたり、そもそもうまくトランプさんと合わなかった人ですね。これまでずっとトランプさんとうまくやっていたという意味でよくて。一方、とてもおもしろいたとえで、要するに、ハネムーンが終わって、これから夫婦だということで、意外とトランプさんは訳のわからないことを、日本にとって訳のわからないことを言ってくるのかもしれません。たとえば、先ほどの話ですね。『こんなに長い間、アメリカを出し抜くことができるなんて信じられない』という話ですね。こんなのは…」
松山キャスター
「突然、言い出しますよね?」
前嶋教授
「突然言い出したら、ハネムーンだったらもう別れてやるという話だけれども、結婚したあとだったら、うーん、バカなことを言いやがって、ということになるかもしれない。要するに、安倍さんとしてもそれをもうちょっと、少し上の立場で見れるというのかな、ちょっと落ち着いた立場で見られるかもしれないと、こんなふうになっていくとは思うんですね。ただ、だけど、トランプさんの不確実なことは常にありますよね、何が出てくるか。ちょっと日本の安倍さんの予想を超えるようなことも出てくるかもしれません。その時に安倍さんは用意しているとは思うのですけれど、でも、我々ちょっと驚いちゃうことも何度もおそらく今後もあると思いますね。常に支持者を見ていると思うので、トランプさんは」
松山キャスター
「河井さん、どうですか?常に支持者を見ているという前嶋さんの発言がありましたけれども、選挙がだんだん中間選挙もあって、2年後には大統領選挙もあるということで、選挙用に一般市民を見始めると、だんだん安倍さんとの蜜月だけをアピールするというわけにもいかなくなってくるという気もするのですけれども」
河井議員
「私は、就任したその日から、次の選挙がトランプ大統領はずっと念頭にあると思いますね。それは、でも、ある意味、民主主義の国ですから、選挙で全てが決定されますので、それがこれまでの合衆国大統領とはやや違う表現かもしれないけれども、当然そのことも総理は見越したうえでいろいろと考えていらっしゃる。北朝鮮問題について、よく聞かれるのが1番影響力を持っているのが誰ですか、ボルトン氏ですか、マティス氏ですか、あるいはポンペオさんですか。それは誰とも違うと思っていて、安倍晋三、安倍晋三という人。そういった意味で、本当にまったく交渉経験がないところから出発して、これまで、繰り返しになるけれど、26回目の会談、いろいろなことを総理なりに頭づくりでお手伝いしてきたと思うんです。それが1つ、1つ実を結びつつあると。しかも、日本の経済、世界第3位、強力です。そこを引っ張っている指導者、これからも安倍総理の価値というのはまったく変化はないと思います」
斉藤キャスター
「それでは皆さんから、今後のトランプ政権との向き合い方について提言をいただきます」

前嶋和弘 上智大学大学院教授の提言 『信頼関係をさらなる武器に』
前嶋教授
「『信頼関係をさらなる武器に』と。要するに、信頼関係は安倍さんとトランプさんある。これで本当に国難ですね、日本にとって、これをどう乗り越えるか。世界にとっても国難、アメリカにとっても大きなポイントのここをどう乗り越えるのか。これを武器に、テコに、うまく乗り切ってほしいなと、こう思います」

河井克行 自由民主党総裁外交特別補佐の提言 『シンゾーに聞け』
河井議員
「『シンゾーに聞け』と。シンゾーとは安倍晋三さんのことです。もうトランプ大統領とのお付き合いの仕方、いろいろな議題設定の仕方、話の持っていき方、もう1番詳しいのは、私は安倍総理だと思います。逆にトランプさんにも『シンゾーに聞け』と、それを言いたい」

アド・マチダ 元米トランプ政権移行チーム幹部の提言 『TRUSTED PARTNER』
マチダ氏
「私も、感触として同じことを申し上げるわけですが、信頼できるパートナーですね。この信頼できるパートナー、まさに日米関係というものが、かつてないほど最高に良い状態にある。日米関係を研究してきた人間にとって最も良い関係にあると思います。このパートナーシップを一緒に、まさに現在、続けていく必要が