プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2018年3月15日(木)
文書改ざんの闇と元凶 伊吹文明×長妻昭対論

ゲスト

伊吹文明
元衆議院議長 自由民主党衆議員議員
長妻昭
立憲民主党代表代行 政務調査会長
山田惠資
時事通信社解説委員長

文書『改ざん』の本質 官邸と官僚『不都合な』関係
松村キャスター
「永田町と霞が関を揺るがしている森友文書改ざん問題。なぜ決裁文書を改ざんしなければならなかったのか政と官の関係について聞いていきます。森友文書の改ざん問題ですが、財務省が改ざんを認めるまでの経緯をあらためて見ていきます。今月2日、決裁文書書き換え疑惑が報じられます。8日、財務省が国有地売却に関する文書コピーを国会に提出、ただし、コピーはこれまでに開示された文書と同じものでした。9日、森友学園への国有地売却を担当していた近畿財務局職員の自殺が報道され、この日の夕方、当時、理財局長だった佐川国税庁長官が辞任します。12日、財務省は決裁文書の書き換えを認め、14の文書を提出しました。この問題、今日はいろいろな角度から聞いていきますが、まずは財務省の体質・組織についてです。伊吹さん、財務省の体質・組織、どこが問題だと?」
伊吹議員
「財務省の体質に問題があるというよりも公務員としての使命感というか、その人の持っている公務に対する考え方、こういうものが1つあるのと。それから、全体の今、今日の話題がそういうことなのでしょうけれども、官を覆っている政治との関係の例外で財務省もないということでしょうね。だから、佐川君がなぜあのような国会答弁をしたのか。また、押収をされて近畿財務局内にはない文書について、どうして特定メディア、つまり、朝日新聞が確認をできたのかということが、役人の中に、ある、いろいろな思いが今回の問題の底流にはあるのではないですか」

財務省の『体質』と『判断』
反町キャスター
「長妻さん、いかがですか?財務省という組織を見た時に、他の役所と比べてどう違うのか?今回、財務省の問題が起きた。これは財務省だからこそ、こういう問題が起きたかどうか、どう感じていますか?」
長妻議員
「私も外から財務省をずっと見て、一緒に仕事を、政権の時もしたことがありますけれども。財務党というか、すごく他の省庁に比べると政治的な動きを得意というか、そういう感じを受けまして、だから、今回の件も、おそらく近畿財務局は、現場ですから真面目に、相当詳細に記録を取って、それで出してきたけれども、政治的な感覚からすると、お前、こんなもの出してくるなと、こんな細かく書いて、空気を読めと、国会で総理とか、いろいろな人が答弁しているのだからというような何か政治的な感覚が、一線を越えてしまったような私は気がするので。官僚は憲法にもありますが、中立、国民の皆さんのサーバントなので、のりを超えないで、いくら政治家、政治をサポートしなければいけないと、政治家もろとも底に沈んでしまう、そこまで付き合う必要はないと。一線で踏みとどまる必要があったと思いますが。政治的な動きがいき過ぎて、今回のようなケースが生まれてしまったのかなと感じます」

『政』と『官』に今、何が?
松村キャスター
「安倍政権の発足から5年あまり安倍総理と中央省庁をめぐってはさまざまな問題が浮き彫りとなりました。見ていきます。財務省では森友文書の改ざんが問題となっていますが、他にも、文科省では安倍総理の友人が理事長を務める学園に対して獣医学部の設置を認可した問題、防衛省では陸上自衛隊のPKO(国際連合平和維持活動)の日報が保存されていたにも関わらず隠蔽され公表されなかった問題、厚労省では裁量労働をめぐる不適切なデータ引用の問題とさまざまありますが。伊吹さんに聞きますが、中央省庁でこのように問題が相次ぐ理由というのはどのように考えますか?」
伊吹議員
「いろいろ理由があるでしょう、それは。昔のように、良くないことかもわからないけれども、第2の人生が保障されているとか、社会的、政と官の関係から言えば、ある意味では、実質的には対等だとか、そういう感覚がある中で内閣人事局というものができたということで、各省の人事が官邸主導になったというわけではないと思いますよ。これは従来でも局長以上の人事については閣議了解人事と称して、長妻先生もそうだけど、僕らも大臣をやっている時は皆、自分の省以外の局長でもこれで結構ですというサインをするわけですから。ただ、下世話な週刊誌だとかの話題として、どうも何か困った時に、何か逮捕されそうな時に、それをもみ消したとか、いや、どうだというような、人が偉くなったっちゅうようなことを結構書きますよね」
反町キャスター
「なるほど」
伊吹議員
「それから、お友達とかどうだとか。私も役人をやっていたのだけれど、当時の知っている連中は、ほとんどもうおりませんから。ただ、4つの役所で大臣をやったり、いろいろして、いろいろな役所の連中が訪ねて来たり、相談に来たりしますよね。彼らは能力がない人に限って、そういう感情を持つと思うのだけれど、俺は能力があるのに旨いポストに就けないという、それは政治主導の人事のおかげで、おべっかを使っているのが割に偉くなるという不満がある。それから、何か歯向かうと、そうではない、いいポストに就けてもらえないのではないかという不安を持つ、そういう雰囲気が現在ありますよね」
反町キャスター
「なるほど」
伊吹議員
「実際はそうではないと思うのだけれど。僕らは見ていて、ある程度、これは良いなと思う人は良いポストにキチッと就いているのだけれども、ところどころ、面白く週刊誌が書くようなことが起こっているから、皆、役人はこの頃は第2の人生も何もないから、ポスト以外ないわけですよね」
反町キャスター
「そうですね」
伊吹議員
「彼らの生活と言うか、目的の中で。だから、そういう不満が、ある意味では、いろいろな内部情報の流出になったり、あるいは内部告発になったりしているという面がね。だから、今回の反省の1つは今後そういう印象を与えないように役人をコントロールしていかなくてはいけない。財務省の場合は麻生さんという、安倍さんと非常に、盟友と称してもいい大物の大臣がいますから。財務省の役人は、麻生さんを多としていますよ」
反町キャスター
「なるほど」
伊吹議員
「うん。だから、今回のようなことで、麻生財務大臣に不満があったから何か起こったとか、そういうことはまったくないと思うね」
反町キャスター
「今の話、たとえば、冒頭に言われた第2の人生が保障されているから」
伊吹議員
「…かつては」
反町キャスター
「かつてはです。保障されていたから」
伊吹議員
「うん」
反町キャスター
「政治に対して対等にモノが言える環境があったという話がありました」
伊吹議員
「うん、それから同時に、人事について政治の介入はほとんど許さないと」
反町キャスター
「独立性が?」
伊吹議員
「うん、ありましたね。かつて福田赳夫先生が、これは我々の大蔵省の大先輩なのだけれども、大蔵大臣に来られて、自分と同じ県の出身者を局長に引き上げられた時に財務省の中で面白くないという雰囲気があって。これは相澤英之さんが書いていることですよ、僕が言っているわけではないですよ…」
反町キャスター
「どうぞ」
伊吹議員
「…ことがあって、2度目に大臣に来られた時には、自分の趣味での人事は一切なさらなかったという話がありますね」
反町キャスター
「なるほど。よく天下りの問題とか…」
伊吹議員
「うん」
反町キャスター
「僕らもいろいろ取り上げましたし、もっといろいろなメディアが面白おかしく、と言ってもいいかもしれません、書いている。そういう形で、天下りに対する規制とか、目が厳しくなることが、かえって、これまで政治に対しておもねらない。現在の流行りの言葉で言うならば、忖度しない役人の皆さんが、忖度する、おもねらざるを得なくなってしまったという、こういう現象が現れていると思ってよろしいのですか?」
伊吹議員
「アレでしょう。日本全体が少子化時代になって労働力も足りなくなる。行き届いた国だから生きていくにはそれなりの給料を貰らないといけない。だから、皆、労働生産性は当然下がってくる。そういうところでは少し長く働いてもらわなくてはいけないということになるから。役人の世界でも、第2の人生というのはない方がいいと、ずっと役所にいたいということでしょう、結果的に」
反町キャスター
「結果的に、それが現在みたいな状況を生んでいるとしたら…。僕は、天下りを復活させろとか…、手厚い天下りをすることによって官僚が元気になることを望んでいるか、そうでもないけれども、結果的にそういう現象が起きているとすれば、ここはどうなのだろうかと思っているんです」
伊吹議員
「だから、現在の天下りという言葉がいいのかどうかわかりませんが、斡旋をしてはいけないということになると、役所の持っている権限を使って何処どこへ入れるということは、これはアンフェアなことだから。だけど、役所がいろいろな希望を、来てほしいという希望をプールして、人事部局がそれを当てはめていくということを禁止しちゃうと、結果的に個人が在任中にいろいろな便宜をはかって、退職後、もらいをかけてもらったら、斡旋にならないでしょう、これは」
反町キャスター
「なるほど」
伊吹議員
「だから、従来の人事院の制度というのは、そういう職務権限の行使による再就職を厳しくチェックしていたのだけれども、それがもうなくなっちゃって、斡旋がよくないということだから」
反町キャスター
「かえって水面下に潜って?」
伊吹議員
「うん、かえっておかしなことがあるのではないかと思いますよ」
反町キャスター
「長妻さん、伊吹さんの話はいかがですか?」
長妻議員
「うーん…」
反町キャスター
「官僚の天下りと官僚機構と政治の向き合いのバランスみたいな話を聞いていたのですけれども」
長妻議員
「これは天下りですね、現在は独立行政法人とか、いろいろな政府関係機関、基本的に大臣の人事権があるんですね。だから、そういう意味で、逆に私は天下りがある方が政治におもねるという傾向の方が強いのかと。現在は前川さんもそうかもしれませんけれど、結構、厚労省でも、大学教授とか、学者さんに退職してなる方もおられるんですね。別に斡旋とか、全然、大臣の人事権が及ばないところで。ですから、そういうところは比較的、自由に発言をしていくので。ですから、そういうようなことが直接の関係と言うよりも、先ほどから4つの省庁の話、出ましたけれども、私は、超トップダウン、これほど超トップダウンでものを決める総理大臣というのは戦後初めてだと思うんです」
反町キャスター
「なるほど」
長妻議員
「たとえば、厚労省の場合は、産業競争力会議というところで労働者の代表は入っていないですよ。官邸に設置してドーンと高度プロフェッショナルとか、裁量労働制を決めると。閣議決定だと、もう逆らえないわけです。だから、それに沿ったデータとか、沿ったいろいろ資料を出さざるを得なくなる」
反町キャスター
「なるほど」
長妻議員
「だから、今回の、たとえば、森友問題も別にトップダウンではないのだけど、奥様がそこに登場してきたと。これはもう大変だと。こういうような、まさに忖度ということが強く働いたのか、あるいは防衛省にしても、今回のPKOにしても、あそこは戦闘ではないのだということをドーンと国会でもおっしゃって、率先して答弁されておられて。それに反するようなものを出すことはなかなか難しいと。ですから、おそらく自民党の中でもそういうふうに感じておられる方は多いと思いますが、物事の決め方が現場のデータとか、統計とか、声は抜きにして、まずは官邸で、集団的自衛権もそうですよね、日銀のあの金融緩和もそうですよね、取り巻きの人と決めて、ドーンと降ろしていくと、下に。その筋で動くしかないという諦めと言うか、そこで歪み、ひずみが出てきていると思うんですね」

『官邸主導』と『内閣人事局』
山田氏
「この内閣人事局ですけれども、2014年の5月にできたのですけれども。この図は、いわば最後の姿でして。この前にまず各省庁から審議官級の職員およそ600人のその適格性を上に審査させるわけですね、してもらうわけです。そのうえで合格者の幹部候補者名簿に登載して、各省の大臣が名簿をつくって、それをまた、首相や官房長官の協議を経てというやりとりがあるわけですね」
反町キャスター
「なるほど」
山田氏
「ですから、その元の幹部候補の原案なるものは各省庁が出すのですけれども、最終的にやりとりして、最後は内閣のトップが決めると。官房副長官がトップですけれど。このシステムそのものがなぜできたかというと、これは第1次安倍内閣の時からこれが始まっていて、福田内閣の時にそれが答申で出ていて、第2次安倍内閣で実を結んだということなのですけれど。そもそも各省の縦割りが、弊害があるということで、これを内閣で、いわゆる管理しよう、これが最初の出だしの考えでした。ですから、この仕組みそのものは当然、この仕組みは誰が政権に就いても、内閣中心、官房中心になるのですけれども。ただ、今回のケースで安倍政権になってから官房副長官の数、政治家の数も1人から2人に増やしたということもあり、それから、何と言っても現在、安倍さんの1強状態なので、ただでさえ強い権限を持っている人事局がより強くなったという面がありますので。そうすると当然、役所の方々は上を見るということが1つ。それから、なりたいポストになりたいというよりも少なくとも幹部候補から弾かれないようにするということが。つまり、逆に言えば、この人は仮に、恣意的にちょっと使えないとか、気に入らないということがあれば、それが能力以外のことであれば、やろうと思えばできる制度ではあるということですね。ですから、官僚の人達はこの内閣人事局というのを非常にこれまで以上に、安倍政権になって、安倍政権で発足した人事局というのは大変、いわば恐ろしい組織であるということになっていて。それが当初できた頃は恣意的な人事はしないのだと、各省庁全体を見渡したバランスのとれる人事ができるのだという触れ込みだったのですけれど、現在、表ではおっしゃらないけれども、チラチラと聞こえてくるのは官僚の方々は人事が全てであると、人事局、内閣人事局には絶対に逆らえないんだということは、これはもう皆さんおっしゃることですね。それが気に入らない人達、あるいは異を唱える人達というのが出にくい制度になっていて、これが現在の大きな問題だと私は思います」
反町キャスター
「それが結果的に今回の文書改ざん問題の背景にもあると見るわけですね?」
山田氏
「これは、つまり、これだけの怖い官邸であるということになりますと逆にそこに1つの選択肢としては本当に、それで自分が主張してここはおかしいということを言うということもできるのですけれども、現在、それがこれによってできにくくなっていると。あとそうしますと2つあって、1つは面従腹背に徹するか、それともう1つは、クーデターですよね。つまり、ジャーナリズムにそれを流すという。どちらにしてもちょっと安定性の欠く話になってしまうということが現在、場合によっては起きているかもしれないと」
反町キャスター
「…ということですね?」
山田氏
「ええ、私は起きていると思うのですけれども」
反町キャスター
「長妻さんはどう感じますか?」
長妻議員
「これは内閣人事局ができる前も、先ほど、伊吹さんもおっしゃっていましたが、局長以上の人事は、官邸で大臣と一緒にいろいろ決めるわけですね。ただ、内閣人事局が確かにできて、人事のグリップは以前より強くなったとは思いますが。ではもし人事のグリップが強くなると、首長と一緒に暴走するのであれば、たとえば、首長を、知事、政令指定都市、大きな組織の首長・市長、小さいところでも含めて、大統領制ですから、首長が全部一手に人事権を握るわけですね。そういうところも首長のことを忖度して、お役人がそういう不正に走るかというと、全部が全部そうではないわけで。私は相当、安倍総理のキャラクターが今回、起因していると思うんですね」
反町キャスター
「組織ではなくて、リーダーのキャラクターが忖度を生んでいるという意味で言っていますか?」
長妻議員
「そうですね。これは国会での安倍総理の答弁を、それは皆さんご覧になっているわけで。歴代の総理と決定的に違いますよね。相当、挑発したり、嘲笑ったり、あるいは野党を罵倒したり、我々の意見を全否定したり、それは我々も国会に出てきて、そういう意見もあるということでぶつけているわけでありますけれども。そういう非常に強気な、異論を切り捨てるようなこういう姿勢が官僚の皆さんにも乗り移ったとは言いませんけれども、人事権者に、これだけ長く総理も務めておられて、マインドが似てくるのではないのかと。そういうマインドの人が重用されると。こういうようなことも私は起こっていると思うんですね。ですから、そういう姿勢が生み出した側面も私は大いにある。今回、私も冷静にいろいろ話をしていますけれども、はっきり言って…」
反町キャスター
「今日、かなりトーンを抑えていますよね、わかります…」
長妻議員
「うん、1年間、騙され続けてきたんですよ、国会が」
反町キャスター
「はい」
長妻議員
「森友学園問題、こんな小っちゃい問題を追及するな、みたいな話もあった中、我々もいろいろ追及して、昨年の10月の選挙、何だったのだと。あの時にもしこの改ざんが全部明らかになっていたら、こういう結果になっていたのですか。安倍総理が本当に、この中に…」
反町キャスター
「それはまた、野党共闘がまとまるかどうかであって、選挙戦はまた別ですよね、伊吹さん?」
長妻議員
「いやいや…。いや、あの時に…、いや、それはバカにしたらダメですよ」
反町キャスター
「いや、バカにしているのではなく、まとまっていればということですよ」
長妻議員
「あの時に、これほどの問題が出て、単なるその公文書の書き換えではなくて、私は、憲法の国政調査権、これを本当にないがしろにするような話なので。いや、選挙の結果も相当、違っていたと思いますよ。ですから、そういう大きな問題について、キチッと解明しないと。すぐ対策、というのが出てくるんですよ、いつも与党から」
反町キャスター
「なるほど」
長妻議員
「それは、私は、それを糊塗するようにしか見えないので、実態解明がないと、どう対策を打っていいかわからないわけです」

官邸と官僚『不都合な』関係
松村キャスター
「さて、政と官の関係ということですが、政策や予算、人事を決めるリーダーシップを官僚ではなく、政治家が行うべきという考えは安倍政権以前、自民党以外の政党でも行われてきました。民主党政権は『政治主導』を掲げ、事務次官会議を廃止しました。安倍政権は内閣人事局を設置するなど人事権を活用し官邸のリーダーシップを強めました。ということなのですが、『政治主導』『官邸主導』、山田さん、どんなメリット・デメリットがあったと考えますか?」
山田氏
「まず民主党政権時代はこの政治主導がややいき過ぎたなということがあって…」
反町キャスター
「いき過ぎて、何が起きたのですか?」
山田氏
「つまり、たとえば、『仕分け』がありましたでしょう?」
反町キャスター
「ありました」
山田氏
「要するに、官僚を排除したわけです。これについては、実は現在いらっしゃる、当時の政権の中枢にいた方がおっしゃっていたのですけれども、最大の反省は官僚のプライドを傷つけてしまったことだと。それによって、働いてもらえなくなったということをおっしゃっているわけです。ですから、政治主導は大事だけれども、いき過ぎてしまうと、これは民主党のような…、その後、少し菅さんや野田さんになって変わりましたけれども、もうその時は遅かったわけです」
反町キャスター
「なるほど」
山田氏
「現在の安倍さんの方に関しては、これは先ほどもちょっと申しましたけれども、全て官邸主導で行うということになると、当然それに対して忖度をするのかということが増えてきて。私は忖度そのものが悪いとは思わないのですが、度合いの問題です。忖度と指示の関係というのは常にあって、忖度が増えれば指示が必要ないし、指示をすれば忖度が必要ないのですけれども。だから、両方必要ないって、両方ないって安倍政権は言おうとしているので、いや、いったい何なのだろうというのがあるのですが。いずれにしても、過剰忖度になっているということになりますから。私は、民主党政権時代の政治主導と、現在の官邸主導を足して2で割ったぐらいがちょうど現在あるべき姿ではないかと思っているんです」
反町キャスター
「伊吹さん、常に民主党政権においても、自民党政権においても霞が関との向き合いに時の与党は常に心を砕くというか、苦心されてきた歴史かとも思うのですけれど。その点については特に現在の状況、たとえば、先ほどの内閣人事局が諸悪の根源だと言う人もいます。これが本当に悪いものなのか。そうではなくて、長妻さんは先ほど、制度ではなくて人の問題だと言いました。でも、民主党政権の時も政治主導ということでさまざまなトラブルがあったことも僕らは知っています。政治と霞が関の向き合いというのはどういうような方向性を向くべきなのか?ここの部分、どう感じますか?」
伊吹議員
「だから、政治主導であれ、官邸主導であれ、結局それを使う人の矜持というのか、値打のようなもので全て決まっちゃうと言えば、身も蓋もないのだけれども。法律をいくら決めても結局その法律をいかにうまく使っていくかという。制度で言えば、社会保障の制度というのは良いものだけれども、限界的に使うか、使わないか、我慢すれば、使わなくて済むという人がそこになだれ込んでしまったら、とんでもない制度になるわけでしょう。だから、政治家だけではなくて、国民全てが、ある程度の自己抑制を持って、謙虚さを持って動かせば、政治主導であれ、官邸主導であれ、別に問題はないと思いますよ。もう1つ言えば、大切なことは一応、皆で決めた法律、憲法が1番上にあって、法律があるのだから、今回のことで最大の、最大と言うか、唯一それしかないのは国会を愚弄したとか、騙されたという話ではなく、憲法の精神とまったく違うことをやった。つまり、三権分立の下で、国民の主権を預かっている唯一の国家機関である国会に対して、本来正しくない、本来のものではない、結局その資料を出して審議をさせたということですから。これは憲法の精神から見て、非常に大問題ですよ」
反町キャスター
「なるほど」
伊吹議員
「今回のことはロッキードやリクルートのように薄汚い金の話ではないので、ほとんどが道義の問題です、最後は。だから、監督責任を誰がとるかとか、あるいは収監されて詐欺をしているような人と、なんとなく脇が甘く付き合っちゃったというような、ある程度の地位にある人、あるいは奥さんが。そういうことについてどうだということであって。これは、道義の問題というのは、1番その重い責任ではあるのだけれども、刑法のように皆が、お前はけしからん、お前はけしからんということではなく、自らが裁かないとしょうがないということと、もう1つは、世間様が裁くということですよ。道義というのは法律に違反していることではないので。忖度をされたからと言って、忖度をされた方に何か法的な違反があったのかといえば、それはないでしょう」
反町キャスター
「ないです。だから皆、モヤモヤしている…」
伊吹議員
「忖度をした者には責任があるかもわからないけれども。だから、このことは道義の問題として、自らが落とし前をつけていくのと同時に、世間様が人間社会のルールから見てどうなのだろうという判断をすることです。だから、今週火曜日かな、読売新聞の4面か5面に京都大学の待鳥さんという方が書いておられたのですが、結果責任は何らかの形で麻生さんはとらなくてはいけないだろうと、監督者責任を。しかし、それが辞職をさせるということになるかどうかは次の選挙で世間様である有権者が決めることなのだと。たとえば、現在、日韓の問題があり…、日朝の…、北朝鮮の問題があって大変な状況ですよね。それから、予算関連法案がいろいろある。そういうことを総合的に判断して、自らが考えることなのであって。道義のことについては他人がとやかく言う話では、僕はないと思いますよ」
反町キャスター
「自ら決めろということですか?」
伊吹議員
「そうです」
反町キャスター
「長妻さん、今の話はどう感じますか?」
長妻議員
「忖度された側には罪がないと、これの論理でいくと、この問題は何にも問題ないみたいな話、これはおかしい、おかしいと思うんですね」
反町キャスター
「刑法上、法律の建つけ上は問題にならないですね」
長妻議員
「国会議員、あるいは総理大臣が犯罪をしたら、辞める、辞めないの前に逮捕されるわけで、犯罪をするから辞める、辞めないという議論はちょっとおかしいと思うんですね」
反町キャスター
「なるほど」
長妻議員
「忖度と言っても今回、本当に忖度のレベルで済むのかどうか、調査を明らかにしないといけないし、昭恵夫人の証人喚問を要求していますけれど、頑なに拒んでいるし、たとえば、昭恵夫人の、夫人付の秘書の谷さんという官僚の方が、照会しているわけです、財務省に、問い合わせを。総理は関係していたら国会議員も辞めるとおっしゃっているので関係していると私は感じますけれど、それが違うのであれば、全容を解明しないといけないし、ですから、今回、何か刑事的に問題がある、なしでない、それも重要ですよ、もちろん。ただ、伊吹さんがおっしゃったように、私も憲法の大きな問題だと思っているんです。単なる書き換えとか、改ざんとかでなく、たとえば、憲法62条には国政調査権がある。今回そもそも、この文書が出てきたのは、参議院の予算委員会の理事会とか、そういうところで国政調査権に関連して、この文書が出てきているわけですね。そういう意味では、国政調査権が適正に行使できなかったという、憲法上、大変重要な問題だし、あと憲法63条に閣僚や首相の答弁義務というのがあります。国会で答弁をキチッとしないといけないという義務。それにも反している、反していないということにも議論になるし、憲法66条では『内閣は国会に対して連帯して責任を負う』と。ですから、国会の監視機能の裏腹の話ですよね。先ほどの国政調査権出席義務は国会の監視機能を謳っているわけで。そういう憲法上の国会の監視機能、説明責任、連帯責任、これを相当ないがしろにする、私は非常に重大な問題であると。ですから、これが…」
反町キャスター
「ただ、それらの問題は、いわゆる法律に抵触して、立件されるようなケースではないから、伊吹さんは道義の問題だと言われているわけですよ」
長妻議員
「これは、おっしゃるように、たとえば、虚偽公文書作成罪というのがあるんですね。これに当てはまるとは言いませんけれども」
反町キャスター
「その話にもっていっても、官僚にしかいかないではないですか?」
長妻議員
「だから…」
反町キャスター
「政治家が公文書を偽造したわけではないのだから」
長妻議員
「うん。だから、官僚にいくわけですけれども、この罪が当てはまれば。ただ、それだけの罪を犯した監督責任、たとえば、反町さん…」
反町キャスター
「それは道義の問題…」
長妻議員
「いや、反町さんはそうおっしゃるけれども。企業で、いろいろな改ざんとかがありますよね。そのトップは別に刑事的な責任がないのに辞任しますよね。経済界の方なら」
反町キャスター
「立件された…、同じ話がグルグル…。聞いているのは、法律上の罪を、犯しているか、いないかのうえで、社会的な責任、道義的な責任をとってトップが辞める、辞めないという話は、これはまた別の話ではないかという…」
伊吹議員
「そう、そう」
反町キャスター
「ここの部分…」
長妻議員
「いや、だから、私も言っているのは、先ほどから言っているではないですか、反町さん。総理大臣が犯罪を、犯した、犯していないという議論ではないわけです。それは犯したら、そんなもの辞めるに決まっているわけで」
反町キャスター
「それはそうです」
長妻議員
「そうではなくて、道義的…、では、道義的責任という言葉を使いましょうか。総理大臣が一切、法律的には問題がなかったとしても、果たして今回のこれ、国会の答弁で辞めるとおっしゃっているんですよ。そういう答弁に抵触している、していない、国会での発言の信ぴょう性、監督責任。いや、本当に忖度だけのレベルだったか、奥様が名誉校長までしているんですよ。ですから、そういう法律に触れない、触れるみたいな議論に矮小化すると、政治家は責任一切とらないでいいではないですか。犯罪が起こらなければ。そんな議論はダメですよ」
伊吹議員
「あまり熱くなって話をされるといけないのだけれど。私はできるだけ議長という立場で国会の権威ということを大切に話してきたつもりなのですけれども。安倍さんの名誉のために言っておくと、安倍さんは『私や妻がこのことに関係をしていれば…』と言うのは、この森友の話は、最初はどうも不当に安く売ったではないかと。その際に安倍さん、あるいは安倍さんの奥さんが、何らかの直接的な要請をしたり、権力を行使したりして、ルールを曲げたのではないのかというのが、最初のメディアの論調ですよ。野党もそれでずっときていたんですよ。しかし、それではいくらやっても答えが出てこないと。だから、次は忖度をしたのではないかということですね。安倍さんのあの答弁が出てきた時の前後関係をずっとご覧になれば、すぐわかりますよ。処分について、自分や自分の妻が何らかの働きかけをしたり、そのことについて介入をしたりするんであれば、私は総理大臣も何も辞める、ということを言っておるだけであって。名誉校長になったと、これも率直に言えば、道義的に安倍さんはよく、詐欺で現在、収監されているような人なのだから、そういう人のおっしゃっている、今度のことも籠池さんがどう言った、どう言ったということが文書に書いてあるだけで、安倍昭恵夫人がどうしたということは何も書いていないわけですよ。だから、安倍さんはそういう収監されているような人のことを信用できますかという答弁をするのだけれど。それはやめた方がいいと、そういう人のやっている学校の名誉校長になったり、そういう方と同じ政治思想だというので共鳴をしたりしたのが、ちょっと自分が恥ずかしかったなということを言っているにすぎないですよ、それは」
反町キャスター
「なるほど」
伊吹議員
「だから、それは道義の問題であって、それ以上でも以下でもないので。長妻さんがおっしゃったように、本当に何か関係があったのか、どうなのか。佐川君が1人の判断でああいう答弁をした、あるいは理財局の1部という、麻生さんが言っているような形で書き換えが行われたのか。それを国会の場で究明すべきであって。財務省や、検察の、捜査に委ねておくようなことではないと。だから、むしろ今日、私も話したのだけれども、自民党が最大の与党なのだから、構成会派なのだから、野党の方もご一緒になって国会で解明をしないといけないから。特別委員会みたいなものがいいのか、調査委員会みたいなものがいいのか、それをやっていけば、安倍さんが関係していたか、していないかがすぐわかる、自明のことですね。処分のことについて安倍さんが関与して、行政行為、つまり、売却をさせたとか、貸付をさせたということはないと思いますよ」

伊吹文明 元衆議院議長の提言 『政は舟 官は水 水は舟を乗せ 水は舟をくつがえす』
伊吹議員
「ここに書きましたのは政官ということですから、『政は舟、官は水、水は舟を乗せ、水は舟をくつがえす』と。これは荀子の言葉でもとともとは、君は舟、諸氏は水ということで始まっているんですよ。だから、国民から選ばれた議員でつくられる議員内閣制だから、国民全体の奉仕者として、気持ちよく仕事をさせる雰囲気をつくらないと、先ほど来、山田さんがおっしゃっているような、内部告発だとか、クーデターだとか、いろいろなことが起こってくると、そういうことです」

長妻昭 立憲民主党代表代行の提言 『節度ある関係 公務員は国民の奉仕者』
長妻議員
「どういう関係かと言うと節度ある関係。公務員は国民の奉仕者。当然、上司、部下、政治家が、政務三役がいれば、部下として公務員の方がいるという構造はありますけれども。いくらなんでも上司の無理難題、あるいは上司を忖度して法律違反の疑いあるところまで手を染めると。目の前の上司も重要ですけれども、国民に雇われている、その奉仕者であるという気概、矜持を持っていただくということが重要だと思います。政治の側も自戒をしていかないといけないと思います」
松村キャスター
「山田さん、2人の提言はいかがでしょうか?」
山田氏
「政治というのはイコール国民だと思うんですね、行政官僚制度の方が政治より上にいくということは、基本的に健全ではないと思いますから。政治が上だと思うのですけれど、政治は国民がいて、その下に選ばれた方がいて、さらにその下で働く官僚がいるという制度があるわけですから。国民が1番上にいるのだということだと思うんですね。長妻さんのおっしゃった節度ある関係、もし私が書くなら節度ある政治主導というような言葉にしようかと思います」