プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2018年4月9日(月)
元幹部に問う日報問題 ▽ 激化!米中貿易摩擦

ゲスト

若宮健嗣
自由民主党国防部会長(前半)
永岩俊道
元空将 元航空自衛隊航空支援集団司令官(前半)
山下裕貴
元陸将 自衛隊中部方面総監(前半)
松川るい
自由民主党参議院議員(後半)
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員(後半)
柯隆
東京財団政策研究所主席研究員(後半)


前編

自衛隊幹部OB×前防衛副大臣 PKO派遣『日報』めぐる疑惑
竹内キャスター
「今日行われた参議院の集中審議で自衛隊のイラク派遣の日報をめぐる質問が相次ぎました。前半は日報問題を緊急検証します。後半は激しさを増すアメリカ・中国による関税引き上げ合戦を検証、経済大国同士の衝突が及ぼす余波、さらには北朝鮮情勢をめぐってカギを握る両国の貿易衝突が半島情勢へどのような影響が考えられるのか、日本への影響についてもどのようなことが懸念されるのか、両国の思惑を読み解き、検証していきます。そもそも南スーダンの日報問題は、派遣先は非戦闘地域だったのか?もし派遣先が戦闘地域ならPKO(国際連合平和維持活動)法や憲法に違反するということで、非戦闘地域だったのかが焦点とされました。2016年に、ジャーナリストが資料請求をしたところ防衛省は破棄を理由に不開示を決定します。ですが、その後『戦闘』の表記がある日報が発見され、監督責任をとる形で稲田大臣が辞任しました。今日、新たに1年分もの日報が発見されたということなのですが…」
松山キャスター
「小宮さん、昨年、散々、南スーダンPKOの話をやって、防衛省・幕の体制などを見直して、きちんと日報については報告がいくようにという、徹底をはかったはずだと思うのですけれども。今回、小野寺防衛大臣が今日答弁したように、また新たに当時の南スーダンPKOの部隊の1年分のデータが見つかった。なぜ1年もかかってから、また出てきたと?」
若宮議員
「今日、総理も、それから、小野寺防衛大臣もお話をされておられますけれど、まずその現場で日々活動報告を書く、日報を書いた者が本国の然るべき上司に報告をすると。それがまた関係部署に広く広がるわけでございますけれども。いろいろな、紙媒体であったり、あるいはそのパソコンのデータであったり、さまざまなデータの中にそれが入っているのが現状だと思っています。現実問題、私自身も行きましたけれど、非常に酷暑の中で、厳しい中で毎日働いておりますので、さまざまなことがあるかと思いますけれど、そういったものの管理の仕方がやはり少々、まだまだ甘いところがあったのは否めないかなと思っております。当時の1年未満…、1年で廃棄をしなさいという指示になったものであるならば、キチッと全ての部隊で、どの部署でも1年未満に廃棄が完了していなければいけないものであろうかと思っております。そのもの自体が何かしら意味するというわけではないのでしょうけれど、日報の蓄積がいろいろな今後の展開とか、分析につながってくると思いますので、そのあたりはしっかり取り組まなければいけません。私自身が実は副大臣の時にも、それを徹底して大臣とともに取り組んだのですけれども、かなりの大所帯でございますし、それから、また、いろいろな面でのさまざまな至らざるところが多々あろうかと思います」

相次ぐ『日報発見』と国防の信頼
松山キャスター
「永岩さん、どうですか?実際に現場の部隊を見てこられ、こういった日報の管理、1年経ってまだ出てくると、しかも、1年分のデータはかなりの量のデータだと思うのですけれども。こういう事態というのは、これから先もたぶん考えられると思うのですけれども、どういう管理に問題点があると?」
永岩氏
「私は現職の最後の頃に、まさに日報の…、復興支援で最前線に部隊を派遣していまして、それを受けて現場の状況を掌握・判断・意思決定・命令を下す側にありましたので。それに関しては非常に関心が高いのですけれども。今回、シリーズで出てきた諸々の情報、あるいは文書に関連する不適切な状況というのは、まさにご指摘の通りだと思うんですね。あるいは情報公開に関連する考え方が甘いということについては、その通りであろうと思います。ただ、我々の昔の管理は基本的にはこういうペーパーでの管理が原則でしたから、ある程度、存在するものは存在する、破棄したものは必ず破棄するという、明らかにわかる形で処分できたのですが。最近はそれが全て電子データでファイルされ、それもいろいろなハードディスク等に保管される。あるいは担当者が2、3年で変わりますので、基本的に膨大な資料の中に、場合によっては破棄したと思われる副次的なファイルが発生している、あるいはクラウドにあるというような状況が最近は多々起こり得て。そういった意味で、そういった諸々に関連する管理がまだ不十分・不適切な状況が現在に至って、こういった形で出てきたのだろうなと」
松山キャスター
「昨年、問題になった時に、情報の一元化ということも幕の中でやったと思うのですけれども、それでもまだ漏れがあるというこの状況は?」
永岩氏
「その当時からずっと状況を見ていますと、いわゆる管理する側が指示したことが、現場部隊、あるいは担当の部隊にしっかり伝わっていたのかどうか、いわゆる掌握という意味で、正しく管理されていたかという組織的な課題というのもあるのではないかと私は思っています」
松山キャスター
「山下さん、どうですか?南スーダンを実際に経験されて」
山下氏
「私は、実はイラクにも科長として現地に行って、つぶさに見ました。それから、若宮さんと同じように南スーダンにも視察で行きましたけれど、現地では本国で、日本で、大変だ、みたいな雰囲気ではなかったというのが実態です。今回の問題は1年が経って、なぜなかったというものが、このパラパラ出てくるのだという部分、そこだけ捉えますと非常にどうなっているのだと。防衛省・自衛隊をご心配されている、皆さんから、ご心配されている、大丈夫か?というところが見えてきますけれど。経緯をよく見ていただいて、どう探しなさい、あるいは探索しなさいと言ったのかという部分…」
松山キャスター
「はい、指示の仕方ですね」
山下氏
「指示の仕方ですね。25万の隊員がいますので、徹底されたのかと、各部署までですね。もう1つ、文書管理というところがなかなかしっかりできていなかというところは反省すべき点があると思うんですよね。たとえば、膨大な量の文書が発生しているわけです。公文書の保管に関する命令に基づいて、法律に基づいて。陸海空自衛隊にはすごく任務が付与されているわけです。少ない隊員で任務を遂行しながら文書管理をやりながら、情報公開にも対応しているというので、抜けが発生する場合もあるということで。現在、調査されていますので、そういう組織とか、人・モノのところが不足しているのであれば、しっかりして、こういうことが2度と起こらないような体制をとった方がいいのではないかなと思います」
松山キャスター
「先ほど、永岩さんも話されましたけれど、昔は紙だったのだけれども、現在は電子データで、いろいろなディスクに入っていたり、外付のディスクだったりするということで、全部、見切るのはなかなか厳しいという話がありましたけれども。これを改善する方法は、そうなるとなかなか見つけられないのかなと?」
山下氏
「今回のような、こういう事案で、たとえば、電子データについて本人がそれを認識していなかったと、たとえばですよ、そういう事態があったとしたら、全国あまねく皆さんがそういう問題点を頭に入るわけですから、徹底して、教育していくことによって、これは、だんだんミスはなくなっていく、少なくなっていくと思います」
竹内キャスター
「そもそも日報というのは情報公開に応じる文書として管理されているものなのですか?」
山下氏
「まずこれは活動報告ですね、日々の。それは1日何をやりましたかという活動報告であって、その中身は気象・天候が書いてあって、あるいは現地の情勢が書いてある。それから、派遣されている部隊の人員の状況、ケガをしたとか、活動できるとか、1日何をやりましたかと。状況によっては弾薬とか、燃料とか、いろいろなことが書いてありますと。こういうのを。実際、もしかすると警備上、こういうところに警備システムに故障があると書いてあるとか、そういう活動していくうえで、一般の公文書としては馴染まない部分、軍事作戦として馴染まないような部分が書いてあるんですね。だから、これを本当に一般の行政文書と同じような管理の仕方で、あるいは開示の仕方でいいのかというのは、議論していたいただいた方がいいのかなと」

揺らぐ『シビリアンコントロール』
竹内キャスター
「国会答弁で安倍総理はこのように答えています。『文書管理の問題のみならず、シビリアンコントロールに対する疑念や不信感に関わりかねない重大な問題』と発言があったのですが…」
松山キャスター
「情報の出方を見ていると、一概に、単に現場レベルで隠蔽を意図的にはかっているという側面…、若干あるかもしれないですけれど、それ以外のシステム自体のずさんさというか、まだ確立されていないという、そっちの方が問題のような気がするのですけれども」
若宮議員
「そうですね。私自身、それぞれの部隊の方々の、隊員の皆さんが、あるいはその指揮官や隊長が意図的に何かを隠そうとか、都合の悪いことを隠して報告しようとか、というのはまったく思っていないと思っております。これは海外の、各部隊の海外の国の方々、あるいは指令官なり、大統領クラスの方々が日本の自衛隊が国際的にこれだけ活躍してくれている、本当に世界の国の軍隊とちょっと違う、礼儀正しさ、規律正しさ、この仕事ぶり、しかも、時間を守る、確実な仕事をしてくれているという信頼度はすごく高いです。日本国民も多くの方が直近の調査でも92%の方が自衛隊の皆さんには本当に感謝をしているという気持ちを強く持って、私も愛情のこもったお手紙を何通もいただいております。そうした方々がそういったことをするとはとてもとても考えられませんので。また、おっしゃるように、いろいろな、こういったあり方、管理の仕方、それから、組織、そういったものをキチッとすることと。それから、また指示を出すのならば、この部分のこのポイントに対してキチッとこうしてくれと…」
松山キャスター
「明確に指示を出すと?」
若宮議員
「はい」
松山キャスター
「永岩さん、どうですか?通常業務をやりながら、日報とか、その管理もやらなければいけないと、現場はかなり厳しいと思うのですけれども。このシビリアンコントロールがなかなかうまく機能していないという事態、これをどういうふうに変えていくべきかという」
永岩氏
「国家が生まれ、軍隊がそれに付随して、つくられていく時に、シビリアンコントロールというのがそもそも非常に難しい。日本の場合は文民統制という言葉にしましたが、それはそもそも難しい性格のものですね。軍人・軍隊というのは、とある政党に奉職するのではなくて、国家の安全を守り国民を守るということの大前提で、状況を判断し、意思決定し、部隊を動かして、その役割を果たすわけですね。その中で大事なのは、いわゆるそういった軍隊に対し、場合によってはブレーキを踏む、つまり、国民に対して武力を行使しないように。ただし、必要な時にはこちらのために武力を行使するということを、頭を押すという意味の、お互いの信頼関係、国家・国民と軍隊・自衛隊、あるいはそれを管理するということの役割を負ったシビリアンという選ばれた政治家の先生方に、お互いに信頼関係がなければどうしてもこれは齟齬が出る、日本の安全が確保できないということになりますよね」
松山キャスター
「政治家と制服組との信頼関係が非常に…」
永岩氏
「…大事だと思いますよね」
松山キャスター
「たとえば、政治家として来た方がそんなに防衛に詳しくない、しかも、リーダーシップにもちょっと疑問符がつくという人だった場合に、1部には稲田防衛大臣がされていた時にそう思っていた隊員も多いと僕らは聞いていますけれども、そういう要素がこういう結果として、ずさんな管理というのに表れてくるということはありますか?」
永岩氏
「自衛隊が創隊したのは、昭和29年ですけれども。六十数年になりますが、その間に防衛庁長官、防衛大臣で90人ですよ、指揮官が代わっているんですね。安全保障に関わる見識を持った人がその位置についたわけでは決して過去はなかった。場合によっては、ポストをその職にもらうということで、政治家のステップを上げたという方もおられなかったわけではないし、なおかつ…」
松山キャスター
「はい、成長したということですね?」
永岩氏
「はい。過去に、隊員の役割を成すうえで梯子を外して、その信頼を変えた政治家の先生もいなかったわけではないんですね。自衛隊というのは、票にも、金にもなかなかなりにくいということで…」
松山キャスター
「政治家としてはなかなかそのポストはおいしいとは言えない」
永岩氏
「評判も良くなかったですけれど、今や日本の国家の安全を確保するうえで非常に大事なポストで、相応の見識を持っていないと。たとえば、アメリカとの2+2で議論をする時に、その話相手にもならないような人であっては日本の安全は確保できないですね。それは、隊員は全部下から見てわかっていますから。あっ、この人は危なくてついていけないなと思うことが、人間ですからないわけではなかったのではないかと思いますね」
松山キャスター
「なるほど。山下さん、どうですか?シビリアンコントロール…」
山下氏
「まず最高指揮官たる内閣総理大臣と防衛大臣が今回の問題に関してシビリアンコントロールで非常に問題だと言われたのは、自衛隊側の文書管理について非常に問題があったのだろうと思います。シビリアンコントロールですから、実は大臣とか、総理ではなくて国会議員にも責任があるわけですよね。国民の代表たる国会議員が軍隊を統制するということですので、この日報をどうやってお使いになろうとしたかですよね。だから、それはよくオペレーションを勉強されて、この日報の何に問題があるのかと、どうすれば国会として、あるいは議論しないといけないのだと。そのへんをしっかり見ていただいて、両方でシビリアンコントロールをうまくしていっていただきたいと思いますね」


後編

米中貿易『激突リスク』検証 関税品目に潜む両国の思惑
竹内キャスター
「では、まず今回のアメリカ・中国の貿易をめぐる応酬についての一連の流れを見ていきます。先月、アメリカは中国が安全保障上の脅威として、鉄鋼に25%、アルミに最大10%の関税をかけると発表しました。これに対し、中国は、豚肉・果物など128品目に、最大25%の関税、日本円で3000億円規模の報復措置をとると発表します。今月3日、知的財産権の侵害として総額5.3兆円規模の自動車・航空機・半導体・産業ロボットなど1300品目に、最大25%の追加関税をかけるとアメリカが発表します。それに対して中国は、大豆・小麦・自動車など106品目に最大25%、日本円で5.3兆円規模の報復措置をとると発表します。それに対してアメリカが先週末、11兆円規模の追加関税を検討すると発表しました」
松山キャスター
「たとえば、鉄鋼・アルミについての関税措置、これは額は小さいですけれども、安全保障上の脅威としてということで発表しています。それとは別に、中国への技術移転とか、知的財産権の問題全体を捉えて大きな形での追加関税ということで5兆円規模、また、プラス11兆円規模という、大きな関税措置を発表していますけれど。この鉄鋼・アルミと他の知的財産権に対する関税は種類が違うものなのですか?」
古森氏
「そうですね。だから、鉄鋼・アルミに対しては、これは拡大通商法の232条かな、何かで、アメリカの安全保障にとって害があるのだということでやっている。その背後には鉄鋼とアルミというのは、中国側が過剰生産で、国家がドンドン出てきて、結果として補助金を出しているような形でやっていると。だから、アメリカ側からして、その生産の方法・輸出の方法が不公正であると。だから、そこの管理貿易的な部分を批判するという意味での措置ですよね。松山さんがおっしゃった2番目の知的財産を…、これはピーター・ナヴァロ氏というのが出てきた、大統領補佐官、中国は盗んでいるのだと、アメリカの知的所有権…、技術を盗んでいるんだという言葉を平然と使っていますから。そのぐらいの険しさというのはあるわけですよ。これは歴代のアメリカ政権が言ってきている知的所有権の問題、知的所有権と言うと聞こえはいいけれど、偽造品、模造品、それから、サイバー攻撃での盗用、盗む、用いる、ということをアメリカ側は言っているわけで、これが中国経済をドンドン盛んにしてきている大きな要因だったというところまで言っているわけだから、根が深いわけですよ。だから、そこの部分を言った、今言っているのは知的所有権に関する一連の大きな…。ただ、貿易戦争、貿易戦争と言っているけれど、まだ戦争は始まっていないし、まだ交渉ですよね。60日間、いろいろなコメントをして、これからやるぞということをいろいろなところから聞くわけだから、ハッタリというか、実際のマクロの経済の措置ではなく、中国側に対しての抗議ですよ。だから、抗議というか、脅しかもしれない。だから、直さないとこういうことをしますよということを言っているわけで」
柯氏
「鉄鋼・アルミは、いわゆる安全保障上の問題なのか、どうなのかと言うと、現在、中国の鉄鋼所とアルミ工場がつくる鉄鋼とアルミがアメリカを脅かすほどの技術は持っていないです。しかも、スケールも小さいし、今回は。どちらかと言うと、中国の1番痛いところを突いてやったわけ。なぜかと言うと、この2つの産業は最も多くの、過剰設備を抱えちゃっているわけ、全部、国有企業。でやられたものだから、中国は次から次へと、大豆やらトウモロコシを用意しているわけですけれども。たぶん現在、お互いに空砲を撃っているだけでして、たぶんお互いに、互いのレッドラインというか、デッドラインを探って、本当の戦争にはたぶん突入しないと思われます」
松山キャスター
「松川さん、どうですか?米中の、言い合い合戦みたいな形でドンドン額を吊り上げている状況ですけれども、どういうふうに?」
松川議員
「これは単なる貿易不均衡とか、中国の黒字削減を目的にしているのではなく、むしろその根幹は、アメリカの意図のその根幹というのは、ハイテク分野における中国の追い上げに相当な危機感を覚えている。これがもたらされているのが、しかも、アメリカの企業からの技術強制移転とか、コピーだったり、模倣だったり、サイバーで盗んだのもあるかもしれませんが、そういった不公正な取引の中で、アメリカから見てアンフェアなやり方で盗まれたものを使って、しかも、追い抜いている、追い抜こうとしているのではないかと。1890年代にイギリスが、イギリス・ドイツの関係であったと思うのですけれど、ドイツの方がずっとその科学技術でも、いろんな哲学の世界でもイノベーティブになってイギリスを凌駕しようとした時に、イギリスはここでドイツを叩かなければ、自分の覇権というか、優位性というのが失われてしまうと非常に危機感を持ったと思うんです。結果としては第一次世界大戦になっちゃったわけですけれども。今回は米中というのは、あの時代とは全然違うので、戦争とか、そういう話ではまったくないのですけれども、ジオ・エコノミックに言って、現在、アメリカの感じている危機感は、単にトランプさんとか、共和党とかいうことではなく、私はこの知的財産権に関する競争、それから、特にビッグデータが、次のソサエティー5.0の中で大きくなっていく時に、これまでの延長線ではないイノベーションの世界が来るわけですよ。そうすると、中国もこれまではキャッチアップできたかもしれないけれども、新しい世界が開ける、ビッグデータとか、AI(人工知能)がものを言う、違うイノベーションの世界がきた時に、これだったらこれまでの延長線上ではないから、コーナーを抜けるかもしれない。ここの技術を、要するに、現在かかっていると。だから、私は米中の現在、プライスを釣り上げている最中ですけれども、知財の問題が解決しない限り、アメリカがどんなに痛い目を、多少、ウォールストリートとか、いろいろなところで被ってもやめないと思います。なぜ私がそう思うかと言うと、これは単に今回のものだけではなくて、昨年末に出された、国家安全保障戦略の時からずっと、あれは軍事とか、経済だけでなく、イノベーションにおいてもIPRの問題、テクノロジーで追い上げてきているという、この関係について指摘をしているわけですね。中国自身も昨年出した、10月に出した共産党大会における中央委員会報告においてAI時代を見据えてイノベーション国家になるということを言っていると。私達はここを見て、日本としてもアメリカとの関係で、安倍総理がまた行かれますけれども、対応していかないといけないと思います」

何狙う? 中国・習近平体制
松山キャスター
「まさにその松川さんが指摘されたように、中国がハイテク分野を重点的にやっていくというので、指針となる『中国製造2025』というのがありますけれども。この内容を見てみると新技術の創出・高品質化・環境性能など製造業のレベル向上と産業構造改革の推進ということで『2025年までに製造強国の仲間入りを果たして、2049年までには世界のトップクラスを目指す』という大方針が中国からは出されている。重点分野としては次世代通信・ロボット・航空宇宙産業・新エネ自動車・新素材・バイオ医薬などということですけれども。まさに松川さんが言う通り、現在ゲームチェンジャーとして…」
松川議員
「そうです」
松山キャスター
「新しい分野で、技術で一歩先んじるということを、中国がまさに目指しているということですけれど。ただ、今回のような米中の言い張り合い、このまま2か月間の猶予期間をもって実際に発動されるかどうかはまだわからないですけれども、実際に発動まで至った場合は、こういうことを言っている前に、まず中国国内の経済もかなり打撃を受けてくるのではないかという印象があるのですけれども、どうですか?」
松川議員
「うーん、実は米中は水面下で交渉していますし、それはたぶん、もちろん、楽観的なだけの見方はよくないと思うのですけれども、何らかの形でディールが成立する可能性の方が高いのではないのかなと思います。もしも本当に1500億ドルの、対象とした関税が課されたら、それは相当なダメージになりますが。それは中国だってその時に黙っていないわけで、同等の貿易、アメリカの1番、トランプさんの支持母体が厳しくなるところを、ターゲットにした関税を当然、課すということをためらいはしないでしょうから。そうすると、相当ディザスターですから。私はディールが成立する可能性の方が高いと思っているんです」

トランプ政権の狙いと本気度・経済&軍事の危うい駆け引き
松山キャスター
「米韓FTA(自由貿易協定)についての最近の動きなのですけれども。いったんアメリカと韓国でほぼ合意に達したと。韓国側は米国産の自動車の輸入制限措置を緩和することと、アメリカ側が鉄鋼の輸入関税措置から韓国を除外することなどで大筋合意に至ったのですが…、突然、トランプ大統領が北朝鮮、今度、米朝首脳会談があるとされていますので…、その5月にもあるとされる米朝会談の結果、『合意するまで保留するかもしれない。非常に強いカードになるからだ』というほとんど安全保障政策と経済政策をごった煮したような発言をしているのですけれども。アメリカとしては、こういうことも考えているような気がするのですが?」
松川議員
「うん。私は、ちょっとトランプ大統領の言い方があまりにも、赤裸々なので、ちょっと外交的にはあまり上品ではないですけれども。外交というのはおよそいろいろなツールを使ってやるわけで、別に経済と安全保障の、ある国に対して対処をする時、経済と安全保障をミックスしてはいけないという理屈はないんですよね。ただ、ここでのむしろ問題は、中米はともかく、中国とアメリカはともかくとして韓国は一応、同盟国ではないですか、日本もそうですけれども。そこでやる時に、今回、私はアメリカのあまりこの点は評価できないという最たるものがこの鉄鋼・アルミで、同盟国を一緒くたにやっているというのは本当に失策だと思うんですね。中国の、たとえば、知財とか、鉄鋼の過剰生産が問題だと思っている国はいっぱいあるけれど、しかし、こうやって皆を一緒くたにずらっと並べて、10位までの貿易黒字国は皆ターゲットだってやってしまうと結局、同盟国との関係を自らこう壊す、まずくして自分のリーダーシップのリソースを減らしているわけではないですか。だから、これはミックスすることというのが本質的に問題と言うよりは、どの国もやっているんです、ただ、それを露骨にやるか、やらないか。やらなくて済む時はやらないわけですから、…だけなのだと思うのですけれども。韓国にあまりやるのは、どうかとは思いますね」
松山キャスター
「古森さん、どうですか?この一緒くたにやる、トランプ流のやり方というのは?」
古森氏
「だから、ディールと言うと、ディールという言葉から連想されるものは、何か目先の儲かるか、儲からないか、みたいな、非常に商業的な、狭窄視野のことだけを見て、大きなこの図を見落としてしまうような感じが言葉の響きとしてありますよね。だけども、松川さんがおっしゃったように、1国の外交は、外とのやりとりというのは、経済もあれば、政治もあれば、価値観的なものもあるし、安全保障もあるということで。それは全部一緒に連結しているわけで。だから、トランプ大統領がよく言われるディールというのは大きな部分を見落としてしまうのではないかという…だけれども。そこはいろいろな側近もいっぱいいるし、それも本当に大きなことを見落として、小さなことだけを優先し過ぎているよという実例というのは、米中関係とか、日米関係を見たって、現在のところそんなに具体的にはないですよね。ただ、米韓で今回、米韓自由貿易協定の改定を、アメリカにとって有利に成し遂げてしまったというのは、これは明らかに安全保障上、韓国がアメリカに依存しているのだと、在韓米軍というのは韓国の安全保障のためにやっているのだぞということをチラつかせたことは間違いないわけで。ただ、これは現実にそうではないですか。だって、その中に貿易とか、何かとかがあるわけだから。それをチラつかす、特に北朝鮮とこれからいろいろなことが起き得る時に、米韓が安全保障面でガッチリ手を握っておかなければいけないのは韓国側もわかっているわけで、そのところをリマインドするというか、あなた達、そうではないのですか?と言うことが、これが不当なディールかどうかと言うと、あまりそうでもない気がするんですよね。うん、だから、あまりそのディールという言葉に埋没していかない方が、いいのではないかという気がするんです」
松山キャスター
「なるほど。柯隆さんはどうですか?」
柯氏
「今回は貿易の問題なのか、知財の件なのか、もし仮に先ほどの知財の話であればですけれども、だからこそWTOといったマルチの枠組みをもっと強調して強化していく。それは日米が同じ立場であれば協力すべきだし、安全保障上の問題は、たとえば、北朝鮮のリスク、あるいは北東アジアの地政学のリスク、中国の台頭、諸々を考えた場合、この番組は、今日は終わらないと思うので。しかも、関税を上げて中国をやっつけるというのはあまりにも妄想にすぎないと思うので、相手が大き過ぎるから。だから、もう少し戦略的に考える…。古森さんは先ほど、ずっとトランプさんを褒められていたのですけれども、褒めてもしょうがないので、本人に聞こえないので、もっと本気な話を議論していかないといけないと思う」
古森氏
「柯さんのおっしゃったこと、トランプさんがやっていることが善いとか、悪いというよりアメリカのコンセンサスに近い世論のうえに成り立って中国問題というのはトランプさんは現在、動いているということを、これは事実として。特にジャーナリストとしてはその事実を伝えざるを得ないわけで。だから、もうちょっと率直に言えば、中国における経済の仕組み、特に知的所有権とか、何か…、これは日本とか、アメリカの常識、あるいは国際的常識から言ったら、とてつもないことをやっているわけですよ。たとえば、HONDA、私がいた時によくHONDAのオートバイ、これをドンドン、HONDAのことをHONGDAとGだけ1つ入れて、それを商標権、特許、ブランド…、意匠権か、デザイン、全部、偽造・模造で、ドンドンつくっていくわけですよ。ミグの戦闘機か何かをつくったところの工場が全部動員されて。日本はアメリカと違って、日本企業も特に中国に対しては弱いですから。中国当局が何か気に入らないことをすればすぐに懲罰的なことをしますから。平気で日本の駐在員を逮捕するということをやるわけだから。他人のウチの技術を平気で盗んで、ドンドン売っていくということの、この桁違いの異質性というのは、アメリカの今回の問題の本質部分なわけです。それを、だから、何とかしてくださいよということで。それは対決していくことと妥協していくこととは違うのではないのと言うけれど、この関税問題、中国側は現在、やがてはアメリカを凌駕するという国策というようなものがあるのだろうけれども、当面はアメリカとの正面対決を避ける。だから、今回の関税問題にしても、おそらく中国側が何らかの形でこのメンツを保ちながら、アメリカのメンツも保ちながら、戦争みたいなことはやめましょうという形で決着するのではないかと思うのだけれども。ただ、中国側の対応がうまくて、このトランプ政権が嫌がるような部分に対して、この反撃をしている。ここが1党独裁の国と民主主義の国との大きな違いがあって、民主主義の国というのは、世論とか、企業とか、個別の苦情とか、文句に弱いわけですよ。中国は命令すれば、それでハイと皆従うわけだから、それは強いわけです」

日本&世界経済への余波
松山キャスター
「そういう意味で言うと、現在の米中の対立、そういう根本的な問題が解決されるかどうかはかなり時間がかかると思うのですけれど。日本にも当然、今後影響が出てくると思うのですけれど、日本への影響という点で、古森さん、どう見ていますか?」
古森氏
「いや、だから、関税の戦いみたいなのが起きれば、これは世界の自由貿易に対する弊害であることは間違いないから、その大きな意味での、日本にとってのマイナスというのはありますね。ただ、中国問題に対する、特に知的所有権の中国の慣行というものに対し、これは日本もむしろ被害者なわけだから、ここでアメリカ側と手を結んで、もう少しそれこそ2国間でも多国間でもいいから、もうちょっと米中との2国間だけの対決を薄める形でやっていくということはできると思う。これは日本とアメリカとの貿易問題というのが絡んでくるから、なぜ鉄鋼・アルミニウムでの関税を、日本は同盟国なのに除外してくれないのだと。これはあるけれども、これは貿易収支の日本の対米黒字が大き過ぎるという、この部分があるのと。それから、日本の対米黒字は現在、ほとんど自動車ですよね、8割から9割。自動車に関しては、トランプ側に誤解も随分あるようだけれども、日本の市場というのはアメリカ車に対して特に閉鎖性がある、いろいろな非関税障壁、関税障壁、関税障壁というのはほとんどないのだろうけれども、目に見えない形でいろいろなものがあるという、これはかなり強い思い込みがあるわけですね。だから、そのへんもちょっと…。それから、もう1点、結局、この日米の貿易問題をやってくると、アメリカが出してくるのは結局、日米の自由貿易協定をやろうではないかと。そうすると、日本の場合はパニックを起こすんですよね。パニックというか…」
松山キャスター
「アレルギーに近い」
古森氏
「ガーンという。そこまで拒否しなくて。では、やりましょうかと言って、本当にやりたくなかったら、やらなければいいのだから」
松山キャスター
「でも、昔の1970年代、1980年代の貿易摩擦を覚えていて、アレに対するアレルギーだと思うのですけれども」
古森氏
「なぜ日米自由貿易協定と言うと、もう途端にこのワーッと拒否反応が起きるのですかね?」
松山キャスター
「松川さん、どうですか?」
松川議員
「いや、それは、でも、拒否反応が起きる理由はありますよね。同盟国、大事な同盟国に…、しかも、1対1ということになると交渉が難しいですよ」
松山キャスター
「言いくるめられちゃうのではないか?」
松川議員
「言いくるめるというか、どっちが大きな声で言ったかという話より、むしろ総合的な判断をしようということになると結局、日本というのは、最後は安全保障でアメリカに寄りかかっているというところで弱い立場にあるんですよね。もともと日本とアメリカの交渉というのは、そういうところで少し負い目のある関係だという、これは現実だと思います。その時に、日本というのは現在、経済がやっとアベノミクスのおかげで少し上向いてきて、先ほど、おっしゃられたように、米中であまり酷いことになっちゃって、世界貿易が…世界経済が少し良くなってきたところが悪くなったら、本当に日本としても困るわけですけれど。こういう中で、できれば、日米FTAみたいな世界には入らない方が得策、間違いなく。ただ、それぐらいだったら現在の鉄鋼・アルミ、別に日本に課されているものは20億円ぐらいの規模ですから、しかも、ほとんどが特殊鋼でアメリカの消費者の方が困るわけですよ。だから、それぐらいなら、そこにいくぐらいだったら、こっちをまだ黙認した方がいいのではないかという、こういう計算だって成り立ち得ると思いますよね」

備えるべき『最悪シナリオ』は…
竹内キャスター
「関税の引き上げ合戦がこのまま続くと、最悪のシナリオについて古森さんはどのように考えますか?」
古森氏
「最悪中の最悪というのは、貿易自体に対する悪影響、つまり、貿易量が減っていくような、これはウンと古い話だけど、世界大恐慌が起きた1929年、1930年、これのきっかけになったのが関税をドンドン引き上げるアメリカの法律でスムート・ホーリー法というのがあって、これは関税の、関税かけっこが恐慌を煽っていったというようなことがある。でも、それは、現在といろいろなことが違いますから、そういうふうにならない。貿易に対する険悪な状態というのは、戦いというのは良くないことだけれども、見通しとしてはそれほどのところまではいかないのではないかと。アメリカ側は、貿易面・経済面だけで見た時には、中国の方が本当に戦った時には2国間で、弱い立場にあって。と言うのは、中国がアメリカとの貿易に依存する比率、これは輸出全体の20%ぐらいアメリカに行っていると。アメリカにとっての中国との貿易の比率、これは5%とか、6%というんですから。それだけ見ても本当の戦いになった時の被害というのはアメリカの方が少ないから。ただ、政治面で見ると、中国はアメリカの民主主義の脆弱性というようなところを突く形で、トランプ政権にとって1番困るところに的を絞ってきているようなところがあるから、それでトランプが腰砕けになるようなこともあり得るのだろうけれど、腰砕けしないのだということがウリの人だから、だから、がんばって…」
松山キャスター
「最後までアメリカが挙げた拳を下ろさずにずっと踏ん張ったとすると、行き着くところは、それが、たとえば、軍事的な衝突とか、そういう部分にまで発展する可能性は?」
古森氏
「それは、現在の経済問題から軍事的なということはないでしょうけれど、本来、軍事面で、特に安全保障面で現在の中国のあり方が、アメリカの国益、アメリカの政策に対する正面からの挑戦なのだという認識が固まってきているわけです。だから、必ず押し返さなければいけないという。特に台湾との関係を、たとえば、すごく強くする、これは中国が1番嫌がることですから」
松山キャスター
「台湾旅行法をやっていますからね」
古森氏
「ええ。だから、まして軍事力を強くしていますから。だから、その面での対決というのはあるけれども。これも両国の軍事力・能力・レベルを考えた時に、中国はまだまだ対決は避けるということがあって。だから、険悪な局面というのは、これからかなりあると思うけれど、破局的なことというのはなかなか起きにくいという、そんな感じです」
竹内キャスター
「松川さんはいかがでしょうか?」
松川議員
「現在は、両国は剣を抜いて、これから交渉しましょうと言うために、それをやっている。だから、これからは交渉のフェーズなんですよね。最悪というのはせっかく好転してきた世界経済全体に影響をまさに及ぼして、日本だけではなく、ヨーロッパも、いろいろな国も影響が出るという、これはよろしくない事態だし、さらに言えば、米中関係があまりにもここで険悪になって、それが、たとえば、他のより喫緊の安全保障問題の課題に影響が出たら困るというのは最悪だと思うのですけれども。ただ、私は北の問題も含め、そこまでには影響を出すような話にはならないのではないのかなと思っています。私は、中国が降りる形で、何らかのフェーズセービングなやり方ではあるのでしょうけれども、ディールをまとめることになるのではないのかなと」
松山キャスター
「アメリカのフェーズをセーブすると?」
松川議員
「いや、両…、中国自身も。だけど、中国が、基本的には私は中国が妥協するのではないかと思っています、ある程度。そうでないとまとまらない、特に知財について、何らかのことをする。なぜかと言うと、中国は、時間は自分に利していると思っているんですよね。現在、ここでアメリカと徹底的に喧嘩をして、本当に叩き潰されると言うと、言い方がアレですけれども、本当にいろいろな影響を被るよりも平和的に時間がすぎれば、中国は隆盛すると思っていると思うんですよね。中国は現在、アメリカとコトを本格的に構えるべきでないと思っているでしょうし、そう行動されるのではないかと思います」
松山キャスター
「柯さんはどう思われます?どこかで中国が降りるのではないかという松川さんの指摘でしたけれども」
柯氏
「何らかの妥協について申し上げる前に、では、最も深刻なシナリオは何かと言うと、関税の引き上げというのには限界があります。特に中国にとって切れるカードというのは大豆・トウモロコシ以外あまりないです。最悪は何かと言うと、どうにもならない時には中国が持っている巨額の米国債を売ると。それは自爆みたいなものですから、中国も、アメリカも、日本も、全部困る。でも、たぶんその可能性は極めて低い。何らかの妥協で何かと言うと、おそらくギリギリのところでこの間、選任された王岐山国家副主席、彼が訪米をして、彼の盟友ポールソン氏がいるわけですから、それで一緒にトランプに会って、例の過剰設備の削減のロードマップを見せる。ロードマップを見せながら、鉄鋼・アルミも含めるわけですから、それでアメリカにはもうダンピングはしないというような約束をして。同時にもちろん、アメリカで買付もしますから、そうするとトランプ大統領がまたツイッター、古森さんがえらい気にされているツイッターですけれども、トランプさんがまた絶対に書くのが、『とても賢明なリーダーだ』と褒めて、握手して終わりというようなシナリオが1番可能性としては高い」