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2018年3月16日(金)
小野寺防衛相に問う! 米朝の『変節』備えは

ゲスト

小野寺五典
防衛大臣
岩﨑茂
前統合幕僚長
渡部恒雄
笹川平和財団上席研究員

小野寺五典防衛相に問う 米朝の『接近』日本は?
竹内キャスター
「急変する国際情勢の中で日本が目指す防衛のあり方についてじっくりと話を聞いていきます。まず日本の安全保障にとって重大な影響を与える、北朝鮮とアメリカをめぐる動きから見ていきます。今月9日、トランプ大統領が米朝会談に応じる意向であることを訪米中の韓国特使が公表しました。その4日後、トランプ大統領はティラーソン国務長官の解任、後任にポンペオCIA(中央情報局)長官を指名したことを発表しました。4月には日米首脳会談、南北首脳会談が予定されています。5月までに米朝首脳会談を行うとトランプ大統領は明言しました」
反町キャスター
「渡部さん、いかがですか?どう見ていますか?」
渡部氏
「これはアメリカ政府の声明として、これまでの過去のアメリカの政権が、たとえば、これはと思って期待しても結局、北朝鮮というのは、ずっと裏切ってきたのだから、制裁は、北朝鮮がきちんと核放棄の動きを見せるまでは継続をしますということは言っていますよね。だから、皆、そういう、ただ入口を自ら閉ざすことはないので、とりあえず対話の入り口はつくったので。次はだから、ボールはどこにあるか、これは北朝鮮にあるわけですね。北朝鮮側がボールを持っていて動かなければ、それはまた制裁を続けるわけ、続けるというか、現在も続いているわけですから。そこはその様子をよく見ればいいと、こういう状況にあるのではないですかね」
岩﨑氏
「北朝鮮を考える時、私達はこれまでに何が起こってきたのか、我々にどう対応してきたのかということをよくよく、しっかりと認識しておく必要があると思うんですね。彼らは朝鮮戦争が休戦になる時に、当時のアメリカの大統領がもしかすると朝鮮半島でも長崎・広島のようなことをしなければいけないということを発言したあと、すぐに停戦に応じたわけですけれども。その時以来、たぶんおじいちゃんの金日成の時代から、核に対する恐怖というのをずっと持ち続けていると思っているんです。先代の金正日、それから、現在の金正恩さんもずっとそれを引き継いでいるような感じがするんですね。彼らの最終的な目的というのは核と、それから、核をどこかに運ぶ手段、これはICBM(大陸間弾道ミサイル)がそうだと思うのですけれども、これを手にすることによってアメリカと対等な会議、席につくことができる。さらに言うと、たぶん最終的には韓半島から米軍を退却させるということまで、もしかするとファイナル合意として考えているのではないか、ということをよくよく認識しながら、彼らと対峙しないといけないと思うんですね。当然、話し合いで解決された方が1番良いのですけれど、我々は言葉だけではなく、実際の行動によって判断しなければいけないと思いますので。言葉で、たとえば、仲良くしましょうとか、会議をしましょう、ということだけで喜んではいけない。ですので、基本的には先ほど渡部さんが言われていたように、現在も制裁は続いていますし、それから、圧力も当然のことながら引き続きやらないといけないと思いますけれども、何か行動的な成果が出てくる場合は、そういったことを少し考え直す必要があると思いますが、当面はまだその成果が出ていないわけで、言葉上の約束だけですので。そういったのは慎重に判断をしていく必要があると思います」
反町キャスター
「小野寺さん、岩﨑さんの話で、まず行動が出てこないと、口でなんぼ調子がよいことを言ったって、行動がなければ評価できないという点からいくと、韓国は既に人道支援だか、何とか支援だか、9億ドルでしたか、提供する用意があるとか、さまざまなものを提供しそうな雰囲気をずっと持ち続けている中で現在に至っています。日本政府として韓国の前のめりな姿勢に対する危惧というのは、特に防衛大臣の立場からしても、危惧する部分、行動のないままの何らかの支援、何らかの制裁解除、部分的解除みたいな、そういう口に対する春風みたいな、そこに対する懸念というのは持っていないですか?」
小野寺防衛相
「これは圧力を引き続きかけ続けると。北が何らかの行動、これが私どもとして確信ができるような行動がない限りは圧力を強めていくということ。これは韓国も同じスタンスですし、特使の方もそのことを発言しています。それを、たとえば、今日、総理と文在寅さんの会談がありましたが、これは拉致問題についての議論もありますが、当然この状況においての圧力はしっかりかけていくということ、これは日韓でも確認するという、そういう意味でも今日は会談をされていると思いますので。いずれ今回、北朝鮮が、たとえば、何らかの形で対話に向かおうという動きがあった背景には、当然、その圧力・制裁が当然効いているということなのだと思います」

急変する国際情勢下の安全保障
反町キャスター
「今日夕方、日韓電話首脳会談がありました。日本側の発表によると、内容はこういうことだそうです。両首脳で一致したこととしては完全検証可能な不可逆的な方法で非核化実現のため最大限の圧力を、北朝鮮に対してかけることを継続することで一致しましたと。南北・米朝首脳会談に向け、日米韓で連携することで一致しましたと。拉致問題に関しては、日本側から南北会談でも取り上げてほしいという要望をしたことに対して、両首脳間では拉致問題解決に向けた連携を確認しましたと。これが合意点・一致点になります。一方、総理から文大統領に対しての発言としては『北朝鮮の非核化のためには、核実験・ミサイルの単なる停止では不十分である』という発言であるとか、『IAEA(国際原子力機関)査察官の受け入れが必要である』という発言を総理の方から文大統領にはしたのですけれども、それに対する文大統領の返事はここまでのところでは明らかになっていません。小野寺さん、今日の日韓電話首脳会談の日本側のブリーフィングの中では、米韓合同軍事演習の話、これに踏み込みがあったような情報を僕らは聞いていないのですけれども。小野寺さんは、米韓合同軍事演習については予定通りきちんとやるべきか、それぞれの諸般の状況を考えた時に、それなりの塩梅はかけてもいい、やむを得ない部分はあると思うのか、軍事演習の意義と政治的な影響、どう感じていますか?」
小野寺防衛相
「これは、米韓ですから、米国と韓国の演習ですから、私どもがコメントする内容ではないとは思います。ただ逆に私のところにさまざまなアメリカの軍の関係者、アメリカの国務省の関係者が来られます。その時に向こうから、むしろ米韓の軍事演習は予定通り、オリンピック・パラリンピックがありますから、時期はちょっとずれますが、予定通りやることは変わっていませんということを繰り返し私は説明を受けていますので。そういう意味では変わらない形で行われると思います。ただ、毎回、米韓軍事演習でいろいろな装備、どの装備が出てくるのかというのはそれぞれ変わっていますので、そういう意味で、少なくともアメリカが当初考えているプランの通り、韓国と調整しているプランの通り行われるのではないかと思います」
反町キャスター
「ただ、小野寺さん、他国のこととは言いながらも、半島有事の際には当然のことながら在日米軍の基地も…、日本政府の判断や許可、この場合は要らないのか?半島の有事の場合には在日米軍基地を使うことに関しては、何らかの事前協議は日本政府にはあるのでしたか?」
小野寺防衛相
「基本的にはさまざまな想定に関しては事前の協議があるのが普通だとは思いますが…」
反町キャスター
「いずれにしても、半島有事がある際には、在日米軍、在日米軍基地が関わることを考えると、米韓合同軍事演習をよその国の訓練とはとても言えない状況だとは思うのですけれど。これは日本政府としてはきっちりとやってもらいたいということでよろしいですね?」
小野寺防衛相
「これは、その軍事演習はアメリカと韓国の話ではありますが、ただ、私ども日米韓で一致しているのは最大限の圧力を継続していくということ。これは経済的にも、国連の安保理決議の中で私どもがしっかり圧力をかけていくだけではなく、たとえば、軍当局もしっかり連携を示して、圧力をかけていくということは同じですので。そういう意味では、私どもと同じ認識を米韓でも共有していると思います」
反町キャスター
「岩﨑さんは米韓合同軍事演習、これは日本の安全保障の観点からいうと、どう評価されるのですか?」
岩﨑氏
「先ほど大臣が言われた通り、これはアメリカと韓国がやっている訓練ですので、私達がとやかく何かを言うようなものではないと思っています。一般論で言うと、演習・訓練というのはその国の武装集団・軍隊にとっては大変大切なものですね。これは1年間365日しかありませんので、この中でいろいろな計画の中で、やるわけですね。ああいう大規模なものというのはなかなか準備だとか、いろいろなことがありますので、今回やめたので、すぐまた夏にやります、冬にやりますというのはなかなかとりにくい。自分達でも基礎的な訓練もしないといけないということもありますから。ですので、一般論で言うと、計画した通りに、淡々とやっておかないと、もしかすると当然、軍隊というのは定年していく人もいますけれども、新人達も出てきますので、その人達がよく訓練されていないということになると、もしかの時、不測の事態の時に機能しなくなる可能性もありますので、そこは計画通りやられるべきではないかなと思います」
反町キャスター
「渡部さん、いかがですか?」
渡部氏
「そもそも、これも不思議なのですけれども、北朝鮮側のメッセージからして、やってもいいと言っているんですね」
反町キャスター
「言っているわけですね、そうです」
渡部氏
「…ですよね。これもよくわからないのですけれども。いや、よくわからないのですけれども、それだったらやめる理由はまったくないですよね。しかも、最大限の圧力の中に演習は入っていますから、当然のことながら、最も圧力がかかるのが演習であって。もちろん、逆もあって、だからこそ、偶発のリスクという、ここは気をつけなくてはならないです、偶発で紛争になる。ただし、ここで演習をやめちゃったら、向こうが何にもしていなのに、圧力を弱めるということは間違ったメッセージになっちゃうではないですか?」
反町キャスター
「なります」
渡部氏
「それは気をつけなくてはいけないと思います」

ミサイル防衛の『実力』は
竹内キャスター
「政府が、安全保障環境の整備として力を入れているのが『BMD』弾道ミサイル防衛です。政府は2004年から導入を進めてきましたが、累計から、整備費ですね、2018年度の予算要求額までを含めると累計が2兆円となっています。北朝鮮の脅威を背景に2017年度の補正予算で622憶円、2018年度の予算案で1365憶円がミサイル防衛関連費として計上されています。小野寺さん、政府が目指すミサイル防衛の形とはどのようなものなのでしょうか?」
小野寺防衛相
「このミサイル防衛を導入する時、当時、防衛省内でも、政府内でもいろいろな議論があったと聞いています。もちろん、非常に高額な、高性能の兵器ですから、装備ですから、これはどうしようかという議論の中で最終的には導入すべきという決断をしてきたのだと思うのですが。その時に現在、これがもしなかったら、北朝鮮の弾道ミサイルがああいう形でドンドン能力を上げてきて、これをどうやって防ぐかとなった時に、日本自体は何もできないわけです。米軍のイージス艦等にお願いするしかない。まったく自前で自分達を守ることができない。このミサイル防衛というのは、相手の国を攻撃するわけではなくて、飛んできたものを振り払う、撃ち落とす、まったく盾の役割の装備ですから、そういう意味では、日本の専守防衛という考えの中ではこれは必要なものだと思います。ただ、安倍総理も繰り返し言っていますが、専守防衛というのは大変難しいです。お金もかかります。ですから、そういう意味で、日本としてこれまで一貫して専守防衛のあり方で考えていく中では、このミサイル防衛をこれからも研究開発し、また予算もつけ、対応していくしかない、これが今現在の日本の安全保障の置かれた状況なのだと思います」
竹内キャスター
「かなり費用をかけてきたこのミサイル防衛なのですけれども、北朝鮮のミサイルに対応するのに十分なものなのでしょうか?」
小野寺防衛相
「これはどの時点で十分かというのは一概には言えないと思います。当然、北朝鮮も自分のミサイルの能力をドンドン高めています。それに合わせて私達もミサイル防衛の能力を高めていく。そのために、たとえば、イージス艦という、一義的には現在、日本海のイージス艦が北朝鮮のミサイルを撃ち落とすための対応をしていますが、その船を増やしていく。あるいは、でも、24時間365日ということになれば船に載っているイージス艦のミサイル防衛のシステムだけを陸上に配備した、これはイージス・アショアです。船が要らない分、お金もかかりませんし、維持管理もしやすいということで、陸に置いたらどうかとか。あるいは弾も、撃ち落とす弾も新しく、より高く、より広い範囲で、それで、よりたくさんの弾に一気に対応できるように、こういうSM‐3ブロックⅡAという新しいタイプのミサイルを入れる。とにかくこうやって相手の能力が上がるのに合わせ、こちらも能力を上げていく、こういう形で開発をしていますので、私どもとしては、この国が守れるようにしっかりいきたい。日本だけではないです。日本は飛んでくるものを撃ち落とすという、こういう役割で一生懸命やっていますが、抑止力のために撃ってくるところを最終的には撃たせないようにしなければいけない」
反町キャスター
「叩く?」
小野寺防衛相
「ええ。この叩く役割はアメリカが負っています、基本的には。ですから、日米同盟一緒で初めてミサイル防衛ができている。だから、日米の関係が大事。実はミサイル防衛1つとっても、日米で精緻なシステムがつくられているということだと思います」
反町キャスター
「基本的には、と小野寺さん、言いました。小野寺さんが大臣になられる前、党の政調会長代理の時ですか、敵基地攻撃能力についての提案をされていると思うのですけれども、そこの部分というのは、基本的にというところで、今後の将来的な可能性をそこに残しているという理解でよろしいのですか?」
小野寺防衛相
「これはまずなぜその時に、私ども敵基地に対する反撃能力のことをお話したかというと、ミサイルが飛んでくる時に撃ち落とす時、1番撃ち落としにくいのは高いところからすごいスピードで落ちてくる時、これは撃ち落としにくい。でも、これを現在、航空自衛隊のPAC‐3の部隊がやろうとしている。次に撃ち落としやすいのは、上がって高いところ、ちょうどスピードがあまり出ていない時、これを撃ち落とすのがSM‐3ブロックⅡ、現在、海上自衛隊がイージス艦でやっています。1番楽なのは、実は撃つ前か、撃ってボボボボボッと上がってくる、このブーストフェーズ、ここだと遅いではないですか、ここで撃ち落とすのが1番確実です。ただ、これは相手の領土、領空のところです。ですから、この能力を持った方が1番、ミサイル防衛には有効でしょうと。これは党としての提言で、当時、党の安全保障の役割の1人として提言をしました。ただ、内閣に入って、現在、閣僚として安倍総理の指示のもとで動いていますが、安倍総理は繰り返し、盾と矛の関係、基本的な関係は、これは変わらない、日本は盾でアメリカは槍だ。ですから、私も現在、その安倍総理の考えのもとに防衛力整備をしています」
反町キャスター
「岩﨑さん、よく飽和攻撃と言われるではないですか。北朝鮮は、日本まで届くミサイルを300発、400発持っていると言われている中で日本が撃ち落とすことが可能なミサイルの数というのは日本が何発のPAC‐3を持っているのかにもよるのですけれども、40発も50発も撃ち落とせる能力は日本にはないという前提に立っている時に。では、向こうが大量に撃ち込んできた時のことを考えると、日本が持っている現在のミサイルディフェンスというものは果たして意味があるのかどうかという議論をよく聞きます。この件については、どう考えますか?」
岩﨑氏
「それはいろいろなところに行って、講演したりした時によく聞かれることなのですけれども。0か1かということなのかということですね。つまり、よく引き合いに出すのは、横綱の人というのは必ず勝てないといけないのかと。平幕に負けることもあるかもしれない。いろいろな完璧というのはいいに越したことはないのですけれども、なかなか完璧なものというのはないかもしれないです。私達が持っている装備というのは、かなり精度が高くて、撃墜をすることが可能なものを現在、与えられていますけれども。当然のことながら、今言われた飽和というのも、どの程度の飽和なのかにもよりますけれども、私達の能力を超えることもあるかもしれない。でも、向こうがどういう意図のもとで、それをしようと思っているのか。もしかするとそうでない攻撃、つまり、数が少ない場合の攻撃ということもあり得ますよね。その時には当然、私達が持っているヤツで十分対応が可能なわけですね。ですので、何百発かにできないので、無に帰してやらない方がいいのかということではないのではないかなと思います。安全保障というのはいろいろな環境の中で相手も判断しますので。私達も限られた予算の中で大切なお金を使わせてもらって、BMDの態勢をとっていますので、現在、非常にいい態勢ができていると私は思っています」
小野寺防衛相
「撃ち落とすということをしっかりやっていくこと、これは当然なのですが。1つ、岩﨑統幕長からもお話がありましたが、私達、その相手の意図というのを考えた場合、北朝鮮が日本に弾道ミサイルを撃ってきた、私達は、これをほぼ全部撃ち落とす、そのためのことをしっかりやっていきます。でも、もしかしたら撃ち落とせないかもしれないものがあるかもしれない。でも、少なくとも北朝鮮が撃った時に同盟国のアメリカが相当の威力を持って北朝鮮を制圧するわけです。かなりの能力を持って。逆に今度、アメリカから北朝鮮に攻撃が行った場合、北朝鮮はミサイル防衛システムを持っていませんから全部当たるわけです。自分達が撃ったヤツは防がれるかもしれない。でも、その瞬間、自分達は壊滅的にやられる。その時、自分達は防ぐものを持っていないとすれば、撃つのをためらうではないですか。やったものが100%成功する可能性がないとすれば、撃つのをためらいますよね。逆に言えば、アメリカが撃ったら全部当たります。そうすると、自分達が絶対やられてしまう。そうすれば撃つのをためらう。これが抑止力。ですから、逆に、防ぐ能力を持ち、反撃の能力をアメリカの力で持っていれば、北朝鮮はうかつに手を出せない。これが抑止力ですから。撃ち落とすという飽和攻撃の議論も大事ですが、その前提の抑止力という議論も是非このミサイル防衛の中で考えていくべきだと思います」

どう備える?ロシアの新型兵器
竹内キャスター
「今月1日、ロシアのプーチン大統領は年次教書演説で極超音速滑空体を弾頭にする大陸間弾道ミサイルなど新兵器を発表し、『アメリカや北大西洋条約機構、NATOのミサイル防衛システムを突破できる』と発言しました」
反町キャスター
「ロシアというのは、いわゆるソビエトの崩壊によって世界の軍事大国からずれてきているのではないかというようなことではなく、国力は当時に比べると多少下がり、軍事力も大幅に下がっているのにも関わらず、こういう戦略兵器、核兵器でアメリカと伍するような立場をまだとろうとしているという、こういう理解でいいのですか?」
小野寺防衛相
「最終的に、たとえば、アメリカとロシアの今のさまざまな能力を見たら、当然、アメリカがかなり勝っているのだと思います。ただ、それをわかっているからこそ、新しいゲームチェンジャーと言うのでしょうか、新しい技術をロシアの方で持って、これを持てば、現在の優位性のところは、逆に言えば、逆転できるとか、いろいろな開発を考えているのだと思うのですが。1つ注目なのは普通、こういう新型兵器を持っているとすると、わざわざ皆さんにアピールしないではないですか。やっているのは北朝鮮、一生懸命見せていますよね。でも、逆に言うと、あの裏側には多少、宣伝戦の意味合いもあります。そういう意味では、今回、ちょうど大統領選も間近ということもありますし、さまざまな意思があって、もしかしたらやったのかなと。これは、個人の考えです、大臣の考えではありませんが。そういう意味では、ロシアの新しい装備について私どもは注目をしていくということなのだと思います」
反町キャスター
「ただ、今回のプーチン大統領の演説とか、発表の場においても、日本とか、アメリカがやっているミサイルディフェンス的な、盾の部分の話が全然なくて、攻める道具はこんなに持っていると、こんなにすごいのがある、さあ、どうだという、こういう話ですよね。これは、要するに、安全保障とか、防衛のプロフェッショナルの皆さんからすると、あまり怖がらなくていい、…ハッタリとは言いませんよ、怖がらなくていい話なのか、あくまでも国内向けの発言と見た方がいいか、それとも、これは深刻に軍事的な脅威として、要するに、向こうは撃たれもいいから撃ち返すつもりがあるのだぞと深刻に受け止めた方がいいのか、それはどう我々は受け止めたらいいのですか?」
小野寺防衛相
「これは、どの国もそうだと思うのですが、通常は自分の自国の防衛力を整備するというのは、相手を侵略する意図ではなくて、相手から侵略されないための、言ってみれば強いものをもつということなのだと思います。そういう意味で、ロシアも基本的には当然、米ソの冷戦時代は軍事的なバランスがあって、あまりにやりすぎて核の削減をお互いにやっていくと、こういうことでやってきたのですが。その中で、ロシアはだんだん経済的な問題もあって少し落ちてきている。アメリカはある面でそのまま維持されている。こういう中でロシアもさまざまな脅威を当然感じているのだと思います。その中で、たくさんお金をかけて、いろいろな装備を、空母を何隻も持つようなことはしないけれど、たとえば、この1つの新しい技術でゲームチェンジャーとして、逆にこれを持っていれば自分達は攻められないだろうという、そういう考え方で整備しているのかもしれません」
反町キャスター
「岩﨑さん、いかがですか?プーチン大統領の新兵器発表会みたいな、この政治キャンペーンをどう見ていますか?」
岩﨑氏
「なかなか、先ほど、防衛大臣も言われましたけれど、本当にできるのかどうかというのはまだまだ疑わしいところもあると思います。ただ、私達は仮に彼らがこれを、かなりの確度で持って、開発をすることができるのであれば、現在からもう準備しておかないといけないと思います。彼らは、先ほど言われた攻撃兵器と、たとえば、我々のBMDみたいな防御のためのシステムというものの、比率を考えてみると、彼らは自分達の防衛思想、その軍事思想というのは、攻撃兵器を持っている方が攻撃されないのだという考え方を持っているんですね。何回か向こうの方々と話をした時には、我々はBMDですので、BMDというのは相手を攻撃はしないわけですね。相手が撃たない限りは、発動しないことなのですけれども。それはダメだということを言われるのですけれども」
反町キャスター
「ダメなのですか、ロシアから見ると?」
岩﨑氏
「はい。それは自分達の持っているいろいろな、ミサイルもそうですけれども、いろいろな兵器の価値が下がるわけですね。それが機能しなくなるわけです。それは抑止の観点からすると、彼らの抑止が下がっているという考え方なのだろうと明確には向こうは言いませんけれども、そういう感覚を私は受けました。ですので、いろいろな国がそれぞれの防衛構想に基づいて、いろいろな装備品を持っていると思いますけれど、少しそういったところをよく私達も理解しておく必要があると思いますし、それから、ロシアとか、もしかすると中国も1部分、冷戦の時によくあったコンテイナメントという考え方が西側にあったのですけれども、そうされてしまうという恐怖感…」
反町キャスター
「封じ込めというヤツですね?」
岩﨑氏
「ええ。…を持っているような感じがします。ですので、記憶にも新しい、クリミアをいつの間にか占拠してしまったわけですけれど、彼らは何か本国の周りにバッファになるような、アメリカ、ヨーロッパが攻めてくるかもしれないみたいな恐怖感を持っていて、何かバッファを持っておきたいという行動ではないかなと思っています」
反町キャスター
「渡部さん、アメリカは、ロシアのこういう姿勢をどう評価していると見ていますか?」
渡部氏
「一時期、ロシアが茫然自失のような状況になってしまったのですが、そこから着実に戻しにかかって、これは当然ですね、経済力が回復して、しかも、独立国ですから。しかも、実は核兵器をたくさん、つまり、アメリカと同じ数を持っているわけですから。それが1つの彼らの誇りであり、拠りどころで。かつ実は産業力としても、実はロシアにとって軍事兵器を輸出するというのも重要な産業ですからね。これは別にロシアだけではないですけれども。そういうことでやってきたのだと思いますが、アメリカ、NATO、欧州の同盟国は、ロシアのそういうどちらかと言うと一方的にやられちゃった、プライドを踏みにじられた、というところに割と鈍感なところもあったのだろうと思います。なのでロシアの方としては本当だったら冷戦が終わったあとに、和解したし、たとえば、欧州において、アメリカとNATOは軍備を増やさないというような、約束をしたと彼らは思っているわけです。ところが、今度ヨーロッパからすると、たとえば、ウクライナの内戦に介入したり、クリミアの先ほど言ったハイブリッド戦争があったりと、だから、対抗せざるを得ないと。しかも、バルト三国、バルト諸国というのはロシア系の住民もいるので、クリミアみたいなことをやられると怖いわけですよ。実際、バルト諸国はNATOに入っているので、だから、守りたいというのがあって。実は2016年のNATOサミットの決定で、ローテーション・ベースで、あくまでも、つまり、常置はしない。ところが、NATO軍が実はバルト三国と、あとポーランドに置いているんですね。今度ロシアはそれを見て、ちょっと嫌だと思っているわけです。だから、これは典型的な安全保障のジレンマで。皆、自分達を守ろうと思って軍備増強しているのだけれど、相手からすると、これは俺達をちょっとやろうとしているのではないかとか、裏切りではないかとか、思っているわけです。こういうサイクルに実は現在、ちょっとロシアと欧米が入ろうとしているというのは気をつけた方がいいと思います」

今後のミサイル防衛は?
竹内キャスター
「現在、日本は年末に見直す予定の防衛大綱に向け、アメリカが最新鋭の巡航ミサイルなど新たな脅威に対抗するため進めているIAMDと呼ばれる統合防空ミサイル防衛構想の検討が進められています。それが現在のミサイル防衛ではPAC‐3、イージス艦を使って放物線を描いて落下してくる弾道ミサイルのみを対象としています。統合防空ミサイル防衛構想IAMDを導入しますと、これに加えまして、コースを変えながら飛んでくる巡航ミサイルやドローンなどにも、イージス・アショア、イージス艦を利用して迎撃することが可能になるということです。小野寺さん、日本はIAMDの実現に向けて動き出しているということなのでしょうか?」
小野寺防衛相
「最終的には非常に有効な装備なのだと思っています。たとえば、日本が攻撃されることを考えた場合には、弾道ミサイル、これが現在、1番脅威となっていますが、同じように巡航ミサイル、あるいは無人機、いろいろな形で攻撃を受けることがあります。こういうものを統合的に防ぐという考え方。さらにこれだけではなく、当然、撃ち落とすためには、見つけて、それにピンポイントで誘導して当てるということが必要なのですが、たとえば、イージス艦だと、船で持っているレーダーで標的を見つけて、撃つという形が基本になっていますが、IAMDになりますと、たとえば、飛んでいるE‐2Dという哨戒機とか、あるいは私達が持っている地上配備のさまざまなレーダーとか、イージス艦のレーダーとか、いろいろなことが全部つながって。そうすると、見えないところだけれども、別の、たとえば、航空機がレーダーで探知したものをこちらにあるミサイル発射装置から発射をして撃ち落とす。非常により速く対応できますし、より効率的に対応できるんです。ですから、これはむしろたくさん対応できるということもありますが、効率的です。1つの装備でいろいろな形で使えるという、そういう効率化も含めた全体構想なのですが、これを全部揃えるためにはいろいろな装備が必要ですので、現在、一概にすぐこれができるというわけではありませんが、将来的にはアメリカもそうですが、いろいろな国がこういうことを目指しているということだと思います」

日本は自立できるのか?
竹内キャスター
「日本がアメリカから防衛装備品を購入する場合、有償軍事援助、通称FMSという制度で取引が行われますが、予算額は2015年度から急激に増加していまして、2018年度の概算要求では4804億円となっています。小野寺さん、日本の防衛という観点から、アメリカからの防衛装備品の購入が急激に増えている現状をどう見ていますか?」
小野寺防衛相
「まずこれはアメリカがどこの国でもこういう装備を出すわけではなくて、同盟国のような非常に緊密な国で、この最新鋭の装備を提供しても、これは安全保障上、自国でも問題にならないという、逆に限定されて、むしろ提供される国というのは非常に限定されています。その中で、たとえば、現在、日本で使っている航空機、どうしても、たとえば、近隣国を見たら皆、最新鋭のステルス戦闘機にドンドン変わっています、これを日本で開発できているかというと、できていない。とすれば、最新鋭のステルス戦闘機を購入するということで、たとえば、F‐35Aの導入というのを現在、決めています。実はその導入が始まって増えています。それから、同じように増えているのはイージス艦のBMDシステム、このミサイル防衛システムも非常に精度の高い、高度な技術です。これを装備するということになれば、どうしてもアメリカからの提供を受ける。ですから、現在、増えているというのは、このF‐35ステルス戦闘機とか、あるいはBMDシステムを導入する、こういう中で増えているので。この装備が必要ないかと言うと、おそらく現在この装備を持たなければ、日本の安全保障の中で決定的にミサイル防衛、あるいは対防空戦力に関しても劣ってしまう。そういうやむを得ない中です。しかも、これはどの国にもアメリカが提供するわけではなくて、あくまでも同盟国のような、日本のような信頼できる国にしか出してこない、そういう特殊な防衛装備の取得の仕方ということだと思います」
反町キャスター
「岩﨑さん、航空幕僚長だった時に、F-35を決められた部分、そのFMS、いわば向こうの言い値で、しかも、ブラックボックスがあるというものを買うということ。現在、F‐2という自衛隊の飛行機の後継機の問題、1部報道で国産断念というような話もありましたけれども。このF‐35を導入するにあたって、たとえば、当時の議論において、ブラックボックスがいっぱいある、言い値で買わなくてはいけない、そこのへんに対するためらいの議論というのはどのくらいあったのですか?」
岩﨑氏
「新しい装備品、特にこういう戦闘機というのは航空自衛隊の装備品の中で最も中心的な役割を果たすものですので、かなりの長い時間、部内で議論していました。私達はずっと長い間、自衛隊というのは基本的には少数精鋭という方針をとってきたと、私は思っています。日本は現在、戦闘機の部隊は260機から280機に徐々に、増やそうという計画で進んでいますけれども、たかだかこの機数しか部隊にいないわけですね。何千機と持っているような国とかに対応するためには、周辺、世界の中での一目を置かれるような戦闘機を持っていないと、なかなか太刀打ちができないということだと思います。このF-35を決めるまでに、いろいろな紆余曲折は当然あったのですけれど。当時、たとえば、国内開発だとか、それから、外国のモノを買うとか、いろいろな観点から、かなり議論をして、または外国にも調査に行って、この35に決めたわけです。言われた通りブラックボックスだ、何だということもありますけれども、それはF‐15を入れた時も、当初の時には比較的、私達に開示されていない部分もたくさんありました。私達の周辺の軍事情勢等を勘案すると、どうしてもこういう素晴らしいステルス性能を統合されたネットワークが組めるような装備品というのが必要だということで、最終的にこの飛行機に決定したんです」
反町キャスター
「なるほど。渡部さん、アメリカにしてみたら言い値で買ってくれるというのは、向こうからしてみればいいことだと思うのですけれども」
渡部氏
「はい」
反町キャスター
「日本は黙って全部買い続けるというのも、これもいかがなものかと」
岩﨑氏
「あの…」
反町キャスター
「どうぞ…」
岩﨑氏
「ちょっと…」
反町キャスター
「言葉が悪いんですよね、僕の、すみません…」
岩﨑氏
「いや、そういうことではなくて、言い値というのは当然、私達は、いくらと言われて、あいよと買っているわけではありませんので。それは然るべきところでしっかりと米国と調整したうえで、いろいろな交渉をしたうえで合意をして、大切な税金ですので、向こうに払っていますので、言い値というのは…」
小野寺防衛相
「基本的には、アメリカの企業がアメリカ政府に当然売っているわけです。そうすると、これがいくらで売られているかというのは、私達は知っていますので、日本に入る時、当然…」
反町キャスター
「それよりウンと高い」
小野寺防衛相
「いや、それは日本に来た時に、たとえば、日本で組み立てますかとか、日本でいろいろな部品を集めてつくりますとか、日本の企業にこれを任せますとか、そういう日本での役割を付加すると高くなっていきます。そのまま買ってくるのではなく、日本で将来、これを整備できるように、日本にも技術が残るようにということでやると、そのための工場をつくったり、アメリカからライセンスを買ったりと、いろいろなことをして実は上がっているので。決して何か目をつぶって、これだから買えというのではなく、ちゃんとそこは積み上げて議論をしてやっている」
反町キャスター
「渡部さん、でも、この高い装備品購入費、アメリカに対してたくさん払っているものを減らしていく方法はないのですか?」
渡部氏
「あります。別に高いかどうかはともかくとして。そうではなくて、民間だからまた言いやすいのですけれども。結局、長期的な視点から言うと、日本の防衛産業が自立できて、競争力あるものをつくっていく必要があって。そのためには実はFMSから入ってくるような防衛品というのは実は参考にもなるし、良いことですけれども。残念ながら、日本はこれまでは外に、武器輸出3原則というのがあって、外に売れなかったから、なかなか競争力のある防衛産業というのがつくりにくかったのですが、これの方針を変えようとしているのですが。それは簡単でして、我々は財政的にも今後、少子高齢化を迎えて、そんなに防衛予算に高いお金を出せないのはわかっているわけですから、そういうこともありますし、あともう1つは、そういう先進技術というのは防衛技術から生まれることが多いので、それをスピンオフと言って、民間に使ったりもできるので、アメリカはそれをすごく有効に使っている。そちらの方を日本も考えると。だから、FMSをやめましょうというのは違う話なので。だから、両方を多角的に考えながら競争力をつけましょうという方向に考える時期にきているわけです」
小野寺防衛相
「1つだけいいでしょうか。たとえば、F‐35という戦闘機ですがステルス性があって、現在、最性能と言われていますが、これは本来もし日本が共同開発に入っていれば当然、この部品のいくつかは日本でつくって、しかも、たくさんの飛行機を日本でもつくっていきますから、1機あたりのコストも下がっていく、日本の産業も伸びたということなのですが。残念ながらこれまで、先ほどもあったように、武器輸出3原則というのがあって、多国間の共同研究に入れないということで日本はF‐35の開発に入れなかったんですよ。ところが、残念ながら、F‐35の、たとえば、機体の複合材の技術とか、ステルスの塗料の技術とか、実は日本の技術が入っているんですよ。だから、こういう意味で、1番、私はこの武器輸出3原則ということがあったことが、ある面では、日本の防衛産業がずっと遅れてきた。たとえば、輸出できないとなれば、戦車は日本国内でしかつくらない、そうすると、100輌しか必要でなければ、100輌をつくるための工場のラインが必要になりますが、これが海外に移転して、1000輌、1万輌になれば、それだけの工場の中の100輌ですから、1輌あたりのコストは下がっていく。実はどの国も現在、そういう形で、自国でつくったものが他でも使ってもらえるから、コストが下がっていくという、研究開発も、できるということですので。私どもとしてはしっかり政治が関与をしたうえで、これから防衛装備移転ということ、これは1つ、1つ案件を見ながら、日本の安全保障政策に役立つのであれば、していこうと。その政策を安倍政権になってガラッと変えたというのは事実です」

小野寺五典 防衛大臣の提言 『冷静沈着』
小野寺防衛相
「『冷静沈着』という言葉にしました。実はトランプ大統領、おそらく個性だと思うのですが、さまざまな政策を急に考えてみたり、出してみたり、人事も、非常にスピーディーです。それに1つ1つ、私どもが対応したり、右往左往したりするのでなく、冷静に見ていく。実はその行き着く先がよく見えてくる、そういう落ち着いた対応が必要だと思っています」

岩﨑茂 前統合幕僚長の提言 『油断大敵』
岩﨑氏
「必ずしもトランプ政権下ということではなく、私達日本、特に防衛省、自衛隊にとっては、あらゆることを考えて、普段からしっかりと訓練をして、事態に備えないといけないと思っています。ですので『油断大敵』、これを挙げました」

渡部恒雄 笹川平和財団上席研究員の提言 『知恵と辛抱』
渡部氏
「『知恵と辛抱』。トランプ大統領というのは非常に個性的だし、アメリカの政治が実は揺れ動いているので、同盟国がそう揺れ動いているところはどういう意味があるのかと。そことどう付き合うのかというのをよく考えなくてはならない。あまり早急に感情的に反応しても良いことは何にもありませんから、これはじっくりしましょうということですね」