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2018年4月16日(月)
8年ぶり日中経済対話 習主席の貿易戦略とは

ゲスト

宮本雄二
元駐中国大使
呉軍華
日本総合研究所理事
西濱徹
第一生命経済研究所主席エコノミスト

8年ぶり『日中経済対話』再開 日本が狙う『果実』×巨龍の戦略
竹内キャスター
「日本と中国の経済連携について考えます。中国の王毅外相が来日し、河野外務大臣との会談に続き、尖閣国有化などによって途絶えていた閣僚級の経済対話が再開しました。日本からは茂木経済再生担当大臣、世耕経産大臣、石井国交大臣、中国側は財政大臣や商務大臣も加わり、およそ8年ぶりとなる経済協議が行われました。現在、あらためて経済的なつながりを深める意義、双方の狙いや、メリットは何なのか。日中とアジア経済の将来を展望します。会談の冒頭で、両大臣はこのような発言をしています。河野外務大臣は『互いに協力するパートナーで脅威にならないという認識に基づき、平和友好の関係を再構築したい』、それに対して中国の王毅外相は『日本側の前向きな対中政策に応えるために、私は招聘に応じた。両国間に1部複雑で敏感な要素もあるが、共に努力して持続的に関係を改善したい』と言っているのですが、王毅外相は表情も硬く、笑顔もなかったということですが」
松山キャスター
「今回、王毅さんは『日本の前向きな姿勢に対して応えるために招聘を受けた』という言い方をしていますけれど、実際のところ、今回のハイレベル対話も含め、今回来日に至ったのは、どっちの意向が強く働いているのですか、中国側と日本側?」
宮本氏
「1つは河野大臣が今年1月に訪中されましたし、そうすると次は中国側が来る番である。それから、日中関係を前に進めるというこの大きな方針が決まりましたから、従って日中韓3か国首脳会談も決まるわけです。そうすると、それを5月に控えていますから、そのための準備をしなければいけないですね。そういう意味での今回、王毅さんの訪日は3か国首脳会談に関する準備という側面もありましたので。従って、あまり手練手管でやっていくと言うよりは、そういうふうにスケジュールが決まっていて、それに対応するための、今回、日中のそういう外相会談だったなと思っています」
松山キャスター
「呉さんはいかがですか?」
呉氏
「安倍政権が中国に向けて昨年からいろいろ動き出した背景は北朝鮮の動きがありまして。中国の方もある意味では、トランプ政権の発足とほぼ同じ…と同時に、対中姿勢のソフトランディング化がはかってきているので。この意味では、双方、共同、目的あるいは思惑が違っていたかもしれないけれども、思惑が一致したということがあったのではないかと思います」
竹内キャスター
「西濱さんは?」
西濱氏
「先ほどから話がありましたが、アメリカという存在が大きいのかなと思いますね。ただ、王毅さんのお話を聞いていると、話しぶりを見ていると、非常に国内向けには、日本からいろいろ言われたから、へいこらやって来ましたよ、ということは口が裂けても言えないということが当然ありますでしょうし、特にここ数年、王毅さん自身はもともと日本の大使もされていたことがありますので、非常に日本語もご堪能ですし、非常に日本のことをご存知である。しかしながら、非常に近年、記者会見の場とかですと、どちらかと言うと、非常に強いポジションをとってきたっていうこともあります。先月の全人代の最終日ですか、記者会見をされた時も、非常に強いトーンでお話をされていて、日本に対して、いや、日本があくまでも言ったのだからね、という体でしか、なかなか来られないというのは当然ながらあるのではないかと。ただ、そうは言っても、環境としては中国の側としても意地を張ってもいられないというのも1つあるのではないかなと考えています」

米『トランプ旋風』と貿易戦略
竹内キャスター
「3月にアメリカが鉄鋼25%・アルミ10%の関税措置を決めたことから、この応酬合戦がスタートしています。4月2日には中国が、豚肉や果物に最大25%の関税をかけると発表します。その翌日にはアメリカが知的財産権に絡んで、5.3兆円規模、自動車や航空機に25%の追加関税措置をとると発表します。それに対し中国も大豆・小麦への同規模の報復関税で応じるということです。しかし、4月10日には習近平国家主席が中国主催の経済フォーラムで『新たな市場開放策と輸入拡大』を発表したのを受け、トランプ大統領は会見で『互いに関税をかけずに解決する可能性もある』と言及しました」
松山キャスター
「呉さんはどうですか?この米中の関税合戦…」
呉氏
「実は、先々週までちょっとアメリカ、ワシントンに行ってきたのですけれども。そこでもちろん、アメリカの…、会ったのはほとんどいわゆるエスタブリッシュメント、共和・民主を含めて、皆、口を揃えてトランプさんの関税政策を批判する。しかし、これは日本とも同じですね。ただ一方で、中国に対しては毅然として何かしなくてはいけないと。まさに昨年の後半ですね、トランプ政権が出してきた、中国を、いわゆるライバル、競争相手にした、こういうような位置づけは全面的に支持していると。そうすると、トランプさんとこういう人達の違いはどこにあるかというのは、何をテコにして競争していくかのところに違いがあります。伝統…、いわゆる経済理論とか、あるいはこれまでの歴史の経験から言うと、貿易戦争をやるとお互いに大変だと、良くないことだと。特に現在の、第1、第2位の経済大国なので、それで大きな貿易戦争が起きたら世界も大変だと。こういう意味で、非常に関税、反対していますけれど。しかし、その一方で、中国との、いわゆる大国間競争をやっていくために、何かテコが必要です、レバレッジ。それはトランプさんがどこまで本気かわかりませんけれども、認識しているかわかりませんけれども、明らかに関税を1つのレバレッジとして使おうとしている。そうすると、これに反対ですけれど、いわゆるエスタブリッシュメント達もこれに代替し得るようなものはないと。一応、もちろん、出てきているのですけれども、TPPとか、有志連合、日米欧の有志連合とか、こういうような発想はありますけれども、しかし、間に合うかどうか…」
松山キャスター
「突然、何かアメリカが、消極的だとみられていたTPPへ、復帰を検討するよう指示するという動きが直後に起きました。これは、これまで否定的だったTPPにもう1回戻る可能性を示唆したというのは対中国を睨んでの動きと見ていますか?」
呉氏
「対中国を睨んでいる部分もあれば、場合によって、この間のワシントンでの感触では、いわゆるエスタブリッシュメント達への1つの対応、対応というか、意思表明ですね。こういうことも含めて、私はまだ可能性は低いと見ていますけれど。少なくとも関税だけでないよというところもあるのではないかなという感じはします」
宮本氏
「呉さんが説明された中で非常に重要なのは、トランプはアメリカであらゆる分野で国論を分離させて、あちこちでいろいろ問題が起こってきているわけですが。ただ1つ、アメリカのワシントン、とりわけワシントンで、コンセンサスが浮上してきたと。それは中国に強く当たるということなので。これはトランプ政権になって、そういうアメリカの評論を読んだことがありますけれども。従って、今おっしゃった…」
松山キャスター
「これまで波長が合っていなかったエスタブリッシュメントも含めて…」
宮本氏
「ええ、ですから…」
松山キャスター
「共通で敵として出していくと、まとまる可能性があると?」
宮本氏
「中国をこれから注視し、中国に対して強い姿勢でやっていかなければいけないというコンセンサスが…」
呉氏
「そうです」
宮本氏
「民主党・共和党、エスタブリッシュメント、そうではない人を問わずアメリカの社会でできあがってきたということらしいんですね。これは米中関係を眺めていくうえで、こういう大きな背景があるということは常に我々は頭の片隅に置いておかなければいかんと思います」

日米中『通商政策』の攻防 米国が狙う『果実』と戦略
竹内キャスター
「アメリカから見た貿易赤字の額は中国の方がはるかに大きいのですが、呉さんは日本もターゲットになっているかどうか、どのように見ていますか?」
呉氏
「貿易赤字だけ、いわゆる経済的側面だけで見ると当然、日本も視野に入ってくると思いますけれども。先ほども申し上げましたけれども、現在のアメリカでは中国を競争相手に見ているのは、経済的な競争相手だけではなくて、むしろかつての…」
松山キャスター
「安全保障も…」
呉氏
「安全保障も、かつてのソ連に匹敵するほどの競争相手になっているので、ということから考えると、同じく日本は対象になるかもしれないけれど、全然意味が違ってくるんですね」
松山キャスター
「よく今回の米中の貿易摩擦を、日本とアメリカとの当時の貿易摩擦と比較する議論がありますけれども、唯一違うのは、日本とアメリカとの間で安全保障面での対立というのはもちろん、なかったわけで…」
呉氏
「ないです、そうです、はい」
松山キャスター
「今回、中国との間ではそれが要素としてあると?」
呉氏
「はい」
松山キャスター
「余計、複雑で難しい問題になってくると思うのですけれども」
呉氏
「はい」
松山キャスター
「どうですかね?」
呉氏
「まさにその通りでありまして。こういう地政学的な競争相手という意識が、1つは大きな国としてのパワーですね、存在する。あとこの数年間、アメリカで非常に目立って考えられているのは中国が価値観、イデオロギー的に我々と、アメリカですね、…と全く違う国だと。しかも、ますます違うようになっていると。現在になってこういうアメリカの認識が表面化になったのですけれども、実は私、個人的にはまだその時、ワシントンで取材していたのですけれども、2015年に、こういう構造になるんだなと思っていました。いろいろ書きましたけれども。なぜかと言うと、その年になって実はアメリカでは2010年頃から中国に対する政策、対中政策の反省ムードがあったんですね。これまで、たとえば、対中融和派があって、『パンダ・ハガー』と呼ばれる人達ですけれど、対中融和派があって、対中強硬派がいた。対中強硬派のロジックは非常にわかりやすいですけれども。対中融和すべきだと言っている人達のロジックは、決して共産主義、中国が好きだからと当然ならないですね。むしろWTO(世界貿易機関)加盟の時にも主張されていたのですけれども、中国の経済成長、改革開放を支援すれば、中国経済が成長し、中産階級が出てくる。中産階級が拡大してくると政治の多元化につながっていくと。その結果、アメリカと同じ国になるのだと。だから、支援すべきだというロジックがあったんですね。こういうロジックは2010年頃からちょっといろいろ反省が始まっていて、2015年にこういう反省の結果が表に出てきたんですね、もう既に」

米・トランプ政権との『距離感』
松山キャスター
「アメリカに対して中国が、以前では考えられなかったのですけれども、たとえば、自由貿易が重要だということを中国の方から声高に主張する構図になっている」
呉氏
「うん」
松山キャスター
「ちょっと前までは、なかなかそういうことが予想できなかったと思うのですけれども。中国はそういう主張をすることによってアメリカと対峙し、周りに味方をつけていこうという動きを強めているということなのですか?」
呉氏
「もちろん、おっしゃる通りですけれども。ただ、私が、自由貿易、4文字同じでも時代によって違うんです、実際の意味が。アメリカがかつて自由貿易を最も主張していた国で、なぜここにきて公正と言うようになったか、逆に中国がなぜ自由貿易を擁護するか、それは非常に単純ですね。かつてはアメリカにとって自由貿易が1番国益に合うから。現在になって、中国にとって、いわゆる自由貿易が1番国益に合うからということで。と言うことは、非常に個人的にはこれはポスト冷戦、冷戦崩壊が1つ大きな境目となって、いわゆるグローバリゼーションという名のもとでの自由貿易の流れ、構造は、だいぶ変わってきたんですね。その変わった結果、現在のアメリカ、あるいはヨーロッパで反グローバル化、反自由貿易のうねりが起きていまして、その結果、トランプ政権が誕生したんですね。その変わった中で、その期間中の自由貿易、あるいはグローバル化の最も恩恵を受けたのはどこかと言うと、中国ですね。当然、守る、ある意味では」
松山キャスター
「宮本さん、どうですか?中国は現在、日本に接近しようとしていて、同じ自由貿易という旗印の下でアメリカと対峙しようとしているという構図がうっすらと見えるような状況。こういう中で、たとえば、日本と中国は、だから、それに乗ってアメリカと戦いましょうと、簡単にはなかなか言えないと思うんですよね、日米の同盟関係もありますし、そういう構図をどう見ていますか?」
宮本氏
「ただ、その自由貿易というものを、アメリカという国が、もう捨てたかと言うと、そうではないと思いますよ。従って、アメリカという国が今後、経済的に発展を続けていくためにも、彼らも自由貿易を必要としているわけで。アメリカの地位が相対的に低くなればなるほど、ルールに基づく自由貿易というのが大事になるんですよね。力が大きければ、ルールをちょっと逸脱したても構わないわけですけれども。相対的に力が弱くなってくればくるほど、ますますルールが大事になってきますから。そういうことを考えていくと、アメリカもそういうルールに基づく自由貿易という世界に必ず帰ってくると思っていますので。従って、私は日本も含めて、そういうルールに基づく自由貿易というのをむしろ強化する方向、それを打ち出すと。それは、たまたま中国とそれで同じ船に乗ったように見えるかもしれませんが、くれぐれもアメリカとの関係では、あまりしっかりと抱き合った形でアメリカにその船で行くというのは、外交技術上はやめた方がいいのではないのだろうかという感じが。しかし、実際上、そういうルールに基づく自由貿易、これを中国も推進するということがはっきりしてくれば、別に日本も中国と対立する必要はないわけで、そこは同じ船に乗ったらいいとは思いますけれども。しかし、同時にアメリカも同じ船に乗せるように努力するということではないでしょうか」
松山キャスター
「TPP11については『最大の参加国であって、貿易で何年もアメリカに打撃を与えてきた日本との交渉も作業を進める』と。実際にこの段階でTPP再検討を指示したというのは、TPP11に対する牽制なのか、あるいは本当にアメリカ国内の選挙対策として言い出したのか、宮本さん、そのあたりはどのように?」
宮本氏
「トランプさん本人というのは、やはり選挙を気にされる人ではないでしょうか。そうだとすれば、いろいろな形で中国に対する制裁を課すにしても、その結果、1部の業界は喜ぶのですが、他の業界は打撃を受けるんですね。これが経済の成り立ちですよね。もう全員が幸せになるようなものはありませんから、相互依存がこんなに深くなっている経済関係の中で。そうすると、こちらではこちら、あちらではまた別のを救うということになると、TPPで利益を得る産業界もあるわけですね。ですから、そういうことに対する配慮もトータルで考えていけば、少し軌道修正をすればいい、した方がいいとお考えになった可能性があるのではないかなと思います」
松山キャスター
「なるほど。西濱さん、どうですか?今回のTPP復帰の動きは」
西濱氏
「TPPの再検討を指示した時は、ちょうど農業団体に強い、知事の方とか、議員の方と一緒だったということがあるので。そこらへんもちょっとリップサービス的な意味合いが強いのかなとは思いますが。ただ、その一方で、アメリカとしても振り上げた拳を、ある種、TPPに関して言うと、既にTPP11が走り始めつつあるという中でそのまま置いて行かれると、アメリカとしても非常に具合が悪いと。それに対する牽制というのも、当然ながらあろうかという感じもしますし。あとは中国は非常に、公の立場で見れば、どうも中国がもっともらしいことを言っていて、どうも自分が分が悪くなりつつあるという中で、いやいや、待ってください、私としてもいろいろなオプションがあるんですよということを見せる意味合いもあったのではないかなと思いますね」

双方の戦略とアジアの未来
松山キャスター
「今回のハイレベル対話が終わって出てきた合意内容というのが、まとめた図にあるのですけど、日中経済の連携強化と自由貿易体制の維持。日中韓FTA(自由貿易)・RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の協議、あと一帯一路構想への協力というところでも、ある程度一定の合意を得たということなのですけれども。今回の対話の結果については、概ね予想されていた範囲の結果が出たなという感じですか?」
宮本氏
「そうですね。なおかつそれを1歩、相当明確な形で打ち出したというのは短期間の間に首脳交流がこれから始まっていきますので、そういうことを念頭に置いて、少しはっきりした形で合意をつくって、より具体的な成果を首脳会談の時に出したいという感じが見えてきます。想像したよりは踏み込んだ内容になっているのではないかと思います」
松山キャスター
「なるほど。日本側としては、この一帯一路についてはもちろん、ある程度、合意はされているのですけれども、一方で、この話の中で日本政府としては『自由で開かれたインド太平洋戦略』というものも推進するということを合わせて伝えていると。一帯一路という構想は中国中心でやっているものですけれども、インド太平洋戦略というのは日本とアメリカ主導でやろうとしている戦略。その2点というのは、必ずしも思惑が一致していないのではないかなという気がするのですけれども」
宮本氏
「そういうふうに中国主導でやって、それが中国の勢力圏の、確立につながるのではないかというのを、世界中が心配し始めたんですね。それで昨年の一帯一路ハイレベルフォーラムの場で、5月でしたか、昨年の。習近平さんが演説をして、その中に、一帯一路というのは屋上屋を重ねるような、既存のものと矛盾するような、そういうものではないのだと、補完するものなのだと。それから、全てのいろいろな国がいろいろな、そういう構想を持っているわけですけれども、ロシアも持っていますし、モンゴルも持っていますし、いろいろな国が持っているのですが、そういうものとの結節点と言うか、そういうのをつなぎ合わせ、一緒にやっていく、そういう場を提供するのだと言っておられるんですね。何かと言うと、ちょっときつい言葉で言えば、中身がボヤッとしているんです。こういうのが一帯一路で、従って、これでこういう中に入ってくださいと、そういうものでは実はなかったんですね」
松山キャスター
「あぁ、ただ、なるべく多くの国を参加させるためにボヤッとさせる…」
宮本氏
「…入って、一帯一路と漠然と言われている地域に、インフラ整備を中心として、経済を発展させる、そういうこの動きを始めましょうということですから。日本は日本の考え方に従って、この地域の経済発展、あるいはその国の経済発展、日本との関係、いろいろ考えて、それで非常に大事だというものがあれば、それをその一帯一路の構想の中で言ってもいいし、インド太平洋の構想の中でも言ってもいい。習近平さんも他のそういう構想と排除し合うものではありませんということですから、日本はインド太平洋、同時に一帯一路と、そういうことも成り立ち得る世界ですね」

習近平体制 『市場開放』の真意
竹内キャスター
「4月10日、海南省・ボアオで開かれた経済フォーラムの基調講演で、習近平国家主席が提唱した、こちら市場開放政策。こちらまず外国資本の参入規制の緩和、具体的には、証券・保険・自動車製造業で資本の半分を超える過半出資を容認し、外資の経営権の拡大をはかるというものです。投資環境も改善し、国内企業と海外企業を法制度的にも公平に扱う、内外無差別のルールを徹底するということです。さらに、知的財産権を保護するため、担当官庁を拡充して違反業者の取り締まりを強化するということです。輸入拡大策として、自動車の関税引き下げなどを検討、としています。これらは海外からの投資を呼び込むために、これまでのルールを見直すという方針なのですが、西濱さんはこの背景と実効性についてどう見ていますか?」
西濱氏
「特に自動車の関税引き下げというのは現在アメリカといろいろバチバチやっている中で、ヨーロッパだとか、その他のプレイヤーを引き合わせるというのに非常に効果があるのかなという感じがしますね。あと外資の参入ということでいくと、証券・保険、金融業界について実はこの記者会見が行われた翌日に人民日報が具体的な策を発表していて、実際、51%までの出資に関しては6月末と期限を区切っているというようなことで。かなり金融に関しては、特に中国国内で過剰債務の問題であるだとか、もしくは社会保障制度がまだ未成熟な部分がありますので、民間セクターが入ることによって、そういった部分を増やそうというある種、中国の抱えている課題を外資を入れることによってクリアにしようという狙いがあるのかなと思う一方、たとえば、この中にある知的財産権の保護に関しては確かにやるとは言ったものの、どういうタイムスケジュールでやるのかがまったく見えてこないというところもありますので。そこらへんはちょっと硬軟取り混ぜて見ないといけない。かつ商務部長は結構これに対してアメリカがやってきたら、間髪入れずに対抗措置をやると、非常に強いメッセージを出したりしますので。全部が全部、たぶんなるという話ではないのかなと。あくまでも中国側にとってやりたいこと、かつ中国側の望むスケジュールというのがまず大前提になっているのではないかと」
松山キャスター
「これはまさにスケジュールが入っていないですよね?」
西濱氏
「はい」
松山キャスター
「どちらかと言うと、アメリカ側との関税引き上げ合戦みたいな流れの中で、突然、習近平主席が演説の中で言ったっていうことなのですけれども。現実問題として、たとえば、証券・保険・自動車産業に過半の出資を認めるとか、かなり中国としては踏み込んだ内容になっていると思うのですけれども、現実こんなことがすぐ可能になるものなのですか?」
西濱氏
「おそらく証券・保険に関して言うとかなりこれは既に具体策が出ていますので、ある程度できるのかなという感じはします。ただ、製造業とか、あと知的財産の問題に関して見れば、中国は中期的な計画と考えて、その『中国製造2025』とかを考えると、それまでに解放して、外に入って来られるというのは、なかなか中国としても受け入れにくい状況にまだまだあるのではないかなと。そういう意味では、そこを楽観視し過ぎて、過大な期待を持っていくというのはちょっと諫める必要があるのではなかろうかという捉え方をしています」
松山キャスター
「宮本さん、たとえば、知的財産権の保護について取り締まりの強化をするということを中国側は一応、方針として出しているのですけれど、まさにアメリカとの間ではここが1番焦点になっているところだと思うのですが。なかなか具体策は見えてこないのですけれども…」
宮本氏
「いや、これは諸刃の刃です。と言うのは、中国もそろそろ自分の知財を守っていかなければいかんという状況になってきているわけです」
松山キャスター
「あぁ、それだけ技術も発達して?」
宮本氏
「ええ。それから、国内で、中国企業の知財を、他の中国企業に守らせなければいかんという問題も実はあるわけですね。ですから、一概に、これまでのように、全部、中国が外から知財をやって、一方的なものではなくなってきている客観的な変化はあると思います。私は2001年、2000年、2001年ぐらいのWTOに参加する時に中国にいたのですが、その時にWTOの交渉の責任者が、私達にはっきり言っていたのは、別にあなた達から言われて、我々はWTOに入るのではないのだと。WTOに入ることによって、我々は国内の既得権益の人間を排除して、改革を進めるのだと。だから、あの時は明確に改革を進めるためにWTOに入ったんです。結果として世界中から投資が来るようになって、今日の中国の経済発展はWTOのおかげですけれども。あの時に交渉当事者は、日米、あるいはヨーロッパから言われて、あれをしましょう、これをしましょうと、そういう側面はありましたけれども、相当痛みを伴うWTO加入を決断したのは、国内改革のためだったんですね。だから、今回のヤツも、いくつか国内改革を念頭に置いて、同時にアメリカが喜ぶというものもあるようですから」
松山キャスター
「ある程度、本気でやろうとしているものも?」
宮本氏
「ええ、入っている。何パーセント、パーセンテージはちょっとわかりませんが、そういうのも入っているのでは、真水も入っているのではないだろうかと思います」
松山キャスター
「呉さん、どうですか?中国は本気でこれをやってくると見ますか?」
呉氏
「新しいと言っても、実は新しくないものもいっぱいあるのですけれども。先ほどからWTOの話があるけれども、それは相当、WTO加盟交渉の時に出てきたものも入っていまして。ただし、私が評価したいのは米中間で貿易戦争が勃発するかもしれないような不安が高まる中で習近平国家主席自ら、…の声で、こうやる、ということで、少なくとも安心材料を1つ与えようとするところは、評価してもいいのではないかなと思います」

自由貿易とアジアの未来
竹内キャスター
「今日は日本側からの提案で、WTO、世界貿易機関による自由貿易体制の維持も日中間の議題に上ったようですが。中国とアメリカは現在、関税措置をめぐって双方から訴訟合戦を展開しています。こちら3月23日、先に訴えを起こしたのはアメリカです。知的財産権を侵害していると中国を提訴します。これを受けて、中国側が一方的な関税引き上げはWTO違反としてアメリカを提訴しています。アメリカは知的財産権の侵害、中国はWTO違反だと言っているわけですが、西濱さん、どちらに分があると思いますか?」
西濱氏
「どちらも言っていることは、はっきり言うと真っ当であると。ただ、トランプさんの方ですね、この中国を知的財産権侵害で提訴するというのは、これは日本もそうですし、ヨーロッパも、非常にそれぞれ先進国側は皆思っていたことで。それを、トランプさんがある種、これは口火を切ってくれたのだろうと思うんです。そこは言っていることはまず正しい。ただやり方として関税引き上げという手段がよかったのですかと、そこは本当は、トランプ政権内でちゃんと首に鈴をつけるようにしてから言えばよかったのでしょうけど。おそらくトランプ政権のこの1年ほどの流れを見ると、そういうことを言うとたぶんクビだと言われて、たぶん退任しているということも考えると、なかなか非常にわかりやすい形での、この関税による制裁関税というやり方が非常にトランプさんの中でも目立ったというところもあるでしょうし、おそらく発想としてはおそらく1980年代の日米貿易摩擦の頃とおそらくそのまま現在もきているのかなと。その当時の、おそらく日米の経済関係のあり方と現在の米中の経済関係のあり方は相当違うにも関わらず、どうも発想がそこから変わっていないのではないのかなというところが非常に私自身としても、トランプ政権を見ていて危なっかしいなと思うところではありますね」
松山キャスター
「特にトランプ政権、ホワイトハウスでもナヴァロさんが復権してまた入ってきたり、ライトハイザーさんもかなり対中強硬派という話はありましたけれど、ドンドン中国に対して厳しい人達ばかりがメンバーとして入ってきていると。そうなってくると、この関税報復合戦みたいなのは1度始まると、なかなか上げた拳を下ろせなくなってしまうのではないかなと思うのですけれども、そのへんどう見ていますか?」
西濱氏
「そうですね。実際のところ、トランプさんが頭の中では貿易赤字を削減すればいいと、たとえ、考えていたとしても、今回、報復関税…、制裁関税をやった理由が知的財産権の侵害でということで、ある種、5兆円の制裁を課したわけです。そうすると、いや、そこの部分がまったく解消されないのに拳を下ろすとなると、いったい何だったのだと。いったい何の理屈でやったのだというところを逆に突かれる可能性がありますから。非常に、本当にチキンレースとして、ドンドン先に進まざるを得なくなってきているというのが実情かなと思います」
松山キャスター
「宮本さん、WTOに中国が加盟された時に大使として在任されていたということですけれども。その当時の状況と現在の状況を見て、WTOと中国との関係というのは、どう変化してきたと考えますか?」
宮本氏
「いや、あの頃、公使だったのですけれども、その時に我々は、中国を国際的な秩序と言うか、仕組みの中に入れることによって中国の行動に相当大きく制約をかけようと、勝手にやらないようにしようということだったんです。ですから、アメリカの、いわゆる中国擁護派というか、『パンダ・ハガー』と言われている人達がその結果、中国がアメリカみたいになるなんていうのは1回も思ったことはないのですけれども、それは不可能ですから、それはないのですが。しかし、大きな国際ルールの中で行動するような中国になってもらわなければ困るというのがあったんですね。ですから、そういうことで我々は入れてですね。しかし、あの当時、中国は間違いなく開発途上国でしたから、WTOの中でも開発途上国の待遇で、従って、いろいろなところで免除される、そういうルールとして、我々は中国に適用するという形で入ったんですね。そのあと、こんなに大きくなってきたものですから、中国に適用されているルールが果たしてそれで適当かという問題はあるし、それから、さらに自由貿易を進めるための次のラウンドの交渉をやろうとしても、それが進まないということでTPPになったっていう側面があるんですね。ですから、一時期、WTOはお役がだいたい終わった、もう次のレベルに行かなければいけないのだ、TPPだとこう言っていたのですが。現在考えてみるともう1回、戻る先はWTOで、まずここを、だから、アメリカも中国も提訴したりしているわけですね」
松山キャスター
「WTOだけが現在、拠りどころみたいになっている」
宮本氏
「…なっているので。ですから、このWTOを、いかに新しい時代に合うように変えるかという努力をもう1回して、より公平な…。中国も言いたいことが山ほどあると思いますから中国も言っていい。我々も中国に言いたいことが山ほどありますので、そこで話し合いで次のルールをつくっていく。これは、時間はかかるのですけれども、そういう努力をしなければいかんなという感じがします」
松山キャスター
「2001年の中国のWTO加盟の当時、議論としてはまだ中国はWTOの基準に達していないので、時期尚早ではないかという意見も結構あったと思うのですが」
宮本氏
「ええ」
松山キャスター
「振り返って見て、この状況を見て、どうですか?」
宮本氏
「いや、ですから、あの時に、中国は本当に一生懸命になって…」
松山キャスター
「入るのがもう至上命題みたいな感じでしたよね、あの頃は?」
宮本氏
「そう、そう。全国人民代表大会というのが、法律をつくるのですが、法律の量産はすごかったですよ。毎日、何本も何本も法律を通して、ちゃんと明治維新の条約改正の頃の日本と同じですね。日本は文明国だから、こういう法律はありますと。そういう感じでつくっていましたから。それがかなり中国の中に浸透してきた。しかし、客観的に我々の基準から言うとまだ不十分だということで不満はあるのですけれど。2001年から比べますと、確実に中国も制度化されてきて、WTOのルールというものに近づいていったのは間違いないですね。ですから、このWTOというのを大事にして、せっかく中国が入っていますので、それを利用しながら中国を…、だから、この提訴するのは正しい、お互いに提訴をして、ルールで解決すると。時間はかかりますけれど、それは手続きを踏んでいくということだと思います」
松山キャスター
「米中という世界1位、2位の経済大国が関税報復合戦みたいな別な形で対立しちゃっているというのはお互いの国にとってもよくないですし、世界経済にとっても悪い影響を与えると思うんですよね」
宮本氏
「ええ」
松山キャスター
「そういう意味で、唯一それを間に立って解決できる可能性があるのはWTOとよく言われますけれども」
宮本氏
「ですから、すごく皮肉ですよ。米中が行きがかり上と言ってもWTOに提訴したというのは、ある意味では、WTOの権威を認めたということになりますよね」
松山キャスター
「そうですよね。これまで散々、WTOは機能していないと言っていた国が、そうですよね。呉さんはどう見ていますか?WTO、実際にちゃんと機能すると見ていますか?」
呉氏
「WTO、中国に関して過去20年の流れを振り返って見ると、いろいろ面白い現象が結構あるんですね。当初は狙っていないものが実際実現して、当初の狙いと違う形で…。WTOもまさにそうですね。当時、ある意味では、米中が中国のWTO加盟にかけた期待は両方とも外れたと思うんですね」
松山キャスター
「それはどんな期待?」
呉氏
「中国は、先ほど、大使もおっしゃられたのですけれども、本当に必死の思いで、これを外圧として、中国の既得権益、抱えている経済問題を、既得権益の相当部分は国有企業ですけれども、…こういう既得権益の打破を狙っていたんですね、外圧を利用して。しかし、振り返って見るとちょっと結果が違うんです。アメリカの期待は先ほど散々議論されているのですけれども、違っていたと。ということから考えると、私はむしろ今回、中国がアメリカをWTOに提訴するのはわかるけど、アメリカがこれを提訴するのはリップサービスではないかなと思いまして。基本的には現在のワシントンでは、基本的にはおそらくWTOが基本的に機能しないのが1つのコンセンサスになっているから…」
松山キャスター
「機能していないというのが、ワシントンでのコンセンサスだと?」
呉氏
「そうです、はい」

中国『巨龍の野望』と経済戦略
松山キャスター
「中国側が発表した、『中国製造2025』という中で、中国としては、ロボットとか、航空宇宙産業とか、次世代通信とか、いわゆるハイテクとか、高度な技術に力を入れていって、2025年までに製造強国の仲間入りをすると、2049年までには世界TOPクラスを目指すと」
西濱氏
「はい」
松山キャスター
「これは実際、アメリカでも持っていないような高度な技術というのを、だんだん中国は開発しているわけで、それに対するアメリカの危機感は相当強いと思うんですよね」
西濱氏
「そうですね。ナヴァロさんが言っている『米中もし戦わば』みたいな世界ですね。ここはどうしても中国をそういったところの段に入る前に封じ込めないといけないという、おそらく頭に相当あるのでなかろうかと思います。かつ、この『中国製造2025』は確かに2025年というところに1つ区切ってあるのですが、中国が1つ目指しているのは、中長期的な戦略でいくと、この製造業の話と、もう1つ気になるのは全人代でも言われた、2000年代半ば、2050年ぐらいまでに『現代化社会主義強国』を目指す。ある種、既存秩序とは違うところで大国化、強国化を目指しますよというようなことも言っているわけですね。そうすると、製造業でもそうだと。かつ国家体制としてもどうもそういうものがドンドン膨れあがっていく。そういう前に潰しておかないと、これはまずいのではないのかというのが、アメリカの中の、特に対中強硬派の方々のある種、コンセンサスになっているのではないかなと考えます」
松山キャスター
「宮本さん、どうですか?米中の話で1番、核心部分と言われるのが、知的財産権とか、技術移転について、アメリカ側がすごくフラストレーションを中国に対して持っていると。ここが解決されないとこの米中の対立はなかなか解消できないのではないかと言われますが」
宮本氏
「これまではあまりに米中に差があり過ぎて、少し盗まれたって余裕があったんです、アメリカは。だんだん現在、中国が追いかけていますから、そこでルールがフェアに適用されていないと。中国は自由にアメリカの国内で、いろんな情報にアクセスして、場合によっちゃあ、金銭的手段で技術を手に入れることができると。それに対して中国はそういうことを認められていない。いくらなんでもそれはおかしいではないかと思い至るのはもう時間の問題だったわけですね。そこで、先ほどおっしゃっているように、中国がアメリカに挑戦するというのを強く意識し始めると、これがさらに強い形をとって、中国に対して単に要求するのみならず、できれば抑えつけたいと。すなわち特定の分野については中国からのアクセスを、アクセスないし中国による入手をもう認めないと。それは自由な貿易に反するのですけれども、別の安全保障とか、そういう観点から、技術の移転を制限するという方向が強くなっているんですね。ですから、それは中国の力がついてきたから、アメリカが中国のそういう接近を、いわば一種の脅威と認識し始めたことが最大の原因ですから、これはそういう方向で進んでいくだろうと思います」
松山キャスター
「対日本ということはどうですか?日中間で昔は日本の技術がほしくて、ほしくてしょうがないという感じが中国から伝わってきたのですけれど、現在はそれほどでもないのですか?」
宮本氏
「ですね、それはありますよ、1部。ただ、本当の先進的な技術と、そういう世界をびっくりさせるような、そういう技術ということではなく、中国が現在必要としているのは、中国の社会がドンドン現代化社会といいますか、ポストモダンの社会に入っていくんですね。高齢化は進むと。そうすると、中国社会が直面する問題というのは日本が現在既に経験している問題です。そういう意味でのノウハウ。ですから、最先端の宇宙の何とか技術というよりは、広くそういう社会全体の質を上げる、経済の質を上げる、また、環境とかはまだ日本の方が確実に進んでいますから。ただ、それは兵器を開発するためのそういう分野の技術ではないのですけれども、日本にはそういう広い意味で学ぶところがまだあるということで、日本との経済協力を必要としているのだと思います」

宮本雄二 元駐中国大使の提言 『互いに脅威にならない!』
宮本氏
「お互いに脅威にならないようにすると書きました。これは河野大臣が『お互いに協力するパートナーで、脅威にならないという認識に基づき』と。どうもこの認識は、日中、共有したようですよ」
松山キャスター
「…と発表されていますね?」
宮本氏
「ええ。そうなってくると、これがあれば協力関係をさらに進めることができると。協力関係を進めようとしても、相手を脅威に感じるようなことが起これば、なかなか協力関係もできなくなりますので。お互い脅威を感じさせないようにするというのは1番大事なところだということで。日中双方、とりわけちょっと向こう側の方にお願いしたいなと思います」

呉軍華 日本総合研究所理事の提言 『非伝統的時代に非伝統的発想』
呉氏
「『非伝統的時代に非伝統的発想』と。Win-Winの関係は結局パワーバランスの関係もありまして。現在のパワーバランスを維持していくためには、現在我々はどういう時代に直面しているかを認識する必要があると。非常に歴史的に大きな転換点で、非伝統的な、中国の台頭は非伝統的な形で台頭してきますし、アメリカでトランプ政権もある意味では非伝統的。こういうような両者のはざまにあった日本がうまく対応してこそ初めて日中間でWin-Winができるのではないかと思います」

西濱徹 第一生命経済研究所主席エコノミストの提言 『本音』
西濱氏
「『本音』と書かせていただきました。これまでの日中関係はどうしても片務的な感じというのがちょっとあったのかなと。これまで経済関係は日本が圧倒的に大きかった時があったのですけれども、既にそれは逆転し、中国が大きくなっている。これだけ8年間も没交渉だったことがちょっとある種、異常だったと。これがようやくゼロになったというところですから、両国が本音をちゃんとぶつけ合えるような関係にしていくと。それこそがWin-Winを、関係を築いていく一歩になるのではないかという捉え方をしています」